澪の身に、さらなる悲劇が連鎖が襲いかかる。
惨憺なる第2章。
その日の夜、澪は男に担がれて近くの村に連れて行かれた。
長時間の性行為の疲労により、その間澪は眠ってしまっていて記憶が無かったが、次に目が覚めた時も小屋の中にいた。
しかし、そこは先ほどまでの小屋とは別だった。
造りはあまり大差なかったが、一回り広い上、前の小屋以上においてある物が無かった。あるのは木窓が二つと一人掛けの椅子が十個程度壁に寄せて重ねられて置いてあるだけ。
澪は小屋の中央に一本だけある主柱に縛り付けられていた。脚の自由は利いたが、両手は背中側に柱へ縛られていて、結局は充分な行動は出来そうもなかった。
そして当然の如く、一糸まとわぬ姿だった。
~3日目・1月28日~
早朝、五人の男が小屋に入ってきた。色合いに差はあるものの、どの男の肌も褐色で耳はとがり、一目で魔族だと分かった。その中には、昨日澪の処女を奪った男もいた。
「起きてるな……へへへ」
男達は澪を囲むように立った。しかし、彼らは何もせずに彼女の裸体をなめ回すように見ているだけだった。
「な、何よ! 見てるんじゃないわよ……早くこの縄解いてよ!」
裸を見られているという羞恥と昨日陵辱されたことでの精神的ショックで、その声はひどく震えていた。気丈に振る舞っていないと自分が保てないような気がしたのだ。
――まだ負けちゃだめよ……私……。
荒れる呼吸と鼓動を抑えるため、悟られないように深呼吸をする。
「いつまでそうしてるのよ……いいから――」
「性感帯は胸だったな。そして、年は16歳」
「!」
唐突に男の一人が澪の言葉を遮るようにしゃべり出した。それは昨日澪を犯した男とは別人だった。
「話は聞いてるぜ。山小屋でオナニーしながら、誰か男が来るのを待ってたんだってな?」
「犯されるのも待ってたってわけだ」
また別の男が口を挟んだ。
「っ……そんなこと、あるわけ無いじゃない!」
男の一人が柱越しに澪の後ろに立つと、両手で胸を鷲づかみにしてきた。
「ひゃあぁぁ! い、いや! 何触ってんのよ!」
手から溢れんばかりの胸を、男はわざと少しねじるように揉んでいやらしく形を変えた。
……ピクン
強引なその行為にすら、澪の胸には甘い痺れが生まれていた。
「痛いっ……やめて……ってば」
それを否定するように、澪は躰をよじって抗った。
――感じてない……私は、こんなので感じてなんか無いわ。私が、刃更以外で感じるはずがない。
昨日の出来事すらも否定するように、澪は頭を振った。
「な? やばいだろ? この躰でまだ十代半ばだってんだ。将来が楽しみでしょうがねえや」
どうやら澪の胸を後からまさぐっているのは、昨日彼女を犯した男のようだった。まるで、自分のものであるかのように自慢げに話していた。
「まあ落ち着けよ、ゴルグさん。話し合いでこの女、村のものってなったじゃねえか。無理に使って壊したら長老にどやされるぜ?」
「いいじゃねえか、俺が拾ったんだから」
男達の会話が、澪には分からなかった。それでも、ひたすらに背筋に寒気が走った。
「あんたたち……何を話してんのよ……」
「あぁ、お前は今日からこの村の人口増加を手伝ってもらおうと思ってな。実はな、7日前に野蛮な賊がこの村の若い女子供を皆連れて行っちまったんだ。さらに若い男衆も半分が殺された。ここままじゃ村は終わりだ。だから――」
「お前に俺達の子供を産んでもらう。昨晩の長老たちの話し合いで決定されたんだ。悪く思うな」
男に悪びれる様子は微塵もなく、むしろこの状況を好機とみているように、下卑た笑いを見せた。
――頭おかしいんじゃないの、この人たちは。どっちが野蛮なのよ!
そう思わざるを得なかった。例え女子供を攫われたからといって、よそ者の女を寄ってたかって犯して、子供を生ませるなんて馬鹿げている。
「冗談じゃないわよ! あんたら頭まで腐ってんじゃないの⁉ こんなこと許されるはずないじゃない! 女を子供を産ませる道具かなんかだと思ってんの?」
「女、どこから来たのか知らないが、お前は余所者だ。俺達さえ何も言わなきゃ、周囲から咎められることも無いさ」
後ろの男が澪の耳元に顔を近づけた。まるで愛でもささやいているかのように、男は生暖かい息づかいで言った。
「それにここは僻地。誰もここで起こったことなんて関知しない。大丈夫、お前はこの俺ゴルグがいの一番に孕ませてやるから」
「――!」
全身を駆け巡るように鳥肌が立った。
――気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い!
