※この作品はR-18です。

流されるにも程がある!   作:朝垣飯菓

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第1話

窓がガタガタと音をたてている。

夜になると、まだ肌寒く感じる地域だが、三蔵は自分が寒いのか暑いのかもよくわからない状況だった。

ただ、いつもならばありえない角度で上向いた自分の顔や、頬を包み込む、さらりとした掌。

どうやって逃れようか…等と考えたのをおそらく八戒は見透かしている。

 

優しく、それでいてガッチリと身体をホールドし、いつものように柔らかく穏やかな声音でささやく。

「今日は気が散りますか? 三蔵…?」

それだけで、耳元からの刺激が背中を通ってゆく。

己の意識よりも、身体が先に反応をする。

接触には嫌悪感があったはずなのに、八戒の体温をほのかに感じることは心地よかった。

「さぁ、口開けて? 」

熱をもった翡翠の瞳がひかるのを下から睨むと、下唇を指でそっと何度も撫でられる。ソレだけなのに、ジーンとした感覚が唇に生まれた。

 

くそ…。

 

「…三蔵…?」

自分は一刻も早く西へ行き、牛魔王の蘇生実験を阻止すること。何よりも奪われた『聖天経文』を取り返すために旅をしている。

こんなこと、していていいわけないのだ。

だが……。

八戒を無視すればいいことなのに、ソレが出来ない。

自問自答しても、いつも迷路に入り込んだようになってしまい、一向に答えがでないのだ。

そもそも、コレについては答えを八戒から求められたことはなく…。

好きだと告げられただけだった。

だが、悟空を好きだったのではなかったのかと問うと、『そんな風に誤解されて僕、傷つきました』等と言って、『慰謝料下さいね?』と、唇を臆面もなく重ねてきたのだった。

 

……しかも最初から舌まで入れてきやがって!!

 

とんだ肉食男子だった。

「何でそんな睨むんです? かわい……いえ、何でもないです」

そしてコレだ。ことあるごとに、『かわいい』とぬかしやがる。

いちいち目くじら立てんのもめんどくせぇくらいで、コイツ……おかしくなってんじゃねえかと、疑っているところだ。

いや、俺を好きだと本気で言う時点で、大概だろう。

…自分で言うのもなんだが…、どこに惚れる要素があるのか解らねぇし、そういう事に関しては、一切親しんだことがない。

相手が何を自分に求めているかなど、めんどうとしか思えなかった。

はずだ。

「考え事は後にして…。ね?」

流されてんのが、気にくわねえわけじゃない。

嫌じゃないのが、いただけねえ…。

一向に口を開かない俺にしびれをきらせて、八戒が自分の舌をほんの少しみせて、微笑んだ。

長いキスを、八戒はする。

息が苦しくなったので、爪を腕にくい込ませてやる。

クスリ…。気配で笑ったのがわかった。

ちょっとした嫌がらせのつもりだが、むしろ嬉しそうな顔をして俺をみてやがる。

 

何が嬉しいんだ…。本当に、コイツおかしいな…。

 

「そんな顔しちゃって…三蔵~」

「…終わったら。さっさと部屋に帰れ」

しっしっと、払うようにした手をとられた。

「や! です。僕もう少し三蔵を味わいたいです」

 

お前! 俺は食い物じゃねえ……!

 

ふざけるのもと、怒鳴ろうとしたらこめかみにチュッとされた。

「泣いちゃいますよ」

「んなタイプか、お前が……」

いけしゃあしゃあと言いやがって、ニッコリしてても目が笑ってねえ。

こうなると、俺はまな板の上の鯉。

になんて…やすやすとのってはやらねえつもりだが。

 

「俺を裏切らねえんだろう?」

「あれ、これってそういう類いですか? ちょっとしたリフレッシュ……いえ、僕は本気ですよ? ただ、三蔵は『囚われられない』でしょうから、こうやって一時の安らぎを提供? してるつもりなんですけどね」

 

まったく…。よくもまぁ、つらつらつらと。

 

「早寝の方がリフレッシュできるだろうが。手ぇ離せ…おい、八戒」

「お寝むになってもいいですよ? 」

この間は寝ちゃいましたものね? と、言いやがる。

 

確かにそうだが、眠いのに強引に吸い付いてきやがったんだろうが!

段々と身体に見知らぬ感覚が増えていくのも、ついてけねぇんだよ! クソッタレ!!

 

「俺がかまうんだよ!!」

手から腕に移動した八戒のしなやかな指の感触が、はっきり官能の動きになった。

官能という言葉すら、こいつから言われてインプットされた。

イラつく感情とは関係なく…。ぞわぞわと、走り回るそれ。

自分の感覚がひきずられるのがわかる。そこからわざと意識をそらせる。

「離せ!!」

邪険にはらおうとしても、予想していたのか束縛が強くなるばかり。

「やです…三蔵…大好きです」

耳元からの刺激に弱いのをよくわかってる八戒は、ことさら低く囁き、耳朶を刺激する。

続けて、甘噛みされ…指が這わされ…。

「っ~っ!!」

辛うじて声が漏れるのは、阻止した。

今までそんなところを意識したことすらねえが、耳への刺激には反応を抑えようとしても駄目なのだ。

いわゆる『弱点』らしい。

思い出すだけで、自分がこいつにいいようにされているような気がしてしまう。

「……クソッタレ」

「お言葉ですが、貴方…今スッゴい色っぽいですよ?」

「わいてんのか!!」

罵倒を、整わない息の下から何とか言い返すのが精一杯ってのが、情けねえ。

「もう。たまらないなぁ…」

じわり…じわり…。八戒の触り方がいよいよ我慢できそうにない。

色々はぐらかそうとしても、人間の感覚は心地いい方へ流されるものなのだろうか……。

「……っ、~っ ん」

「なんていうか、…そう必死に我慢されてしまうと、背徳感満載ですね」

言いつつも、手の動きは止まらずに、腕から背中、腰…。唇は首筋を舐めてゆく。

 

