そこは、人を人とも思わない恐ろしい場所だった。
搾取の第12章
~125日目・6月8日・妊娠5ヶ月~
――どうして私はこんな目に遭うのだろう。
以前澪は毎日のようにそう思っていた。
しかし、ここ三ヶ月はその思考をあえて避けていた。それは、妊娠した経緯は酷い物だったが、ガイアと一緒に幸せに暮らせていたからだろう。そんな思考は、自分のために一生懸命頑張ってくれている彼に失礼なような気がしたのだ。
そんな思考が、久しぶりに蘇ってきた。
それも当然と言えば当然。グライペルの魔の手に絡め取られ、リリンに捕まってしまったためだろう。しかも、自分の所為でこれまでガイアを巻き込んでいたのだと考えたら、今までの幸せすらも偽物だったような気がしてくる。
そこで改めて、先ほどの思考に戻ってくる。
――どうして私はこんな目に遭うのだろう。
澪はすでに、悲しむことにも疲れていた。悲しみで涙を流すこともしない。だからこそ、客観的に自分を見つめ直すのだ。意味があるようには思えないが。
「辛いなら死ねばいい。それくらいなら、隠れて手を貸してあげるよ」
移動中の馬車の中、その幌内で澪のすぐ横で揺られるリリンがそう言った。
「…………それもいいのかもね。でも、クローディアにやられっぱなしって言うのが嫌なのよ」
澪の人生をめちゃくちゃにした張本人。彼女の目的は全く分からないが、澪としては彼女を許すことが出来ない。自分を酷い目に合わせただけではなく、澪の周囲の大切な人にまで迷惑をかけるようなことをした女。
『復讐なんかでお前に、これからの未来を縛られて欲しくない』
いつか刃更が澪に言った言葉だった。しかし、その言葉すら澪は、信じられなくなっていた。
――あいつを殺さないと、何も好転しない……。あいつを……あいつさえ……。
澪の中には、クローディアに対する復讐の炎が燃えていた。
「ほら、着いたわよ」
馬車に乗っていたのは約一日、到着したのは一見何の変哲も無い、牛の牧場だった。普通と言っても、そこで育てられている牛は澪が知るものとは大きく異なっていた。全身が暗紫色の毛並みに覆われ、角が三本、体長としては通常の三倍はあった。
「普通の……牧場?」
「表上はね。名前は『キーブライト牧場』。こうでもしないと、レオハルト現魔王に目を付けられて潰されちゃうからね。さぁ、こっち」
リリンに言われるがまま、澪は牧場へと足を踏み入れた。
澪は現在、両手を拘束された状態だった。走って逃げることも出来るかも知れないが、殺人能力に秀でるリリンから逃げ切れる気はしない。
牧場の地下へと続く階段に辿り着いた。
「『裏キーブライト牧場』通称『人間牧場』はこの下。鼻が曲がるくらい臭いけど、三日もすれば慣れると思う。ちなみに、私はその前に離れるから慣れたことはないわ」
「…………」
階段を降りていくと、確かに猛烈な悪臭が鼻を突いた。それは明らかに、動物の排泄物の臭いだった。
――いや、それだけではない……なに、この臭い……。
薄暗い通路を降りていくと、出迎えたのはグライペルだった。
「久しぶりだな、成瀬澪。良い体になったものだな」
すでに丁寧語を使う必要は無いのか、言葉使いは澪の聞いたことの無いようなものだった。
グライペルは澪の躰をなめ回すように見た。現在澪は、純白のワンピース一枚しか着ていない。そのため、目立つようになった腹部や、先端が突き出た胸がはっきりと分かるのだ。
「それにしても、あの男の行動は予想外だった。面白い風を吹かせてくれるとは考えたが、まさかノルベール様を殺すとは……私も少々侮っていたよ。あの貧弱な愚鈍を」
「…………ガイアを悪く言わないで。百回殺すわよ」
澪は相手を射殺さんばかりに睨み付けた。しかし、当のグライペルは全く意に介していない。
「ほう、まさかまだそんな目をする気力があるとは。そんな心、ノルベール様にへし折られたのかとばかり思っていたぞ」
そう言いながらグライペルは、澪の左胸を真正面から鷲づかみにした。
「んひぅっ…………♥」
グライペルからしたら、ただそこにあったから掴んだ程度の感覚だっただろう。しかし、澪にとってそれは、全身性感帯の躰で最も弱点の胸への奇襲だった。
