それは次第に、後戻りできないものとなり……。
これは、ゼストの転落の物語。
~2月1日~
ゼストが一日の調査を終えてホテルの大浴場で汗を流そうとしたとき、刃更が男湯に入っていくのを見つけた。
――刃更様……。
最近彼の笑顔をゼストは見ていなかった。澪のことが心配で心に余裕がないのだろう。
そのためか、今までは毎日のように刃更と肌を触れあわせていたが、最近ではその行為は全く無くなっていた。
――申し訳ありません、澪様。
これ以上、刃更を見ていることができなかった。失踪している澪に悪いと思いながらも、ゼストは刃更の後を追って男湯に入った。
運良く刃更以外に男がいなかった。彼はすでに浴場に入ったようだった。
ゼストは服を静かに脱いだ。
――あっ…………。
自分のクリトリスに付けられたピアスに気づいた。
「これは取らなければ……」
――あれ……どうしてでしたっけ……なぜか、刃更様にはこれを見られてはいけない気がして……。
しかし、これといった理由が思い浮かばなかった。とりあえずピアスは外し、タオル一枚で浴場へと踏み入れた。
「っ…………ゼスト」
刃更は驚いたようだった。
「お背中をお流ししてもよろしいでしょうか?」
しばらく考え込み、刃更は頷いた。ゼストが自分を心配してくれていることを察したのだろう。
以前自分の胸で刃更の背中を洗ったことがあったが、それをする気にはなれなかった。だから普通にスポンジで彼の背中を洗った。そのことに、刃更は何も言わなかった。
「心配してくれたんだよな? ごめん……俺、余裕がなくって……」
「っ……刃更様」
思わずゼストは、刃更の背中に抱きついていた。
「わ、私がいます!」
「ゼスト……」
広い背中に額を当てた。
「澪様はお強い方です。今もきっとどこかで無事なはずです。それに……刃更様には私がいます。万理亜様もいます。だから……だから」
それ以上は言葉にならなかった。しかし、それだけで刃更は分かってくれたようだった。
「ありがとう、湯船につかろうか」
ゼストは刃更とならんで広い湯船に入った。二人は終始無言だった。
「助かるよ、ゼスト……」
そう言って刃更は、ゼストの手を握った。
――いいえ、私は……刃更様に何もできないのです……。
刃更は澪たちを平等に扱っている。だからこそ、澪がいない今ゼストは自分一人だけで彼の躰を慰めてやることができなかった。それはあまりにも、澪に申し訳ないと思ったのだ。
――澪様に悪い……もし私が刃更様と肌を触れあわせれば、きっと彼も同じ事を考えさせてしまうに違いない。それはあまりにも……申し訳ない……。
ドクン
それは、間違いなく刃更に対する罪悪感だった。
その瞬間、刃更との主従契約魔法が発動――――しなかった。その代わり……。
「あぁ…………」
下腹部にある種の開放感が広がった。それはとても背徳的で、それでいて止めどなかった。
お湯は透明だったが、ゼストの陰部の周囲にだけ、うっすらと黄色い液体が広がった。
それが、クラレンスによる感情と行動の連結だった。
本来ならゼストは、刃更に対する罪悪感を感じると主従契約魔法の催淫を受ける。しかし、その呪いは現在、とある行動により上書きされていた。それが――失禁だ。
頭が真っ白になる。そして、自分が刃更に対して罪悪感を感じていたことも全てかき消える。
ふっとゼストの意識は遠のき、そのまま夢の世界へ消えていった。
***
ゼストはどこかのベッドルームにいた。ベッドの上では、なぜか戦闘服姿だった。
全体的に黒と白を基調としていて、躰のラインがくっきり分かる服だ。胸元は大きく開かれ、その切り込みは陰毛がギリギリ見えない辺りの下腹部まで続いている。そして、下半身にはぴっちりとスパッツが履かれている。
陰部を隠す布の一部がおかしく膨れていた。その下にはクリトリスに付けられたピアスが隠されている。
「ようこそ、ゼスト。俺との愛の巣へ」
「っ……!」
部屋の扉の前には、クラレンスが経っていた。
どうして自分がここにいるのか分からなかった。
彼女の最後の記憶は、ムーバーの町で因縁のあるゴロツキまがいの兵士二人に犯されたところで途絶えていた。
「ここは一体どこですか」
「へえ、意外に落ち着いてるな。んじゃ、ムーバーの町とだけ言っておこうか」
正確にはムーバーの町を作り出しているゼストの夢の中だが、そのことを彼女は知るよしもない。
「私をここに連れてきて、一体何のつもりだ!」
「あんたのこと、本気で堕としにかかろうと思ってな」
「っ…………何を……」
クラレンスの姿がぶれた。そして、一瞬にして彼は四人に分身した。
「これは……」
ズブッ――――
「え……」
クラレンスの一人がいつのまにかゼストの真下に寝そべっていた。そして、服の切り込みが下にずらされてあらわになった淫裂に、男の肉棒が呑み込まれていた。
「そんな……どうやって――――ふあぁっ!」
「上の口はこっちだ」
そう言って別のクラレンスがゼストの頭を掴み、自分の肉棒を彼女の口に突き込んだ。
「あっぷ……じゅぷっ……むっ……」
「こっちも相手しろよ」
残る二人のクラレンスは、そそり立つ男根をそれぞれ彼女に握らせた。
――四人いっぺんになんて……。
膣をかき回す巨根、そのすさまじい勢いに簡単に快感が呼び覚まされる。口には独特の男臭さが広がり、喉が詰まるようだった。
「おい、そんな握り方じゃ全然気持ちよくならねえぞ」
――ドチュッ!
