「出発? 明日の朝に?」
ポート・ブリーズに滞在して一ヶ月ほど経った頃だった。最近はグランも執務する姿を見るようになったがまだ抑制剤が出来ただけで、完全に治ったわけでは無いらしいという噂を聞いてまだあまり経っていないのに。突然だったこともあって思わずラカムに聞き返してしまった。
「ああ、グランの体調が回復してな。どうやらカリオストロが薬を完成さえたらしい」
「で、早速出ると」
「ああ、数日様子見たが完成させた薬もちゃんと効いたらしいからな。それにグランが動けない間ろくに依頼も出来なかったもんでね」
「で依頼が溜まってるから早急に消化しなきゃいけないってところ?」
「まあそれもあるんだがそれよりも団の財政が問題でな、ポート・ブリーズともなると停泊代も馬鹿にならんし、何よりグランの薬の材料とかで結構いろいろ買ったからな、早急に団としての金を稼がにゃいかん」
なるほど、それはたしかに問題だ。この船には希少な素材もたくさんあるがそれに需要がなければ石ころ同然。何よりこの団にはそれを使う予定があるので売るわけにはいかない。そういうわけで必然的にクエストで稼ぐしか方法は無いわけだ。
「とりあえずガロンゾ島に行く、あそこには色んな所から依頼が来るからな」
「わかった、じゃあ準備するね」
そう言ってその場をあとにする。グランが治ったことは純粋に嬉しいがガロンゾまでは結構距離がある。もちろん航行中に売りなんて出来るわけないので……
「困ったなぁ……」
グランが治ったのは嬉しいしずっとポート・ブリーズに居られないのも判る。しかしそれを手放しで喜べないほどあたしは切羽詰まっていた。
「全然治らないし……なんでぇ?」
性欲が全然収まる気配が無いのだ、むしろ悪化している。最初はそういう時期でちょっとすれば治るだろうと思っていた。しかしそんなことはなく日に日に性欲は強くなって、まるで誰かに体を弄られたみたいだ。小遣い稼ぎをする分にはノリノリで出来るので良いが本業に支障が出るのは困る。これじゃ世界を見て回るなんて無理だ。
「カリオストロに相談したら絶対揶揄われるし……うーん」
症状が出てきた時期からして原因に心当たりがあるが、確証が無いのでなんとも言えない。星晶獣にそんなやつがいるかわからないし。
「あ、クラリスー! 一緒に買い出しいこー!」
明日から長い船旅になる、とりあえず買い出しだ。丁度同じ目的で出ようとしていたであろうクラリスを誘って行くことにした。
無事船は出発し、今はまさにガロンゾへの道すがら、まだまだ目的地までは結構あるというのに、あたしの思考はピンク一色といった感じだ。
「んっ♡ ふっ♡」
出発してから症状は劇的に悪化した。もうえっちなことばかり考えてしまう。体は火照って、思考も全然纏まらない。気を抜けば今みたいにすぐに自慰を始めてしまう。本人たちから聞いたことは無いがエルーンの発情期ってこんな感じなのだろうか、彼女たちが部屋に籠もっている理由も判るような気がする。
「んー♡ んっ♡ はぁっ♡」
こんな指で満足出来るわけも無いのに、物足りない快感を貪ることしか出来ないのはとても虚しい。けどやめられない。まるで穴の空いた桶に水を流し続けているような感覚だった。
「……喉乾いた」
無理やり理由をつけて起き上がる。こうでもしないと一晩中弄ってしまう。昼間は食事の準備なり荷物の整理なりで体を動かして気を紛らわせればいいが、夜になるとそうもいかない。そうなると必然的にこうなるのだ。切り上げないと翌日の行動に多大な影響が出るのは最初の3日で学んだ。
女性用洗濯カゴにびしょびしょになったタオルを放り入れて食堂に向かう。すると結構遅い時間にも関わらず食堂に明かりが付いている。どうやら先客がいるらしい。
「こんな時間に誰かいるの? って団長か」
「え、なんでそんな嫌そうな顔するのカレン」
グランには悪いが正直今は会いたくなかった。なるべく意識しないように冷蔵庫から飲み物を取り出す。
「カレンもコーヒー飲む?」
「これから寝るってのになんでコーヒーなのよ、水で良いわよ」
「そっか、カレン夜更かしする方だと思ってたけど」
「てか団長は寝ないの? こんな時間にコーヒー飲んだら寝れなくなるわよ」
「溜まってた仕事があるからね、あとちょっとで終わるから追い上げって感じ」
「ふーん」
