※この作品はR-18です。

二次創作SS集   作:夜半の月

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友人へのリクエスト作品・頂き物作品です




■□■まえがき■□■
2009・8/21日頃、アニメ版NEEDLESSが始まった頃に書いた短編です。
書いた発端はれいるさんとクルスと女性キャラの身長について語っていた時受信した電波でした。
アニメ版が始まる前は七海・美咲・胡桃の名モブが原作と別の道を辿るのか予想してたのが懐かしいです。
生存ルートを辿ったのは前者二人だけでしたが・・・・・・あれは社会的に判決、羞恥死刑な気がします。あの写真を社内広報で頂けたシメオン社員が羨ましい。

当作品は美咲がそんな事になる以前、クルスと出会うお話です。
今回は18禁要素無しですー。


***おつかい***

 

 

 

 

 ***おつかい***

 

 

 

 

 人々の日々の営みを支える活気溢れる市場。

 

 老いも若きも、強者も弱者も入り乱れ茶色の大地に黒や金の点が絶え間なく動いていく。

 

 雑踏に響く濁声や行き交う人々の話し声が常に鼓膜を揺れさせて、立ち並んだ店から漂ってくる食べ物の匂いが鼻を飽きさせない。ふとふらりと寄ってしまいそうなくらい空腹を刺激する肉の焼ける音と匂いに耐えながら、クルスは少しばかりの小銭をポケットの中で揺らしながらこの市場を歩いていた。

 

 

 

「まさかあんなものが売り切れてるなんて……。世も末だよ、イヴさんしか飲まないと思っていたのに……」

 

 彼がこの市場に来た理由は、いつもと変わらないようにイヴに顎で使われ例の飲料を買うため。飲料もとい、廃棄燃料とも言える、スーパーゲル状デロドロンドリンク。不味い・高カロリー・エロいの三拍子で有名な街での廃棄商品。普段ならすぐに買えるそれが売り切れているという非常事態に困惑しながらも、広い市場を彷徨い歩く。

 

 もし買えなかったらどうなるかわからない、そんな焦りについ足を早め、人々の波を小さな身体で掻き分けながらなんとか進む彼の身体に何かが不意にぶつかった。

 

「あいたっ!!」

 

「きゃっ!!」

 

 衝突の衝撃に財布から小銭が放物線を描いて宙に舞った。高い音を立てながら落ちた幾つもの小銭が地面を転がっていき、人々の足の下へと消えて行く。

 

 衝撃で尻餅をうったクルスが前を見直すと、目の前にはコルク色の髪が似合う制服姿の少女がいた。

 

「いたた……、……あんた、どこに目つけて歩いてんのよ!」

 

「あ、あわわすいません! 少し急いでいたもので! 大丈夫ですか?」

 

 自分同様に尻餅をうって痛がる彼女を気遣い、立ち上がって手を差し延べるクルス。しかしその手はあっさり払われて、洋服をはたきながら立ち上がる彼女は鋭い目を向けてくる。

 

「大丈夫じゃないわよ、おかげでスカートに入ってたお金が散らばったじゃないの。どうしてくれるの?」

 

「ご、ごめんなさい……。今すぐ拾って集めますね!」

 

 直ぐさま四つん這いになって小銭を拾い集め始めるクルス。だが、ここは人々が流動する大道。行き交う人の足元に散らばるそれを容易く集められるわけもなく、靴に手のひらを何回も踏みにじられながらやっとのことで周りに落ちていた小銭を拾いきる。

 

「いてて……これで足りてますかね?」

 

 手のひらを広げて集めた小銭を少女に見せるクルス。それを強引に奪い取って少女は銀貨や銅貨を数え始めた。

 

「どれどれ、二……四……六の……七、銀貨が一枚足りないわね……」

 

「え、本当ですか、ならボクの銀貨をどうぞ」

 

 顔をしかめてこちらを睨む彼女に堪らず手持ちの銀貨を差し出す。

 

「……一枚くらい別にいいわよ。それじゃ私にも用があるから、じゃあね。……拾ってくれてありがと」

 

 それだけ言って、彼女は上で結んだ髪を揺らしながら雑踏の中へと消えていった。

 

 ふう、と安堵の溜息をついた後クルスは何かハッと思い出した様子を浮かべ、一人狼狽し始める。

 

「し、しまった! こうしてる場合じゃない! 早く買いに行かなきゃイヴさんに殺される!」

 

 憤怒に拳を震わせ自分を痛めつけるイヴの姿を想像した彼は、再び雑踏を掻き分けて店を目指し駆け出した。

 

 

 

 ***

 

「……で、何でまたあんたが私の前にいるのよ!」

 

「ぼ、ボクに言われても……」

 

