※この作品はR-18です。

幻想見聞録   作:コンコルド

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第八項:目的地は博霊神社

 -龍牙の家・周辺-

 

「ぐぬぬぬぅぅ・・・!」

 

 鬼塚は、呼び掛けに反応が無い事に苛立っていた。

 

「ど、どうしますか?」

 

「っるっせぇぞッ!!」

 

「ひっ!す、すいません!!」

 

 ここまで鬼塚が射命丸文に固執するのは、言うまでもなく、私利私欲の為だ。

 

 彼女の〝存在〟は、間違い無く〝世界〟でさえ動かしかねない。故にそれを我が物にする事で私腹を肥やすネタとして扱う考えだ。

 

 金に変えることや、その容姿から奴隷の様に扱う等と、良からぬ悪行ばかり思案していた。

 

 しかしそれが、捕らぬ狸の皮算用だと、思い知らさせられる事になる。

 

 目の前の家の車庫のものと思われるシャッターが開き始める。

 

「てめぇら構えろッ!!」

 

 すぐに指示を出すが、無駄である事に気付くのに時間は掛からなかった。

 

「なにぃ!?」

 

 車庫から現れたのは、龍牙の駆る機動砲システム搭載ストライカーだった。

 

 シルエットが確認できた直後、間髪無しに機動砲が正面に向けて火を噴いた。

 

 その先にあった鬼塚陣営の車両が一台、足下を砲撃され衝撃で横転する。

 

「ぐッ!!クソッ!!撃て!撃てぇ!!」

 

 鬼塚の号令で、一斉に射撃が開始される。しかし、通常のライフル弾はおろか、グレネード弾でさえ傷付く事無く、ストライカーは何事も無かったかの様に発進、逃走を始める。

 

「追えぇ!!ぜってぇに逃がすんじゃねぇぞッ!!」

 

 鬼塚達も、全員が車に乗り後を追う。

 

(逃がさねぇ!絶対に逃がす訳にはいかねえ!!)

 

 鬼塚の野心は完全に剥き出しになっていた。

 

 

 

 ◇

 

 

 

 -東京と山梨の間・山間の車道-

 

 ブロロロロ!!っとディーゼルエンジン特有の力強いエンジン音を轟かせながら、龍牙達の乗るストライカーが車道を走っていた。

 

 上部にあった機動砲の姿が無く、ニュートラルなシルエットに戻っていた。

 

「みんな大丈夫?」

 

「まあ、大丈夫と言えば大丈夫だけど・・・」

 

「何だか色々揺れたり大きな音が聞こえたり・・・」

 

「何だかスリリングね♪」

 

「わ・・・わたしは・・・もう・・・うぷっ!」

 

「わぁーー!!文ちゃん待って!龍牙!ビニール無い?!ビニール!!」

 

「ちょっ!待って!え~っと、あった!はい!!」

 

 車内では、蓮子、メリー、紫の順に声が聞こえたが、文に限ってマジやばヘルプ!な状況だった。辛うじてリバーシングする事は無かった。

 

 鬼塚達に追われている事もあり停車する訳にはいかず、龍牙は極力穏便な運転に心掛けた。

 

「今は一段落しているけど、追っ手が来たときにはまた飛ばすからね」

 

「また・・・ですか・・・」

 

 完全に絶望しきった顔をした。乗り物そのものに耐性の無い文には文字通り生き地獄だ。

 

 ふと龍牙は何かを思い出したかの様に紫に質問をする。

 

「ところで紫、境界を操って文だけでも幻想郷に連れて行けないのかな?」

 

「残念だけど、通り道に使えるほどの大きさの隙間は、今朝位しかタイミングが無かったのよ。スキマそのものは操作出来ても、幻想郷と外の世界を繋ぐことは難しいの」

 

「そっか・・・紫、1つ良いかな?」

 

「何かしら?」

 

「幻想郷と外の世界を跨いで存在する博霊神社に行けば、なんとか成るかな?」

 

「そうね、可能性はあるわ」

 

「場所は判るよね、案内して貰って良いかな?」

 

「いいわ。先ずは---」

 

 ガシャァン!!

 

「きゃあッ!!」

 

「ぐッ!!追いつかれたのか!?」

 

 紫が口を開いた直後、車体が揺れた。爆発による揺れだ。

 

 鬼塚達の追っ手がRPG7を放ったのだ。

 

「車体ダメージ・・・気にする事も無いな」

 

 撃ち込まれたのは通常の榴弾頭だった為、爆発によるダメージはほぼ皆無だ。

 

 被弾した箇所が少し爆炎の煤(すす)で黒くなった位だ。洗えば落ちる程度なので、龍牙は特には気にしなかった。

 

「くっ!何か使えるアセンブリは・・・こいつだ!」

 

 タッチ端末から再び設計図を展開、武装を選択した。

 

 再びストライカー上部中央に光の輪郭が現れ、光が消えて武装が現れる。

 

 チョイスしたのは左右に並べた2機のブローニングM2キャリバー50だ。

 

 展開が完了してすぐに後方へ狙いを定め---

 

「掃射---開始!」

 

 ドッドッドッ!!っと2つの銃口が同時に火を噴き始めた。

 

 後方の追跡車両は瞬く間に蜂の巣となりながら変形、爆発して、コントロールを失い、車道から脱線、地形に沿って火だるまになり転がり落ちた。

 

「まだ来るのか!飛ばすよ!」

 

 アクセルを少し踏み込み、速度を上げる。その間、他に近寄る追跡車両を薙払いながら。

 

 

 

 ◇

 

 

 

 -山梨県・山中・休憩用駐車場-

 

 鬼塚の追跡を振り切り、今は道中の休憩用に存在する駐車場に寄っていた。

 

 文は蓮子の付き添いのもとトイレに。メリーは龍牙に頼まれ備え付けの自動販売機で飲み物を買いに行った

 

「紫、状況はかなり面倒な方向に転がっている。博霊神社はこの山梨、そして長野のどこかの山中にあるって事でいいんだね?」

 

「ええ、そうよ。最終的な道案内はするけど、まずはさっきの連中が付いて来ない事が割と重要よ。幻想郷の存在を無闇にさらさせたくないわ。加えて、あんな奴らを入れたくないから」

 

「幻想郷を創った1人だもんね」

 

「ええ」

 

「龍牙、戻ったわよ」

 

「お、ありがとうメリー」

 

「龍牙、こっちも終わったよ」

 

「すみません皆さん、迷惑をお掛けして」

 

「仕方ないよ、誰だって苦手なのはあるし」

 

「・・・後5分くらいね、追っ手が来てるわ。行くなら今すぐにしないと拙いわよ龍牙」

 

「了解。さあみんな乗って、出発するよ。・・・さて、それじゃ探しに行きますか。博霊神社を」

 

 全員が乗り込み、ストライカーは再び走り始めた。

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