※この作品はR-18です。

二次創作SS集   作:夜半の月

8 / 98
【副総督室での顔合わせ】の続きであり裏で、おぢさまの一人語りと一人視点の短い話。

傍若無人なはずのおぢさまのキャラがぶれてこれじゃ無い感が出ています。

恋をするとどんな男性も女性も強くもなり臆病にもなるのではと思うのです。

R15指定くらいで性的描写はありませんので期待をお寄せ頂いていた方にはごめんなさい。


おぢさまは思う

 

 

 

 おぢさまは思う

 

 

 

 ユーフェミア皇女に、ユフィに、唇を奪われた。

 

 男だけあってと言おうか、平均より高い背の自分に唇を届かそうとなると、こちらより背の低い彼女は背伸びをする必要がある。

 

「んむぅ」

 

 こちらの両肩に手を置き身体を預け来て、こちらの身体を支えに背伸びをしている彼女は、桃色のリップが塗られた瑞々しい唇を重ね来たまま。

 

 唇を甘く静かに啄んで、こちらの唇の味でも味わっているかのご様子だ。

 

「んっ、あむ」

 

 甘酸っぱい味にリップの味も追加された口付け。

 

 しっとり濡れたユーフェミア皇女の温かい唇が、俺のかさついた唇にしっかりと重ねられていた。

 

「ん、ン――」

 

 唇を啄まれるこちらは、抱き着かれた段階で放り出してしまったままになっている清掃用具一式を見遣る間もなく、視界の全てを彼女の顔と、瞳とに見つめ合わされる形となっている。

 

 愁いを帯びて潤う紫色の透き通った双眸。これとほぼ同じ瞳の色をしている彼女のお姉様を一瞬思い浮かべ、こんな事をしている事が知られたらと内心ヒヤヒヤ物だった。

 

 キスは気持ちいいし、ユーフェミア皇女の唇の味はとても味わい深い。旨味と風味と、温かさに潤い。全部が全部、最高の物で。

 

 これ以上に無い程の心地良さをこちらに覚えさせてくれる。いつもの事だ。毎度の事だが、いつ口付けられても、また、いつ口付けても美味しい、気持ちいいという感想以外が浮かんでこない。

 

 ユーフェミア皇女との口付けには幸せだけを感じるんだ。俺って愛されてるんだなあってなぁ。

 

 だが、今は不味いだろう。こんな場所で、こんな時に、こんな行為に及ばれる等と。

 

 こちらの考えもまるで気にしないとばかりに、開いていた紫色の双眸が、静かに閉じられた。

 

 もっとという合図。言葉では無い行為での合図だ。

 

 これで終わりではないのですよ? そいつを瞳を閉じるという行動で指し示してきた。

 

「ん、んンっ、ゆ、ユフィ、うむぅっ、ユーフェミア、皇女、まず、んン、不味いって、んむぅっ」

 

 少しばかりの抵抗を試みる。無駄だたぁ分かってる。重なり合う唇を自ら顔を引く事で離してみるが。

 

 そうすると今度ぁ、ユーフェミア皇女が頭を突き出し、逃れるこちらを追走し、また唇が重なるんだよ。

 

「不味くは、ンんっ、ない……、です、逃げちゃ、駄目ですよ? ――んちゅっ」

 

 湿り気のあるぷるんとした唇が、十全に上手に俺の唇を、優しく静かに、それでいて熱く啄んでくる。

 

 巧みで上手い……上手いんだよこれが。ユーフェミア皇女はキスが上手い。

 

 でも上手い不味いの話じゃ無い。美味いとかの話でも無い。

 

 場所が不味いと言ってるんだが、どういった意図か彼女は気付いているのだろうか?

