しょうもないギャグネタですが、お気にされている方には申し訳ありません。
みんなのあたま
その日、俺ァ、ユーフェミア副総督閣下の執務室のお掃除をしていた。
またこちらが先だった。
本来の順で言えば、コーネリア総督閣下の執務室から始めるべきなんだが、総督閣下が『副総督の執務室から始めてくれ』と仰られたからこちらから。
今日は副総督閣下はいらっしゃらなかった。
代わりに、スゲーいかつい顔と、顔の右斜め上から、左斜め下にかけて、大きく走った切り傷が特徴的な、茶色の短髪のダールトン将軍閣下がお出でで。
「忠勤、ご苦労だな」
なんて、気安く声をお掛け頂いたので。俺ァ。
「いえいえ、これが私めの御勤めなれば、はい」
そう応じ、部屋の清掃をしていた。しかしなあ、ダールトン将軍。俺よりァ年下なんだが……ふっさふさなんだよなァ。
だから思わず聞いちまったのさ。
「将軍閣下、一つご質問をよろしゅうございますでしょうか?」
「ん? どうかしたか?」
「いえね。本当に失礼な事かと存じ上げますが。閣下は何故にそのようにしてふさふさなのでございますでしょうか」
将軍閣下は首をひねり、ああ、なるほどそういう事かと仰ると。
「特に何もしてはおらんな。しいて言うのならばまあ、年齢的に少し気にしているので、洗い方をきっちりしているだけだ」
「あの、私めにはその洗う物その物がございませんのですが……」
「う、うむ……、毛生え薬でも使ってみてはどうだ?」
◇
「とまあ、そういう事がございまして」
今度は、コーネリア総督閣下の執務室の清掃に回ったわけだが、いらっしゃった総督閣下に清掃をしながら話していると。
「ぷっ……くくく、ははははっ!」
大笑いされちまった。そんなに笑うこたァねェだろ総督閣下ァ……。
「いや、すまない。まさかダールトンにその様な質問をする者が居ようとはと思ってな」
「閣下ァ。こっちァ、大真面目なのでございますよォ? 貴女方のように持つ者と、私めのような持たざる者。この差は大きいのでございますからねェ」
おまけに眼鏡をかけた、背中まで届く長い髪の美男子。コーネリア総督閣下の騎士、ギルフォード卿までが「く、うくっ」と笑いをこらえている。
ギルフォード卿も。
「しかし、本気で何とかしたいと考えているのならば、毛生え薬か植毛しかないのではないのか?」
そう、ダールトン将軍の言が正しいとおっしゃる。
「植毛は邪道でございますが、毛生え薬……」
呟いた瞬間。
「貴様は恐らく手遅れだと思うが……、くくくっ、ははははっ」
「悪魔かよ総督閣下!!」
本来は不敬だが、総督閣下、ギルフォード卿、ダールトン将軍など、仲の良い顔見知りしかいない場では俺ァ、ある程度の暴言や、ふてぶてしい言葉遣いを許されている。
「だが、考えてもみよ。つるりん状態がふさふさに戻るには毛根が必要だが、お前の頭はもう毛根が死んでいるとしか思えん」
「だから毛生え薬なんじゃねェですかいっ!!」
するとギルフォード卿が。
「毛根が死んでいる仮定であるのならば、コーネリア殿下のおっしゃる通り難しいかもしれんな」
「じゃあどうしろってのよあんたらはっ!?」
「やはり植毛だろう。何なら、私が費用を出してやろうか?」
「いや、植毛は結局抜けますよぉ。ぬか喜びなんですよ。あとで悲しむことになるんですよぉ、おたくらふさふさだからって俺の事からかってねェ?」
ちょっとイラっとした。そりゃ言葉遣いも荒くなるってもんよ。
総督閣下もギルフォード卿も揃って。
「そんなことは無い。私たちは真面目に相談に乗っている、だろう? ギルフォード」
「はい、殿下。解決策として一番なのは植毛だという事だ。それを否定するならば、一度毛生え薬を無駄と考えつつ試してみる事だな。申し訳ないが持たざる者に寄り添ってやれるとしても限度がある。まあ殿下の提案をお勧めするがな」
◇
そんなことがあった日の翌日。政庁とは違う作業に回されたその日は半日で仕事終わり。
よく効く毛生え薬とかいうのを疎開で買って帰った。試しにやってみよう。努力なしには何も解決しねェしな。
せっかく年の近いダールトン将軍が薦めてくれたんだ。試してみるのもアリだろうと思って廃墟に帰ったら。
「お帰りなさい。おぢさま♪」
太もも裏くらいまで届く桃色の長い髪を、大きなポニーテールに纏めた、公務服姿の、俺の知る中で一番のふっさふさが来てた。
いや、なんでいるの君? 公務は?
