合宿4日目。グランドでの座禅を経て、地下練習場での血のにじむような激しい特訓を終わらせた俺たちは、食事もそこそこに自分たちの部屋で横たわっていた。
「優太……いよいよ明日で終わりだな」
隣で大の字になって天井を見上げている相部屋の桃美ちゃんが感慨深そうにそんな言葉を口にする。
「ああ。この数日間、長いようであっという間だったような気分だぜ」
俺もまた天井を見やりながらため息まじりにそんな言葉を口にする。
「なんつーか、不思議な気分だよな。お前とはこの合宿で知り合ったばかりだってのに、すっかり打ち解けちまってさ」
「……言えてる。多分、俺たちってものすごく波長が合う組み合わせなんだろうぜ」
桃美ちゃんの運命を感じさせるような言い回しにドキッとしつつも俺は思い付きで無難な言葉を取り繕う。だけど、波長が合うと言うのはあながち間違ってはいないはずである。
「優太。この合宿が終わっても、俺たちずっとマブダチでいような」
「けっ、言わなくても分かりきってることをわざわざ口に出してんじゃねーよ……」
あたたかい布団の中、俺はまどろみながら少しずつ眠りの世界へと落ちて行く。考えてみれば明日は帰宅日なので、この布団で寝るのも今日が最後である。
「へへ。だったらマブダチ記念に今日は俺様が一緒に寝てやるから感謝しな」
「好きにしろ、好きに……」
桃美ちゃんがモゾモゾと布団の中に入ってきたけれど、既に睡魔に侵されていた俺は二つ返事で了承して彼女と添い寝をしたのであった――――
合宿5日目。泣いても笑っても最後となるこの日、排球部の面々は地下練習場でグループ分けをして、総当たりの模擬戦を執り行なっていた。
「お前たち! 最終日なのだから、悔いを残さぬよう全力で勝負しろよ!」
江上コーチのそんな一言で幕を開けた部員たちだけによる最終トレーニング。
「…………」
幸か不幸か招待枠として合宿に参加していた俺と桃美ちゃんと奈美子ちゃんの3人はグループには入れられず、審判役として彼女たちの戦う姿を見届けていた。
――何と言うか、みんな見違えるぐらい逞しくなったような感じだな……
コートの中でその肢体から汗を舞い散らしている彼女たちの雄姿を眺めつつ、俺は漠然とそんなことを考えてしまう。
――俺としては色々な意味で大満足だったけど、この子たちにとっても意義のある合宿だったのかなぁ……
だが楽しい時間とやらは早く過ぎてしまうもので、気が付けば総当たり戦は終わりを迎えていて、ここに今合宿の全工程が終了したのであった。
トレーニング終了後。江上コーチは俺たちを集めてミーティングを開いていた。
「みんなよく頑張ったな。誰一人リタイアせずにここまでやり抜くことが出来たのは非常に嬉しい限りだ」
まずは柔和な笑顔から労いの言葉が送られる。その笑顔は本当に喜びに満たされているようで、彼女が本心から口にしていることは間違いなさそうだった。
「時折イレギュラーな事態も起こりはしたが……まぁその辺りも今となっては良い思い出というヤツだ」
「――っ!」
一瞬ながら江上コーチがハッキリとこっちを見据えてきて、俺は反射的に顔を強張らせる。
「……」
やはりと言うべきか、その両脇では桃美ちゃんと奈美子ちゃんが頬を緩めて笑いをこらえるのに必死になっていた。
「それではこれより自由行動とする! 入浴も解禁とするので、各自しっかり春野温泉の秘湯で溜め込んだ垢を洗い流してから帰るように!」
『はい!』
俺たちは力強い返事とともに解散して、思い思いの方向へと姿を消して行く。
――ガシッ!
「あっ」
しかし、俺だけはガッチリと両肩を捕まえられて自由行動を封じられてしまうのであった。
「なぁ優太……一緒に風呂、入ってくれるよな? な、な、な?」
「……どうせ拒否ったところで無理やり引きずって浴場まで連れ込もうって魂胆なんだろ」
「へへ。ご名答」
この合宿で誰よりも絆を深め合った愛すべき元気娘・丸尻桃美によって――
ザパアァァァァァン!!!
