「なっ何!?」
近藤一味が周囲を確認するが、声の主は見つからない。
そりゃそうだろうさ。
「出てこい、誰だ!?」
「夜風が気持ちいいこんな日に、レディーに乱暴なんてするもんじゃないですよ。」
セリフが違うのが気になるけど、まずはなんであんな所に居るのか『拳聖 緒方一神斎』
「ほら、お月様も悲しんでいる。」
「てめぇっ! 一体そんなところで何してやがる!!」
「散歩ですよ、夜の散歩。」
皮肉かな、登場の仕方が仕方なだけにヒーローに見えるのが悲しい。
そう言って地面まで、ほぼ素足ジャンプしてきた訳だけど。
(いくら鍛えてるとはいえ、痛くないのかな・・・・・・)
それからはもう、あっという間だった。
別に殺されそうになっていた訳ではない。
まぁ、ある意味殺されるより質が悪そうな展開だったけど
"目撃者"という意味では、拳聖を殺そうとする近藤一味だったけど、むしろ返り討ちに遭い
バーサーカーモードで一蹴されましたとさ。
「無事か? 少年とお嬢さん。」
「・・・・・・」
「お陰様で」
唖然とした表情のなっつんの代わりに一応お礼を言っておく。
「そうかい。・・・・・・」
なっつんが武術をやるきっかけになるセリフを待っているのに、一向に話す気配がない。
それどころか、何故か私をじろじろ見ている。
「な、なんですか?」
まさかのロリコンか。と思わず疑ってしまった。
「こりゃまた・・・・・・凄いなお嬢さん。夜永神歌流の血筋かそれに、武術を習っている風でもないのに達人並みの才能もありそうだ。」
「夜永神歌流(やえいしんかりゅう)?」
力という意味では、薄々感じていた。
孤児院に行ってから、隠れて梁山泊でケンイチことケンちゃんが習っていた技を真似してみたことはあった。
現実世界でもやりたかったけど、運動神経の都合上無理だったからってのが理由なんだけど。
やたら、身体能力が上がっている。というか、体が軽かったというか。
だからと言って、修行したとしても達人になれるほど才能があるとは思えないんだけど。
「おっと、喋りすぎたかな。」
(夜永神歌流って私が考えてた流派じゃ・・・・・・?)
話を逸らすように私の手錠を素手で壊すと、なっつんの方へと歩いて行った。
「いいか、少年。他人を従えようとするならば、まずは己の支配者になることだ。頭のてっぺんからつま先まで、自分を完全に意のままに動かせるようになれ!!」
そう言って、なっつんの手錠も素手で破壊した。
(それでいいのか。手錠よ。)
「少年よ、武術を学べ。・・・・・・そうだな。あのお嬢さんを少なくとも守れるくらいには強くなれよ。相当手強いだろうけど」
「!?」
何か小声で追加して言っているようだけど、少し離れているから聞き取ることは出来なかったし、結局なっつんに後で聞いても未だに教えてもらえない。
ただ、何故か小声で追加した部分に赤面していたようにも見えた。
その後、なんとか会社に残ったまともな社員たちをとりまとめ、槍月さんに最高級の酒34ダースと2本で師事を仰ぐことになる。
しかし、よく正確に数まで覚えてるよなぁ。と関心してしまった。
ちなみに流れから、槍月さんとは知り合い程度になったけど。
やはり、拳聖と似たようなこと言われたみたいで、同じような反応してたなぁ。
なんて言われたのかは、やっぱり教えてくれなかったけど。