ふふふっSEX!
「やめないか!」
バシンッ!
…始まります。
「た、頼む…助けてくれ!お願いだ、見逃してくれ!」
一人の男は後退る。だが、その後ろには木の幹があった。もう逃げられない。
「お、俺は何もしてないじゃないか!…頼む!い、命だけは…。」
すると男の前にいた一人の少女は足を止めた。そして、こちらを睨む。
「確かに貴方はなにもしてません…。ですが…」
彼女は籠からナイフを2本とり出し、籠を地面に置いた。そして、目を赤く光らせる。
「貴方は、私の正体を知った…。知ったからには…ここで死んでいただきます。」
そして彼女はナイフを構え、飛びかかった。
「やめろ…やめろ!…うわぁぁぁ」
森をこだました悲鳴は途中で途切れ、男は首筋から血を吹き出し、息絶えた…。
「これも生きるためです…。」
そう言いナイフをしまう。地面に置いた籠を手に取り、返り血を浴びた少女、カレンはその場を去る。
「お兄様は元気でしょうか…。」
カレンは血のついたナイフを舐めながら暗い森の中を歩いた。
「そうだ!今日はエレンのためにシチューを作ろ!」
そうクロが言ったのは少し前のこと、エレンが町で道具を買いたいと言い出かけていった。その間に何かエレンが喜ぶようなことをしたいと思い、その結果料理を振る舞うことにした。
「具材は何にしようかな~♪」
クロは軽やかなステップで森を散策する。
「エレン、どんな反応するんだろうなぁ…」
クロは想像を膨らませる。
「美味しいよクロ、クロの料理は最高だ!」
「ほ、本当!?えへへ…嬉しいな♪」
クロの料理を美味しそうに食べるエレン、それと嬉しそうに心を弾ませるクロ。
「本当だよ!クロの料理は世界一だ!」
エレンはクロの両手を握る。
「クロ…もしよかったらこれからも僕の為に料理を振る舞ってくれないか!」
「えっ!?そ、それって…」
「そう、勿論僕のお嫁さんとして。」
「エ、エレン…」
「クロ…」
「なんてことになったりして~!キャーッ!><」
そんな風に一人で興奮していた。
ガサッ!
「っ!?」
音と共に身構える。籠の中から家にあった小さな鉈を取り出した。
「誰!?誰かいるの!?」
なにかいる、クロの野生の本能はそう告げていた。すると茂みから声が聞こえる。
「また見つかったかー…やれやれ、僕は潜伏の才能はないようだ…」
そこには藍色の髪の少年がいた。歳は15ほどだろうか。目は黄色い。
「あなた誰?」
「少し君を見ていた通りすがりだよ、名前はブルーノ。」
クロは警戒を解かない。
「ごめんね、不快な思いをさせちゃった。でも、これだけは信じて欲しい。僕は君の仲間だ。」
「仲間…どういうこと?」
ブルーノは不適な笑みを浮かべる。あんな幼い顔に比べてその笑みは恐怖心を煽る。
「やっぱり怖がってる?まあ、君は僕のこと知らなかったから仕方ないね、クロ?」
クロは驚愕のあまりに籠を地面に落とす。
(どうして私の名前を…!?)
