森に住む1人の少女。人狼。黒いロングヘアーに赤色の目をしている。人狼と人間にバレてはいけないため帽子や黒い頭巾などを普段は被っている。きのこや野ネズミ、野ウサギを食べて生きて来た。
父は狼で母は人間。
エレン 165cm
森に住む1人の少年。化け狐と人間のハーフ、そのためキツネの耳や尻尾がある。金髪に青い目をしていて温厚で軽い性格。その反面過去に人間に対してひどい仕打ちを受けて来たため、人間には憎悪の感情を抱く。出会ってからクロに恋をした。
1話
ここはとある人里から離れた森。そこには1人の少女が住んでいた。年は16程で、両親はいない。そんな彼女には特徴があった。彼女は本来人間にある場所に耳はない。何処にあるかと言うと、頭の上にあるのだ。また、人にはあるはずのない尻尾も彼女の腰に付いていた。
そう、彼女は「人狼」である。彼女の名前は「クロ」。名前の通りに髪の色は黒いのが特徴である。
そんな彼女は今何をしているかと言うと…
「綺麗なお花…」
今日の食料探しのついでに少し花畑によっていた。
「この花、お母さんの好きな花…。お供えしたらお母さん喜ぶかな?」
彼女は帽子を深く被り、花を摘む。帽子をかぶる理由は彼女が決して人間に人狼とバレてはならないからだ。
彼女には両親はいない。狼の父は人間によって殺され、人間の母は病で亡くなってしまったのだ。それでも彼女は今日まで何度くじけても前を向き、生きて来た。
「さて、今日も帰らないと…あっ…」
突如吹いた風。そんなに強い風ではないが危うく帽子が飛ばされそうになってしまう。
「ふう…危なかった…」
そういい彼女は帰ることにした。
彼女が帰る途中のこと、帰路を歩んでいると1人の男に出くわした。
「すみませんそこのお嬢さん。少し聞きたいことがあるのですが…」
その男はクロに突如話しかけて来た。男の手には斧が握られている。おそらく村の木こりの男だろう。
「はい、なんでしょう?」
「ハルバから来た者なんだが…パルチの村に行こうと思ってるんだが、道とかわからないかな?」
ハルバの人里はそんなに人は多くはないが村自体はとても賑やかな村だ。彼女の幼い頃もそんな記憶がある。しかも隣の村はこの森を抜けた先にある。またそこからが少し遠いが。
「はい、このまま東を目指して森を抜けるてから20分ほど真っ直ぐ進むと着くはずです。」
「ありがとう。」
そういい男は手を振りながら歩いて行った。
「ふう…緊張した…」
やはり人に見つかるとどうなるかわからない。そんな中人を演じて人と接するのに重圧がかかる。
そんな中クロは空を見上げる。空は夕日に染まっていた。
「帰らないと…」
そういいクロは歩く速度を速めた。
あのあと特に何もなく家に帰り着く。
「ただいま〜。」
とは言ってもこの家にはクロ以外は誰も住んでいない。クロは荷物を置いて花だけを取り、外へと出る。
家の裏庭には母親の墓があった。
「お母さん、新しいお花に変えるね。」
そういいクロは墓に置かれていた花と摘んできた花を入れ替える。
「お母さんの好きな花だよ、今日は沢山採れたんだ!じゃあまたね。」
そういいクロは墓を後にし食事を取り、お風呂に入りベッドへと潜り込んだ。
クロにはこんな人生が何年か続いた。最初はひもじい思いをすることや命の危機に襲われる時もあった、それでも自然や旅人に支えられこうして生きてきた。もちろん人狼の彼女に恋なんてものは無縁だ。そんな概念すらも知らないだろう。
だが、そんな彼女の運命を変える時が来たのだ…。
それは次の日。彼女はいつもの通りに森の中を散歩していた。
「今日は何があるかな?」
すると奥の茂みからガサガサと音がする。
「?」
その方向が気になったので彼女は足音をかき消し、その方向へと近づいた。するとそこには
「あ!野ウサギだ!」
そこにいたのは野生の兎だった。
「そこそこ大きい…今日はウサギのシチューにしよう!」
そう思い彼女はウサギを狩ることにする。その狩り方は…
「誰も…いないかな?」
あたりを見渡す、人は誰もいない。
「ここでなら…」
そういい彼女は手を前に突き出すと手が徐々に形を変えていく…そして、
「よし!」
その手の形は先端に鋭い爪を持ち、手のあちこちに毛がびっしりとついていた。そして終いにはそれは、人の手の形をしていない。
そう、彼女は人狼。本来なら狼の力もあるので手や足も狼のものへと変身出来るのだ。しかし、満月の夜でないため精々これが限界だったりもする。
(そっと…そっと…。)
心でそう唱え徐々に近づく。そして、ある程度の距離まで詰めたところで…
(今だ!)
