ついに刃更が学園の、そして柚希の異常に気づいてしまう。
後戻り不可能の最後の選択を、彼女は迫られる。
~3月11日~
「柚希、お前……俺に何か隠してるだろう?」
昼休み時の学校の屋上で、刃更にそう問われた瞬間、柚希は足下が崩れるような感覚に陥った。もう引き返せない。言い訳も不可能。ここまで来たら、今まで保留にしてきた選択肢をついに選ばなければならないのだ。
「この学校はおかしい。長谷川先生は行方不明だし……それに、問題は柚希、お前だ」
――あぁ……ついに、来てしまった……。
「私は……」
「色んな奴からお前の噂を聞いた。なあ、ウソ、なんだろう? その……」
刃更は柚希のことを信じてくれているだ。そして噂がウソであると、そう断じている。
「ごめん、刃更」
柚希は全てを諦め、目を伏せた。
そして、別の声が辺りに響いた。
「それを君が知るのは、ちょっと早いかな?」
「っ――――――!」
刃更のすぐ横に、小さな少年が立っていた。それは、今まで散々柚希を辱めてきた張本人――クリントだ。
「お前……は?」
咄嗟に刃更はブリュンヒルドを具現化しようと手をかざした。しかし、先手を取っていた分、クリントの方が動きは速かった。
クリントは少し振りかぶり、左拳を刃更の脇腹にたたき込んだ。
すさまじい衝撃波が辺りに広まった。
「ぐぁ――――――」
クリントの一撃で、刃更は大きく吹き飛んだ。その衝撃波は攻撃を受けたわけでもない柚希のところまで伝わり、思わずよろめいてしまった。
「っ…………強い……」
今まで人形を介しても彼の戦闘力というのは分からなかったが、どうやら彼は相当の強さを持っているようだった。
――あの攻撃……もしかしたらマリアよりもずっと強力……。
刃更の躰はまるで紙のように軽々と校庭の中央まで吹き飛んだ。
「くそ――――」
さすがは刃更と言ったところだった。強烈な風圧の中、刃更は体勢を立て直して見事に着地した。すでに手にはブリュンヒルドが具現化されている。
「っ……これは」
柚希も刃更も驚愕した。
気づかないうちに、辺りには大規模に人除けの結界が張られていた。
――こんなに巨大な結界を……一瞬にして……。
『お姉ちゃんは結界作りが得意だからね』
初めにクリントと会ったときの言葉を思い出した。
――もしかしたら、これはクリントの姉の……。
柚希の予測の言うとおり、人除けの結界はクローディアの仕業だ。
「何だ……?」
刃更に異変が起きていた。妙に躰が動かしづらそうだ。
「ごめんね、東城刃更。すでに君の躰の中には、お姉ちゃんの魔力が込められた媒体が入れられているんだ」
クリントも刃更と同じく、校庭の真ん中に立ってた。ちょうどブリュンヒルドの間合いより少し外側だ。
「俺の……躰の中に……?」
「そう。僕のお人形に入れさせたのさ。普通に生活をしていたら気づかない程度の毒性だが、いざ激しく動くと異変に気づく代物さ」
「いつのまに……くそ」
刃更には分からないが、お人形とは胡桃のことである。もちろん、東城家に住んでいる胡桃が偽物だから出来ることだった。
「躰に力が入らないでしょう? 腕力は半減、呼吸も大分浅くなっているはずだ」
「……こんな程度で」
刃更は駆け出した。最小限最速のモーションでブリュンヒルドを振りかぶり、クリントへと斬りかかった。
「おっと、それでもかなり速いや!」
しかし、クリントはその場から一歩も動かない。
ブリュンヒルドはきらめきながら吸い込まれるように、クリントの首筋へと振り下ろされた――――しかし、なぜか刀は弾かれた。
「っ――――!」
クリントの目の前に、ブリュンヒルドの斬撃を弾くほどの強力なバリアが張られていたのだ。これもクローディアの能力だ。
「はぁぁ!」
刃更はそれに即座に反応した。弾かれたブリュンヒルドを、その勢いのまま円を描くように振った。それにより、何倍にも勢いが加算された斬撃が、バリアへと打ち込まれた。
「へぇ……」
強力なバリアは、刃更の攻撃で霧散した。
「これで届く!」
刃更が横一線にブリュンヒルドを振るった。
「それはどうかな」
クリントは右拳を地面へとたたきつけた。その瞬間、衝撃波とともに放射状に大きく地割れが生じた。足場が崩れ、刃更はバランスを失う。