そう、クロは彼に一度も会ったことはない。なのに向こうはこっちの名前を知っている。今までストーカーをされていた可能性も低い。
「やれやれ…なら、教えてあげるよ…。君の一家に関わる物語を…」
これはほんとに二十年近くも前のことだ。この森には二つの狼の群れがあった。それぞれのリーダーの名前は「ガルシア」と「グルーシア」。
その名前を聞いてクロはビクッと震える。
「ガルシアって…」
「そう、君のお父さんさ…」
じゃあ続けようか。その二人は仲が悪く、縄張り争いが絶えなかった。
そんなある日、人間がとうとうこの森まで森林伐採を始めた。この森を抜けたところの村は当初はまだ森の一部だったからね。
このままでは森が無くなってしまう。そう思ったグルーシアはガルシアに協力して、人間を追いやることを提案した。ガルシアはその案に乗ることにした。
それから数日後、ガルシアは群れを引いて人間達を襲った。襲撃そのものは成功したものの、人間達の叡智には敵わず、ガルシアとその仲間は半殺しにさせられた。
そんなあるとき、瀕死のガルシアを拾った人間の女性がいた。ガルシアは信じられなかった。そんな人間がこの世界にいるなんて、殺されかけた相手に助けられるなんて思いもよらなかった。そして彼の心のなかで芽生えたのは、禁断の恋だった…。
それ以降ガルシアは願った。人になりたい、彼女にまた会いたいと…。そんなときだった…彼のもとで本当に奇跡が起こったのだ…。彼はたまたまこの森の深淵にある泉に祈りをしていた。その泉から、この森の精が現れたのだ。森の精は告げた。
「森の守人よ、そなたの願いを叶えましょう…」
すると、彼は答えた。
「人になりたい!一人の人間の女に恋をした。」
森の精は言う。
「あなたは人にはなれませぬ…ですが、あなたに人の体を与えましょう…。」
そして森の精は魔法をかけた。彼の体をまばゆい光が包む。そして…彼は本当に人間の体を手に入れたのだ。
そのあとに森の精は告げた。
「狼になりたければまた、ここで祈りを捧げなさい…。」
その言葉を最後に森の精は泉へと帰った。
「その狼は満月になると全身から毛が生え、耳が生え、尻尾が生え、二足歩行で歩くようになる。狼も人も彼を狼男と呼んだ。それが君の父、ガルシア。そして、その恋した女性が君の母ってこと。」
クロはその話を静かに聞いていた。それでも警戒は解いていない。何故なら
「どうしてあなたがそれを知ってるの?」
そう、これまでの話は紛れもない事実だ。クロもこの話は母から昔に聞いたことがあった。
「何故かって?」
すると彼は防止を外す。するとそこには…
「え…?」
頭の上に耳がある。そう、クロと同じ位置に。
「そう、僕も君の父と同じように人狼の体を得た狼男。そして、君の父のかつての敵であり、友であった狼、グルーシアの息子だからさ。」
「グルーシアの…息子…。そんな…じゃあ…。」
「そうだよ、迎えに来たのさ。僕のフィアンセ。」
ブルーノはクロの手を取りキスをした。だが、クロはその手を振り解く。
「やめて!そんな約束どうだっていいじゃない!」
「でも、決まりを守って貰わなきゃ困るよ…。そう、ガルシアとグルーシアの約束を…君も知ってるだろ?」
そう、クロはこの事をその昔父から聞かせれていた。
「お父さんとグルーシアのそれぞれの子供を結ばせる。これが、二人が協定を結んだ条件…。」
「そうだね、だから、いまこそ父さんの望みを叶える時なんだ…。また僕達が結びあって、人間達に二度と森へ来させないようにするんだよ。」
「そんなの嫌よ!私は人間にそんなひどいことしたくない!それに、私はあなたのこと好きじゃないし興味も無い!」
クロは必死に声を荒げ、ブルーノを拒む。それでもブルーノは諦めない。
「諦めの悪い娘だ、でも、そこがまた良いかもね…きっと君のお父さんに似ているんだろう…。なら、強行とさせてもらおうか!」
そういいブルーノはクロへと襲いかかる。ブルーノがクロを拘束しようと手を伸ばすが、クロは手を弾き、鉈で斬りかかる。
「おっと!そんなモノを振り回すなんて感心しないなぁ…。」
「あなたには関係無いでしょ!帰ってよ!」
クロは自ら接近して、鉈を振るう。ブルーノも予想外だったのが、鉈を振るうその腕はかなりの技量を有していることだった。
「鉈の使い方、慣れてるんだね」
ブルーノはギリギリのところで鉈を回避する。そして、隙を見て
カーン!!
クロが握っていた鉈が弾き飛ばされた。
「なっ…!?」
ブルーノは後方へとクロを蹴り飛ばした。
「きゃあっ!」
そのまま後ろの木にぶつかり、頭を打つ。そんな彼女の両手をブルーノは右手でおさえつけた。
「愛おしいな…クロ…。」
「やめて!放して!」
蹴ろうと足を出そうとしたが、その足もおさえつけられて、身動きが取れない。
(助けて…エレン…!)
「大丈夫、君が誰と付き合ってるのかは知らないけど、僕が優しく」
ヒュン!