プシュゥ…………
澪は潮を吹くほどの絶頂を迎え、その場にへたり込んでしまった。視界にバチバチと光が飛び、思考も寸断される。
「はっ…………ふっ…………」
「反抗的な瞳は戻っても、躰はノルベール様に開発されたままか。滑稽よのぉ」
「はっ…………うるさい! そ、それより……あんた、クローディアとグルだったのね。ずっと……私を……」
「あぁ、そのことか。あの狡猾な女がお前を野放しにするはずがないだろうに」
思えば、状況が一変する場合は大抵クローディアの画策が絡んでいた。
まず第一に、澪の処女喪失の時だ。今だから言えることだが、彼女の純血を散らした山男や村連中は、彼女にかけられた、男を欲情させるの呪いを受けていたのだろう。だからこそ、澪に子供をたくさん産ませるなんて暴挙に出たのだ。
次に、ラギー商会の介入だ。ラギー商会に澪を引き渡した盗賊の親玉は、クローディアに頼まれたと言っていた。その結果、リリンという監視役を彼女に付けることと、グライペルという手駒の近くに置くことに成功した。
もしかしたら、グライペルの独断で澪にガイアを会わせるところまでも、クローディアの予定通りだったのかも知れない。その結果で、隠された呪いの効果をまんまと発動させ、澪を精神的に確実に苦しめたのだから。
「あの女の目的は一体何なの? 私に復讐するためだけに、こんなことをしているの⁉」
「…………クローディア女史のやろうとしていることはすぐに分かる。お前が理解できるか知らんがな。さて、話はここまでだ」
グライペルがリリンに目配せをした。それに頷き、彼女が動こうとしたその時、暗い通路の向こう側から全裸の少女が走ってきた。その手には、血がべっとり付いた鉄パイプが握られていた。
その少女に澪は見覚えがあった。長いオレンジ髪を左右で束ねた、澪と同じぐらいの年齢の少女。
「ノエル…………!」
その少女は、ウィルダート城に仕えるメイドの一人だ。以前、澪たちに市街地の案内をしてくれた女の子で、現魔王派のラースの幼なじみだ。
「どうして……」
「み、澪様……どう、して……」
こんなところで澪と会ってノエルは驚愕したようだった。
「おや、どうやら家畜が一匹逃げ出したようだ」
グライペルは、腰に携えていた剣を鞘から抜いた。
澪の脳裏に、ノルベール邸でグライペルがアニックを殺した光景がよぎった。
――グライペルは……剣の達人だ!
「っ…………だめ、ノエル、逃げて!」
「澪様も捕まったのですね! 今助けます!」
ノエルは鉄パイプを振りかぶり、グライペルに殴りかかった。
「全く、職員を何人突破したのやら……」
鉄パイプがグライペルの頭に振り下ろされた。しかし、彼は一歩脚を引くだけでその攻撃を簡単に躱した。
「!」
からぶった鉄パイプが床を強く叩いた。
「その腕はいらないな」
次の瞬間には、老人は剣を鞘に収めていた。
同時に、ノエルの両腕が肩口から切り飛ばされた。
「え…………?」
ノエルは事態が飲み込めていないようだった。
「え、うそ………………なん、……で…………」
「ノエル!」
彼女はそのまま倒れ込んで動かなくなった。傷口からはおびただしい量の鮮血が吹き出していた。
「殺さないだけ温情だと思え。お前がもしB級かC級なら切り落としたのは首だったぞ。A級で良かったな。おい、はやく血を止めてやれ」
グライペルの声とともに、ここの職員らしい男達がノエルを抱えてどこかへ行ってしまった。
「よくも……ノエルを…………」
「動かないで」
リリンが後ろから澪の首筋にナイフを突き付けた。
「はっきり言ってしまえば、ここでされることに四肢はいらないの。下手に逃げようと思わないことね。達磨にになりたくなければね」
ぞわりと全身に鳥肌がたった。そうなれば、もう日常生活すらままならないだろう。自分の四肢が切り落とされることを想像しただけで、澪は何も言えなくなってしまった。
「賢明よ、良い子」
リリンは澪の耳元でぼそりと囁いた。
「さて、リリン。そいつを魔改造の間へ連れて行け。成瀬澪、お前今、母乳は出るか?」
「はぁ? なんでそんなこと言わなきゃ……」
首に突き付けられたリリンのナイフに、力が込められた。
――分かったわよ……。
