孕ませ合宿の前に妊娠することに成功した柚希。
しかし、突如登場したヴァンパイアに、全てが引っかき回される。
~3月14日~
クリントは聖ヶ坂学園の屋上に立っていた。いつものように人さし指で手遊びをしているが、その顔は何時もと違って少し険しい。といっても、印象としては遊んでいた玩具が少し汚れてしまった程度の不機嫌さだ。
「な~んかおかしな気配が僕のテリトリーに混じってるなぁとは思ってたんだよね。でも、そう考えると色々合点がいくんだよね。イノシシ型の魔物も、君の仕業だったのかな?
久しぶりだね、ヒューバート」
屋上の扉がゆっくりと開けられた。そこに立っていたのは、金髪で長身の青年だった。口の端からは八重歯が見え隠れし、不気味に笑っている。
「えぇ、お久しぶりです、クリント様。ワタクシを貴方の配下にしてくださる気になりましたか?」
「えーやだー」
即答のクリント。その顔は珍しく苦々しい。
「ふふふ、相変わらず自由奔放な方だ。まだそんな小さな躰で子供のまねごとをしているのですか? あの兄弟の中で、貴方が一番年上だというのに」
「僕はね、遊び心を忘れないだけなんだよ」
「淫魔と神族の血が流れる貴方にとって、本気でなく『遊び』にしないと周囲全てを壊してしまうからでしょう?」
「買いかぶりすぎだよ。僕をそんなトラブルメーカーみたいに言わないでよ」
「貴方に認めてもらおうと、クラレンスを殺して見せたというのに、それでも貴方は顔色一つ変えなかった」
「そっちが勝手にやっておいて、なにこっちが悪いみたいに言ってんのさ。それにクラレンスお兄ちゃんは結局殺せてないでしょ」
そこで初めて、ヒューバートの笑みが少し陰った。
「そうなんですよね。あのむかつく男……このワタクシがじきじきに手を下したというのに、まさか姉の中に精神だけで残留するなんて……ゴキブリのような生命力ですね」
「先日クラレンスお兄ちゃんがこっちの世界に来ちゃったことが良い宣伝になっちゃったんだね。まさか、君がこっちの世界に隠れてるなんて。知ってたらクローディアお姉ちゃんも計画を変更してただろうに。それで? 後ろに連れてる女の子は何だい?」
「おや……見えていましたか」
「僕にヴァンパイアごときの暗示は効かないよ」
ヒューバートの陰に隠れていたのは、聖ヶ坂学園の制服を着た男子生徒だった。いや、男子生徒にしては容姿が女性的すぎだった。しかも、さらしを巻いているようではあるが、胸の膨らみを隠し切れていない。明らかに女子生徒が男子生徒の制服を着ているようだ。
彼女の瞳は、赤くきらめき、しかしどこかうつろで正気ではなかった。
「この子は学園に潜んでいた同族ですよ。名前を橘七緒といいます。同族といってもはハーフですが……まぁ、今はもうワタクシに従順な奴隷に成り下がっています」
「ヴァンパイア得意の暗示かい? 確か『魔眼』と言ったか。同族にも効果があるんだ。それで、今回君はこの学園で何をしようと言うんだい?」
クリントの問いに、ヒューバートはシニカルに笑みを浮かべた。
「面白いことですよ。クリント様を楽しませる、極上の見世物です」
***
柚希は自室の姿見に向かって立っていた。
学校の制服に身を包み、髪に乱れがないかを確認する。考えてみれば、澪が行方不明になってから髪を切っていなかった。前髪は自分で整えているが、後ろの方が結構伸びてきた。
「そろそろ切らないと……」
「長い髪も似合ってるよ、柚希」
いつのまにか背後に立っていたアドミラスが、柚希の耳元で囁いた。たったそれだけの行為で、柚希の下腹部がきゅんと疼き、背筋に甘い痺れが走った。
アドミラスの手が、彼女の制服の裾とスカートの腰元の金具に伸び、上下のそれぞれ広げられた。それにより、柚希の下腹部があらわになる。
そこには、真っ赤なハート型の文様が浮かんでいる。
――――ジン………………
その文様は、自分がアドミラスによって孕まされたことをまざまざと知らせる刻印だ。自分が誰かの物になったという事実が、これほど甘美で心地よいなんて知らなかった。
「今日はあの人間達から呼ばれているんだろう?」
「…………」
無言で柚希は頷いた。