首なんか舐める必要ねえだろうがっっっ!! 声がっっクソッ。

 

「三蔵。唇噛んじゃダメです…」

「勝手な…ぁっ!!」

ふたたび唇はふさがれ、段々と濃厚な接触に頭の中が、真っ白になってゆく。

「っ…はぅ…」

何度か己を慰めたのは…。必要に迫られてと、1度は好奇心から。それだけの経験しかない。昂る事もあったが、意識が飛ぶその行為を、どうしてもすすんでしようとは思えなかった。

そう認識して、それ以降はしたことがなかった。

してしまえば、隙が生まれる。隙が生まれれば、その間、身を守る事が出来ない。そうやって理由をつけて、今までやって来たってのに。

 

なのに…この様は、笑うしかねえ。

 

「なに他のこと考えてるんです?」

普段の爽やかな笑顔などそこにはなく…ただ、求める男の顔。

「んっっ」

首をふって逃れても、耳朶を甘噛みされ震えがはしり、腕を突っぱねようとしても…もう、足元がおぼつかない。

異様な息苦しさと、熱さは覚えがある。

眠気に変換されずに、腹の下に凝った熱が鬱陶しい。

「く……ぅ…」

ソフトに八戒の手が、法衣の上から触っている。

「三蔵? 我慢しないで? 」

「さわん! っな! ころすぞ!」

「でも…もうこんなになって…じゃあ」

ココはどうですか? そう言って、胸元を愛撫しだした。

「な! や! ああっ !?」

鋭敏な感覚が全身にはしり、知らずうちに息をのむ。

意図せず浮かぶ涙を、八戒の唇が吸う。

息が…苦しい。胸も。心臓がはねている。

八戒が法衣をくつろげ、アンダーごと胸の突起をつまんだ。

強い快楽に身をよじる。

「ふ…ぁっんん!! 止めっ!!」

「もっとみせて……三蔵…」

そのまま容赦なく、八戒が下半身も刺激してくる。腰、太もも、内もも、そして…。立ち上がっているであろう…ソレ。

触るな!! と怒鳴りたいが躊躇なく握りこまれ、瞬く間に追い上げられる。

「くぅ!! っっ」

衝撃に目をつぶって、歯を食いしばり耐えるしかない。

八戒の視線を強く感じるが、睨む余裕もなくただ翻弄される。

 

バカ!! んなとこ触りやがって!! あ! あ! くそ…っっ!!

 

抗おうにも、ただ身体を支えるのもやっとで八戒の胸にすがるしかない。

「くっあぁっっっ!」

そして…脳内がはじけるような快楽の渦。

「はぁっ…はぁっ…はぁ…っ」

 

俺は……出しちまったのか!? 八戒の手で!?

 

しばらくの間、呆然とした。

チャクラに口づけの感触。

「三蔵…っ!!」

八戒の吐息が熱い。

前髪をくすぐるそれに見上げるが、表情がよく見えない 、

息が整わず苛つく。

 

くそ!

 

まさか、シモの方まで触られるとは思わず、しかも気を飛ばしてしまったのだ。

見知った人間に、弱さを見られたような居たたまれない感情。

熱の去った後の爽快感と、いいようにされた事実。

 

「大丈夫ですか、三蔵…」

思わず手が出た。

バシッと、かなりの音が響く。掌の痛みは、八戒の頬にくっきりとアトを浮かび上がらせてゆく。

驚きはしたようだが、怒りもせず八戒はささっと拭い、法衣を戻し、俺を椅子へと座らせた。

俺への愛情しかない翡翠の瞳が、艶めいたまま苦笑している。

「コーヒーいれてきますね…」

「………チッ」

今さら被害者ヅラはしねえが、叩いた事を謝る気もなかった。

 

パタン

 

部屋に微かに、残る…、気。

 

窓越の外を見る。 あいにくの嵐模様だが、今は都合がいい。

立ち上がって、窓を全開にした。

 

なぶる風にさえ、肌がぞくりとして…。

唇も、腕も足も…。八戒の余韻がまだ残っている。

記憶からふるい落とそうとしても…ムリだ。

脳裏に浮かぶ、熱っぽい翡翠に、かすれた声…熱い掌。

 

 

嫌なら逃げればいい。

もしくは息の根を止めれば、迷わされる事もなくなる。

だが、俺はここにいる。

頭を振って、シャワー室へ歩いた。

 

 

 

 

 

 




ううむ。描写だけになってしまった…。
一応八戒が攻めるというものを目指して…失敗しました。
エロ(見も蓋もない…) 難しいですねえ…。
でも、一応続く予定です。八戒は、全然堪えてません(笑)
三蔵かわいかったなあ…って、コーヒーいれつつも不気味に笑っております。
もしかしたら修正するかもです。

続く…予定です。
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