箱庭学園二年十三組・セクハラ男子のハーレム 作:セクハラエリート万歳
しかし、今回はRー18シーンはありませんのでご了承ください
はぁ……。どうしてこうなったのかねぇ。
今、俺は音楽室にいる。事情はいろいろあるんだが、今回は俺にしては珍しく善行だ。だが、柄じゃねえことはするもんじゃねえ。おかげで、少し面倒なことに巻き込まれちまった。
俺は呆れた目で目の前の
本当勘弁してほしいぜ。ただでさえ、ガチモンの
なんて、不満たらたらなことを思わず垂れ流しそうになるが、
「ちょうどいい。ここで、てめえも沈めてやろうか」
ギィっと聞こえそうな凶悪な笑み(笑)でこっちを見てくる。明らかに臨戦態勢だ。面倒くせえ。
一応紹介だけしとくと、こいつの名前は
「やめとけ。せっかく飛び級で入ったモンスターチルドレンっつー触れ込みで売れてんのに、それを台無しにする気か?」
俺は面倒くささを隠さずにそんなことを言う。だが、そんな俺の態度が癪に障ったのか何か知らねえが、雲仙は右手をこっちに向けてくる。
「はっ。てめぇが野郎の心配を口だけでもするなんざ驚きだぜ。明日は雪でも降るんじゃねえかぁ? だが、まぁ、そう邪険にすんなよ!」
雲仙はある物を投げてくる。しかし、俺は微動だにせず、一瞥もすることなく、それを消し去る。ちなみにこいつが投げたのはスーパーボールだったようだ。無数の玉が変則的な跳弾をして、襲いかかってくる様は確かになかなかのもんだとは思うが、俺にとっちゃ全くもってくだらねえ。
「やっぱ、こんなもんじゃ攻撃にもならねえか。本当、つくづく反則じみた
本当に変わってねえな。こいつ。去年、ある一件で会ったときからそうだ。自分を正義だと信じて疑わない。
それ自体は構わねえ。人は皆正義だ。だから、こいつが正義じゃないと言うことは誰にもできねえ。それに関しては俺も反論の余地はない。問題なのは、こいつが女子に対して、問答無用でやりすぎの制裁を下すことなんだよ。
「読めなくていい。野郎に俺のことを知られるなんざ、鳥肌もん以外の何物でもねぇからな」
適当に言葉を返しつつ、どうしてこうなったのか、改めて振り返ってみることにしようと思う。もちろん、思考速度を上げることも忘れずに。
まず、今朝適当な女子の尻を触った俺は、その女子にオーケストラ部の騒音問題について相談された。どうやら、音楽室の防音設備が役立たずなせいで、多くの人間が迷惑を被ってるらしい。一応、女子たちの間では紳士で通ってる俺としては、その女子にいい顔をするため――失礼、女子たちが騒音に悩まされることを痛々しく思い、できる限りのことを尽くそうと、部活を行う放課後に音楽室を訪れることにした。
俺としては、のらりくらりとかわす部長とやらを適当に処理して、オーケストラ部の女子たちと少し楽しみつつ、ついでに、音楽室の防音設備を一切の音漏れを許さない完璧なものにするっていう平和的な解決方法を考えていた。女子の相談を聞いたときは、それで問題なく終わるだろうと軽く考えていたんだが、それが間違いだった。
その間違いの原因になったのが、俺の目の前にいるこのクソガキだ。
このクソガキは俺よりも少し早くこの音楽室に来ていた。なじみに言われたのと、何度か面識があったのもあって、一応、こいつの顔と名前くらいは覚えていた俺は、風紀委員長なら素人の俺よりも手際よくこの件を解決するだろうと考えた。できれば、面倒ごとはごめんだったからな。こいつが華麗に解決して去ったところで、女子に接触し、必要ならば、防音設備に手を加える。そのつもりだった。しかし、めだかが入っていたり、旦那と久しぶりに会ったりと、ここ最近いろいろあったおかげで、完全に浮かれていた俺は完全に失念していた。こいつのやり方を。本当に過去の俺をぶん殴ってやりたい。いくらなんでも、救いようがなさすぎる。
こいつがやったことを順を追って話していこう。まず、オーケストラ部長とやらの男の右腕を破壊。それくらいなら、別に俺はなんとも思わなかった。男がどうなろうが知ったこっちゃないからな。ただ、少しだけ過激だなと思った程度だ。
