絶倫先生
「先生っ! 俺を弟子にしてくれぇぇっ!!」
そういって僕の前で土下座して頼み込んできたのは、背中に夜露死苦と書いた特攻服姿の怖そうな人。
怖そうに見えるだけで本当は仲間思いの優しく熱い人である照山最次さんは、オレンジ色の逆立てた髪をした頭を思い切り地面に向って下げていた。
「な、なんですかいきなり……?? 僕、誰かを弟子にできるような特技なんか持ってませんよ?」
「なにいってんだよクルス大先生よォ、お前持ってんじゃねえかスッゲー特技を。達人技をっ。俺はこの間それ見ちまったんだから隠しても駄目だぜ?」
なんだろう僕の特技って?
照山さんの言うような特技に心当たりはないし何も隠してないし……。
「見たってなにをです?」
「そりゃお前、決まってんじゃねーか」
“言わすなよ?”とか言われても僕にはなんのことだかさっぱり――。
「昼間っから達人級の持久力でもってミウとくんずほぐれつのプロレスしてたじゃねえか」
―――――――――。
「エエ―――ッッ!?」
ぷ、プロレスぅぅぅぅッッ!? プロレスってッ?!
ま、まさかッ……まさかッ……!!
プロレス。昼間にしていたミウさんとのプロレス。
それが意味する何事かについては心当たりが有り過ぎた。
そもそもミウさんとプロレスという時点で心当たりありまくりで……。
「この間の休みの日にお前に用があって俺お前の小屋まで行ったんだ。んでな、入り口の戸を叩こうとしたらなんか聞こえてきてよお。気になって扉に耳当てたんだよ。そしたらまあ“そこッ!”だの“熱いッ!”だのってミウの艶っぽい声が聞こえるのなんのってな」
やっぱりィィィィィ――――――ッッ!?
「み、み、みみッ、見てたんですか―――ッ!?」
「違う違う。聴いてただけだぜ。お前がミウのアソコにナニを入れてナニしてたところは扉の四角い窓からチラッと見えただけだ。やるときゃカーテンキチンと閉めてやれよ。ほんのちょっとだけ隙間開いてたぞ?」
うわああああ―――ッッ何この人――ッ!? 僕とミウさんの情事を覘いておいて、なんでそんな自分は悪くないみたいに正当化してるんだぁ―――ッ!?
「とりあえず事が終わるまで待たせて貰うかって扉の前に座ってそのまま待ってたら1時間2時間と過ぎても終わる気配ねえし、その内ミウの掠れた叫び声を最後にお前の声しか聞こえなくなるしで」
プライバシーの侵害だ―――ッ!!
「お前超絶倫先生すぎ。ガキの癖になんでそんなすっごい精力と持久力があんだよ? どうやったらそれが身につくんだよ? ぶっちゃけ俺にご教授願いませんかね? やっぱ男は女を満足させられてこそ一人前だからな、同じ男としてお前みたいな底なしの絶倫には憧れるぜ。24時間熱く激しくぶっ通しとかッ」
「いやできませんからそんなことッ! そんなことしたら腎虚死しちゃいますからッ!」
性の体力が人一倍ついてしまった僕にだって限界はある。
抜かずの5時間といってもそんな始終のことじゃないし、要所要所で休憩入れながらしているし、妊娠中のミウさんに負担を掛けさせるような抱き方はしてないし。
「謙遜すんなよ絶倫先生」
「絶倫先生って呼ばないで下さい――ッ!!」
※
「すぅ、すぅ、」
夜。この日も変わらずの愛を確かめ合ったクルスはミウに寄り添いながら眠っていた。
「ゆっくりとはいえ、今夜も沢山求めてくれたな……クルス」
隣で眠る彼の若竹色の髪を撫でながら彼女は思う。
この少年が抱く自身への愛情の深さを。
抱かれていればわかるというものだ。自分に対して、お腹の子に対して、どれだけ強い想いを寄せてくれているのか、それこそ手に取るように。
彼女は寝息を立てるクルスの手を握る。
「ほら、これがお父さんの手だ」
握り締めたその手を自らの膨らむお腹へと触れさせ、自分と彼の二つの手で優しくさすった。
「優しい温もりに満ちた手だろう? お父さんはね……、この手でいつもお母さんを愛してくれるんだよ……。お母さんはそんなお父さんが大好きなんだ……」
愛されること。愛すること。
二つにして一つの意味を持つ悦び。
ミウは、それをお腹にいる我が子へと伝える。
お父さんとお母さんはこの世で一番仲がいいんだ。
だから何も心配することなく元気に生まれてきてほしい。
生まれたばかりの赤子にとって優しいとは言い難い環境を持つBS。
だが、クルスとミウ。二人の子供にとっては優しい世界となるであろう。
こんなにも仲睦まじい両親の愛情を一身に受ける事になるのだから。