「…………今は出ないわ」
以前はノルベールに打たれた薬の副作用で母乳が出ていたが、妊娠三ヶ月を過ぎた辺りから出が悪くなり、安定期の頃には完全に出なくなった。
「まぁ、そうだろうな。妊娠中期からはホルモンの関係で出なくなるからな。これから、それを出るようにしてもらう」
「…………何言ってんの?」
「この裏牧場の商品は、女の母乳だ」
***
そこは八畳くらいの四角い空間だった。床と壁にはそれぞれ一面に大きな魔方陣が真っ赤な線で描かれていた。壁の方の魔方陣にはそのあちこちに色鮮やかな魔法石がいくつもはめ込まれていた。
「ここは……」
「名付けるなら、魔改造室とでも言うべきかな」
「改造…………」
「リリン、始めろ」
「了解」
服をひん剥かれた後、両手両脚を広げた状態で澪は金属の留め金で壁にくくりつけられた。これでは躰を動かすことがほとんど出来ない。
「ここからは私がやろう」
そう言いながらグライペルが前に出た。すぐ横に台が用意され、その上には、かなり極細の金属針が何本もと、ちょうど男性器の形の物体が置かれていた。
「あんた……一体何を――――――んんっ!」
グライペルが唐突に澪の左胸を鷲づかみにした。先ほどのような愛撫に近いものではなく、まるで握りつぶすような力加減だった。しかし、それほどの力強さでも、澪の胸は快楽をその中に感じ取ってしまった。
「ん…………くっ……♥」
「感度が良すぎるのも考えものだな。さて、どうなることやら……」
グライペルは一本も細針を持ち、鷲づかみにした胸の先端――その乳首に躊躇なく突き刺した。
「んぎぃぃぃぃぃ――――――――」
今までに感じたことのない激痛が走った。
「痛い……痛い痛い痛い……ま、待って……」
「特殊な針だから血は出んよ」
澪の制止も聞かず、針はずぶずぶと乳首の奥へと入り込んでいく。彼の言うとおり、傷口からは全く出血しない。
ジョロジョロジョロジョロ………………
それでも痛さは尋常では無かった。あまりの痛さに澪は失禁してしまっていた。
「ああぁぅっ、あぁ…………か……」
全長10cm近くある細針が半分ほど入ったところで、グライペルの手が止まった。
――お…………終わった……。
涙が頬を伝った。最初よりは痛みは引いたが、針はじわじわとした鈍痛と冷たい異物感をしっかりと澪に伝えてきた。
「たった一本入れただけだというのに、もう音を上げたのか。針はあと九本あるのだぞ」
「っ…………い、いや……そんな……」
「すぐ慣れる」
二本目の針は、今度は乳房上部に差し込まれた。
「んあああぁぁあっ、ああぁ……い、痛いぃ……あぁ! お、お願い……もう……」
「止めるわけないだろう」
容赦なく針がどんどん埋め込まれていった。三本目、四本目、そして五本目の細針が、澪の左胸に突き立てられた。
「はっ…………あぁ……」
よほど針が細いのか、グライペルの刺し方が巧いのか、針を刺したところからは血が一滴も出ていない。ただ、胸の白い肌から銀色の針が生えているような異様な光景だった。
「片方は終わりだ。もう五本はもう片方の胸だ」
「っ…………そんな……」
絶望的な気持ちだった、こんなことをされるくらいなら、レイプされた方がましだとさえ思えた。そんな澪の考えもむなしく、残りの五本の細針が右胸へと突き立てられていった。
全ての針が刺し終わったとき、澪は気絶していた。
「軟弱な娘だ。それでは勝手に入れてしまうぞ」
グライペルは台に残った男性器型の物体を手に取ると、気絶した澪に淫裂にその物体を差し込んだ。
「ん………………」
ついさっき胸を揉まれたことですでに陰部は濡れていた。そのため、肉壺はいとも簡単にそれを呑み込んだ。
「その針とディルドには、特殊な方法で魔法石が練り込まれて作られている。それが媒介となり、魔方陣とお前の躰をリンクさせる。リリン、始めろ」
「はい」
グライペルは部屋の外に出た。リリンは床の魔方陣の端っこに移動してかがみ込んだ。その床には小さな穴が開いている。彼女はその穴に、懐から取り出した朱色の魔法石をはめ込んだ。
その瞬間、床と壁の魔方陣が輝き始めた。
「ひぅぅ…………」
同時に澪は気絶から覚醒した。猛烈な躰の熱を感じたからだ。