問題は次だ。こいつは、いきなりスーパーボールを駆使して、オーケストラ部の連中に襲いかかりやがった。さすがの俺も焦り、慌てて、オーケストラ部女子たちを俺の力で守った。結果、部屋と野郎どもはズタボロになったが、女子たちは無傷で守り抜くことができた。しかし、さすがの俺も焦ったせいで、こいつに姿を見られるというへまをしちまった。そして、俺にまで戦意を向けはじめ、今に至る。
ここまでおよそ0.1秒。思考前と全く変わらない光景が俺の前に広がっている。さすがにコンマ一秒じゃ、そこまで状況は変わらねえか。とりあえず、俺は速やかに女子たちをこの場から離し、適当な空き教室で眠らせた状態で置いている。あとで楽しむためだ。できれば、俺もさっさとそっちに行ってしまいたいところだが、そうすると、こいつが後で何をしでかすか全く分からねえ。
ここまで派手にやってくれたんだ。下手をすれば、無関係な女子たちにこいつの牙が向く可能性がある。それはできれば避けたい。
ん? 力を使えば、そんなのどうとでもできるだろうって? 残念ながら、そうは問屋が卸さねえんだよ。理由は後で説明するけどな。
仕方がねえ。適当に動けなくするしかねえか。それか、
そんなことを考えていると、扉がガラッと開く。
外から、めだか、半袖、鬼瀬ちゃんが入ってくる。半袖だけ意外だったが、あとは予想通りの面子だ。鬼瀬ちゃんの胸にはタオルが抱えられている。
「おっ。鬼瀬ちゃんじゃん! タオル持ってきてくれたんだ!」
雲仙は鬼瀬ちゃんから嬉々としてタオルを受け取る。そのタオルで返り血を拭いながら、めだかの方に視線を向ける。どうやら、俺から注意は多少はそらせたようだ。だが、まだ油断はできない。俺のこともそうだが、こいつのことだ。めだかに何をやらかすか分からない。
さっきのスーパーボールで多少攻撃するくらいなら、めだかには大したダメージは与えられない。俺も仕方なく、本当にぎりぎり目をつぶってやらなくもないが、それ以上のことをするなら、さすがに俺も黙ってはいられない。
ったく、じれってえな。こんな奴、いつもやってるみたいに煙に巻くか、いっそのこと処分しちまうんだが。
案の定めだかにスーパーボールで二回攻撃を仕掛けるが、めだかは外傷こそあるもののビクともしていないようだ。だが、はっきり言ってかなり腹立つ。この野郎。覚えてろよ。
寛大な俺もさすがに堪忍袋の緒が切れかけてきたとき、聞き捨てならない台詞をこいつはほざいた。
「なんせ俺は生徒会潰しのための刺客を三人、既に放っちまってるんだからなぁ!」
…… なんつった? こいつ。刺客? 三人? 潰す?
凡人やプリンス、風紀委員のカスどもはどうでもいい。だが、その生徒会潰しとやらに喜界島ちゃんや呼子まで巻き込みやがったのか? こいつ……。
めだかは大慌てで外に出ていく。雲仙がなにやらしたらしいが、そんなことはどうでもいい。
俺は半袖の前で立ち往生している雲仙にドスのきいた声で話しかける。
「…… 雲仙」
「あ?」
「仏の顔も三度までだ。いくら、てめえが
俺の言葉に雲仙は嬉しそうに笑う。
「何だ? フラフラと逃げ回ってたくせに、とうとう俺とやる気になったのか?」
雲仙はそう言って、戦闘態勢に入る。だが、相手をする気はない。
さっきの半袖の話を聞く限り、こいつは校則違反をしていない相手には手を出さないらしい。それなら、俺はともかく、真面目に校則を守ってる普通の女子たちがこいつの毒牙にかかることはおそらくないだろう。それに、こいつの頭の中は、俺とめだかのことで埋め尽くされてるだろうしな。
それを理解した上で、俺は音楽室から姿を消す。ここで雲仙とやり合うつもりはない。あいつを潰す気なら、まずやるべきことがある。
呼子や喜界島ちゃんはおそらく大丈夫だ。めだかの奴がなんとかするだろう。いつもなら首を突っ込むんだが、今回はそれを無視してでも、これだけはやらないといけない。
俺はそれをやるために、誰もいない空き教室へと移動した。
△☆○△☆○
空き教室で瞑目し、俺は意識を別の世界へと飛ばす。その世界は言うまでもないかもしれないが、なじみのいる世界だ。
