-幻想郷・迷いの竹林-
ここは人間の里から距離がある竹林。群生する竹が日々成長する為、慣れてない者は一瞬で迷ってしまう事から〝迷いの竹林〟と呼ばれるようになった。
そして、その奥にひっそりと佇む屋敷がひとつ。
その中では、こんなやり取りがあった。
「---どうですか、先生」
この声は鬼塚の部下の1人だ。彼も過去に幻想郷に迷い込んだ事があり、その際にこの屋敷〝永遠亭〟に世話になっていたのだ。
そして先生と呼ばれたのは、長く伸ばした艶のある白髪を三つ編みの様に束ね、衣服は赤と紺のツートーンを上着は右半分が赤、左半分が紺、スカートはその逆の配色をしたちょっと変わった服装の女性だった。
「かなり酷くやられてるわね。妖怪にでも襲われたの?」
「いえ・・・なんと言いますか・・・」
「まあ、処置は今すぐ必要ね。しばらくここで待ってて頂戴」
「どうか、頼んます」
2人のやりとりをしている隣の部屋に、静かに横になって寝ている鬼塚がいた。
-人間の里-
龍牙は情報収集の為に里中を歩いていた。里は結構時代が混ざっているようなところもあった。基本的には江戸町民みたいな人が多いが、時には明治にやってきた外国人の子孫等もいるため、建物や衣服は里内で江戸と明治が混ざっているようだった。
電気を通すつもりであろう、電柱と思しき気の柱が等間隔に道の脇に刺さっている。何でも河童達が発明中との事だ。
「河童って結構人間に親切なんだなぁ」
「あら?あなたは確か」
横から声を掛けられ、向いた先にいたのは知った顔だった。
「ん?あ、君は魔理沙の友達だったよね」
「ええ、アリス・マーガトロイドよ」
「改めて、御剣龍牙です。よろしく」
「ええ、よろしく。私の事はアリスでいいわ」
「俺の事も龍牙でいいよ。ところで、買い物帰りかな?」
アリスが腕に通してる手提げ袋を見て聞いてみた。縦長の袋で、なにやら布地のロールのようなものが見えた。
「これ?人形作りの材料よ。私は戦闘用の人形も作るから材料は買える時に買っておかないと」
「戦闘用って・・・」
龍牙は過去に人形を用いたトリックトラップを経験している。それを含め、少し引き気味であった。
「龍牙こそ、ここで何をしているの?」
「ああ、実は---」
龍牙は、慧音達に話した事を同じ様に話した。
「---あの天狗がそんな目に遭っていたなんて」
「他にも、外の世界で文と容姿の似た10代の女の子達を拉致、強姦して、挙げ句にはショック死を起こす子もいたんだ」
「そんな厄介な男がこの幻想郷に?」
「可能性では、ね。何も無ければそれに越したことは無いんだけど、かと言って無視していい相手じゃないから」
「分かった、私の方でも気をつけておくわ」
「あと、奴の能力は厄介だから、戦わずに必ず俺に知らせて」
「ええ。それじゃあ私は帰るわ。そろそろ家に戻って
「そっか、本当に気をつけてね」
「ご忠告ありがとう」
そう言って手を振りながら、アリスは自宅への帰路についた。
(そうだわ、魔理沙にも教えとかないと)
途中、龍牙からの情報を伝えるために魔理沙の家に立ち寄るアリスであった。