※この作品はR-18です。

新妹魔王の淫らな転落   作:戸隠ヒガラ

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悪夢に気づかないゼストは、澪の捜索のため魔界へと赴く。
そこで、ある人物と出会うことになる。
これは、ゼストの転落の物語。


Ⅱ 穴の開いた記憶と…… ※挿絵

 同日の夜、魔界から刃更のもとに映像通信が入った。リビングに大きく出現した映像には、万理亜の姉であるルキアが映し出された。

 

『話は万理亜から聞きました。澪様が失踪したというのは本当ですか?』

 

 いつも厳しい表情の彼女だが、眉間のしわは一層深く刻まれていた。

 

「あぁ、契約魔法でも居場所が特定できないんです」

 

『そうですか……』

 

 ゼストはルキアの様子が少しおかしいことに気づいた。刃更も同じことを思ったようで、何かあったのかとルキアに尋ねた。

 話によれば、魔界のあちこちで武器や魔晶石が大量に盗まれているらしい。もしこれらが同一犯または同一グループの仕業なら、小さな町一つくらいなら簡単に攻め落とせるだけの戦力になるらしい。

 刃更が尋ねた。

 

「犯人の目的は何か分かっているんですか?」

 

『いや、一体どういう一派なのかも不明です。現状で現魔王派と穏健派の抗争は落ち着いていますが、もしことが公になればそれも分かりません』

 

「っ……そんな」

 

 現魔王派とは、現在魔王の位に座すレオハルトを中心とした派閥だ。対して、前魔王ウィルベルトが没した後、彼の血筋を王へと推挙しようとしていたのが穏健派。ルキアは穏健派を束ねるラムサスに仕えている。

 

 その二つの派閥は現在、刃更たちの働きにより停戦状態にある。

 

 その中で、武力を強化する勢力が現れたとなれば、到底看過できるものではない。仮にどちらかの派閥が秘密裏に動いているとなれば、下手すれば停戦が崩れかねない事態に陥る。

 

 しかし、これが別の第三勢力によるものならば、戦争の新たな火種になりかねない。それは、日常を願う刃更たちにとって憂慮すべきことだ。

 

「刃更様、もしかしたら澪様は、その勢力にさらわれてしまったのではないでしょうか。おそらく目的は、彼女の魔力……」

 

 万理亜が発言をした。

 

「そうだとしても、彼女がそいつらのために魔力を使うとは限らない。ゾルギアのように魔力を抽出する方法でも持っていない限り、澪をさらうことはリスクにしかならないはずだ」

 

 現状では魔界で起きている事件と澪の失踪が関連していると断言することは全くできない。

 

『しかし、澪様だけを狙った事を考えると、やはり魔族の仕業と考えるのが妥当ではないでしょうか。もしそちらが魔界に来るというのなら、急いでこちらから迎えを差し上げます。もちろん、澪様が魔界にいるという確証もございませんから、その場合はそちらは二手に分かれるべきだと考えます』

 

「それは……」

 

 ルキアの提案に刃更は渋っているようだった。澪は彼がいないときに失踪している。だから、できることなら彼女たちから目を離したくないのだろう。

 

「刃更、私と胡桃は里に連絡を取ってみる。もしかしたら向こうにも何か動きがあるかもしれない。だから、残るとしたら私たち二人だと思う」

 

 柚希がそう提案した。胡桃もそれに同意する。

 

「確かにそれが良いと思うよ、刃更兄ちゃん。私たちはずっと二人で行動するようにするし、まさか向こうも勇者の里まで相手取ろうとは考えないはず」

 

「……分かった。確かに効率的に澪を探すなら、こっちと魔界で分かれた方がいいだろうな。でも、柚希、胡桃、無茶はするな」

 

「分かったわ」

 

 柚希と胡桃が力強く頷く。

 

「では、刃更様と万理亜様、そして私は魔界へ赴き、澪様の手がかりを探すということでよろしいのですね」

 

「あぁ、仮に魔界の事件ともつながっているなら、どちらにせよ魔界に行く必要あるだろう」

 

『話はまとまったようですね』

 

