彼女は自分にかけられた魔法の恐ろしさを、その身をもって知ることになる。
喪失の第1章。
~1日目・1月26日~
澪が目を覚ますと、森の中にいた。空はまだ夜なのか暗く、周囲を見回してみても背の高い樹木ばかりだった。
「……んあ♥」
催淫はまだ解けていなかった。地面の草が全裸である澪の肌にちくちくとささり、それさえも快感を呼んだ。あるで全身が性感帯になったかのようだった。
「くふぅ……はっ、あ……ふぅ」
甘い感覚を振り切るように頭を回転させる。
――ここはどこ……なの?
必死に状況把握にかかる。季節は現世と同じ季節らしく外気はかなり肌寒く、息が白くなった。やがて暗闇に目が慣れ始め、少し先に山小屋が建っていることが分かった。
一瞬澪は悩んだ。あそこに行けばここが何処なのか分かるかもしれない。とにかく着るものを手に入れたいところでもある。
しかし、人がいた場合、自分の置かれた状況をどう説明すればいいのかわからない。完全に催淫状態にある澪は、まともに会話すらままならない。しかも、山小屋に誰かいた場合、それが男だった場合、どうなるか分からない。相手のこともあるが、今の自分がどうなってしまうのか分からないのだ。
澪は、自分で自分が嫌になるほど、自分が自分を信じられないほど、男と躰を交わらせたかった。男のイチモツを自身の体内に迎え入れたかった。それほど、自身の躰の疼きが抑えきれなかった。
――でも……このままここにいる訳にはいかない。
今のところ気配は無いが、クローディアがもしかしたら何処からか澪を見ているかもしれないと考えると、迂闊に気を緩めることも出来ない。
しかし、澪の中に一つの仮説があった。いや、仮説というより確信に近い。この場の空気といい、妙に自身の魔力が高まるこの感じといい、それは魔界のそれと同じものだった。
――クローディアは、私を魔界に連れてきたというの?
そう考えると、事態はかなり絶望的だった。現世から魔界への入り口は簡単に作れるものではないし、そもそも現世の刃更達に澪が魔界にいることを知らない。まして、主従契約魔法が無効化している今、彼が澪の居場所を探知することもできない。
こうなってはもう、澪自身で魔界から現世に帰らなければならないのだ。しかし、現在の澪は魔力の使用に制限が掛けられている。完全に八方塞がりだ。
「はっ、ま、まず、んんっ、服と、この躰を何とかしないと……」
催淫を解く方法を聞かされた通りに実行する気など端からなかった。例えどう足掻いても他に方法が無いと判明したとしても、澪の相手は刃更しかないと考えていた。
――たとえ相手が刃更だとしても、処女を失うと、魔力の大半を失ってしまう可能性があるから、安易にその方法を取れないことは確かだけど……。
澪はとにかく目の前の山小屋に向かうことにしたが、まともに立つことが出来ず四つん這いになりながらの移動だったため、まるで自分が犬にでもなったような気分になった。決していい気分ではないが。
何とか小屋の窓から中の様子を窺うと、誰もいないことが分かった。ただ、中には斧や鋸などの土木工具ばかりしかなく、澪が求める衣服の類はなさそうだった。
それでも、このまま冬の外で全裸のままいる訳にも行かず、中で休むことにした。幸いなことに鍵は閉まっておらず、重くて立て付けが悪い戸を恐る恐る開けた。
――やっぱり誰もいない。
事態は全く好転していないが、ひとまず安堵し、中に脚を踏み入れた。暗闇の中ぎしぎしと床が鳴り思わず躰がすくんだが、足音以外物音がしないことをゆっくり確認すると、戸を閉め小屋の中央に腰を下ろした。本来なら全裸でこのような不衛生な所に座るなんて、澪でなくとも躊躇しただろうが、今の彼女には長く立っているだけの余裕すらなかった。
催淫により注意力が散漫だったことや、時間帯が夜だったこともあったがしかし、ここで澪は致命的なことを見落としていた。もしかしたら、ここでそのことに気付けていたら澪の「運命」そのものが大きく好転はせずとも、奈落に堕ちることはなかったのかもしれないのだから。淫らに転落することはなかったのだから。