そういいクロは手を大きくふりかざそうとしたその時だった。
「じ、人狼だ!」
「⁉︎」
はっ!とその方向を振り向く。するとおそらく今来た旅人だろう。そして、驚いて振り向いた時に帽子が外れてしまう。そう、彼女の頭部には狼の耳が…
「捕まえるぞ!」
「おう!」
その旅人は2人組。もし見つかってしまった時は逃げるか殺すかと言われたが、相手は2人、しかも男で武器も持っている。これでは分が悪い。
そう判断したクロは全速力で走った。
「待て!」
いくらクロが素直な娘であろうと命の危機に晒されている状態で悠長に待つ筈もない。
それに、クロはこの森には慣れている上に人よりもある程度は運動神経に自信があった。
「次は…こっち!」
そういいクロは方向転換して、逃げる。が、しかし、
「きゃっ!」
クロは少し進んだ先で転んでしまう。
「あいたた…」
「奴は何処だ!」
「確かこっちだ!」
(まずい、このままでは捕まっちゃう!)
そう思いクロは走ろうとしたが、先ほど転んだ時に足を捻挫してしまい、なかなか立ち上がれない。
「ど、どうしよう…」
「見つけたぞ!」
とうとう男2人に見つかってしまう。
「ひっ!…」
「ここで観念するんだな…」
そういい男達は片手に斧を持っていた。
(やだ…やだよ…。お父さん…お母さん…)
彼女は這いながらも徐々に逃げようと試みる。だが、男達の歩く速度の方が圧倒的に早い…。
(いやだ…助けて…!)
そう思ったその時だった。
「は〜っはははは!」
「な、なんだ⁉︎」
何処からともなく声が聞こえた。男達あたりを見渡す。が、なかなか見つからない。
「誰だ!誰かいるのか⁉︎」
そういい1人の男が言う。
「僕はここにいるよ!」
その声は
「上だ!」
もう1人の男が上を指差す。するとそこにはベレー帽を被った1人の少年がいた。年は見るからにクロと同じくらいだろう。
「誰だお前は⁉︎」
するとその少年は木から飛び降りる。
「よっ、と…ねえ、おじさん。名乗る時は自分の方から名乗るんじゃないの?」
「うるさい!ガキはさっさと帰れ!」
「やだよ。だって、おじさん達はこの人狼さんが狙いなんでしょ?」
そういい少年はクロの元へ近づく。そしてクロの耳元へと顔を近づけた。
そして、彼は信じられない言葉を発する。
(大丈夫、僕は君の味方だから。)
「え?」
クロはその言葉を聞いて戸惑う。
「おい、危ないぞ!」
「ねえおじさん。この人狼さん頂戴?」
その言葉に2人の男は呆然とした。
「正気で言ってるのか?」
そのうちの1人が苦笑いしながら言う。
「大丈夫、始末は僕がするから。」
そういい少年は腰に刺していたレイピアを引き抜いた。
「うーん…しかしなぁ…」
「ならいくらがいい?お金ならあるよ?」
そういい少年は袋を男達に投げ渡す。男達が袋を開けるとそこには金貨が何枚もあった。
「ほう、ならこれでいいか?」
「うん、いいよ。」
すると男達はその場を去って行った。
男達がいなくなったのを確認してから少年は話しかける。
「君、大丈夫だった?」
「…」
クロはまだ少し怖がっていた。
「あー、ええと…ごめん。いきなり始末するなんて言ったから警戒してる?それなら…」