なじみは余裕の笑みを浮かべながら、教卓の上に座っていた。こいつのことだ。単細胞の俺の言いたいことなど、雲仙と接触する前から分かっていただろう。
「よう、なじみ」
「やあ。待っていたよ。性」
「俺の言いたいことは分かってるよな?」
「ああ、もちろん。雲仙くんのことについてだろう?」
やはり、俺の言いたいことなどお見通しだったな。だが、今はそんなことはどうでもいい。
「単刀直入に言う。奴を始末させろ」
ド直球の俺の言葉になじみは一瞬きょとんとした顔をした後、おかしそうに腹を抱えてころころと笑う。
「おいおい。随分と過激だなぁ」
「当然だろ? めだかのことを除いても、奴は三度も女子に手を出したんだ。仕置きには十分すぎる理由だぜ」
俺の言葉になじみは目を閉じ、考え込む仕草を見せる。普通に考えて、この案が飲まれる確率はかなり低めだ。だが、どうせこいつのことだ。俺の理想通りに答えてくれるだろう。
なじみは顔を上げて、俺ににっこりと微笑む。
「…… いいだろう」
「予想はしていたとはいえ、やけにあっけねえな」
拍子抜けした顔でそう言うと、なじみは呆れたような顔になる。
「やれやれ。君も大概だねぇ。僕が君の言うことをきかないことなんて、よほどのことがない限りありえないよ」
「今回はよほどのことだと思ってたんだがな」
何しろ、俺もここまで我慢していたんだからな。破ったところで何のペナルティーもないとはいえ、よく耐えたもんだよ。
「それは勘違いだよ。僕は言うほど、あの計画を重要視しているわけじゃない。許可なんか取りに来なくたって何の問題もなかったよ」
「そういうわけにはいかねえだろ」
「そういうところは君らしいね」
当然のことだと思うが、冷静に考えれば、結構おかしいのか? 自分のことはよく分からんからな。
「いい機会だ。雲仙くんを倒したら、ちょっと遊んでおいでよ」
「いいのか?」
「当然だよ。言っただろう? あんなのは、僕にとってはどうでもいいんだよ。君に抱かれる方がよっぽど価値がある。それに、君が動かなくても、そろそろ主人公たちが関わることになるだろうしね。それならいっそ、君も関わらせた方がいい」
どうでもいい…… ね。思うところはあるが、俺は何も言わない。
「それはありがとよ。だが、その前に……。遠慮なく潰させてもらうぜ」
俺はなじみに背を向け、この世界から出ようとする。
「楽しみにしているよ。ああ、そうだ、忘れてた」
「何だ?」
この世界から出ようとした俺は、なじみの方に改めて向き直る。
「できれば、君と雲仙くんが戦うところをめだかちゃんたちに見せてやってくれないか? その方が、面白そうだからね」
「…… 分かった」
俺はそう言って、なじみのいる世界から姿を消した。
△☆○△☆○
元の世界に戻ると同時に、生徒会潰しとやらについての経過を確認する。どうやら、予想通り、めだかがなんとかしたらしい。
しかし、あっちの世界に行ってから、いくらか時間が経ってしまっていた。本当、俺は時間感覚がなってねえ。だが、幸いそんなに時間は経っていない。これなら、そこまで状況は変化してはいないはずだ。
「そうと分かれば……。あん?」
俺は思わず素っ頓狂な声を上げてしまう。なぜなら、雲仙が生徒会室に向かっていたからだ。
「おいおい。あいつ、まさかなぁ……」
めだかを襲うつもりか? さっきは、しぶしぶ黙っていてやったが、もしめだかや喜界島ちゃんを襲いにイクって言うんなら放っておくわけにはいかない。
「それに、もう許可ももらったしな」
俺はそう呟いて、生徒会室の戸の前へと瞬間移動した。そこから、少しだけ離れた位置まで歩き、雲仙を待つ。
そうすると、予想通り、廊下の角から雲仙が姿を現した。
「よう、さっきぶりだな。雲仙」
「てめえは…… 猿喰!」
雲仙は俺を見て目を見開く。そりゃそうか。風紀委員の女子には遠慮なく手を出してきたが、いつもこいつからは煙に巻いて逃げ続けていた。そんな俺が、こいつの前に堂々と立つなんざ、どういう風の吹き回しだと思いたくもなるだろう。