そして同時に、頭には一気に血が上っていた。
「冗談じゃないわ! 私は前魔王ウィルベルトの娘、成瀬澪よ! 知っているでしょう! 成瀬澪よ。私にこれ以上手を出したら、穏健派達が黙ってない。先のレオハルトとの決闘の時に彼と戦った刃更――――」
一瞬、刃更の顔が脳裏に浮かぶ。もう合わせる顔がない彼。それを振り切るように続けた。
「――――東城刃更だって、ここに来ることになる」
あの決闘は国を挙げての大々的はものだった。魔界に住んでいてまさかそれを知らないはずないだろう。
本来ならあの戦いは、澪が魔王としてではなく普通の女子高校生として生活するための戦いだった。だから、ここで自分が魔王の娘であることを明かすのは本意ではなかった。
しかし、これ以上素性を隠していては、その日常すらも戻らなくなってしまう。そう思っての発言だった。しかし―――
「はぁ? 嘘ならもっとましな嘘をつけよ。どうしてウィルベルト様のお姫様が、森ん中でオナニーしてんだよ。そんな女がお姫様なら、この国はとっくに滅んでるよ」
「っ……あれは、魔族の呪いに掛かって……だから私の所為じゃ……」
そう澪が言うも、男達はへらへらと笑うだけで様子に変化はない。全く言葉に耳を貸していない。いや、すでに彼女が何を言っても男達は態度を変えるつもりなんてないのだろう。
――このっ……。
「とにかくこの拘束を解きなさいよ! でない……百回殺して――――」
――ドクン
かっとしたその時の勢いで、澪は思わず魔法を使おうとしてしまった。
それによりクローディアの催淫の呪いが発動してしまった。一瞬の内に澪の躰に電撃のように甘い感覚が駆け抜けた。
「んあぁっ、はああぁん♥」
最悪のタイミングだった。
猛烈な疼きが澪に襲いかかり、腰が動き、声が出てしまった。同時にジュン……と秘所が濡れ始め、瞬く間に床に蜜が滴った。胸の蕾も膨らんでしまっていた。
「おい、こいつ感じてんぞ!」
「まさか胸を少し触られただけでか? それとも俺達に見られたからか?」
「こりゃ、とんだ痴女だな」
「ち、ちがっ……うぅ、ぐ」
催淫は強力で、抗議の言葉すらまともに言えなかった。
男達は次々と澪に手を伸ばしていった。ある男は豊満な胸を揉み、ある男は首筋に舌を這わせながら乳首をねじり、ある男は唇を奪い唾液を流し込み、ある男は尻を開くように掴み上げ、そしてある男はそぼ濡れた淫裂へ指を潜り込ませた。各々思うがままにまさぐった。
「い、いや……ふん、あぁ、やめ、て、ああん!」
声は言葉にならず、嬌声ばかりが漏れ出た。
「さて、ここは年長者の俺から」
「いやいや、サンラルさん。ここは一番若い俺に譲りましょうよ」
「じゃ、俺から先にもらうわ」
ズブッ――
――嘘……また。
澪はゴルグに片脚を抱えられるように持ち上げられ、後ろから肉棒で貫かれた。
「あ……あぁ、はっ……かっ」
自身の体重が結合部にかかり、とてつもない圧迫感が内臓を襲った。一瞬だけではあったが、肺の中の空気が押し出されて呼吸困難に陥った。
「あぁ~、やっぱりこれだ。俺もうこの子以外抱けないぜ」
「お前昨日まで童貞だったじゃねえか。知ったような顔してんじゃねえよ。それにお前すでに堪能したんだろうが!」
「うるせえよ! この女を孕ませんのは俺だ」
そう言ってゴルグは、下から突き上げるように腰を振り始めた。重力が膣内に集中し、昨日までとはまた別の感覚が全身を駆け巡る。
ズチュッ……ボチュ……
「ふあ……ぐぅ、かっ、は……」
縛られた状態では犯しにくいのかリズムが悪い。その所為で快楽の波の間隔が不規則になり、あと一歩快感が登り詰めることができない。
「ぐ……むぅ……」
澪は必死に声を我慢した。下手に声を出して、向こうの良いように流されてはいけない。
「我慢してんじゃねえよ」
「!」
サンラルと呼ばれた男が、両乳首を爪を立ててねじり上げた。
「いたっ、んんんっ、はああぁあぁ!」
急激な胸への刺激で、予期していない絶頂が澪を蹂躙した。
「あ、あぁ……が、あぅ……はっ」
「うおおぉ、急に締まりやがる! 搾り取られるっ……」
