※この作品はR-18です。

二次創作SS集   作:夜半の月

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コードギアスの二次創作小説で皇女はおぢさまと日本を目指すの続きとなります。

整合性がうまく取れているか分かりませんがご指摘の頂いていた一話の改訂をしました。よろしければそちらもお目を通して下さりご意見を賜ると嬉しいです。




馴れ合うと共に愛し合う

 

 

 

 馴れ合うと共に愛し合う

 

 

 

 

 ゲットーにほど近い廃墟。

 トウキョウ疎開とシンジュクゲットーの境目にある珍しくも無い廃墟の地下室。

 

 がらんとした狭い地下室、ここ神聖ブリタニア帝国エリア11の旧国風の呼び方で四畳半ほどの広さの部屋に。

 シミの付いた粗末な布団が敷かれた簡易なパイプベッドと、使い古しの木椅子があった。

 

 木椅子には何れの目にも明らかな旧ニッポンジン――現呼び名をイレヴンの男が座っている。

 

 毛の薄くなった頭に産毛を生やし、整えてもいない無精ひげと贔屓目に視ようとも不細工な容貌をした年の頃は五十代後半から六十代前頃。

 

 中年よりはやや老齢寄りな肥満体型の男は、衣服を脱ぎ捨て生まれたままの姿で椅子に座り両脚を開いていた。

 

 そして、その男の膝の上。男と正面向かい合わせに、椅子を跨ぐかのようにして両脚を大きく開きながら男の太股に座り。

 腰を上下させている女の姿があった。

 

「あっ…、あっ…、あっっ……、」

 

 膝裏に届くほどの長い桃色の髪を大きな髪留めで緩く大きなポニーテールに纏め。

 

 深いスリットの入った膝丈のタイトなスカートをした白い公務服に、お尻側だけを膝下まで覆うピンクのひらひらとした羽のスカート。

 

そんな一見してビジネスウーマンにも見えそうで、それでありながらも気品が感じられる特徴的な意匠の衣服を身に纏う女は。

 

 彼女は、薄紫色の瞳を熱にふやけさせ、桃色の口紅を引いた唇から蕩ける声を上げている。

 

 女の名はユーフェミア。神聖ブリタニア帝国第三皇女ユーフェミア・リ・ブリタニアであった。

 

「あっ…、は、あっ……」

 

 ユーフェミアは甘く蕩ける声を上げている。

 

 衣服は全て着用したままで、スカートだけを男にめくりあげられながら。

 

 彼女自身の膣に奥深くまで男の禍々しくもたくましく黒ずんだ男根を挿れられながら。

 

 甘く切なく蕩ける声を上げているのだ。

 

「あっ…、あっ…」

 

 ユーフェミア・リ・ブリタニア、彼女は人知れず眼前のイレヴンの男に犯されていた。

 

 それも一度や二度ではなく、もうそれなりの回数を。

 

 彼とのなれそめはユーフェミアがエリア11へと訪れた直後から始まった。

 

 政庁を抜け出して間もなくイレヴンの男、彼に言葉巧みに誘い出され犯されてしまった事を皮切りとし。

 

 犯され、処女を奪われ、唇を奪われ、中に出されるという恥辱の果て。

 

 ユーフェミアと男の間で強制的に交わされたセックスの一部始終。

 男が撮影していたというビデオテープを脅しの材料にされ。

 現状を誰に訴えることも出来ないままに、二度目三度目と強姦されてしまったのだ。

 

 一度男からの電話で呼び出されるその日には五回から七回は犯される。

 

 深く、奥まで、執拗に。とても念入りにユーフェミアは彼から犯されるのだ。

 

 その為、初めての時から今までの交接回数だけを数えるなら既に六十回以上に上るだろう。

 

 いや、もう百を超えているかも知れない。

 

 犯されているユーフェミア自身も、正確な性交回数など数えてはいないのだから。

 

 初めてからひと月と少し。

 今まで生きてきた人生の中で最も濃密な時間の中。

 確かなことはただ犯される現実があるそれだけ。

 

 逃げたくとも逃げられない。

 助けを呼びたくとも呼べない。

 為されるがままに為され、男の思うがままに犯されるだけ。

 

「はァァ、いい具合だぁ……ユーフェミア皇女よぉ、どうだ……ええ?……っいい具合だろう?」

 

 身体の奥深くまでの、強姦にしては優しい穏やかな抽挿。

 一定のリズムで行われる出し入れが、柔く吸着した彼の物と彼女の膣襞という秘肉同士を優しく擦らせて。

 まるでそれは愛し合う様な気持ち良さでユーフェミアを否が応にも感じさせる。

 

「あっ、あぁ…っ」

 

 彼に犯されて零してしまう切ない喘ぎ。

 甘い甘い声が自然と出てしまう。

 

「あっ…、あっ……、――あっ!」

 

 無理の無い抽挿。いたわるような優しい抽挿。

 

「いいだろう……、ええ? どうなんだユーフェミア皇女……、いいんだろう? 感じてるんだろう?」

 

 秘口から膣内の襞、子宮口までを彼のたくましい男根で擦られて。

 具合がいいかと尋ねられたのなら、具合がいいとしか言えないほどの心地良さを毎度の如く味わわされる。

 

 寧ろ具合が良すぎて、挿れられているペニスの嫌悪感以上に、気持ち良さの方を強く感じるといった、矛盾まで孕んだ肉体関係を築かれてしまった。

 

 嫌々の交接だったが、幸か不幸か、身体の相性が格別に良すぎた。この良すぎる身体の相性の影響で、交接その物は強姦さながらであったが、確実に気持ちよくて、いつの間にやら自ら自然に交接を受け入れているのだから不思議。初めてから二週間ほどの間は、そうだったように思える。

 

 今は……また、違う感情へと昇華しているとはいえども。

 

 この二週間の長くも短い地獄の時間が、彼女には次第に愛おしく感じる様になっていた。交接始めは僅かに抵抗も見せたが、今は抵抗をしない。それが彼女の心の変容の証となって発露していたのだろう。

 

「あっ…、あっ…、あ……」

 

 腰を掴む彼の手の力も強くなく、限りなく自然のまま。

 尻を撫でさすられ、程よく行われる抽挿に合わせて彼の方へと腰を引き寄せられる。

 

「はあっ、あ……あ――」

 

 ぱちゅんと股間同士が触れる感触。

 そのまま膣の中を割り裂いて入ってくるペニスが根元まで挿れられてしまい。

 彼の熱い精液を体の中に注がれるのだ。

 

 どくんっっ。

 

「はぁっああああ──!!」

 

 どくんっ、どくんっ、どくっ。

 

 彼のペニスより出される精液が、私の胎内に注がれては、その中で染み込んでいく。

 

「ああ、気持ちいいぜ……、ユーフェミア皇女……、ユーフェミア皇女の中で出すこの瞬間がっ、たまらなく最高なんだっっ」

 

「はっ、ああっ、ああああ──っ! あ、熱いっ、わたくしの中っっ、あつっ、いっっ……!」

 

 もう数十回、いやいや、あるいは百数十。

 最早数えることに意味をなさないだろう繰り返されている交接の過程。

 

 積み重ねられた行為は至極自然と身体に馴染んでいき。

 初めて犯され、処女を奪われた時には感じなかった馴れを感じるのは。

 それは、それだけ深く犯され続けて来た証明とも言えるのではないか。

 

「あっ、ふっ……あぁ……」

 

 そして彼とのこの肉体関係を馴れ合うというくらいに感じ、その為に心のざわつきも抑えられているのは。

 

 もう、彼に犯されることについてを受け入れてしまっているという何よりの証明なのでは?