「な、何…………あ、熱い…………胸が……お、お腹が…………」
両胸と下腹部が今までに感じたことの無いような強い熱を覚えた。
――何なの……一体、何が……。
「これから一週間かけてお前の躰を家畜用に改造する」
「何ですって……そんな……」
「大丈夫、床の魔方陣のおかげで、飲まず食わずでも死ぬことはない。お前はただ、自分の躰が書き換わっていく感覚を感じていればいい」
――――――ドクン
すさまじい熱の波が澪を襲った。その瞬間、一気に彼女は絶頂へと打ち上げられた。
「んいいいぃぃっ、あ、あぁぁ、あああぁぁ!」
プシャッ……プシュゥゥ……
びくびくと何度も躰が震え、淫液が陰部から吹き出た。
「あ、あが…………はっ……♥ んいぃ……♥」
「この魔方陣はゆっくりとお前の躰を作り替えていく。その過程で断続的にお前に絶頂を刻み込んでいくだろう。ペースとしては1分に一回くらいか」
「はぅ……♥ そ、そんな……に……」
「さすがはゾルギア候の開発した魔方陣だ。改造後も改造途中も遊び心であふれておる」
「え……」
――今、何て? 確か……ゾルギアって……。
頭に浮かんだ疑問を口にする前に、澪を絶頂の波が呑み込んだ。
「はあぁ、あぁぁん♥ ん、はぎぃっ♥ んあああ!」
「それじゃ、一週間後にまた会おう。悪いが、つきっきりでお前を見てやるほど私も暇ではないのでね。後は任せた、リリン」
「はい」
そう言い残し、グライペルは部屋を後にした。部屋には澪とリリンだけが残った。
「一週間持つと良いね」
「はっ…………はっ…………ねぇ、い、今あいつゾルギアって……」
「だってこの魔法、元枢機院のゾルギアが開発した物だもの。自分の奴隷で遊ぶという余興のためだけにね。グライペル様はそれをゾルギアに頼み込んでビジネスに変えたの。そのビジネスの内容がゾルギアに気に入られたおかげで、こうやって大きな場所でやれてるってわけ。まぁ、彼が死んでからは規模は縮小の一途をたどるばかりなんだけど」
「ゾルギアの……そんな……」
澪の育ての親の敵であり、その後も散々澪たちを苦しめた男だ。そして、クローディアはゾルギアの臣下だと言っていた。
「それじゃ……ここにも、クローディアの息がかかっているのね」
「まぁね、話はこれまで。私は行くわ」
「っ……ま、待って――――」
ビクビクビク――――
三度目の強制的な絶頂が澪を襲った。
同時に何度目か分からない潮吹きをしてしまう。温かい噴水が太ももを伝って床へと流れていった。
「はぅ…………んあ……♥」
澪が絶頂に達している間に、リリンは部屋から姿を消していた。
「そ、んな…………これを、一週間…………」
途方もない時間だった。しかし、澪を助けてくれる存在は、ここにはいなかった。
ただ無機質に刻まれる快楽を、享受するしか無かった。
~132日目・6月15日・妊娠5ヶ月~
誰かが魔方陣の部屋に入ってきた。
「あ゙ぁ゙………………」
澪は呆然とする瞳で、来客を迎えた。
――ええと……誰だっけ……あぁ、そうだ、リリン……。
「一週間ぶり。臭い……ここも牧場と大して変わらないなぁ」
リリンは鼻をつまんで見せた。相当臭いのだろう。澪自身はすでに麻痺して気づかない。
実際、部屋には悪臭が漂っていた。床の魔方陣の効果で、澪には水分や生命維持に必要なエネルギーは常時補給されるようになっていた。そのため、途中で何かを食べる必要は無かった。しかし、排泄だけはそうはいかなかった。一体どこから躰に入っているのか澪には分からなかったが、尿意と便意だけはいつもと同じように訪れた。そして、身動き一つ出来ない彼女には、その場で垂れ流すという選択肢しか残されていない。
澪の足下は、彼女自身の排泄物に塗れていた。
「お゙ぅ゙…………あひっ……♥」
プシャッ……ジョロロロ……
潮吹きなのか失禁なのか判別不可能な水が陰部から吹き出た。
単純計算で、トータルで一万回以上もの絶頂をこの一週間で迎えたことになる。澪はすでに。まるで呼吸をするように絶頂をしていた。
ピュルル、ピュゥ――――
針が刺さったままの両乳首から、白い液体が飛び出た。それは間違いなく、母乳そのものだった。