 こうして刃更一行は二手に分かれることになった、魔界に行く刃更、万理亜、ゼストチーム。こちら側に残って里とコンタクトを取る柚希、胡桃チーム。

 

 ――柚希様も胡桃様も、きっと刃更様と一緒に行動したいはず。でも、そうするのが最善だと考えて自分からそう提案した。私も皆様を見習わなくては……澪様のために、そして、刃更様のためにも……。

 

 変なところで刃更に時間を取らせてしまったことを反省し、ゼストは気を引き締め事に臨むことにした。

 

 この展開になることを望んだ者がいることを、誰も気づかない。

 

 夜明け近くに魔界からの使者が来て、ゼストは刃更と万理亜とともに魔界へと移動した。

 

 

 ~1月28日~

 

 

 魔界ウィルダート城内、その一室に、ルキア、刃更、万理亜、そしてゼストがいた。

 

「俺達はすぐに澪を探そうと思っています」

 

 銀髪にアーモンド形の瞳のルキアが眉をひそめた。

 

「しかし、これといった目星が付いているわけではないのではないですか? こちらでも私の指示で人員を総動員して澪様の捜索を行っています。刃更殿には武器盗難の事件のほうを当たってはもらえないでしょうか?」

 

 怪訝な目をする刃更。

 

「無作為に探し回っても時間の無駄でしょう。それならば、確証はないとはいえ関連がある可能性がある武器盗難事件の捜査をした方が、まだ建設的ではないですか? もちろん、同時に澪様を捜索をしてもらえるとこちらとしてもありがたいですが」

 

 さすが穏健派頭首ラムサスに仕える辣腕秘書と言ったところだった。彼女は常に先を見て合理的な方法を選択している。

 

「分かりました。しかし、澪の手がかりが見つかり次第、俺達はその武器盗難事件はそっちのけで澪の方に行きます。それでもよろしいですか」

 

「かまいません」

 

 万理亜とルキアの母シェーラと、澪の伯父であるラムサスは現魔王レオハルトのもとに別件に行っているため、城内にはいないらしい。それが一週間前のことであるため、まだ澪が失踪したことは知らないという。

 

「では、すぐに調査に向かってもらえますか?」

 

「分かりました」

 

 ――澪様……すぐに見つけ出します。

 

 ゼストは心の中でそう強く決意した。

 

 突然、思い出したようにルキアが言った。

 

「少しお待ちください。私からあなたたちの補佐をする人員をあてがおうと考えていたのでした。入りなさい」

 

 彼女の声に応えて、一人の女が部屋に入ってきた。褐色の肌に深紫色の長髪、法衣に身を包んでいる。

 

「彼女はクローディア。私と同じサキュバスで、最近私の部下になったばかりですが、信頼出来る方です。今向かってもらう町の地理に詳しいようなので、色々と頼りにすると良いでしょう」

 

「初めてまして、クローディアです。お力になれるよう尽力いたします」

 

 恭しく彼女は頭を下げた。

 

 ――あれ、この方どこかで………。

 

 ゼストは頭の片隅に何か引っかかる気がした。しかし、記憶に霧がかかったように思い出せなかった。

 

「先の大決闘前まで地方にいたのですが、とてもありがたいことにルキア様にお声をかけていただき、このウィルダート城に置かせてもらっております」

 

 とても丁寧な人だが、目つきがまるで爬虫類のようだとゼストは思った。

 

 ――いや……初対面か。少し視線が鋭いが、悪い方ではないようだ。

 

「よろしくお願いします、クローディアさん」

 

 刃更も彼女に丁寧に接した。クローディアは再び、頭を深く下げた。

 

 ルキアが示した場所は、治安が悪いムーバーというかなり大きい町であった。そのため、やたらと暴力沙汰に巻き込まれた、まともな調査が進まないうちにその日は終わってしまった。

 ウィルダートとはそこまで離れていないが、クローディアの提案により、朝から捜査を再開するつもりでムーバーの宿に泊まることになった。治安を気にしたため一番高いホテルに泊まったが、貧困街であるためグレードはそこまで良いとは思えなかった。

