彼女は、他の少女たちの中で最も奇妙な運命に巻き込まれる。
少女のままならない慟哭とすり替わる人生が語られる。
Ⅰ 白い本物と黒い偽物(前編) ※挿絵
~1月28日~
○○○
インターホンが鳴ったのは、姉の柚希が父に連絡を入れている最中のことだった。柚希は現在、澪が失踪したことを父に知らせている。
「お姉、私が出るよ」
野中胡桃はそう申し出た。
――こんな時間ってことは……宅急便? もしかしたら万理亜がネットで注文でもしてたのかしら。
そんなことを考えながら、胡桃は何の疑いもなく扉を開けた。
そして、思わず固まった。
「こんにちは」
鏡を見ているのかと思った。扉を開けたら、そこには胡桃にうり二つの少女が立っていた。
「驚いた? ふふふ」
「なん……で……」
「こうやって見ると、やっぱり少し子供っぽいかな。でも大丈夫、すぐに大人の女性になれるから」
「あなた……一体何者っ……」
「私は貴方の偽物。だけど、今日から貴方が偽物になるの」
●●●
~?月?日~
胡桃が目を覚ますと、そこは知らないベッドルームだった。窓には全てカーテンが引かれていて、部屋全体は薄桃色の照明で照らされていた。
胡桃は中学の制服姿でベッドに横たわっていた。勇者の里で修行ばかりしていて、ほとんど通うことのなかった学校の制服だ。義務教育であるために学校の名簿には載っているだろうが、胡桃はクラスメイトの名前や顔すらもよく分からない。
とはいえ、通わなくても勉強は里でも教えられたため、学力には何の支障も無い。
――それにしても、どうして……これを着てるの?
記憶がどうもぼんやりとしていた。最後の記憶は――――
――おかしい……思い出せない……。
記憶全体に妙にもやがかかったみたいに思い出せない。ここは一体どこなのか、今は一体いつなのか、まったく胡桃には分からなかった。
「妙な雰囲気の場所……どこかのホテルの部屋……?」
薄暗いが、全体的に胡桃好みの装飾だった。
「胡桃ってラブホテルを知らないんだ」
「⁉」
声がした方に視線を向けると、ベッド横の椅子に小さな男の子が座っていた。日本人とは思えないほど黒い肌に、人間離れした尖った耳、そして、目の覚めるような濃緑色の短髪。
「魔族…………!」
「僕の名前はクリント、今日から君のご主人様だよ、胡桃。つまり、君は僕のお人形ってこと」
この少年は何を言っているのだろうか。いきなり現れて主人宣言のうえ、人形とは意味が分からない。何にせよ、異常な雰囲気を漂わせた少年だった。
「そして、こっちも僕のお人形」
クリントが部屋の扉の方を示した。そこには、血色の悪い肌に淡青色の長髪、一角獣を思わせる一本角を額に持っている青年が立っていた。
「っ…………?」
どこかで見たことがあるような、それと同時に全く逆で初対面のような気もした。どうもさっきから脳が上手く働かない。記憶を思い出す作業も泥沼をこいで歩くように思うように出来ない。
「私の名前はアドミラス。全く……一体何度名乗ればいいのやら。と言っても、貴方の方は私を思い出すことが出来ないでしょうが」
口ぶりからしてどうやら胡桃と以前会っているようだ。しかし、彼女自身には覚えがなかった。いや、正確には上手く思い出せないという感じだった。
――何なのよ……一体。
胡桃は努めて呼吸を整えた。どうしてか今の自分には霊操術の籠手を具現化することが出来なかった。目の前の男達の仕業なのだろうか。それだとしたら、現在非常にピンチだった。今の胡桃に彼らと戦うすべがない。
――精霊の声も聞こえない……この空間の所為?