 

 彼に犯されるという行為は、自分達の間では寧ろ自然。

 自然だからこそ私は彼に犯されて、犯されることを受け入れている。

 彼との交接を行わないという事の方が余程に不自然な事。

 

 彼女には、ユーフェミアにはそのように思えてならなかった。

 少なくとも気持ちが良いのは確かなのだ。

 いまこうして犯されながら嫌悪感を感じていないことも確か。

 

 犯される事への含む物を覚えながらも、しかしひとたび犯されてしまうと、身体は自然に馴染んでしまう。

 

 彼の手で、身体に触られる事についても、今ではもう特に何も感じない。

 胸を揉みし抱かれ、お尻を撫でられても、気持ち悪いとは思わない。

 

 むしろ、そんなことは、今更な話なのだから。

 身体を触られる事に嫌悪する、そのような時はもう過ぎ去ってしまったのだろう。

 

 私と彼はこうなる運命だった。

 

 遅かれ早かれ私は彼とこうして一つになる事を定められていた。

 

 本当に、そんな考えが、すとんと心に嵌められる事を、彼女は感じていた。

 

「あっ…ああ……、あっ……わ、わたくしのっ……、い、衣服……、ぬ、濡れては、いません……か……?」

 

 今もそう、彼の猛りを奥深くまで挿れられたまま、膣内に精子を出されているというのに、膣内射精を受けているというのに。

 彼の精液や自身の愛液で衣服が濡れてしまわないかといったどうでも良いことを気にして。

 

「ああ、大丈夫だぜぇ……きちんと、お前の腰まで……スカートをめくって……、下がらないようにしてるからなぁ……へへ、これでもそれなりに気を付けてるんだぜぇ、皇女様の公務服を汚したりしないようにってよ」

 

「汚されては…っ、こ、困り、ますっ、から……はぁ、はぁ、この衣服を汚して、誰かに見とがめられては……」

 

「ええ、ええ、そうでしょうとも。女と男としての秘め事で大切な執務服である公務服を汚してしまっては、よろしくはありませんからなぁ。ましてやこの様な私的な事に公務服姿で及んでいたなどと知られるのはねぇ」

 

「はい…、これは、わたくしと……おぢさまの、二人だけの私的な事なのですから」

 

 そう、そうだ。この期に及んで偽ることなど出来ないのだ。

 

 分かっている、そんなこと。

 

 彼に犯され膣内射精をされること。

 

 それはもう、疾うに許容してしまっていることなのだと。

 

 脅迫されているからセックスを受け入れざるを得ない――それは言い訳でしかなく。

 彼に犯されることを既に受け入れてしまっていることを。

 ただそれを認めてしまってはいけないとかたくなになっていただけで。

 

 嫌悪も悔しさも恥辱も全て内包したままに彼に犯されることその物は。

 

 もう数日に一度、あるいは連日に渡っての、実にありふれた日常にまで昇華してしまっている……。

 

 彼に犯される事は自然的行為なのだと。

 

 そう考える方が寧ろユーフェミアには自然のように感じていた。

 

「さぁて、それでは私めが疲れてきたところで、椅子からベッドへ移動しましょうかぁ」

 

「は、はい……」

 

 彼は私と向かい合わせに抱き合ったまま私の身体を抱き上げる。年齢の割に力のある彼。並みの荒くれイレヴンや、ブリタニアの正規兵よりも、力では勝っているかも知れない。

 

 太くたくましい腕が私の身体を持ち上げたのだ。

 

 彼にしがみつく私、一度彼の左肩に頭を載せると、私の長い髪が肩から一房さらりと流れて彼の背中に擦れ落ちた。

 

「おおっ、ユーフェミア皇女の長い髪が俺の背中を撫でたなぁ、気持ちいいぜぇ~。ぞくっとした。背筋を這いあがる電気の痺れって奴を感じたぜェ」

 

「す、すみません」

 

「いやいや構いませんともぉ、気持ち良けりゃあ事も無しでさぁ」

 

 彼は木椅子から移動し今度はベッドの縁に腰かけた。

 

 こちらの方が腰への負担が少ないという事なのでしょう。

 私は当然彼の膝の上、向かい合わせのままでセックスは続きます。

 

 頭を彼の左肩から離した私は腰を浮かせ。

 

「んあっっ、お、おぢさまっっ」

 

 そのまま動く。私は自らの意思で動き出す。

 

 腰を上下に、体ごと。しっかりと奥深くまで彼の男が届く様にと。

 

「あ、おふ、おおう、ユーフェミア皇女……くふう、どうだ、え? 気持ちいいのか? 俺ぁいいぜっ、幸せってやつを感じるぜいっ!」

 

 自身から始めた行為にユーフェミア自身理解している、偽ることに意味は無いのだと。

 

 形としては犯されていても、もう疾うに犯されることを受け入れているのだから。

 

 余計な雑念が生まれないほどに彼に犯されてきて。

 それはそれできっと、良き現実に繋がっているのかも知れないと。

 

「あっ……、あっ……、あっ……きもち、い、きもち……い、あっ……ああっ、どうしてこんなにもっ……気持ちがいいのっ?」

 

「そりゃあええおい、俺とユフィの、俺とユーフェミア皇女の仲がいいからだぜぇ、ああ、俺ぁユーフェミア皇女に求められて幸せなんだ」

 

「わ、わたくし、たちのっ……、仲がよろしいからっ?」

 

 仲が良くなければこれ程までには感じない。そうなのだろうきっと。

 

 素直になってしまえばそう、確かに気持ちいい。

 身体の力を抜いて彼に身を任せてしまえば。

 

 だからユーフェミアは言葉に出していた、いま感じている確かな気持ち良さを。

 

「きもち、いっ……、あっ…、ああっ……きもち、いい……おぢさまっ、おぢさまぁっ、わたくしは……わたくしもっ、幸せですっっ」

 

 素直に唇から零れ出たユーフェミアの本音。

 幸せ、確かな幸せをこの瞬間に感じている。

 これを耳に入れたであろう彼は彼らしい返事を返してきた。

 

「よぉし、出すぞ……出してやるぞ子宮の中に、ユーフェミア皇女ぉ、ユーフェミア皇女の中に俺の精子をたっぷりと出してやるからなぁ、うっくうっっ!」

 

 中に出す。彼は言った中に出すと。

 

 ユーフェミアの中に出す、そんな聞き慣れてしまった彼の返事。

 

 今しがた出されたばかりに引き続いての射精宣告。

 

 彼はどこまでも性に強欲で、私という女を求めるのだ。

 

「孕ませてやるっっ、孕ませてやるぜユーフェミア皇女ぉっ、俺の子供を産むんだユーフェミア皇女ぉぉっ」

 

 子供を産んでほしい。彼は私に子供を産ませたい、産んでほしいと最近はよく口にする。

 

 そんなにも、こんなにも、口に出して語り掛けてくるくらいに、彼は私との子供を作りたいのか?

