ここ政庁副総督室なんだけど
いや、間違いなのだろう。間違っている。間違いしかねェだろ……、ユーフェミア皇女にはもっと相応しい男が居たはずだ。きっと……。
こんな掃き溜めを生きてきた俺の様な老齢の男じゃなく、爽やかな笑顔が似合う心優しい少年なんかがお似合いだ。
間違っても俺みたいな世界を生きてる男と交差する道なんてねェ。
そう思えども、この女をこの腕の中に抱いて居たいという欲求には抗えず、本能の赴くままに俺はこの女を犯し続けた。初めて出逢ったその出逢い頭からして強姦だ。この女しか居ねェ、この女との子が欲しいってなァ。
どうしようも無い事だぜ。俺に目を付けられたのが運の尽きってやつさ。だがよぉ、まさかそれがこの俺の在り方にまで影響してくるだなんて誰が考えるよ?
昔からやってきたのと同じくしていつもの通り、獲物を頂き、貪る。俺の闇が光の中に生きてるだろうユーフェミア皇女を呑み込んだ。そうだ呑み込んでやった。呑み込んでやったんだ。
それがどうだよ。逆にこっちがこの女の光に呑まれかけてやがった。
呑み込み合う光と闇は、そうやって集束していき、離れがたいほどに交わり合っちまった。
俺を受け入れた女。初めて心から俺を受け入れた女──ユーフェミア皇女。
こんな、変質者を受け入れる様な光を持つ女とならば、人並みの幸せって奴を望みたくもなる。
この女だけを愛し、この女とだけ子を望み、この女とだけ共に生きる。
女を愛したのは初めてだった。女との子が欲しいと望んだのも初めての事だ。
他の誰でもないユーフェミア皇女との子供が欲しい、強く願って犯した。
◇
闇と光が交じり合う前、初めてより二週間はそりゃあ嫌がった。物を花弁に宛がってやるだけで泣いて叫んで助けを請うていた。
無理矢理犯されるのだから当然っちゃ当然だし、拒否する言葉を発するくらいはさせてやった。勿論拒絶しても気にせず挿入して犯したが。
何故かは言うまでもない。俺はユーフェミア皇女との子が欲しいんだ。ユーフェミア皇女に俺の子を産ませたいんだ。初めて犯した時から望んでいた事だ。
必ず子供を産ませてやる。執着を以ってユーフェミア皇女を犯し続けた。犯して、犯して、まだまだ犯して。俺という存在を刻み込んでやるとただひたすらに犯し続けた。
泣こうが叫ぼうが請おうが気にせず、ただただ犯し続けた。声が煩かろうと外には声の漏れない地下室で。
毎日毎日と繰り返し彼女を犯し続けた、末に、俺って闇をユーフェミア皇女って光は受け入れ始めたんだよ。
具合が良いのは最初からだが、受け入れられた時から感じたのは格別の心地よさで、そりゃあこれまでと違うってのを本能で分からされた物だ。この女は俺を受け入れてくれたのだと。彼女は俺を受け入れて、俺との子作りに自らの意思で応えてくれたんだ。
『あっ、ああっ、あな、たはっ、わたくしとのっ、お子がっ、欲しいのっ、です、かっ、は、ああっ、ああっ』
犯されながら、秘部を俺の物で深く貫かれながら、ユーフェミア皇女は幾度となく尋ねてきた。
どうしてこんなに犯すのか。どうして執拗に私だけを。それは私との子供をお望みだからなのですかってな。
『おお、よっ、ユーフェミア皇女ぉ、わたしめは……、わたしめはユーフェミア皇女との子が欲しいのでございます、はい……、ユーフェミア皇女にわたしめの子をお産み頂きたく存じ上げるのですっ』
応じるのは是という言葉のみ。
否は無い。当たり前だ、俺ァお前に俺の子を産ませたいんだからよォ。
この女との子を、本気でそんな事思えた女はお前が初めてだった。
今までの女と違う。俺はこの女に俺の子を産ませてェンだ。
『わたしめの子をお産みくださいませェ、……俺の、俺の子を……産め、俺の子を産むんだユーフェミア皇女ぉ』
切実で純粋な思い、想いを言い聞かせては膣内で出し。呟いては最奥に出す。精魂尽き果ててもなお出し尽くす。
『あっあああァァっっ!!』
何度出し来た事か。ユーフェミア皇女の中に何度出した事やら。膣内射精以外一切しなかった。
