―――この学園都市と呼ばれる街はある意味特殊だ。
卒業生も、そうでない学生もそのまま学園からのコネクションを利用して都市部に店舗を開き、そのままそこで生活や商売を始めるというケースもあり、年々都市部は拡張に拡張を重ねて大きくなっている。だがこの都市、ある程度は住宅街や商店街、等区画が分けられている為、そこまでごちゃごちゃと混雑している訳ではない。ただ、拡張を重ね続けた結果、学園を中心に、その南部、東西に分かれる様に広く広がる様な形をしている。この端から端への移動はかなり距離があり、時間がかかる。そういう訳で初めてここに来た人間は町全体を見て回るのに数日時間を要する。
そしてそこから更に数日、街の細部を覚えるのに消費する。
それだけここは大きい。都市内で馬車が走っているぐらいには。ただ一部の戦闘科の学生がこの広さに便乗し、己の体力や能力を利用して新聞配達を屋根の上を走ったりして行っていたり、誰かを背負って移動する軽い運び屋なんてものをやっていたりもする。その為、昼間の間にちょくちょく屋根を走り回っている学生の姿はそこまで珍しいものではない―――あくまで、この都市に限った話だが。当たり前の話だが他の都市でこんな光景を見る事はまずない。
ともあれ、重要な事は。とてもだが一日で探す事の出来る範囲ではない、という事実だった。表通りだけではなく、改築に改築を重ねて複雑になった旧市街や廃屋となってしまった幾つかの物件、秘密基地にしようと思えば出来る場所は割と多く存在する。そこからヒントや潜伏場所を探し出すのは至難の技だろう。故に最初は簡単な事から始める。
一番最初にやろうと思ったのは唯一の入り口である南門の監視だった。図書館で超大規模転移に関して軽く調べれば、幾つかの事実が浮かび上がってくる。まずどんな転移であろうとも、それが見えない範囲からの転移であり、一定数以上の存在が同時に転移を起こす場合、最低限開始地点と出現地点を転移魔術で結びつける必要がある。その為、まず転移先の指定として都市部内にポーターが存在しなくてはならない。つまり、既に潜り込んでいるのか、或いは朝から昼の間に入り込んだかのどちらかになる。
システィナとの話をまとめた結果、可能性として一番高いのは零周目で目撃した黒髪の少年だろう。あまりにも戦場には不釣り合いで、存在するべきではない様な少年だった。だが強者である傭兵から守られる姿を見れば、少年がかなり重要視されているのが解る。そして黒髪は純人種での異世界人としては最も多い特徴でもある。自分や父の様に遺伝で黒髪という場合もあるが、顔立ちが此方の人間とはまるで違っていた―――おそらくは異世界人だろう、と予測はしている。
そして異世界人は次元回廊を抜けて此方の世界へと放り出されている為、
そういう理由もあり、異世界から流れてきた魔王や異世界人は時空系魔術のプロフェッショナルになる確率が高いらしい―――自分も、ロシュ教授からそういう事で異世界人が書いた時空魔術に関する検証や論文は勉強の為に何度も確認させて貰っている為、そこは自信を持って言える情報だ。
だからこそ、あの少年が異世界人で、ポーターの役割を担っているのだと判断した。
調べ直して確認する異世界人の特徴は黒、黒に近い茶髪に顔が小さく丸い事が特徴的らしい。実際、此方とは結構顔立ちが違う為、一度見れば忘れていない限りは直ぐに此方の人間とは違うというのが解る。故にそれを頼りにまずは探す―――と言っても闇雲に、ではない。無論、やり方は考えてある。
この学園の都市は幾つかの区画に分けられているが、大門は一つしか存在せず、都市への入場は一人一人確認されている。しかもあの門番はどうやら手練れらしく、明らかに俺よりも強くもある為、隠れて突破するというのは非常に難しい。そういう訳で入口は一つ―――忍び込まない限りは。当日に到着して準備をしたというのであれば、絶対に入口を通る。
ならそこを見張って確認すればよい。
―――それで一日を消費する。
目的の相手は出てこなかった。
夜にまで進まず、暗くなったところで首を斬り落として自殺し、新たに一日を開始する。結局の所、丸一日入口の監視に使ったところで変装込みでそれらしい人物は一切街に入ってこなかった―――つまり、事前に潜入しているケースになる。そうなってくると入口を監視した所でどうにもならない。相手が潜伏している場所を割り出す必要が出てくる。
本当にそこにいるのなら。
証拠が存在する訳ではない。本当にいるかどうか何て解りはしない。これが全て徒労で終わる可能性の方が大きい。穴だらけの理論を持ち出しているのは事実だし、相手が真剣に考えた作戦であればもっといいものがあるかもしれないと思う。だがそれは自分には思いつかない。そしてそれしかできない。学んだ事は対人戦や軍団戦ではなく、狩猟者の技術だ。調べ、潜み、ひたすら耐え、そして隙が生まれた瞬間に食らいついて殺すというやり方だ。それしか知らない。学ぶ途中ではあるが、これしか今は出来ない。
