とある森に住む1人の人狼娘、クロ。彼女はいつも通り森の中で平穏な暮らしをしていた。
だがある日、クロは自分が人狼であることをたまたま森を通行していた人にバレてしまう。とうとう人間に追い詰められたクロだが、木の上から救世主が現れる。
そんなクロを助けたのは化け狐と人間の間に生まれた少年、エレンだった。
それから2人は仲良くなりよく2人で遊ぶようになる。だが、2人は過ごして行くうちに互いに惹かれあい、恋に落ちるのだった。
恋のジレンマに悩む2人だったが、結局2人は思いを伝えあい、繋がった。
だが、2人がそんな幸せな道を歩もうとしていた時に困難は立ちはだかった。
それはその昔、クロの父が婚約を承諾した1人の狼男、ブルーノだった。ブルーノはクロを連れ去り、エレンとの一騎打ちを望む。エレンは術を使ったトリッキーな戦法でブルーノを追い詰めるがブルーノはエレンと戦うためだけに自分で開発した禁断の薬を服用し、本来封印していた野性の本能を全開にした。圧倒的なスピードとパワーにエレンは太刀打ちできなかったが、エレンは奥の手として自分に秘められた妖力を全て解き放ち、妖狐と化し、本能解放したブルーノを圧倒した。
力の差を見せつけられたブルーノの精神は不安定となり、薬の禁断症状と相まって暴走を始めてしまう。エレンもそのまま暴走の果てに自分の身を滅ぼすブルーノを見届けるつもりだったが、クロの懇願によりブルーノの暴走を究極奥義「神縛りの陣」で止める。
ブルーノの暴走は止まり、エレンもまた力の使いすぎでお互いに試合としての決着がつかないままとなった。
それから先に目を覚ましたのはブルーノだった。
ブルーノは何故エレンと戦ったのか、クロに固執する意味はあったのかを考えた。クロを縛ることは最終的にクロを幸せにすることに繋がるのか、そんな状態で本当にクロを幸せにできるのか、
その答えはノーだった。
ブルーノはエレンからクロを奪うことを辞め、それと共にクロの幸せの為にもエレンには生きて貰わなければならないという答えが出た。
そしてブルーノは決着のつかなかった試合の続きをする為に、部下達にエレンが目を覚ますまで様子を見るように命令するのだった。
一方のエレンはブルーノより遅れて目を覚ました。目を覚ましたエレンだがまだ体は自由に動かず、しばらく寝たきりの生活を過ごすことになった。
そして今からは更にそれから1ヶ月ほど経過した後の物語となる。
ここは森から少し離れたところにある王国、カリバルク王国。
そこでは少し前に事件が起きた。この国の王妃が謎の急死を遂げたというものだ。
その外傷は無く、老衰の可能性もあり得ない。
その原因は結局分からなぬまま、母親の葬儀は行われ、この事件も闇に葬られた…
筈だった。
「アイナ、それは本当か?」
「…飽くまでも可能性に過ぎません…。」
今1人の男が母親の急死の原因をメイドと共に調べていた。男の名はガイル・カリバルク。
カリバルク王国の第二王子だ。対する専属メイドの名前はアイナ。歳はガイルとさほど変わらないが家事や戦闘での護衛もこなす、時期メイド長候補の1人だ。
そのアイナの調査の結果がガイルの元へ伝えられた。
「本当に…あの人が…?」
「もう少し動向を探ると共に調査を引き続き行いましょう。」
「…わかった、頼んだぞ…。」
アイナは「失礼します。」と言い部屋を出ていった。
「………何故ですか…?私が子供の頃、あんなに仲が良かったのに…。」
ガイルは遠くにある森を見つめていた。
「隣の町の森が燃えたらしいが……。」
これも少し前のこと、町で人狼が出たという噂を聞き、その森を町の人々が燃やしたと言う。
「エレン…気をつけてくれ…。」
「ガイル様、国王様がお呼びです。」
ドアの外から別のメイドの声が聞こえた。
「わかった、今すぐ向かおう。」
ガイルは立ち上がりドアを開ける。そこには見慣れないメイドの姿があった。
「?君は新しい娘か?」
「はい、アメジストと申します。」
そういいその少女は頭を下げる。年齢はエレンとさほど変わらない程だろうか?