ゼストに言い聞かせるように、下のクラレンスが深く奥を突き上げた。
「はぎゅっ……は、ん……ふぁい……」
ゼストは彼に自身の肉体を捧げることを誓わされているため、逆らうことができない。
――もう……こんなこと嫌なのに……刃更様ぁ……。
しかし、次第に躰の芯には甘美な熱が渦巻いてきていた。まるで、全て受け入れてしまえば楽になれる、と言うように誘惑してくるのだ。
――違う……こんなのただの生理反応だ……私は、刃更様のものっ……。
ボキュッ――――
「んんんんん――――♥」
肉棒はゼストの子宮内に達した。それだけで思考が吹き飛び、嫌らしい声が漏れ出る。
「ふああぁ♥ んちゅ、ふぅっ……むぅ、じゅるる……」
「そろそろ一発目いくぞ」
「っ…………ま、待て……じゅぷっ、はっ、中にはっ……」
「もう俺の子供孕んでんだ。気にするなよ」
「! ち、ちがっ……むううぅ♥」
四人が同時におびただしい量の精を放出した。。
びゅるるるぅっ、ビュグッ、ビューッ、ブチュッ、ドクドクッ……ビュルッ
子宮内を蹂躙する熱、喉を占領する欲望、そして、全身に浴びせられる白泥。
――あぁ……沢山、出されてる……。
「ひうぅ~~~~♥」
ゼストも男達の精を受けて絶頂した。パチパチと視界のあちこちで火花が散り、快感が全身の至る所で爆発した。
「ふあっ……あん……♥ ふぃぁ……はっ……んくっ♥」
雄を誇示する精液の臭いに、気づけばゼストは酔いしれていた。
――おかしい……どうして……この男の精液は、これほどに甘美に感じる……? 嫌なのに……。
スン……スン
意識的にゼストは精液の臭いを嗅いでいた。そして、気づく――
――私は……この臭いを知っている……どこで……。
ゼストの口から肉棒が抜かれた。それにより、ようやくしっかり見える位置にクラレンスのイチモツが来た。
クラレンスは全身病的なまで肌が白かった。男根さえも同色だ。しかし、例外がただ一つあった。
――これは……睾丸……。
竿の下に位置する皮袋だけが、黒い肌をしていた。白い肌との境界線もくっきりある。それはまるで、無理矢理縫い合わせたような境界線だった。
「俺の子供、ねぇ……ははっ、笑える」
クラレンスは大して面白くなさそうに笑った。
「さぁ、俺が徹底的に堕としてやるよ」
ゼストの調教夢が始まった。ただひたすら、クラレンスという男に侵され続ける淫夢だ。
最終的に、その夢は一ヶ月続く。
~3月4日~
ムーバーの町のとある古い病院、その診察室に二つの人影があった。
壁や天井の塗装は剥がれてかなり年季の入った建物だが、なぜか診察ベッドのシーツだけは真新しかった。そのベッドの上に、ほぼ全裸状態のゼストが腰掛けている。
クリーム色の膝上まであるストッキングに、黒い革の手袋のみで、そのほかには下着すら身につけていない。そして、彼女の胴部にはぐるりと一周して包帯が巻かれていた。
「先生……いつまでそうしているのですか?」
ゼストの目の前には、彼女の躰を診察椅子に座りまじまじ見ている男がいた。男はこの病院を一人で経営している医者だ。
「いや~それは見てしまうよ。そんな躰を目の前にさらされているんだからね」
「別に私の躰を見ることなど初めてではないでしょう? 全裸という訳ではないのだし」
「ま、まぁ……全裸ではないが……」
ゼストのクリトリスと両乳首には、リング状のピアスが二つずつ付けられていた。
全裸ではないが隠すべきところが全く隠されていない格好に、明らかに目を引くピアスの数々。おかしなところしかないのに、ゼストはそのことに何の違和感も持っていない。
「一ヶ月前に朝にたたき起こされたときは迷惑な患者だと思ったものだがね、こうも何度もピアス穴を開けに来て、それにそんな良い躰を見せてくれるなんて、こんな貧相な町で医者をやっていて初めて良かったと思えるよ」