「っ――――」
再び刃更の躰が後ろに吹き飛んだ。今度もすぐに体勢を立て直し、難なく着地する。
「……お前達、一体何が目的だ! 柚希に、一体何をした!」
「僕? 僕は遊んでただけだよ、ねぇ――――――――――柚希お姉ちゃん?」
「っ⁉」
いつのまにか刃更の真後ろに回っていた柚希は、彼の背中に抱きついた。
「柚希……何を……なっ――――――!」
「本当に………………ごめん、刃更」
柚希は、全裸だった。
一糸まとわぬ姿で、刃更に抱きついた。そして、右手を刃更の股間に伸ばし、スラックスの上から摩った。
「な、何を……」
混乱する刃更。そして、それが決め手となる。
「東城刃更、心の隙見付けたぜ」
「っ――――」
刃更の目の前に、色白の魔族が立っていた。彼は人さし指を立てて、無防備な刃更の額に触れた。
「がぁっ…………」
刃更の躰が大きく震えた。白目を剥き、その場に倒れ込んだ。
「っ……記憶操作は終わったが……さすがは先の大決闘を生き残っただけある。こりゃぁ、一時間もあれば記憶操作を解かれちまいそうだ」
色白の魔族が倒れた刃更の頭に触れながらそう言った。
「大丈夫、想定通りさ」
その隣には、褐色の深紫色の長髪の女が立っている。彼女は手を合わせ、何かしら呪文を唱え始めた。
「次に目覚めるとき、お前は私の悲願の成就を見ることとなるだろう」
魔方陣が刃更の周囲に浮かび上がった。
「刃更…………」
柚希は呆然とそれを見ていた。全ては、彼女自身が選んだことだ。
一週間前にクリントに聞かされた話を、柚希は想起する。
***
~3月4日~
東城家のトイレでのこと。
『それはね、そろそろ東城刃更を動けなくしようと思うってことなんだ。お姉ちゃんとお兄ちゃん、僕の三人でね。それには、お兄ちゃんが実体を持って完全体にならないと無理なんだけど、それももうすぐだ。
でもきっと簡単じゃない。それは柚希お姉ちゃんが一番よく分かっているだろう? だから僕たちは何重にも罠を張っているんだ。その一つのがこの学校さ。この学校の人間たちは、負の感情が増幅するようになっているけど、それはあくまで「仕掛け」の副作用なんだ。
この「仕掛け」は、誰かの妨害を受けた際に発動するようになっている。「敵」を感知した「仕掛け」は、一斉に発動して完全に人間達をお人形へと変異させる。
全校生徒は一瞬にして僕の兵士となり、その「敵」に襲いかかる。
もちろん分かるよね? もし東城刃更が学校の「仕掛け」を知り、何らかの解除をしようと試みた瞬間、彼は全校生徒から命を狙われるんだ。でも、元々は人間だからね。東城刃更がお人形達を殺せるはずがない。彼がお人形達に殺される事は無いだろうけど、大きなダメージを与える結果になることは必至だ。
でも、これは最終手段だ。出来ることなら僕は使いたくない。だって、お人形になりきらない歪んだ人間達によって、せっかく混沌としてるこの状況を、ある意味できれいに整えちゃうんだもの。僕としてはもっと楽しみたいし、もしそんなことをすれば、今度こそ勇者の里が動いちゃうだろうね。
この手が最終手段なら、もちろんその前に用意している手もある。僕たちの本命はそっちだ。それが、「東城刃更の押さえ込み作戦」だ。
そこでだ。柚希お姉ちゃんには、この作戦を完遂するために手を貸してほしいんだ。
具体的には、お兄ちゃんが能力を使うために、東城刃更の心にHなことに関する隙を作ってほしいんだ。方法は問わないよ。それさえすれば、少なくとも全校生徒が東城刃更の敵に回ることはない。
でも、これは命令とかじゃない。やっても良いし、やらなくても良い。柚希お姉ちゃんがこの話に乗らなくっても、僕は君にペナルティーを課したりは絶対にしない。全ては、君の判断だ。
東城刃更が、誰にも想像が付かないような方法で僕たちを出し抜き、「仕掛け」をかいくぐり、全校生徒がお人形になることも防ぎ、見事僕たちを倒すと信じても良い。でも、忘れないでね。東城刃更はこの「仕掛け」の内容も発動条件も知らないんだよ。それなのに、そんなことが出来ると思うかい? まぁ、どう考えるかは君次第さ。
何を言いたいのかって? それこそ自分で考えたらどう?