「勇者の少女、色々考えていますね、のんきにも……。まぁ、クリント様にこんな形でも貴方と相まみえるチャンスをいただけるのは幸運、と言ってもいいのですかね。あの時の決闘ではしっかり貴方の息の根を止めることが出来なかったので不完全燃焼だったのですよ」
「悪いけどアドミラス、胡桃を殺したらお前も殺すからな」
それを言われ、アドミラスは黙り込んだ。
――クリントの方が幼いように見えるのに、力関係はアドミラスの方下……?
必死に敵の考察に頭を回転させる胡桃。自分の記憶がはっきりしない今、頼れるのは現状の思考だけだ。
「でもまぁ、鬱憤を晴らすことはしても良いよ。どうせ、この子の躰はどんなに壊れてもいいんだから」
「ありがとうございます」
恭しく頭を下げたアドミラスは、ベッドの胡桃へと歩み寄ってきた。
「近寄らないで!」
胡桃は即座に立ち上がろうとした。しかし、どうしてか躰が全く動かなかった。
――どうして……。
「僕のお人形なんだから、僕の言うことしか聞けないよ。僕が望めば、胡桃は指一本動かせない。呼吸を奪わないだけありがたがってよね」
――また人形って……何だってのよ。
「あなたたちは一体何者⁉ どうして私を狙っているの? 刃更たちは無事なの⁉」
「ふふふ…………」
クリントは妙に含みのある笑みを浮かべた。
――こいつ……何を知っているの? もしかして……刃更兄ちゃんたちに何かしたの?
胡桃の脳裏に大切な人達の顔が浮かぶ、刃更に柚希、澪、万理亜――どの人も胡桃にとってかけがえのない人だ。
「うるさいですね。せっかく私が相手をして差し上げるというのに」
アドミラスはベッドにへたり込み身動きがとれない胡桃の正面に座ると、頬に触れてきた。
「ひっ…………」
「決闘の際はここまで近づいて見れませんでしたからね、こうして見ると整った顔をしていますね。一層……壊し甲斐がある」
アドミラスが胡桃のスカートを持ち上げた。
「っ…………触らないで!」
「少し静かにしてください」
アドミラスが口を開けると、人と大きくかけ離れた牙が口の端から覗いた。それはさながら、蛇の牙のようだった。彼はすうっと胡桃の首元に口を近づけると、ガブリと噛みついた。
鈍い痛みが首元に走る。
「っ…………なに、を…………」
ドクドクと噛まれた場所から全身に温かい感覚が広がった。必至にもがこうとするも、躰に力が入らないためそれがかなわない。
――何か……流しこまれてる……?
じわじわと熱が血管を流れていき、躰の芯から甘い疼きが湧き上がってきた。
「な、何を…………」
「毒ですよ。と言っても、致死性のものではありません。効果は……」
アドミラスは胡桃のスカートの裾を持ち上げた。その下のレース付きの水色ストライプのショーツがあらわになる。
「や、やめ、なさい……」
胡桃の抵抗も無視し、アドミラスはショーツの上から彼女の陰部を指で押さえた。
「んっ……何を…………」
ぐっ…………
布越しに淫裂の間、膣の中へと指を沈ませていく。自分以外の体温、感触が女として一番デリケートな部分に侵入してきた。
「ゆ、び…………入れちゃ、だめ……」
「大丈夫、こんなことで膜を破ったりはしませんから」
――刃更兄ちゃんにも触れられたことない場所……
ジュクッ…………
クロッチの部分がじんわりとシミが広がった。
――ど、どうして……嫌なのに……。
「今の私の牙から分泌される毒には強力な媚薬の効果があるんですよ。そして……」
アドミラスは膣から指を抜くと、すぐ上に指を移動させた。
「尿道の筋肉に局所的に作用するんです。緩むようにね」
「え…………」
ジョロジョロジョロジョロ………
最初、認識するのに時間がかかった。妙に温かい感覚が下半身に広がり、ベッドシーツが黄色くシミを作り始めて、ようやく自分が失禁していることに気づいた。
「う、嘘……どうして……いや、いや……止まって……」
「無理ですよ、完全に尿道の筋肉に力が入らないでしょう?」
恥ずかしさのあまり頭痛がしてくる。どうして自分は、初めて会う男におしっこを漏らす様子を見られているのだろう。こんな姿、刃更にすら見せたことない。
