金曜日。俺は学校帰りに近所の総合病院へと足を運んでいた。用件は先日階段から転落して骨折し、入院を余儀なくされていた伯父の見舞いである。
「具合はどう? 右足、ポッキリ逝っちゃったんだろ?」
「ああ、体の方はもう大丈夫なんだけど、排球部の方に顔が出せないのが辛くてね……」
「だよな……」
初めて見る伯父のしょぼくれた顔付きに思わず納得する。確かにこの人は自分の運営している体育館を部活で利用しているN校の女子排球部の面々と触れ合うことを楽しみにしているので、そういう意味では今の状況は辛い以外の何物でもないだろう。
「とりあえず、歩けるようになるまではこの退屈という名の牢獄で患者生活だ。せめて美人看護婦が体調を崩している様でも見て目の保養にでもしたいところなのだけどな……」
伯父がガラにもなく窓の外を見ながらたそがれる。やはり心のオアシスが遠のいてしまえばいかに図太い俺の伯父でも萎れてしまうものなのか。
――バタン!
そんな時、病室のドアが開いて人が入ってくる。
「あんたは……」
そこにいたのは以前ここで俺に採血を施した顔馴染みのナース――有希代さんだった。
「ゆ、優太さん、ちょっと私に代わって患者さんの検便をお願いします!」
有希代さんが有無を言わさず俺に検便道具一式を押し付けてくる。
「別に良いけど……患者はどこにいるんだ?」
「こ、こ、このフロアの女子トイレに待機させています! だから、早く、いそい……ぐっ、ぐぅえぇぇぇっ!!!」
ビチャビチャビチャッ!! ビチッ、ビチビチビチャッ! ビチチッ……!
限界が迫っていたのか有希代さんは言葉の途中で床に向かって盛大に嘔吐した。
「ゲエェェ~~ッ……ゲヘッ、ゲホッ、ゲホゲホゲホッ!!」
程なくして床上に吐瀉物の海が出来上がる。その中には、うっすらと生牡蠣のようなものが混じっていた。
「有希代さん。検便の患者はともかく、あんたは……」
「……優太君。ここは私に任せて君は検便の応援に行ってあげなさい」
検便道具を持ったまま躊躇(ちゅうちょ)している俺の背中を伯父が押してくれる。
「伯父さん……」
「有希代君のゲロケアは私が責任を持って引き受ける。だから君は今すぐ彼女のワークケアをしてあげるんだ。いいね?」
「……はい!」
俺は力強く返事をすると、有希代さんの背中を少しだけさすってから女子トイレへと直行した。
「…………」
トイレで待ち受けていた有希代さん言うところの『患者』は、一目で分かるほどに気丈さがにじみ出ている高校生ぐらいの女の子だった。
「よぉ。テメエ野郎のクセしてなんで女子便所にいやがるんだ?」
「いや、その……ナースの有希代さんに代わって、君の検便を採りに来たんだけど……」
「何だとぉ!?」
ギュム~~ッ!!
少女が検便という言葉に反応して、俺のチンコ (勃起版)を握り潰しそうな勢いでつかんでくる。
「なんでテメエがあたしのクソ採り係なんだよ! 有希代はどうした有希代は!?」
「それが……さっき病室でゲーゲーしちゃって、それどころじゃなくなったって言うかさ…………」
「ケッ、しょーがねえなぁ!」
事情を察してくれたのか、少女は一つ舌打ちをするとチンコから手を離して個室へと入って行く。
「おい、さっさと済ませるぞこのチンポムックリ野郎」
「わ、分かってるよ」
俺は彼女のノリに戸惑いながらもその後を追って和式便所の個室へと同行したのであった。
プシャァァァァァァァ~~~~ッ!!
少女は段差型の和式便所に屈むや否や、むき出しの下半身から洪水のような勢いで放尿を開始した。
「ず、随分と我慢してたんだな」
「うっせーなぁ、あたしがションベン溜め込んでちゃ悪いのかよ!」
ブボオッ!!
少女が俺に臭わせるかのように肛門を開いて大きなオナラをする。その臭気はかなりのもので、スカンクのガスを蓄積させたかのような悪臭が俺の鼻腔に突き刺ささっていた。
――それにしても、ザラザラとしていて手入れ不足な尻だよな……!