まぁ、もし僕たちに力を貸してくれたら、少なくとも東城刃更に、君の痴態がつまびらかになることを先送りには出来るだろうね。そして、人間のお人形が彼に襲いかかることもない。
逆に彼の奇跡的な逆転を願っても良い。その場合、彼はただでは済まないだろうし、もちろん君の隠したい全てが露見する。
何度も言うよ、僕たちの目的はあくまで、東城刃更を殺すのではなく、自由に動けなくすることだけだ。今しばらくだけね
選択権は柚希お姉ちゃんにあるよ、ふふふ』
それが、柚希がクリントから聞かされた内容だった。
***
~3月11日~
そして、柚希はクリント達への協力を選んだ。
このまま刃更がクリント達と戦い続ければ、学校に根を張る仕掛けが必ず発動してしまう。そうなれば、学校中の人間が彼に襲いかかる。
――刃更が一般人に刃を向けられるはずがない……。
しかし、だからといって刃更は彼らを見捨てることはしないだろう。
――その判断が、一体どれだけ彼を苦しめることだろう。それならいっそ、刃更が傷つくことが出来るだけ少ない方がいい。
「違う。そんなの……ただの詭弁……」
柚希自身は分かっていた。そんなことは、ただ都合の良いように言い訳をしているだけだ。
これで仮に、どの選択肢においても刃更が同様に酷く傷つく物なら、柚希は迷わず後者の選択肢――――刃更の奇跡的な大逆転に賭けることが出来た。しかし、なまじ前者の選択肢――――クリント達に協力する方が刃更の危険が少ないように思えたため、柚希の中の黒い感情が動く隙が出来てしまった。
『少しでも刃更が傷つくことを避けられるのなら、クリントに協力することは彼に対する裏切りではない』
そんな牽強付会な理論が彼女の中に出来上がってしまったのだ。
そして、その感情の裏には、『その選択肢を選べば、刃更に自分の醜態を知られずに済む』という願望が隠れてもいた。その願望が、柚希の背中を押したのだ。
柚希は嫌だった。避けたかった。
自分が今まで受けてきた恥辱を刃更に知られ、嫌悪されることを、忌避されることを、気持ち悪いと見損なわれることを。
本来の柚希なら、そんな自分の感情を刃更より優先させることはしない。しかし、クリントの学校の仕掛けは彼女自身にも効果があったのだ。それはつまり、彼女自身の心の中の黒い感情もしっかり増幅されていたということ。だからこそ、柚希は自分の感情を優先させてしまった。『刃更を守る』という言い訳を自分にすることによって。
クリントに協力し、刃更の行動を不能にすること。それは、同時にクリントとの勝負において、自身の『勝ち』を捨てることを意味する。彼が澪を見付けなければ、柚希は勝負に勝てない。つまり、最後の砦、『胡桃の純血を守る』という目的が果たせない。
「でも…………もう気づいてる……」
柚希は、誰に訊かせるでもなくブツブツとつぶやく。
「胡桃は………………とっくに偽物とすり替わっている。きっと、本物の胡桃はもう……」
気づいたのはここ数日だ。しかし、確信したのは今朝のこと。
胡桃が刃更の朝食に何か薬を入れているのを目撃したのだ。
――私にはもう、この勝負に勝つ理由が何もない。
柚希はその場に全裸のままへたり込んだ。
――もう……何も考えたくない……。
最終的には自分で選んだ答えだ。しかし、どんなに言い訳をしようと、結局それは刃更を裏切る行為に変わりはない。それだけはしたくなかったのに、最後の最後に柚希は、彼に嫌われる選択肢を選べなかったのだ。
――最悪なのは……私か……。
刃更を包む地面の魔方陣がその光を強めた。
そして、徐々に刃更の躰が魔方陣に沈み込み始めた。
「この結界は、時間の流れを急速に遅くするものだ。この結界の中の時間は、外の世界の約五千分の一の速度で進む。私の力ではこの辺りが限界だが、まぁ十分だ。この男が結界内で一時間過ごす間に、現実世界は223日経過する」
結界の名手の魔族の女――クローディアが独り言のように説明した。
「へぇ~恐ろし」
夢を介した記憶操作の得意な色白の魔族――クラレンスが興味のなさそうにそう反応した。
「すごいねぇ、お姉ちゃん。いつか僕の人形遊びに取り入れたい結界だ」
人形作りが好きで、豪腕の小さな少年魔族――クリントがのんきに笑った。
柚希の目の前に、夢魔の三兄弟が勢揃いを果たした。
「以前神族の女が、これと正反対の効果を持つ結界を使っているの見た。私はそれをまねて、さらに応用させて効果を反転させただけさ」
「お姉ちゃんって、昔っからそういうの得意だよね。僕には出来ないや。その神族の女の人も、この結界に?」
「あぁ、結界事態は別物だが、効果は同系統のものさ。そこで今は大人しくしてもらってる」
「何だ、二番煎じか」
「何か言ったかい、クラレンス?」
「幻聴でも聞こえたか、クローディア」
「あはは、相変わらず仲悪いね~お姉ちゃんとお兄ちゃんは」
三人が会話している間に、刃更は完全に結界に呑み込まれた。