気付くべきだった。
床に無造作に置いてあったシャベルに真新しい土がついていたことや、壁に男物の革の上着が掛けてあることに。
最近、人が出入りしていた形跡があることに。
しかし澪は、それどころではなかった。ひどく疼き、ひたすら火照る躰をどうにかすることに没頭していた。必死に胸や秘部を揉みしだき弄っていた。床が水浸しになるほど愛液を漏らし、声も我慢せず喘いでいた。
「んあ♥ はあんっ、あ、ふう、あん♥」
グチュグチュッ、グジュ……ジュク、ジュププッ
指が淫裂の敏感な部分をかき回す。手のひらからこぼれんばかりの胸を、持ち上げては押しつぶす。
催淫をどうにか解こう、などという思考はもはや澪にはなかった。ただ、己の躰の欲求を満たそうと躍起になっていた。
それはまさに、発情したメスの獣そのものだった。
「い、イク……んあっ、はあ、んあっ、イ、イクゥゥゥゥゥッ」
三十秒もしないうちに澪は快感の天井へと上り詰めた。噴水のように潮を床にまき散らし、腰と脚が何度もいやらしく跳ねまわった。
「ふ、ふう……はっ、はっ……んん、あぁ」
しかし、疼きは収まるどころか、火がついたかのようにその勢いを増し、収まる気配は微塵もなかった。
「も、もう……早く、消えてっ、どうにか、な、んあぁ! ふう、な……ちゃう」
澪は再び、手の動きを再開した。
しかし、それは全く効果を示さなかった。自慰行為を繰り返せば繰り返すほど、その熱はどんどん積み重なっていった。まさに欲求不満の悪循環だった。
澪はそれをいつまでも続けていた。もはや時間間隔なんて意識は吹き飛び、夜が明け小屋に朝日が差し込んでいることにすら気付いていなかった。
そして、朝になった頃から、彼女のその様子を窓から覗き見る男の存在にも、愚かにも気付いていなかった。
~2日目・1月27日~
「ふうぅうっ、んあ♥」
もう何度目か分からない絶頂を迎えた時、唐突に小屋の扉が荒々しく開かれた。
「!」
――嘘……誰か入ってきた?
すぐに動きを止め、音の正体を確かめようと頭を上げた。しかし、その頭はすぐさま床に押さえ付けられてしまった。
「はははっ……こりゃえらい痴女が俺の小屋にいたもんだ! 手伝ってやるよ女ぁ」
澪を押さえ付けたのは、伸びきった髪を束ねることもせず無造作にさらした無精ひげの男だった。年の頃はおそらく四十代過ぎ。その男の瞳には、目の前の女を食らう事しか頭に無い野獣の色が浮かんでいた。
「いやあああぁぁぁぁ」
必死に叫ぶ澪だったが、男の耳には届いていないのか、澪に覆いかぶさったまま己の欲根を取り出した。それは汚れがこびり付いているのかまだらな褐色をしていて、すでにパンパンに膨らんでいた。
――い、いや、そんなもの出さないで!
己の愚かしさを呪いながら、これから男が行おうとしていることに澪は戦慄していた。
男の肉棒は刃更のそれと比べると一回りほど小さかったが、そのグロテスクさは数倍もあるように感じた。
「やぁっ、おね、がいっ、やめてぇ!」
「おらっ、お待ちかねの男のチンポだ! 欲しい欲しいって何度も言ってたよな? 俺がその願い叶えてやるよぉ!」
男は澪の足を強引にM字に広げ、逃げられないように全体重をかけて覆い被さった。幾度となく絶頂を迎えた澪には、すでにそれを振りほどくほどの体力は残っていない。
「うぅ……がっ、く、苦し……」
のしかかられたせいで肺が圧迫され、呼吸がままならない。
男は腰を前後させて、肉棒を澪の淫裂へとあてがった。しかし、愛液でびしょびしょになっていたため、ぬるりとすべって簡単には入らなかった。
「? なんだこれ、入んねえぞ」
「や、やめて! そ、それ以外、それ以外なら何でもするから! 入れるのだけはやめてぇ!」
「あぁ、角度が悪いだけか」
男は澪の言葉の一切を無視していた。ひたすら自分の欲望を満たすためだけに一心不乱だった。
手を使えば簡単なのだが、両手は澪の躰を押さえつけることで塞がっているため、うまく肉棒がまっすぐ入る角度を腰を動かして探った。