 明るい太陽の日差しから隠れるように曲がりくねった影を作り入り組んだ裏路地の中に入り込んだクルスの目の前に立っていたのは、先程と変わらず顔をしかめた彼女だった。目の前の行き止まりから出て来たことを察すると、どうやらこのあたりの地理に詳しくないようだ。

 

「……あの、もしかして迷ってるんですか?」

 

「……! ま、迷ってなんかないわよ! ただ目の前に気になる道があったからたまたま入ってみただけなんだからね!」

 

「でもそこの道、風俗店への入口なんですけど……」

 

 上に立てられた蛍光灯付きの如何わしい看板を指差すと、それを見た彼女は顔を真っ赤にして無言でクルスの顔を殴った。

 

「へおおッ!!」

 

「そういうことは気付いても言うもんじゃないわよ馬鹿!」

 

「す……すみません。でも何か困っているのでしたら力になりますよ?」

 

 クルスのその言葉に彼女はしばらく考える様子を見せた後、恥ずかしそうに口を開いた。

 

「……実は道に迷ってて困ってるのよね、あるものが売っている店を探しているんだけど……ここはどうも道が複雑で」

 

 やはり迷っていたのか、と内心クルスは苦笑した。だが、地元の人間ではないようである彼女が困るのも無理はない。ブラックスポットの市街は何の計画性も無く個々人で建設されていった箱庭に近いもので、幼い頃から街中を散策してきた者でなければ、入り組んだ道程を頭に入れることすら難しい。困り顔の彼女を見かねて、クルスは助力せずにはいられなかった。

 

「あ、それならボクが案内しますよ。何を買いたいんですか?」

 

「……スーパーゲル状デロドロンドリンク」

 

 その一言に思わずクルスは噴き出す。言葉こそ押し殺したが、笑いだけは堪え切れなかった。

 

「(イヴさん以外に飲む人いた──! リアルにいた──!)」

 

「何笑ってんのよ! 別にあたしが好んで飲むわけじゃなくて、おつかいで頼まれただけよ!」

 

「あ、ですよねー。ちょっとアレは飲めませんもんね……。まあとにかく、それならボクと目的が同じですね! 一緒に行きませんか?」

 

「べ、別にいいけど」

 

 目線を合わせようとせず照れながらも肯定の意を述べる少女。

 

「なら決まりですね。ボクはクルスといいます。あなたは?」

 

「……美咲よ」

 

「よろしく、美咲さん」

 

 すっ、と手を差し延べ握手の意を見せる彼を認めるように、彼女の小さな手がそれに応えた。握手を交わしたあと二人は路地の奥へと歩きながら話し始める。

 

「ところであんた何歳よ? 私より歳取ってなさそうだけど」

 

「ああ、十四歳ですけど」

 

「はああああアッ!!? 十四!? 私と同い年じゃないの!」

 

「な、なにかいけないんですか……?」

 

 ちょいちょいと指を内側に曲げて、クルスを身体の側に呼び込む美咲。

 

 自らの頭に当てた手を近付いたクルスの頭のほうに伸ばし、上下にそれを動かす。

 

 はっきりとした上下の差にわなわなと震える美咲は、びしりとクルスに指をさして言った。

 

「なんであんたのほうが身長高いのよ!? あたしと同い年のくせに!」

 

「な、何でって、えーと、ボクが男だからですかね?」

 

「生意気よっ! 男だからって生意気よ! 身長だけ勝ったからって、いい気にならないでよね!」

 

「は、はあ……」

 

 半ば飽きれ顔で自分から急に怒り出した美咲の話を聞くクルス。

 

 そんな彼を意地でも見下ろそうと道の横にある段差に上り、てくてくと歩いていく美咲。

 

「私だってそのうち瑠璃様みたいに高身長になるんだからね、今に見てなさいよクルス!」

 

「(も、もう呼び捨て!?)そ、そうですか。早く伸びるといいですね……」

 

 そんなことを話しているうちに、細い路地の向こうに一つの商店が見えてきた。

 

 その商店が構える看板は「なんでもや」

 

 如何にも胡散臭そうな店に辿り着いた美咲は思わずしかめ顔でクルスを見つめる。

 

「ここに本当にあるっていうの?」

 

「あ、ありますよ多分! なんせここは……」

 

 

 

「なんでもや、じゃからのう」

 

 しわがれた声を響かせて店の奥からぬうっと現われたのは割烹着を来た白髪の大きな老婆。

 

 背を曲げながらもクルスと美咲の背丈をゆうに超えた彼女は背中で手を組んでどっしりとした威圧感を与えて来る。

 

「可愛いカップルじゃのう? 何を探しに来た? カップルで遊ぶ大人のおもちゃか?」

 