――刃更……彼と会うのは、約七ヶ月後……その長い時間を、私は……彼を縛り付けることを選んだ……。
柚希は放り出していた制服を掴み取り、その場から逃げ出した。
自分が選んだ現実からも、逃げ出すように。
***
柚希は走って家に帰った。無我夢中で階段を駆け上がり、自室へ入った。
そこで気づく。
この家の家主を陥れておきながら、図々しくもこんなところまで来てしまったのだと。
――もう、この家にも居られない……。
そこに、彼女の部屋がノックされた。
「お姉、お帰り」
扉を開けて入ってきたのは胡桃だった。いや、柚希にはもう分かっている。彼女は胡桃の偽物だ。
「本当の胡桃はどこ?」
「やっと気づいたんだね、お姉。でも、その質問は正しくないよ。だって、私が本当の胡桃になったんだもの。だから、私はこれから刃更兄ちゃんのとこに行くの。クリント様に頼んで一緒に結界に入れてもらうことになってるからね」
偽胡桃は柚希へと歩み寄ってきた。
「まぁ、そんな答えはさすがに意地悪だよね。うん、そうだよ。お姉の考えているとおり、私の素体の処女はとっくに跡形もない。お姉がクリント様とお姉達の純血を賭けた勝負を始めた日のその夜に、自分から流れに逆らえず、なし崩し的に処女膜を失った」
素体とは、正真正銘柚希と小さな頃から一緒に過ごし、刃更と絆を結んだ、本物の胡桃のことだろう。
――そんな前から……クリントはウソしか言ってないじゃない……。
「お姉、刃更兄ちゃんを裏切ったんだね」
「っ……」
唐突な柚希の心を刺す言葉に、彼女は一瞬かたまってしまった。その一瞬を、偽物の胡桃は見逃さなかった。
偽胡桃は柚希に詰め寄ると、手に隠し持っていた小型の注射器を彼女の腕に押しつけた。
プシュッ――
冷たい液体の感覚が腕から全身に広がる感じがした。
「っ…………な、にを――――――――むうっ⁉」
胡桃は柚希にキスをした。驚く彼女の唇の間に舌を差し入れることでこじあけ、唾液を流しこんだ。
「んちゅっ……んん、ふぅっ……」
「んんっ――――んぅふ、やめ……ちゅっ……」
柚希の舌が胡桃の柔らかい唇で挟み込まれたかと思ったら、舌がさらに中に入り込んできた。胡桃の舌は、柚希の歯や口内の至る所を丁寧に舐めていく。
――なんて……巧いの……。
その巧みなキスで、柚希の躰に熱がこみ上げてきた。
しかも、胡桃の手が制服のスカートの中にまで入れられた。的確に柚希の陰部にささった、しかもスイッチが入った状態のバイブに掴むと、思いっきり奥へと押し込んだ。
「んんぃぃぃぃ――――――――!」
柚希は豪快に絶頂へと引き上げられた。
がくがくと脚が震え、淫裂から快感を示す愛液がほとばしる。同時に責められる口からもよだれが滴った。
「ふふふ、お姉も良い反応だね。ちなみに、今打った薬はちょっと依存性のある媚薬。でも大丈夫、原液の三十倍希釈だから、すっごい薄いよ。いわゆる、正しい用量ってやつ。正しい濃度なら、全然躰に害はないんだよ。ま、素体に売ってるのは原液なんだけど♥」
例え原液よりかなり薄めているのだとしても、柚希を襲った躰の疼きは相当の物だった。
――何これ……熱い……。
猛烈な疼きと熱の激流が、柚希の感覚を呑み込んでいた。
「私はクリント様の元に行くね。色々辛かったら、全部忘れて気持ちいいことした方が気が楽だよ。それじゃぁね。裏切り者の柚希お姉♪」
「…………!」
胡桃は部屋を後にした。
後に残ったのは、どうしようもない躰の疼きだけだった。
――まずい……これ……どうにかしないと……。
柚希は自分のベッドに倒れ込むと、すぐに自分の陰部へと両手を伸ばした。淫裂を押し広げ、ひたすら指を入れてかき回した。
「ふっ…………んん……くっ……」
疼きを抑えるための自慰行為だが、全然収まる気配はなかった。
自慰に耽る最中、自分が今何をしているんだろうという考えが頭から離れなかった。自分の主と定めた刃更を裏切った直後に、その彼の家で自慰行為をしている。そんな自分が、嫌で嫌で仕方が無かった。いっそ、主従契約魔法が発動して催淫で悶え死にたかったが、その契約はクリントによって発動しないようになっている。
『色々辛かったら、全部忘れて気持ちいいことした方が気が楽だよ』
偽物の胡桃が言い残した言葉が、なんとも頭の中で反芻する。
――その方が……ずっと楽……でも……。
そして現れた。まるで、全てを見計らっていたかのように――――ベッドのすぐ横に、アドミラスが立っていた。
「お元気ですか、勇者の少女」
「っ………………!」
アドミラスは無表情のまま柚希を見下ろしていた。
その瞬間、頭にとある考えがよぎった。
現在の柚希は、完全に詰んでいた。