そういい少年は鞘にしまったレイピアを放り投げる。
「これなら僕は攻撃出来ない。信用しろとは言わない。でも、僕は君を傷つけるつもりはない。」
そして少年は手を差し伸べた。
「とりあえず立とう?」
クロは少しためらいながらも少年の手を取り、立ち上がった。
「君、名前は?僕はエレン。よろしくね。」
「えっと…クロって言うの…。ねえ、どうして私を助けたの?」
するとエレンは考え込む仕草をする。少しわざとらしいがその顔は真剣なので癖が何かなのだろう。
「わかんない。なんだか、君が置かれてる状況が僕に似ていたからかな?」
「似ている?でも、あなたは…」
するとエレンは少し考えた後に口にする。
「こうしよう。僕は君のヒミツを知ってしまった。だから、君にも僕のヒミツを教えてあげる。そしたら、その言葉の意味がわかるから。それでいい?」
するとクロは頷いた。
「誰にも言わない?」
「言わないよ。その代わり君も僕のことは誰にも言わないでね。」
「うん」
クロはまたゆっくりと頷いた。そして、エレンはゆっくりと被っていたベレー帽を脱いだ。するとそこには…
「あ…」
思わずクロは声を漏らした。
クロの目の前に映っていたのは、エレンの金髪の頭頂部に髪と同じ色の獣の耳があった。
「あなたは…いったい…?」
「驚いたかな?実は僕、キツネと人間のハーフなんだ。勿論尻尾もあるよ。」
エレンは「どうだ!」と胸を張っていた。何が誇らしいのかよくわからないが…。
その際もエレンの耳はひょこひょこと動いていた。
「このベレー帽あげるね。今日から僕たちは友達だ。」
「友達…?」
「うん!そうだろ?僕たちは僕たちだけのヒミツをお互いに知ってる。なんだかワクワクしない。それに、こうしてお互い知り合って話してる時点で僕たちはもう友達だよ!」
そういいエレンは手を差し出す。
クロはあれからは1人で生きてきた。父は殺され、母は死に、孤独だった。友達なんていなかった。人狼という事がバレてしまってはきっとどうなるかわからなかったからだ。
だが、目の前には1人の少年エレンが手を差し出している。
クロの決断は
「うん!よろしくね!」
クロは笑顔でその手を握る。クロは嬉しかったのだ。クロは今、人生で初めての友達が出来たのだ。
「それじゃあ、またねクロ!」
「うん、バイバイエレン!」
そういいエレンは何処かへと行ってしまう。空は夕焼け色に染まりつつあった。
「あっ!カゴを探さないと!」
クロは慌てて逃げる前のことを思い出し、カゴを探しに駆け出した。
この2人の、異種の出会いはクロにとって大きな出来事だった。
今回も読んでいただきありがとうございます。光陽です。
お久しぶりです。官能小説しか書かない人です。気がつけばそろそろ就職への道のりが近づいて来ました。正直不安ばかりです。
遊戯王もルールが変更されてから全くしなくなりました。
どんどん身の回りが変わってたり、時は流れたり、なんだか寂しい気持ちに駆られます。
それでも決して挫けずめげず頑張ります!
今作はギャグが少ないのでギャグを求める方は
「艦隊これくしょん 艦これ 小動物提督さん」をオススメします。
それではこの辺で失礼します。次回も読んで下さいね!