 

 ……。

 ……。

 

 ……いい、や。彼女は、ユーフェミア皇女は気付いて居ようが居まいが、ただ口付けをしたかっただけ。

 

 多分、恐らく、そうだろう。

 

 焦る、俺は焦る。俺が焦れば焦るほどに、口付けはエスカレートしていく。

 

 触れ合わされるだけだった唇を彼女は舌で。

 

「ん、くちゅ」

 

 こじ開けてきた。

 

「んむぅ~~っ」

 

 こじ開けられた唇の中、口内に侵入してきた彼女の舌。差し入れられてきたユーフェミア皇女の舌。なんてぬるぬるして柔らかいのか。

 

 直接的な粘膜同士の触れ合いに、思わず俺が悲鳴を上げてしまう物の、皇女の唇で塞がれている為に、ただくぐもった声だけが出ていた。

 

「ん、ちゅ、んん――」

 

 こちらの舌が絡め取られる。ああ、甘酸っぱい。なんつー甘酸っぱい味なのだろう。また、ユーフェミア皇女の舌使いの巧みな事。

 

 こんな事、教えてもいなけりゃ、誰かに教わってもいない。どこまでも自然のままな口付けが、最高の口付けとなっているのは、物事を飾らない彼女の在り方と似合っていて、キス一つにも彼女らしさが表れている。

 

「んっんン…ぅ……」

 

 彼女の甘い声を零しながらの、くちゅくちゅと音を立てて絡められるそれ。粘膜の滑りが自身の舌を這いずり回り、裏側をなぞられ、唾液を塗りつけられて。

 

 歯茎を舐めなぞりながら、また再度舌に彼女の舌が吸着。いま、口内に彼女が触れていない部位など無い。口内全体を舐め尽くされていた。

 

 滑る舌、温かい舌、味わい深い彼女の舌の味。ぶよぶよとしていて滑らかな感触。

 

 これを味わわされちゃあ人生で食した最高の料理さえもが霞む。

 

 それ程の味に、こちらの味蕾が刺激を受けている事を、よーっく感じる。

 

 普段、恥じらいを持ち接してくるユーフェミア皇女。花も恥じらう美しく淑やかなユーフェミア皇女。

 

 キスも、交接も、自らの方は積極的では無く、いつも恥ずかしそうに受け入れてくれている。

 

 忌避的で犯しがたい空気に、彼女の心は本当はこちらを、俺などへと向けられてはいないのではないか。

 

 今でも嫌々なのでは? とさえ思わされる事だってあった。

 

 仮に嫌々だろうが止めはしない。彼女に、ユーフェミア皇女に子供を産んで貰いたいという、一人の男としての自然的欲求が、どうあっても彼女を求めてしまうからだ。

 

 飽きた、もういい、充分だとならないのは、それまでの女とユーフェミア皇女が、俺の中で決定的に違うからなのだろう。

 

 表面上はふてぶてしく居て傲慢で、だが、一方で内心は少し気後れし臆病になりながら、俺はユーフェミア皇女に問う。

 

 する事をしておいて、孕ませようとしておきながらの、ユーフェミア皇女の事を日々散々っぱら穢しておきながらの、いっそ振り切れてしまったかの様な、無礼で非礼その物な問い。

 

“やっぱ、俺なんかの子、産みたくねェ……ですよねェ? ええ、ユーフェミア皇女よぉ、本音は嫌なんだろ?”

 

 産みたく無くとも産ませようとしているのは何処のどいつだよ馬鹿野郎。

 

 そんな自分自身への憤りにも似た思いを秘めての問い掛け。

 

 だが、問うと必ず。

 

“そんな事はありません。わたくしはおぢさまを愛しておりますもの。わたくしもあなたとの御子を欲しておりますもの。あなたの御子をわたくしは産みたいと願っておりますわ。いつも、いつでも”

 

 眩しく温かく、可愛らしい微笑みを以て、どうしてそんな事を聞くのかと、そう返してくれるのだ。

 

 傍若無人に失礼千万。嗜虐的にして加虐的。野卑で卑劣で残酷極まりない俺みたいな男に、ユーフェミアって女は……。

 

 おぢさまを愛しているのだとの本心からの言葉が俺を射貫く。

 

 おぢさまのわたくしを求めたいという気持ちも理解しているし、今では自分も求められたいと思っている。いつだって何処でだって、と。

 

 ならばこそ造り物の映像を捨てさせた。造り物の写真が写っている本という本を捨てさせた。自らの手で処分してやった。わたくしだけを見て欲しいから。ユーフェミア・リ・ブリタニアという女唯一人だけを見ていて欲しいから。

 

 交接にだっていつも応じているでしょう? 日々子作りを行っているでしょう? 愛を交わし合っているでしょう? そう言って。

 

『最初の二週間以後でわたくしが子作りを拒否した事がありまして?』

 

 無い。形だけの忌避行為や言葉での拒絶は多少有ったが、抵抗らしい抵抗は無かった。間もなくそれすら無くなった。

 