ビュググ、ビュルビュル……ブチュッ
――あっ……中にぃ……うぅ。
ゴルグにしても予期していない射精だったようで、膣の浅い位置でその精を放出した。白濁液の多くが澪の最奥まで届かず、重力に負けて淫裂からしたたり落ちた。昨日一日出し続けた所為か、以前に比べて少なく色の薄い精液だった。
――奥までは犯されなかった……だけど、これじゃぁ……。
子宮まで精液が届かなかったからといって、手放しに安心できなかった。これでは催淫は解けないままだからだ。
「出したんなら変われよ」
「おい、お前が変なことするから不完全燃焼じゃねえか!」
「てかこいつ、入れられてんのに胸でイッたのか? 胸弱すぎじゃね? ほら、お前もやってみろよ」
「んじゃ味見を……」
サンラルに促され、澪の尻を触っていた男が胸にしゃぶりついた。
「ひゃぁっ、んあっ……あ、やめ……」
ジュルジュルッ……チュパッ
男はわざとらしく唾液を混ぜて汚い音を立てて乳首を吸った。舌を蕾に引っかけながら上下左右に暴れされる。それにより先端だけに甘い疼きが蓄積されていく。
「いや、そんな音……たてないでぇ……うぐぅっ……」
――カリッ
乳首にチクリと痛みが走った。男が歯を立てたのだ。
ゾクゾクゾク――――ゾクッ
「あぁぁっ、んあぁ、あああぁぁっ!」
増幅された快楽が一気に爆発した。乳首の先からピンク色の火花が次々を弾け、躰中へと拡散していく。そして、通過した場所の筋肉を震わせ快感の爪痕を次々刻んでいく。
髪を振り乱しながら澪は全身を痙攣させた。
「これはまた派手にイッたな。気持ちよかったか?」
「う……うる、ひゃい…………」
――どうして……どうして、私の胸は……。
敏感に開発された胸だったとしても、刃更がそれで喜んでくれるならそれでも良いと思っていた。だから、強く乳首を握られただけで果ててしまう自分の胸が、こんなにも嫌に感じたのは初めてだった。
「次は俺の番だな。さっさと孕んで産んでもらわないとな」
「い、いや……やめ――――」
澪は首を必死に振るのを無視し、サンラルはすでに大きく膨らんだ欲根を突き入れた。
――早く……早く、終わって……。
澪はそう願うことしかできなかった。
その後男達は、三時間ほど澪をまわし続けた。
行為が終わる頃には、澪の拘束は左手だけになっていたが、全身はドロドロの精にまみれ、床にへたり込んでしまっていた。
――あれ……いつ終わったんだろう。
気絶こそしていなかったが、いつの間にか思考を停止させていた澪は、小屋に誰もいないことに気づいた。
目の前には、お盆にのせられた食事があった。お椀に盛られた色の悪い穀物、ほんの少しの量の野菜のお浸し、そして明らかに腐りかけた干し肉。見た目は悪いが、囚われの身にしてはまともな食事だった。
賊に襲われて、おそらくこの村には食料もそれほど余裕はないはずだ。それでもこれだけの食事が与えられたというのは、健康な体で健康な子供を産むことが澪には求められているからだろう。
――餓死は……最低限させないってこと……笑える。
自分を散々陵辱した相手からの施しだと考えると、食事を視界に入れることすら嫌悪した。とは言え、これが毎食出されるとは限らない。しかも、いつまでの続くとも限らない。窮乏している村にとって、一番先に切り捨てる存在は余所者の澪のはずだ。
――今のうちに食べなくちゃ……死ぬ。
澪は手どころか口の中まで精液に塗れていた。今何か口に入れたらすぐに吐き出してしまいそうだった。
しかし、澪はこうなってもまだ帰ることを諦めていなかった。こんなところで死ねない。刃更に合わせる顔がなくても、このままでは彼の迷惑になってしまう。それだけは嫌だった。だから、その意思だけで澪は自由な右手で食事をとった。精液の味しかしなかった。
一応拘束が解けないかと試してみたが、南京錠による鉄の拘束具だったため、歯が立たなかった。
日が沈む頃、ゴルグが一人で小屋に入ってきた。
「どうだ、調子は?」
「…………」
澪は顔を上げず、俯いていた。
