-幻想郷・迷いの竹林前-
「オラアァァ!!」
鬼塚はその大きな右拳を龍牙目掛けて繰り出す。
「ふっ」
龍牙はそれを難なくかわし、距離を詰めようとした刹那。
「がっっ!!!?」
突然胸部に膨大な圧力を感じ、相殺も出来ずに吹き飛ばされた。
「ぐっ・・・何が?」
鬼塚の姿を捉えると、先程は確かに右拳を繰り出していたのに、今は左拳が前に出ていた。
「おめぇが懐に潜り込んでくるのは想定済みだったんだよ。それに前よりもおめぇの動きがはっきり分かるし、しっかり身体がついてくるんだよ」
「それは随分、立派になったねぇ」
軽口を叩きながら再び身構える。
(今度はこっちから行くか!)
今度は龍牙から仕掛ける。
ひとまず機動力をメインとした戦法を試そうとすると、鬼塚が突然咆哮を轟かせた。それは周辺に対して膨大な圧力を与えるほどに強烈だ。
「チッ!今度は衝撃波かよ!」
龍牙はその場で足を止めてしまう。その隙に鬼塚が突進してくるが、咆哮が止んだ為龍牙は回避する。
「やっぱテメェは動きがはえんだな」
「当たり前だ。お前みたいなアホ面に負けてられないんだよ!」
龍牙は空間を歪ませて、両腿にレッグホルスターを展開、ウィングシューターを引き抜いて連射。するとここで思わぬものを目の当たりにする。
「ふんっ!!」
突如鬼塚の体表が黒く染まり、放たれた弾丸が火花を散らして弾かれた。
「ッ!?今度は何なんだ!!」
「へっ!特別に教えてやる。今の俺は身体を一瞬で鋼鉄以上の強度に硬質化させられるようになってんだよ。少なくとも戦車位なら耐えられるぜぇ」
「ご解説どうも。おかげで本気を出さないといけなくなったのが癪だがな!」
すると龍牙はウィングシューターをホルスターに収める。そしてその両手を開き炎を纏いだした。
「はああああ・・・」
それを大きく外回りに上に持っていき、そのまま胸の前に火球を作る。
「まずはひとつめだ!」
その火球を右手に持ち---
「はぁあああ!!」
鬼塚に投げつける。
「へっ!---ぐおあっ!!?」
鬼塚は身体を硬質化させて受けようとしたが、思いの外強烈な直撃と爆発に吹き飛ばされた。
「はあ、はあ、久しぶりだと結構クるな」
軽く乱れた呼吸をすぐに調える。実は今の技はかなり体力を消耗する為、波の人間ならよくて気絶、最悪は絶命の大技だ。
「くっそ、何だぁ今のはよぉ!!」
「ん?そうだな・・・デラシウムシュートと言わせてもらおう」
「相変わらず出鱈目な奴だぜ」
「お前が言える?」
「うるせえぇ!!」
すると人より速い動きで近寄る。現状での肉弾戦はかなり厳しいと察している龍牙はひとまず距離を取ろうとする。
『逃げるんじゃねええ!!!』
再び咆哮が放たれる。
しかし、特に怯むことなくバックステップ。今度は左手に炎を纏いそこに右手を突っ込む。そしてフレイムセイバーをを抜刀し炎の刃を振るう。
「うぉっ!!」
しかし、フレイムセイバー本体の刃部ではなく、炎によって延長された刃部が当たった為衝撃こそあたえど、充分な効果は見受けられなかった。
「チッ!外したか」
「このクソガキャァアア!!!」
今度は鬼塚の周りでスパークが走る。するとそれを、右手を前に出すのと同じタイミングで龍牙を襲う。
「ガッ!!」
目立った外傷は見受けられないがかなりのダメージが彼を襲う。
「はあ、はあ、ぐっ・・・」
これほどの相手をしたのは、B.S.A.A.の現場を退いてからブランクのある龍牙には少し面倒だった。
「おいおい、まさか、もう終わりとか言わねーよなぁ?」
明らかに見下した態度に苛立ちを覚える。しかし、彼はどうすれば勝機を掴めるか等、まだ戦いを諦めてはいない。