「本日、わたくしお休みなのです」
「勉強とかあるだろォがァ」
「午前中に全て終わらせました」
ああ、そうですか。
「ええー、ユーフェミア皇女。私めは本日重要重大なことを試そうとしているところでして、貴女様のお相手をしている暇はないのでございます、はい」
「なんでしょうか? 重要重大なこととは。わたくしもお手伝いいたします」
ええ、ええ、慈悲深いこってふっさふさ様は、みんなして本当に。馬鹿にしやがってクソがっ。
「いやもう本当に一人で出来るし見られたくも無いから上の階に上がってていただけませんかねェ」
何が悲しゅうて好きな女に毛生え薬を使ってるところを見られにゃならねんだ。
そしたらなんかユーフェミア皇女。使命に燃えるみたいに。
「おぢさま。困難は夫婦で乗り越えるべきですわ。わたくしも共に」
ふさふさと共に出来ることはねェの。いやマジでこれ本気。だがこれがまあこっちが何を持ってるか目ざとく見つけて来やがって。俺の手から取り上げやがった。
「なんですの。このお薬は? 媚薬?」
「何を勘違いしとるの君。俺たちの間柄で今更媚薬なんかいらねェだろ」
俺とユーフェミア皇女は普通にセックスをしているっつーか、二人だけの夫婦の間柄なわけで、今更以て媚薬なんか必要ない。気分転換にそういうのを使ってみるというならばアリかも知れんがねェ。
「とにかく上行っててくださいよォ~、それか一時間くらいお風呂にでも入っててくださいませ~」
ふさふさは禿の空気を読めないから困る。
とまあ、誤魔化そうとしたら半目になって。
「なんのお薬ですの?」
ってしつこく聞いてきやがるからゲロッた。
「媚薬とか変な薬じゃねェよッ!! 毛生え薬だよッ!!」
したらこのふさふさめは。
「ぷッ、くふふふふッッ」
笑いやがった。ああ、ユーフェミア皇女よォ、おめェまで禿の敵なのか?
「ご、ごめんなさいっ、まさかそのようなお薬だなんて思わなかったものですから」
「謝りゃいいってもんじゃねーぞったく……ダールトン将軍に薦められたんだよそういう薬はどうかってな」
ユーフェミア皇女の姉ちゃんらに笑われた話は省いた。ついでに植毛の話も。だってなあ、一番最初に植毛を進めてきたのユーフェミア皇女だからなあ。
とか考えてたら、ユーフェミア皇女が近づいてきて俺を木椅子に座らせて、ああ、うち木椅子が一脚あるのよ。ユーフェミア皇女と交接するときにもよく使ってンだよ。
俺とユーフェミア皇女の交接は基本が対面座位だから、割と重宝してるぜ。まあ、ベッドでしっぽりすることもあるがなあ。
で、交接でもすんのかと思ったら、そのまま頭を抱すくめられて、まあ、なんだ、なでなでされた。
「ユーフェミア皇女?」
「おぢさま。おぢさまは禿げていても素敵です。無理をして髪を生やす必要はありませんわ。そんなに髪の毛が欲しいのなら、ほら」
言って大きく結われたポニーテールの長い髪を肩から前に流してきて、俺の頭に触れさせる、俺の手にも触れさせる。
「わたくしの髪をいつものように代償行為にお使いくださればよろしいでしょう?」
俺は、普段からよくユーフェミア皇女の髪を触っている。匂いを嗅いだり、触り心地を確かめたり。女の髪だから余計に綺麗で、心地いい触り心地なんだ。
交接終わり、身体を重ねたまま二人で見る120分物のビデオテープ、アニメだが、それを観ながら抱き締め合ったまま。俺はユーフェミア皇女の髪を一時間とか平気で触っている。
風呂に入る時は、一緒に入り髪を洗わせてもらって。自分にはない髪の毛という物に対する代償行為をしまくりで。正直申し訳ないとは思ってる。
「……でもなあ、申し訳ねェだろいつもいつも。今もそうだ」
「わたくしは気にしておりませんわ。おぢさまが触りたいのでしたらいつまでも触っていてくださっても」
いつまでもって……、ああー、マジ慈愛の皇女、半端ねェわ。
「それでも、御自分の髪の毛を欲しておいでなのでしたら、わたくしがいまから塗って差し上げます。毛生え薬」
ユーフェミア皇女に抱き締められたまま、頭を撫でられ、髪の毛を触れさせられ、その中で考え続けている間に視界に入るのは、俺の右肩から流れ落ちている桃色の髪の束。
「……」
その桃色を視ながら考える。
どうしようか。無理して髪生やす努力をしてみるか?
これまで通り、ユーフェミア皇女の髪の毛を代償行為として触らせてもらうか。
はあ、悩ましいなあ……。
短編集内の各お話と投稿予定(未定)の続きやお話で読んでみたい作品はありますか?(ご期待に副える事が出来るかどうか分かりませんが、一ご意見としてお伺いしたいと思います)
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コードギアス
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コードギアスR2
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此花トゥルーリポート
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FF4×FF6
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カオシックルーン
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学園黙示録
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ルパン三世 ワルサーP38
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幕末風来伝 斬郎汰
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ニードレス
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ヨルムンガンド
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サラダデイズ
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ESアザーワイズ(戒×瑠璃)
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