それは運命のいたずらか、それとも神様の気まぐれか。
現実世界で普通にオタク女子として生活していた私は、別に正義感とか強い訳じゃなかったけれど
イジメとかそういうのが大嫌いだった。
かと言って現実世界ではそういう相手に立ち向かえる勇気もなければ、力もない。
仮に助けられたとして、自分も殴られるか次のイジメの対象になるだけだ。
それに私も幼い頃虐められていたからされる側の気持ちはわかる。
よく仕返しすればいい、反抗すればいい。と経験がない人たちは言う。
イジメる方が圧倒的に悪いけど、イジメられる方にも責任がある。と別の人は言う。
でもそれは間違いだ。
人間という生き物は自分より弱いものを支配して、悦に浸る生物だ。
だから、奴隷なんて存在する訳で。
そして、イジメられている方は反抗すればするだけ、どんどん悪化していく。
特に女子のイジメに関しては陰険すぎて手に負えない。
そんな現実の人間に嫌気がさして、私は二次元へと逃げ込んだ。
二次元はいい。
自分には出来ないことを主人公たちがやってくれる。
自分が諦めたものを彼等は手にすることが出来る。
気付けば私も20代も後半。
自分は体験できなかった青春ものとか見るとよかったね。と感情移入してしまうし、バトルものに関しては敵キャラの過去を知ってからどんどんハマってしまうし。
そんなアラサー間近の私がまさかこんな体験をすることになるとはその時は思いもしなかった。
その日は、すごくイライラしていた。
今の部署に来てから、まともに仕事をしてくれる人が居ない。
結果として、上司からの仕事は全て私に回ってくるからだ。
そして普段は見かけても絶対介入しないのに、どこかにそのイライラをぶつけたかったのだろう。
帰り道の公園で絡まれているだろう少年を見かけた。
たかが子供の喧嘩、しかも見知らぬ子。
「ちょっと君たち大人数で一人の子責めたらダメでしょ。」
「ちぇっ。なんだよオバサン。うるせーな」
「お、オバ・・・・・・」
確かにこの子たちからしたらオバサンに見えるのかもしれないけど。
私は顔が引きつっていたことだろう。
「ちょっとしつけがなってないようね。おねーさんが怒る前にやめておきなさい」
必死に怒りを抑えながら無理矢理笑って注意すると、イジメっ子たちは
「妖怪鬼婆だー」
とまたしても失礼なこと言いながら、蜘蛛の子を散らすように走って逃げて行った。
「ったく。最近のガキどもは。・・・・・・君大丈夫?」
その様子に悪態をつきながら、私はイジメられていた少年に声をかけた。
「うん。ありがとうお姉さん。」
少年が顔を上げて私は驚いた。
私が好きな少年漫画の推しキャラにそっくりだったからだ。
「どういたしまして。君、名前は? 一人でお家帰れる?」
「
「千夏くん。お家どの辺? 送って行こうか?」
「うん。」
なんとも暗い子いや、大人しい子だろう。
私は子供が苦手だ。
騒がしい。というのが一番の理由だが、子供に限らず無口な子も苦手である。
ともあれ、その日は千夏くんを家まで送って私も帰宅したのだが、彼のあの目は私と同じく現実世界に絶望してる目だったなぁ。
などと考えつつ、その時まだはもう接点はないと思っていた。