ある日、澪は彼にある格好をさせられて街に赴くことになり、ある人物と出会う。
邂逅の第8章。
~19日目・2月13日~
澪がノルベールの専属メイドとなってから、彼の身の回りのありとあらゆる世話をした。ノルベールが使う部屋の掃除はもちろんのこと、彼の出す衣服の洗濯も全て澪が一人で行った。
そしてもちろん、彼がしたくなったらその欲望を一心に受けることとなった。幸いなことに先日の粗相について何か言われることはなかったが、ある程度の暴力を澪の躰が耐えられることを知ったノルベールは、そのプレイの過激さは増したのだった。
澪には個人の部屋が与えられた。といっても、ベッドと小さなテーブルが置いてあるだけの、広さだけではただの倉庫といってもいいような粗末な部屋だった。
澪の一日は、朝のノルベールの性欲処理から始まる。
彼が起きる前に彼の部屋に行き、寝ている内に彼のズボンとパンツを脱がせ、そしてフェラチオをするのだ。
「じゅるっ……んん、む……」
――はぁ……臭いにも味にも慣れちゃったけど、相変わらず大きい……。
うんざりするも、それが自分の中に入ることを想像してしまうと濡れてしまうので、澪は無心でその行為を続ける。
肉棒はどんどん大きくなり、口に含みきれないほどのサイズになる。
ビュルルッ、ビューッ
唐突に口の中に精液が放たれた。それをこぼさないように唇とぎゅっと結び、嚥下をしていく。
「ん…………澪か」
ようやくノルベールが目覚めた。
「んく、ごくん……ぷふぅ……おはようございます、ノルベール様」
ノルベールが澪の頭に手を近づけた。
「っ――――」
思わず躰がビクンと震えた。殴られると思ってしまったのだ。しかし、ノルベールの手は澪を殴ることはなく、彼女の頭を優しく撫でた。
「叩かれると思ったかい? 澪」
「い、いいえ…………」
ノルベールはほくそ笑み、ベッドから出て着替えを始めた。
澪は先日の貴族たちの会合で、完全にノルベールに怯えてしまっていた。薬を打たれ、何度も何度も暴行を受けて、そして犯された。その恐怖が、躰の芯に完全に刻み込まれていた。
――魔法さえ完全に使えれば……。
しかし、ノルベールはもう澪が魔法を扱えることを知っている。その状況で、魔法を彼に不意打ちで当てることは難しかった。まして、今の澪には魔法を使うことに制限がある。澪に、ノルベールを一撃で仕留め、その後逃げ出すという行為は不可能に近い。
今の澪に、彼の命令に従順に従う以外に選択肢はなかった。
――いつか逃げ出してやるんだから……。
「今日は街に出ようと思っている。私の準備の間に馬車を準備してくれ」
「……何か用事でもあるのですか?」
ノルベールの脱いだ服を片付けながら澪は尋ねる。
彼は何も言わず、下卑た笑いを浮かべるだけで何も言わなかった。
――気持ち悪い……いつか殺してやる……。
ノルベールに怯えながらも、彼に対する憎悪は増すばかりだった。
***
澪は屋敷でほとんど使われていないトイレに来ていた。常に全裸で過ごすことを命じられている彼女にとって、誰も人が来ない唯一落ち着ける場所なのだ。
澪はそこでうがいをしていた。朝の行為の後はいつもそうして口の中の精液をすすぐようにしていた。そうしなければ、何か大事な一線を踏み外してしまいそうだったからだ。
「街に……か」
やはり服は着せてもらえないだろう。裸を見られることは日常茶飯事になってしまっているが、それでも不特定多数に見られると考えると嫌だった。
「そろそろ行かないと……馬車も用意しないと…………あっ」
鏡に向かっていると、唇の端にまだ精液が少し残っていることに気づいた。
澪はそれを、無意識に舌でペロリと舐め取った。
***
馬車に揺られること数分、ノルベールと澪は屋敷から少し離れた位置にある街、ドグラルに到着した。馬車は繁華街の入り口で止まり、さきに余所行きの服を着たノルベールが降りた。
「どうした、澪? 早く降りるんだ」
ジャラッ……
