しかし彼女の心はまだ折れていなかった。
変化の第3章。
~4日目・1月29日~
泥のように眠るとは、こういうことなのだろうと思った。
指一本動かすような体力も無く、ただひたすらに眠ることに全身全霊を捧げる。
気づけば澪は、昨晩眠った状態と全く同じ体勢で目を覚ました。夜がまばたきのうちに過ぎ去ったような感覚だった。
陽光はまだ差し込んできていないが、空はうっすらと白んでいる。朝が近いようだ。
昨日は日が暮れてからも男達に犯され続けた。その所為で股間がヒリヒリと痛んだ。まだ男のものが入れられているような錯覚が残っており、そっと触れてみるが、もちろん何も刺さってはいなかった。
躰を洗うことも許されず、全身のあちこちには乾いた精液が張り付いていた。
「……けほっ……臭い」
小屋には異臭が充満していた。
澪自身の排泄に加え、男達の放った欲望の汚泥が獣のような臭いを放っているのだ。
――今日も……犯されるのかな。
自分の肩を抱くと、震えていてひどく冷たいことが分かった。屋根があるとはいえ、魔界の季節も冬。澪の住む町ほど低温になることはないようだが、さすがに暖房設備の一つも無いのは躰が冷えた。
「女の躰冷やしたらダメなのよ……」
――そんなことも分からないで、何が子供を産ませるよ……。
その時、心の中に一つの炎が揺らめいた。
処女を初対面の男に奪われた。何度も躰を蹂躙された。尊厳も踏みにじられた。最後には、男達に妊娠させられることまで宣言された。そして、このままでは本当にそうなってしまう。
現状を受け入れる。それは、澪にとって何より大切な東城刃更を含めた、全てを諦めることと同義だ。
――こんなことで……こんなところで、諦められる訳……無いじゃない。
澪は周囲を見回した。
部屋にあるのは空の金だらいと何脚もの一人掛けの椅子だけだった。すぐに思いつくことは、何か堅いもので拘束具を壊すことだった。しかし、音を立てるのはできるだけ避けたかった。
――考えるのよ……他には……。
次に自分を拘束している金具を見た。行為のしにくさから片方だけ外されて以来、拘束は左手だけにとどまっている。鉄の細い鎖が適当にぐるぐるとまかれ、南京錠でほどけないように固定されている。どう見ても急ごしらえの拘束だった。しかも、それをくくりつけている木の柱も相当古いものだった。
もともとは人を監禁するような道具も施設もないような村なのだろう。改めて見れば、それはひどく粗末なものだ。
それでも、魔力を使えない現在、腕力はただの少女に過ぎない澪にとっては抜けることは難しい。
――何か……方法は……。
鎖は手首だけでなく手のひらも含めて巻かれている。どんなに角度を変えても抜け出せそうにはない。しかし、柱に沿って拘束の位置を上下させることは可能だった。おかげで、最低限立ち上がったり座ったりすることができる。
「っ……あれは」
澪の身長より30cmばかり高いところが、大きくささくれているのを発見した。よく見ると、柱の五分の一ほどまで亀裂が入っている。今までほとんど柱を背にしていたため気づかなかった。
――あれに引っかけられれば……。
鎖をぐっと持ち上げ、ささくれている部分に引っかけた。澪はそのまま、鎖に全体重をかけてぶら下がった。
「ふっ……んんっ!」
徐々にではあるが、鎖が細いことが幸いし、腐りかけている柱のささくれに食い込み始めた。腕力だけでは無理だったであろうが、少し飛び跳ねては鎖にぶら下がるということを何度もして、亀裂に体重がうまくかかるようにした。
――このぉっ……!
左手は鎖で締め付けられてじんじん痛んだ。けれど、目に見えて柱は、木の繊維に沿って割れていった。
「このまま行けば……」
亀裂が柱を横断してしまえば、もう南京錠があろうと鎖を抜いて拘束から脱せられる。
しかし、そう簡単にはいかなかった。
体重をかけてささくれを広げる。それは間違いなくうまくいった。
しかし、その行程が進めば当然、亀裂の位置は下がってくる。そうなれば、体重をうまくかけることが難しくなってくるのだ。
亀裂は柱の半分ほどまで割れ込んでいたが、鎖の位置は澪の胸元まで下がっていた。片手が拘束された状態では今までのように体重をかけるのはかなり難しかった。そうなれば、頼れる力は腕力に偏ってくる。
しかし、柱の半分まで割れているとはいえ、澪の腕力だけで木柱は割れそうになかった。
「まだ足りない……どうすれば……」
すぐ側には木製の椅子と金だらい。澪はすぐに椅子を手に持ち、大きく振りかぶった。
「これで……どう!」
椅子を柱に思いっきりぶつけた。けたたましい音が小屋中に響く。きっと小屋の外にまで聞こえているだろう。
この行為には当然、男達に気づかれるリスクがある。しかし、彼らが駆けつけるより先にここから逃げ出せれば、まだ望みがないわけでもなかった。
成功する確率の低い賭けであったが、澪は即座に判断して、そこに全てを委ねたのだ。
――っ……いける!