彼女の携帯には、昨日連絡が入っていた。他でもない堂上からだ。内容は以前から告知されていた『孕ませ合宿』への招待だった。
高校生が一般に部活等の合宿をする場合、実行と場所を学校側に許可を取るなど色々な手順が必要だが、もちろんそんなことを彼らがするはずはない。内容も内容だけに、秘密裏に開催されるだろう。
場所は聖ヶ坂学園にある学食は教室棟とは別の建物にあり、その一階を学食の施設として使っている。そのほかに、二階部分もあり、そこは色んな部活が合宿に仕えるフリースペースになっている。広い大部屋に、シャワートイレを完備している。
堂上は、『孕ませ合宿』の場所をそこに指定してきた。柚希は放課後、そこに来るように言われている。
――そこで、私を孕ませようと沢山の人間が来る。
「しかし、今の君は私の子を孕んでしまっている。彼らがいくら君を犯そうと、君は誰の子供も身籠もることなどない」
「……うん、せやな」
――犯されることを我慢すれば、それでいい……。
本来、もうすでに柚希はクリントやアドミラスに従う理由がない。刃更が捕まっているとは言え、それには彼女自身が加担してた訳であり、守るべき胡桃の純潔も、当然自分の純潔もない。強いて言えば、仲間の命を握られていると言えなくもないが、クリント達が彼女たちを殺さないことはもうすでに分かっている。そして、柚希はすでに胡桃どころか、澪も、万理亜も、そしてゼストも、純潔を守る事はおろか妊娠までしていることを知らされていた。
柚希にはもう守る物はなかった。それでも彼女がクリント達に従う理由はなにか。
それはある意味単純だった。
彼らの言葉に従えば、もう何も考えなくて良いからだ。柚希の精神はかなりすり切れていたのだ。だからこそ、この状況を受け入れ、ただの傀儡になることを選んだ。これ以上彼女の精神に負荷をかける何かが起これば、きっと壊れてしまうだろう。
そして何より、柚希はアドミラスに犯されることにすでに抵抗がなくなっていた。むしろ、犯されることに悦びさえ感じていた。
――でも、学園のやつらにされるのは全然慣れない……それはきっと――。
学園の男達は、明確に黒い欲望を満たすためだけに、ただそのためだけに柚希を陵辱している。彼女を人間扱いせず、優しさの欠片もない。。それに対してアドミラスは、始まりはクリントの命令で柚希を犯すようになったという点で彼らとは違う。もちろん、彼もその行為を楽しんでいるのは間違いないが、彼の行為には強引さの中にも紳士さがあった。
それが、柚希にとっては嬉しかった。ただ欲望を満たすためだけの存在ではなく、一人の人間、野中柚希として見てくれている気がした。実際のところどうかは分からない。しかし、柚希にとっては錯覚でも、それが何よりも心の支えだった。
――だから、学園の男たちに孕まされることがなくなったのは、何より嬉しい……。
「ねぇ、アドミラス……うち――――――」
その時だった。
姿見越しに見えている部屋の扉が、気配も、音もなく開いた。しかし、空いた向こう側には誰も居なかった。誰も鏡に映っていなかった。
「っ…………!」
柚希だけではない。アドミラスも同様にその光景を鏡越しに見て驚愕した。そして、同時に二人は扉へと振り返った。
そしてそこには、誰も居ない――――なんてことはなかった。
金髪で八重歯の目立つ青年が笑って立っていた。その目は、赤くきらめいていた。
「ワタクシの名前はヒューバート。世にも珍しき吸血鬼です」
*
*
*
「アドミラス……うち、抱いて欲しい。学校に行く前に……もう一度だけ」
柚希は背中に感じるアドミラスの体温を感じながら、自分の願いを素直に言った。
「もう学校に行く時間だ。クリント様に日常はしっかり送らないといけないと言われているだろう」
「それは……」
確かにそう言われている。しかし、このまま学校に行けばおそらく、出会い頭に犯されるような学校『性』活が始まり、その放課後にはいよいよ堂上曰く『孕ませ合宿』が決行されてしまう。
いや、それもクリントの目的なのだ。それを何も言わずに受け入れることを、言外に求められているのだ。
温情はないかと柚希はアドミラスを見た。
チクッ――――
「っ!」
アドミラスが急に柚希の首元に触れ、その瞬間軽い痛みが走った。