「改造は成功したようだね。それにしてもまた大きくなったね、胸」
ただでさえ大きい澪の胸は、さらに一段とその膨らみを増していた。その中に母乳を大量に含んでいるからだ。
「は…………こ、の…………」
――胸が……焼けるように熱い……何て、躰にしてくれたの……。
澪はとろんとした目で、それでもリリンを睨み付けた。
「どうやら正気も失っていないみたい。たまに快楽に耐えきれずとち狂う女もいるんだが、どうやらあんたは平気そうだ。ちなみに、あんたの躰は、絶頂する度に母乳が吹き出るようになってる。もちろん絞っても出てくる。母乳は妊娠をしているしてないにかかわらず、絶えず体内で作られる。つまり、永久母乳生産機ってわけだ」
「はっ…………あぁ、かはっ……なんて、ことを……」
しかし、澪にリリンに言い返すだけの気力は残されていなかった。
リリンはかがみ込み、床に嵌められた魔法石を確認した。その魔法石は、一週間前より明らかに小さくなっていた。
「ただ、これは貴重な魔法石の消耗が激しいの。もし一週間で改造しきれなかったら、見限られてどうなってたか分からなかったね、あんた」
リリンは澪に歩み寄り、細針を一本一本抜いていった。
「あぅ……んひぅ……♥ はぁっ……うぎっ、はぐぅ…………んあん♥」
澪は痛みすらも快感に感じていた。そのため、針が抜き取られる度に快楽の天井へと打ち上げられていた。
「さて、階級測定試験よ」
リリンは澪の右乳首を指でつねり上げた。
「はぎゅぅぅうぅぅぅん♥♥♥」
ピュルルルル、ピューッ、ピュル
澪の胸の蕾から吹き出る母乳を、リリンは口を大きく開けることで迎えた。
「うわ……おいしい。これ本当に母乳? 色も匂いも……量も十分。ある意味規格外ね。家畜には出す母乳の質によってCからSに階級分けがされるの。この品質だと、あんたは間違いなくS級ね。最高価格で売れるわ。良かったわね。どんな気持ち?」
「はっ…………最っ低…………んぎぅ♥」
「そ、私は改造されたことないから知らないけど」
リリンは澪の拘束を解いた。しかし、澪は立ち上がることすら出来なくなっていた。全く足腰に力が入らないのだ。肩で息をするたびに胸が揺れ、母乳が先端の蕾からこぼれ出た。
「運んで」
リリンの声とともに、部屋に二人の男性が入ってきた。男性達は澪を両脇から抱えて持ち上げた。
「いよいよこれから出勤よ。せいぜい良い母乳をだして、この牧場を潤してね」
リリンは踵を返し、廊下の奥へと消えていった。
***
澪は絶句していた。
目の前の光景が、本当に現実で起きている事だとは信じられなかった。
そこはかなり広大な空間だった。そして、まるで獣のような臭いが立ちこめていた。その空間内にはいくつかレーンが設けられ、そのレーンには何十人もの全裸の女が拘束されていた。
その拘束は、少し異様だった。
躰をうつ伏せの状態に横たわらせ、躰を腰と胸の下、肩で支えられている。首と両手首はまるで首切り台の拘束部分を彷彿とさせた。下半身がわりと自由に動かせそうだが、その様は澪には既視感があった。
――ラギー商会での、お仕置きの時もこんな格好だったな……あのときよりずっと複雑な拘束台みたいだけど……。
そして何より、おかしなところが三点あった。
まず一つ。
レーンの片側――つまり女達の下半身側に、同じく全裸の男が立っていることだ。彼らにはなぜか何も拘束具は付けられていなかった。その男たちは、まるで狂ったように動けない女たちを、己の肉棒で陵辱していた。
――何あの男たち……正気じゃない。しかも、皆……。
男達の全員が全員、全身の皮膚が真っ赤に腫れ上がっているのだ。
一体どういうことなのか、澪には全く理解できなかった。
そして、おかしなところの二つ目。
女達の両乳房には一様に、何やらチューブ状の装置がそれぞれ取り付けられていた。そのチューブは全て1カ所に集められ、大きなガラスタンクへと繋がっていた。中には、なみなみと白濁した液体が溜まっている。
「魔動搾乳機よ。あぁやって女たちから母乳を絞り出して、1カ所に集めてんの。目の前のタンクはC級母乳のタンク。向こうのレーンにはB、A、Sが並んでる」
「なんて…………悪趣味な場所なの……」