会話なんてするつもりはない――そういう意図もあったが、この時の澪にはとある悲劇が起きていた。
「おい、どうした?」
ぎゅるる……グルッ、ゴロゴロ……
「…………いれ……トイレ、行かせて…………お願い」
澪は猛烈な腹痛に襲われていた。死ぬわけに行かないと思って必死に食べた食事で、お腹を壊したのだ。
ゴルグは、ははぁと得心のいった顔をして長い髪をボリボリ掻いた。
「お願い……逃げないから、トイレに行かせて。でないと……うぅ……」
締め付けられるような、それでいて破裂しそうな下腹部の痛み。もう澪は限界だった。
「ちょっと待ってろ」
そう行ってゴルグは一端小屋を出て行き、すぐ戻ってきたときに手には小さな金だらいがあった。彼は澪の目の前に無造作にそれを放り出すと、コンコンと叩いて音を立てて見せた。
「ここでしろ。見ていてやる」
有無を言わせない口調だった。
「っ…………そんな、ここで……それも……あんたが見てる前でなんて……」
「何だ? 他の連中も呼んだ方が良いか?」
「!」
――ここで逆らえば、もっと人を呼ばれる。
――ギリッ
苦虫を噛み潰したように澪はゴルグを睨んだ。しかし男は、その視線をヘラヘラと笑いながら受け止めた。
「お? 大勢の観衆が希望か?」
「っ……するわよ……」
観念した澪は、金だらいの上に腰を落とした。和式便所で用を足す姿勢だ。
しかし、そこから先がなかなか覚悟が決まらなかった。未だに刃更以外に裸を見られることすら慣れていないというのに、排泄を見せるなんてそう簡単にできることではなかった。
「どうした? しないのか?」
「す、するってば…………んん……」
――もうっ……こんなの、できるはず無いじゃない……やっぱり今からでも、出て行ってもらうように言おう。
「あの……」
「手伝ってやるよ」
おもむろに立ち上がったゴルグは澪の目の前に立つと、彼女の腹部をつま先で蹴り上げた。。
「うぐっ――――かはっ」
むりゅっ……ぶっ、ブリュっ、ぶりぶりっ……ブバッ……
――あぁ……やば、い……
腸の圧迫により、限界まで達していた便意は一気に爆発した。肛門から捻り出た褐色の便は、うねりながらたらいへと落下した。勢いが良すぎたのか、たらいの縁からはみ出て床を汚した。
ブブブル、ぶりぃっ、ぶちゅ、ブリブリッ
排泄は一向に止まる気配を見せなかった。
「ひうぅ……まずい……ふあ!」
ジョボ、ジョボボボボボボボボボ
便意に誘発されたのか、少し催していた尿意もたがが外れたように解き放たれた。
ジョオォォ……テテテ、ジョロッ…………ブッ
次第にそれらの勢いは収まり、汚い放屁音で静かになった。
「うっわ、汚ったねえな。よっぽど溜まってたんだな。それにしょんべんも漏らすなんてな。くせーくせー」
「うう………ひどい……お腹を蹴るなんて……」
澪は羞恥心で死んでしまいたかった。どうしてこんな目に自分はあっているんだろう。女として、人間として尊厳をズタズタに引き裂かれて、それでもまだ足りないというのだろうか。
自由に動かせる右手で、澪は次々流れる涙を拭うことしかできなかった。いっそのこと、流れる涙で汚れた自分も洗い流してしまいたかった。
「ひっく……うぅ、えぐ、うぅ、ぐすっ」
――いつまでこんなことが続くの……こんなのもう、耐えられない……。
排泄はどうしようもない生理現象だが、その度にこんな思いをしていたら精神が持たない。だからといって、この状況に慣れるなんて考えられなかった。
まだ生理が来ないことが救いではあったが、このままではそれも分からない。排泄を見られることは死ぬほど嫌だったが、生理による経血を見られることは死んでも嫌だった。生理だけは、肉体陵辱や排泄とは全く別の種類の嫌悪感なのだ。
――でも、いつかは来ちゃう……生理も……そして――。
精液を中に出され続けることで、自分の変わり果てた姿を想像してしまった。
澪は、その想像を脳裏から消し去ることが、どうしてもできなかった。このままでは、間違いなく――迎える未来だった。
しかし、幸か不幸か、この生活はすぐに終わりを告げることとなる。