「いつものように消えたから、もうやる気はねえと思ってたが、意外だな。俺の前に立つなんてよ」
雲仙がそんなことを言ってくるが、俺は答える気はない。
「今度は、めだかたちを襲撃しに来たのか? そのご自慢のスーパーボールでよ」
「バレてたのかよ」
「当たり前だ」
俺の言葉に雲仙はふっと小さく笑うと、両手の袖から小さなボールをボロボロと落とし始める。
「ご名答だ。確かに俺の武器はスーパーボールだよ。もちろん、ただのスーパーボールじゃ話しにならねえから、多少改造は施してあるがね」
「そんなもんで、めだかを出し抜けると思ってんのか?」
俺の言葉に答えることなく、雲仙は何気ない仕草で窓に近付き、鍵をかける。どうやら、こいつは俺に
「なあ、猿喰ぃ。お前、正義って何だと思ってる?」
「あ?」
「さすがに、
雲仙はそう言って、また手近な窓の鍵を一つ閉めつつ、俺の横を素通りする。その窓を閉じれば、あと鍵がかかっていない窓はない。この近くで鍵がかかっていない出入り口は生徒会室の扉ただ一つだ。俺が焦って、その扉を開ければ、うまくいけばもろともってわけか。なるほど、それなりには考えているらしい。
「急に何の話だ?」
俺は気付かないフリをして、今だけは雲仙の思惑に乗ってやる。いきなり潰しても面白くはねえ。それに、なじみの要望もあるしな。
「要は、てめえは潰されて当然のことをしてるっつってんだよ!」
雲仙はぎぃっと笑って、両手からマッチを取り出す。
「なるほどな。これは火薬玉だったわけか」
つまらない顔で、分かりきったことを言う。雲仙はそんな俺の顔にいらつきを覚えたのかは知らないが、笑みを消し、こっちを睨みつけてくる。
「ずっと待ってたんだぜ。この時をよ。俺は去年てめえと会ったときから、ずっと、てめえをぶっ潰してえって思ってたんだ!」
「何でまた」
「相容れねえからだよ。女を道具としかみないで、ありとあらゆる手で陵辱の限りを尽くすてめえは言うまでもなく悪だ。俺は正義としててめえにずっと制裁を下したかったんだ!」
「それで、火薬玉か? ご丁寧に最初の標的の生徒会室の扉以外を密閉させて。俺に生徒会の扉を開けさせて、巻き込もうって魂胆なんだろ? 本当、つまんねえ奴だな。お前」
「余裕こいてられんのも今のうちだぜ。さあ! 遠慮なく食らえ!」
雲仙はマッチを点火させ、激しい爆発が巻き起こった。
…… だが、それだけだ。
「な…… !」
「何驚いてんだよ? こんなもんで、俺をどうこうできるわけねえだろ。そもそも、俺を出し抜くことなんざ、神でもできやしねえぜ」
目を見開く雲仙に俺はそう言い放つ。
確かに爆発は起こった。だが、爆発したのは、窓の近くにあった火薬玉二個のみだ。それを窓の外の方向へ向けて爆発させた。ゆえに、窓以外に被害は出ていない。雲仙は、多少爆風で汚れているが、俺には汚れ一つついていない。
「何をした?」
足下に転がるスーパーボールを拾いながらそう聞いてくる。そりゃ、驚くよなぁ。一発でとんでもねえ破壊力を持った爆発物がただの小さなボールへと成り下がっちまってるんだから。
「別に。分かってんだろ? さっきのは、俺が爆発させてやっただけだ。俺の都合でな。てめえの思い通りになんざ、何一つなっちゃいねえ」
「…… っ!」
さすがの雲仙も絶句しているらしい。呑気なもんだな。こいつの地獄はここからだってのによ。そこで、爆音を聞きつけたのか、生徒会室から生徒会メンバーが出てくる。
「何だ! 今の音は!」
「よう。めだか、喜界島ちゃん」
「性?」
めだかは珍しく驚いた顔で俺を見てくる。当然か。窓一つが粉々に砕けてちゃあな。大した破壊力だ。こいつ、こんなもんを生徒会室で爆発させるつもりだったのかよ。ますます、見逃すわけにはいかなくなっちまったな。
「はっ。主役のご登場ってわけか。ちょうどいい、お前らまとめてここで…… !」
「何を勘違いしてんだ? お前」
俺は静かにそう言う。瞬間、周囲が静寂に包まれる。多少の怒気を混ぜて発言しただけだが、こいつを黙らせるだけならこれで十分だ。
「こっからやるのは、てめえの処刑劇だよ」
俺がそう言い放つと同時に、雲仙を壁へと叩きつけた。