「かーっ、極楽極楽! よーやくお待ちかねのバスタイムだぜぇ!」
露天風呂の中。桃美ちゃんは何一つ隠すことなく石の床を駆け抜けると、ここぞとばかりに湯船に飛び込んでそんなオヤジ臭いセリフを吐き捨てていた。
「何だよそりゃ。アンタってこんな時でも色気のねえ女だよな」
俺は後を追うように湯船へと浸かり、桃美ちゃんの隣にゆっくり腰を落とす。
「けっ、俺は楽しむことが最優先事項なんだよ。色気なんてモンは二の次ってヤツだ」
ボコッ! ボコンボコンボコンッ!!
桃美ちゃんが湯船の中でオナラをしながら気持ち良さそうな表情を浮かべている。
「うっ……」
それは中々の刺激臭で、湯船補正を差し引いても強烈な臭いと言って過言ではない悪臭を俺の嗅覚にもたらしていた。
「ちょっと待て、ここは家の風呂じゃねーんだぞ。後から使う奴らのことも少しは考えろよ」
「うっせーなぁ、温泉で屁をしちゃいけねーなんて誰が決めたんだよ。悪いがこれだけは俺の流儀でやらせてもらうぜ」
公共の施設と言うことで口を挟んだものの、桃美ちゃんは聞く耳すら持ってくれそうになかった。
「全く。お前らは風呂も静かに入れんのか、呆れた奴らだ」
そんな中、江上コーチが俺たちの前に姿を見せる。彼女もやはり何一つ隠そうともせず、タオルを肩にかけたままずかずかと石の床を歩いて来たのである。
「優太君、失礼するぞ」
江上コーチが当然のように俺の隣へと腰を落とす。
「……」
つまり、これで俺は両脇に桃美ちゃんと江上コーチと言うデカ乳デカ尻コンビを携えてしまったというわけである。
「それにしても変な臭いがするな。……桃美、大方お前が屁でもこいたのだろう?」
「へへ、ご名答。せっかく温泉が解禁になったんだから香りづけぐらいしてやろうと思ってさ」
江上コーチの問いかけに桃美ちゃんがドヤ顔で即答する。香りづけと言えば聞こえは良いものの、つまるところ単なるありがた迷惑と言うヤツである。
「しっかり臭っとけよ。アンタが俺の屁を嗅げるチャンスなんてそうそうないだろうからな」
「ほう……随分と大きく出たものだな。ならば私もお前の誠意に応じてやらんとな!」
ボゴンッ!! ボゴンボゴンボゴボゴンッ!!!
言うが早いか江上コーチまでもが湯船の中で大きなオナラを披露する。
「ぐえっ……」「ひ、ひでえ……」
それは音や臭い、威力と言った全ての面において桃美ちゃんのそれを軽く凌(しの)いでいた。
しかし、それは更なる火種を生み出す起爆剤に他ならなかったのである。
「どうした桃美? 人に臭えと言ったのだからお前もしっかり臭わんと筋が通らんであろう?」
「や、やりやがったなコイツ!」
ボゴボゴボゴボゴボゴゴッ!!
江上コーチの応戦に桃美ちゃんがやはりオナラで反撃する。だが、そんなもの江上コーチにとっては文字通り『屁』でもなかったのである。
「ふん、小童がこの私に屁で張り合うとは片腹痛い!」
ボガボガボガボガボガボガガッ!!! ボボボボブッ!! ボゴッ、ボゴゴゴッ!!
桃美ちゃんの反撃に江上コーチがやはりオナラで反撃する。こうなってくると、もはや音が臭いがと言えるような悠長な事態であるはずがない。
「いい加減にしろよ。まだ誰もいないからいいけど、他の利用者のことも少しはだな……」
俺は二人の肢体に挟まれながらもどうにかして事態の収束を試みる。
『お前は黙ってろ!!』
ギュム!!