始まりはクリントに脅されるところだった。自分と胡桃の処女を賭けて、彼らの陵辱を耐え抜かなければならなかった。敵はクリントとアドミラスだけのはずだった。しかし、いつのまにか柚希の日常は瓦解し、学園の生徒や教師までもが彼女を責め立てた。純血も予想外に奪われてしまい、そしてついに、来週には柚希を孕ませるための集まりまで開かれる。肝心の胡桃もすでに陵辱された後で、刃更という最後の希望の光すらも、自分の手で握りつぶしてしまった。
柚希には何も残されていなかった。
残ったのは、賭ける物が何もなくなったクリント達との勝負だけだ。
――もう……何もかもがどうでもいい……。
柚希はすでに自暴自棄になっていた。色々自分を縛っていたものも、ただ精神を削る障害でしかない気がしていた。
考えることはもうしたくない。
今は、この躰を蹂躙する猛烈な疼きを解消したい。考える余地すらないほど快楽に浸ってしまえたら、どんなにいいだろう。
――そう……それで、いい。
「アドミラス」
「何です?」
「……………………して………………」
柚希の声はかすれていた。
「何です、よく聞こえませんが」
「……………………」
柚希は深く息を吸った。そして、最後の言葉を口にする。
全てを諦め、ただ一つの望む言葉を。
「私を犯して…………アドミラス。孕ませていいから」
柚希は股を大きく広げ、スカートをたくし上げた。そして、蜜でとろとろになっている陰部を彼によく見えるようにさらしたのだ。
「理由を訊いてもよろしいですか?」
「理由なんて、ない。もう、何も考えたくないだけ……だけど、このままじゃ来週にも、私は誰のか分からない子供を妊娠することになる。自分のこともどうでも良いけど、あんなやつらの子供だけは…………妊娠したくない。それだけはいや。だから――――――
私は、あなたの子供を妊娠したい」
「それは、学園のゲス共なんかより、私の方がまだましだという消去法というわけですか?」
柚希は、迷わず首を振った。
「………………私は、毎晩……自慰行為をしている」
「そうですね、私があなたを犯さなくなったその日から、熱心に毎晩毎晩」
それは決して激しい物ではなかった。布団をかぶり、手だけをショーツの中に入れ、そして軽く陰部をいじると言うものだった。躰の熱が強くなりすぎない程度に、躰が動かない程度に、声が出ない程度に。その程度でも、しないとおかしくなってしまいそうなほど躰が火照ったのだ。
――やっぱりというか……しっかりばれてた。
「それに知ってますよ。その自慰行為は、私に犯されることを想像して行っていたのでしょう?」
「…………」
柚希は無言を返した。しかしそれは、間違いなく肯定の現れだ。
――………………そう……私は、こいつに犯されることを想像してた……。
今まで数多くの男に犯されてきた柚希だが、一番回数が多く犯された相手は間違いなくアドミラスだった。そして、学校で精神がすり減るようないじめや陵辱を受け続けている間、唯一柚希に慰めの言葉をくれたのもアドミラスだった。例えそれが冗談や軽口と分かっていても、彼女にとっては想像以上に心を慰めていた。
だからこそ、柚希は思ってしまった。
相手が刃更以外で妊娠するなら、アドミラスがいい、と。
「ふふふ、いいでしょう。分かりました。この勝負、あなたの負けと言うことで良いんですね」
「…………それでいい」
「孕ませると言っても、排卵日は来週なのでしょう?」
「……ちょっと違う。私の生理周期は人より少し早い。計算上、私の排卵は……今日から明日の間」
柚希は堂上たちに月曜日から呼び出されている。少しタイミングがずれてはいるが、それでも犯されれば十分に当たってしまう可能性がある。
「なるほど。つまり、私にあなたの卵子をいの一番に犯すチャンスをくれるということなのですね」
「………………」
柚希は無言のまま頷いた。
「分かりました。それでは今晩、あなたの卵子をいただくとしましょう」
「…………今晩?」
「何です? 今すぐにでも犯してほしいのですか」
「それは…………」
正直、その通りだった。柚希は現在進行形で媚薬に悩まされているのだ。今すぐ犯されるつもりで、こんなことを言っていたのだ。
「こういうことは急いではいけませんよ。さぁ、柚希、口を開けなさい」
「っ……!」
唐突な名前呼びだった。アドミラスは今まで、柚希のことを『勇者の少女』としか呼んでこなかった。それを急に変えてきたのだ。しかも、口調も強いものに変わっていた。
ズクッ…………
下腹部に妙な疼きが生じた。それは明らかに、アドミラスの柚希の呼び方を変えたことに起因していた。
柚希は言われるがまま口を開けた。アドミラスは彼女の頬に手を添え、親指を口に差し込んだ。
「あぅ…………」
強引に口が開けられ、よだれがアドミラスの手を伝って垂れてきた。その彼女の顔は、ひどく淫靡だった。
「舌を」
言われたとおり、舌を口の外に突き出す。アドミラスはその舌をもう片方の手の人さし指と親指で掴んだ。
チクッ
「あがっ…………」
舌に走る小さな痛み。それと同時に冷たい感覚が広がった。
――また何か……薬を打たれた……?