澪は吐き気を覚えた。今まで散々非道な目に合ってきた澪だったが、ここばかりは気持ちが悪かった。女を、本当に家畜としか思っていないような扱いだった。
そして、一番おかしいと思った三点目は、女達の躰だった。中には妊娠をしているのか大きくお腹が膨らんだ者がいるが、問題はそこではない。女達の三分の一程度が、四肢の一部を切り落とされているのだ。
「見たでしょ、一週間前の女を。ここ結構古いから、拘束具を壊して逃げ出しちゃう女がたまにいるの。そういう子たちは、グライペル様が直々に、手足のどれかを切り落とすことになってる」
「………………」
――おかしい……こんなの、間違ってる……。
「ここにいるのは、女は全部で110人。男も同じだけいて、女一人に対して男一人があてがわれている」
「なんで、そんなこと……」
「そこからは私から説明しよう」
レーンの奥から悠々と歩いてきたのはグライペルだった。その老人は、鼻下のひげを満足そうに撫でている。
「魔改造が施された女は、快感を感じるほどに母乳を生産する。だから私たちは、女に効率的に母乳を出してもらうように、丁寧に一匹ずつ男と交尾をさせているのだ。それで妊娠しても、母乳の味には変わりが無い」
「…………あの男達は何?」」
「彼らも彼らで、別の魔改造をしている。命を燃やして、生殖行為しか考えられなくなるようにな」
「命を……?」
「あぁ、継続的に女を犯してもらう必要があるからな。そうさせてもらっているよ。女達は母乳が出なくなるか衰弱死するかするまでずっと犯されるが、男の方はせいぜい、改造を施してからは三日の命だ。おかげで男はひっきりなしに入れ替わる。女側からしたらセックスに飽きることはないぞ」
「っ…………そんな!」
彼らは、男も女も関わりなく人間を家畜扱いをしてるのだ。女の扱いも残虐だと思ったが、男の方こそ人間扱いされていないようだ。
「そんなことが許されると思ってるの⁉」
「そういうのは聞き飽きたよ。ゾルギア候がご健在の時は、この十倍の規模で経営していたんだが、何分あまり大っぴらに活動できなくなった今、規模は縮小気味でね。量より質を現在は高めている。まぁそれでも、裏ルートで買ってくれる客は後を絶たんよ。さぁ、成瀬澪。君の場所へ案内しよう」
グライペルが案内した先は、確かに一人分の場所が開いていた。
「そんな…………」
そこにいる他の女達は、全員四肢の全てが切り落とされていた。
「お前もこうなりたくなかったら、大人しく母乳をひねり出していれば良い」
――もし、こんな躰にされたら、赤ちゃんを連れて逃げることも出来ない。それだけは……。
現在の澪にとっての最優先事項は、お腹の子供だった。その子を無事に産むためには、どんなことだってするつもりだった。
「早速始めてもらう」
グライペルが側にいる職員らしい二人の男に合図をした。
これから起こる事へどうしても恐怖を隠しきれない澪だったが、屈強な男二人に力尽くで押さえられてしまえば、どうあがくことも出来なかった。
そして何より、澪は魔法を使うという選択肢を選べないでいた。
それはもちろん、魔法により催淫の呪いを発動してしまうからではあるのだが、現在澪の子宮の中には子供がいるのだ。子宮に精液を入れなければならないという制約は、もしかしたら胎児に何か負担を掛けてしまう可能性が考えられた。
「お願い……私、妊娠しているのよ。あまり無理なセックスは……」
「かまわない。やれ」
グライペルは澪の言葉を全く聞き入れなかった。そうしている間に、澪の躰は搾乳台へと拘束され、二つのチューブを乳房に取り付けられた。
「んく……こ、こんな……」
その瞬間、乳首に圧力がかかり吸い込まれるような感覚がした。
ピュル……ブシュゥ……
乳首の先端から、いくつも枝分かれしながら白濁液が吹き出した。
「んあっ……♥ ひぅ……かはっ……あぁん♥」
母乳を吸われるだけで、快楽の波が澪を呑み込み始めた。
「まだ交尾も始まっていないというのに、すでにこの量か。男と交尾を始めたら一体どれほどの母乳を絞り出してくれるのか、リリン」
リリンが手に鎖を持ってどこからか現れた。その鎖の先には、全裸の男が繋がれていた。手は拘束され、目隠しもされている。ただ、股間の肉棒だけは恐ろしく大きく膨らんでいた。