「がはっ!」
雲仙は口から吐血する。どんな重装備を着込んでても、まぁ、こんなもんだろう。
さっきの攻撃は飛距離こそ、すぐ横の壁までで大したことはないが、威力自体はそれなりに高い。少なくとも、奴の着ている特別製とやらの制服を一撃で使いものにならなくする程度の破壊力は持っている。壁が壊れていないのは、単に俺が壊れないように壁を強化しただけだ。その分、奴に襲いかかる衝撃も半端じゃないだろうが、そこは
「どうした? この程度でもう終わりか?」
「ケケケ。冗ー談。こんなの蚊ほどもダメージはねえよ!」
雲仙は右手で脇腹を押さえながら立ち上がる。今の一撃であばらの数本はイってるかもな。だが、さすがと言うか、即座に左手からスーパーボールを俺と生徒会メンバーに向けて無造作に放ってくる。俺はそれを一瞥することなく、さっき無効化した火薬玉もろとも消し去る。そして、もう一度、全く同じやり方で今度はかなり弱めの力で叩きつける。
「ぐっ!」
「おいおい。さっきの一割にも満たない威力だってのに、そこまでダメージ受けんのかよ」
正直、今のはかなり加減してやったんだがな。別に瀕死のダメージを負ってるこいつを哀れんだわけじゃねえ。ただ、俺は今回、本気でこいつを潰すと決めたからな。そのためには、こういうのも必要ってことだ。
「こ、こんなこと……」
「やっぱり、滅茶苦茶だ。こいつ……」
喜界島ちゃんと凡人の呆然とした声が聞こえてくる。そちらをチラリと向くと、めだかを除く生徒会メンバーが呆然とした顔でこちらを見ていた。
(彼は何も変わっていない……。俺たちの時もそうだった。彼を一歩動かすことができないんじゃない。文字通り、
なんとなく、プリンス君の声を聞くとそんなことを考えていた。俺を動かせない? 当たり前だ。なにしろ、この世界は俺の物だといっても過言じゃない。そんな奴をどうこうできるわけがねえ。
「どこ…… 見てやがる?」
前方から声が聞こえてきたので、俺は一つため息をついて正面を向く。
「まだ立ち上がれんのか。悪いこと言わねえから、さっさと帰れよ。これ以上は無様を晒すだけだぜ」
「もう勝った気でいんのか? まだ俺には……」
「その制服を縫製したのと同じ糸を巻いた弾丸を持ってるってか?」
「!」
雲仙は目を見開いて驚いているが、俺としてはやっとかって気分だ。もう、この弱いものいじめに近い戦いも飽きた。やっぱり、戦いはつまらん。すでに何するか思いついてるときはいいけど、そうじゃないときは、ただの作業ゲーだからな。最強ってのはそういう意味ではつまらんな。
「いいぜ。さっさと撃てよ。まだ通じるって思ってんならな!」
「なめんな! ボケェ!」
雲仙は文字通り糸の弾を撃ってくる。だが、俺はつまらない顔でそれを消失させる。雲仙の顔が驚愕に染まる。
だが、こいつは馬鹿だろ。スーパーボールが消滅したんだ。なら、その奥の手とやらも普通に考えて消滅することくらい予想がつきそうなもんだが。
それとも、分かっていての最後の賭けだったのかね。
「終いか?」
「くっ……」
「お疲れさん」
俺は三度、全く同じところに雲仙を壁に叩きつける。殺しはしない。だが、この瞬間から、もうこいつは重要なパーツでなくなった。そして、それと同時に俺の我慢していたものが一つ解放された。それだけだ。
俺はこちらに視線を向けてくる生徒会メンバーの方を向き、ニヤリと笑う。
「後は頼むわ。心配しなくても、死にはしねえだろうよ」
俺はそう言ってこの場から去る。もうこれ以上ここにいる意味はない。
俺は廊下を歩きながら、ニヤニヤしていた。ようやくだ。ようやく悲願が叶う。ここまで我慢したかいがあった。
本音を言えば、俺自身雲仙に思うところは特になかった。ただ、そうすることが奴らに手を出す条件だったんだ。いや、なくはなかったか。めだかを傷つけられたんだからな。だが、それは俺が手を出さなかったからだ。いくらか理由はあったとはいえ、その辺は俺自身の失態だ。それをあいつだけにぶつけるのは酷だ。むしろ、きっかけができて感謝したいくらいだ。
待ってろよ。