「排卵誘発剤だよ。もちろん私の躰の内で作られた特殊なものだ。せっかくなら、受精の確率は高い方が良いでだろう?」
「…………」
「今夜十二時、勇者の正装で東城家の風呂場に来るんだ。そこが、あなたの孕むステージだ」
澪たちとともに刃更に快感を何度となく刻まれた東城家の地下にある、巨大な風呂場――そこが、柚希の運命が決定する場所だ。
~3月12日~
東城家の地下にある巨大浴場とは、少し前に大きく家をリフォームした際に作られた場所だ。そこは刃更が、澪たちと躰を交わらせる事を目的に作られた場所だった。
そこで、柚希はアドミラスに犯されようとしていた。
ちょうど日が変わったタイミングで、アドミラスが巨大風呂場に入ってきた。
そこに柚希は、勇者の正装―――つまり、力を解放した際に換装される、勇者の戦闘服を来て迎えた。
「言いつけ通り、しっかり換装してるね」
アドミラスの口調に柚希は新鮮味を感じていた。今までは、誰に対しても丁寧語が抜けない物言いだったが、柚希にだけはそれが無かった。その変化に、妙な胸の高鳴りを感じていた。
「……どうしてこの格好を?」
「勇者が力を解放すると言うことは、肉体的に活性化することを意味する。つまり、それだけあなたの躰も妊娠しやすくなるんだよ」
アドミラスは完璧に柚希を孕ませられるように動いていた。
柚希は、それにもう逆らうようなことをしない。
――これは、私が選んだこと……もう、引けない。
「柚希、そこに座って脚を広げるんだ。そして、もう一度、君の希望を言ってごらん」
「…………はい」
柚希は広大な浴室の中央、お湯の張られていない湯船の中に腰を降ろすと、脚を大きく広げて見せた。ショーツは当然のごとく履かれておらず、バイブは両穴とも抜き取られている。しかし、陰部が洪水のようにびしょびしょに濡れていた。
それもそのはず。アドミラスに負けを認めたのが今日の十二時過ぎ、そして今が日がちょうど変わった頃。その約12時間もの間、柚希はずっと自慰行為をし続けていたのだから。
さらに、両太ももには、数え切れないほどの『正』の字が書き込まれていた。それは、柚希のこれまでの男性経験の人数を示している。
「あまりに多くて途中で数字で書き直されてもいますね。一体、何人の男とセックスをしたのですか?」
さすがの柚希自身も、一体何人としてきたのか数えていなかった。数字で書き直されたのは50人を超えた時からだ。『2 / 10 処女喪失』の下に『50』と書かれている。柚希はその下に書かれた正の字と余った線をゆっくり数え、50に足した。
「よん、じゅう………………はち……だから、98人」
「もうすぐ100人超えか。ピルを飲んでいなければとっくに孕んでいたね。さぁ、言うんだ」
柚希は深呼吸をした。思い浮かべた言葉は、柚希が今まで口にしたことのないような下品な物だった。しかし、それを言うことにもう、ためらいはなかった。
彼女としては、早く楽になりたかった。
快楽へと逃げたかった。
両手で淫裂に肉を押し広げ、膣内の真っ赤な色が見えるようにした。すでに、ぬらぬらと愛液で照っている。
「うちの生まれたての卵子、アドミラスにあげる。せやから、お願い、他の男が割り込む余地の無いくらい……あんたのザーメンをぎょうさんうちの子宮に飲ませて……ほんで、確実に妊娠させてぇ♥」
柚希の関西弁のスイッチが入った。
その言葉を言い切った途端、アドミラスは背後からあまたの触手を生み出した。21の魔物と融合を果たした彼の躰は、見たことの無い異形に変化する。しかし、その触手は、今まで散々柚希を陵辱してきたものだった。
その触手達は、次々と柚希の躰を絡め取ってきた。両手両脚に絡みつき、柚希の躰を軽々と持ち上げた。彼女の躰を仰向けの状態にし、脚をM字型に広げた。
「おや、以前より体重が軽いですね。この一ヶ月のストレスで大分減ったようですね」
「……昨日計ったら、45.1 kgやった」
つまり、柚希がクリント達と出会ってから6 ㎏以上落ちたことになる。
「すぐに増やしてあげるよ。赤ん坊の体重で良ければ」
「うん、それでもええ」
アドミラスは自身の肉棒を取り出した。21の魔物のどれかの影響からか、その形は明らかに人間のそれは異なっていた。あちこちがぼこぼこといぼが出来ているうえ、かなり反り返っていた。
――めちゃ大きい……前見たときよりも……ずっと……。
「この性器はとある淫獣のものなんだ。これはちょっと変わっていてね」
そう言いながらアドミラスは、その剛直を柚希の淫裂へと突き入れた。
ズボォッ――――
「いぎい゙ぃ゙ぃ゙ぃぃぃぃぃっ………………!」
それこそ獣のような声を柚希は上げてしまった。