 

 私と子供を作りたいほどに、彼は彼で、私との時間に、幸せを感じているのだろうか?

 

 ブリタニアの日本侵攻、日本がエリア11となってよりもうそれなりに歳月が過ぎた。

 だからか、彼は五十代後半という大雑把な年齢しか数えていないという。

 誕生日を祝ってくれる誰かも元より居はしなかったのでどうでもいいのだと。

 六十に達しているかも知れないと冗談めかして口にしていた事もつい先ごろの事、よく覚えている。

 

 そんな自分の事についてどうでもいいと考えるような彼は、性欲だけは人一倍強く。

 かつて日本が日本であった頃。警察に追われる事を、つまりこういった行為を不特定多数の女性に行ってきたという。

 

 でも、そんな彼が子供を望んだ事は無く、某かの矜持なのかこれまで襲った女性に対して膣内射精をした事は無かったらしい。

 

 しかしそんな彼だが、私に対してだけは特別で、子供を望む様にして膣内射精を行うのだ。

 

 それを仲が進んでより聞いたとき、素直に嬉しいと思い。同時に彼に抱かれたという見も知らぬ女性への嫌な気持ちを抱いたものだ。

 

 だが同じくらい、子供が欲しいと犯されている現状に、素直で暖かな感情を抱かされていた。

 

 彼が子供を作りたいと本気で思っている女は私だけ。

 

 子供が欲しい。

 

 それは特別な事。

 

 この様な行為の果てに中に出されるという事は、私が彼に孕ませられる可能性を持つのだ。

 単なる性欲のはけ口相手としてではなく、彼は確かに私との子を欲している。

 

 私という女は、彼にとって特別な女なのではないだろうか?

 

 これまでにも幾度かそれを感じていた。

 

 私との交接に幸せを感じている彼。

 私もまた彼との交接に幸せだという気持ちを、感情を抱いていた。

 

「俺のっ、俺の子供を産めユーフェミア皇女ぉぉっっ!」

 

 そう言った彼のペニスが深く奥までユーフェミアの中に入ってきた。

 

 深くこすりあげられる膣の中。

 

 彼のペニスが、秘肉を強くこすり上げながら、膣奥まで収められ。

 これを受けてたまらず海老反りに背を反らせながら、ユーフェミアは叫ぶ。

 

 大きく一つに纏められている長いポニーテールが、桃色の軌跡を宙に舞わせる。

 

「ああァァァ──!!」

 

 奥まで挿れられた感覚と、膣口に吸い付き押し開かれる感触。

 そして膣内射精を行われてしまうという、女として否が応でも達してしまう要素が重なったことで、ユーフェミアは絶頂を迎えたのだ。

 

 瞬間、彼は射精した。

 

 どくんっ、どくんっ、どくんっ、どくっ、どくどくっ、どくう。

 

「あ゛っ……、あ゛あ゛ーーーッ、あ゛ッ……ア゛ア゛ア゛~~~~ッッ!!」

 

 大きな脈動と共にどくどくと注がれてくる精液、彼の精子は、先ほどと変わらず熱く濃厚で。

 受け入れさせられる私は甘く囀るような声をこぼしてしまう。

 

 中に出されながら達する、それはとても抗うことの出来ない快感だった。

 

「は、あああっっ……ああ゛あ゛っっ~~~、ああ、うっっ」

 

 たくましいペニスの根元までが自身の膣奥までを貫き通し。

 いま膣内へと、子宮の中までしっかりと、彼に精子を注ぎ込まれながら。

 彼に犯されること、彼からのセックスを、身でも心でも受け入れてしまっている事を、私は、実感させられていた。

 

 それは、もう単なる事実に過ぎない。寧ろ、彼を受け入れないということの方が、今となっては想像できないくらいで、それこそ不自然に思えて。

 

「あ、熱い……わたくしの、身体の……奥……、あ、あなたのがっ……出て――あつ、い……何度、何度出せばっっ、あな、たは……!」

 

「はあっ、何度かぁ、そりゃ何度だって出してぇよ。惚れた女には何度だってなぁ」

 

「ほ、惚れた女……??」

 

「おおよ、俺ぁ年甲斐もなくユーフェミアって女に惚れちまってんだよ。だから全身以って全力で愛してぇわけだぜえ」

 

 気分が高まっているからなのだろう。おぢさまは私を惚れた女だと口にした。

 

 直接的にあまり言わない方なおぢさま。彼がそれを口にするのは、それだけ私という女を愛しているからに他ならない。

 

 これを受けた私の気分は高揚を越えて、ある種の愉悦感へと至る。

 

 おぢさまが私を好き。その事実だけが強く幸福感を沸き立たせるのだ。

 

 彼が関係を持ってきた誰とも知れない女性たち。

 そんな女性たちに持ちえなかった好きという気持ちを彼は私にだけ抱いているのだ。

 

 彼の初恋の女性とは、私、ユーフェミア・リ・ブリタニアなのだ。

 

 彼は私を愛しているからこそ、私を犯さずには居られない。今はもう他の誰でもなく、私だけを見ている。

 

 これから先もそれは変わらない。

 

 その事実に高揚感を覚えずにいられようか。

 

 だって、私だけが彼の特別なのですから。

 

「はああ、ふううう、これで五回目だぜ……今日はあと二回はしてえ……ユーフェミア皇女よお、お時間の方は大丈夫かなぁ~?」

 

 したいだけのセックスの回数、彼は後二回したいと言った。

 五回でも十分な回数だったが旺盛な彼の性的欲求はまだ私を求めているのだ。

 

 都合を聞かれた。これもいつもと同じ。

 

 彼はけして無理を言わない。本当にユーフェミアの時間が無いのなら、ユーフェミアの身体が所用で空いていないのなら。

 彼はユーフェミアを呼び出すことも、または、今しているセックスを更に長引かせる様な、そんな無理強いもしてこない。

 所用中、公務中で手が離せないなら呼び出す事もしなければ、セックス中に用事があるか出来たなら、直ぐにセックスを止めてくれる。

 

 そうして、私の身支度の整えを手伝って下さり、彼の住居となっている、ゲットーと疎開の境目にあるこの廃墟から、私を送り出すのです。

 

 犯すにしてもそう、いつも優しく犯される。

 痛いようにも苦しいようにもしない。

 

 心地の良い交接を心掛けてくれて……そうして私との子を欲してくる。

 

 事実として、いつも私のことを気持ち良くさせようとしてくるのだ。

 

 気持ちいいか?