「うん、良い姿」
そう言うクリントはなぜかビデオカメラを構えていた。
「っ……な、なに撮ってるのよ!」
「気にしないで、あくまで僕の趣味だから」
「そんなの――――――ひぎっ!」
ショーツの上からアドミラスは胡桃のクリトリスをつまみ上げた。
強烈な電撃が背筋を駆け巡った。背中は反り上がり、肺から空気は全て吐き出された。胡桃の小さな矮躯はビクビクと振るえていた。
――嘘……自分でするのと全然違う……刃更兄ちゃんにも、そんなとこ触られたことない……。
胡桃のショーツはぐしょぐしょに濡れてしまっていた。
「ここまで漏らしてしまっては失禁なのか愛液なのか分かりませんね。実際に見てみないと」
アドミラスは胡桃のショーツを横にずらした。それにより、完全に彼女の陰部があらわになってしまう。
「み、見るな! そこは、刃更の……」
チュプッ…………
「んっ…………」
一瞬だけアドミラスの指が陰部に触れた。たったそれだけで、指と淫裂の間にネバネバとした橋が一筋架かった。
「おや、これはどう見ても尿ではありませんね。一体何なのでしょうね?」
わざとらしくアドミラスは胡桃の耳元でそう囁いた。
途端に涙があふれ出してくる。どうしてこんな辱めを受けなければならないのか。
「これは……あんたの媚薬の効果で……」
「まぁ、それは否定しませんよ。これはあくまで準備――最終的な段階へ持って行くためのあくまで一歩に過ぎないんですから」
「アドミラス、そろそろ約束の時間だ」
「そうですね。分かりました」
アドミラスは立ち上がると、すうっと姿を消した。
――何……何が始まるの……?
「じゃあね、胡桃。僕たちは姿を隠すよ。でも安心して、ちゃんと君のことは見ていて上げる。事が上手く運ぶように躰を操作もしてあげるから心配はしなくて良いよ」
クリントが何を言っているのか分からない。姿を隠して一体何をするのか。
すると、部屋の扉がノックされた。
クリントたちにほぼ監禁まがいの状態にされているこの部屋に、来客とはどういうことなのか。普通に考えるならば彼らの仲間であると考えることが自然だろう。しかし、それならばクリントたちが姿を隠す意味が無い。
頭を必死に回転させるも、答えが出るより先に扉が開けられた。
中に入ってきたのはスーツ姿の男性だった。
「お、本当にいた。連絡をもらったときは疑わしかったけど、写真通り可愛い子だね」
「え…………あなた……だ――――――」
誰、と言おうとした時、声が出せなくなった。
『これからはもう、君に発言権はないよ』
頭の中にクリントの声が響いた。
――一体……何なの……?
「初めまして、オオゼキさんでしたっけ? 来てくれて嬉しいな。口コキと本番でしたっけ?」
――………………え?
その言葉が、自分の口から発せられることに、胡桃は信じられなかった。口が勝手にしゃべり出したのだ。まるで、躰の他に口まで主導権を別の誰かに取られたかのようだった。いや、実際に取られたのだ。胡桃を人形と呼んだあの魔族の少年に。
オオゼキさんとはこの男のことだろうか。苗字なのかそもそも本名なのかも分からない。しかも、その後の単語の意味が胡桃には分からなかった。
――口コキ……それに……本番って……。
思考が追いつかない間に、自分の口はさらに知らない情報を紡ぎ出していく。
「口コキは七千円、本番はゴム有りで一万五千円だよ」
「あぁ、ごめんよ。急な仕事が入った所為であまり時間が無いんだ。今回は本番だけにしてくれないか。ゴム無しに変更は可能かい?」
「ええ~まぁ……いいよ。ゴム無しなら二万円だからね」
「急な変更のお詫びで、五千円プラスしてあげるよ」
「うわぁ、やった!」
――え、何なの? 一体何を話してるの⁉
全く話について行けない胡桃。なぜか突然自分の脚が動き出し、男性の元へと駆け寄った。そして、男性と腕を組み、ベッドへと引っ張った。男の汗と加齢の臭いが鼻をついた。
――臭い……何日風呂に入っていないの……?