それも当然。恐ろしいほど太くいびつな肉棒が、柚希の狭い膣内をごりごりと擦り上げながら進み、一瞬のうちに子宮口を押し広げて中へ侵入してしまったのだから。
「おぅっ……おっ……んぎ……」
――息が……でけへん……。
プシャッ……プシュウゥゥ……プシャッ、ピュゥッ……
陰部から潮を吹きながら、柚希が絶頂を迎えていた。たった一度挿入しただけなのに、五回ものオーガズムが彼女を襲った。
「いい顔だよ、柚希。もっと歪ませてあげる」
アドミラスは、その巨根を容赦なく抽送させ始めた。
「おぐっ、あっ♥ んあぁ、ひぅ、ゔぅ゙、あ゙あ゙ぁ゙ぁ♥」
日常で出さないような大きな声で、柚希は啼き始めた。その日常との大きなギャップに、アドミラスはさらに肉棒を太くした。
ズゴッ、ずぶぶっ、グボゥ、ズチュッ――――
いびつな肉棒を巧みに動かし、効率的に柚希へと快楽を刻んでいった。
――ああ……脳がとろけてまう……。
柚希は次から次へと脳へと伝達される快感に、完全に魅了されてしまっていた。理性は吹き飛び、思考はかき消える、そんな快楽に浸りきった。
「これまでの陵辱に耐えてきた柚希は、まだこんなものじゃ満足しないじゃないか?」
「はぇ……?」
アドミラスが生み出す触手の数が倍増した。その一本は、柚希の尻へと伸びていき、菊門へと割り入ってきた。
メリッ――――ズブゥゥゥ…………
「お゙ゔぅ゙ぅ゙ぅっ…………あぎぅ、ひぃ……♥ し、尻……♥」
うねうねとうごめく長い触手が、直腸の奥へと入っていく。必要以上に動くことによって、少し動く度に柚希の神経にたたきつけるように快感を刻みつけていった。
「もっと見栄え良くしてあげるよ」
アドミラスはするどい爪の生えた手を、柚希の躰の上で何度も翻した。
ピッ――――――
勇者の服の至る所が無残にも破れていった。しかも、肌だけには決して傷一つ付けず、布地の部分だけを引き裂いた。さらにアドミラスは、触手で彼女の手足の防具も丁寧に外していった。
「無残で美しいよ、柚希」
「ふあっ…………んん……♥」
さらに触手は増えていた。一本はピンク色の乳首が見え隠れする胸へ、一本は汗ばみ湿気が高い脇へ、一本はすぐにでも折れてしまいそうなほど細い首へ、一本はだらしなく開けられたよだれが垂れる口へ、そして一本は、彼女の性感帯である大きな尻へ、それぞれが別の意思を持つかのように、それでも彼女に快楽を与える目的だけは共通しているようにうごめいた。
それ以外にも、今か今かと柚希を陵辱せんと待ち望む触手がたくさんいた。
「私の触手は36本。それら全てが、以前ファッションビルで柚希のお腹を膨らませたほどの量の精液を放出可能です」
その言葉で、以前の記憶がフラッシュバックする。
あのときも触手に絡め取られ、口に差し込まれた触手の先端から、それこそ妊婦のようになるまで体内に射精された。
ジョロジョロジョロジョロ………………
柚希は、想像だけで失禁してしまっていた。想起された快楽が、尿道を緩ませたのだ。
「あっ……ひぅ……あ、あかん…………おし、っこ……」
「嬉しょんか? 犬みたいだね、柚希」
ボキュッ――――
アドミラスが腰の律動をさらに速めた。それと同時に、触手が彼女を陵辱するペースも跳ね上がった。破れた服の上から犯すものもいれば、その服の下に潜り込むものもいた。触手それぞれが独特の粘液を表面に有し、それが潤滑油となり柚希に更なる快感を与えた。
全身から甘く強烈なしびれが襲っていた。その快楽の奔流に、柚希は思考を放り投げた。
「お゙ゔぅ、んぎぃ♥ はうっ、んなっ……あ゙あ゙ぁ、ほぐぅ♥♥」
柚希はこの時、全てを忘れていた。
愛する刃更を裏切ってしまったことも、大切な妹を守れなかったことも、一緒に戦ってきた仲間が今どうなっているかも、学校で自分がどんな扱いを受けているのかも、全てがどうでも良くなった。
全ての悩みを、快楽に溺れることで消し去っていた。
「出すよ、柚希」
「ええよ、ら、らして……中にらして、うちをはらませてぇ♥」
限界まで膨らんだ肉棒が、柚希の子宮を中から力一杯に押し上げた。その瞬間――――――――精が弾けた。
ビュルルルルッ、ビューッ、ビューッ、ブジュゥゥ
アドミラスの肉棒と36本の触手の全てが、柚希に向かっておびただしい欲望をぶちまけた。
「んあ゙ぁ゙ぁ、い、イグッ、お゙ゔぅ゙ぅぅ♥♥♥♥♥」
ビュルン、ドクン、ドクン……ビュググッ
射精は一向に止む気配を見せず、柚希を汚すべく次々と精をさらした。激しい絶頂のほとばしりが柚希の躰を駆け巡り、思考を軽々と吹き飛ばした。
ぶじゅる、ビュク、ビュルルッ、ドブドブゥッ、ビュグン
「あ、あ゙ぁ゙ぁ゙あ゙ぁ゙あ゙あ゙ぁぁ、で、でとる……、うぎぃ゙♥ あ、あづいぃ……はあぁ♥ お゙ゔっ、はぎゅぅ……♥」