 

 この辺りか?

 

 ゆっくりしてやる。

 

 一緒に気持ち良くなろうな。

 

 気遣う言葉を掛けて来ては、私がもっと気持ち良くなれるようにと気を配りながら、そうして私との深いセックスへと移行していく。

 

 中にこそ出されてしまう、私の中に出す事が殊の外気持ちいいらしく。

 拒否をしても彼は私の中で精子を出し。

 私は彼からの膣内射精を受けさせられる物の、本当に反抗心を抱かせないほどとても気持ち良くしてくれている。

 

 大切に、大切に。

 繊細な壊れ物を扱うように。

 とても大切に彼は私を犯す。

 

 犯されて気持ちがいい――矛盾の塊であるそれを孕みながら呑み込んでしまえるのも。

 強姦の中に見える妙な気遣いが、異常な中にあって、私の心を絆してくる為だろうとは、以前から、ユーフェミア自身も感じていた。

 

『ユーフェミア皇女と一緒に気持ち良くなりたいんだぜ俺は~っ、女を気持ちよくさせてやりたいと思ったのは皇女殿下が初めてなんですよはい』

 

 自分の欲望を載せながらも、けして自分だけが気持ち良くなることは望まず。

 あくまでもユーフェミアを気持ち良くさせて、その上で二人で一緒に気持ち良くなりたいと彼は言う。

 

 時折、ユーフェミアは考える。

 気持ちいいという感覚について。

 

 一人で居るとき。

 

 また彼に犯されているときに。

 

 それがどうなのかと考える。

 

 答えだけを求めてしまうのならば、それは、きっといいことなのだろうと思う。

 

(気持ち良いのは……良い事……)

 

 気持ちいいのは良いことなのだとユーフェミアは思うのだ。

 

 彼から犯されて痛い思いも苦しい思いもしたことがない。

 

 無理矢理の性交というのは、痛みや苦しみを伴う物と、ユーフェミアも周知していた。

 彼に処女を奪われ、彼からだけ犯される以外に性体験など無かった訳だが。

 知識としては、無理矢理の性交渉が、それらを内包した物であるのであろうと、理解していた。

 

 しかし、犯す側が心掛けて注意を払って犯せば、あるいは気持ち良くなれるのかも? と、現在では思わなくも無かった。

 

 いや、それは本当に、注意だけで終わることなのだろうか?

 私を特別だと思う、私に子供を産ませたいと願う程に強い想いの表れなのではないのだろうか?

 

 特別だからこそ私を大切に扱い、特別が故に心地良くされる。

 

 彼は私を愛しているのですから。

 

 気持ちが良い――確かにユーフェミアは気持ちが良い。

 

 強姦とは言え、これを確かなセックスとして捉えることができるのは、きっと彼が気持ち良くしてくれるから。

 

 独り善がりには犯さず、犯す以上はユーフェミアのことを最優先で気持ち良くさせる。

 ユーフェミアと一緒に気持ち良くなりたいと言って、彼は私を犯す。

 

 ユーフェミア皇女を気持ち良くさせねーと満足できない。

 

 ユーフェミア皇女と子供を作りたい。

 

 そう彼は言っている。常々に。

 

 ユーフェミアに惚れたからだと。

 

 心底惚れた女に、自分なりに愛を伝えたい。だから強引にセックスへと及んでくる。

 好きだから、惚れた女だから。

 

 不器用な彼らしいと思う。

 

 いつも。いつも。

 繰り返しそう言って。

 彼は無理をさせない範囲で私を……。

 

「あり、ます……、」

 

 だからなのだろう。

 

「じ、時間は、まだ……わたく、し……」

 

 時間が許せば、身体が空いていれば、彼の欲望を大人しく受け入れてしまうのは。

 

 彼の精子を中に出されながら無抵抗でいるのもきっと。

 

 犯されているというのに、不思議……。そこに幸せを感じ、愛まで感じるのだから。

 

(わたくしは……わたくしは、彼に犯されることを……望んでいる、のでしょうか……、わたくしもまた彼との子を望んでいるのでしょうか……。彼はいつ頃、わたくしはいつ頃。お互いに愛を囁き合うようになっていたのか……、あ、ぁぁ……どうして、こんなにも……あ、う)

 

「おおそうか~、へっへっへ……ユーフェミア皇女、ああお前はいい女だ~」

 

「あ、ン……」

 

 抱き締められる。柔らかくも強く。まるで愛されているかのよう。

 彼はいい女だ、いい女だと褒めそやしてきながら、彼は私の事を抱くのだ。

 

 いや、きっと彼は彼なりに、私を愛してくれているのでしょう。こんな強引で不器用ながらも、私の事を。

 

「ユーフェミア皇女、お前は俺だけの女だ」

 

「ん……」

 

 緩く大きなポニーテールにして纏めてある私の長い髪に、彼は指を差し入れて撫でてくる。

 

 彼は何かと言えば私の髪を撫で、羨ましい羨ましいと呟くことがあった。

 頭髪の薄い彼は私の髪をうらやんでいる節が見受けられた。

 男性と違い加齢で抜けることはあまりなく、まして16歳という若い私の髪に嫉妬するなんて。

 

 それは少し子供っぽくて、それでも彼にとっては悩ましい事らしい。

 

「ユーフェミア皇女は俺だけの、俺だけの女なんだ」

 

「ん──」

 

 そんな彼の、ユーフェミアを犯したいという純粋な想いには、皮肉な事に悪意が無い。

 

 当初からして悪意は無くて、今では愛を以って犯そうとしてくる。

 今までを彼に犯されてきたユーフェミアには、その純粋さがよく分かるのだ。

 

 彼は、ユーフェミア・リ・ブリタニアを、私を求めている。

 

 この上も無いほどに私は彼から求められている。

 

 彼は心の底より、ユーフェミア・リ・ブリタニアだけを求めているのだ。

 

 皇女としてでは無く、一人の女としての私を。

 

「ユーフェミア皇女ぉぉ~~、ああ、いい……ああ、最高だぜ……」

 

 髪を撫でていた右手はそのまま私の背へと移り、背に流れている私の髪の毛を押さえつけるようにして、私の背が彼へと引き寄せられた。

 

 もう片方の手は、私の腰からお尻を引き寄せるようにして、彼のペニスを私の奥深くへと届けていく。

 

 入り口から奥へと、短くも長い肉の道が、彼の猛りに押し割られて開いていき、彼と私の身体の奥が、仲睦まじくこすれ合う。

 

「あっ…、あっ……、わ、わたくしっ、……っああ」

 

 セックスが深まっていく。

 

 犯されれば犯されるほどに分かる。

 

「ああ、ユーフェミアぁ……、ユーフェミア皇女ぉぉ……ユーフェミアぁ……ユフィ……っ」

 