 

 ただ、なんだな。彼女曰く、嫌では無いが雰囲気や空気を大切にして欲しいという。

 

 女を抱く時の空気や雰囲気、そんな物は今まで考えた事も無かった。ユーフェミア皇女がそれを考えさせられる初めての相手だった。

 

 といって、そう器用に事は上手くいかず。結局は合意の間柄ながらも、今でさえ強姦に近い事始めとなってしまっていた。いきなり様式を変えろ? 無理だ。

 

 何せ、昔からそうして来たのだから。この歳になってやり方を変えろと言われても簡単には……。だからこその強姦紛いの交接なのだ。

 

 昔の偉い人は言った、学ぶ事に歳は関係ないと。人生終了のその時までが学びなのだと。

 

 そりゃ分かっている。分かってるさ俺だってよぉ。だから俺も俺なりに自助努力はしている。

 

 一人の女の為に、この世に二人と居ない大切な女の為に、誠心誠意。鋭意努力していた。

 

 が、現時点では上手く雰囲気の掴めない行為となってしまっている事は否めない。

 

 

 そんな、常が受け身のユーフェミア皇女だが。時折に、火が付いた様に積極的になる事もある。

 

 今の今行われている口付けの様に。……思い出してみる。

 

 すると真新しい記憶は直ぐに見つかった。関係が深すぎて、時間が濃密すぎて忘れがちだが、まだこの皇女様と出逢ってからそんなに時間は経って無いんだっけか。

 

 ああ、そうだよ。そうだったよ。わたくしの物になりなさいとか、強硬的手段で訴えられたりしたっけな……。

 

 強引な時ぁ案外強引だわこのお姫様は。

 

 この種の不意を突いての強行には、こういう事に多少慣れていても、上手く対応が出来ない。

 

 自分はこれまで幾多の女を抱いてきて、女への応対には慣れているつもりだった。

 

 どんな女でも心地良くさせてやる技術や技巧は身に付けてきた。

 

 しかしだ、ここ暫くの間、一人の女に、ユーフェミア皇女に、ユフィに心を奪われてしまい。

 

 柄にも無く、年甲斐も無く“恋”なんて感情に目覚めてしまってからは、どうにもこう上手く収まらなかった。

 

 格好が付けられなかった。齢五十後半から六十程。自身の年齢も覚えていない自分だが、このユーフェミア皇女を前にすると、ふとした拍子に若年期に戻ってしまったかの様な感覚を覚えるのだ。

 

 自分にとって女性との関係とは、心が枯れてる所為もあってか、その場限り。

 

 若しくは解放する気になったら終わりな、一時は情熱的でも長い目では冷めた関係しか築けないし、相手も心では拒絶している訳だからして、恋人同士なんて甘い関係には発展しない。そういう物だったはずなのだ。

 

 それが、今ではどうだろう。所謂初恋だなんて感情よりもたらされているのだろう事は大凡見当が付いていたが。思う様に対処が出来ない。

 

 最初から本気だった。弱みを握って脅迫して、そんな考えも有りその為の手段も取って居たが、今ではその手段も喪われて久しい。

 

 他ならぬユーフェミア皇女に諭されて手段を捨てた。“わたくしもあなたを愛しているのですからもう必要ないでしょう?”そんな本心からの言葉で一発撃沈だった。

 

 ユーフェミア皇女のあられも無い姿を収めたビデオテープ。彼女を脅迫する為のそれら全てを、俺は彼女の前で破棄した。自身自らの手で。全く別のテープとかと一緒に彼女の手で文字通り撃ち抜かれてぶっ壊されたテープもあったがなあ。

 

 それと、彼女自身よりの指摘もある。

 

“わたくしを辱めた行為の収められた映像や画像……、それらはわたくしへの弱点となりますが、同時にあなたに取っての弱点ともなるのですよ?”

