-幻想郷・妖怪の山-
「---と言う訳で、はたても椛も用心してください」
「分かったわ」
「分かりました」
龍牙から鬼塚の情報を得ていた文は、彼に頼まれ速やかに妖怪の山一帯に連絡を任された。大天狗の元に向かう途中で姫海棠はたてと犬走椛を見かけて、2人にも手伝うように依頼した。
「私はこれから大天狗様に報告してくるから、2人は手分けして山のみんなに連絡を」
「それじゃあ私は鴉天狗達に」
「私は白狼天狗のみんなと河童達に連絡を入れます」
「お願いします」
3人はそれぞれ情報を伝えるため散った。
(・・・また、あの男が・・・)
記憶に残るあの抗えない恐怖を突きつけてきた鬼塚を思い出し、文は悪寒を感じて身震いをした。
(これ以上、犠牲を出す訳にはいかない!)
外の世界で、鬼塚の餌食になってしまった年端もいかぬ人間の少女達の話を聞かされ、幻想郷での犠牲者を出すまいと先を急いだ。
-人間の里-
一方の人間の里でも上白沢慧音や稗田阿求らが、注意と警戒を促していた。龍牙から受け取った顔写真と容姿が描かれたプリントを里中に配り歩いていた。
「この人相の男を見かけたら、直ちに大声で周りの皆に伝えてほしい。何でも妖怪の様に危険だそうだ」
「わかりました。ご足労掛けます先生」
「もし、この様な男を見かけたら大声で皆さんに警告してください」
「はい、ありがとうございます稗田様」
一通り配り終えて、一度慧音の寺子屋に戻る2人。
「阿求、この男、里に来ると思うか?」
「少なくとも、来ないと約束は出来ないわ。いるかどうかがまず曖昧だもの」
「だよな。でも、いるとしたら絶対に里の者には指一本触れさせはしないがな」
「慧音らしい」
「ああ、実に私らしい」
「ふふ、それじゃあ次は里の皆さんと対策会議をしましょう」
「うむ、夕暮れ前までには始めよう」
その頃、鬼塚の部下のひとりで幻想郷に来た事のある男、
(こりゃやべぇ!旦那に知らせんと!!)
余談だが、この男も幻想郷に来た影響からか、能力と呼ぶには未熟で語弊があるが、偵察向けのスキルが非常に高く、並みの人間より〝出来る〟方なのだ。目安としては市販の防犯センサーよりも使える程だ。
里中に配られたプリントを手に、永遠亭に戻っていった。