避妊なんて最初から無いのさ。端から全力で孕ませに行ってやった。
本能が告げる──この女しか居ない。
欲望が求める──この女との子が欲しい。
『あ、あっああ──、あ、あなたとのっ、お子、を……、わたくしが、産む……』
問いと膣内射精とが繰り返される合間、ユーフェミア皇女は何度も呟いていた。幾度も問うて来た。俺の子を自分が産まねばならないのかと。
『ええ、ええ、そうですともォ、ユーフェミア皇女殿下はぁ、わたしめの御子を産むのでございます……、産むんだよぉ、俺の、この俺の子を、お前が、ユーフェミア皇女が産むんだよォ。ええ、分かるかぁ? お分かりでございますかぁ~?』
だから俺も答えてやった。たった一つのその答えを。蝶よ花よと育てられたろう神聖ブリタニア帝国第三皇女ユーフェミア・リ・ブリタニアは、このエリア11のゲットー近くの住み処の地下室で犯され、薄汚い老齢イレヴンの変質者の子を産むのだと。
弱肉強食はそちらが決めたルール。この場での強者たる男の子を産むは、この場での弱者たるユーフェミア皇女の務め。そうだよお前は俺の子を産むんだよ。
『あっ、ああ……、あっ、はあっ』
そんな中。繰り返される俺とユーフェミア皇女の交接の中、良すぎるほどになった具合に、俺も併せて静かに優しくの交接を続けた。
『ユーフェミア皇女……、ああ、いい具合だぁ……、ええ、良いだろう? お前もそう思うだろうユーフェミア皇女ぉ』
この心地良さ、甘露な味わい。これを俺は独りよがりには求めない。これをユーフェミア皇女にも感じさせてあげたい。夙にそう思って居た。初めての時から俺はこの女を気持ち良くさせてやりたかった。だからいつも、交接は静かだったんだ。なあ、感じてるかユーフェミア皇女よ。なあ、気持ちいいか……?
『あっ、ん、はぁ、う……あっ、あっ、わ……わた、くし、は……ああ……ぁぁっ』
唯々静かな時間だった。時が経過を忘れたかの様な、ゆっくりで静かな時間が流れた。
気持ちよく喘ぐユーフェミア皇女の声音を聞きながら、静かに腰を前後させ、また突き上げ、深く確かな交接は続いた。
晴れの日も、雨の日も、銃砲音の轟く日でさえも。弛まぬ交接は続いた。
何時からか、言葉を交わす様になった。子作りとは何の関係も無い普通の会話だ。
本日午後は、今日は、会食が、お姉様が、色んな事を彼女は話し。そして──おぢさまは。
俺の事をそう呼ぶ様になったのは、初めてからどれくらいだろうか。いや初めての時からそう呼んでいたか。それが顕著に気安い“おぢさま”になったのだと感じたのは二週間の後の少し後。
その辺りでまた一段階、俺とユーフェミア皇女の関係は深まった様な気がした。気、じゃねーな。深まったと言い切れる。今ならそうだと分かるんだよ。
『お、御子は……あっ、わたくし、はっ、いつ頃、おぢさまの御子をっ、はあっあ、産むのでしょう、かっ』
常と変わらずの交接の最中、子供をいつ産むのか。子供について。彼女自身がこれを具体的に話し始めたのはどれくらいだったか。
『さあ、いつ頃か……授かりものでございますれば──』
“どくうっ”いつもの様に行う膣内射精。出す先はユーフェミア皇女の胎内。子を作る為の行為。
授かり物は授かる為の行為を成してこその授かり物。
ユーフェミア皇女の受精を促すための中出しはただの気持ち良さでは終わらない、最高に高揚した気分の中で行われ。
『あっああ~~~!!』
射精を受ける彼女の絶頂の声は耳障りが良く、俺を高みへと導き、俺とユーフェミア皇女の交接を更に深くなる様促し行くのだ。
『ただ、分かっている事は、ユーフェミア皇女がわたしめの子を産むという事実だけで、ございます』
射精終わりで重なる陰部。隙間なくの密着状態。俺の物が根元まで挿入されたままの。
精液と愛液の混ざり合わされた体液が結合部からつつーっと伝い漏れている。俺の膝の上を跨いで座る彼女の中から溢れ出たそれは、俺の陰部を白に染めて透明の軌跡だけを残し、膝下へと流れ落ちていった。