「何度も言ったでしょう。医療行為以外で私に触れれば、すぐに殺しますと。私の主は、東城刃更様ただお一人です」
相手を射殺さんばかりにゼストは医者をにらみ付けた。しかし、その格好はほぼ全裸にピアスだ。
「そんな目をしないでくれよ。医療行為としてもゼストちゃんに触れられなくなってしまうよ」
「っ……それはすまない。触れてもらって結構」
そう言ってゼストは立ち上がった。
医者は彼女の腰に手を回し、包帯をほどき始めた。シュルシュルと布がすれる音だけが診察室内に響く。
「よし、化膿もしていない。座って良いよ」
ゼストの下腹部、ちょうど臍の下のあたりに、入れ墨が彫られていた。その形はまるで、子宮の断面図のようだった。丸みを帯びた逆三角形、左右の二頂点からそれぞれ卵管と卵巣が描かれ、下の頂点部分は少し間隔が開いている。
「それにしても、どうしてこんなのを掘ろうと思ったんだい?」
「っ……それは……」
ゼストは答えられなかった。どうしても掘らないといけないような気がしたのだ。そうしなければ無性に落ち着かなかったのだ。
「まぁ、いいさ。でも、これはお前の主人には秘密なんだろう?」
「あぁ、刃更様には知られてはいけない」
それが当然のことであるようにゼストは首肯した。
「それってつまり、主人を裏切っていることになるんじゃないのかな?」
「そ、そんなことは……」
医者が決定的な一言を放った。いやらしく口角を上げてゼストを見た。
男はこの一ヶ月のゼストとのやりとりで知っているのだ。この手の発言を彼女にすれば、一体どのような事が起きるのかを。
「そのピアスや入れ墨はゼストちゃんの独断なんだろう? 理由は知らないけど、でもそれを主人に隠すことは、やっぱりいけないことだと思うけどな?」
――ドクン
ゼストの中に、ある感情が生まれた。普段はなぜか考えが及ばないが、こうして自分が行っていることを他人から指摘されれば、どうしても考えざるを得ない。
それは、刃更に対する罪悪感。
――確かに……どうして私はこんなことを……。
ショワアァ………………
ゼストが座っているベッド、そこに黄色いシミがじわじわと広がった。
「あうっ……んん……」
その瞬間、ゼストの頭は真っ白になる。それまで脳内で考えていた内容も全て吹き飛び、失禁による開放感だけに埋め尽くされる。
「ふふふっ……またおもらししたね。これで拭きな」
医者は呆けるゼストに新しい布を手渡した。ゼストは辛うじてそれを受け取ると、自分の秘部に付いた尿を拭いた。
「ごめんごめん、意地悪したね。さぁ、ご主人様の元に戻ると良い。抜け出しているのだろう?」
「は…………はい」
ゼストはその姿の上からメイド服一枚だけを着て、ふらふらする足取りで病院を後にした。
ゼストはクラレンスの感情と行動の連結により、刃更に対する罪悪感を感じると主従契約魔法の催淫の呪いの代わりに失禁をするようになっている。
医者はたまたまそのことに気づき、彼女が病院に来る度に、彼女にわざと罪悪感を感じる言葉を浴びせて失禁させていた。
「あぁ、あんな美人の放尿が見られるなんて最高だ……」
医者はゼストの尿が染み込んだベッドシーツを引き剥がすと、それを自分の鼻へと持って行った。
「妻はこんなことさせてくれなかったからなぁ」
医者は妻のことを考える。どうして逃げ出したのだろうと。
***
「それじゃ、計画通り行きましょう」
クローディアが声を潜めて言った。
場所はムーバーの外れ。そこにはかなり古い工場があった。周囲にはそれ以外目立った建物はなく、工場もすでに使われていないようだった。
「はい、それじゃ時刻になったら陽動を開始しましょう。準備は良いか、万理亜」
「…………あっ、は、はい……大丈夫です」
刃更の呼びかけに、万理亜が一瞬遅れて返事をした。
「万理亜、どうしたんだ? 何か気に掛かることでも?」
「あ、いいえ……そういうわけでは……」