「そんな顔してもダメだよ。さぁ、準備をして行くんだ」
そう言ってアドミラスはふっと姿を消した。
仕方なく、柚希は机の上に置いた二本のバイブを手に取った。先ほどの痛みが何だったのか訊くタイミングもなかった。しかし、結局は大してことないと判断し、柚希はそんなことすぐに忘れた。
陰部はバイブを入れる前からすでに濡れていた。
***
柚希は学校について、すぐに犯されると思っていた。しかし、今日は誰も彼女を見ても襲うようなこともなく、呼び出しも一切なかった。生徒だけでなく、いつも犯されている鬼山を始めたとした何人かの教師からも犯されることがなかった。
――もしかして……。
嫌な予感が浮かんだ。
結局、何事もなく、何も起こらず、時間は放課後になった。
指定された時間になったが、柚希はただ一方的にされるつもりはなかった。
確かに柚希は、もう失う物はなかった。その経緯で、クリント達に言いなりになるのは仕方ないように思えた。しかし、だからといって堂上達に従う理由はどこにもない気がした。彼らが行おうとしていることは、どう見てもクリント達の言う日常から逸脱している。思い返せば、クリント達は一度も、堂上に従順になれとは言っていない。
――そこが、抜け道になる。
別に勇者の力を使うだけが、堂上達への抵抗ではない。ただ一般的に、一人の少女が陵辱されそうになって、そして抵抗するだけなら良いはずだ。
幸い、クリントの能力は学園内に限られている。この世界に警察機関に訴え出れば、阻止は出来ずとも時間稼ぎにはなる。そしてその行為は、至極一般的な物に見えた。
――私の痴態は、もうネットにさらされてる。だからこそ、もうそこは脅しには使えない。刃更に知られることも、もう考えなくて良い。
警察機関に訴え、そして堂上達を社会的に抹殺する。それは一番まともな方法だった。
だから柚希は、このまままっすぐ警察に駆け込むつもりだった。何食わぬ顔で学校を出て、そのまま交番へと足を――――――
気づけば、柚希は堂上達が指定した学食棟の前にいた。
――え……どうして私……。
意識としては学校を出るつもりだった。なのに、なぜか足は勝手に孕ませ合宿の会場へと向かっていた。そして、そのことに彼女は、途中まで気づけなかった。
「逃げなかったな。まぁ、校門にも見張りを付けてたから、逃げられはしなかったけどよ」
入り口には堂上がいやらしい笑みを浮かべて立っていた。
「ようこそ、肉姫。孕ませ合宿へ。来てくれて嬉しいぜ」
――違う。そんなつもりじゃないのに……。
堂上は柚希に近づき、尻に触れてきた。
「っ……!」
「入れよ、もう皆お待ちかねだ」
一階の学食はすでに誰もいなく人の気配はなかった。しかし、二階には沢山の気配があった。
――一体何人が来ているの? いや、そんなことより……早くここから逃げないと……。
そう思うも、なぜか柚希の足は堂上に促されるままに建物の二階へと上がってしまった。そして、自分から突き当たりの扉を開けた。まるで、見えない何かに導かれているようだった。
「っ…………」
そこには、かなり多くの男達がいた。生徒だけではない。教師も複数名いた。生徒指導の鬼山は当然として、数学教師の
――あれは……この学園の校長に……理事長……。
三人の教師の前に、壮年男性と老年男性がいた。名前は確か、校長が
、理事長が
学園のトップが、生徒達を咎めることなくここにいる。それはつまり、学園そのものが、もうすでに柚希の行為を黙認しているということ。
「想像以上に大勢が集まったんだ。今ここには30人しかいないが、途中参加や明日明後日に来る予定のやつらを含めると、生徒だけで172人、教師や理事長は9人が総勢で来ることになっている。まぁ、孕ませ合宿は今日から一週間もあるんだ。上手いこと回せるだろう。さて、誰の子供を孕むかな。絶対に分からないだろうがな」
柚希は今までに合計で、98人の男と性行為をしてきた。メンバーが重複するとしても、このままでは少なくともあと80人以上と行為をすることになる。
――確かに……危険日にこんな人数相手にしてたら、本当に誰かの子供を孕んでしまう。いや、それよりも……どうして私の躰……思うように動いてくれないの?