ノルベールが手に持った鎖をぐいと引っ張った。
「くっ…………」
鎖は澪の首に付けられた首輪とつながっていた。
「さぁ、今日のお前はただの雌犬だ。何を普通に立っている?」
「っ……申し訳ありません……」
「犬は喋らんよ。教えたであろう?」
「………………………………わ……わん」
観念して澪は犬の鳴き真似をし、石畳の上で四つん這いになった。屋敷に居たときと変わらず彼女は全裸姿だったが、少し違うのは彼女のアナルにはアナルビーズが挿入されていることだった。アナルビーズの先にはまるで犬のような尻尾が付けられている。さらに、澪の頭には犬の耳を模したアクセサリー付きのカチューシャまでも付けられている。
「これから会いに行く人物が犬好きでな。私の趣味ではないが、たまにはこういうのもいいだろう」
――うそ……本当にこれで街を歩くって言うの……⁉ こんな格好するくらいなら全裸の方がまだいい……。それに……寒い。
季節は冬。雪が降るような地域ではないが、それでも裸で過ごすには肌寒かった。
ドグラルはウィルダートほどではないが、なかなか大きい街だった。
――もしかしたら……私を知っている人が居るかもしれない……でも……。
自分がここにいることを澪の素性を知る者が目撃すれば、それは間違いなく刃更たちに伝わるはずだ。そうなれば確実に助かることになる。しかし、衆人環視にこんな痴態をさらしていることを知られることは嫌だった。
「さぁ、待ち合わせ場所まで二十分ほどだ」
ノルベールは繁華街を歩き出した。鎖でつながれた澪はそれに付いていくしかない。
彼はドグラル一番の大貴族であるのと同時に、ちまたで広く知られるほどの好色家だ。だから、自分のお気に入りの女をつれて街を闊歩することは珍しくないらしい。しかし、さすがに犬耳と犬の尻尾を付けた全裸の女を鎖でつないで歩いていることは今までに無かったらしく、誰もが驚いたように澪を見た。
あるものは好奇の目で、あるものは蔑みの目で、あるものは哀れみの目で、そしてあるものは、下卑た目で、澪を痴態を眺めた。
――見ないで……お願い……見ないで……!
火が出るかのように顔が熱くなり、悔しさで一杯になった。
ジュクッ…………
妙に下腹部が熱くなったが、澪はそれどころではなかった。石畳に手や膝を突いて進むことが想像以上に痛かったのだ。
「やぁ、ノルベール殿。久しぶりですな」
一人に老人がノルベールに話しかけてきた。ノルベールほどではないが、なかなか身なりが整っている。
――こいつが待ち合わせ相手……⁉
「おや、確かにこれは久しい」
「そちらは相変わらずのようだ――」
老人は何食わぬ顔でノルベールと会話を始めた。どう考えてもおかしい澪を完全に無視して……いや、そうではない。まるで、そこにいるのが当然であるかのように意識に入れていないのだ。
――こいつの知り合いって皆狂ってるの……?
「どうですかな? 私の新しい犬なのだが」
「ほう、これはこれは……なんともかわいらしい」
そこでようやく、二人の話題が澪に移った。
「撫でても良いですか?」
「っ……」
「どうぞ、噛まないので好きに撫でてやって良いですよ。澪、裏返るんだ」
――はあぁ⁉
意味が分からなかった。しかし、ノルベールにやれと言われれば逆らう事ができない。
下唇を噛みながら澪は仰向けに寝転がった。犬のまねをするかのように、手足を少し曲げることも忘れない。
「ほう、どれどれ」
そう言って老人は、澪の胸を触りだした。犬のように扱っておきながら、その手つきは嫌らしい愛撫のそれだった。
――っ……巧い……。
「んん…………」
老人の愛撫に思わず声が漏れ、物の数秒で淫部が湿り気を帯び始める。
「ほっほっほ……青あざが目立ちますが、なかなか良いさわり心地だ。そうだノルベール殿。犬といえばマーキングではないですかな?」
「っ…………!」
「確かにそうですな。澪、分かるな?」
――いや分かるけど……分かりたくなんてなかった……。