『お、おぢさまの御子を、わ、わたくし、が……』
震える声。潤んだ瞳。朱の射した頬。交接を受けて火照るユーフェミア皇女の美貌。
その美貌を真正面に捉えたまま。
『ああそうだよ、最初っから言ってきた様に、ユーフェミア皇女は俺の子を産むんだ──俺の子を産むんだよォっ』
姿勢は対面で向かい合わせの体勢で。一度引いた腰を、大きく突き出す。
秘部から抜けてしまうぎりぎりまで引き抜いたところから、一息に根元までを挿入し、ユーフェミア皇女の最奥までを貫き通す。
『あはあ──っっ!!』
ぱちゅんと濡れた音を立てて再び重なり合った股間部。突き込みに反り返るユーフェミア皇女の背中で、彼女の桃色の長い髪が大きく波打ち宙を舞う。
衣服は主に着用したまま。俺は裸でも彼女は衣服を着たままで交接を行う事が多いのは、不意な来客への対応に備えての物。
衣服の下は汗にまみれている事だろう。脱いでさっぱりして行う方がもっと心地良く一つになれるだろう。
実際に全裸同士、産まれたまま同士で行いもした。そりゃ何十何百とセックスをしているのだ、そんな時だってあるってもんよ。
そんな全裸同士での時、それは大変心地良かった。全身という全身を肌と肌で重ね合い触れ合うのだ。
ユーフェミア皇女という女を、ユーフェミアという女を、俺ぁ全身で感じた。
その温もりは最高で、何物にも代えがたい幸福感で満たされたもんさ。肌を擦り合わせ、豊かな乳房を揉みし抱き、双丘の丘に咲いている桜色の乳首を口に含んで舌で転がす。
『あ、ああ、おぢさま……、乳首をそんな、お吸いに……、』
『んぢゅう、ちゅううぅ……、んはっ、はああ、はあ、母乳は出たりする訳ァありませんが、ユーフェミア皇女のおっぱい……大変に美味で御座います――ちゅうう』
『んっああ――お、おぢ、さまァ』
母乳の出ない乳首を舌で転がし、吸い上げる。ユーフェミア皇女の柔らかい胸は、触り心地も味も、共に最高の物だった。
舌で舐め回し、唾液を塗りたくって勃起した乳首をぢゅうううと吸い上げる。
『ああ、おぢさま……赤ん坊の様……』
赤ちゃんならお前のおっぱいを美味しそうに飲んでるところだろうぜ。俺はこの大きな乳房二つの味を楽しみたいのさ。母乳が出るなら出るでそりゃあ飲みたいけどよ。
右の乳首を大口開けて吸い付く。
『ん、あ』
ユーフェミア皇女の甘い声が漏れる。漏れる声に耳を擽られながらおっぱいを吸う俺の頭を、彼女は抱き竦めてきた。
豊かな乳房の弾力が、俺の顔面を柔らかく受け止める。ああ、こいつぁいいや……。
『おぢ、さま……かわ、いい』
ユーフェミア皇女は俺の頭を、顔を、抱き竦めて、禿げた頭髪の無い頭を優しげに撫でて小さく呟くのだ。
可愛いか? そんなに可愛いのかねェ? 自分の乳房に吸い付く小汚えイレヴン様の姿が。
でも悪い気はしねえ。俺は赤ん坊の様になってユーフェミア皇女の母乳をちゅうちゅうと吸い続けた。
右を終えると左の乳房、乳首だ。白い柔肌とピンクに色付いた頂点に遠慮無く吸い付いて、ちゅうと吸い上げる。
『ちゅう、ちゅうう』
『ん、ああ、おぢさま……美味しい……ですか……?』
『んちゅ、……ああ、美味しいですよぉ、ユーフェミア皇女のおっぱいは。大変美味で甘露でございますねェ』
母乳こそ出なくとも、この俺の味蕾は確かな甘さって奴を感じ取っていた。乳房その物の弾力と柔らかさ、勃起した乳首のコリコリ感。仄かに感じる甘さ。
これが妊娠したら出るようになる。ああ、早くユーフェミア皇女に俺の子を妊娠させて、実際の母乳も吸ってみたい。
どんな甘い味がするのだろう。ユーフェミア皇女は俺に母乳を飲まさせてくれるだろうか? いや、この優しい皇女様ならきっと飲まさせてくれる。
本来は私たちの赤ちゃんの為の物だと口をとがらせつつも。彼女は俺にお乳を分け与えてくれるのだ。
俺の事も赤ちゃんと一緒に可愛がってくれたら嬉しいぜ……。
そうやって、全裸でベッドで絡まり合う事も時折あった。