 

 部屋は一人一部屋を借りた。

 

「お休み、万理亜、ゼスト。お疲れ様でした、クローディアさん」

 

 そう言って刃更は自室にこもってしまった。彼は一日、暗い表情のままだった。

 

 ――早く澪様を見つけなければ……刃更様があんな顔するのを……見てられない。

 

 ゼストは澪の心配でずっともやもやしていたが、ベッドに入るとあっという間に睡魔に飲まれてしまった。

 

 ――あれ……そんなに……疲れてた、かな――――

 

 ゆっくりとゼストは、まぶたを閉じた。

 

 

 深い眠りに落ちていく。そしてさらに、堕ちていく。

 

 

 ***

 

 

 気づけばゼストは、夜のムーバーの町を一人で歩いていた。

 

 ――あれ……どうして私……。

 

 こんなに夜遅くまで、一人で武器盗難事件の捜査をしていたのだろうか。服はなぜかメイド服を着ていた。

 

 ――早く帰らないと、刃更様に心配をかけてしまう。一人で行動しないことを原則としてたのに……これじゃ……。

 

 一瞬彼に対する罪悪感が生まれそうになったため、ゼストは必死に頭を空にする。ここで主従契約の催淫が発動してしまえば大変なことになる。

 

「ゼスト、こんなところで会うなんて奇遇じゃないか」

 

 後ろから声をかけられ、振り向くと白い肌に金髪の男が立っていた。

 

 ――どこかで見たことが……でも、どこで。

 

「おいおい、忘れちまったか? あぁ、そう言えばあのときの記憶は俺が封じてるんだった。ほんじゃこれで――――」

 

 男が指をパチンと鳴らした。

 

 その途端、ゼストの脳裏にある記憶がフラッシュバックした。

 

 ――う、そ……こんな……。

 

 

 ゼストに戻ってきた記憶は、刃更の部屋で目の前の男クラレンスに犯され、孕まされたという内容だった。

 

 

 とっさに下腹部を押さえた。ここに刃更以外の男の精液が入り、精子が卵子と出会ってしまった。

 

「まぁ、昨日の話だから、ちゃんと着床するか分からないけどな」

 

「っ…………そんな……」

 

 もちろん、それはあくまで夢の中の出来事だった。しかし、あの一瞬だけは、ゼストは夢の世界であることを忘れていた。ゼストはその部分の記憶だけを切り取られ、思い出させられたのだ。

 

 だからゼストは、全ては夢想のことであることも、クラレンスが夢を操るインキュバスであることも思い出せていない。そして、現在も夢の中であるという考えにも至らない。

 ただ、自分が刃更の部屋で犯されたことだけが事実として脳裏に浮かんでいた。

 

 ――こんな私……もう刃更様のもとに戻れない……それならいっそ……。

 

 ゼストの震える手が、自分の首へと向かう。

 

「おっと、ショックで自殺しないでもらいたいね」

 

 いつの間にかゼストの背後に回っていたクラレンスに、彼女の両腕は取り押さえられてしまった。

 

「くっ……お前が……よくも……」

 

「待てって。このままあんたが死ねば、あの小僧は思うだろうな。自分だけに仕えていたはずの女が、他の男の子供を孕んで死んだ。ああ、なんてひどい女だ――そういう思いだけが、彼の中に一生残る」

 

「…………それは」

 

「そして、今この事実を知っているのは俺だけ。お前が隠そうとも、俺があの小僧に教えてやる」

 

「や、止めてくれ!」

 

 すでに刃更のもとに帰れないとしても、彼に自分が他の男の子供を妊娠したことを知られるのは嫌だった。

 

「あんたの躰を俺に差し出せ」

 

「っ……そんなことできるはずないだろう!」

 

「それならあの小僧にこのことを知られることになる」

 

「…………!」

 

 しかし、ゼストには主従契約魔法の制約があった。だから、ここでクラレンスに従うことを宣言してしまえば、すぐに主従契約魔法により呪い殺されてしまう。

 もちろん現在は夢の中なので催淫の呪いは発動しないが、ゼストには分からない。そのため――

 