ならば実行するだけだ。
町全体を走り回っても効率が悪い。その為、取る手段はシンプルに一定の区画を監視する、と言う前日にやった手段と同じことをやる。相手が建物の外に出る可能性は、そう高くはない。とはいえ、これはパターン化されている住人の行動を把握する為にも意味のある行動でもある。実際、この夏休みの間に一体誰がどこで何をしているのか、少なくとも知り合いの中でどういう事をこの日はしていたのか、それを知っている訳ではない。朝・昼・夜、と人間の行動は変わり、しかしループされる日常の中では干渉しない限り不変のパターンとなってループし続ける。その為、システィナと作業を分割して一定区画を朝・昼・夜と監視、記録し、そしてそれを記憶する。
一番最初に監視すると決めたのは宿の多い区画だった。まず一番最初に滞在するのであれば迷う事無く宿を選ぶだろうし、それが一番安全だ。名前や足跡は残るが、堂々としていれば基本的にバレないものであるらしい。とはいえ、姿は覚えている為、見れば解る。堂々としていても同一人物だ。宿のある場所を見張る。そういう事にする。
結論から言えば見つからなかった。隠れて自殺するのも面倒なので道路の上で首を落して次周に入った。そして無論、宿から誰かが出てくるのを確認できなかった。夏というシーズンが休みなのはここぐらいだ。世間一般で言うと一番忙しい時期だとも言える。この先にある秋、そしてその後に続く冬に備えて作物を育てたり収穫したり、死なないように備える必要があるからだ。そんな心配をしなくていい帝国は国力がまるで違う。そう言う事で宿にいる人間は少ない……とはいえ、乗り込んで調べようとすれば露骨に怪しいし、探すのは先にもっと広い範囲で探ってからの方が効率が良いだろう。そう言う事で場所を移す事にする。
それに平行して魔術の鍛錬も行う。といっても練習するのは光の魔術、最近多用している光の糸だ。発動に依然詠唱紙を使用する必要があるので、思考を分割して見張りをしながらも術式を頭の中に記憶させるように叩き込んで行く。分割思考は魔術を使う為には必須とも言えるスキルだ。一つの事を考え乍らもう一つ、別の事を考える技術は魔術の無詠唱化の為には通らなくてはならない道だと言っても良い。無論、自分もある程度は習得している。そしてその精度を上げる思考の訓練を繰り返して記憶力を上げ、頭に完全に術式を叩き込む事で完全な無詠唱化を完了させられる。
光の糸は様々な状況で、色んな目的で利用できる。罠、探索、攻撃、尾行、探知、と多岐に有用性がある。そういう事もあって時空関連よりも学園に来てからは真面目に勉強してこれの改良と無詠唱化をずっと目指していた―――ただ監視し、自殺するだけでは暇なのもいい事だ。少しでも武器を増やす為の自己鍛錬を怠らない。
死ぬと生命と肉体的な部分はリセットされる。
だが情報や記憶、精神状態は引き継がれる。なら勉強した事は死んでもそのままだ。この時間を修練と勉学に当てないのは勿体なさすぎる。
そんな事を考えながら狩猟で慣れた探索と索敵をひたすら一つの区画で繰り返す。頭の中で思考を分割して思考訓練を行いつつ、探し人が存在するのか、その気配を、強者の気配を求めて歩き回り、ひたすら情報に進展を求める。そうやって魔術の練習と相手を探している間に空は何時の間にか暗くなっていた。空には炎が浮かび、襲撃の時間が迫っていた。
このままもうしばらく待てば、クレアが殺されて犯されるのだろう―――その前に糸で首を切断した。
システィナがこれに本当に意味があるのかどうかを訊ねて来た。それに対する言葉は決まっている―――成果が出ない限りは限りなく無意味である、と。そもそも狩猟は一種のギャンブルだ。技術があるだけでは成功しない。獲物を見つけ出す運も必要になってくる。運と技術、その両方が揃う事によって漸く成功する事が出来るのだ。その為、成果が出ていない今はまだ無意味だという言葉しか出なかった。それを受けたシスティナがジト目を送ってくるが、そもそも1日や2日で結果を出るのかと思っていたのか、この女は、と軽く呆れていた。
結果を出す為ならそれこそ1日や2日ではなく、1週間でさえ潜んで狙い続けるというのが狩猟の基本だ。だとしたら1回や2回死んだ程度で成果がない事を考えるのは馬鹿馬鹿しい。文句を言うのなら最低でもそれぐらい耐え抜いて欲しいと言うとシスティナが妙な表情を浮かべた。転生体で記憶がなく、精神的には人間だが、それでも肉体は神なんだからその気になればそれぐらい出来るだろうに、と言えば更に渋い表情を見せられた。
―――成果なし。ここ数日もそうであったように首を断って新たな一日が始まる。
何度も何度も自殺してもそれに慣れる気配がない……慣れるべきでもないのだろうが。経験者であるシスティナが言うには死とは究極のストレスの形、であるらしい。人間としての本能で死とは忌避するべきものであり、同時に健康的である時は絶対に受け入れる事の出来ないものである。それを受け入れようとするのは生物的に拒絶反応が出る。その為、死の想起は膨大なストレスの原因となるらしい。