動揺を精一杯抑え、柚希は無表情に男達に向かった。
「肉姫、それじゃ脱げ」
「っ……」
そう言われてもちろん、言うとおりに脱ぐわけがない。しかし、もしかしたら勝手にここへ足が向かったように、勝手に躰が服を脱ぐかも知れないと思った。
「…………」
しかし、そこは予想に反して、いや、自分の意志の通りに、服を脱ぐようなことはなかった。それはそうだ。柚希自身は決して、服を脱ぎたいとは思っていないし、そうしようともしていないからだ。
――なんだったの? さっきのは……。
ドゴッ――――
「がはっ……!」
唐突に鳩尾に衝撃が走った。痛みと息苦しさで思考が停止する。堂上が殴りつけてきたのだ。どうやら柚希の動揺を、彼は反抗の意志と捉えたようだ。にやけていた顔が急に険しくなっている。
「今更抵抗しようってのか、えぇ⁉」
堂上は柚希の髪をひっつかみ、引き倒した。
「ぐぅ……」
うつ伏せに倒れた柚希の後ろ側に回った堂上は、彼女のスカートをたくし上げた。それにより、両穴に入れられたバイブがあらわになる。
「おぉ!」
何人かがその光景に声を上げた。柚希が普段からバイブを挿入して生活をしていることを知らない人もいるのだろう。
「この淫乱肉壺がぁ!」
堂上は両方のバイブを掴むと、スイッチを『強』にして深く挿し直した。
「ひぎゅうぅぅぅ!」
下半身が持ち上がるほどの押し上げに、柚希はすぐに絶頂してしまった。
プシュッ――――プシャァ
執拗に押し上げ、かき回すその行為に、柚希は何度も何度も快楽の噴水をまき散らした。
「あぎぃ……い、いき、なり………………んあぁぁ!」
「お前の弱点は全部知ってんだぜ、肉姫」
堂上は膣に入っている方のバイブを引き抜くと、続けざまに自分の肉棒を挿し入れた。
――入って……きたぁ……。
アドミラスの次に頻繁に入れられている肉棒だ。当然形は覚えてしまっているし、躰の相性も決して悪くない。
こうなってしまっては柚希にはもう抵抗が出来なかった。絶頂で全身に力が入らないし、すでに躰は快楽を教授する準備が出来てしまっている。
――でも……だからって……このままされるわけに……。
「主催者の俺が一番乗りなのは当然だよな。肉姫孕ませ一番乗りだ。どうだ、嬉し――――――」
その時、堂上の声が途絶えた。
「?」
おかしく思い彼の方を見ると、堂上はうつろな目で虚空を見ていた。性器を挿したままで動き一つ見せていない。周囲を見渡せば、他の男達も同様だった。
「何が……」
「ちょっと待ってもらってるんだ。君に伝えておきたいことがあってね」
柚希の目の前に、ジーパンにTシャツ姿の男が立っていた。日本人離れした金髪に、口の端から八重歯が見えている。間違いなく魔族だ。
「いつのまに……あんたは…………誰……?」
「あれ、覚えてないですか? まぁそうですね。暗示をかけるとその瞬間の記憶が無くなってしまう人がほとんどですからね。それじゃ改めて自己紹介しましょう。ワタクシはヒューバート。希少なヴァンパイアの一族です」
「ヴァンパイア……」
その名前は誰もが知っているような有名なものだ。魔族の一種で、実際に存在する種族だ。しかし、さしもの柚希でもあまりヴァンパイアについての知識は持っていなかった。有名すぎるほどの有名な血を吸うという行為は当然としても、強力な『暗示』を相手にかけることが出来るということしか知らない。
「暗示……まさか、私に……」
「その通り、君が逃げ出さないように、放課後にこの場所に来るように暗示をかけていたのさ」
「クリントの仲間?」
「ん~そうとも言うけど、まだ違うともいいますね。少なくとも、君がお気に入りのアドミラスとかいう魔族はワタクシのことを知らない。邪魔になるから、仕事だけしてもらって今は退場してもらってますけど」
「退場……」
――つまり、今アドミラスはここにいない……。
「仕事って……」
「ワタクシの目的はクリント様を楽しませることです。そのために、あの魔族には君に薬を打ってもらいました。正確には、君に薬を打つように暗示をかけさせてもらった。彼も無意識に、でも確実に仕事を終えてくれました。以前にも経験があるでしょう」