一度ぶつけただけで、柱の亀裂部分に新しいひびが入っていた。
二度、三度とそれを繰り返し、ついに四度目、木柱は中頃から見事に折れた。
「やった!」
その瞬間――小屋全体が大きく軋んだ。
――やば……。
それは当然だった。小屋を支える柱の一つをへし折ったのだ。小屋が崩れてもおかしくない。
ぎりぎりと窓枠が歪み窓ガラスにひびが入る。梁が大きく横にずれ、明らかに天井が近くなった。
しかし、変化はそこまでだった。
明らかに小屋は歪んでしまっているが、どうやら今すぐに崩壊することはないようだった。嵐でも来れば倒壊してしまいそうだったが。
今のうちに澪は、手に巻き付いた鎖をほどいた。南京錠は付いたままだが、柱が抜けた分余裕ができて、取り去るのは難しくなかった。
左手は真っ赤に腫れ上がっていた。もしかしたら骨にひびが入っているかもしれない。それでも今は良いと思えた。躰の傷は癒えるのだから。
澪は別の椅子を二つ手に持ち、窓から外をのぞいた。すぐ向こうは森になっているらしく、他の家は見えなかった。すでに朝日は出ているらしく、少し明るい。
――窓を割って出る? いや、一応扉が開くか確認してからにしよう。
澪は扉のすぐ横の壁に背をつけた。ここで男達が来るのを待ち伏せて、一撃殴るなりなんなりしてから逃げることも考えたが、さすがにリスクが高過ぎるため止めた。
そっとドアノブを回した。鍵はかかっておらず、簡単に扉は開いた。拘束しているから扉に鍵をかける必要が無いと思っていたのか、そもそもかける鍵が存在しないのか、どちらにしろ澪には好都合だった。
しかし、立て付けが悪くなっていて、三分の一ほど開いて止まってしまった。これ以上は開きそうにない。
澪は開いた扉の間から外の様子をうかがった。
見える範囲には家が何軒か見えるだけで、外には誰もいなかった。
――静か過ぎる……。
少し不審に思ったが、好機だと判断して扉の隙間から躍り出た。
息が止まるかと思った。
扉のすぐ横にゴルグがいたのだ。
しかし、彼は決して待ち伏せしていたわけではなかった。いや、待ち伏せどころか、今の彼には何もできないだろう。
ゴルグは死んでいた。
血まみれになって地面に倒れている。血液は固まり、地面にほどんとが染み込んでしまってる。
「一体……何が」
思考が追いつかなかった。どうしてゴルグは死んでいる?
そして見るかぎり、ついさっき死んだわけではなさそうだ。昨晩澪を散々犯したその直後だろうか。
「他の人達は……」
「生き残り見っけ!」
「!」
振り向くと、雷撃が目前まで迫っていた。
反射的に魔法障壁を展開する。しかし、魔法が不完全だったためか障壁はすぐに壊れ、激しいノックバックが澪を襲った。
不完全だった理由は当然、魔法を使ったことによる催淫が発動したからだ。しかし、障壁を作らなければ澪はただの怪我では済まなかっただろう。
「がっ――うぅ……はっ……」
地面に倒れ込み、思わずうずくまった。下腹部に生じた激しい疼きもあるが、完全には防ぎきれなかった雷撃の痺れで身動きがとれないのだ。
――くっ、こんな魔法にやられるなんて……。
確かに雷撃には殺傷能力こそあったが、魔法の質はそれほどでもなかった。澪が本気になれば雷撃を防ぐどころか打ち返すことも容易であったろう。もちろん、今の彼女には防ぐことすら難しい。
「あれ、本当にいたんだ。魔法を使う女の子。っぶね~殺すところだっ……うひょっ裸だ! 痴女なのかな? それとも大胆な裸族? どっちにしても聞いてたとおりだ」
立ち上がれない澪の元に、一人の青年がゆっくりと歩み寄ってきた。軽薄そうに笑いを浮かべている。
「あんた……くっ……何者、よ」
――彼らがゴルグ達が言ってた賊?