「シャワーはいいのかい? 臭いだろう?」
「時間ないんでしょ? いいよ、そのままで」
すると男性はスーツを脱ぎ始めた。
――え、嘘、脱ぐの⁉ ダメだって……だって……これじゃ……まるで……。
そこでようやく、胡桃は今自分が置かれている状況を理解し始めた。
援助交際。
背筋にぞくりと悪寒が走った。現在、胡桃はこの男に買われようとしているのだ。
「二十歳って掲示板で言ってたけど、君ってもっと若いよね? 高校生? だとしたら私捕まっちゃうんだけどな」
「制服姿の写真を見てコンタクト取ってきたのはオオゼキさんの方じゃないの? 大丈夫、二十歳だよ。ただまだ中学を卒業してないってだけ」
「へえ……想像以上に若いね。あ、いや、二十歳だったっけね。それなら大丈夫だ」
――だ、大丈夫な訳ないじゃない! いや、そもそも刃更兄ちゃん以外とエッチなことするなんて絶対に嫌……だって、本番……つまりそうだよね?
「二千円プラスで制服姿のままプレイしてあげるけど、どう?」
「抜かりないね、君。一体何人とやっているんだか。二千円プラスで」
「さすが♥」
――何人とって……誰とだってエッチしたことないわよ! まだ……刃更兄ちゃんとだって……まだなのに……。
じわじわと絶望感がこみ上げてきた。自由の利かない躰と、勝手にしゃべり出す口。自由なのは自分の思考だけだった。
――クリント、お願い……もう止めて。これ以外なら何でもするから……これ以上進ませないで……。
胡桃の悲痛の叫びは、しかし誰にも届かなかった。いや、届いたとしても、クリントが応える気が無いのは明白だ。
男性が全裸になってベッドに腰掛けた。すでに肉棒がそそり立っている。
――っ…………刃更兄ちゃんのとも違う……。
一瞬だけ、胡桃は刃更以外の男性器に目を奪われた。グロテスクでビクビクと振るえるそれに、気持ち悪いと思いながらも圧倒されていたのだ。
「ごめんよ、あまり大きくなくて……」
オオゼキは少し声のトーンが落ちた。確かに刃更にそれよりも一回りほど小ぶりだった。自分のものが小さいことを気にしているのかも知れない。
「大丈夫だよ、私のおまんこでちゃんと気持ちよくしてあげるから」
胡桃の口がそう答えた。
――いや、ダメだって……私、そもそも初めてなのに……刃更にちゃんともまだなのに……。
内心の訴えもむなしく、胡桃の躰は男性の方へと歩み寄っていく。
「私が入れてあげる」
――待って! 待ってってば!