「きっと万理亜様はお疲れなのでしょう。もしかして眠れていないのではないですか?」
クローディアの言葉に、万理亜は息を呑んだ。確かに万理亜の目の下にはうっすらとくまができている。
「いいえ……そうでは――」
「そうでしょうか? 作戦会議の時も、万理亜様は少し呆けていらしたように思います。刃更様、この作戦、万理亜様には休んでもらった方がよろしいのではないでしょうか?」
「っ……そんな!」
慌てた様子の万理亜。そんな彼女の頭を刃更は優しく撫でた。
「万理亜、無理はしなくていい。確かに最近のお前は少し無理をしているみたいだ。ここは俺達に任せているんだ」
「刃更さんまで……」
「東の森は安全です。万理亜様はそこで待機していてください」
刃更とクローディアに言われてしまっては、万理亜も強くは出られなかった。
「分かり……ました」
「それじゃゼスト、行くぞ」
クローディアの魔法を介して、刃更は工場の反対側にいるゼストに呼びかけた。
『了解しました、刃更様』
作戦が開始された。
***
この一ヶ月の捜索により、武器を盗み出した組織のアジトと思われる工場にたどり着いた。組織の人間は十数人いて、中には魔術の使い手も何人かいるという話だった。
それにより刃更たちは、彼らを追い詰める作戦を立てた。
工場の入り口は南北と西の三つ。そのうち西に刃更と万理亜、南にクローディア、そして北にゼストを配置した。最初に三人がそれぞれの入り口で騒ぎを起こす。圧倒的な力で彼らを攻撃すれば、間違いなく残る北の入り口から彼らは逃亡する。そこを、ゼストの土魔法で一網打尽にする計画だ。
万理亜が作戦から離脱することにはなったが、作戦としては支障が無いため続行することになった。
――澪様の手がかり……今度こそ。
あくまでこの工場に潜伏している組織は武器盗難事件の容疑者たちだ。彼らが澪の失踪と関わっている確証はどこにもない。しかし、刃更たちはそこにすがるしかないのだ。
「んっ…………」
ゼストは自分の胸を押さえた。
彼女はボディラインがくっきり見える戦闘服に着替えていた。
ひと目では分からないが、彼女の秘部と胸の先は、明らかに不自然な膨らみがある。それは、二個ずつ付けられたピアスの膨らみだ。
――すれて痛い……以前はこんなことなかったのに……。
以前も何も、ゼストは今までクリトリスにも乳首にもピアスを付けていない。だから、躰にフィットする戦闘服を着たときの違和感に慣れているはずがないのだ。しかし、そのことにさえゼストは思考が及ばない。
「ダメだ……この服では集中できそうにない」
ゼストの戦闘服は彼女の魔力により作られている。そのため着脱は自由である。
戦闘服を解除すると、ゼストの姿はいつものメイド服になった。
「動きづらいが……これで痛くなはい」
自分の襟元を少し開けて、胸元を確認する。そこにブラジャーは着けられていない。
――――ドゴォォ
工場の中で爆発音が響いた。作戦が開始されたのだ。
――気を引き締めなければっ……。
ゼストは魔力を辺り一面に張り巡らせ、戦闘準備をした。
しばらくして、手はず通り組織の男達が数人、入り口から慌てて出てきた。
「くそっ……やっぱり待ち構えてやがったか!」
――全部で十一人……思ったより多い。しかし――
張り巡らせておいた魔力を解放した。それにより、男達の周囲の地面がうずたかく盛り上がり、優に工場の高さを超えるほどの土壁が出来上がった。
――飛行魔法を扱えない限りよじ登るしかない。これで彼らは逃げ出せなくなった。
ゼストは土壁の上から男達を見下ろした。見たところ、ゼストが捕まえた者の中に魔法を使えるものはいないようだ。おそらく、刃更たちとの戦闘で敗れてしまったのだろう。
その時、ゼストは男達が妙な視線を自分に向けていることに気づいた。
「っ…………マジかよ」「履いてねぇぞ……」「……てか、なんか付けてねえ?」「痴女かよ……」