(あーやばい、ぶり返してきた……寝れなさそう……)
「……やっぱあたしにもコーヒー頂戴」
「え、良いけど寝るんじゃないの?」
「気が変わったのよ」
棚からマグカップを出してグランに注いでもらう。一口つけると苦味といい香りが思考を落ち着かせてくれる。
「夜更かしするならさ、部屋で話し相手になってよ。一人でカリカリやってるの結構辛くて」
「なにー? そうやって誘い込んで襲うつもり? ケダモノめ」
「カレンが可愛いから仕方ないよね」
「なにそれ、前は顔赤くして否定してたのに。つまんないのー」
悩んだがグランの口車に乗せられて部屋についていく、あわよくば相手をしてくれるかもとかちょっと考えてたりもして。グランのセックスで満足できるかは疑問ではあるが。
「なんか、甘い匂いしない?」
「ああ、ちょっとお香炊いててさ、ずっとこの部屋に引きこもってたもんでリーシャが持ってきて」
「ふーん」
正直めちゃくちゃいやらしい気分になる匂いだ。そういうお店で焚かれてる物と言われても納得できる。
「じゃあちゃちゃっとやっちゃうからさ、話し相手よろしく」
「んー」
カリカリと万年筆の走る音とともに他愛もない雑談がかわされる。ほんとに世間話、昼間食堂で誰かが聞いてても誰も見向きもしない程度のものだ。しかしあたしの内心はそんな穏やかなものではなく、後悔に苛まれながら葛藤していた。
(あー安請け合いするんじゃなかったすごいムラムラする……どうしよう今すぐオナりたい……)
ちらりとグランを見る、先程から筆が乗っているのか黙々と書類を書き進めてこちらを見る気配はない。
(少しくらいなら……バレないよね?)
普段ならそんなわけ無いと瞬時に判るはずだが思考力がゼロに等しい今は都合のいい方向にしか思考が向かない。するするとスカートの中に手が伸びて、完全に勃起している陰核に指が触れる。
(んっ♡ ちょっとだけ、すこしだけなら……)
甘美な快感に酔って、陰核をいじり続ける、指の腹で押してみたり、こすってみたり。もちろん今のあたしが少しで終わるはずもなく、終わることなく永遠と快感を求め続ける。
(イッ! あっ♡…… んぅ♡)
体がぴくんと硬直する、しかし指は止まることなくさらなる快感を求めて蠢き続ける。まるで猿のように自慰に夢中になっていた、気持ちよくなるのに必死で何もかも忘れていた、周囲の状況など何も見えていなかった。
「カレン」
「ひゃっ!!?」
だからグランがとっくに作業を終えていたことも、肩を叩かれるまで全く気付かなかった。
「あ、グラン……いやそのこれは……」
慌てて手を抜いてろくろを回しながらしどろもどろに言い訳しようとする。今までに無いくらい顔が熱い、恥ずかしすぎる。
「なんだ、最初からそういうつもりだったんだ。ゴメンね気付かなくて」
「へ? いやちがっ」
「違うの?」
「……違くないです、えっちしたくてグランについて来ました」
元々そういう気もあったんだ、今更言い訳出来るはずもないので諦めて素直になることにした。このままじゃ部屋に帰っても寝れないし予定通りだ、うん。早速立ってベッドに行こうとするとグランは何故か肩に置いた手であたしを押し止める。
「? どうしたの?」
「……ソファでしよっか」
「えー、まぁ良いけど……てわっ!」
隣りに座ったと思ったらいきなり体を持ち上げられ、グランの足の上に乗せられる。背面座位のような体勢だ。
「挿入れないの?」
「んー? 今日はカレン辛そうだからさ、トコトン満足させてあげようと思ってさ」
「えーなにそれ、じゃあ期待しちゃおっかなー、んっ♡」
ニヤニヤと笑いながらグランを揶揄っている間にも、明らかに今までよりも手慣れた手付きで服が脱がされていく。いつの間にかブラが外されて顕になったおっぱいを弄られる。
「あっ♡ なんか、はぁ♡ 上手くなってない?」
「ずっと部屋で寝てたのにそんなわけ無いじゃん。カレンがえっちな気分だからじゃない?」
絶対そんなこと無い。確かに今あたしは性欲MAXだけど明らかにグランの動きが以前と違っていた。左手は優しくおっぱいを揉みしだいたり、乳首をかりかりと引っ掻いたりしていじりながら右手は本命とばかりに下に降りてスカートの中に忍び込んでいく。
「うわビショビショ、本気でオナニーしてたんだね」
「うるっ、さっ♡ この部屋の変な匂いのせいだしっ、んぅっ♡」