「あっ…、はあっ……は、ぁぁっ、……っはあ!……っあ、――ァァ……あな、たっっ、おぢ、さまっっ」

 

 彼は……、彼はこの上も無く純粋に、この私を、私だけを求めているのだと、そう理解できるのだ。

 犯されれば犯されるほどに──抱かれれば抱かれるほどに、強く理解できた。

 

 16歳という、年齢的には少女と呼ぶべきユーフェミアのことを、彼は魅力的な女だと言う。

 

 少女ではなく一人の女として視られているのだ。

 

 もちろん自身は経験豊富な大人などではない。

 

 しかし少女として視られるのではなく、一人の女として視られているのは。

 お飾りの皇女と軽んじられている中にあっては、不可思議な高揚感があった。

 

 五十代後半、もしかしたら六十代に入っているのかもしれない彼とは、実に半世紀近くの年齢差がある。

 下限で見積もっても四十は離れている事だろう。

 

 まして彼はイレヴンで自身は神聖ブリタニア帝国の第三皇女。

 

 あの日あのとき、彼に捕まり犯し犯されといった強引に過ぎる経緯が無ければ、この関係は生まれなかった。

 初めてされたときのように、強引に犯されでもしなければ、現在の肉体関係もあり得るはずも無い事だっただろう。

 その方が良かったのだと思いながら、しかしユーフェミアは、この犯し犯される日々を、もう心から、受け入れてしまっている。

 

 今はもう、何も知らず、何も無かった、ただのお飾り姫だったあの頃の自分ではなく、こうして犯されながらも、私を一人の女として視てくれる彼との日々の方が、余程に良いとさえ考えていた。

 

 彼に愛され、彼を愛し……、本当にいつの間にかそうなってしまっていた私たちの関係。

 

(こうして彼に犯されることを……わたくしは……)

 

 ユーフェミアは自分でも自分が分からなくなる。

 

 犯されることが自然となってしまった今に対して、今ではもう苦痛を感じていないのだから。

 あるいは苦痛すらも呑み込んで自然なのか。

 

 分かっていることは、彼というイレヴンの殿方に犯される現実だけがあるという、それだけ。

 そして、そして自身はその現実を、既に受け入れてしまっているという、その事実だけが歴然としてある。

 

 また、犯されているというファクターを除外してみたとき。

 彼は思う以上にユーフェミア・リ・ブリタニアという女を大切にしているのだということに気付かされる。

 

 犯し犯されることは前提としても、優しくゆっくりといたわりを持って、彼は犯してくれる。

 

 それは長い人生の果てに、ようやく見つけ手に入れた宝物を愛でるかのようで。

 この身を、彼に大切にされることに、不思議と悦びさえ覚えさせた。

 

 一連の行為は強姦には違いないが、きっと本当の本物の意味での強姦からは大分とかけ離れた犯し様なのだと、犯されているからこそ分かる。

 

 やはり普通に考えれば、強姦がこんなにも、気持ちいい筈がないのだ。

 

 たとえ、彼との肉体的な相性が良すぎるとしても、肉欲のままの強姦だけならばこんなにも。

 ましてや、強姦を尽くされた果てでこうして愛し愛されを交わし合う仲になってしまうなどと。

 

 恥ずかしさも、悔しさも、絶望も感じない。

 一人の女として彼に犯されること、彼からの交接を、私は……。

 

「ああユーフェミア皇女、お前は本当にいい女だ……お前ほどのいい女を俺はしらねえ……ユーフェミア皇女よお、ああ、おめーはなんていい女なんだっ」

 

「ああっ……わた、くし……ンンっ、おぢさまっ、おぢさまぁっっ」

 

「ユーフェミア皇女っ、お前ほどのいい女、どれだけ抱いても抱き足りねえ……一日中抱いていたいぜえ……ああ、早くユーフェミア皇女を孕ませたいぜぇ」

 

 もうこれだけ犯されて彼と接していれば、それが本気の言葉であることもわかっている。

 

 一日中……、……いいえ、彼の本心はきっと。

 ずっと、私を犯し続けたいのでしょう。

 それこそ、一日という区切りを越えてでも。

 

 二十四時間、犯し犯され……、そう、二十四時間を越えて彼に抱かれ続ける。

 

 時間をかけてじっくりと、彼に子を望まれながら。

 

 それは、……ああ、何という事なのだろうか。

 それを、私はそれを嫌だとさえ、微塵たりとも思っていない。

 

 一日という時間さえ越えて行われる強姦を、彼に犯されるという事を、私は嫌だと考えていないのだ。

 

 愛し合ってはいても、強引な行為は強姦に違いなく、犯されているという事に変わりはないというのに。

 

 彼に子を望まれるそのままに、私は犯されてもいいと、そんな不可思議な思いを、不思議な感覚を抱いていた。

 

 私は彼の特別なのだ。私は彼の愛する女なのだ。

 ならば私にとってもまた、彼は特別となってしまっているのかもしれない。

 

 愛し合う以上の特別な存在へと。恋人同士等といった甘酸っぱいくらいで終わる関係ではありません。

 あえてこれを言葉にするとすれば、それはきっと夫婦という言葉を置いて、他に表せられないでしょう。

 

 甘美な時間。

 

 何も考えずにただ彼に身を任せていれば、心地良くなれる時間。

 

 でも。

 

 でも、それはまた別の時間が許さない。

 

 ユーフェミアにはエリア11副総督として、たとえお飾りではあっても公務があるからだ。

 彼に呼び出されて犯されることは、あくまでも彼とユーフェミア二人の間でだけの、秘密の時間。

 彼との逢瀬は、私的な時間の一つに過ぎないのだ。

 

 彼はユーフェミアを犯すが、その代わりに彼女との濃密な性交の場面が収められたビデオテープを、世にばらまかない。

 ユーフェミアは彼に犯されることになるが、この関係を維持する代わりに身体が空いていないときに強要はさせない。

 

 時間の許すときのみ、隠れ家の地下室で、彼はユーフェミアを犯し、ユーフェミアは彼に熱く深く犯されることを、ただありのままに受け入れる。

 

 誰かに知られることがあれば、ユーフェミア自身の痴態が衆目の下にさらされ、彼は、即席裁判すら行われず、処刑となるだろう。

 

 そのようなこと、互いに望んではいない。

 

 互いに……。

 

 そう、互いにだ。

 

 今となっては、ユーフェミア自身もこの関係の破綻を望んではいなかった。

 

 ビデオテープの事なんて正直なところどうでもいい事だった。

 どうせ彼はビデオをばらまかない。ばらまく必要も無い。

 処分してくれと申し出ればすぐにでも処分してくれるだろう。

 

 あるいは彼の事、一番彼を理解している私が思うに、もうすでにビデオテープは処分済みかも知れない。

 何せ当の私自身が、こうして彼との関係を望んでいるのだから。私が彼を、おぢさまの事を誰よりも愛しているのだから、そんな余計な物など無くてもいいに決まっている。

 

