餃子にの素材には?
十代とカミューラの日常 餃子
「ただいま~い」
ただいまが響く屋内。お仕事より帰宅した十代の前に霞と蝙蝠が集まり、玄関先に姿を現したるは、腰の両サイドに腰までの深いスリットの入った露出の多い紅いドレスに身を包む、毛先が膝裏へと掛かる程の長い真っ直ぐな緑色の髪の女性だった。
霞と蝙蝠が集まったところ。尖った耳朶に口元に鋭く生えた牙を見ても分かる様に、彼女は人間ではない。色気が溢れに溢れた妖艶な美女なのだが人間種族ではないのだ。
「お帰りなさい、ずいぶんと遅かったわねぇ?」
彼女は十代の奥さんである。その正体は吸血鬼、ヴァンパイア。
名をカミューラと言い、生まれはもう数百年もの昔の中世ヨーロッパ、トランシルヴァニア地方のとある貴族階級の貴婦人である。
「悪い、ちょっとさデュエル挑まれて長引いちゃったからさ」
「相変わらず呆れるほどデュエルが好きね。まあ、私もデュエルで稼いでいるから何のかんのと言えはしないけれどねぇ」
「あははは、まあな。愛するカミューラと愛して愛して愛し合う事と、でもってデュエルがオレの生きがいってな」
カミューラを持ち上げる十代だが、別段彼は彼女を持ち上げてはいない。無論カミューラを愛する事は遊城十代の生きがい──それもまた確かな話なのだから。十代に取り妻カミューラという女性は無くてはならない存在なのだ。生きる意味なのだ。
夫、遊城十代の隠す事の無い本音に頬を赤らめるカミューラの美しさは、出逢ったころより変わらない。彼女たちヴァンパイアは個人差はあれども成人を超えた頃に成長が止まる。永遠の命を持つ種族だから故の宿命だ。
カミューラは十代の事もヴァンパイアになせしめようとしている。十代はそれを承知の上。彼に取ってはカミューラと一緒に永遠に生きるのは夢だから。彼女を一人にしない──彼女と結婚した時、密かに誓った願いにして決意。
その約束は必ず守る。どんな約束や契約を置いても、十代はカミューラとの約束は絶対に守るのだ。過酷なデュエルなら夫婦で共に乗り越え、子育ては共に行おう。そして永遠に共に在ろう。約束は必ず守る。
まあ、それはともあれ。
「ん? なによそれは?」
カミューラは十代の持っている袋に気が付いた。
「ああこれか? これさあ、そのデュエルした人にもらったんだ。あんたが、ま、オレが勝ったから景品だってさ」
渡された袋を開けると箱が入っていた。餃子の〇〇と書いていた。彼女はその名を知らない。主に関東地方で活動し、時に十代と共に夫婦そろって世界中のデュエル大会にも参加している彼女には、日本の他地域については京都旅行、九州の一部の旅行へ行ったきり。基本関東から外には出なていない。
デュエルキング武藤遊戯や、海馬コーポレーションの海場瀬人、凡骨とも呼ばれながらも世界のデュエリスト第三位に登録されている城之内克也とも戦ったことがあった。何れも惨敗だった。世界上位三名、やはり実力が桁違いなのだ。
そんな関東住まいの、東京住まいの彼女がそれを開けてみると、実に食欲をそそりそうな、白いしわしわの生地に包まれたホカホカと湯気の立ち上る何かが出てきた。
「あら、美味しそうな匂いじゃない。なによこれ?」
「あれ? カミューラ知らないのか? 東京にも普通にこういうの出してる店はあるから知ってるかと思ってたけど、知らねー?」
「見たこと無いけど……」
「う~ん……。ああ、そっか 欧州ヨーロッパでも餃子ってあんまり馴染み無いよな。中世時代でだってお前お貴族様だったしお目にかかる機会は無かったか? それにオレ達ってデュエル大会であっち行ったりこっち行ったりしてっから現代でも目にする機会は少ないよな」
緑髪の美女は首をひねる。さらりと流れる長い髪が美しい。
「ギョウザ?」
名前くらいなら聞いた事はあったが、本物を見るのは初めてだ。デュエルアカデミア時代に餃子パンとかいうドローパンがあった物の、彼女は食べたことが無かった。
貴婦人、貴族らしいと言えばらしく、高級野菜パンや、ステーキパン、トリュフパンなどが好物であった為に触れる機会が無かったのだ。
「これのことさ 結構美味しいんだぜ」
「ふ~んギョウザ。ギョウザねえ~」
◇◆◇
リビングに移動したカミューラはドレスのスリットから大きく生足を出して十代を誘う。
「カミューラ……」
十代の腕がカミューラの腰に回される。自らの方へと引き寄せる様にして。
「十代……」
カミューラも十代を抱き締める。けして離れないように彼の身体を強く腕に描き抱いて。