「?」
「排卵誘発剤ですよ。チクッとしたでしょう?」
「っ……!」
その痛みには覚えがあった。ほんの一瞬だったが、今朝彼に抱きしめられたとき、チクリと首筋に痛みは走ったのを思い出した。
――まさか、あれが……。
「っ…………でも、私は……」
「ホルモンの操作をすれば、例え受精してても排卵は可能なんですよ。彼が君との行為で打った濃度は、一時間に一個卵子を排出し、そして二時間もすれば効果が切れるものでした。だから君は、元々排卵していた分も含めて三つの受精卵をお腹に抱えることになった。だけど、朝に僕が打たせた薬は、そんな薄い濃度ではない。一時間に一個卵子を排出するのは同じだけど、その効力は長い。その期間は一週間」
「一週間…………」
「つまり、君は一週間の間、一時間に一個排卵する。最終的に170個近く排卵することになります。今は午後五時。今朝七時頃に薬は打ったから、現在君のお腹には、十個の卵子があることになりますね。当然、すでに孕んでいるとしても、射精されればさらに受精してしまうことでしょう」
「っ………………そん、な……こと……あり得るはずが…………」
ビュルルル……ドクドクッ、ビュルン
「え…………?」
膣内に入ったままの堂上の肉棒が、いつのまにかその精を吐き出していた。じわじわと膣内を、そして子宮を満たしていく。
「おや、よほど君の中が気持ちよかったのですね。暗示で意識を止めていても、躰の方は我慢の限界だったようですね」
「うそ……そんな、いや、いや…………うそや」
「あぁあ、沢山排卵しちゃってる子宮に、その男の精子が泳いじゃってますよ」
「いやぁ、いやや! せっかく……せっかくアドミラスの子供を妊娠したのに!」
さすがの柚希でも、動揺が隠せなかった。次々と涙が溢れ、必至にもがいた。
「おっと、逃げんな」
唐突に堂上が動き出し、柚希が逃げないように押さえつけた。気づけば、ヒューバートの姿はどこにもなく、周囲の男達も元に戻っている。暗示が解けたようだ。
「待って……待ってお願いやからぁ! もう出さんといてっ……」
「くそ、この俺がもう出しちまってた。もう一回だぁ!」
堂上は柚希に覆い被さり、後ろから抱きついた。腰だけを器用に、そして激しく動かした。中に吐き出された精液が泡立ち、結合部から溢れた。
「いやぁ、もう抜いてぇ! あぁぁっ、あっ……はぁっ……ん、やぁ! あんたの子供なんか妊娠したない!」
さっきまであった柚希の余裕は、もうどこにもなかった。いつもなら甘えるときにしか出さない方言も口を突いて出てしまっている。
刃更を裏切ってまで保身を選び、アドミラスに抱かれることを選んだ。堂上達の子供だけは妊娠したくなかったからだ。しかし、これでは本当に、誰の子供を妊娠するか分からない。
「一体……うちは何のためにぃ……ごめん、刃更……」
必至にもがいた。しかし、頭は押さえつけられ、さらにのしかかられてるため身動きが全くとれない。完全に固定された躰に、堂上の肉棒が何度も突かれ続けた。亀頭が子宮を押し上げ、その入り口をこじ開けた。それだけでない。堂上は彼女の菊門に刺さったままのバイブを持って、そのままかき回した。
「ああぁぁぁっ、んぎぃっ、はぁっ!」
弱点を責められたことで、いとも簡単に彼女の子宮は一番浅いところまで降りてきた。もう完全に、精を受け入れる準備が万端になってしまっている。
「そろそろ出すぞ、もう一回出すぞ!」
「いやぁぁ、もう止めてぇ! 出さんで! んあ゙ぁ、おぅゔぅ、あぁっ、これ以上、かき回さないで……あぁ! 助けて……ばさ、ら……助けてよぉ」
柚希の顔は涙でぐしょぐしょだった。ここまで泣き叫ぶ柚希を堂上は見たことがなく、それが一層彼を興奮させた。
「なんだよ、そういう反応できるんじゃねえか肉姫さんよぉ!」
そして、ついに堂上に二度目の限界が訪れた。
「孕め肉姫ぇ!」