「大丈夫だ、俺の魔法で契約の呪いを発動させないようにできる。実際、俺に孕まされたってのにお前には、主人を裏切った呪いが出てねえだろう?」

 

 という、クラレンスの虚言にも、ゼストは説得力を見いだしてしまった。

 

「あんたさえ俺のものになれば、小僧も傷つかずにすむ、あんたも呪いで死なずにすむ、黙ってさえいれば日常に戻してやる、ってこと。どう? 考える余地なんて無いんじゃね?」

 

 ゼストの中では多くの感情が渦巻いていた。そのほとんどが刃更に対する罪悪感によるものだった。しかし、また日常に戻れるというクラレンスの言葉に、ゼストは揺らいでしまった。

 

 ――申し訳ありません、刃更様。

 

 

「………………………………分かった」

 

 

 ゼストはかすれそうな声でそう答えた。

 

「しかし、私の心はいつでも刃更様のものだ。私が貴様にやれるのは、躰だけだ」

 

 ニヤリとクラレンスは笑った。

 

「いい子だ。それじゃ早速だが、これをつけてもらう」

 

 そう言って彼女の目の前に差し出したのは、小さな金属のリングだった。

 

「これは……」

 

「クリトリス・ピアッシング。まぁ、陰核にブッ指すピアスだ。躰は俺のものになったんだ。その証拠をここで示してもらう」

 

「っ……そんなことしたら、刃更様に……気づかれて」

 

「情事を始める前に取ればいいだろう? てか何だ? 俺に逆らうのか?」

 

 クラレンスは声を低めた。

 

「わ、分かった、つければ、良いのだろう?」

 

「パンツを脱いでスカートを上げろ」

 

 ――ここでか⁉

 

 しかし、抵抗してもそれをきいてくれる雰囲気ではなかった。ゼストは素直に、ショーツだけを脱いでスカートをたくし上げた。スカートを持つ手はどうしても震えた。

 

 ゼストの陰部があらわになる。髪と同じ純白の控えめな陰毛、その下にはまだ使い込まれていないためか、口を閉じた外陰部があった。

 ゼストは顔が真っ赤になっていた。耳まで火照り、唇をかみしめた。

 

 ――刃更様以外に……また……。

 

「クリトリスが見えにくい。広げろ」

 

「うぅ……」

 

 

 ――――くにゅぅ

 

 

 指で淫肉を左右に押し広げた。それにより、皮を被った蕾がはっきり分かるようになった。

 

「ちっと痛いが、すぐ慣れんだろ」

 

 クラレンスがクリトリスの横に指を触れた。

 

 

 

 ――ピッ

 

 

「っ――――ひっギイイイィィィィィイ!」

 

 

 プシャッ、プシャァァ…………

 

 

 クラレンスの風魔法により、ゼストの陰核に穴が開けられたのだ。そのあまりにも激しすぎる痛みに、ゼストはたまらず失禁してしまった。敏感な部分への穴の貫通は、処女喪失の何倍も痛みがあった。

 

「かっ、はっ……あ、あぁ……」

 

 ――あそこが……痺れて……感覚がぁ……。

 

 

【挿絵表示】

 

 

 カチャッ

 

 ゼストの陰核に開いた穴、そこにピアスがつけられた。

 

「終わったぜ。気持ちいいか?」

 

「くっ……うぅ、そ、そんなわけない……」

 

 クラレンスをにらみ付けながら、ゼストは急いでショーツを履こうとした。その彼女の腕をクラレンスは掴んだ。

 

「命令だ――――

 

 

 俺が許可するまで、下は履くな。それからピアスも外すな。

 

 

 まぁ、小僧と営むときは外して良いが、それ以外は日常的につけていろ、いいな?」

 

 ゼストには、それに首を縦に振るしかなかった。

 

「っ…………はい」

 

 ――くそ……このような男にいいようにされて……。

 

 まだ痛むクリトリスとピアスの違和感が拭えないまま、ゼストはスカートから手を離した。

 

「見た目はメイド、だけどノーパンでクリにピアス。いい感じにビッチだ」

 