「お願い、お願いってば、私、初めてなの。初めてには決めた人がいるのよ! だから、だからぁ――――」
プチッ――――――ズブッ
「え――」
「よし……入ったぜ」
男の肉棒は、澪の湿り切った秘裂を割り割き、深く突き刺さっていた。処女膜はいともあっさりと破れ、その奥へとそれは侵入していた。
「い、痛い…………痛い痛い、いや、い、いああああぁぁ!」
「ははははっ、締まりやがる! これが女の膣かぁ! なんて気持ちいいんだ!」
――そん……な、初めては、刃更だって、思ってたのに。
澪は幾度となく刃更に絶頂を刻まれ、屈服してきた。それらは決して一線を越えるものではなかった。それは、彼の優しさであり、それを澪は受け入れていた。
しかし、行為を繰り返すうちに、当然自分の初めては彼しか考えられないと思っていた。なぜなら、今の自分がいるのは刃更がいたからだ。彼がいたからこそ、彼だったからこそ、澪は快楽に乱れる自分を選んできた。
しかし、思い人に捧げられるはずの彼女の純血は、名前も知らない男に散らされてしまった。全てを捧げようと思っていた刃更に自分の初めてを上げられなくなってしまったこと、そして、そのことで彼を裏切ってしまったことに、澪は叫び上げたくなるほどの哀しみに襲われた。
「うぅ……やぁ……」
主人への裏切り行為による主従契約の催淫の呪いは、クローディアの上書きで発動はしなかったが、それは決して幸いとは言えなかった。
次々と涙が溢れ出てきては、彼女の頬を濡らした。
「泣いてやがんのか? そんなに男のチンポがほしかったか!」
「っ……!」
澪はとっさに両手で顔を覆い、男に泣き顔を見られないようにした。これ以上、男に何かを奪われるのを避けたかったのだ。
澪と男の結合部には、ツウと一筋の紅が流れた。そのことにすら、男は気づいていないようだった。
「きついな、いいぞ、気持ちいぞ!」
男は澪の泣き顔に気をよくしたのか、腰を激しく動かし始めた。
ズブゥ、ジュプッ、ズプ……ジュププッ
――いや……なのにっ……痛いのに……どうして!
クローディアの催淫により、澪の女性器は準備万端とばかりに濡れていた。そのため、男の肉棒を突き入れられすぐでもその滑りは悪くなかった。そのことが、さらに澪の心をかき乱した。まるで、自分で男を受け入れているように思えて、さらに涙が流れた。
初めこそ色々言っていた男だったが、すぐに理性は吹き飛んだようで、澪の様子を確認することすらなく己の欲望をぶつけていた。
「ああぁ、ん、いや……はぁ、あっ、うぐっ」
ボチュッ、ズチゥッ、ズプ、ブチュッ
湿った抽送音とともに、肌と肌がぶつかる獣の音が小屋に鳴り響いた。
まだ男を知らなかった澪の膣内を、肉棒は容赦なく押し広げた。破瓜の血を散らし、澪の蜜液を潤滑油とし中をかき回した。次第に男の肉棒に慣れ始めたのか、澪の性器は痛みによる硬直が解け、しっくりと馴染みだす。
ジュクッ……
――う、そ……
澪は気づいてしまった。自分の中の明らかな快感に。呪いの効果だけでは説明が付かない、強引に行われているセックスによる快感に。
――いや、どうして、無理矢理なのに、こんなに気持ちいの?
「ふあ、んあ、あ、いあ、あん、はあぁっ!」
ズプッ、ズプゥ、ボジュゥ、ズチッ……ジュプ
ポタリ、と床に泡だった透明な蜜が落ちた。澪の愛液と男のカウパー液が掻き混ざり、ブレンドされて結合部から溢れ出したのだ。
男根が澪の奥深くまで突き入れられるたび、膣からトロトロの蜜が弾け、淫裂の上に生える、彼女の髪と同じ色の茂みまで濡らした。
澪はただ泣いていた。嫌で嫌で嫌悪感しか湧いてこず、悔しく哀しかった。
それなのに、嫌なはずのその行為の中に、どうしても快感を見出してしまう。そんな自分の躰も嫌で嫌で仕方が無かった。
ふと、自分の中で動く肉棒が、一層熱を帯び始め膨らんだ感覚があった。
――この感覚……まさか。
澪は知っている。数え切れないほど、刃更のそれで見た経験があったからだ。それは――
「さあ、出すぞ、中に、膣内に出すぞ!」
――射精!