今日のその日は衣服着用で、俺の膝を跨ぐユーフェミア皇女との対面座位、ある意味俺たちの基本姿勢だったが。
そいつもまたいつも通りで心地の良いひとときなのさ。
『ユーフェミア皇女ぉぉっっ!』
程なく行った射精。彼女の中に我が精子を解き放つ。
どくんどくん。
一滴残さず、全てだ。
『はっあァァァァ~~~っっ!! おぢ、さまァァァっっ!!』
膣内射精を行われたユーフェミア皇女の悲鳴が地下室にこだまする。そんなデカい声で俺の事呼ばなくても、俺はお前の目の前に居るぜ? 声は漏れない。どれだけ叫んでも。防音の利いた地下室だ。誰の邪魔も入らない。
俺だけの部屋だった此処が、今では俺とユーフェミア皇女の二人だけの部屋になってるんだ。
どくっ、どくっ、爆ぜる感覚。ユーフェミア皇女の深奥で出している感覚。
また一歩、ユーフェミア皇女は妊娠へと近づく。
また一歩、俺たちの関係は深く踏み込まれる。
交接を主としながらも、色々とあった。
世間話をした。過去の話をした。俺の過去を知ったユーフェミア皇女の機嫌が悪くなった。ユーフェミア皇女のご機嫌取りもした。事終わりには二人で団らんと洒落込む様にもなった。
そしてまた、ユーフェミア皇女との交接が始まり、子を成す為に彼女を犯す。
そんな日々を、一日、一日と、過ごしていき。
結果として望む形にまで、事実婚の間柄にまで持って来てしまった。
子作りの交接とはまた一味異なる交接も行う様になった。
『おぢ、さまっ、おぢさまぁっ、気持ちいい、気持ちいいのっ、わたくし、は、あっ……、好き、ですっ、おぢさまが好きですっ、あっ、ああァ――』
お互いに何処までも気持ち良くなろうとしての、気持ち良さだけを求めてのセックス。
深く、深く、静かにゆっくり、時間を掛けてじっくりと。俺はユーフェミア皇女と身体を重ねまぐわう。
『ああ、俺も気持ちいい、気持ちいいぜェユーフェミア皇女ぉ~、好きだ、お前って女に俺ァ心底惚れてんだ……ああ、お前は俺の女、俺だけの女だ……俺の大切なユーフェミア、ユフィぃ』
勿論、子を成す事は忘れない。最後は必ず身体を一つにしたままで、身体同士を抱き締め合わせたままで終局へと至る。
キスも自然で、微笑みも自然。交接し身体を重ね合うのは更に自然なままの有り様。
穢し穢されのみであった関係に打たれた終止符。
自然なままのユーフェミア皇女との関係が始まる。
おぢさまを愛していると言うユーフェミア皇女。ユーフェミア皇女を愛していると口走っている俺。逆位置にあった時計の針はどこで重なったのか。
何処まで行っても泥臭い闇でしか無い俺と、優しい光の中だけに生きていた筈のユーフェミア皇女は、いつしかお互いを熱く愛し合う間柄となっていったんだ。
◇
彼女に本来あっただろう他の素敵な異性との出逢いってやつを俺が潰したんだ。その先で辿り着き見出した関係は、恋人には収まらない間柄。
恋人でさえ無い夫婦。この身を穢し続けてきた責任を取りなさい。“わたくしとおぢさまは子作りをしているのですから夫婦です”。
嬉しかった。素直に嬉しかった。こんないい女からの結婚の申し込み。即答する以外に無いだろうが。
夫婦。ああ、夫婦だ。もう、俺とユーフェミア皇女は夫婦の間柄なんだ。
二人の間でだけだった筈のそれは、俺の住み処の近隣のイレヴンやら上司にまで知れ渡っていたりする。
それは彼女が家に来訪している時に、彼女がそんなにゃ来ねー客への応対に出たりして、妻ですなんぞと名乗りやがるからだ。
俺は慌てて事実婚で正式には結婚してないと訂正するが、事実婚であろうとも夫婦は夫婦、妻には違いありませんと言い切られちまうからそれで広がったんだよな。
いつも公務服=タイトスカート着用だから外面の格好だけを見りゃ女性用ビジネススーツに見えなくも無い、サングラスをして帽子を被っている、お堅く変わった嫁さんとして。
まあ、な、そんな間柄、夫婦ってやつよ。
……。
………。
…………あ、いや。
いやいや。
それで収まるか?