しかし、それは両脇から繰り出された玉握り(桃美ちゃんの方が1秒だけ早かった)によって簡単に却下されてしまったのである。
「何をしている! その薄汚い手をどけてやらんか!」
「やだね! 優太の生チンポを握っていいのは俺だけだ! テメエになんぞ触らせてやるかよ!!」
「おい、ちょっと」
いつの間にやらオナラからチンコへと焦点がズレていた二人にこんな状況下ながら笑いが出そうになる。だけど、考えるまでもなく笑っている場合ではない。
「貴様っ! 言う通りにせんと後で地獄を見るぞ!」
「ケッ、やれるもんならやってみやがれってんだ!!」
そうこうしている間に二人の争いがなおも激化する。
――ヤバい、これじゃあ…………
俺が上半身を巨乳に押し寄せられながらチンコをしごかれて、湯船の中で絶頂を迎えそうになっていたその時であった。
グルルルルルルルルルルッ!!!
突如どこからともなく変な音が聞こえてきて、俺のチンコをつかんでいた手が離される。
「は、腹痛ぇ……」「ど、どうしたと言うのだ急に……」
そして、何があったのか桃美ちゃんと江上コーチが同時に腹痛を訴える。
「あっ、優太さんたちもう入っていたんですね☆」
すると、そこにバスタオルを巻いた奈美子ちゃんが現れる。
「奈美子ちゃん。桃美ちゃんと江上コーチが急に腹が痛くなったって言いだしたんだけど……」
「あはは。ですよね、そうなっちゃいますよね……」
奈美子ちゃんは動転気味の俺に苦笑いを浮かべると、実にあっけらかんとした表情で事の真相を説明してくれたのであった。
「実を言いますとこの温泉、女性限定でとっても便通を促進する効能があるそうなんです」
『…………』
俺たちは絶句して、一斉に顔を見合わせる。つまり、桃美ちゃんと江上コーチを襲っているこの腹痛は偶発的ではなく、起こるべくして起きている、当然の腹痛だったのである――――
俺たちは大急ぎで体を拭いて服を着てから2階のトイレに直行した。ちなみに、1階のトイレは清掃中で使用禁止になっていたというオチである。
「良かったな。これならまとめて出来るからまさしく結果オーライってヤツだぜ」
目の前にある二つ並んだ段差式の和式便所に屈んでいる桃美ちゃんと江上コーチの尻を交互に眺めながら俺は安堵の息を漏らす。
そう、この温泉の2階のトイレには仕切りがなく、和式便所が二つ並んでいる『ニーハオトイレ』だったのである。
「へへ。優太に見られながら江上とケツを並べてウンコする日が来るなんて、夢みてーだぜ」
右側の便器に屈んでいる桃美ちゃんは脂汗を流しながらもどこか楽しそうだった。
「ふ……ふん! 先ほどは私も優太君の忠告を聞かずに暴走してしまったからな。だから詫びの意味を込めて君の見たがっているものを見せてやる、それだけの話だ」
一方で、左側の便器に屈んでいる江上コーチはそんなことを言いながらずっと頬を赤く染めていた。
「いいからどっちも早くウンコしろよ。もう出ちゃいそうなんだろ?」
俺は両手を伸ばして桃美ちゃんと江上コーチの尻を撫でてやる。
「……」
江上コーチの尻を触るのはこれが初めてだったけど、思った通り見た目だけでなく感触もこれまで触れてきた女尻の中でも最高レベルだった。
「こ、こらっ、調子に乗るな! そんなことをしていてはウンコが出せんではないか!」
「そりゃ失礼しました」
俺はしっかり揉みしだいた後でその巨尻から手を離す。
「うんっ、んふっ……」
すると、江上コーチはそのタイミングで気張りながら脱糞を始めたのであった。
ムリムリムリムリメリメリメリメリメリメリメリッ!! ムリメリッ、二チチチチチッ!! ムリュムリュメリメリメリッ!! ブリブリッ、ビチビチビチビチビチビチビチビチッ!!
開かれた江上コーチの肛門から激臭を放つ塊が次々と産み落とされる。その塊は茶色を基調として形成されていたものの、ところどころに黄色や黄土色が紛れ込んでいた。
――ついでに言うと、終盤は下痢便だったかな……
俺はチンコを固くさせながら、その様子をしっかりと脳裏に焼き付ける。
「優太、そろそろそのエッチな手をどけてくれ。俺もウンコしてえ」
「あ、ごめん」
俺はずっと鷲づかみにしていた桃美ちゃんの尻から手を離す。
「うぅ~~!!」
すると、桃美ちゃんはうめき声を立てながら脱糞を始めたのであった。
ムリムリムリムリメリメリメリメリメリメリメリッ!! ムリメリッ、二チチチチチッ!! ムリュムリュメリメリメリッ!! ブリブリッ、ビチビチビチビチビチビチビチビチッ!!