「い、イグッ……ん、ぁ、いやぁ、イキだくない゙っ……んあぁっ、抜いでぇ、いああぁぁあぁぁ!」
ビュルビュルビュルッ、ビューッ、ビュググゥ、ブジュル、ドクドクッ……
おびただしい量の精液が、柚希の中へと注ぎ込まれていった。相手を孕ませるためだけに、己の遺伝子を残すためだけに、子宮を汚していった。
「あ゙ぁ゙……出とる……ほんまに、妊娠してまう……うぅっ、あぁっ……イグッ……」
射精を受けながら、柚希は快楽の奔流に呑み込まれた。
「それじゃ、次は私でいいかな? この場所を手配したのは私だよ」
そう言い出したのは、学園の理事長だった。
「ちっ……いいっすよ」
少し不満そうに、渋々堂上は柚希から離れた。
ブビッ……
淫裂から逆流した精液が溢れだした。それにかまわず、理事長の聖ヶ坂はすでにパンパンに膨らんだ肉棒で柚希を貫いた。
ズププッ
「うそ……また……」
「まさか、こんな年になって君のような若い女とやれるなんてね!」
力の入らない柚希を仰向けに倒し、理事長は正面から彼女の胸を触り始めた。
「さすがの若さ。こんなに張りがあるなんて!」
「やめて……触れんといて……やぁ――――むぐぅ!」
理事長は柚希の唇を奪った。強引に舌を入れ、唾液を流しこんできた。その間にも、抽送は激しさを増していく。
――臭い……うぅ……。
「おぐっ……あぁ――――」
ブジュルルッ、ドクッ、ビュルルルルッ……
男の欲望が、また柚希の子宮で爆発した。
「また出とる……もう止めてぇ。えぐっ……うぅぇ……」
柚希はまるで子供のように泣きじゃくった。彼女の精神を支えていた柱は完全に崩壊してしまっていた。
何十人、何百人もの子供を一度に孕むことなど、全く想像できなかった。自分の躰がどういうことになるのか、どうなってしまうのか、柚希には絶望しかなかった。
「おい肉姫。まだ二人目だぜ。合宿は一週間を予定してんだぜ。あぁ、ちなみに、合宿中はお前、授業に出たり家に帰ったりしたらダメだぜ。ずっとここにいるんだ」
「そんなぁ…………助けて……うち、もう……」
次の順番待ちをしていた男が、柚希に覆い被さった。
***
堂上の宣言通り、その行為は一週間続いた。
男達は来たいときに自由に来て、そして柚希を犯した。一晩中いる者や、自分の番が終わったらすぐに帰る者。昼間の方が人数が増え、授業をサボって柚希を犯しに来る学生で部屋は溢れた。次から次へと、ひっきりなしに男達は現れ、そして柚希を犯していった。
柚希に休憩時間など与えられることはなく、ほとんど反応する力が無くなっても侵され続けた。当然、トイレに行く隙もなく、犯されながら尿も便も垂れ流した。
一週間の間、口にしたものはほとんどが男の精液ばかりだった。たまに柚希に食べ物を運んでくる男もいたが、彼らも例外なく彼女で欲望を満たして帰って行った。
柚希は完全にされるがままだった。抵抗する体力はとっくに残っていなく、精神的に追い込まれ、考えることも放棄した。合宿の最後の方は、何をされても声一つあげることがなくなっていた。
***
~3月20日~
「ん~死んじゃいました?」
誰も居なくなった部屋の真ん中に、柚希は倒れていた。その前にヒューバートが立っていた。彼は柚希の髪を掴んで持ち上げた。
「あぁ………………」
柚希は辛うじて目を開けた。しかし、視界に入った男がヒューバートであることに気づいていないようだった。
「さすが勇者。しぶとさだけは凄まじい」
ヒューバートは柚希の尻を強くはたいた。
パァァン――――――
「はぎぃ゙い゙っ」
プシャッ…………ジョロジョロジョロ――――
それだけで、柚希は潮を噴き、失禁した。
「面白いですね。尻を叩かれただけで絶頂をするようになってます。まぁ、それだけ元気なら良いですね」
そう言うヒューバートの瞳が、赤くひらめいた。彼は、柚希に何かの暗示をかけたのだ。
それと同時に、柚希は再びふっと意識を失った。
「ふふふ、ここまで壊れてしまうとはね。クリント様もどうしてこんな女で遊んでいるのやら。排卵誘発剤の話は―――――
―――――――全部ウソだというのに」