「ん……ミウさん……」
「あ、起こしたか? 悪いな」
「いい、え………。ん……眠れ、ないんですか……? まだ、足りませんか……?」
愛が足らないかという意味。寝ぼけ眼で呟く夫に、ミウはお腹に当てていた手に力を加えた。
彼の手を握り締める自らの手に、ほんの僅かばかりの力を。
「いや、お前の愛は充分受け取ったから……、いまは、お前と私がどれだけ愛し合っているのかをこの子に話していただけさ。まあ、この子もそんなことはとうに知っているだろうけれど」
クルスも気が付く。己の手が彼女の手と合わさり、彼女のお腹へと添えられていることに。
「そう、でしたか……この子に、僕らが仲良しだってことを……、」
彼もそのお腹を撫でる。慈しみを持って撫でさする。
「僕らはもう、二人きりではないんですね」
この子ができたことにより三人なのだ。
姉のアルカと二人だった昔。
アルカがいなくなり、一人になってしまった自分。
ミウと出会い、再び二人となった幸せな毎日。
その幸せにもう一人、家族が加わった。
「僕と、ミウさんと、この子の。三人家族なんですね」
今までで最も多くなった家族の人数。
それを噛み締めるクルスは、妻の唇にそっとキスを贈った。
「ん……」
受け入れるミウも自ら唇を押し付けるようにして返礼。
絡ませるほどとは行かずとも、共に愛しい相手と舌先を触れ合わせた。
「ん……、ちゅ……」
僅かばかりの興奮を感じさせる息遣いのなか、軽い口付けを終えた二人の唇が離れる。
二人の手は、また膨らんだお腹へと当てられて……。
今度は二人で話し掛ける。
まずミウが話し掛けて。
「ほら、仲がいいだろう? お父さんはいつもお母さんを大切にしてくれるんだ」
クルスが話し掛ける。
「お父さんとお母さんはとっても仲良しでしょ。それはどうしてかっていうとね、お母さんがお父さんの宝物で、お父さんはお母さんの宝物だからだよ。世界で一番大切な宝物なんだよ――」
その宝物に、“お前が”“キミが”加わる。
「三人寄り添って、生きていこうね」
「そうだ、三人で――あ。いや……ちょっと、待てよ」
三人。生まれる子供も数に入れてその通りの家族人数に、ふと思うことがあったミウは待ったを掛けた。
「……どうしました?」
「いや、おそらく三人ではなくなると思うぞ。それもこの2,3年の内には一人、乃至二人は確実に増える」
愛妻の言葉にクルスは首をかしげていたが、ミウはその疑問に間髪入れず答えるのだった。
「お前の愛をこの身に受け続けるんだ。新しい結晶はまた直ぐに私の中で実を結ぶだろうってことさ」
この子が生まれて1年の内には二人目が。2年の内には三人目が。
性欲旺盛なクルスの愛を夜毎その身に受けているため確信を持って述べるミウに、クルスは一人汗を浮かべながら苦笑いするのだった。
なお、一人目のこの子の名は決めている。女の子でも男の子でも通用する名前。クルスの姉の名前‟アルカ”だ。
アルカの様な強い子に、BSの辛い現実に負けない様な強い子に育ってほしいという意味で、クルスとミウの二人で決めた名前。
なお、妊娠中のセックスは危険だがミウはニードレスでもある為、身体が強く、子供もどうやらニードレスらしく強い模様。これはギド爺さんに調べてもらって分かった事。だから愛し合う分には問題ないとの事で、二人は緩やかなセックスを時折しているのだ。
「アルカ。強い子に生まれてきてくれよ」
そういうミウさんに。僕は。
「無事に生まれてきてくれたら僕は良いよ、僕らのアルカ」
行方をくらませた姉さんはまだ見つかっていないけれど、名前、貰ってもいいよね。姉さん。
短編集内の各お話と投稿予定(未定)の続きやお話で読んでみたい作品はありますか?(ご期待に副える事が出来るかどうか分かりませんが、一ご意見としてお伺いしたいと思います)
-
コードギアス
-
コードギアスR2
-
此花トゥルーリポート
-
FF4×FF6
-
カオシックルーン
-
学園黙示録
-
ルパン三世 ワルサーP38
-
幕末風来伝 斬郎汰
-
ニードレス
-
ヨルムンガンド
-
少女少年
-
北の告発
-
サラダデイズ
-
クレセントノイズ
-
ひとひら(甲斐×理咲の近親相姦物)
-
ESアザーワイズ(戒×瑠璃)
-
遊戯王GX(十代×カミューラ)
-
魔装機神(マサキ×モニカ)
-
椎名君のリーズニングファイル
-
RAVE(ハル×絶望のジェロ)