 少なくとも私、ユーフェミアは、彼に死んで欲しい等と間違っても願ってなどいないし、今更、彼とのこの関係が終わって欲しいとも願わない。

 もう夙に(つとに)犯されることを受け入れているのだから、愛し合っているのだから、誰かに水を差されるいわれもないだろうと。

 

 これでいい、今で良い、いっそ早く彼との子を儲けたい、彼の子を産みたい。彼の子を産んで二人で育てたかった。

 

 ユーフェミアを犯したい、ユーフェミアと子を成したいという彼の望みと合致した答えが出ているのだ。

 

(だって、わたくしとおぢさまは愛し合っているのですもの)

 

 中に出されることについては最初の頃こそ思うところもあった。

 犯されて中に出されたいとまでは、彼女も当初は考えていなかったからだ。

 

 しかし、現実にはずっと中に出されてきたし、最早形だけの忌避表現も今ではしていない。

 

 忌避? 果たして自分は本当に忌避しているのだろうか。

 答えはきっと、この日々の中にある。

 

(わたくしは、このまま彼の子を産むこととなるのでしょうか)

 

 最近、ユーフェミアは考える。

 考えてはよくお腹を触っている。

 そう遠くない内に彼の子を身籠もることになるのだろうと。

 

 中に出されるとはそういうことだ。

 彼が私に子を願うとはそういう事。

 私が彼との子を欲しいと思うのはそういう意味。

 

 愛し合う二人が至る当然の過程と帰結。

 

 妊娠――彼との子を孕む。

 

 今まさに、危ない日の只中にあった。

 危ない日は今までだってあった。

 そのことを伝えても、彼は中に出してくる。

 

 危ないときも関係ないといった、膣内射精。

 それは、この瞬間の受精もあり得る、ということ。

 でも、それに対する忌避感は、やはり私の中には無かった。

 

 初めての時には想像だにしなかった、彼の子を妊娠し産むということについて。

 五十代後半、六十になるかも知れない、そんなイレヴンの男である彼の子を。

 

(彼の子を妊娠させられて、産む……。……妊娠、するのでしたら……、わたくしは……)

 

 彼の子を妊娠したのなら――産む。

 彼の子を産む覚悟はしている。

 少し前からそれは自分の中で決めていた。

 

(わたくしは、彼の子を産みます……だって……、こうして犯されての妊娠でも、わたくしの赤ちゃん……ですもの)

 

 子供に罪は無いのだ。犯し犯されではあっても、その結果として子を妊娠するのなら産む。

 受精してしまうのならば、受精させられてしまうのならばと、彼との子を儲ける事について。

 ユーフェミアはユーフェミアなりに、肯定的に捕らえてもいた。

 

(それに、わたくしも彼との子が……おぢさまとの子が欲しい)

 

 いやむしろ逆だろうか。ユーフェミアは彼との子が欲しいと彼女自身も願っているのだから。

 

 今やもう、私たちの仲は、愛し合う女と男の関係なのだから。

 

 彼からのセックスを受け入れさせられる関係に終わりは見えない。

 今更終わってほしいとも考えてはいない。

 終わらない以上はこれからも彼の精子を中に出される事となり。

 その先に待つのが彼の子を妊娠するというたった一つの結果だとは、他ならぬユーフェミア自身が理解していた。

 

 何よりも彼がユーフェミアの妊娠を願い、ユーフェミアもまたそれを由としている。

 

 本当に今更の話なのだった。

 

 ただ彼の子を妊娠し産む覚悟までは出来ていても。

 お腹が大きくなり始める前に一度身の振り方を考えなくてはいけない。

 

 どうして妊娠したのか?と、お姉さまや誰かにそんなことを詰問されたところで、誰にも言えないことだから。

 

 もし万に一つでも、彼との関係や、彼の子を妊娠したことが誰かに知られてしまえば。

 彼は処刑され、そしてお腹の子も堕胎させられる可能性が高い。

 

 愛し合う私たちの明日がそんな終わり方であってはならない。

 

 彼を死なせてしまうことなんて考えられない。

 

 彼との子を死なせてしまうだなんて絶望だ。

 

 彼とのこれからの日々と未来は、まだまだずっと続いていくのだ。

 

 これから先も、彼との関係は、ずっと続いていく。

 

 続いてしまうならそれでいいと、続けばいいのだと考えている。

 

 彼に犯されることを受け入れ、彼の子も産むと覚悟を決めている。

 彼と私と、彼との子供……その未来を私は望んでいる。

 

 お互いを愛し合う仲に漸く落ち着きを見せたこの関係。

 終わるだなんてことがあってはならないのだ。

 

 そうである以上、一度彼と相談しなければ。

 

 こうして彼に犯され、犯されることで始められるセックスを経て、彼の精子を中に出され、受精してもいいと思えばこそ。

 彼の子を受精したときのことを、彼と相談しておかなければいけない。

 

 子供が出来るのだ。無責任な女にはなりたくない。

 

 彼と二人で育てよう。彼との幸せな家庭を築こう。

 

 贅沢でなくていい、この部屋のように狭くても構わない。

 

 彼と私のささやかな夫婦としての生き方を願う。

 

 ユーフェミア・リ・ブリタニアは神聖ブリタニア帝国第三皇女だが、その前に一人の女なのだから。

 

 その為には、私とおぢさまが、夫婦として寄り添い合っていける枠組みを、作らなければ。

 その枠の中では、人種も身分も年齢差も関係無い、そんな私たちの居場所を私は作ろうと思う。

 その幸せの中で、他の多くの迷わされている人たちをも、救い出せれば。

 

 身分に捕らわれない行政特区──そんな特別な枠組みが今の私とおぢさまに。

 そして、道に迷っている大勢の人たちには、必要なのです。

 

「ユーフェミア皇女っっ」

 

 どくっ、どくんっ。

 

「あああ――っっ」

 

 犯されながら考えていた思考が、強制的に打ち切られる。

 

 また中に出されたのです……。今日一番の射精量の精子……。

 

 しっかりと、子宮の口に入ってきた彼の物の感触と、胎内に感じた熱い迸り。

 

 びくんびくんと、自然のままに痙攣してしまう、自分の身体。

 

 射精を受けての一拍遅れの絶頂は、心地良い快感の果てを味わわせ来る。

 

「ふあっ、あ、あぁ――」

 

 どくん、どくん、どくん。

 

 心臓の鼓動の様にも思えるペニスの痙攣と、勢いよく注がれてくる精子を感じて。

 私は、ユーフェミアは彼の左肩に頭を乗せて、震える声で達しながら喘いだ。

 

「ユーフェミア皇女っっ……ああ、ああっ、俺のユフィっ」

 

 私の名を呼ぶ彼。ユーフェミア皇女とも、ユーフェミアとも、ユフィとも呼ぶ彼の声音。

 醜悪で最悪な関係が始まりだったのに、今となっては望み望まれての関係なのだから、未来とは現在とは、本当に摩訶不思議で分からない物だ。

 