――この人が……私の相手の……。
男は澪の下半身へと導かれ、そして目隠しと拘束が解かれた。
「あ゙ぁ゙ぁ゙……?」
一瞬、男は事態が飲み込めないようだった。しかし、目の前に無防備にさらされている澪の下半身を見た瞬間、その表情は一変した。
「ぐ゙あ゙あ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙!」
急に猛りだしたと思ったら、男はその淫裂に肉棒を躊躇無く突き入れた。
「かはっ…………あぁ…………」
膣内に男の性器がギチギチに詰め込まれた。その大きさは、一般男性のそれよりかなり大きかった。おそらく、魔改造により性器も作り替えられているのかも知れない。
「あ゙ぁ゙ぁ゙、ぐあ゙あ゙ぁ゙っ!」
「はっ……そ、そんな…………強く、しないでぇ……はぁぁっ!」
力任せな、己の欲を満たすことしか考えられていないようなその行為に、澪は躰の芯から震え上がった。
恐怖故ではない。
湧き上がる快楽に、打ち震えてしまっていたのだ。
――どうしてこう私の躰って……いやらしいのよぉ。赤ちゃんが居るのに……この男の人だって悲惨な目にあっているのに……どうしても……気持ちいいよぉ♥
結合部からは快楽を享受した証として、次々と愛液があふれ出た。それは、獣のメスのフェロモンをたっぷりと含んだ液だ。
ブジュゥゥッ、ブジュッ、ジュル……
母乳の出が一層強まった。自分はこれほど感じているのだと誇示するように、母乳を激しく吹き出した。
「んああぁ♥ ひぎゅっ、あん……♥ んんぅっ、はっ……♥」
男の肉棒が大きく膨らみを増したのが分かった。
「くりゅ……しぇいえき………………んにゃ♥ はあぁっ!」
「ぐあ゙あ゙あ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙!」
男が腰を澪の尻に強く打ちつけた。
ドクドクドクッ、ビュルン、ブジュルルッ、ビュルルルルッ
「はぁぁあぁぁあぁ♥♥♥♥」
狭い膣へと男の欲の奔流がどぶどぶと注ぎ込まれていった。到底膣だけで収まりきるはずが無く、その先のきつく閉じた子宮口へと精液が流れ込んでいった。胎児は羊膜に包まれ、直接精液が触れることはない。しかし、わずかに空いた子宮内を確実に白濁液が侵略していった。
「あぁ、ああぁぁ♥ あっ、はゅっ♥ ひゃぅん……♥」
――赤ちゃんいるのに……子宮に出されちゃってる……。
子宮から躰中に電撃のような快楽のしびれが駆け巡った。拘束で動けない躰が、可動域限界をフルで使ってビクビクを跳ね回った。
「そんな…………まさか」
その驚きの声を出したのは、グライペルだった。
「へ……?」
澪も周囲の異様さに気づいた。今までそれぞれ女達を犯していた110人の男達が、なぜか澪の周囲に集まり始めたのだ。
「クローディア女史の呪いが、ここまでとは……」
そう言いながら、早々にグライペルはその場から離脱した。他の職員やリリンも澪から離れた。
「ちょっと…………何よ……これ」
『あなたには、常に発動している呪いがずっとかけられてたの。それは、周囲の男性を必要以上に発情させるというもの』
クローディアの呪いの説明をしたリリンの言葉が思い出された。
――まさか……この男達……私にかかった呪いに誘引されて……。
その推理は正解だった。
通常はそこまで人の行動を左右するほどの効果ではない。しかし、必要以上に性欲を爆発させるように改造されている彼らにとっては、その効果は絶大だった。
その結果、牧場中の改造された男達を呼び寄せることになってしまったのだ。
「他の母乳の生産性は落ちるが…まぁいい。全員に一度ずつやらせて、それからは本来の場所に拘束して通常運行だ。そうだ、成瀬澪の母乳だけをSS級として売り出そうか。そうすれば落ちた生産量分の埋め合わせもできようて」
遠くでそう話すグライペルの声が聞こえた。
――ウソ……こんな数……一度になんて……。
ジョロジョロジョロ…………
ブジュウゥゥ、ジュブルル
澪は失禁してしまった。それと同時に、母乳の勢いも増した。