夫婦なんて単純な言葉で収まる関係なのだろうか?
いいや……、違ェな。そんなモンで収まりゃしねェ。それで収まるにはもう心が進み過ぎちまってる。
ユーフェミア皇女ともっと深くなりたい。これ以上の深さは無いところまで来ちまってるが、俺ぁ、まだまだユーフェミア皇女を感じてェんだ。
理屈じゃ無い、言葉でも無い、心と心を重ね合わせて、ずっと一緒に……。ああそうさ、俺ぁこの女を愛してる。自分自身で思う以上にこの女に惚れ抜いてる。生まれ変わるなんて事があるんなら、俺はもう一度ユーフェミア皇女と出逢って、彼女を愛するだろう。
夫婦関係を通り越えた運命的関係性だな俺たちの間柄は。だからこそ、俺も、彼女も、愛し合う事に躊躇いは無いんだろう。こんな掃き溜めの中に居た俺なんかを彼女は愛してくれてるんだろう。
「ユフィ、んむっ、ユフィストップ、ストーっプ――んンっ」
彼女の細い両肩を掴んで身体を離そうとする俺。
「ん、むっ、くちゅ、おぢさ、ま……、逃げない、で……ちゅ――」
だが、そんな俺の首にしがみついて、俺を無理とに引き寄せてくるユフィ。
ああ、こりゃいいわ。こんないい女にこんだけキスを強請られて、躱せる様な男じゃねーよ俺ぁ……。
ただ、な。どこでもって思いはあっても、実際問題そんなのは無理難題。コーネリア総督閣下の前でユーフェミア皇女を抱けるか? こんなキスをコーネリア総督閣下に見せられるか? 見られた瞬間に終わりだ。
それを分かってるだろうに……、俺だって自重してんのよ。ユフィと二人きりなんだから、気楽に話したい事も山ほどあるよ。
場所が場所ならいっぱいキスして、目いっぱい愛し合って、ユフィと二人だけの世界に浸りたいんよおぢさんも。
「んっ、んン、ちゅ、おぢ、さまぁ……ちゅ」
逃げようとする俺へ追いすがるユフィ。
「んんっ――」
たたらを踏んで後ずさるこちらを追い込んでくる彼女。一歩一歩と後ろにずりずり下がって追い詰められたのは壁際。
壁に背中を押し当てて逃げ場の無くなった俺を前に、ユフィはようやっと静かに唇を離して解放してくれた。
「ん……ぁ、ん……んン、──ふふ……ふふふ、……ほら……おぢさま、つーっと、伸びていますね……、わたくしとおぢさまの唇の間を」
わたくしとおぢさまの熱い口付けの証が。
「そ、そりゃあオメー、あんな舌まで入れられて、舌に絡みつかされて……、あんな深ェキスの一つもされりゃオメェ、ま、混ざった唾が唇の間に伸びもするわ!」
「唾液だけが? いいえ、唾液だけではありません……、わたくしの唇の色、薄い桃色の口紅の色でおぢさまの唇が色付いておりますわ。ニッポンに咲くサクラ色の唇ですわね」
「だからぁ! そンなに俺の唇を啄んで塗りたくってしてくりゃオメーの唇のリップも付くっての! 俺は世に言う変な奴の端くれだが、桃色のリップを唇に塗る様な趣味ァねェっての!」
「わたくしの……、愛の、証です……お受け取りください……」
叫び否定する俺に対して、頬を赤らめて伏し目がちに言葉を放つ彼女の何と艶っぽい事。
恥じらいと積極性が同居している愛する女の表情は破壊力が物凄い。
「はぁぁぁ、いきなりなんなんよ……オメェよぉ……、こんなとこで変に積極的になりやがって」
壁に背を付けさせたままずるずると腰を下げていく俺。俺、思わず腰が抜けたんね……。普段が受け身な女から妙な積極性を味わわされたら戸惑いもするぜ。
「うふふふ……、おぢさまぁ~」
そんな俺の気なんて知りもせず、こちらの首に巻き付かせたままでいた彼女の手は、俺の右肩から左の腰部に掛けて回される体勢に変わっていって。
俺にひしっと抱き着いてきたユーフェミア皇女は、みっともなく両脚を開いたままでへたり込んでいたこちらへと身を乗り出し。