胡桃はショーツをその場で脱ぎ捨てた。先ほどのアドミラスによる愛撫の所為で愛液でぐしょぐしょになっていて、床に落ちたときにペチャッと水音がした。
左手でスカートをたくし上げながら男性の腰元にまたがり、彼の肉棒に右手を添え、そして自分の淫裂にあてがった。
――お願い……もう……これ以上は……初めては刃更兄ちゃんなの。だから……だから……。
「入れるよ」
無情にも、自分の声が自分自身の思考を遮った。
ズブズブッ……プチッ――――――ズプゥ
「んあぁっ……♥」
処女膜はいとも簡単に引き千切れ、胡桃の一番奥に肉棒が侵入した。
――あ……そんな……本当に……私、こんな形で初めてを……。
「うおおぉ……きついな……まるで処女じゃないか」
胡桃の処女膜の形の所為なのか、痛みはあったが血は出なかった。そのため、男性はまさか本当に胡桃が処女であるなんて考えもしていない。
「ヤリマンでこれとは……かなり名器なんだね、胡桃ちゃん」
「ふふっ……ありがとう……んくっ♥」
――何……お礼、言ってんのよ……。
胡桃はもう何も考えたくなかった。唯一自由な思考までも手放したくなっていた。
ズチュッ、ズッ、プチュッ――――
胡桃は腰と脚を上手く使いながら、自分自身で抽送を開始した。
――動かないでよぉ……もう、抜いてぇ……。
泣き叫びたかった。しかし、それすらもかなわない。自分の躰は泣き声ではなく啼き声をあげ始める。
「ん、ふあっ、んあっ……はぅ♥」
未経験なはずなのに、躰は慣れたように男の上で上下している。たまにグラインドさせながら、その律動に緩急を付ける。
嫌らしい水音が部屋に響く。それと重なって、自分の喘ぎ声が聞こえることに、胡桃は耳を塞ぎたくなる。
――どうして……こんなことに……刃更兄ちゃん、助けて……。
しかし、この声は誰にも届かない。
男が胡桃の胸に触れてきた。もちろん制服の上からだが、触られた瞬間気づいた。
――嘘……何で、私、ブラ付けてないの……?
「学校にはいつもノーブラなのかい? スリーサイズは訊いても良い? 二千円上乗せしてあげるよ」
「やったぁ、んん♥ それじゃ奮発して、色々教えてあげる♥ 身長は146センチで体重は43,4キロ、スリーサイズはバスト76、ウエスト56、ヒップ77よ。ちなみにおっぱいはCカップね」
――刃更兄ちゃんにもそんな情報教えたことないのに……何でそんな口軽いのよぉ。
「キスはあり?」
「オオゼキさん、気前が良いからサービスで上乗せしなくていいよ」
そう言い、胡桃は男の唇に自分の唇を重ねた。重ねてすぐに、お互いに舌を絡め合い、男の唾液が口に流れ込んできた。
――いやああぁぁぁあ! 刃更兄ちゃんと以外なんて――うえぇ、く、臭いよぉ……。
本来なら吐き出してもおかしくないほどの嫌感だったが、自分の躰はそれをまるでおいしい蜜でも飲んでいるかのように飲み下していく。吐き気は欠片も生じなかった。
「ん、胡桃ちゃん……胡桃ちゃん……!」
男の息が荒くなる。いつの間にか抱き寄せられ、躰が密着する。自分の躰もその律動を急速に早めている。
男のものが大きくなる感覚があった。
――これって……嘘だよね……違うよね?
嫌な予感が胡桃を襲った。その予感を自分の声が肯定する。
「オオゼキさん、出そうなんだね、どこに出したい?」
「はっ、胡桃ちゃんの中で」
「良いよ♥」
――ダメダメダメダメ、それだけダメ! 助けてよ、刃更兄ちゃん! 嫌だよぉ!