ヒューバートは柚希を無造作に床に放り投げた。べちゃりと、精液の海にたたきつけられた。
嘘。
その通り。ヒューバートが言っていた排卵誘発剤の話は全て作り話で、柚希は決して排卵などしていないのだ。
「血液に打っておいて、一週間も体内に残る薬なんてあるわけないでしょうに」
ヒューバートは、アドミラスに何の薬品も打たせてはいなかった。ただ単に、柚希の首筋に細い針を刺しただけだった。しかし、その時の痛みは、柚希を動揺させるには充分すぎる効果を示した。
「思慮深い勇者だと聞いていましたが、冷静な判断も出来ないくらい弱っていたという――――――おっと」
ヒューバートは即座に後ろに跳んだ。
その瞬間、部屋の窓ガラスが全て粉々に霧散した。
「…………まさか、暗示を自分で解くなんて。ワタクシは君を甘く見ていましたよ」
柚希とヒューバートの間に割って入るように、アドミラスが立っていた。その手には大鎌が握られている。彼が得意とする武器だ。
「本当に気分が悪いですよ。こんなことされるなんてね」
アドミラスはヒューバートに向かった。しかし、その瞳は強く閉じられている。
「ヴァンパイアの暗示は目を見ることでしかかけられない。ならば、目を閉じれば良い」
「理屈はそうだけど、それでワタクシと戦えるのかい」
「戦えますよ。私にはクリント様によって融合された魔物の感覚器官が備わっています。聴覚も触覚も鋭敏ですし、紫外線も感知できます。こうして目を閉じても、あなたの動きは視界で捕らえるよりも正確に、手に取るように分かるんです」
「へぇ、それはすごいや。まぁ、今までワタクシの暗示にかかってたんですけどね、君は」
「ですが、もう抜け出しています。もう二度とかからない」
「そのようで」
ヒューバートはどうってことないように笑っている。
「君、クリント様の部下ではなくて、ただのお人形なんですよね。そんな存在にワタクシが負けるはずないでしょう。ワタクシが本気になれば、君の目では追えない速さで、そこの女勇者をぶち殺してあげることだって出来るのですよ」
「これ以上柚希に手出しはさせませんよ。惚れた女を守れなくて、男は名乗れませんからね」
ヒューバートは右手を前に向けた。アドミラスも魔力を解放し、大鎌を振りかぶる。
二人のプレッシャーがぶつかり、今にも火花が散る――――そう思われた時だった。
「そこまでだよ、二人とも」
アドミラスとヒューバートの間に、突然クリントは出現した。
「クリント様…………」
「…………どうですか、クリント様。面白い見世物だったのではないですか? この女にとっても、マンネリ化しつつあった男との交尾の日々に、新しい刺激を与える結果になったと思うのですが」
「そうかもね~。でも下手したら柚希お姉ちゃん、死んじゃうところだよ。実際、結構衰弱しちゃってるし。僕としては、壊しちゃっても良いけど殺しちゃうのは良くないんだよね」
「………………確かに、その点を考慮すれば、今回は少しやり過ぎたようですね」
ヒューバートは上げていた右手を下げた。そして、考え込むような仕草をした。
「うざったいクラレンスの野郎がいますが、まぁ、嫌がらせの意味も含めて、久々に魔界に行ってみますか。ここの仕掛けはもう終えたことですし、今度はあちらでクリント様がお喜びになることを探してみますか」
クリントは面倒くさそうに顔をしかめた。
「面白いことなら僕も嬉しいけど、君ってクローディアお姉ちゃんの邪魔しそうなんだよね。それはあんまり面白くないかな」
「…………あんな弱小共を、クリント様のお近くに置いておくことすら、ワタクシとしては虫唾が走るのですが。まぁ見ていてくださいよ。今に、もっともっと面白いものをお見せします」
そう言ってヒューバートは、黒い霧になって消えた。
「あの子にも困ったものだね。まぁ…………面白いものは見れたけど。アドミラス、後は任せたよ」
そう言うとクリントも姿を消した。
「…………面倒なことになった」
アドミラスは男達の精液でドロドロになった柚希を躊躇無く抱きかかえた。