抱き合う二人の顔が近付き重なる唇。
「ん──んちゅ」
蛇のように絡まる二人の舌。唾液の音がぴちゃぴちゃと淫らに鳴り響く。
酸いも甘いも体験してきた十代とカミューラ。時が許せば愛し合い、時間の許す限りに子供を作らんとしている。
十代は人間。カミューラはヴァンパイア。種族こそ違えども子供が作れるというのはデュエルアカデミアの鮎川先生の太鼓判だ。
そうして毎日毎夜に渡って愛を交わし、子作りを行っている二人にとって、今更こうして口付けを交わす事くらい。
「ごくんっ」
「あむっ、んちゅ、んくんくっ」
互いの粘り気の帯びた唾液を飲ませ合う事に抵抗感はない。ごくんとカミューラの甘い唾液を呑む十代。んくっと十代の唾液を呑むカミューラ。舌を絡ませ合い、歯茎をなぞり合って口腔を舐め合わせ。
「んあっ、んちゅう」
「ちゅる、ちゅく、ちゅく」
お互いの口内を何度となく行き来して、十代はカミューラの牙に優しく唾液を塗り込みながら舐め上げて、彼女をぞくぞくと快感の坩堝に落とし。
カミューラは十代の舌の裏を幾度もなぞり上げては返礼として返す。
そんな熱い熱い口付けを終え、二人の唇はゆっくりと静かに離れる。離れ行く二人の唇の間を銀の糸がつーっと長く伸びた。まだ繋がって居たい。もっと口付け合って居たいという証なのだろう。それでも二人は軽く口付け、伸びる唾液を互いの唇に塗りこめ合わせながら今度こそ離れた。
「ねえ、十代……わたくし、血が飲みたいですわ」
ねだりながら十代の頬に頬をすり寄せるカミューラ。ヴァンパイアらしい白磁の肌と、流れるような長い緑髪の感触が十代にはとても心地いい。断る? そんな事をするはずも無しだ。
「血か……ああ、勿論いいぜ」
了解を取った彼女は、愛おしい十代の首の付け根に口を寄せると、大きく開けてかぷりと噛みついた。
「痛っ、ああ、痛いけどカミューラに牙を突き立てられて血を吸われるこの感覚は──きもち、いいぜ」
肌に牙が突き立てられる痛みと快感に十代は片目を瞑る。愛おしい妻にならば別に何をされてもいいと思う。まるで天女の様に美しいオレの妻カミューラ……俺の、遊城十代の全てはお前の物だ。好きにしたらいいさ、と。
「んっ んくっ」
十代の首に噛みついたまま血を吸うカミューラ。美味しそうに飲んでいる。ああ、十代。私の十代。あなたは、あなたという男は私だけの物ですわ。
そしてヴァンパイアの貴婦人カミューラ──このわたくしも遊城十代という男だけの物ですわ。ああ、十代──!
想い重ね合う二人。相手を想い相手も想う。恋焦がれる二人はカミューラの吸血行為を通じて更に大きく膨らんでいく。
カミューラの吸血に合わせて、十代もカミューラのドレスのスリットから手を入れて、下着の中に潜り込ませると、指で彼女の割れ目と肉芽を触り擦る。こすこす、こすこす、優しくこする。
「んっ! んうっ!」
股間を愛撫される気持ち良さから突き立てていた牙を抜いて口を離すカミューラ。
「こ、こらぁ……、勝手に触っちゃ……ダメ、でしょう」
「ははは、お前の身体からいい匂いがして我慢できなかったんだよ。吸血行為も気持ちがいいし、よ」
「もう……しようのない子ね……んっ」
彼女がもう一度キスをすると、下着の中に入っていた手が抜かれて、黒のパンティを引きずり下ろされた。
今日は紐パンではない。
「ん? 今日は黒紐パンじゃないんだな。オレセクシーなカミューラを見たいんだけどなあ」
「あれは昨日あなたが精液まみれにしてしまったでしょうっ。洗濯して干しておりますわ」
「あっ、そうだった、いやーわりぃわりぃ、あんまりカミューラがエッチだったからついな」
カミューラはとても扇情的な女性で色気もたっぷり。その魅力を十全に引き出そうと黒いパンティ。黒い紐パン、紫のパンティ、紫の紐パン、といった、色っぽい下着を付けて十代を迎えることが多々。だがしかし、通常彼女が穿いて着けている下着がその種の下着なのだから、別に特別な意味はない。普通にしているだけなのだ。
十代もそんなエッチでセクシーなカミューラを愛しているし好きだから、そういう迎えられ方はとても嬉しい。
「なあ……カミューラ……」
「うふふ 食事よりもお風呂よりも先に私を召し上がるおつもり?」
「ああ 吸血鬼の貴婦人、いや貴夫人ヴァンパイア・カミューラがオレに取っての一番のごちそうで、何物にも代えがたいほどに美味しいからさ」
婦人を夫人と言い直したのは十代の独占欲。カミューラはオレの妻なのだからという。子供っぽいが自分の女であるという主張は大事なのだ。
