□■□まえがき□■□
2009/10月頃書いた、「白黒引力」の続編です。
ラブラブな二人の続きが見たい、とサイト上で結構メッセージが届いていたのがきっかけ。
本編は「続きを読む」からどうぞ。
18禁要素を含むので苦手な方はご注意くださいませ。
***耽り、溺れて***
あれからの時間は、二人にとって力強く引き放たれた矢のように速く、しかしながら、少しずつ零れ落ち積み重なって行く砂時計のように遅く、けれどもそれを忘れさせる程に甘いものだった。
少しでも触れ合う時間があれば仲睦まじく寄り添い合い、互いを求め、少しでも離れる時間があれば、胸を締め付ける寂しさを感じながら。本当は、欲しいものなどけして与えてはくれなかった世界が今や、全てが二人を結び付ける一因になるべくして作られたように愛しいのだ。
******
暗闇の静寂を裂くように、木製の扉が軋み独特な鳴き声を上げる。
「胡桃さん、起きていますか?」
もし彼女が寝ていたらと、と配慮し潜めた声を喉からゆっくりと出すクルス。幾何学模様の線画を描くように作られた塔のような黒鉄のキャンドルポッドから漏れる蝋燭の光を頼りに、彼女といつも夜伽を共にする黒い羽毛のベッドへと歩み寄る。黒い毛布から覗く、ほんのりと照らされた髪はコカブラウンよりも明るい太陽に照らされた甘栗のような色をして鈍く光っている。再び訪れた静寂に耳を澄ませば、すぅー・すぅーという小さな寝息が鼓膜を微かに揺らす。
「寝ていましたか──。可愛らしい寝顔だ」
すやすやと眠る彼女の頬を、そっと傷の跡が残る手のひらで撫でる。
陶器のようにきめ細かい頬はとても柔らかく、それから耳の側に降りたチョコレート色の髪を指で掬うと、さらさらと指の間へ細い髪が流れ込んでいく。
「髪、前よりも綺麗になっているなあ。髪を降ろしている貴女も、とても素敵ですよ」
彼女の寝顔を見つめながら、うっとりとした表情で闇の中へと彼女へのメッセージを呟く。
僕と出会ってからも、いや、僕と出会ったからこそ彼女は今 一瞬一瞬美貌を増していっているんだな、なんてことをぼんやりと考えながら一人クスリと微笑んだ。
暫くそうしていると、もぞもぞと胡桃が寝返りをうった。
「ううん……」
蝋燭の光を眩しがっているのだろうか、少し眉をしかめながら額に腕をやった。仰向けに寝転んだ彼女を覆う毛布は少しはだけて、彼女を包み込む黒とは対照的な真っ白とした柔丘がぽろりと顔を出した。それを見ながらもクルスは余裕のある表情で、自身の上着の白いワイシャツのボタンを一つ一つ外して行く。
服から覗く彼の上体は、男子の平均よりも幾分か細く、まだまだ少年らしさを残した胸板がボタンを一つ外すごとに露になっていく。手際よくベルトを緩め、黒いズボンを降ろし下着をさっさと横に投げ捨てて、一糸纏わぬ姿になり終えれば、毛布の間に入り込んで彼女を見下ろしていた。覆い被さったクルスの影が、胡桃の顔の上にかかる。
「眩しさも、これで問題ないかな、と。さて失礼しますよ、胡桃さん」
彼女の顔からほんの少し離れた所に片肘をついて、身体をゆっくりと降ろしこむ。
露になった素肌が彼女の肌にのしかかるようにして、徐々に肉体の触れ合う面積を増やしながら被さっていく。頬杖を付きながら、従容とした表情で彼女の太股に足を絡め、空いた手で彼女の頬を再び撫でる。暫くしてから頬杖を付くのを止め、そのまますぅっと顎のあたりにあてがわれた指先で、くっと彼女の顔を持ち上げて、そっとキスをする。
眠る彼女の唇の味も、以前に増して甘くなっていた。舌先で唇を押し上げ、口の中に割って入り、そのまま口の中をゆったりと味わう。初め白い歯で閉ざされていた口内も、暫く歯茎のあたりや唇の内側を撫でている間に開き、ついに辿り着いた彼女の舌にべったりと絡み付く。舌先から根元、表面までじっくりと味わい自分の唾液を流し込んでいると、次第に彼女の舌が自分の舌に絡み付いてきた。やっとお目覚めですか、少し無防備すぎるんじゃないかなと内心で思いながら、少年はそれに応えた。
「んっ……ぷはっ……、おはよう胡桃さん。僕の帰りを待ってくれていないなんて、今日の貴女は意地悪なんですね」
唇を離し、糸を引く唾液を親指でぐっと拭いながら、ぼんやりとした表情をした彼女に軽く毒づく。