「お前がさせたんだろ! こんなこと……」

 

「しかも腹には子が宿っている。笑いがこみ上げてくらぁ」

 

「ま、まだ妊娠してはいない! お前の子供など……」

 

 クラレンスは正面からゼストの耳に触れた。

 その瞬間、彼女の脳裏にある記憶が蘇った。それは、クラレンスに組み敷かれたうえ、生理を早められて卵子を蹂躙された記憶。子宮に精液がじわじわと広がる感覚が、鮮明に脳裏に走った。

 

「う……この記憶は……」

 

 

 ――ジュクッ……

 

 

 クラレンスが突然、ゼストのスカートをたくし上げた。

 その中にあったゼストの陰部は、わずかに濡れ始めていた。

 

「思い出しただけで濡らしちゃったか? 躰は正直だな」

 

「そ、そんなはず……ない!」

 

 

 ――ピチャッ……

 

 

 一滴のしずくが、石畳の床に広がったゼスト自身の尿溜まりの中に落ちた。

 

「っ…………これは、その……」

 

 言葉が出てこない。否定したいのに躰が証明してしまっていた。あのときを思い出して、感じてしまったことを。

 

「まぁ、そういうことにしてやっても俺はかまわねえよ? さて、あんたには一つお使いをしてもらおうか。なに、簡単なことだ」

 

 クラレンスは口角をいやらしく上げた。

 

 ***

 

 ゼストは飲み屋街を歩いていた。薄明るい光が漏れる店が転々とし、ごろつきと酔っ払いが行き交っている。

 

 その中で、明らかにゼストは浮いた存在だった。褐色の肌に白い髪、人目を引く女性的なボディラインに極めつけにメイド服。すれ違う男たちは、嫌らしい顔つきでゼストをなめ回すように眺めている。

 

 ――視線が痛い……どうして私がこんなこと……早く刃更様のおられる宿に戻りたい……。

 

 クラレンスはゼストに酒を買ってくるように言った。

 

 

『町の外れにある酒屋でしか取り扱ってない希少なやつなんだ。それを買ってきてくれよ』

 

 

 こんなことをしておいて頼むことが酒を買わせることというのが、全く意味が分からない。

 

 ――ジュクッ……

 

 ゼストは、スカートの下の無防備な陰部が濡れていることが分かった。

 

 ――さっきの記憶の所為で、熱が少し残ってしまっている……忌まわしい……。

 

 歩きながら彼女はハラハラしていた。もしかして、自分が下着を着けていないことがばれてはいないだろうか。もちろん、端から見て分かることではない。平静を装えば大丈夫なはずだ。それでも、奇妙な感覚が下腹部に居座り続けた。

 

 深呼吸をして、ゼストは足を速めた。

 三十分ほどかけて目的の酒屋にたどり着き、言われた銘柄の酒も何事もなく買えた。大してアルコール度数も高くなく、決して高価というわけでもなかった。ただ単純に、珍しいということだけらしい。

 

 ――どうしてこんなものを私に……。

 

 酒屋を出たところで、目の前に二人の男が立ち塞がった。

 

「っ…………あなたたちは……」

 

 ゼストはその顔に見覚えがあった。

 刃更たちがゾルギアとの戦いを終えて魔界に訪れた際、ゼストは彼らと一緒にウィルダートの街を出歩いたことがあった。その時ゼストが一人でいると、複数の男から声をかけられ、暴行されそうになったのだ。

 その当時ゼストは「色欲」を司るゾルギアの元従者ということで、一部の魔族から蔑みを持った目を向けられた。あのゾルギアの従者なら、性に乱れているに違いないという理由で。

 

 刃更に助けられて何事もなくその時はすんだが、現在ゼストの前にいる男二人は、その時に彼女を暴行しようとした集団の中にいた男だった。

 

「久しぶりだな。どうしたんだこんな街に。もしかして、こうして男に話しかけられるのを待ってたとか?」

 

 嫌らしい目つきでゼストを眺める二人。舌でペロリと唇をなめた。

 