 彼に名を呼ばれて愛おしいと感じる。彼からの射精を膣内で受けることを自然だと感じる。

 

 馴れ合う……私達は馴れ合っているのだろう。馴れ合う関係に落ち着いたのだ。それはとても幸せな事。

 

 馴れ合い愛し合う、素敵な関係。

 

「あ、ああッ……!」

 

 私の喘ぎに、そっと私を抱き締めてくれる彼、私も彼の背中に両腕を回して、しっかりと彼を抱く。

 抱き締め合ったまま頬をすり合わせ、唯々その瞬間の切なさを味わいゆく。

 

 密着している股間はそのままでの強めの抱擁。

 

 いつもの終わりの時だった。終わりの時は深く貫通されたままで、こうして抱き締められながら締めとなる射精が行われる。

 絞り出すようにして、彼の精巣が、一時的に空っぽとなるまで、彼の精子は私の中に出されるのだ。

 

 それがいつもの終わりの合図。

 このまま、暫くは彼の物を挿入されたまま、重ねられた股間が動かされることは無い。

 

 射精が途切れて、彼の左手が私の臀部に移動する。

 

 腰を引き寄せられたまま、もう一方の右手はユーフェミアの、私の髪を触る。

 

 髪に触れる彼の右手が髪の一束を優しく掴みながら、するりと髪の毛を掌の中で滑らせていく。

 一瞬髪が背中で波打つ感覚を感じ、彼の掌はまた再び私の長い髪を捕えるのです。

 繰り返し、繰り返し、彼の手が私の髪を触る。

 

「ユーフェミア皇女よぉ……今日も、気持ち良かったぜー……」

 

 そう言って髪を撫でられる手の感触を確認しながら私は呼吸を整えていく。

 

(今日は、七回……犯されてしまいました)

 

 七回ともとても念入りに犯された。

 交接は長く深く。射精は多量に。

 ああいや、七回なんて、今やもう普通なのかも知れない。

 

 愛し合っているはずなのに、犯されている。とても変な感じです。

 

 ただ、これを良い方に捉えるのならば、これは子作りなのだ。

 強姦ではあっても、犯されでの形ではあっても、彼が望み私も望む、愛し合う子作り。

 

 ああ、私たちは。

 私たちはそう、きっとどこまで行っても、愛し合っているのだ。

 

 犯し犯されの瞬間にあってでさえ。

 それが愛の形の一部なのでしょう。

 

 年の差や身分の差なんて関係ない。

 

 彼が私を大切に想い。

 

 私が彼を大切に想う。

 

 それ以外に何も要らない。

 私はそう考えていた。

 

 ただ枠が欲しい。こうして秘密で私的な時間を送るのも、それはそれで良い形なのでしょう。

 空いている時間の逢瀬は切なくも激しくて、時を忘れさせるほどの幸せで満たされているのですから。

 

 ですが、私と彼は、私とおぢさまは子供を作るのです。

 私が彼に呼び出され、強引に始められてしまう犯し犯されの関係にあっても。

 私と彼は子作りをしているのですから……。

 

 私はほど近く彼の、おぢさまの御子をこのお腹に授かるでしょう。

 

「おぢさま……」

 

「なんでございましょうユーフェミア皇女殿下」

 

「わたくし、おぢさまの御子を産みます」

 

 改めて伝える、私は彼の子を産むと。

 

「おおっ、そりゃあ素晴らしい判断ですなぁ」

 

 喜ぶ彼。満面の笑顔だった。

 

 思えば彼との出会いからずっとこの方、彼は私と子作りをしていたのと同じような有り様だった。

 ずっと避妊は無しだったから。だから私がもう既に受精していても、おかしくはないのです。

 今まさにこの瞬間、私が受精していても、それはそれで、ごく自然の出来事に過ぎないのだから。

 

「以前よりずっと考えていたのです。わたくしを妊娠させようとしておぢさまに犯される間、わたくしもおぢさまの御子が欲しいと」

 

 いつからか考えていた。私も彼と子を儲け、産みたいと。

 どれくらい犯された時からかはもう覚えてはいないのだけれど、自然と望む様になっていた。

 

「そういえば、以前もそのような事を仰っておいででしたねぇ、そうがっつかなくとも、きちんと子供は御生みくださるとも。それが本音であるとわかっていても、改めて口になされますと、嬉しいものなのですねえ。そうですかぁ、ユーフェミア皇女は私めの子を産んでくださいますかぁ」

 

 確認するように頷く彼、心配なさらなくても私はあなたの御子を産みますよ。

 

「はい──ご安心ください。此処に改めて誓います、わたくしはおぢさまの御子を授かり産みますと。ですので、その代わり」

 

 但し一つ条件を付けます。

 

「その代わり??」

 

「ずっと、わたくしのお傍に居てくださいましね♪ わたくしの夫として」

 

 彼には私と結婚して頂きます。

 子を儲けようというのですから当然の事。

 

「おおそりゃ逆プロポーズってやつですかねっ! 以前ならお断りでしたが、今の私めはユーフェミア皇女殿下をそりゃあもう愛しておりますので、是非お受けさせていただきましょう」

 

「はい。こんなにもずっと、長い間わたくしを犯し続けてらしたのですから、きちんと責任をお取りになってわたくしと結婚してくださいね。わたくしとおぢさまは夫婦になるのですわ」

 

「夫婦になる……、私めとユーフェミア皇女が夫婦に……、……いやぁ、感慨深いものですなぁ、貴女と初めての交接を交わしてよりまだそれほど時を置かずしての結婚とは……自分でも信じられねえよ。なんでこうなっちまったんだ?」

 

「何でも何も……、今よりこの瞬間からもう夫婦ですわ」

 

 今更のお話でしょう? 散々に私の事を犯してきておいて何を驚きになるのでしょうか。

 私に子を産んでほしいと先に声を上げたのはあなたなのですから。

 

「もう夫婦てかっ?! 気が早ぇなあユーフェミア皇女様は……」

 

「お嫌なのですか……?」

 

「いえいえ、そんなことはございませんですとも。いいでしょう、たった今より私めとユーフェミア皇女は夫婦、それでいきましょうかぁ」

 

「はいっ、おぢさま……愛しております」

 

「っ、っ、や、やりづれえなぁおい……お、俺もよ、そのぉ、愛してるぜユフィ……、かぁ~こっ恥ずかしいっ! なにを言わせんだよ!」

 

 私の髪を撫でるおぢさまの御手が止まる。恥ずかしいようです。

 

 本当に不器用なひと。でもそんなあなたを私は……。

 

 これからもおぢさまとずっと一緒に、だからこその枠組みが必要となってくるのです。

 

 人種に、身分に、職業に、一切の全てに捕らわれない新たな枠組みが。

 

 おぢさまはイレヴン。元ニッポン人。

 ニッポン──枠組みの名はニッポンでどうでしょうか?

