お月様の様な貴女
「ん、んん、っ?」
あれ、もう、真っ暗だ。夜、真夜中。電気も付けていなかったから真っ暗なのは当たり前なんだけれども。
暗くなって来てたら、電気くらいはつけるよね普通。
けれどもそれは出来ない。出来ないくらいに激しく愛し合った。激しく彼女の四本の三つ編みに腹を撫でられ、両手は組まれたままに手の平をさすり合い。下半身は奥の奥、根元まで、最奥まで一つとなりて。
互いの身体を愛し合わせたのだ。
僕は、僕の身体に沿いながら全身を這い合わせたままに。
可愛らしい顔を僕の頬の傍に寝かせたままに静かな息を吐いている、僕のお嫁さんを見る。
身体に感じる二本の三つ編み。編み目はサラサラでしっとりと汗に濡れていて。それが彼女の美に磨きを掛けている。
身体より後ろ、背を通り、お尻を通り越えて脚部上部の裏側まで届く、長く綺麗な二本の太い三つ編みも、触ってみると身体前に下げている二本の三つ編みよりも大きく。大きいだけ汗を吸っていた。
四本の三つ編みはしっとりと濡れている。
だけども、その汗に濡れた編み目も水分を吸い柔くきゅっと締まりを見せていて、静かな締まり具合は、まるで今の僕と彼女──胡桃さんの様な感じ。
僕達の身体には衣服はない。衣服どころかガウンもバスタオルも何にもない、素っ裸。本当の肌かん坊同士。
「くすっ、坊って言い方、僕と胡桃さんには合ってますよね」
何気に合っている。
何せ僕は14歳。そして胡桃さんは16歳。
こんなBSの中で年齢なんてのは意味がないという事を散々に知らされてきた僕だけど、守りたい物は手にできた。
元シメオン少女部隊員胡桃さん──。胡桃さんのコカブラウンの長い髪が造り上げた三つ編みを、解かないように優しく撫でる。
編み目の窪に指を入れ這わせ、窪の際を添いながら編み目の天井、頂点部へと指を立たせる。
艶が良くなった。綺麗になった。前にそう思ったのは確かみたいだね。
すごく綺麗で美しいですよ、僕の胡桃さんの長い髪。解いてあげるとウェーヴィーヘアへと早変わり。
その姿には僕も彼女の方が年上なんだなあと考えさせられます。靡く長い髪。荒野での際にでも、水浴びの際にでも、潤い広がる美しいコカブラウンが描き出すコントラストは。
胡桃さんが確かな年上なのである事をうかがわせる。
ふと、窓を照らす月を見上げる。
胡桃さんの能力は目立たない。目立たないけれど知られれば嫌われるタイプの能力。
ブラックの名を持つ能力は、正しくブラックなアトラクション。一度掛けられてしまえば永遠に胡桃さんの虜。
その能力を僕は掛けられている。自ら掛かってやった。
あの時の胡桃さんの慌てようと言ったら無かった。私の虜になるって言ってるじゃないか。ええ、だからそれで良いんだ。
僕も日の光は好きだ。太陽は人間が生きていくには必要なる存在だ。
だけど、だけどね。その太陽を絶妙な影響下に人間にとって良い状況にさせているのは月だ。
胡桃さんはそんな月。優しく静かに暗い中を照らす月。太陽は多くの人を魅了する。僕はその傍らに薄く姿を映えさせる月にこそ魅了される。
太陽の中にあってさえ星々の様には消えずにきちんとそこに姿が見える。
もしも見えないのならば、そうだと知っているのならば。
極論僕は胡桃さんをこの腕より手放す事は無いだろう。
離れても大丈夫という事、それはどこにあってもこの月(胡桃)を見つけることが出来るからだ。
夜でも、朝でも、夕でも、また……夜でも。
その静かな光と色合いにで、元シメオン少女部隊員にして、現在は胡桃・シルトな美しい彼女は、月となって僕を魅了するのだろう。
「胡桃さんはお月様なんですよ」
僕の、クルス・シルトが見つけたたった一つの宝物にして、お月様。
短編集内の各お話と投稿予定(未定)の続きやお話で読んでみたい作品はありますか?(ご期待に副える事が出来るかどうか分かりませんが、一ご意見としてお伺いしたいと思います)
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