「ん~、白馬に乗った王子様にでも見える? あ、リーダー、本当にいましたよ。ガセじゃなかったんですね」
青年が後ろを見ると、道の角から複数人の男が歩いてきていた。全員が黒色の衣服で統一されている。その集団の先頭を歩く、特徴的なひげ面の男が言った。
「だから言っただろう。油断ならねえやつではあるが、俺はあいつと長い付き合いなんだ。この手の情報に嘘はねえよ」
「そうなんでしょうけど、だって俺達がこの村襲ったの半月も前じゃないっすよ? その村にまだ商品になる女がいるって、うっそだ~って思いますって」
「ガセだったら、あのクローディアって女も商品にしてやるところでしたよ」
「っ…………クローディア、ですって……」
澪は悲鳴を上げる躰に鞭を打ち、必死に立ち上がろうとした。
聞き捨てならない名前、彼女がこんな目に遭っている全ての元凶の名前――クローディア。
「あんたたち……あいつとどんな――」
「へ~結構頑丈なんだね」
軽薄な青年が、起き上がる澪の眼前に手をかざした。
「んじゃ、少し乱暴にしても平気だね」
――バチッ
視界にまばゆい光が差し込んだ。その瞬間、澪の意識は暗転した。
***
猛烈に冷たい感覚で澪は覚醒した。どうやら頭から冷水を浴びせられたらしい。
「おい、起きろ」
「っ……痛いっ……つっ……」
澪は髪を掴まれて無理矢理起こされた。手足は革製の結束バンドで縛られていて身動きがとれない。
彼女の目に飛び込んできたのは、三人の男だった。先ほどの軽薄そうな青年と禿頭の壮年男性、そして、リーダーと呼ばれていた特徴的なひげの男が、彼女を見下ろしていた。
澪の髪を掴んだのは禿頭の男だった。
「こ……ここは……」
そこは狭い空間だった。窓はなくほの明るいランプが二つだけ壁にかかっていた。さらに、ガラガラと車輪の音がして激しく揺れていることから、馬車か何かに乗せられているようだった。
「今俺たちはラギー商会の倉庫に向かってんのさ」
青年が言った。
「ラギー……商会?」
「商品になれば何でも取り扱う、魔界を牛耳るラギー商会。『買い手があれば死体まで』――でしたよね? フィデリオさん」
話を振られたのは、澪のすぐ横に立っていた禿頭の男だった。
「俺の管轄は奴隷だけだ。死体は扱わねえよ」
無感情にフィデリオは言った。
「奴隷……ねぇ。女と子供専門の奴隷、じゃねえのか? お前が取り扱ってんのは」
賊のリーダーが呆れたように口を挟んだ。特徴的なひげを撫でている。
「それが一番売れるってだけだ」
「そういえばフィデリオさん、この前俺達が渡したやつら売れましたか? ほら、14歳の可愛い子いたでしょ? 俺が味見しちゃって泣いちゃったけど」
「売れるには売れたが、壊れたって顧客から連絡が入ったよ。奴隷商売ってのは商品の質をこっちでどうにかすんのが難しいから困ったものだ」
「そっか~ダメだったか。やっぱ恋人の前でやっちゃったのが原因――――」「――お前達がもっと頑丈なやつを――」「――だって抵抗するですもん――」「――――」
――何なのこの人達……同じ感情を持った存在だとは思えない……。
女を下に見ている、どころの問題じゃない。彼らは自分たち以外を人と思っていないのだ。
次々と飛び交う非道な言葉の数々、澪は吐き気がする思いでそれらを聞いていた。
会話の内容から察するに、ラギー商会は盗賊と癒着し、人身売買を行っているようだった。ひげの男と青年は賊、フィデリオは商会の人間らしかった。
商品とはつまり、人身のこと。賊がどこからの村を襲い、女子供をさらい、ラギー商会へ売る。そして、商会がその人達を奴隷を欲しがっている人間に売る。
彼らはそんなことを平然とやっているのだ。まるで、人身売買が当たり前であるかのように。
「狂ってる……」
澪は思わずそう漏らした。
青年とフィデリオは会話をしていて気づかなかったようだが、めざとく賊の頭目は聞いたようで、面白そうに笑った。
「狂ってるって? まんこからそんなに精液垂れ流してることにも気づかない女が、何を言っているんだか」