「っ……いや、それだけは、それだけは許して! いや、いやだぁ!中は、中にだけは出さないで! それをされたら……本当に刃更の元に帰れなくなる! だかやめて! 刃更にぃ、それは刃更に―――」
ほとんど残されていない体力を振り絞り、必死に叫び、暴れ回った。しかし、男の腕力にかなうはずもなく、澪の声は男の怒号にかき消された。
「うるせえ! ここまでやったんだ、最後までやらせろ、この淫乱女!」
男は黙らせるために澪の唇を奪った。
あまりに唐突のことで、顔をそらすこともできなかった。
――うそ……キスまでするの⁉
男は澪の舌を絡め取り吸い付いた。そして、自分を味あわせるかのように、唾液を澪の口内へと送った。
男の肉棒がさらに膨らむのが分かった。それにさらに戦慄する。
「む、むうぅっ、んっ、い、いやあぁ、抜いてぇぇぇ!」
割れんばかりの叫び声。しかし、男はかまわず澪の躰に腕や足を絡めて抱き付いた。そうして全身を、挿入部を、更に密着させた。
「うおおぉぉ! 出すぞ出すぞ!」
「いや、いやああぁ、外に、外に出し――――」
びゅるるう、びゅるっ、ドク、ドクドク、ぶちゅっ
男は澪の華奢な躰を折れんばかりに抱きしめ、澪彼女の膣内に己の精を吐き出した。その拍子に澪も絶頂し、頭が真っ白になった。
ドロドロでゼリー状の精液は澪の体内にその熱を伝えながらじわじわと広がり、快感から降りてきていた子宮がそれを迎えた。数億の精子が、澪の胎内を泳ぎ回る。
ぶぴゅっ…………びゅぐ、ビュググ
これでもかと精液は澪の中を汚した。
「お、おうぅ……出る、まだまだ出る……」
それほど長い時間ではなかったが、澪にとって中出しされた時間は、永遠に感じるほど長いものだった。
「あぁ…………出されちゃった……熱い精液、中に出されちゃったよぉ……ごめん――――刃更ぁ……」
うわごとのように漏れた声は掠れ、男には届かなかっただろう。
口をパクパクされる澪を見て、自分の技で彼女をよがらせたと思ったのだろう。男は澪の顎を引き寄せ、自信満々に言った。
「安心しろ、これで終わりにするほど、俺は衰えちゃいねえよ」
「え……?」
その言葉の意味を澪は分からなかった。いや、分かりたくなかった。
男は肉棒を抜くことなく、再び腰の抽送を開始した。
「い、いや、もうやめてっ、これ以上はぁ!」
「俺のチンポを刻み込んでやるぜ! そら、喜べぇ!」
まだ男の肉棒は衰えることを知らず、その欲望を満たすために膨らむ。よほどたまっていたのか、二度目は想像以上に早く訪れた。
「やば、もう出そうだ! 男の精液絞り出すためだけみたいなエロい躰しやがって! おら、また出してやるぞ!」
「あ、あっ、はあん、いや、うぅ、い、いやあぁぁぁ!」
ぶびゅるる、ビューッ、ドクドク、びゅぐん
「あぁぁぁっ……はっ、はっ……また、膣内、にぃ、ん――――あ、あああぁあぁ!」
強引に膣壁をかき回されたためか、射精の直後に澪も絶頂を迎えた。
背筋がビクンビクンと跳ね返り、視界に快楽の火花がはじけた。
「んあ……あ、はっ……か、はっ……あがっ……」
澪はもうすでに抵抗する気力も泣き叫ぶ体力も失っていた。
それからはもう、山小屋は動物小屋へと化した。
男の咆哮、澪の嬌声。甲高い肌の衝突音。それらが絶え間なく鳴り響いた。
男は同じ体位に飽きたのか、後ろから腕を掴み膣内へ射精したり、澪の口の中に精を吐き出したり、あらゆる方法で澪を蹂躙した。
すぐに澪の弱点が胸であることにも気付き、執拗に攻め立てた。その度澪は、射精の感覚と共に声を上げ絶頂した。
男は山男であったため、体力は人一倍にあった。そのため、彼は澪を自分の体力が続く限り犯した。それは、朝日だった太陽が高く上り、やがて空が橙色になるまで続いた。
澪は、もう喘ぎ声一つ上げることもできなくなった。
途中から思考することをやめてただ男に従っていた。もう、考えることが嫌だったのだ。
強いて何を考えていたかを上げるとすれば、「良かった……今日は安全な日だった」ということだった。それは決して安堵ではなく、諦めに近いものだった。
ついには男も疲れ果てて、澪とつながったまま眠りこけていた。そのときには澪も気絶していた。もし男より先に目を覚ましていたとしても、逃げ切るだけの体力は無かっただろうが。
澪の性器からは入りきらなくなった精液が溢れドロドロと床に垂れていた。真っ赤だった彼女の綺麗な髪は白濁液に塗れて見る影もなかった。
そこにいたのは、前魔王の第一皇女成瀬澪ではなく、レイプにより惨めにも処女を失った、ただの女子高生成瀬澪だった。瞳からは止めどなく涙が、口からは男の精子が溢れていた。
こうして、澪の運命は本来あるはずの所から大きく外れ、歪になっていく。