想像してしまったのだ。これから大量の男達に陵辱される自分の姿を。そして、その末で刻まれることになるだろう快楽に、息を呑んだ。
「こんなの……壊れちゃう……」
澪の小便が床にぶちまけられた。アンモニアの臭いが辺りに立ちこめ、その臭いがさらに男達を欲情させた。
「「「「「ぐあ゙あ゙あ゙あ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙あ゙あ゙あ゙あ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ!!!!」」」」」
本来澪にあてがわれた男に加えた111人の男達が一斉に雄叫びを上げた。
~163日目・7月16日・妊娠6ヶ月~
澪のためだけに牧場のルール変更されてから、それはすでに定着していた。
まず男達は朝から、順番に澪を犯していく。それで彼らを満足させてから、各自の持ち場へと拘束して女達を犯させるというものだ。
それにより、澪に与える快楽を増大させ、搾乳量を増やすのが目的だった。男達を満足させるのは、その後の彼らの交尾を勢いづけさせ、他の階級の母乳の搾乳量も増やすことが目的だった。
「最初はどうなるかと思ったが、案外いけるものだな」
「グライペル様、これでは成瀬澪にだけ負担がかかりすぎるんじゃない? すぐ壊れちゃいそうだけど」
いつものように牧場を見回るグライペルに、リリンは尋ねた。
「なに、あの女はそう簡単に壊れはせんよ。ノルベール様の責めにも耐え続けた逸材だ。これしきなんともないだろう」
「…………そう」
リリンは遠くから澪の様子を見た。
現在の時間は一日に二回あるうちの、一回目の食事の時間だ。
女達は目の前の台に、それこそ本物の家畜のように飼料が用意される。母乳の質が落ちないように栄養は十分に考えられた献立ではあるが、水気たっぷりの泥のような見た目だ。
「ひ、ひぎゅぅん♥ んあぁ、はぁぁ♥」
澪の一際大きな嬌声が牧場に響き渡った。
食事の時間だというのにもかかわらず、すでに何代目か分からない男が澪を力一杯犯していた。腹部も以前よりさらに膨らみを増していた。これほどハードなプレイを毎日続けているが、流産をするような兆候は見られない。
「おやおや、随分とやっているようだね」
「っ…………」
いつのまにか、リリンの真後ろにクローディアが立っていた。
自然とリリンは、身構えてしまう。どうしても彼女の蛇のような目に慣れないのだ。
「そう警戒しないでおくれよ、血の気の多いお嬢ちゃんだね」
「グライペル様なら今、C級レーンにいると思いますよ」
「ああ、後で行く。ちょっと、成瀬澪の無様な姿をこの目で見ておこうと思ってね」
二人の位置は澪からは見えない。女達の嬌声で会話も聞こえていないだろう。
「そうですか。なんなら、挨拶でもしていけばどうです?」
「いいや、それをやったら、あの女呪いを無視して魔法を使いかねないからね。今は止めとくよ。それにしても……想像以上に集まっているね」
「首輪のエネルギーのことですか」
クローディアは澪に最初に接触した段階で、呪いとは全く別にとある仕掛けを施していた。それが通称「首輪」と呼ばれるもので、普通では目視の不可能なその首輪は装着者の性的高ぶりをエネルギーへと変換するというものだ。
そのエネルギーの全てを、クローディアは集めていた。
「聞きましたよ。成瀬澪の他の仲間にも同じ物を付けているって。そんなにたくさんのエネルギー、一体どうするつもりなんですか?」
リリンの言うとおり、クローディアは澪と同じ首輪を、万理亜、ゼスト、野中柚希、野中胡桃の全員に仕掛けていた。
その全員から集めたエネルギーを、クローディアは計画のために保持しているのだ。
「教えてやらないよ。あんたは油断ならないからね」
「…………」
面と向かってそんなことを言われては、リリンは何も言えなかった。
「さて、あと少し――――あと三ヶ月で、全てが始まる。
「そうですか」
何のことをいっているのか分からなかったが、リリンはあえて興味の無い風を装い、その場を後にした。
家畜となった澪の話でした。
次も澪編かもしれないです。そろそろ佳境です(たぶん)。