しかし、躰は一番効率の良い躰の動かし方で男の射精を誘っていく。
ずちゅっ、ずぶっ、ジュブッ、ズチッ
水音が鳴る間隔がどんどん狭まっていった。それは、男が決めに架かっている証拠だった。
二人の喘ぎ声が部屋中に反響し、重なったその時――――
ビュルルルルッ、ビュググッ、びゅるびゅるっ
膣内で男の精が爆発した。
「んあああぁあぁぁぁ♥」
それと同時に、胡桃は絶頂へと押し上げられる。唯一自由な思考も吹き飛ぶ。
「あっ……はっ……ん、ふぁ……♥」
膣壁にまとわりつく精液の感覚が脳を刺激する。甘美ながらも激しい電撃が、それの感覚をさらに鮮明にさせ、自分が中出しをされたのだということをまざまざと自覚させられた。
――嘘……中で……赤ちゃん、出来ちゃう…………。
男は、放心する胡桃に再びキスをした。
胡桃はキスをされながら、緩んだ尿道の所為で失禁していた。
***
じゅぷっ……じゅるじゅる、ちゅぷぷ……
胡桃は男の肉棒を銜えていた。口いっぱいにそれを含みながら、唾液を舌先で塗りたくりながら頭を前後させた。
――うえ……吐きそう……臭いし、まずい……。
「すごい巧いね、七千円が安いくらいだよ」
――刃更兄ちゃん以外のものなんて口に入れたくないのに……。
「ふっ……これならどう?」
まるで自分の技術を自慢するかのように、胡桃はさらに口による愛撫を激しくした。もちろん、胡桃にそんな技術は無い。フェラチオすらも、クリントによる操作でかなり巧みにこなしてしまっているのだ。
唾液が次々と溢れてきて、口の端からこぼれてくる。何度も抽送される肉棒のカリに、胡桃はほどよい力加減で唇を引っかける。
「そろそろ出そうだ」
「ん……」
胡桃は肉棒を口から離した。
「どうする? 口で最後までやっちゃう? それとも入れる?」
胡桃は自分の下腹部をトントンと人差し指でつついてみせる。それは非常に淫靡な仕草だった。
「……口でお願いするよ」
「口でされるのが好きなんですね、ヤマナミさん」
胡桃は再び男の肉棒をしゃぶり始めた。今度は初めからかなり激しく奉仕をした。舌をくねらせ、唇をきゅっと締めながら、それでいて痛みを生まない程度に強く口内の壁にこすりつけてやる。
「うおぅ……すごい……」
「ジュルジュル、ちゅぷっ、じゅぷ、じゅうっ――――」
――っ! これは……やっぱり…………!
男根は急速に膨らみを増していた。それを口の中で感じ取った胡桃は、すぐにそれが何の意味を示すのか理解した。
しかし、理解したときには、もう遅かった。
ビュルルルルッ、ビュグビュグ、どくん……ぶちゅっ
口の中で精の奔流が暴れ回った。肉棒の先から白濁液が吹き出る度に、胡桃の肩が震えた。
――酷い味……何……これ……。
今すぐにでも吐き出したかった。しかし、自分の喉は、それをまるで極上のドリンクでも飲むかのように飲み下していく。精臭が口いっぱいに広がり、鼻から抜ける。さすがに胡桃の生理的嫌悪をクリントは抑えることが出来ないのか、彼女は涙目になった。
――刃更兄ちゃん、ごめんね……私、汚されちゃってる……。
「ふう……おいしかった♥ ザーメン飲みでプラス千円だからね♥」
胡桃は満足そうにそう言った。
***
パン、パン、パン――――
乾いた音は部屋に鳴り響く。
胡桃はベッドにうつ伏せになり腰を上げている。その背後にぴったりと
「ふあっ……あっ♥ んぎっ、あぁ!」
「胡桃ちゃん、胡桃ちゃん……気持ちいいよぉ、胡桃ちゃんもそうだろう」
「んあっ、ん、は、はいぃ♥ き、きも、じいですっ……はっ♥」
――気持ちよくなんかない……そんなこと、ない……!
男性は後ろから裸の胡桃に抱きついた。己の体温を彼女の誇示するかのように、肌を擦り合わせた。
――嫌だよぉ……気持ち悪い……刃更兄ちゃん……助け――――
男は胡桃の矮躯を抱き上げ、自分自身の躰の上へと持ち上げた。それにより、結合部に彼女の全体重がかかる。
「ひぎぃっ……あがっ……」
肉棒の先端が子宮の入り口を突き上げる。
――く、くるじ……いぃ……。
「中に出すよ、胡桃ちゃん!」
「う、うん! 出して! 私の、中学生子宮に出して!」
――ダメエェェェェェエエェェェェ!!!