桃美ちゃんの尻からも悪臭漂うウンコが次々とひり出される。
「ふーん……」
面白いもので、その便質は先ほどの江上コーチのそれと酷似していたのである。
――違いがあるとすれば、端々に人参とかトウモロコシが混じっていることかな……
俺はその光景も江上コーチの排便姿と並べる形で記憶の中に刻み込む。
「はあ、ようやく落ち着いた」「ああ、俺もだ」
ジョロジョロジョロジョロジョロジョロジョロジョロジョロジョロジョロジョロ…………
目の前ではウンコを出し切って一息ついていた桃美ちゃんと江上コーチが同時に放尿をしていた。
「……」
俺は身を乗り出して前側からその様子を覗き見る。思った通り二人とも尿の色は露骨なまでに黄色がかっていた。
「…………」
どちらもオシッコが出ている部分にはビッシリと毛が生えそろっていて、肝心なピンクの秘境はほとんどが包み隠されていた。
「何だ? 覗いたってテメエのチンポは入れさせてやんねーぞ」
「優太君、大概にしないか。誰もマ〇コまで見てもいいとは言ってないぞ」
やはりと言うべきか、どちらからも厳しい言葉が飛んできたので俺は身を引いてこれ以上のオマ〇コ観賞を断念した。
「ったく、このエロガキめ……っておい」
「ま、マズいなこれは」
だがその後で初歩的ながらあまりにも致命的な大問題が発生してしまう。
「おい、まさか……」
「ああ、そのまさかだよ。ここのトイレ、どっちも紙切らしちまってるんだ……」
その時、俺は初めて桃美ちゃん(と江上コーチ)の青ざめた顔を見てしまうのであった…………
『紙がない』事件から5分後。どうにかしてペーパーを調達して来た俺は、再び桃美ちゃんと江上コーチの尻が並ぶトイレの中に戻っていた。
「ほら、ペーパー持って来てやったぞ……って言うかまだウンコ流してねえのかよ。これいくら何でも臭すぎるぞ」
「悪い、すっかり忘れてた」「すまん、私もそこまで頭が回らなかった」
普段強気な彼女たちの狼狽する姿に俺はふとあることを思いつく。それは――
「なあ、俺に尻を拭かせてくんねーか?」
『はぁ?』
俺の爆弾発言に彼女たちが同時に否定的な反応をする。しかしペーパーを持っているのが俺である以上、その権限は俺にあるはずだ。
「おい優太、前に言っただろ。俺は一番好きな男にしかケツは拭かせねえ、お前は二番目だからダメだってよ」
「優太君、あまり調子に乗らないでくれ! いくらエロに寛容な私とは言えど、君に尻を拭かせるなんて……」
「あ、そう。だったらこのペーパー、元の場所に戻してくるわ」
「た、頼む! ケツぐらい拭かせてやるからそれはやめてくれ! 今日だけはお前が一番だ!」
「う、うむ。最近、年下の男に排泄介助をしてもらうのも悪くないと思い始めていたからな。君が拭いてくれると言うのなら、拭かれてみるのも悪くない」
俺の対応で桃美ちゃんと江上コーチが態度をガラリと急変させる。そりゃあ確かにそうなるだろうけど、見ている分には実に面白い。
「よし、模範解答だ。それじゃあ一緒に拭いてやるから二人とも両手で尻を固定しといてくれ」
「おう」「こ、こうか」
俺に言われるがまま桃美ちゃんと江上コーチが自分の尻に両手の指を添える。とりあえず、これで下準備は完了だ。
「いいか、拭き終えるまで絶対に離すんじゃねーぞ」
俺は適量にちぎったペーパーを二つ手に取ると、右手で桃美ちゃんの、左手で江上コーチの尻を拭き始めたのである。
「ケッ、優太にしちゃあ良い手付きをしてんじゃねーか」
「な、何と言うかこそばゆい気分だな。まるでプロの痴漢に尻をまさぐられているみたいだ」
「気持ち良いだろ? 何たって俺の場合は家で従姉妹たちの尻を何度となく拭いてきてるからな。テクニックに関しては金メダル級だぜ」
もちろん羽〇選手とは全く違う才能を全く違う形で開花させているのだけど、その辺りはまぁ置いておくとして。
「それにしても、拭いても拭いてもベットリ残ってるよな。こんだけ出せば大分スッキリしたんじゃねーのか?」
「ああ、スッキリしたよ。これで帰りのバスの中でも心置きなく飯が食えるって話だぜ」
「ま、まぁしばらく通じに恵まれていなかったからな。おそらく今出したもので宿便は全て処分出来たと考えて問題ないだろう」
ボブウゥゥッ!! ブウゥゥゥゥゥッ!!