「おはよう、クルス……。だって貴方帰ってくるのが遅すぎるんだもの、こうして眠っていないと常に胸を締めつけて来る痛みに耐えられないよ」
うっとりとした表情をしながら、帰ってきた愛しの彼の頭を優しく撫でる彼女の顔は幸せそのものだ。
「また上手いことを言って僕を誤魔化そうたって、そうはいきませんよ。僕を陶酔させるくらいに甘言ばかり吐く貴女に毎日踊らされているわけにはいけませんからね」
口ではそうは言っているものの、心は全く逆の方向を向いていると言ったところか。彼自身の顔も綻びを隠し切れず、ゆるゆるに緩んでいる。そんな彼のことを分かりきっているかのように、彼を揶揄するような表情をしながら、
「じゃあお詫びにクルス様を奉仕しちゃおうかな? こうやって、ね?」
胡桃は彼を抱き寄せて胸を押し当て、手で彼の股間を撫でる。太股で幾重にも分かれた線を指先で描き続けるようにと動き続ける手は、次第に彼の性竿に蛇のように絡み付いて自ずと勃起したそれを抓るようにきゅっ・きゅっと摘むと、クルスは顔をしかめながら小さな声をあげる。
「ここをこうすると気持ちいいんでしょ? ご主人様?」
竿のくびれあたりを強く摘んで、先端の溝を人差し指でなぞるように上下させると、クルス自身が痙攣するように感づく。
「ッ……あッ……胡桃さんは本当に僕のことを知っているなあ……」
「だって貴方は、私のものですもの? ねえ?」
意地悪にはにかみながら、胡桃は様々な力で硬くなった肉棒をいじくり回す。
それに耐えきれなくなったクルスはたまらず、徐に胸の間へと顔を埋めた。
豊潤な白い丘からはミルクのような甘い薫りが仄かに香り、クルスの鼻息をつい荒くさせる。
彼女に甘えるような仕草で胸に顔を擦り付け、荒い息を立てて胡桃の胸を味わう。軽く口でしゃぶってみると、プリンのように柔らかく弾力ある肌が口の中で形を変える。そのまま飴を味わうように、先についたピンク色の果実に舌を絡めると、胡桃もたまらず甘い嬌声をあげた。荒い鼻息がくすぐるのと絶妙な力加減で乳首を弄ばれるのには何回やられても馴れず、次第に色をほんのり濃くさせながらも先を硬くする。
「あっ……ん……やぁん……クルスも私のことなら何でもご存じね……。ふ……ああ……」
「ふふ、どれだけ貴女を味わったか分からないくらいですからね。分からないことなんて、ないですよ。例えば──―」
すりすりと円を描くように胸横を撫で回すと、胡桃の身体がびくんと大きく反応した。
「こことか──それと、こことか──―」
撫で回す手を休めずに、二の腕のあたりをかぷりと噛む。
「や、やああん! 二か所同時になんて反則だよッ……! なら私は……、こことか──―」
負けずと胡桃もクルスの股関節に人差し指と中指をぐりぐりと押し込み刺激する。
「ッあああ! そこは駄目ですって!」
「このまま乳首のあたりを舐めてもらうのが好きなんでしょ? ん?」
微細に舌を動かして、クルスの胸を舐め回す胡桃。
「ん……くぅうぅ……敵わないな……」
目の前で小悪魔のように自分を刺激し続ける彼女に湧き上がる情愛はどんどんと膨らみ、肉棒の先から白濁りの先走りをたらたらと出してしまう。
「……っあ……じゃあ二人で気持ち良くなれる場所、教えてあげましょうか……」
ぐいと彼女の腰を持ち上げて、白い足でできた門をこじあけ、姿を見せた秘所に欲棒を擦り付ける。
もう彼女のほうもすっかり待ちわびた様子で、たっぷりと濡れた彼女の秘部の奥深くへと棒を押し込み始める。
「ん……はやくきて……」
彼を抱き寄せながら熱いベーゼを送りながら、彼自身が入り込んでくるのを待つ胡桃の顔はとても恍惚としている。
「いきますよ……胡桃さん……んっ……!!!」
ずぶ、ずぶ。肉と肉が蜜を絡ませるいやらしい音を立てながら、薄紅の淫裂に淫棒が入り込んでいく。硬い硬いそれは肉壁を優しくかきわけていくと訪れる快感が、少年と少女を襲う。まるで、電撃が迸るように強烈な快感は、回数を重ねるごとに強まっていくと確信していたのは、二人とも同じだった。
「っああああああああああん!!! クルスの、おっきくて気持ちいいよお! はやくぅ、はやくうごいてぇ!」