声にならない叫びは誰にも聞こえない。
ビュグン、ビュルル、ビューッ
男のかなり粘着質な精液が、胡桃の小さな子宮へと注がれた。
――そんな……刃更兄ちゃん以外に……。
胡桃は男性の上に背中からもたれかかった。男は彼女の首筋へと舌を這わせた。
「しょっぱい味だね、胡桃ちゃん……汗かいたんだね」
――うぅ……気持ち悪い……。
背筋に怖気が走った。今までに感じたことのないような嫌悪感が彼女の精神を陵辱していく。
「それにしても、本当に中学生なんだね、胡桃ちゃん。さすがに初潮は来てるよね?」
「はっ……もう、子供扱いしないでよね。私が大人なのはイノサキさんが一番知ってるでしょう?」
「はは、そうだね。入れる前からあんなに濡れてるなんて、普通の中学生じゃあり得ないもんね。淫乱な胡桃ちゃん」
――そんなことない……濡れてたのは……アドミラスの毒の所為で……
しかし、胡桃の心の訴えは男には聞こえない。
ジョロロロ……………………
胡桃はつながったまま尿を垂れ流し、男の下半身を汚した。
「あぁ、ご、ごめんなさい……イノサキさん」
「いいよ、こんな可愛い女の子のおしっこなら、かけられることはご褒美さ」
「ふふふ、変態さん♥」
別次元の会話を、胡桃の精神はぼんやり聞いていた。
――これ…………いつまで続くの……?
***
胡桃は全裸の状態で、ベッドの上でぐったりと横たわっていた。淫裂からは、おびただしい量の精液があふれ出している。
彼女のすぐ横には、一万円札が五枚無造作に散らばっていた。ゴム無し本番を二回(四万円)と手コキ(五千円)、そしてホテル代(五千円)だ。
部屋のクローゼットの前には、
「それじゃ、またお願いね」
「はっ……はっ……」
肩で息を切る胡桃は、何とか頭を持ち上げて男性の方を見た。
「今日はありがとう、マスナガさん。私を買ってくれて……」
もう何度目か分からない、口が勝手にしゃべり出す感覚を胡桃は感じながら、やっと行為が終わったことに安堵していた。
――やっと……終わった……もう、死にたい……刃更兄ちゃん、ごめん……。
「じゃあね、胡桃」
ひらひらと軽薄そうに手を振ったマスナガは、部屋を後にした。
「随分楽しんだみたいだね、胡桃」
いつの間にか、胡桃の枕元にクリントが立っていた。
今すぐにでも殺してやりたい衝動に駆られたが、胡桃は指一本動かす体力が残っていなかった。
「東城刃更に初めてを上げられなくて悔しいかい?」
「っ…………貴様……」
残る体力を必死に絞り出し、胡桃はクリントをにらみ付けた。しかし、彼は全く意に介していない。
「でも、大丈夫、本物の君はまだ男を知らない生娘のままだから」
「?」
――本物……? 一体、何を言っているの……?
クリントの言葉の真意を理解する前に、彼はホテルの壁に自分の手のひらを向けた。どうやら魔力を込めているらしい。壁に朱色の魔方陣が出現し、そして四角く光る輪郭を作り出した。
それは、まるでスクリーンのようだった。四角い中に、見たとこのある背景の映像が流れ始めたのだ。
「これは…………私たちの家……」
「そうさ。この映像は現在の、つまりリアルタイムの東城家の様子だよ」
確かにそれは東城家のリビングだった。そこのダイニングテーブルには、六人の人影が座って談笑していた。
一人は刃更、澪、万理亜、姉の柚希、そして――――
――あの女魔族は……確か、ゼスト……?
「そうか、君を作るのに使った媒体は、まだ君がゼストとか言う魔族と知り合う前の日の体毛だったからね。今の胡桃は彼女を知らないのか」
「知り合う前……の……?」
「それよりも、君はこの映像で別のおかしい点に気づくべきだろう?」
「っ…………」
――そう……どうして、あの談笑している場所に、私がいるの?
ダイニングテーブルには、確かに野中胡桃が座っていた。そして、何食わぬ顔で刃更たちと談笑し、夕食を食べていた。
「何もおかしいことはないさ。あの風景が、本当の野中胡桃がいる場所なんだから。そして君は、東城たちが一時期魔界に行っていた間に、家から回収した野中胡桃の体毛、君の場合は陰毛から作られたお人形なのさ」
「人、形…………?」
――私は……人形……? 野中胡桃の……偽物?
