合宿1日目。宿泊地である『春野温泉』に到着した俺と排球部の面々は、小さなロビーの中で束の間の休息を取っていた。
「……はい、本日から4泊5日で予約を入れていたN校排球部です。部屋の割り振りは……」
カウンターの方を見やると、俺と同じく今回の合宿に招待されたN校OB――奈美子ちゃんが女将と思しき浴衣姿の女性相手に手続きを取っている。
「…………」
その一方で、同じく招待組の一人である派遣娘――桃美ちゃんはと言うと、売店で買った大盛りの牛丼をテーブル席でガツガツと食い散らかしていた。
「……アンタも色気のねえ女だよなぁ。腹が減ってるのは分かるけど、流石にこんな場所で牛丼はねえだろ? キ〇肉マンじゃあるまいし」
「うっせえな。じゃあカルビ丼にでもしとけってのかよ?」
「それだと二世の方になっちまうよな」
そんな桃美ちゃんを相手に他愛もない話で盛り上がりながらマッタリとした時間をやり過ごす。
「みなさーん! 段取りが済んだので地下の練習場に移動してくださーい!」
そんな中、手続きを終えた奈美子ちゃんの一声で休息に終わりが告げられる。
「よし、休憩はここまでだ! お前たち! 速やかに移動して支度に取りかかれっ!」
そして、これまでずっとソファに座ってじっと腕組みをしていた排球部顧問――江上コーチが立ち上がり、部員たちへと指示を出す。
『はーい!!』
すると彼女たちは非常に素直な返事とともに地下の練習場へと消えて行ったのである。
「おい桃美、いつまで食っている? そんなもの早く流し込んでお前も後に続かんか!」
「うっせーな、分かってるよ!」
江上コーチに催促されて桃美ちゃんが丸呑みするかのように残りの牛丼を平らげる。
「よっしゃ、行くぞ!」
ブビイィィィッ!
そして、空のトレーをゴミ箱に投げ入れると大きなオナラをかまして地下に続く階段を下りて行ったのである。
「さて、私も桃美さんに続かせてもらいましょっと☆」
今度は奈美子ちゃんがオナラの残り香をたどるかのように桃美ちゃんに続いて地下へと消えて行く。
「…………」
しかし、肝心の江上コーチは一向に練習場へと行く素振りを見せようとはしなかった。
「……何をしている優太君? 君も早く奈美子たちの後に続かんか」
「いや、あんたこそ顧問のクセに何してるんだよ。本来なら先陣切って練習場に行くべき立場だろ」
俺は地下へ行く足を止めて江上コーチの不自然な動向を追及する。だが、その理由は実に当然にして分かりやすい代物だったのである。
「うむ。我慢が出来ると踏んでいたのだが、そうもいかんと思ったのでな」
「何だそりゃ?」
「と、とにかくだ! 私もすぐに合流するから君はとっとと行っておけということだ!」
江上コーチが曖昧な言葉ばかりを言い残して地下には行かず奥の通路へと消えて行く。
「あっ……」
それが何を意味しているのかを直感で察した俺は、彼女の言いつけに従わず適度な距離を保ちながらその後を追いかけた――
春野温泉のトイレは古そうな施設ということもあって予想以上に年季の入った造りになっていた。
「…………」
古いトイレの代名詞でもある男女共用で、自分で流せない自動洗浄型の小便器が二つと木製のドアと仕切りに囲われた和式の個室が一つ。しかし、そのドアと仕切りはあまりにも小さく、下の隙間が丸空きで床に顔をすり付けなくても中が見えてしまう、そんな構造だった。
――もう入ってるみたいだな……
立ったままでもしっかり見える隙間から便器に跨っている江上コーチの両足を確認する。
「ふぅ……」
そして次の瞬間、彼女はゆっくり屈んでその巨尻を露にしたのである――
ジョロジョロジョロジョロジョロジョロジョロジョロ……………………
俺が見ていることに気付きもせず江上コーチが放尿を開始する。その黄色い液体はなかなか勢いを弱めようとせず、気が付けば便器の縁に飛び散りながらムワムワと湯気のような物を立て始めていた。
――うわっ、本当に溜め込んでたんだな……
まれに見る凄まじい排尿ぶりに俺は股間をたぎらせながら全身を火照らせる。
「…………」
激しい興奮に支配されていた俺は、いつの間にやら体を屈めて江上コーチのデカ尻に顔を肉薄させていた。
――すげえな……前にも見たことはあるけど、やっぱり江上コーチの尻は別格だぜ!!
俺は今夜のズリネタにするべくその膨らみと割れ目をしっかり瞼に焼き付ける。
「むっ……むふぅっ!」
だが次の瞬間、江上コーチは気持ち良さそうな喘ぎ声とともに特大のオナラをかましてきたのである!
ブゥーーーーッ!! ブビィィィ~~~~ッ!! ブッ、ブッ、ブブスゥ~~ッ…………ブビブビ、ブブゥッ!!!
「ぐはっ……」
不意打ちの排ガスを顔面に浴びた俺は声を押し殺しながらむせかえる。
「よし」
しかも困ったことに江上コーチはオナラを出し終えると排便をせずに水を流し、そのまま立ち上がってしまったのである。
――やばっ!
俺はあわてて踵を返すと、屁臭に満ちたトイレの中から脱兎の如く逃げ出したのである…………
トイレでの一件から十数分後。俺と江上コーチが合流した地下の練習場で、ようやく本格的なトレーニングが始まる運びとなった。
「いいか! 我が排球部は今年こそ全国区へと名を馳せる存在へと進化を遂げねばならんのだ! そのためには、この合宿でみっちりと心身を鍛え上げ……」
俺たちを直立不動で整列させた状態の中で江上コーチが抱負のような物を熱弁する。
――ま、何を言ったところでさっきのオナラの方が強烈だったとは思うけどな……
抱負(ほうふ)と放屁(ほうひ)を頭の中で掛け合わせ、俺は口元を緩めて一人ニヤニヤする。だが、そんな俺のスケベ心など江上コーチにはお見通しだったのである。
「何がおかしいのだ優太君? ハーレム状態にのぼせて正気を失くしたのか?」
「いや、気にしないでくれ。確かにのぼせてはいるけど正気は保ってるから」
俺は適当な言葉で適当に取り繕う。もちろん、さっきのことを思い出すと理性が崩壊気味になってしまうのは否定しないけど。
「ふん、まあいい。そのうち足腰はおろかチンポも勃たなくなってしまうかもしれんのだからせいぜい今は余裕を見ておくがいいさ」
ギュム。
江上コーチが鼻で笑いながら俺のチンコをしっかり握ってくる。
――あっ……
それは今までに握られた誰の手よりも心地良く、官能的な手触りのように思えた。
「さあ、お前たち! これが幕開けのシグナルだ! 速やかに練習を開始しろ!」
『はいっ!』
俺のチンコを揉むのがシグナルなのかという突っ込みはさて置き、江上コーチの一声のもと部員たちがコートに駆け足で向かっていく。
「よし、俺たちも行くぞ奈美子!」
「はい!」
部員たちに少し遅れて桃美ちゃんと奈美子ちゃんもコートへと駆け出す。
「後戻りをさせるつもりなど毛頭ないが……優太君、覚悟はいいな?」
「おう、上等だぜ!」
そして、彼女たちに遅れて俺もまた未知の領域へと駆け出したのであった――――