「すみません、私は今急いでおりますので失礼します」

 

 急いで男達から離れようとしたが、腕を掴まれてしまった。

 

「っ…………何か?」

 

「そんなつれないこと言ってんじゃねえよ。相手してくれよ。どうせ慣れてんだろう?」

 

「『相手』じゃなくて『性処理』だろ、この女の場合」

 

「ちげぇねえ」

 

 二人で大笑いする男達。

 

「……離せ」

 

「あぁ……?」

 

「離せと言っている。私は刃更様に仕える者だ。あなたたちのように下賤な者の相手などしない」

 

「へぇ~言ってくれんじゃん。前の主がいなくなったら、今度は新しい主に腰を振るってか? あの小僧のちんぽより俺達の方がいいと思うけどな?」

 

「っ……刃更様を馬鹿にすると――――」

 

 視界の端に、いつのまにかクラレンスが立っていた。

 一瞬で背筋が冷える。どうしてここにいる?

 彼は声に出さず、しかしはっきりと言った。ゼストにはなぜかその言葉が聞き取れた。

 

 

「そいつらの相手をしろ。分かってんな?」

 

 

 ――なん……だと……。

 

 そんなことができるはずがない。ゼストは叫び出したくなった。しかし、クラレンスに逆らえば、もう二度と刃更のもとに帰ることはできなくなる。

 

 ――刃更様……刃更様……。

 

 しかし、その声が彼に届くはずがない。もちろん、あの時の様に颯爽と助けに来てくれることもない。

 フッとクラレンスの姿は消えていた。

 

「………………人気が無い場所でなら……相手をしよう」

 

「っ……そう来なくちゃ」

 

「最初からそうしていれば良いんだよ」

 

 男の一人がゼストの肩に腕を回してきた。唐突のことでビクリと躰を震わせてしまった彼女に追い討ちをかけるように、もう一人の男は彼女の尻を撫で上げた。

 

「っ…………!」

 

 すぐにでも逃げ出したい衝動にかられたが、結果として左右を挟まれてしまってそれはかなわなかった。男二人に導かれるようにゼストは路地裏へと向かった。

 暗闇が広がる路地裏、その奥へ一歩踏み込んだ途端、一人の男がゼストの顎を引き寄せ唇を奪った。

 

「っ――ん、むっ……ん」

 

 抵抗もむなしく、男の舌はゼストの唇の間に侵入してきた。唾液が流しこまれ、舌を吸われた。

 

 ――いやっ……酒臭い……うぅ、刃更様以外とキスなんて……。

 

「おい、この女、パンツ履いてねえぞ」

 

「!」

 

 もう一人の男がゼストのスカートをまくり上げていた。

 

「い、いやぁ! み、見るな!」

 

「しかもクリトリスにピアス付けてんぞ! 想像以上にビッチだぜ」

 

「だ、だめ……」

 

 脚を閉じようとするが、押さえられてそれができない。

 男の指がゼストの淫裂に触れた。

 

「何だ? もう濡れてるじゃねえか。俺達とすることを想像して濡らしてたのか? それとも露出して興奮してたのか?」

 

「どっちにしろ変態だな」

 

「ち、ちが……」

 

 キスをしていた男がゼストの後ろに回っていた。

 

「待たせて悪かったな、すぐ入れてやるよ」

 

 

 ――――ズブッ

 

 

「かっ……」

 

 ゼストの腰を押さえると、男は自身の肉棒を後ろから彼女の淫裂へと突き入れた。

 

「うおっ、きっつ……」

 

 ――いや、また刃更様以外のものが、私の中に……。

 

「こっちも相手しろよ」

 

 もう一人の男がゼストの頭を掴むと、自分の腰元へと引き寄せた。

 

「もがっ……」

 

 口の中に肉棒が突き入れられた。

 

「ちんぽの串刺しだ。どうだ、いいだろ?」

 

 二人ともゼストを貫いたまま抽送を開始した。

 

 

 ジュプッ、じゅぼ……ズチッ、

 

 