「十五番目の、ね。君と同じような野中胡桃の人形を、僕は今までに十四体作って、同じようにこうして援交させているんだ。相手をさせるのに全員別の男を掲示板で探すのが大変だったよ。じゃないと色々面倒だからね。偽物たちは毎日のように援助交際の日々に明け暮れているよ。それが目的だからね」
現実を否定したかった。今、ここに生きている自分が、偽物だなんて考えたくなかった。受け入れてしまうと、何もかもが崩壊してしまいそうだった。
――ダメ……頭が……壊れそう……。
しかし、自分が偽物であると考えると、納得できることがあった。どうして自分は、精霊とコンタクトを取ることが出来ないのか。精霊との契約は、魂の契約だ。つまり、例えそっくりに作られた存在だとしても、そもそも魂が別なのだと考えれば、精霊の力を借りられないのは当然のことだ。
――もう何も考えたくない……。
「いいや、考えるんだ。どう考えてもおかしいだろう。どうして君が知らない男達に犯されて、あっちの胡桃が意中の東城と団らんしているのか。不公平だと思わないか?」
「それは…………」
クリントの声が嫌に脳に響く。まるで、悪魔のささやきだった。
「違う……あっちが本物で……でも、私は……」
「偽物も本物もない。悪いけど、僕は自分の人形の完成度には自信を持っているんだ。君は、あっちの胡桃と何にも変わらない。なのに、あっちは東城と欲望のままに躰を交わらせる日々を送っている。そして君は、初対面の男に躰を売ってしまっている」
クリントは胡桃の耳元でそっと囁いた。
「成り代わっちゃえばいい。僕に協力してくれれば、それができる」
なぜか、その言葉が胡桃には甘美に聞こえた。
本物の胡桃なら、それでも抗うことが出来ただろう。しかし、クリントに作られた偽物の彼女は、通常より何倍も彼の言葉に精神を浸食されてしまった。
だからこそ、判断を間違ってしまった。
「私が……本物になれる……」
「あぁ、偽物の君が、本物になれるんだ。そのために、僕に協力してくれないか?」
「っ…………………………………………分かった」
本物になりたかった胡桃は、頷いてしまった。
本物に嫉妬した彼女は、判断を誤った。
「大丈夫、十五人の中では十五番目の君を本物にすると約束してあげる。その代わり、君には沢山の援交を経験してもらう。それが、本物を堕とすために必要なことなんだ。でも、そうすれば、東城刃更と一緒にいられる」
――あぁ……もう……色々考えるのが面倒になっちゃった……でも、彼の言うとおりにすれば、刃更兄ちゃんの側にいられる。
十五番目の胡桃は、本物になるために男に体を売り、悪魔に魂を売った。
○○○
~1月28日~
「あなた……一体何者っ……」
玄関を開けると、自分とうり二つの少女が立っていた。彼女はいたずらっぽく人差し指を口の前に添えて見せた。
「私は貴方の偽物。だけど、今日から貴方が偽物になるの」
「偽物……一体、何なの……⁉」
「僕のお人形さ、胡桃お姉ちゃん」
目の前の胡桃の後ろから、ひょいと十歳ほどの少年が顔を出した。
その瞳は吸い込まれそうなほど真っ赤に染まっていて、胡桃はいつの間にか気を失っていた。
次に胡桃が目を覚ますとき、彼女の人生は一変する。
長い間更新できなくて申し訳ありません。
個人的にようやく落ち着いてきたため、もう少し更新頻度が元に戻る予定です。
それはそうと「新妹魔王の契約者」のコミック版の最終刊が出ましたね。
コミックオリジナルの展開でまさかあんなオチ(ヒロイン皆竿姉妹エンド)とは……良い感じに裏切られましたねw
ただあの展開だと、この場で語られてる物語のルートに絶対に行かなくなっちゃうんですよね。
あ、それで何の問題もないですねw
ということで胡桃編第一話でした。