その風を切る音と共にブルーノへ矢が飛んできた。ブルーノはギリギリで回避する。そして、その方向を向くと
ブンッ!
一人の男がブルーノに向けて剣を振るう。これもまたかわされ、後ろへと下がる。その男は
「エレン!」
「何!?」
ブルーノの目の前には金髪の同じくらいの歳の少年がいた。
「僕のクロに、何をした…答えろ!」
エレンの目は普段と違い赤く光っていた、術を使うときと同じ色だ。
「まさか…いや、そのまさかだったとは…ここで会えて嬉しいよ、エレン・エドワード・エノミヤ!」
その言葉を聞いたとたんエレンは赤くなった目が普段通りに戻った。
「僕の名前を知ってる…?」
「もちろんさ…。僕はブルーノ、覚えてるはずだろ?」
「何⁉︎お前、生きてたのか⁉︎」
「知ってるの?」
クロがそう聞くとエレンは「うん」と答える。
「数ヵ月前、まだ君と出会う前だったかな。その日に僕はこいつと決着をつけた。それより前、僕がまだ12の頃から殺しあっていたさ。その頃はまだ、狼だったのに…」
「確かに僕は数ヵ月前、君の前に狼男として現れ、長きにわたる戦いの最後とした。そして、僕は負けた。負傷して谷底に落ちたよ。でも、こんな奇遇があってもいいのだろうか!?僕はまた君に復讐できる!君を痛め付け、君の彼女を奪い、君を殺す!これほど素晴らしい結果を見れるなんて最高じゃないか!」
ブルーノは「ハッハッハッハ!」と高笑いをした。
「死にぞこないめ…僕がまた殺してやる!」
「いつまでも上手く行くと思うな!劣等種!」
ブルーノは背中に背負っていた大剣を引き抜く。エレンはレイピアを構えた。そして、エレンの目が赤くなる。
「たあぁぁぁぁっ!」
エレンはブルーノに向かって走り出す。ブルーノは動かずじっと待っていた。
「来いよ!エレン・エドワード・エノミヤ!」
「言わなくとも来てやるさ!お前を殺しに!」
カーン!
辺りに金属音が響く、エレンの攻撃は大剣で受け止められる。だが、それでもエレンは攻撃を止めない。
カーン!キーン!
一方的な戦況。どう見ても防御一方のブライアンの方が不利に思える。
「そこだ!」
僅かな隙をエレンは見逃さなかった。防御の手薄な場所を見つけレイピアを突き刺した。
しかし、ブルーノは横に体を反らし、回避する。
「甘い!」
体重をのせ、突きを繰り出したエレンは無防備な状態のまま横にはブライアンがいた。
ブルーノは懐からナイフを取り出し、エレンへ突き刺す。
(この体制…避けきれない!)
グサッ!
ブルーノのナイフをエレンは左手で止めていた。
「ぐっ…」
「急所はま逃れたね。」
エレンはブルーノに蹴りを入れて、のけぞらせる。その間に自分はある程度距離を取った。
「ううっ…」
左手に突き刺さったナイフを、エレンは引き抜いた。手のひらからは血がダラダラと流れていた。
「残念だねエレン。君はこれでは左手を使えない。」
「ふふふ…むしろ、これでどっちが勝つかわからなくなっただろ?僕的にはこっちの方が楽しそうだ。」
エレンはレイピアを構え直す。
「強がりはその辺でいいんじゃないかな?化け狐。」
「狼男は負け犬の遠吠えでもしてる方がお似合いだよ。」
先程と同じように先に動き出したのはエレンだった。レイピアをその左手でしっかりと握りしめ、ブルーノの元へ一直線で走っていた。
「いい加減死ね!狼男!」
「死ぬのは君だ!化け狐!」
二人が今激突しようとしたその時だった。
ビュン!