 膣内を圧迫する感覚と、息苦しい喉の感覚。その両方がゼストを蹂躙した。さらに、クリトリスの痛みが行為により増幅され、ひどくじんじんした。

 

 ――いつも以上に陰核の感覚がはっきりと伝わってくる……。それが痛い……痛い、はずなのに……。

 

「んぐ、っむ、ん――――はっ」

 

 ――苦しい……。

 

 次第に激しくなっていく律動。それにより息苦しさも増していく。

 

「下手に声を出せば、表歩いてる男どもに気づかれるぜ? そうなれば絶対に人だかりになるぜ。お前の嫌らしい躰を見るために」

 

「っ……い、あ……ふぅ……むう」

 

 

 ジュルッ、ジュポッ……

 

 

 ――それは、ダメ……大ごとになれば、刃更様にばれてしまう……。

 

「お、いいもん持ってんな」

 

 ゼストを後ろから置かしていた男が、ゼストの持っていた酒瓶に気づいた。

 

「飲ませてやろうぜ」

 

「そうだな」

 

 男が膣から肉棒を抜くと、今度はゼストの菊門に栓を開けた酒瓶を突き入れた。

 

 ――何を、して……。

 

 

 ――――ボコッ、ボコボコッ……

 

 

 酒がゼストの直腸へと入っていく。分解されていない大量のアルコールが、どんどん体内に吸収されていった。

 変化はすぐに訪れた。

 

 ――頭が……まっしろ……に……。

 

 下腹部から全身、そして頭が沸騰したように熱くなってくる。思考がまともに働かなくなり、気分がふわふわと高揚していった。

 

「尻から飲むとやばい酔うらしいぜ?」

 

「ほんとだ、もう顔が耳まで真っ赤になってやがる」

 

「は、え……へぁ……あ♥ あぁ……」

 

 ゼストはもうまともに喋ることもできなくなっていた。完全に酩酊状態だった。

 

「それじゃ再開っと」

 

 酒瓶を抜くと、再び膣内へと男は肉棒を突き入れた。

 

「んん……あぁ……はっ、ああぁ……」

 

「おい、言葉を喋れよ」

 

「無理だろ、ははは、おもしれぇこいつ」

 

 ゼストはされるがままだった。もう抵抗することもなく、二本の肉棒に貫かれ続けた。

 

「あっ♥ はっ、な……や♥ あぁ、はがっ……」

 

 だらしなく口を開け、だらんと舌がはみ出る。目はすでに焦点が合っておらず、とろけた表情をしている。

 

「そろそろイクぞ」

 

「あぁ、こっちもだ!」

 

「っ…………んんん!」

 

 男達の肉棒の変化に気づいたのか、ゼストも躰を振るった。それが射精への抵抗なのか、歓喜なのかゼスト自身にも分からない。

 

 腰の勢いがピークに達したとき、後ろの男は、ゼストのピアスが付いたクリトリスを、前の男はゼストの性感帯である両の耳をつまんだ。

 

 

 ――――ビクビクビクッ

 

 

 膣内、口内、耳、クリトリスの4点を同時に責められ、ゼストは勢いよく快楽の頂天へと打ち上げられた。

 

「い――――――――――!」

 

 

 ビュルルルルウゥゥ……ドクッ、ビュクッ

 

 

「らあぁ……あぁ、はぁ……ヒック♥」

 

 膣奥と喉奥に精液が放出され、自分以外の熱を持つ流動物が上下から体内を犯していった。

 

「あ……あぁ……はっ……」

 

「ふう、酔って訳わかんなくなってる女やるのもいいな。おい、前と後ろ交代しようぜ」

 

「よし、どっちが先にダウンするか勝負だ」

 

「ふぁぁ……はっ……あははっ♥ んん………」

 

 その後もゼストは、酔った状態のまま犯され続けた。全身が精液にまみれ、地面に倒れ伏していた。淫裂と口の両方から白濁液がドロドロとあふれ、呼吸をする度下の口からブピッと下品に吹き出した。

 

「っ………………おえっ、がっ……」

 

 倒れたままゼストは嘔吐していた。精液の海に吐瀉物が混じる。

 二人の男は彼女のその様を冷静に見下ろしていた。

 