身体全身で引っ付いてきては、衣服越しにでも分かるその豊かで柔らかい大きな二つの膨らみを、俺の胸板に遠慮無く押し付けてくる。
コーネリア総督程じゃなくても十二分以上に柔らかいわデカいわ、こんな物を押し付けられるこっちの身にもなれっての。我慢すんの大変なんだぞ。
「おぢ、さま、おぢさまぁ……、わたくしのお部屋のお掃除を為されるのならば、きちんとわたくしに目通り願い出てくださいまし……おぢさまぁ……」
言いながら、頬をすりすりとすり寄せ来て、桃色の髪を俺の顔やら鼻腔やらを擽らせる様に触れさせている。
たまんねえなこりゃ……。場所が場所でなけりゃ耐えられずに押し倒してるか、胸元のファスナーでも下げてやって、その柔らかい双丘を揉みしだいてるとこだわ。
甘えてくるユーフェミア皇女の甘え様が、どうか俺の我慢の限界を超えない事を願うぜ……。
「うう、良い匂い、肌触り、ユフィよぉっ、ちょっと不味いっっ」
俺の頬肌と擦れ合う、大きなポニーテールに纏められている桃色の長い髪。
太く一つに纏まった桃色の髪の毛の束が、俺の顔にこれでもかとなすり付けられる。
まる禿げ頭髪コンプな俺にこれ見よがしにそんな事してくるか……。
ユーフェミア皇女は俺の頭髪コンプを誰よりも知っている。
そんな俺にだからこそ髪をなすり付けるといった愛の行為を積極的に行う訳だ。
“ほら、おぢさまの大好きな髪の毛ですよ? あなたには無い物ですよ?”
嬉しくも腹立たしい。腹立たしくも嬉しい。ユーフェミア皇女は、ユフィはこうして、頭髪コンプな俺への代償行為を自分からしてくれるんだよなぁ……。
それは、持たざる者に髪の毛の感触を感じさせてあげたいといった優しさからなのか?
俺が自分自身の禿げた頭を気にしてる事を知っているからこその行為は、立派な代償行為で、俺としては心地良くも嬉しい訳よ。
欲しくても手に入らないから私の髪に触れて我慢なさい――って感じだな。実際に良く髪を触らせて貰ってるしよぉ。
俺の事をよ~く分かってらっしゃるわぁ、この皇女様は。
「おぢさまぁ」
「ユフィぃ~っ……いい加減に──」
ああ、でも気持ちいいわ。さらさらで艶めかしい髪が、俺の頬を撫でこすってきて。
頬肌と鼻と、顔に目元にすり寄せられる長い髪の柔らかさと匂いに、頭がぼーっとする。
「なあよぉ~、ユーフェミア皇女、ゆ、ユフィ……ああ、お、オメー、こういう事、うう、気持ちいいけどこういう事を、こんなとこで――すん、な」
抵抗する気力を無くさせてくるユーフェミア皇女の行為と好意。これを受けさせられた俺の両手は、自然、彼女の背中にと回されていた。
彼女の背中に長く垂れさがる大きな桃色の髪束。そのポニーテールの髪束の下へと差し入れられる俺の手。両手の甲に、年並にかさつく両手の肌に、彼女の長い髪がこすれて触れる。
ああ、やっぱ羨ましいわ。俺も欲しいわ髪の毛。でも心地いい肌触りはユーフェミア皇女の髪の毛だからこそ味わえる物で、俺の髪の毛じゃたぶんこんな心地よさは味わえない。精々が自己満足で終わりだろうよ。
そうしながら俺ァ彼女の髪の束の下へと回した手で、彼女の背中を公務服越しに撫でさすってた。
「あ、おぢさま……」
「ゆ、ユフィっ、」
温かい、女の温もり……、衣服越しだが温かくて……、ああ、マジで何してんのよ俺たち。
場所よ場所、場所を考えろ。ここ、政庁なんよ。ここ、副総督室なんよ。
安っぽい薄い水色の作業服姿の俺と、静謐さと上品さを感じさせる白と薄紅色の公務服姿のユーフェミア皇女。甘えて甘えさせて、甘えさせながら甘えて、そうするにゃあ悪目立ちするし不似合いにも程があらぁ。
つーか、なんで俺はユーフェミア副総督閣下と抱き締め合っちゃってんの?