二人の間に矢が飛んでくる。二人は同時にその方向をむいた。するとそこには…
「異種同士の争いに、人間の介入はよろしくなかったかな?」
「ガイル!?」
エレンは驚き目を見開く。赤く染まっていた眼もいつもの色に戻った。
「おや、この前出会った人間。何のようかな?僕達の決闘の邪魔をしないでよ。」
「すまないね、私は彼の友達なんだ。」
ガイルは再び弓を引く。
「ガイル…」
「エレン、君の事情は聞かせて貰ったよ…。君のことも、彼女のことも…。」
クロは驚愕し、震えた。それと同時にエレンは身構える。
(じゃあ…この矢は…。)
考えてしまった。もしかしたらここにいる全員が殺されるのではないのかと。相手が普通の人間なら間違いなくそうするだろう。
だが、彼の口から出た言葉にその可能性は打ち消された。
「下がれエレン!私の標的はその男だ!」
「っ⁉」
エレンはバックステップで後退する。それと同時にガイルの放った矢はブルーノへと向かった。
「チッ!」
ブルーノは大剣で矢を弾き飛ばした。そして、木の上に飛び上がる。
「エレン、次はないぞ!今度こそ君を殺す!そしてクロを取り返す!」
そういいブルーノは逃げていった。
「二人とも、怪我はなかったかな?」
ガイルは二人に歩み寄る。クロは警戒することなくガイルにお願いする。
「エレンが左手を怪我してるの。手当てしてあげて!」
すると後ろからメイドのアイナの姿もあった。
「道具ならあります。私が手当てしましょう。」
だが、エレンはまだ少し警戒気味だった。
「助けてくれたことは感謝するよ。でも、ガイルはどうして僕を助けたの?僕は化け狐の息子。人をだまし、人を恨んで生きてきた。人から見ても僕は招かれざる存在だってことは知ってるだろ?」
「知ってるよ。」
ガイルは即答した。そして、ガイルは続ける。
「確かに人間と人狼や化け狐と言った異種はお互いにその存在を拒み会う。だが、私はあの時言ったろ?君たちの友達だと。異種であろうとも私は友達というものが今までいなかったのさ…。これほど嬉しいことはなかった。」
エレンもクロも驚いていた。二人ともこうしてお互いの正体をさらしてでもこうして会話し、友達でいてくれる人間がいることに。
「ありがとうガイル。でも、なんで友達がいなかったんだ?」
「いなかったというよりは作れなかったね。城から出ることなんて昔は滅多に許して貰えなかったからな。」
クロはその城という単語に引っ掛かった。
「え?それじゃあ…」
「そう…。ガイル・カリバルク。カリバルク王国の王子にして、カリバルク7世だ。」
告げられたその事実にエレンもクロも声をあげて驚いた。
その夜のこと…
「クロ、ブルーノが言ってた取り返すって言うのはどう言うこと?」
クロの体はビクッと震えた。エレンは「あ」と言い。
「ごめん、クロを責めてるつもりはないんだ。その…エッチしてるときは責めたいけど…。」
クロは「わかってるよ…」と言う。そして、クロは過去のこと、父のこと、そして、親が交わした約束のことをエレンに言った。
「成る程…。ブルーノのお父さんとクロのお父さんが自分の子供たちを結ばせる約束をしたと…。」
「うん、そうなの…。でも、私!エレンじゃなきゃ嫌!エレンとずっといたいの!だって、私の彼氏はエレンなんだもん!」
「クロ…」
エレンは優しくクロを抱き締める。クロは物欲しげな眼差しをクロに送る。エレンはその意味を察し、口づけを交わした。
「大丈夫、君は僕が守るから。必ずね。」
「エレン…。」
クロは子猫のようにエレンの胸元に顔を擦り付け甘えてきた。
(好き好き❤)
(可愛いなぁ…)
頭を撫で、背中を優しくさするように触れる。
(何としても守る…必ず)
それと同時にエレンは決意を決める。大切なものを守る為にも、ブルーノとは決着をつけなければならないと。
今回も読んでいただきありがとうございます。光陽と申します。
お久しぶりですねみなさん。大変待たせてしまったことをお詫び申し上げます。
今回からライバルの登場にガイルの正体を正式にエレンに晒したりと色々と動き出します。
元々戦闘シーンが苦手なのに書くとか…壊れるなぁ…。
まあ、あまり期待できるようなものは書けませんけど頑張って活動していくのでこれからも応援よろしくお願いします!
最後に報告です!
無事に進路が決まりました!あとは卒業するだけです!
↑の所為で9〜10月は忙しくて活動出来ませんでした><