「…………そろそろ起きる頃か」

 

 ゼストを侵し続けていた男たちは、いつの間にか二人とも同じ顔になっていた。それは、クラレンスだった。

 

「起きた後は覚えちゃいねえだろうが、一応教えておくぜ。俺は記憶の内容の改竄はできねえが、自由に記憶の蓋の開閉、そして思考と行動の連結ができんだ。だから器用に目的の記憶だけを思い出させることができる。実はすでに、お前にある記憶を絶対に忘れられないようにしておいたんだが、ま、体験すれば分かるか。自分で認識できるかは分からないがな」

 

 もう一人のクラレンスが続ける。

 

「思考と行動の連結についてだが、パブロフの犬って知ってっか? 向こうの人間が行った実験らしいが、とある条件反射を全く別の情報と連結させて引き起こすっていう実験だ。あれは外部刺激によるものだが、要はそれに近い。今あんたに、とある感情と行動を連結させた。その感情ってのは主である東城刃更に対する罪悪感。連結させた行動は――まぁそれも実際に体験すれば分かる。つまりは、主従契約魔法が発動する前に、その行動が上書きされて呪いは発動しなくなる。今のうちは大して意味が無いだろうが、そのうち大きな変化になる」

 

 二人のクラレンスは笑った。次第に輪郭が薄れ、一人になっていった。

 

「起きれば世界が一変するだろうな。気づかないだろうが」

 

 

 そして、ゼストは目を覚ます。

 

 

 ~1月29日~

 

 

 朝早くにゼストは目を覚ました。まだ日が出て間もない。

 

 ――何か夢を見ていたような……思い出せない。

 

 ひとまずゼストは身支度を調えた。

 

「あれ……あれがない……」

 

 ゼストは自分の躰のある部分を見てひどく慌てた。

 

 ――おかしい、どこにもない。『物』は机の上にあるのに…………塞がってしまったのか?

 

「まずい……早くつけないと……」

 

 ゼストは机の『ある物』を手に持ち、急いで部屋を出た。

 

「おや、万理亜様、こんな朝早くにどうなさいました?」

 

 廊下では脚のおぼつかない万理亜が歩いていた。

 

「あっ…………ゼストさん……い、いいえ、何でもありません」

 

 なぜか非常に疲れているようだった。本当なら何があったのか問いただすところだったろうが、この時ゼストも焦っていた。

 

 だから気づかなかった。万理亜の衣服が妙に乱れていることや、明らかに全身から異臭を漂わせていることに。

 

「では、私は用事がありますので。朝餉までには戻ります」

 

「あ、はい……」

 

 万理亜は完全に生返事だった。ここで万理亜も平常時なら、ゼストが一体朝早くからどこに行くのか訊いただろう。しかし、彼女にもこのとき余裕がなかったのだ。

 

 ゼストは急いで夜明けすぐの町へ飛び出した。

 昨日捜索中に見つけた町医者のもとへ尋ねた。眠っていた医者をたたき起こし、要件だけを端的に伝え、そして――施術してもらった。

 

 1時間後、小汚い病院からゼストは出てきた。

 

「よし……これで大丈夫だ。刃更様の前でも恥ずかしくない」

 

 

 周囲に誰もいないことを確かめ、ゼストは自分のスカートをまくり上げて、自分の陰部を確かめた。

 

 

 

 そこには、下着が履かれていなかった。

 

 

 そして、クリトリスにはピアスがつけられていた。

 

 

「ピアス穴がないときはどうしようかと焦ったが、これで大丈夫だ。それに、ショーツももういらないだろう」

 

 

 ゼストは、刃更の就寝する宿へと戻っていった。

 

 世界が一変したことに、彼女は気づかない。そして、主従契約魔法が発動したときに一体どのような行動が上書きされたのかも、分かるのはもう少し先になる。

 

 

 本人が気づかないうちに、ゼストは少しずつ普通じゃなくなっていた。




文の大幅な欠落により再投稿いたしました。
再投稿前のものを読んでしまった方々にお詫び申し上げます。
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