 

 行政特区日本など、どうでしょうか。

 

 ねえ、おぢさま。

 

 

 ◆◇◆

 

 

「へっへっへっ、ユーフェミア皇女殿下との結婚のお約束とわたしめの子を産んでくださるというお約束を頂きましたところで……、さてと、余韻に浸りながらビデオでも観るか」

 

「あ、う」

 

 挿れられたまま股間を押し込まれ、彼のたくましい物で子宮の入り口を押し開かれながら。

 私の身は彼の腕に抱き寄せられ、身体を密着させられた状態で彼に抱っこされた。

 抱き上げられた私は、彼の腰に両足を巻き付かせて、コアラのように抱き着きます。

 

 セックスが終わると必ずこうされてしまう。

 何をするためかはわかっている。

 

 私の中に挿入したまま、彼はエリア11がまだニッポンという国だった頃にテレビなどで放送されていた、アニメーション。

 それを観るのだ。その為にはビデオデッキにテープを入れる必要があり、一度彼が立ち上がらなければならない。

 しかし彼と私は、その状態でも身体を外さないように、交接したままの態勢で、とこういった姿勢を取る事になってしまうのです。

 

「今日はなにを観るかねぇ」

 

 幾つかのビデオテープを手に取り、再びベッドに腰掛ける彼。私の腰も彼の膝に座る姿勢に。

 向かい合い抱き合ったままの体勢が心地よく、彼とのゼロ距離の温もりを衣服越しに感じます。

 私の中に挿入したままでアニメーションを観るのは、大層心地が良いとのことで、私に拒否権はありません。

 

 犯されているままでのアニメーション視聴、ですけれど、彼はこの状態でセックスその物を行うことはあまりありません。

 

 あまり、というのは、する事もままあるから。

 

 時折観る、エッチなシーンの入っているアニメを観ているときは別で、その時はそのままセックスを行われてしまい。

 私はただそれを受け入れる以外にないのですが、エッチなシーンは私自身も性的に興奮してしまうために、私もそのまま自然とそのセックスを受け入れております。

 

 七回から延長して九回十回と、それはおぢさまが御満足なさるまで続くの。

 

 セックスを行いながらのアニメ視聴は、視界が揺れてきちんと観られず。後でもう一度再生しなおして時間を取られる事となるのですが、それでも私は彼とのこの時間が愛おしくて仕方がないのです。

 

「ユーフェミア皇女はなにか観たいものはあるかぁ~?」

 

 そして彼は私にも尋ねてきます。彼にアニメを観せられ続けた私も、エリア11のアニメを好きになっているから。

 観たい物。私達は今愛し合っているところ。

 気分的には恋愛物。私はそうして彼に告げた。

 

「わたくしは、んんっ、恋愛、アニメを……」

 

 ぐっと私の股間に彼の股間が押し込まれる。

 

 同時に、私の中に挿入っている、彼のたくましい男が、私の奥をこすり付けて、私は突き上げられるのです。

 

「ああ、ン」

 

 たまらず声が漏れた。

 

 外側の橙色をした半身を覆う衣服の羽根のスカートは、そのまま彼の膝を覆う形で扇状に広がっているが。

 その内側、膝丈までの白いタイトなスカートは、まだ腰までめくりあげられたままなのだ。

 

 股間同士は隙間無く重ね合わされたままで。

 肉体同士は未だ深く繋がらせ合ったままなのだから、少し腰に力が入ればそうもなってしまう。

 

「おおっと、これは失礼いたしましたぁ。いや、可愛らしいお声ですなぁ」

 

「も、もうっ、馬鹿なことを仰らないでくださいっ、はしたないですわっ」

 

 深く根元まで挿入されたままなので、いやらしい声が漏れてしまうのは仕方のないことだった。

 彼はそんな私に、お世辞にも整っているとは言い難い、どちらかと言えば醜悪な方に映る相貌に、彼なりに明るく笑みを浮かべた。

 

「しかし恋愛アニメかぁ~、なんかありましたかねェ~」

 

 ベッドに数本放り出していたアニメメーションビデオを探していた彼の手が止まる。

 

 一度止まった手は、徐に私の髪へと差し入れられた。

 

「ん、」

 

 公務服の今は、膝裏まで届くくらいの長さをした私の桃色の髪は、大きな髪結いを使って後頭部で一つに纏められていた。

 その結っている毛先が腰まで届いているくらいの、緩い大きなポニーテールの髪の毛に、彼は手を差し入れて五指を以て優しく撫で梳いてきた。

 

「ええ皇女殿下ぁ、なんかありますかぁ、恋愛アニメ」

 

「ん……、気持ち、いいですわ」

 

 犯されている時、セックスをされている時とは、また少し異なる心地良さ。

 彼は五指にしっかりと私の髪の毛を絡ませながら、髪を優しく撫でてくださいます。

 

「私めも気持ちいいですよ。ユーフェミア皇女の髪の毛に触れるのは愛おしゅうございます、はい。いつも思うのですが綺麗な御髪でございますねェ」

 

 私の長い髪が彼の指に絡まり、静かに梳き通されてはまた髪の束の中に指が通されて。

 優しく優しく、想いを込めて、彼は私の髪を繰り返し撫でるのです。

 

「長く美しいユーフェミア皇女の髪……羨ましゅうございますです」

 

「ふふっ、おぢさま、あなた頭髪が寂しくなっておりますものね」

 

 私が彼の背に回していた右手を、彼の寂しい頭髪が生えた頭に乗せ、彼がそうしてくれるように、彼の寂しい産毛を撫でてあげた。

 

「おおっと、それは余計なお世話でございますよぉ……、つーかひとが気にしてることをはっきり言うんじゃねーよ」

 

「うふふふ」

 

 彼の指と私の髪が絡まるとき、少し頭皮が引っ張られる。その感触さえも心地良く。

 私は私の髪を撫でてくださる彼の顔(かんばせ)に自ら顔を寄せていき。

 

「んん――」

 

 自らの唇を以て彼の唇を塞ぎ、優しく口付けを贈って差し上げました。

 

 

 

 そんな穏やかで少し外れた日々は続いていくのです。

 

 

 

短編集内の各お話と投稿予定(未定)の続きやお話で読んでみたい作品はありますか?(ご期待に副える事が出来るかどうか分かりませんが、一ご意見としてお伺いしたいと思います)

  • コードギアス
  • コードギアスR2
  • 此花トゥルーリポート
  • FF4×FF6
  • カオシックルーン
  • 学園黙示録
  • ルパン三世 ワルサーP38
  • 幕末風来伝 斬郎汰
  • ニードレス
  • ヨルムンガンド
  • 少女少年
  • 北の告発
  • サラダデイズ
  • クレセントノイズ
  • ひとひら(甲斐×理咲の近親相姦物)
  • ESアザーワイズ(戒×瑠璃)
  • 遊戯王GX(十代×カミューラ)
  • 魔装機神(マサキ×モニカ)
  • 椎名君のリーズニングファイル
  • RAVE(ハル×絶望のジェロ)
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