自分が一体何を要求されているのかはすぐに理解できた。犬のマーキングといえば一つだ。しかし、ここは街道のど真ん中で、現在進行形で周囲の多くの眼が澪に向けられている。
心臓が激しく鼓動を打つ。
――落ち着いて……見られるのは初めてじゃない……もう何度も見られてきたじゃない。こんなの……今までと一緒……沢山の中の一つ……。
澪は少し体を起こし、脚を大きく広げた。
下腹部の奥からこみ上げる尿意を待つ。気温が低いためか、それは簡単に起こった。せき止められた流れが熱を帯びて解放される瞬間、全身に鳥肌が立つ。
――――ゾクゾクッ……
ジョロロロ……ジョボボボォォォ
「わん……んん……わん♥」
黄色い聖水が弧を描いて石畳へとたたきつけられる。
異常なほど激しく胸が高鳴る。口は渇くのに淫裂は反対に濡れていく。
――あぁ……いけないのに……感じちゃってる♥
その時、澪の中に新たな感覚が生まれた。そして同時に、本来なら考えつかないようなことが脳裏によぎる。
それはしてはいけない。そこまでは命じられていない。しかし、澪の中で生まれたその思考は、どんどん肥大していき、理性では抑えられない物になっていく。
――ダメダメ……それは……でも……すごい、ゾクゾクする……。
そして澪は、自らその引き金を引いた。菊門に突き刺さった尻尾付きアナルビーズを引き抜いたのだ。
ブリブリ……ブリュッ……ブブブ、ブリッ
澪は失禁と同時に、脱糞をしてしまった。ざわつく通行人。魔界にカメラなんて物があれば、絶対に写真を撮られているだろう。それを考えただけでも、澪は下腹部に熱を感じた。
「わんんんんん~~~~~~♥」
澪は絶頂した。胸を揉まれてある程度高ぶっていたこともあるだろうが、決定的だったのはやはり、大多数に見られて排泄をしたことだった。
「さすがはメス犬。どこであろうと排泄欲を満たす下等な動物だ」
二人の笑い声が、ぼうっとする頭にガンガン響いた。
――しちゃった……これじゃ、本当に私……ただの犬じゃない。
普通の犬は排泄で性的興奮を感じはしない。だから、この時の澪は犬以下ということになる。そのことに彼女は気づかない。
***
老人はノルベールの待ち合わせ相手ではなかった。それなら本当にあれは誰なのだと澪は文句を言いたくなった。
普通なら二十分で到達できる道のりを、ノルベールはわざと遠回りをして一時間近くも街を歩いた。澪の痴態は、もう何十人、もしかしたら三桁の数の人間に目撃されただろう。
ようやく到着した先は、テラス席のあるカフェテリアだった。
そのテラスの椅子に、待ち合わせ相手は座っていた。
「会いたかったぞ、我が息子ガイア」
それは容姿の整った青年だった。おそらくは二十歳前後。魔族のわりに肌の色が少し薄く、日本人のような黒髪だった。
――息子? 全然似てない……。
「相変わらずのようだね……そちらの女性は?」
「こっちは犬の澪だ。お前、犬好きだっただろう? 久しぶりに息子に顔を合わせるんだ。これくらいのサプライズはしないとなと思って」
「…………」
ガイアは明らかに眉をしかめた。その顔から、澪はガイアが今までのノルベールの知り合いとは違う空気を感じた。
「僕は確かに犬が好きだよ? だけど、一人の女性を辱める行為は……嫌いだ」
「そうか? お前にもこの楽しみを知ってほしいのだがね」
「悪いけど、僕の趣味じゃない」
その後、ガイアは一回も澪に視線を向けなかった。
今更ながら、そう言ったまっすぐな反応をされるのは胸が痛んだ。
――まぁ、普通はその反応よね。
二人の会話から読み取るに、二人は実の親子ではないらしい。ノルベールは数多くの女性と関係を持ってはいるが、そのほとんどが奴隷であり、子供ができても出産前に暴行で死んでしまっているらしい。そのため、ノルベールには子供がいない。