肉棒から放たれる精液は、どんどん子宮を占領して肥大させていった。ドクドクと子宮に注ぎ込まれるアドミラスの欲の感覚が、余すところなく快楽へと変換されていた。
精液は柚希の口の中までも犯した。喉の奥へとと流しこまれる白濁液の激流を、その強烈な臭い感じながら必至に飲み下していく。そして、一度喉を鳴らす度に絶頂した。追い討ちのように、水色の髪や青い勇者の服も、精の汚い白さで汚されていった。
「あが……はっ……♥ いぐ…………いぎ、っぱなし……や……はぁん♥」
36本の触手から放出される精液の量は凄まじかった。広い湯船をどんどん満たしていき、ついにはアドミラスの膝の高さまで満たした。
プシュッ…………ジョボボッ……
浴室には、オスの精の生臭い臭いで充満し、柚希はそれを嗅ぐだけでも潮を吹き、失禁もした。
ボチャン
柚希は触手から解放され、精液風呂へと落下した。彼女が座った状態だと、精液は膝ぐらいの高さまでだった。
「あぁ…………ええ臭いや……」
妙に脳が痺れていた。それが気持ちよくて、柚希は両手で精液をすくい取り、口へと流しこんだ。
「ん…………んっ♥ ん……こくっ……こきゅっ……んくっ……♥」
それは、久しぶりのアドミラスの精液の味だった。
――こんなに……おいしかったっけ……。
柚希の精神から『躊躇い』というストッパーが外されたために、精神は一気に堕ちていった。
――あぁ……あったかい……。
自分の淫裂に指を添えて、思いっきり押し広げた。膣内まで指を入れ、子宮まで精液がしっかり入るようにした。
ぽこっ…………。
精液の液面に気泡が浮かび上がった。体内に残っていた最後の空気が押し出されたのだ。これで完全に、柚希の膣と子宮はアドミラスの精液に満たされた。排卵日の柚希の卵子が、これで無事なはずがなかった。
――絶対、妊娠、した…………これ……。
全身を包み込む精液の熱に、柚希は心から浸っていた。少し冷静になってきたためか、関西弁スイッチも切れた。
「柚希、立ち上がって」
「? うん……ちょっと、待って」
立ち上がろうと力を入れてみるが、完全に腰が抜けてしまっていた。腹部が膨らむほどの精液の重さも相まって、柚希は全く動ける気がしなかった。
「仕方ない」
アドミラスの触手の一本が、液中の彼女の陰部に入り込んだ。
「ひぅ…………ま、待って……今、イッたばかり……」
しかし、アドミラスは彼女の言葉を無視し、触手を膣内に突き入れ、そのまま彼女の躰を持ち上げた。
「はぐっ、あぁ、へあっ……♥」
全体重が子宮口にかかり、それだけで絶頂してしまった。
ザパッ…………
精液風呂から持ち上げられた柚希の下腹部、ちょうど子宮のある部分に、真っ赤なハート型の模様が浮かんでいた。
「…………これは?」
「この性器はちょっと変わっていると言っただろう? この持ち主の魔物は、どんな生物のメスでも孕ませるほどの生殖能力を持っている。そして、孕ませた相手に、その証拠の文様を刻み込む。マーキングのような物だ。この模様の縁に沿って線が刻まれているだろう。何本ある?」
「え……何本? んくっ♥ え、ええっと……一、二……三本」
赤いハートの模様の中には、縁に沿って三重に線が描かれていた。
「そうか、つまり私が打ち込んだ排卵誘発剤はしっかり効いているようだな」
「さっきの……?」
「その線の数は、受精卵の数だ。薬によって異常排卵が起きて、それら全てが私の精子で受精したと言うことだ」
「っ…………つまり、三つ子」
「そういうこと」
たった一度の行為で、柚希はアドミラスの子供を3人も孕んだのだ。
「……………………そう、ふふふ……」
なぜか笑いがこみ上げてきた。自分の大切な物を、自分が予想する以上に、アドミラスに奪われてしまったことに、妙な充足感を覚えたからだ。
柚希は自分の胸を手で持ち上るように触って見せた。
「アドミラス……もっと、うちを犯して♥」
口角を上げたアドミラスは、柚希の口にキスをした。
「んちゅっ…………むぅ……はむっ……♥」
「学校が始まるまで二日ある。それまで、気の済むまで犯してあげるよ」
36本の触手と男の一本の肉棒が、柚希に向けられた。
こうして、来週から始まる学校生活の意味合いがこの日から一変した。
快楽に負けることを選んだ柚希にとって、精神をすり減らす悩みなど、無いも同然だった。
かなり長くなりました。
半分に切ろうかとも思いましたが、結局はこうなりました。
と言うわけで、刃更は退場、柚希は陥落する話でした。
次こそ、予告にあった澪編を上げる予定です。
縁があれば、「人間牧場」をお楽しみに。
-追記-
本来なら本文中に入れたかったものですが、書いてしまってから本文は制服でなく勇者服だったと気づき、仕方ないからここに載せます。
【挿絵表示】