男達が口々に何かを話している。しかし、ゼストはなぜ彼らがそのような反応をしているのか分からない。
――下着だって履いていないし……おかしいところはないはず。
ゼストは度重なるクラレンスの記憶操作により、『下着を身につけてはいけない』『乳首とクリトリスにピアスは常に付けなければいけない』『東城刃更に以上のことを知られてはいけない』に加え、『子宮をかたどった入れ墨を入れなければいけない』『全裸以外どのような格好をしても羞恥心を感じてはいけない』などが記憶に刻まれている。
『~しなければならない』『~してはいけない』に操作が絞られているのはクラレンスの能力の限界であるが、それだけでも十分にゼストはおかしく書き換えられてしまっていた。
――ジュクッ
「んんっ…………♥」
男たちの視線が自分の秘部に向けられるほど、ゼストは下腹部に甘い疼きを感じた。あっという間に淫裂は蜜を分泌していき、ポタリと滴った。
――どうして私は、こんなことで股を濡らしているのだろう……。
ゼストの視界の端で、工場から離れる人影があった。
「っ……残党!」
工場からまだ出てきていない人間がいたのだ。そのため、ゼストの魔法で包囲しきれていなかったのだ。
男はもう遙か彼方に逃げてしまっていた。もちろんゼストが追えばまだ間に合うだろうが、そうなれば土で囲っている他の男達に逃げられてしまう可能性がある。
――私の落ち度で、組織の一人に逃げられてしまう!
ドクン――――
その瞬間、ゼストの中に刃更に対する罪悪感が生まれた。
「ふああぁっ!」
チョロッ……ジョロロロ……
いつもなら契約魔法が発動するほどでもない罪悪感だった。しかし、クラレンスの能力は、その些細な感情さえも例外ではない。
したばかりだったためその量は控えめだが、確かな黄色い放物線が高い位置から落ちていった。それらは霧となり、男達の頭上に降り注いだ。
「おい! あいつまさかっ――――」
男達が明らかに動揺した。自分を捕らえた女魔族が、下着を付けていないばかりか失禁までしたのだ。その反応も当然だ。
しかし、その彼らの声はゼストの耳には届いていなかった。
ビクビクッ――
「んああぁぁ♥」
男達に見られているだけで限界だったゼストは、強制的な放尿により絶頂に達してしまっていた。
――しまった……集中力が……
足腰に力が入らなくなり、ゼストは囲いの内側に倒れてしまった。
落下の最中、様々な表情をした男達の顔が目に入った。
そこで、ゼストの意識は途切れた。
***
「おい、起きろゼスト」
「っ…………ひぅ」
ゼストはとある部屋、そのダブルベッドの上で目を覚ました。
――あ、そうだ……私、クラレンスに監禁されて……一ヶ月も……。
「どうしたんだゼスト、今まで俺に犯された日々でも思い出していたのか?」
「⁉ んあぁ♥」
ゼストは全裸姿でクラレンスの腰にまたがり、自身の淫裂で肉棒を呑み込みながらまるで恋人同士が愛し合っているかのように彼と抱き合っていた。
「っは、あぁ♥ ひん、あぁっ」
――気絶してたのか……。
さらに、クラレンスは一人ではなかった。ゼストの周囲には、見える範囲だけでも十人のクラレンスがいた。
当然、これも全て夢である。彼女は現実世界で眠る度、夢の世界へ連れて来られいた。しかも、ゼストはその度に本来の現実世界の記憶を封印されている。そのため、そこがあたかも現実であるかのように思い込まされているのだった。
夢の中のゼストにとって、自分は本当にクラレンスに監禁され、陵辱される毎日を過ごしているのだ。最初は四人だった分身もすでに十人を超えていた。ゼストは、一度に何人もの男を相手できるようになっていた。
「へばってばっかいたら、東城刃更にあんたがこの一ヶ月間、何をされてきたのかを包み隠さず教えちまうぜ?」
「っ…………それだけは」
クラレンスがゼストの耳にかみついた。血が出るほど強いものではなかったが、鋭い歯が柔らかい耳殻に食い込んだ。