しかし、名門貴族の後継者を欠くわけにはいかない。そこで打って出た手が、ノルベールの妹夫妻の子供を養子に取るというものだった。妹は病気で早くに亡くなり、その夫はさきの大決闘の際に召喚された英霊により殺されたらしい。そこで行く宛のないガイアを、ノルベールが引き取ったのだという。
――養子になったのは本当につい最近なのね……見た感じ明らかに育ちが違うのはそのためか……。
「十年前に床に伏せってからあっという間に死んでしまったが、お前の母さんは本当に美しい女性だった。彼の夫も人格者で、彼が生きていたら、私は家を完全に彼に渡しても良いと思っていたのだがね、本当に残念だ」
「だから、僕を養子にしようと思ったのですか。それにしても、随分と行動が早いようですが?」
「昔から思い立ったらすぐに動く性格なのだよ。君は知らないだろうが」
――何よこのよそよそしい会話。なんだか変な感じ……。
結局二人はたいした会話をすることなく解散となった。一体何だったのだろう。
***
「ここで待っておれ」
そこは路地裏だった。その奥に寂れた鉄扉があり、ノルベールは短く澪にそう伝えると扉に消えていった。首の鎖は扉横の太いパイプにつながれた。
――本当に犬みたい……。
一応鎖が外れないか試してみたが、澪の腕力でどうにかなるものではなかった。以前に小屋に監禁されたときのようにはいかない。
「この時を待っていたよ」
「!」
後ろから声を掛けられた。振り返った瞬間、澪は頬に強烈な打撃を受けて地面に倒れた。
「ぐっ――」
「この前はよくもやってくれたな?」
澪を殴ったのは、先日に会合に参加していたヘイズだった。
「あんた…………」
ヘイズは冷たい眼をしていた。澪をさげすむような瞳で見下ろしている。
「悪いことをしたら、お仕置きが必要だよな?」
ヘイズは倒れた澪をうつ伏せにして組み伏せ、前議もなく澪の淫裂に取り出した自身の肉棒を突き入れた。
「んぎいぃ――――」
犬プレイにより澪の陰部は完全に濡れていた。そのため、いとも簡単にヘイズのものを呑み込んだ。
「犬なら犬らしく、こうして後ろから犯されるのがいいんだろう?」
「んあ、やめ……んああぁ!」
ズチュッ、ボキュッ、ズゴッ、ズブゥ
いきなり全力の抽送に、さすがの澪でも行為に痛みを感じた。しかし、確かな快感が下腹部から全身を貫いていく。
「はぁ♥ んぎ、ひぅ……あぁ、いあぁ!」
肌がぶつかり合う乾いた音と、まるで獣のような男女の声が路地裏に響き渡る。
「さぁ、種付けの時間だ! メス犬はメス犬らしく孕みやがれ!」
「っく……や、やめなさいよ! 誰が、あんたの子供なんか……」
「やはりノルベールの子供がいいか?」
「はぁっ⁉ そんなわけ――――んはあぁ!」
どちらの子供も澪は願い下げだったが、それでもヘイズのことはノルベール以上に嫌悪していた。
ヘイズは後ろから澪の首に手を回して締め始めた。
「んぎ……また……こんな――――」
「ははは! 気持ちが良いぞ! 一番の奥に出してやる!」
一層腰の律動が激しくなる。そして――
ビュルルルゥゥ、ビュグン
「ああぁぁぁ――――――」
激しく膣内で脈打つ肉棒と暴れ回る精液を感じた。それと同時に背筋が後ろに反るほど澪は快楽の天井へと達した。
――うぅ……気持ちいい……でも、こんなやつに中出しされるなんて……。
「ははは……いいぞ。だが、まだダメだ。こんなんじゃダメだ……ダメなんだよ」
ヘイズはおもむろに懐から注射器を取り出した。それは、会合の時に澪が打たれたものと同じ形状だった。
「っ……それは」
戦慄が走る。高ぶっていた興奮も、一気に恐怖で遠のいた。
「あぁ、お前も知ってる薬だ。アントン氏から譲ってもらってな。希釈してないから10%もある。5%を超せば正気に戻れないって代物だが、これを打てばお前は絶対にぶっ壊れる。本当に犬になれるかもしれないぜ?」
「い、いやあぁあぁぁ! それはいや! あ、謝るから! 怪我させたのは謝るからぁ!」
――それじゃ、刃更のもとに戻るどころじゃなくなる……人間じゃなくなる!