「柚希、すぐに躰を洗ってあげるから」
~3月25日~
柚希は自室のベッドで目を覚ました。目を覚ますまでに5日間も要してしまっていた。ベッドの隣には、椅子に座ったアドミラスがいた。
「起きたね、柚希。気分はどう?」
「…………アドミラス」
柚希はアドミラスに抱きついた。彼の背中に腕を回し、顔を胸に埋めた。あまりに突然のことで、さすがの彼も驚いた。
「どうしました?」
「ううん、なんや分からんけど、久しぶりな気がする。なんでやろう?」
「っ…………柚希、記憶が……」
柚希は、孕ませ合宿の期間の記憶を一切失っていた。一体それほどのストレスだったのか計り知れない。
「むう……」
柚希はアドミラスの胸に何度も顔を擦り付けた。彼の匂いを嗅いでいるようだ。
アドミラスは彼女の頭を優しく撫でた。
「そうや、うち、やらなあかんことあるんやった」
そう言って柚希はベッドから立ち上がった。
「やらなければいけない? 何のことだい、柚希?」
記憶を失った状態で、すぐにやらないといけないこととはなにか。アドミラスにも分からなかった。
「学校改革や。女は皆、男の奴隷にならなあかん。それがあるべき姿や。せやけど、あの学園はそうやない。せやから、うちが変える」
柚希はお腹がすいたらしく、何か食べ物を探しにリビングに降りていった。
「…………ヒューバート、やってくれたね」
ヒューバートが最後に柚希にかけた暗示とは、つまり彼女が言った内容なのだろう。一体これから、柚希がどういう行動に出るのか、アドミラスにすら分からなかった。
***
――あれ……着信?
リビングで一人、即席で作ったご飯を柚希が食べている最中、彼女の携帯電話が鳴った。画面を見ると、堂上達や他の男達から沢山連絡が入っていた。しかし、電話はそのどれからでもなかった。
「…………もしもし」
『お姉? 久しぶり』
「あなた…………偽物の方ね」
クリントが作り出した胡桃のクローンだ。彼女の正体が露見してから、こうして向こうの方から柚希に連絡を取ってくるのは初めてだった。
『その通り……とは言えないかな。もう私が『本物』だもの』
「…………胡桃はどうしてるの?」
『元気だよ。まぁ、その話はまたそのうちするよ。今日はね、お姉にいい話があるから伝えようと思ってさ』
いかにもうさんくさい話だった。それが偽胡桃からとなるとなおさらだ。
『お姉がこれからやろうと思ってること、私知ってるんだ。それってさ、もしかしたらお金が必要になるんじゃない?』
――何だ、知っているのか。
「…………具体的には分からない。けど、確かにあっても困らないかも」
電話の向こうで、胡桃がほくそ笑んだのが分かった。
『プロの人とエッチをして、色んな映像作品に出る仕事。私、その業界の人を紹介できるんだ。その人にお姉の話をしたら、ぜひ出て欲しい作品があるんだって。お姉ならすぐにデビュー出来るよ。もちろん、報酬も弾むって』
その額を聞いて、柚希の心は揺れ動いた。
『悪い話じゃないでしょ? 今までと同じ事をして、なのにお金がもらえるんだから』
数秒の後、柚希は答えを出した。
「それじゃ、その人に合わせて」
『良い返事だね。場所と時間を伝えるよ』
柚希は、新たな道へと足を踏み入れる。
ということで柚希編でした。
毎日投稿週間三日目です。
そして、ヴァンパイア編の第二話です。知らない人向けにもう一度説明しますと、ヴァンパイア編は四人のヒロイン(マリア、柚希、胡桃、ゼスト)にまたがって書かれていますので、この話単体では色々不完全燃焼です。しかし、マリア編と違って柚希編にはもう何度かヴァンパイアを登場させる予定ですので、縁があったら読んでみてください。
誰がどういう出方をするかは、ゼストのヴァンパイア編を見ていただくと、もしかしたら予想できるかも知れないです。まぁ、ゼスト編は明後日投稿ですけど。
ヴァンパイア編も折り返し。早いですね(まぁ四話しかないですからね)
お時間があればそちらも読んでいただければと思います。