「ど、どっちも違います! こいつとは何ともない関係ですから!」

 

 老婆のからかうような言葉に美咲は顔を真っ赤にして反論する。そんな彼女の様子をからからと笑う老婆にクルスは戸惑いの残った声で問い掛ける。

 

「あ、あの……スーパーゲル状デロドロンドリンクを探しているんですが。ここにありますかお婆さん?」

 

 

 

「ああ、高カロリーな白濁液で有名なアレか。ここはなんでもや。勿論あるでよ」

 

「本当ですか! よかった……!」

 

「ほれ、これじゃろ?」

 

 

 

 物溜りを掻き分けて取り出したのは一本の缶。普段クルスの買っているそれに間違いなかった。

 

「あ! それですそれです! それ二本ください、美咲さんも一本でいいんですよね?」

 

「うん、そうだけど」

 

 

 

「そうかそうか、よかったな幼いカップル。ほれ、合わせて銀貨十四枚と銅貨二枚じゃよ」

 

 

 

 お代を出そうと二人は各々のポケットから銀貨を取り出し老婆に差し出す。が、

 

「おや、銀貨一枚足りんぞ若いの」

 

『え』

 

 慌ててクルスはポケットの中をまさぐるが、銀貨は出てこない。そんな彼を見兼ねた老婆はにっこり微笑んで、ドリンクを手渡した。

 

「可愛いカップルだからおまけしちゃる。これからも仲良くするんじゃぞ」

 

『あ、ありがとうございます! ……って、カップルじゃありません!』

 

 妙に息の合った礼と突っ込みを入れたあと、二人は店を後にした。

 

 

 

「帰り道複雑なんで大道まで送りますよ」

 

「……ありがと。あんたのおかげで助かったわ」

 

 夕日が照らす路地をてくてくと歩いていく二人。帰り道でも美咲は先程と同じように段差に上りクルスを見下ろしながら並んで歩く。

 

「ねえクルス。ぶつかったのがあんたでよかったわ」

 

「ボクも美咲さんと出会えてよかったですよ。楽しかったです」

 

 クルスのその一言に美咲は顔を真っ赤に染めて、小さく握った拳でクルスの肩を軽く小突いた。

 

「……ばか」

 

 

 

 それからお互いのことを話していると、あっという間に大道に辿り着いた。夕方でも衰えを見せないくらいに人が行き交う道からは昼間と同じように濁声と足音が絶えず響き渡り、今までの生活に戻ってきたような感覚をクルスに与えた。

 

「それじゃ、ここでお別れですね」

 

「そうね。……送ってくれてありがと」

 

 

 

 それだけ言って再び雑踏の中へと消えて行こうとする彼女は、ふと立ち止まって振り返り言った。

 

「クルス、また会う時は必ずあんたより背高くなってるんだからね! それまで死んだりしないでよね! ばーか!」

 

 

 

 

 

「ええ、楽しみにしてますよ! いつかまた!」

 

 夕日が彼女のコルク色の髪の毛を明るく照らしている様は何とも輝かしくて、大きく手を振るクルスの顔と同じように彼女の顔も柔らかく綻んだ。

 

 それから五秒もたたないうちに、彼女の姿は雑踏の中へと消えていった。

 

 家路に戻るクルスも沢山の人々の中へと消えていき、二人のいた路地の入口には孤独に咲く一輪の花だけが残っていた。

 

 

 

 教会の扉を押し開けて、中でポーカーを楽しむブレイドとイヴの所へと駆け寄るクルス。

 

「ただいま帰りました! イヴさん、頼まれたもの買ってきましたよ!」

 

「……? なんだ山田、やけに上機嫌じゃないか。何かいいことでもあったのか?」

 

 

 

「……ええ! 友達が出来たんです! 初めての、同い年の友達が」

 

 

 

(おわり)

 

短編集内の各お話と投稿予定(未定)の続きやお話で読んでみたい作品はありますか?(ご期待に副える事が出来るかどうか分かりませんが、一ご意見としてお伺いしたいと思います)

  • コードギアス
  • コードギアスR2
  • 此花トゥルーリポート
  • FF4×FF6
  • カオシックルーン
  • 学園黙示録
  • ルパン三世 ワルサーP38
  • 幕末風来伝 斬郎汰
  • ニードレス
  • ヨルムンガンド
  • 少女少年
  • 北の告発
  • サラダデイズ
  • クレセントノイズ
  • ひとひら(甲斐×理咲の近親相姦物)
  • ESアザーワイズ(戒×瑠璃)
  • 遊戯王GX(十代×カミューラ)
  • 魔装機神(マサキ×モニカ)
  • 椎名君のリーズニングファイル
  • RAVE(ハル×絶望のジェロ)
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