「アイナは今忙しいからね。それじゃしばらくアイナがいない間よろしく頼むよ。」
「…はい。」
少女は表情1つ変えず、頭を下げた。
そして2人は無駄に明るい廊下を並んで歩いた。
「ふんっ!」
「はあっ!」
細身のレイピアと2つの短剣がぶつかり合う。あれから1ヶ月が経過した。対決しているのは2人の兄妹。兄のエレン・エドワード・エノミヤと妹のカレン・ミツキ・エノミヤだ。エレンは以前に狼男のブルーノと対決した際に体を動かせ無くなったが、3週間過ぎてから足をようやく動かせるようになり、今では自由に体を動かすことができるようになった。
そこでエレンが妹のカレンにお願いしたのはトレーニングだった。
カンッ!
エレンは3週間程寝ていたとは思えない剣さばきでカレンに攻撃を仕掛ける。だが、そのスピードにカレンは決して遅れをとらない。エレンの繰り出す攻撃を2つの短剣で全て受け止めていく。
「凄い…。」
そんな2人を見つめるように見守っている人物が1人、人狼娘のクロだ。彼女はエレンの恋人であり、体を何度も重ねた仲だ。
キーンッ!
甲高い金属音と共にエレンのレイピアが弾け飛んだ。
そのままエレンの首元に2つの刃物が寸止めされた。
「うっ!…。」
「私の勝ちですね、兄様。」
カレンは首元に近づけた短剣を離し、鞘に収めた。
「やっぱり強い…歯が立たないや…。」
「私は驚きですよ。お兄様がここまで衰えてないとは思いませんでした。」
そういいカレンは帽子を被り、最近クロに貰ったクロとお揃いの服を戦闘服の上から着る。
「カレンちゃんすごーい!」
クロは目を輝かせてカレンの元へ近寄った。
それにしてもカレンもクロも同じ服を着ているが、どちらも魅力的な女の子だ。
クロはまだエレンと歳はさほど変わらないというのに大きく実った2つの膨らみが抜群のプロポーションの何よりの証拠となっている。
それに対してカレンはまだ未成熟だ。胸の膨らみも乏しいが、半袖やスカートから覗く手足はほっそりとしているが、その中には筋肉がしっかりと詰まっており、しなやかな体つきとなっている。
(カレンも魅力的に成長したなぁ…)
エレンも2人が話している様子を見てそんなことを思った。
「お兄様、そろそろ戻ってお昼にしましょう。」
「うん、そうしようか。」
エレンとクロは元々違う種族だ。
エレンは妖狐と人間のハーフ。クロは人狼。
人間と獣、あるいは獣人が仲良くなるなんてことはあり得ないとされている。
だが、お互いの違いを認め合うことが出来れば分かり合えることだってある。
これは以前、クロが言っていた言葉だ。
「どうしたのエレン?」
クロはエレンに見つめられていることに気がついて話しかけた。
「ん?昔クロはが言ってた言葉を思い出してね。」
「え〜?私何か言ったっけ?」
クロは小首を傾げる。どうやら覚えてないらしい。
「どんなに違う種族でもお互いの違いを認め合うことが出来れば分かり合えるって話。」
するとクロは「ああ!」と声をあげ、手をポンッと叩いた。
「あれはね、死んだお母さんが言ってたんだ。」
「素敵な言葉ですね。クロさんのお母さんはどんな人でした?」
カレンは興味津々の様子で聞く。
「とても優しい人だったよ。怒ると少し怖いけど、でも、とっても優しかった。」
「悲しくないですか?」
「ううん、悲しかったよ。でもね、今はエレンやカレンちゃんが居てくれるから。私の家族はエレンとカレンちゃんだから。」
「え、それって…。」
エレンの顔はみるみるうちに赤くなっていく。やがて湯気が出そうなほど熱くなっていく。
「く、クロ…平然と恥ずかしいことを言わないでよ…妹の前なんだから…。」
「いいじゃないですかお兄様!兄の恋愛事情を知るのは妹の権利です!」