 

 そりゃそーだ。対コーネリア総督の事を鑑みれば、確かに彼女の言う通り。

 

 あれらはリスクでしか無いし、ネット上にupする事はイコール自分で死刑台に上る行為でもあった。

 

 まあ、それでも最初ってなぁ肝心だ。ユーフェミア皇女の方も当初は拒否したいに決まってたろうし、現に拒絶していた訳だしな。

 

 俺はユーフェミア皇女を逃がすつもりは無かったし……、ユーフェミア皇女には俺の子を産んで貰いたいしよ。手段は昔から取ってきた古典的な物に限られていた訳さ。

 

 これがユーフェミア皇女で無かったなら、その場限りでおさらばしても良かったんだろうが、惚れちまった女なんだ。そうも行くかよ、ってな……。ああ、ホントに俺ってばクズだよな。

 

 そうして最初の二週間が過ぎた頃。これを逆手に取られ。

 

“一連の事実をお姉様に知られたくないのならばあなたがわたくしの物になりなさい!”

 

 そんな一言と共に、何だか分からない間に両想いになって、自分の子を産んでくれるとまで約束してくれ、実際にその為の行為を為しているんだから、嬉しいは嬉しいが何が何だか頭が混乱したりもしたもんだ。

 

 ユーフェミア皇女に自分の子を産んで貰いたい――。当初から思っていた。初めての時、まぐわった瞬間から。

 

 まさか、自分自身がたった16の小娘に一目惚れなんぞしてしまうとは、終ぞ考えても見なかった事だった。

 

 色んな女を見て、色んな女と関係を持って来た屑中の屑。学生時代から掃きだめの様な処で生きてきた自分が。

 

 よもや、この歳で、こんな小娘に心を奪われるなんて、そんな事、思いだにしなかった事だ。

 

 容姿は良い。長い桃色の髪も、紫色の透き通った双眸も、目鼻立ち、体つき、何処を見ても申し分ない。間違いなく美しい女だ。齢16と、年齢的には少女と表するべきだろうが、自分はユーフェミア皇女を一人の“女として見ている”から、少女とは考えていない。立派な女だ。

 

 これまで関係を持ってきた女の中でも群を抜いて美しい。容姿やら何やらで判断はしない自分が、偶然にも本気になってしまった相手が、偶然にも一番美しかったのは、本当に皮肉も良いところ。

 

 そんなユーフェミア皇女という女は、慈愛を感じさせる外見の通りに博愛精神の持ち主で、誰にでも優しく、差別を良しとせず、ナンバーズであっても平等に接する。良くも悪くも本気で世界中の人間が仲良く幸せに生きて行けたらと考えている程に心根も美しい。自身を穢した俺の様な男を愛してしまうくらいに心根が優しすぎる女だった。

 

 相性はこれ以上に無い程。初めての時から苦しませる事も無く今までをやって来れたのは、技術や技巧もあるんだが、相性の良さもあるのだろう。

 

 こっちも本気になってしまった相手だ。初めて愛した女なのだ。いつも優しく静かに労りを以て身体を重ねてきたつもり。

 

 ユーフェミア皇女を“この行為という以上には傷つけたくも苦しめたくも無い”そんな自分勝手なこっちの都合で。

 

 行為が自然な形となる以前、無理矢理だった頃もそうしていたが、受ける側だった彼女の心は大きく傷付き、その心は疲弊していっただろう。惚れた女を相手に何をやってるんだろうかと自分で自分が嫌になる事さえあった。自分でしておきながらの矛盾その物な思いを胸の奥で燻らせつつ、それでもユーフェミア皇女に子を産んで欲しいといった身勝手な我欲の元、彼女を束縛し続け。

 

 その果てに両想いとなった訳だが、今でも申し訳ない気持ちが心の何処かにありもした。こんないい女が自分なんかと両想いに、それは間違いでは無かろうか。

 

 

短編集内の各お話と投稿予定(未定)の続きやお話で読んでみたい作品はありますか?(ご期待に副える事が出来るかどうか分かりませんが、一ご意見としてお伺いしたいと思います)

  • コードギアス
  • コードギアスR2
  • 此花トゥルーリポート
  • FF4×FF6
  • カオシックルーン
  • 学園黙示録
  • ルパン三世 ワルサーP38
  • 幕末風来伝 斬郎汰
  • ニードレス
  • ヨルムンガンド
  • 少女少年
  • 北の告発
  • サラダデイズ
  • クレセントノイズ
  • ひとひら(甲斐×理咲の近親相姦物)
  • ESアザーワイズ(戒×瑠璃)
  • 遊戯王GX(十代×カミューラ)
  • 魔装機神(マサキ×モニカ)
  • 椎名君のリーズニングファイル
  • RAVE(ハル×絶望のジェロ)
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。