「――――え?」
ドロッ……
そう言われて初めて澪は気づいた。自分の秘部、そこからおびただしい量の白濁液が溢れ出していることに。
「ど、どういう……こと……?」
「気持ちよかったぜ? お前の躰は」
――ゾクッ
現在、澪の躰には催淫がかかっていなかった。子宮に精液を入れなければ決して解けることのないクローディアの呪い。雷撃魔法で襲われたときにとっさに障壁を張り、発動していたはずだ。
それが、今はない。
「うそ……うそ……そんな……」
「あまりに寝苦しそうだったんで、犯してやらないとと思ってな。クローディアから聞いてるぜ? あんた、そうなったら子宮に精液入れとかないと死ぬんだってな?」
――知られている……あの忌まわしき制約を……その上で、眠っている間に犯された……。
「っ…………おえっ」
あまりの気持ち悪さから、澪は胃の奥から湧き上がる流動物を感じた。
「寝ているってのに喘ぎ声が漏れてたぜ。締まりも最高だったし」
「がっ……く……」
――取り乱さないで……それも最悪だけど、すっごく嫌だけど……それよりも――。
やっと見つけたクローディアへの糸口。それを取り乱して見失いたくなかったのだ。澪は必死に息を整え、努めて落ち着いた声で言った。
「クローディアって言ったわよね。あんたたち……あの女と一体どんな関係なの? あの女は……今どこにいるの?」
唐突な澪の変化に怪訝な顔をしつつも、頭目は答えた。
「居場所は知らねえが、あの女からとっておきの商品になる女がいるからどんな手を使っても良いから攫ってくれって情報が、それなりの報酬金とともに俺達の元に入ってな。三日前のことだったか。てかお前、あの女に一体どんな恨み買ったんだ?」
「三日前……」
つまり、澪が魔界に飛ばされてすぐ、クローディアは賊に情報を流したのだ。最初から澪を奴隷に、人身売買の商品にするために仕組んでいたのだ。
――最悪……。
「……まぁいい。それで――査定はどうなんだ、フィデリオ? 商品としては」
「極上だ。こんな逸材見たことない。まるで、肉奴隷になるために生まれてきたような躰だ」
「は……はぁ⁉ んな訳ないでしょう!」
「胸も桁違い。それでいて華奢でほどよく筋肉でしまっている。おそらくハードなプレイでも躰を壊さず行えるだろう」
「へ~ フィデリオさん、滅多に商品褒めないのに珍しい。そっか~躰丈夫なのか~。それじゃ、耐久試験しないとダメなんじゃない?」
「出血と痣を作るの以外ならな。商品価値が下がる」
「りょーかーい。それじゃ、これから試験しまーす」
「……え?」
青年とフィデリオがあまりに自然に話すため、澪は一瞬会話の内容を理解できなかった。
呆然とする澪の髪を、青年は掴み上げ床に押しつけた。
「うぅ……な、にを――」
ズププゥッ……
「かっ……あぁ」
女性器に突き入れられた異物感で、ようやく自分が何をされたのか気づいた。
ズチュッ、ズプッ、ジュプッ――
リズミカルで速度の速いピストン運動。芯を常に捉えたような肌の衝突音が馬車の中に響き渡る。
澪は両手両足縛られているため、格好は自然と四つん這いになり、後ろから貫かれる体位――後背位になる。
「壊すなよ。そいつを商会に売る値段をつり上げられなくなる」
「賊の頭張ってるだけあるな。抜け目ない」
二人の会話をよそに、青年はひたすら澪を啼かせた。
「いやっ、ぬ、抜いて! あ、はっ、激しぃっ、くっ……あぁっ!」
「かなり強引にやってんのに一向に緩む気配がねえ! 確かに極上だな、淫乱女! お前のおまんこ、俺のをぎゅうぎゅうに銜えて離そうとしないぜ!」
澪の興奮をさらに誘うように煽っていく。
「んあっ、だ、ダメっ……この、た、体……勢、ひゃあっ」
普段とは違うところをこすられ、突かれる感覚に、澪は声が我慢できなかった。すでに睡姦により彼女の躰が出来上がっていたこともあるが、それよりも明らかに、青年は村人と比較にならないくらい性行為が巧かったのだ。
――何っ、これ……全然違う! 声が、抑えられない!