なんだか大幅に話が逸れていることに気がついたクロは「それで?」と話を戻してくれた。
「その言葉、本当なんだなぁって思ってさ…。」
「あはは、もしかしてブルーノのこと?」
それはまだエレンが体を動かせない頃にさかのぼる。
「エレン、少しいいかな?」
クロが突然寝たきりのエレンに話しかけてきた。
「ん?」
「エレンに会いたいって言ってる人がいるんだけどいいかな?」
「誰?」
エレンはそう訊くがクロは「いいからいいから」と促す。エレンも渋々だが「う、うん」と承諾した。
「だって、入っていいよ。」
そうして入ってきたのは1人の男だった。
「な⁉︎」
「…久しぶりだね、エレン。」
そこにいたのは数日前、殺しあったばかりの男だった。
「…なんの真似だブルーノ。」
「怒ったかな?俺は君を殺す気もないし、クロを奪いに来たわけではないよ。」
ブルーノのエレンの元へ寄り、椅子に座る。
「潔いな、何か企んでるんじゃないか?」
「企む気もないよ。かくいう君も、俺に対する殺意を感じられないけど?」
「クロが望んだ結末だ。僕はクロの為ならなんだってする。この命を捨てることだってやってやるさ。」
「それはダメだよエレン!」
エレンは上半身だけを起こして、ブルーノを睨みつけた。
「そうか…うん、俺の負けだな。」
ブルーノは椅子から立ち上がり、そっぽを向いて歩き出した。
「帰るのブルーノ?」
「帰るよ。でもその前に一言言っておこう。…エレン。」
ブルーノは振り向いた。彼は笑顔だった。
「クロは、君だからこそ幸せを築き上げることが出来てる。クロのお父さんの代わりに言いたい、ありがとう。」
「お、おおう?」
「それともう1つ、早く体直せよ?そしたら俺とまた戦え。」
「あ、ありがとう。」
エレンは気恥ずかしそうに言った。
「じゃあねクロ。」
そういいブルーノは家から出て行った。
「本当に疑ってたけど、その気は無いのか?いや、向こうが諦めてくれることは素直に嬉しいことだけど…。」
「ブルーノ、他の狼たちに私たちの私生活を調べてもらってそう思ったんだって。」
そんな話をしていると、ちょうどその辺に2匹の狼がじゃれあっていた。ブルーノの仲間だ。
「やっほー!」
クロが挨拶をすると狼たちは「ワンワン!」と吠え、尻尾を振った。
「犬みたいだな…。」
「狼だよ!」
何故かクロは強く主張した。あまり言われたく無いのだろう。
「お兄様、本当にあの男とまた戦うのですか?それにあの男を信じていいのでしょうか?」
カレンはまだブルーノのことを警戒していた。
「僕もまだ半信半疑さ、でも、僕はクロを信じる。クロがこの結果を望んだのだから。」
エレンはクロを見つめて笑う。それに応じてクロも笑った。
「私も、エレンを信じてるから。」
「うん、ありがとう。」
エレンは遠くを見据える。
あと4日。その時に2人はまた剣を交える。それまでに強くならなくてはいけないのだ。
あの時つけれなかった試合の決着を
「待ってろブルーノ。今度こそ決着をつける!」
今回も読んでいただき誠にありがとうございます!光陽です!
新しい章が始まりました。誰編になるのかは判明するまでまだ発表しません!ヒミツです!
さて、まだ地元には残っているのですが…残れるのももう10日を切りました。寂しいですね…。
今現在異世界転生モノを書こうと思って奮闘してます。
そもそも異世界転生モノってどうしても主人公チートや、主人公が天才だとか王道になりがちですからね…難しいです…。
まあ、出来具合によっては投稿するかすら悩むところです。
これからもマイペースではありますが活動していきますので応援よろしくお願いします!
そして何故か今頃ごちうさの面白さを理解してしまいました…
ごちうさファンの皆さん、すみませんでした!