分厚い扉は施錠したが、ちゃんとカーテンも閉まってるよなぁ? 見られたら空振り三振も待たずの一発アウトなんだぞ?
「甘えさせてください……、このままおぢさまと甘え合いたいです……」
甘い声でそう呟いてはすり寄せる頬を大きく擦らせ、桃色の甘い香りの漂う長い髪束をこちらの顔に擦り付けてきては、キスを強請り、甘え始める彼女。
ああ、俺も、何も考えずに甘えてェわ……。
「わたくしの、わたくしだけのおぢさまぁ~♪」
ユーフェミア皇女は、俺から見たら孫子くらいの歳の差の女だから、甘える行為は間違いでは無かろうて。俺から甘えるのは変だが可愛がってあげるのは別に良いだろ? でもなあ、場所がなあ。
「うう、ユフィぃ~っ、くそぉ駄目なんだけどなぁ、ユフィぃ~っ」
可愛いなぁ……、なんでこんなに可愛いのユーフェミア皇女は。
美少女、いい女なァ確かだが、美貌がどうとかそんなんじゃねえ。俺ァそんな事は特段気にしない方だからなぁ。ただ、ただユーフェミア皇女の在り方っつーのか。自然なままに甘えてくるその姿が、たまんなく可愛いんだよ。
そりゃこんなに可愛くていい女にこうやって迫られたら、愛し合う関係にある男で無くともやられるだろうぜ。
まあ、彼女がこうするのは俺しか居ない訳だからして、この世で俺だけが味わう事の出来る役得なんだがよ。
でもなあ、ユーフェミア皇女よぉ、俺ぁ、ただの清掃員なんよ? 三次受けなんよ? 首になったらどうしてくれるわけェ? 物理的に首が飛んだらどうすんのぉ?
「あ~っ、ユフィぃ~っ、ユーフェミア皇女ぉ~、俺のユフィ~」
抱き締め合い、擦らせ合うは、お互いの頬。頬のなすり合いだ。どれだけ愛し合ってるのか、どれだけ相手を愛しているのかを伝えるかの様で。
すりすりすりすりとお互いに強く擦り込んで。頬肌同士を甘く静かに摩擦させて。温もりを感じ合いながら分かち合う。
温かい頬が気持ちいい。長く柔らかく艶めかしい桃色の髪の毛を頬に鼻頭にと擦り込まれて、これもまた気持ちいい。
彼女の豊かな両胸の膨らみの感触を、彼女の身体の温もりを、これらを衣服越しにだが直接的に感じられて嬉しい。
これが猫なら、見目悪く薄汚い豚猫と気品に溢れた細身の猫が、ゴロゴロと喉を鳴らせて頭を擦れ合わせてじゃれ合う、そんな様子となって表れているだろう。
ああ、だが悲しい事に俺たちぁ人間だ。孫子ほども歳の離れた中高齢イレヴンな醜男と、年若く美しいブリタニア帝国の皇女様だ。
マジ、こんなところを見られたら詰みだ。人生終了なんだよくそったれ。
「おぢ、さまぁ~っ」
甘くも切ない声が耳朶に触れる。桃色の髪の毛に頬を擦られる。温かい肌で行われる頬擦り。
こいつぁ嬉しいし望んでも居る形だけど、こういうなぁな、時と場所を考えてくれよ。
なあ、ユーフェミア皇女……。
このまま抱いちまっても良いのかよ……いつもの俺ならもう止まらなくなってるし、止めるつもりも無いとこだぜェ?
短編集内の各お話と投稿予定(未定)の続きやお話で読んでみたい作品はありますか?(ご期待に副える事が出来るかどうか分かりませんが、一ご意見としてお伺いしたいと思います)
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コードギアス
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コードギアスR2
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此花トゥルーリポート
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FF4×FF6
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カオシックルーン
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学園黙示録
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ルパン三世 ワルサーP38
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幕末風来伝 斬郎汰
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ニードレス
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ヨルムンガンド
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少女少年
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北の告発
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サラダデイズ
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クレセントノイズ
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ひとひら(甲斐×理咲の近親相姦物)
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ESアザーワイズ(戒×瑠璃)
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遊戯王GX(十代×カミューラ)
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魔装機神(マサキ×モニカ)
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椎名君のリーズニングファイル
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RAVE(ハル×絶望のジェロ)