一方でそれをそうと知りつつ、頬を赤らめながら嬉しそうに微笑みつつ、ズボンとパンツを脱いでイスに座った十代のひざを跨ぐカミューラ。
十代はカミューラのドレスのスリット目いっぱいまでスカートをめくりあげ、天井を向いているたくましいペニスに腰を下ろしていく彼女をの腰を支える。と、そこで──。
「あ、ちょっとまった」
「な、なによ~ここまで来ておいてぇ」
「先にトイレいっておくわ」
「もぉ、まったく変なところで止めさせないでちょうだい」
「悪い、すぐ戻ってくるからさ」
ごめんごめんと手を合わせて、だらしのない格好でトイレへと掛けていく十代。まあ確かに、セックスの途上で尿意を催されては大変だ。
と言いつつも、カミューラ自身は十代にクリトリスを弄り回されて、十代の股間に粗相をしてしまった事が幾度もあったりするし昨日はそれをされてしまったが、そこはそれ。
愛の行為のその一環と考えれば自身の胸もときめきを覚えるという物。
「はあぁぁ、まったく十代ったらアカデミアの頃から何も変わらないわねぇ」
トイレに行ってしまった十代に深いため息をついたカミューラは、テーブルの上に置きっぱなしの箱に目を移した。
「ギョウザ……ねえ。響きからしてチャイナの食べ物かしら」
食べるのは疎か見たこともない白いしわしわの物体に好奇心を刺激された彼女は、置いてある箸を手に取り物体を掴むと口の中に放り込んだ……。
◇◆◇
「あ―スッキリした。さあ続きしようぜカミューラぁ──ってどうしたカミューラぁぁっっ!!」
トイレから戻ってきた十代はリビングの床に倒れているカミューラを見てびっくりしながら駆け寄った。
スカートはめくれて股間が丸出し。パンティも脱がせているから秘所が丸見えになっている。
艶やかな長い緑髪は大きく乱れて床に広がり緊急時の中に美しさを描き出している。さながら殺人現場。救急現場の様相を呈していた。
妖艶なる美女が淫らな体勢のままに倒れ伏している。男の劣情をこれでもかと刺激される状況に、しかし十代は愛する妻カミューラの容態を第一に考えた。当然だ。
「なにがあったんだよカミューラっっ?!」
十代はカミューラを抱き起す。抱き起した手には彼女の緑髪が絡みつき、紅いドレスに皺を刻んだ。
「う……うう……十代」
「どうしたっ!?」
「ギ ギョウザ……おいしかった……わ」
カミューラはそれだけ呟き。
カクンっ。
ドラマ番組に出てくる殺人事件のシーンの女性の様に、首をカクンと仰向けに倒し、艶やかな長い緑髪をさらりと揺らしながら一種死んだような様相を十代に見せつけ。
愛する十代の腕の中で気絶してしまった。
「カっ、カミューラっ! おいカミューラァァァァァ──―っっ!!」
あとでわかったことだがカミューラは食あたりを、食中毒を起こしていたのだ。ヴァンパイアは人間よりも強靭で、不死である為に大事に至らなかっただけである。
ギョウザに問題があったわけではなく問題はその材料にあった。
にんにく。
餃子にはにんにくが使われていた。
吸血鬼が大の苦手とするにんにくだ。
餃子はおいしかったのだ。
でもにんにくがダメだった──ということである。
ヴァンパイアでもにんにくは食べられるが彼女曰く「命に関わる」要はアナフィラキシーショックの様な物を引き起こす事もあるらしい。
しかしおいしかったのには変わりないらしく。
後日『遊城カミューラ』と書かれた荷物が届いて中身は大量のにんにくだったとか。
近所の人に「遊城さんちの奥さん最近にんにく臭いですね」と言われたとか言われなかったとか。
「今に見てなさい! 絶対ににんにくを食べられるようになってみせますわっっ!!」
「うえっぷ……オレもうにんにくいらねェ……」
短編集内の各お話と投稿予定(未定)の続きやお話で読んでみたい作品はありますか?(ご期待に副える事が出来るかどうか分かりませんが、一ご意見としてお伺いしたいと思います)
-
コードギアス
-
コードギアスR2
-
此花トゥルーリポート
-
FF4×FF6
-
カオシックルーン
-
学園黙示録
-
ルパン三世 ワルサーP38
-
幕末風来伝 斬郎汰
-
ニードレス
-
ヨルムンガンド
-
少女少年
-
北の告発
-
サラダデイズ
-
クレセントノイズ
-
ひとひら(甲斐×理咲の近親相姦物)
-
ESアザーワイズ(戒×瑠璃)
-
遊戯王GX(十代×カミューラ)
-
魔装機神(マサキ×モニカ)
-
椎名君のリーズニングファイル
-
RAVE(ハル×絶望のジェロ)