挿れた途端に訪れた快楽に身をよじらせ、自ら腰を振り始める胡桃の姿はとても扇情的だ。ああ、なんて可愛いのだろう。緩慢な動作で、まずは何回か中を出入りをする。それからたまに速度の変化をつけてやると、その度に肉壁の襞が欲棒を締め付けて離れまいとしてくる。緩急をつけて腰を降り続ける少年は、獣のように性に溺れながらも彼女を愛おしみ、強く抱いた。
「っあー、あ・あーああんっ、だめっ、そんなうごいちゃだめぇ、ふああ、気持ちいいよぉ……!」
「っくぁ……、僕も……凄く気持ちがいいですよ……!」
こつこつと先端が肉奥を叩く度に、彼女の全身が痙攣したように震える。
足に伝わってくる粘液の生暖かさが嫌に官能的で、肉棒全体を包み込む柔らかい花弁が非常に心地よい。彼女の嬌声がなまめかしくなる度に、彼女の全身がうち震える度に、自分の愛が彼女に伝わっている気がして、クルスはとても愛しく幸せな気持ちになった。性の権化を包み込む胎内はどこまでも優しくて、どこまでも刺激的で、彼女の喜びを艶やかな動きで表してくれる。
「はあ……はあっ……、もっと、もっと……きてえ……! クルス、クルス、クルスぅ!! ひぁ……あ……あああああん!!」
彼女の要求に応えて、力強い腰の動きで肉棒を出入りさせる。更に増していやらしく鳴り響く音が恥ずかしいのか、彼女は指を軽く噛んで頬を赤く染める。
「そろそろ……後ろからも味わいたいな……」
彼女を突くのを一旦止め、早々と体位を移し替える。
お尻を上に突き出すようにされた胡桃はなんとも恥ずかしそうに四つん這いをしている様が何とも堪らなく、クルスの剛直は更に硬くなった。濡れてびしょびしょになった割れ目はぱっくりと薄桃色の内壁を露にして、涎を垂らしている。そこに鼻と舌を忍び込ませ、嗅覚・味覚・触覚全てを最高までに高めて性の花園をたっぷりと味わう。
「ひゃ、ひゃあああああああん!!」
甘い声を上げて叫ぶ彼女の秘部から舌を動かす度にだらだらと零れ落ちる愛液は掬いきれない程に多く、ぽたぽたとシーツの上に点を描いていく。
「胡桃さんの愛液……すごく……おいしいですよ……」
最後に強く唇で淫唇にキスをして、再び剛直をそこに捩じ込み始める。なんの抵抗もなく入り込んだそこはまた、性の楽園だった。腰と尻がぶつかりあう音はとても淫乱で、蝋燭の光に照らされて薄く光る白尻がとてもいやらしい。
「胡桃さん、大好きです……ッ……! 胡桃さん……っ……! 大好きだッ……! つああっ……! い、イクぅ……!」
クルスの性欲がついに爆発しそうになると、胡桃の淫唇はそれを待ちわびていたかのように欲棒を締め付けて、離すまいと力を強める。
「ああんっ……! っん……私も……大好きだよッ……! クルス……いっぱいだしてえ……!! 私の中に、いっぱいだしてえ……! あああああっ!」
その言葉に更に興奮したクルスは竿を出入りさせる速度を早め、彼女の中へ中へと奥深く侵入していった。
『……ッあああああああああああああああ!!!』
胎内を満たさんとばかりに、一物から信じられないくらいに大量の精子が吐き出される。
そして二人は糸が切れたように、ぱたりとベッドに倒れこんで、息を荒げながら向かい合った。
「これからも……こうしていられるのかな……? 二人でずっと……愛し合って……」
恍惚とした表情の彼女がぽつりと呟く。
「……いつまでも……このままですよ……。なんなら、もう一度今から貴女を愛してみせましょうか?」
彼女の口を唇でぎゅっと塞いで、クルスは彼女の目の前でにっこり笑いながら言った。
「……ESPウィルスに命令。今夜はもう寝なさい。替わりに明日の朝、また私を愛して」
「あ! それはずるいですよ胡桃さん! ボクだってたまには連続でやりた……い……」
くらくらと薄れ行く意識の中クルスが見たのは、艶やかな笑みを見せる胡桃の姿。
少し意地悪な僕だけの天使は、ちょっとずる賢くて、とても愛らしいのだった。
そう思っているのは、彼女もまた、同様で。
(終)
短編集内の各お話と投稿予定(未定)の続きやお話で読んでみたい作品はありますか?(ご期待に副える事が出来るかどうか分かりませんが、一ご意見としてお伺いしたいと思います)
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