桃美ちゃんと江上コーチがまんざらでもないと言った感じの表情で一緒にオナラをする。さっき湯船であれほど出しておいてまだ出てくることに驚きはするけれど、先ほどまでのギスギスした空気が取り除かれたのは間違いなさそうだったので一安心である。
「なあ江上コーチ。また合宿する機会があったら呼んでくれるよな?」
「当然だ。その時は今回以上に激しい特訓になるだろうが、しっかりと頑張ってもらうぞ」
「へへ、上等だっての」
桃美ちゃんと江上コーチが便器に屈んだ体勢のままでグータッチを交わす。
「おいおい、その時には俺も混ぜてもらうから忘れないでくれよ」
「無論だ。優太君、次は今回以上の覚悟をもって臨んでもらうからそのつもりでな」
「へへ。次やる頃には優太のチンポがどれだけでっかくなってるか、楽しみだぜ」
俺もまた、彼女たちの尻と局部を拭きながら、さり気なく次の約束を取り付ける。
――桃美ちゃん。次の合宿でも一緒になれたなら、その時は、俺……
口に出したい言葉をグッと心に押し込みながら、気を紛らわせるかのように一つ大きく息を吐く。
こうして合宿最終日・春野温泉最後のトイレタイムは最高のシチュエーションとともに、俺の心に素晴らしい思い出を刻み込んだのであった――――
「ウンチッチ~~☆ 盗撮するなら和式でしょ~~」
合宿終了後。帰りのバスの中、江上コーチ(&お堅い部員数名)の爆睡をいいことに奈美子ちゃんのカラオケが響き渡っている中、俺は自分の座席で持参していた漫画を読みふけっていた。
「何だ優太? こんな時まで漫画タイムとはお前も寂しい奴だなぁ」
「バスの中でカルビ丼を食ってるような奴が言えた口かよ、キ〇肉マン二世じゃあるまいし」
隣の席から冷やかしてくる桃美ちゃんに俺はぶっきらぼうにそう伝えてやる。
「ま、言ってしまえば俺たちって似た者同士だよな」
「何を今さら」
俺たちは見つめ合いながらさり気なくキスを交わす。
「……」
一部の部員の子にしっかり見られてはいたけれど、それでも俺たちは一向に構わなかった。
「次も絶対に一緒だからな。もし約束を破ったら見つけ出してチンポ握り潰しちまうからな」
「分かってるよ。こっちだって桃美ちゃんに入れるまでは潰されるわけにいかねーもんな」
話していることはやや過激だったけど、今の俺たちの間には強い信頼関係が出来上がっていた。おそらくそれは今後も持続され、やがて揺るぎない絆へとなっていくのであろう。
――最初は色々心配もしたけど、終わってみれば結構楽しかったよな……
これまでのことを振り返りながら、えも言えぬ感慨深い気持ちが込み上がってくる。気が付けば俺は漫画を読むことをやめて、漠然と窓の外を眺めていた。
「……………………」
やがて窓に映る視界から春野温泉が消え、少しずつ現実に戻されて行くことを実感する。
――またいつか、きっと……!
俺は心の中で誓いを立てると前を向き、数多の思い出を胸に再び始まる日常へと気持ちを切り替えたのであった。
「愛してるぜ桃美ちゃん」
「俺もだぜ、優太」
この合宿で出会った誰よりも愛しき人・丸尻桃美の存在を糧にして――――
これにて『合宿編』は終了となります。
長らくお付き合い下ってありがとうございました。