やば、やっぱぜんぜん違う。男の人のゴツゴツとした指で撫でられると興奮が倍増して、一層敏感になった気がした。さっきまで自分でしていたよりも全然優しい、ただ表面をすりすりとなぞっているだけなのにさっきよりも気持ちよく感じてしまう。
「いぃ♡ んっ♡ ひゃっ♡ ナカぁ♡」
「欲しがりだなぁ、まだパンツの上から指あてがっただけなのに吸い付いてくるよ」
「やぁ意地悪しないで、膣内イジってよぉ♡」
以前はこんな風に焦らしたりしなかったのに、指を優しく押し込んでは離して、もどかしい。押し込まれるたびに来るのかと勘違いして体がビクリと反応してしまう。一通り焦らして満足したのか、もはやなんの意味も持たなくなった布切れを押しのけてグランの指が膣に直接触れ、挿入っていく。
「ん~♡ やっとぉ♡」
「すごいぎゅうぎゅう締めてくる、そんなに欲しかった?」
コクコクとうなずく。こちとらポート・ブリーズを出てからずっと欲求不満の男日照りだ。何度見かけた男性の団員に襲いかかりそうになったか。それを必死に抑えていた反動が今ここで出ているのかもしれない。
「じゃあたくさん気持ちよくしてあげないと、多分ここかな?」
「っ! なんで、そこっ♡ そこだめっ♡ 弱いからぁ♡!」
「だめじゃないよ、気持ちよくなろーね」
「いやっ♡ あっ! んっ! っ! ああああっ! ね、ゆび止めてぇ! もうイッた、イッたからぁ!」
いきなり弱いところを思いっきり責められて、一気に絶頂してしまう。しかしそれでも一向に責めは止まらず、Gスポットに指を埋めんばかりに責め立てて来る。痛くないギリギリのラインで、激しく揺さぶってくる。クリトリスとはまるで違う強い快感が矢継ぎ早に頭を揺らす。ちらりと見える加虐心にあふれるグランの横顔にあたしは覚えが有った。
(ああ、これあたし今日帰るの無理だな)
女をひたすら鳴かせ、喘がせ、イかせるのがトコトン好きな男が偶にいる。自分が気持ちよくなるより相手が気持ちよくなっている姿が好きで、あの手この手でひたすら快感の海に沈めてくるのだ。程々なら良いが、これにテクニックや体力が合わさった時が地獄で、ホテルから出てくるときには一級の娼婦でも足腰が立たなくなるほどになる。あたしも一回だけ紹介されて相手をしたことがあるが、すごかった。声は枯れるし、終わっても動けないからホテルにもう一泊させて貰ったし、体中筋肉痛ですごかったし。なにより気持ち良すぎて途中から記憶が殆ど無い。ただイかされまくった記憶しかなかった。
今のグランはその時の男性に似ていた。今までの鬱憤を晴らすつもりだろうか、得たテクニックがどれほどのものか試そうとしているのだろうか? それともただ単に私が快感に喘いでいる姿が見たいのか。どちらにせよあたしがひどい目に会うのは確定だろう。現に今彼の指で地獄に叩き落とされているのだから。
「もうやめっ♡ イッ♡ ああああああ♡♡♡ やだやだやだぁ♡ もう気持ちいいのやだぁ!」
「まだ指だよ? これからもっと気持ちよくしてあげるからね」
「ひっ♡ ほっ♡ やっ♡ ぐらんおねがいぃ、やすませてぇ♡」
「だめー」
ソファーのクッションはもう飲み物をこぼしたなんてレベルじゃなくびちょびちょで、グランのズボンも愛液まみれになっている。あたしはもちろんそんなことを気にする余裕なんてなくて、力なく彼の腕にしがみついていた。それが止めてほしいからなのか、それとも離れないでいてほしいからなのか、あたしにもよくわからなかった。
今回からいつものグラン君です。
間にカレンお気に入りの男の話を入れようかと思ったんですがややこしくなるからやめました。
【グラン】
一応まだ無関係な団員には星晶獣の影響で臥せっていたと信じ込ませることに成功している模様。
一応ずっと寝ていたという言葉に嘘はない。
(時系列的にはリーシャ3話の後なのでグランの性欲は完全に制御出来るようになっています。
能力の制御はマリーの話の時と同じくらい。)
【カレン】
経験豊富なので性感帯と言われるところは基本的に開発されてるので、グランくんの精液がなくてもバッチリ感じてしまう。
部屋が近くて薄まっているにしてもずっとグランのフェロモンを嗅いでいたので媚香のに馴染みやすくなっていたようだ。
ディルドを使ったオナニーをしたら徹夜してしまったのでこれは不味いとタンスの奥底に封印中