「んあ、そ、そこはぁ………あああぁぁ――――♥」
喉を反らせてゼストは嬌声を上げた。弱点を突かれて達してしまったのだ。
この一ヶ月間、一体何度も快楽をこの男に刻まれたか分からない。ピアスの穴も増えたうえ、入れ墨も子宮の位置に入れられていた。次にどんな指示が出されるかおびえる日々だ。
「そういえば……」
クラレンスはゼストの子宮型の入れ墨の縁を指でなぞった。それだけ、わずかな甘い疼きが生まれる。
「ゼスト、生理は来たのか?」
「っ…………」
一ヶ月間の監禁の中、ゼストに生理は訪れていない。
「お、遅れているだけだ……決して……」
「そうか? 小僧の部屋で処女を奪ってやったあのとき、見事に当たっちまったんじゃないのか? そして――」
クラレンスは入れ墨のある一点を指でつついた。
「ここに着床して、しっかり育ってんじゃないのか?」
「ち、違う! そんな訳あるものか! お前の子供など――」
ズチッ――
「ひうぅん♥」
彼女の言葉を遮るように、肉棒が強く突き上げられた。そのまま激しい抽送が開始された。
いとも簡単に先端が奥へぶつかる。ゼストの子宮はずいぶん前から降りてきてしまっているのだ。
「はぁ、あん、ぅぎ♥ はぃ、ふっ、ああぁ♥」
肌がぶつかる鈍い音といやらしい水音が部屋中に鳴り響く。
「どうだ? 俺のものに屈服する気分は」
「ん、き、貴様にぃ、く、んん♥ はっ、く、屈服などしていにゃい!」
「ふふ、強情だなぁ、ゼスト」
クラレンスの肉棒が一気に膨れた。それと同時に、ゼストの腰に手をかけて結合部を密着させる。
「はっ――――」
ビュルビュルッ……ビュクンッ、ビューッ
子宮に射精が開始された。何度も出され続けた精液が逆流し、結合部から吹き出した。ゼストがどれだけ沢山犯されたのかをそれだけで物語っている。
「あぁ……中に、あったかいのが出てる……んはっ……」
自分の中を蹂躙する熱の本流。それが極上に甘い感覚となってじわじわと全身へ広がっていった。
「その気になったか?」
ゼストの耳に優しく囁かれた。しかし、必死に彼女は首を振った。
「っ……な、なるわけがない! 私が屈服しているのは刃更様だけ――」
「そうか――――――ならここが潮時だな」
突然クラレンスが、今までゼストを煽り続けていた口調とは打って変わって、冷めた声を出した。
「え……?」
ヌポ…………
ゼストから肉棒を引き抜くと、彼はベッドから出た。いつの間にか周囲にいた何人もの彼らも消え去り、今は一人のみだ。
「っ…………?」
いきなりの豹変にゼストは混乱していた。一体どうしたというのだろうか。
「今日の朝、成瀬澪の運命が決定したらしい」
「っ……?」
唐突に出された澪の名前に、ゼストは息を呑んだ。
「澪様のこと……何か知っているのか?」
ゼストの疑問を無視して、クラレンスは続けた。
「しかし、あんたは耐えきって見せた。あっぱれの一言だ。だから、もうあんたは自由だ。金輪際、あんたの夢の中に入り込むことはしない。こんなまやかしの世界で、お前を監禁することもしない」
「夢………? 何を言って……」
「気にするな。すでにあんたはおかしくなっちまってるが、少なくとも処女のままだ。まだ誰にも犯されちゃぁいない」
ボタッ……
ゼストの淫裂から精液の塊がベッドに落ちた。ひどく粘着質で独特の臭いを放っている。
ジン…………ジュクッ
ゼストの下腹部は、さっきまで犯されていたにも関わらず、切なくうずき出していた。そのことに、彼女自身はまだ気づいていない。
「おい……貴様、何を言って……!」
クラレンスは、ゼストの言葉を最後まで聞かず、指をパチンと鳴らした。
「長い悪夢の終わりだ」
辺りが光に包まれてゼストは夢から解き放たれる。
残されたのは現実のみ。しかし、彼女の現実はほぼ決定しているようなものだった。
あとは、ゼスト次第なのだった。