「――――――ダメだ」
しかし、澪の言葉も無視して、ヘイズは注射器を彼女の首筋にあてがい――――
ドゴッ――――
突然、ヘイズが吹き飛び地面に倒れた。薬も打たれていない。背後で何が起こったのか一瞬分からず恐る恐る振り向くと、そこにはさっき別れたはずのガイアが立っていた。
「ぐっ……貴様……」
「こんなもので誰かを支配しようだなんて恥ずかしくないのか!」
ガイアは地面に落ちた注射器を踏み潰した。
「早く立ち去れ。この所業を父が知ったら、ただではすまないだろう?」
「くそ……何も知らないガキめ……」
苦々しくそう言うと、ヘイズは殴られた頬を押さえながら路地裏から消えていった。
その一部始終を渦中に居たはずの澪は呆然と見ていた。展開について行けていないのだ。
「こ、これを……」
ガイアは澪から目線を逸らしながら、自分の着ていた上着を渡してきた。
「これは……?」
「お、女の子がそ、そんな格好のままではダメだろう? これを着るといい。痣も隠れる……それと……もっと早く駆けつけていれば、ヘイズにあんなことされなかった。申し訳ない……つらかっただろう……」
「っ…………!」
澪は思わず泣き出しそうになった。人の温かみに触れるのは、一体いつぶりだろう。出会う人は皆、澪の心を傷つけるような事ばかり言ってきたし、されてきた。
「ど、どうしたんだ? 黙り込んで……ま、まさか、どこか怪我をしたのか⁉ それとも、僕が来る前に別の薬を打たれていたとか……」
突然あたふたし始めるガイアだが、彼は澪をまともに見てこない。さっきのカフェテリアでもそうだったが、もしかしたら彼は、澪の裸を見ないように気遣っていたのかもしれない。
――顔も真っ赤……きっと、全く女の子の裸に免疫がないんだわ。
その日本人に近い顔立ちは、少し刃更を彷彿をさせた。決して似ているわけではないが、全体的に印象が少し似ているのだ。それも、澪と初めてあったころの刃更に。
「ふふっ…………」
「え?」
唐突に笑い出した澪に、ガイアは当惑しているようだった。
「ごめんなさいね。何でも無いの。怪我はしてないし、危ない薬も打たれてないわ。心配してくれてありがとう」
「っ…………よかった」
澪の言葉に、ガイアは心底安堵したように息を吐いた。
「でも、その服は受け取れない。私、あなたのお父さんに衣服は命令以外で着るなって言われているの。それにこんなことしたら、あなたも彼に色々言われちゃうわ」
「あの男か……行く宛のない僕を引き取ってくれたことは感謝するが、女の子にこんなことをするなんて許せない……」
「優しいのね」
彼の言葉に、澪は思わず笑みがこぼれる。
「そ、そんなことはない……僕は普通だ」
ガイアはさらに顔を真っ赤にして頭を振った。
「そ、そうだ……み、澪さん……」
そこで初めてガイアはまっすぐに澪を見た。その力強い瞳に、澪は思わずドキリとする。
「な、なに……?」
「ぼ、僕と一緒に――――ー」
「ガイア様、そろそろお戻りください」
いつの間にかガイアの後ろに、グライペルが立っていた。路地を抜けた先には馬車が用意されている。
「グライペルさん……」
「帰りが遅いので心配しました。さぁ、行きましょう。今日はまだご予定があります」
――ノルベールの屋敷の執事がガイアさんのお世話を……? まぁ、養子なんだしおかしくはないのかな……。
ガイアは一瞬だけ眉をひそめ、落ち着いた声で彼に答える。
「分かりました。待たせてしまって申し訳ない」
ガイアはきびすを返し、馬車へと歩き出した。
「あの、これを返します」
澪は彼の上着を差し出した。少し躊躇したがガイアはそれを受け取り路地裏を出た。
馬車に乗って扉を閉める直前、ガイアは澪に向かって小さくつぶやいた。
「必ず……必ず助け出します……」
「っ…………!」
バタンと扉が閉められ、馬車は即座に走り出していった。
――今……。
「澪、行くぞ」
用事を済ませたノルベールが建物から出てきた。
「…………わん」
澪は四つん這いになり、彼に付いていった。そして、今度は一時間かけて街を歩き回った。その間に三人のノルベールの知り合いに躰をまさぐられ、五回絶頂をした。
ようやく馬車にたどり着き、屋敷の帰路を行く途中、馬車の中でノルベールは行為を望んだ。
「私は座っているから、巧くやれ」
「わん……」
アナルビーズや首輪を外すことをまだ許されなかったため、犬プレイは屋敷に着くまで続けなければいけない。澪は彼にまたがり、肉棒に淫裂を当てて腰を降ろした。
「わん…………くうぅん♥」
淫靡な水音と澪の嬌声は馬車の中に響く。
行為の最中、澪の頭の中にずっとガイアの言葉が何度も再生されていた。
『必ず助け出します』
――本当に……そんなことが……。
湧き上がる感情をノルベールに悟られないように、澪は一層乱れて見せたのだった。