オナラの臭いもさることながら、俺はその発生源である少女の尻の汚さ――汚尻(おじり)っぷりに色々な意味で興奮する。この子は口が悪いながらも結構な美少女だというのに、下半身の方はこんなにも薄汚れているのか。
――まさにギャップ萌えの極みってヤツだよな…………
俺は膨れ上がったチンコをビクビクさせながら、少女の尻を穴が開きそうなぐらいの勢いで凝視する。
「おい、クソ野郎。お望み通りウンコしてやるからさっさと採ってくれよな」
だが少女は俺など眼中にないといった具合にそう言い放つと、開かれた肛門から当然のように脱糞を始めたのである。
ムリムリメリリッ……ムリリッ! メリメリッ、メリリッ! ムリュムリュムリュッ!
少女の尻から太くて臭いウンコがひり出され、便器の中に茶色の山を作り上げていく。だけど、その山のところどころには独創性を醸し出すかのように黄土色の異色地帯も混じっていた。
――へへ。臭ければ臭いほど余計に興奮しちまうぜ……
俺は頬を緩めながらヘラと容器を取り出して採便の準備に取りかかる。
「じゃあ、尻の下を失礼するよ」
俺は少女がひり出した最後の便の茶色い部分をヘラですくって容器へと盛り付ける。
「……………」
ふと前を向くと、俺の視界には払拭前の少女の尻がどどんと映し出されていた。
「あ、あのさ……ついでに尻を拭くのも俺が…………」
「ケツに触ったらぜってーに許さねぇからな」
「――ッ!」
脅しの言葉をかけられて、俺はあと数ミリまで迫っていた指をあわてて引っ込める。
「ふん」
少女が俺に目をくれることもなく自分の手で尻を拭き始める。どうやら俺ごときではそこまでお近づきにはなれないということらしい。
「……ウンコ採ったんならとっとと出て行けよ、ここは女子便所なんだぞ」
「あ、ああ、分かってるよそんなこと」
俺は検便道具を袋に戻して胸ポケットに入れると、振り返ることなく個室を離れてトイレから立ち去った。
あんな対応をされ続けたというのに、なおもチンコをビンビンに膨らませながら――
「採便の代行ありがとうございました、おかげで本当に助かりました」
伯父の病室に戻って有希代さんに検便袋を渡した俺は、開口一番彼女から感謝の言葉を頂いた。
「いや、俺は別に良いんだけど……有希代さんこそ具合の方はどうなんだ?」
「はい☆ さっきア〇エリアスをたっぷり飲んだおかげで完全回復です」
有希代さんが親指を立てながら俺に復調ぶりをアピールする。その脇では、伯父がニヤニヤと怪しい含み笑いを浮かべていた。
「悠作さんも、事後処理のお手伝いありがとうございました。息を荒げて大変そうだったのに、無理をしてまで手伝って下さいまして本当に感謝しています」
「いやいや、お礼なんてとんでもない。むしろ私としてはラッキーだったぐらいですよ」
「え? どうして私が吐いてラッキーだったりするんですか?」
「おっと、こちらのことなので気になさらないで下さい。それよりも、ほら」
伯父が上手い具合に自分の性癖をごまかしながら病室の入り口を指で差す。
「あっ……」
すると、そこには先ほど採便で俺に悪態をつきまくっていたあの少女がいた。
「有希代さん、早く私のウンチを持って検査室に行きましょ☆」
少女が先ほどの姿が嘘のような可愛らしい笑顔と物言いで有希代さんに声をかける。
「そうですね。それじゃあ優太さん、悠作さん。私はこれで失礼します☆」
有希代さんはそんな少女に何一つ疑問を抱くこともなく笑顔で応じると、俺たちに一礼をして彼女と一緒に病室を後にした。
「……いやはや、入院生活というのも案外良いものですなぁ優太君」
「だよね……俺、こんな経験が出来るんだったら毎日でも伯父さんの見舞いに行きたくなっちゃったよ」
――ガシッ!
男二人が残った病室で、俺たちは互いの甘い記憶を脳裏に刻み込みながらガッチリと握手を交わす。
時刻はもう夕飯時だったけど、俺たちの頭の中は既に夜のオカズでいっぱいになっていた。