「あぁっ、うぐっ、ふっ……んあっ! あぁ♥」
――――――ピリッ
一瞬、ほんの一瞬、澪の心の中にある思考がよぎった。それは決して言葉になっていたわけでもなく、明確な自覚があったわけでもなかった。しかし、青年はそれを嗅ぎ取った。
「今お前こんなことなら、もっと早く起きていれば良かったって思ったろ?」
「っ……ち、違う! そんなこと、思ってなんか――にゃぁいっ!」
「そうか? 今少しだけ、締め付けが異常に強くなったんだが? もっと俺の技を、起きてる時に味わいたかったって思ったんじゃないのか?」
「んっ、っは♥ ち、がう……あぁっ、ちがう!」
「まんこから溢れんばかりの精液を注いでもらったのに、そのときの意識がないのがもったいないって思ったんだろ!」
ズチッ――
「んああぁ♥ んんん――」
澪は口を閉ざし、必死に頭を振った。
――違う! そんなんじゃない! あんたのなんかで感じたりしてない!
感情で何度も否定するが、声に出したら思考と違うことを言ってしまいそうで恐ろしかった。
「心配しなくても、これからいくらでも飲ませてやるよ! お前の子宮が大好きな男の精液をな!」
肉棒の先端が澪の最奥、その入り口にピッタリとキスをした。その瞬間――
「ひゃ、や、そこっ、あっ、やめ……んあああぁぁ♥」
びゅるるる、ビュッ、ビュググ……ドプッ
青年が精を吐き出したのと同時に澪は快感の天井へと押し上げられた。行為による今までで一番大きな波が、下腹部から押し寄せて彼女の意識を呑み込んだ。
「あ……はっ……あが……」
「ははっ、だらしない顔だな」
澪の顔は緩みきっていた。顔中涙とよだれで濡れ、だらんと伸びた舌が口からはみ出していた。
「かっ……な♥ あっ♥」
粘着性の白濁液が子宮をじわじわと満たしていく感覚に、澪は酔いしれてしまっていた。
――こんな……こんなのって……。
ピクン……ブルブルッ
膣内にある肉棒が、射精とは違う熱を帯び始めたのが澪には分かった。
「へっ……?」
「あぁ~さっき村の酒飲んだからなぁ」
…………ジョボボボボッ
子宮の中を、明らかに精液とは違う性質の液体が注ぎ込まれ始めた。それらはいとも簡単に子宮いっぱいに満たされ、結合部からあふれ出した。
その色は、淡黄色だった。
「う、うそうそっ……な、なに、してんのよ! それ、おしっこ――あぁ♥」
「悪い悪い。俺って気持ちよくなったらそのまま中でしょんべんしちゃうんだわ。ま、死なない死なない♪」
「や――すぐ止めて……あぁ♥」
吐きそうになるほどの嫌悪感。それは確かにあるのに、腹部の温かさが気持ちよさに変わっていく自分に、澪は驚愕していた。
――そんなはず……あぁ、やばい……くせに……なりそ――
ビクッ――ビクビクッ
――あっ……。
…………シャアァァァァ
澪も失禁していた。精液とともに、二人の尿が混ざり合い、馬車の床を濡らした。
「おい、くせえよ! なに二人で漏らしてんだよ! 俺が使えねえじゃねえか!」
傍観していた頭目も、さすがに文句を言った。
「これは、倉庫に着いたら洗浄からだな」
フィデリオは呆れたようにつぶやいた。
「あっ……はん♥ ん……かっ……♥」
失禁とともに澪は再び絶頂していた。もう自分の快楽を抑えられないようだった。
「んじゃ、今は俺が独り占めして良いっすか? 倉庫までまだ半日かかるし、この子も寂しくなっちゃうかもです……し!」
言い終わるのと同時に、絶頂の余韻に浸っていた澪の奥に肉棒を打ち付けた。
「はあぁぁぁあ♥」
スイッチを入れると声を出す人形のごとく、澪は子宮口を突かれる度啼くようになっていた。
「勝手にしろ」
――どうして、こんなことに……せっかく逃げ出せたと思ったのに……せっかく……。
青年は肉棒を抜くことなく、再び抽送を開始した。
「あっ、はぁ、ら、めぇ♥ ふぐぅっ、んあ♥ あぁぁぁあぁ!」
――もう……いや……。
見えていた希望へと兆しは、澪をしっかり照らす前にかき消えてしまった。そのかわり押し寄せてきたのは、暗黒の絶望だった。
いや、そもそも彼女に希望なんて無いのかもしれなかった。
なぜなら彼女の転落は、まだ始まったばかりなのだから。
加筆修正で投稿遅れました。
立ち寄ってくれた多くの方や感想を書いてくれた方、お気に入り登録してくださった方に感謝するばかりです。