自分から死を受け入れる―――と、考え、行うとしても戦闘を含めた死に近づく行為はどれだけ理性で飼い慣らしたとしても理解していない、認識できない領域でストレスを蓄積し、何時の間にか心と体を完全に破壊するらしい。戦闘に関する話は自分もよく知っている。その為、毎日の様に戦う人間はほとんど存在しない。戦った後は娼館に行って女を抱いたり、或いは金を出して飲んだり、娯楽に興じる事で無意識下のストレスを解消するのだ。
そして自殺、自殺未遂はそのストレスの量が他の行動とは桁違いのレベルで強いのだとシスティナは言う。その理由は死に近づくのではなくそのものを経験するという事であり、本来
だがそんな余裕はない。そのまま監視を続行する。
夜になる。成果はなかった。
場所を変える。潜む。思考を分割する。学ぶ、監視と索敵を行う。
成果なし。
区画を変える。同じことを繰り返す。しくじり続ける限り仲間が死ぬという事実が、その恐怖が体を突き動かす。休まず作業を続行する。死ねば一日の疲れがリセットされるため、休まず作業を続けられるのは悪くない。
成果なし。
「流石にもう限界」
「あ?」
見慣れた朝を迎え、システィナが成果報告を行う為に家にやってきた。朝食と朝の諸々を終わらせてからシスティナを家に向かい入れた時に放たれた第一声がそれだった。元気そうに見えるシスティナの姿を見て何が限界なのだろうか、と首を傾げようとしたところで襟首をいきなり掴まれ、家の外へと引きずり出された。あぁ、家の鍵を閉めてない―――とは思ったが、どうせ死ねばリセットされるのだから泥棒が入ろうが関係なかったな、と開き直る。そのまま、システィナに襟首を捕まれ、引きずられるように街中に連れ出された。
「おい」
言葉を投げるが、システィナはそれを一切意に返さず、そのまま此方を引きずるように道路に出た。そうなってくると周りから視線を向けられるのだが、システィナの制服姿を見てあぁ、また学園……みたいな納得した表情を向けられて即座に興味がなくなる辺り、実にこの街はユニークだと思う。それはともかく、此方の言葉をシスティナは無視するので、
「おい、システィナ」
今度は名前を呼ぶ。だがそれすら無視してシスティナは此方を引っ張って行く。流石にイラっと来るので抜け出そうとしたりするが、その握力が強すぎて抜けようとすればまず間違いなく服が破れる―――公衆の面前で死ねばなくなる事実ではあるが、ストリップするのは正直ごめんだ。大人しくそのままずるずると足を引っ掛けない様に気を付けつつそのままシスティナに引きずられていると、やってくるのはメインストリートの方だった。
そこでとある店まで引っ張ってくると、店内まで此方を引きずり、足を軽く扉にぶつけて痛い、と思いながら冷気の効いた店内、ソファ型の椅子に向かって座れ、と視線と首の動きで指図される。その視線には有無を言わせぬものがある。近くのケースを見れば、そこには様々なケーキが飾られているのが見える。
窓の外から見える吊り下げられた看板を見れば、ケーキ屋という文字が見えた。
「システィナ」
「座りなさい」
「システィ―――」
「座りなさい」
「シ」
「座れ」
システィナが指の骨をポキリ、と鳴らした。実力行使も厭わないというその迫力に敗北し、このループ中のパートナーに従って素直にソファに座る事にした。その光景をカウンターの向こう側で見ていたのか、エプロン姿の店員が小さく笑っているのが見えた。どうせなら笑ってないで助けて欲しいと思う。が、それは無駄らしく、システィナは対面側に座る。不満げな表情を見せるシスティナは此方を軽く睨めつけている。正直、ここまでシスティナを不満にさせる理由が自分には思いつかなかった。何かしたか? 生理か? かと思うがおそらくは違うだろう。不満げな表情を浮かべているシスティナに対してどう言葉を切り出すべきか、と考えていると、
「エルディレイ」
「なんだシスティナ」
「私がなんでこんなにも苛々しているか解る? ……くだらない冗談を言う様だったら迷う事無く本気で顔面を殴り飛ばすから。その覚悟だけはしておいてね」
「いや、さっぱり解らん」
迷う事無く返答を返すと、システィナが溜息を吐きながら、しかし片手で顔を抑える様にテーブルに肘を突いた。解らないのなら解らないで即座に判断を下したほうがいいのじゃないか? という考えだったのだが、それでは駄目だったらしい。ならばどうすりゃあいいんだ、と思わなくもない。その思いに応える様にシスティナは溜息を吐きながら此方を見た。
「―――今の貴方、見ているこっちの方が怖いのよ」
その言葉に首を傾げる。それを見たシスティナがそう、そこよ、と指摘する。
「少し前までの貴方は良い意味で自信があったわ。何かあるならもっと柔軟に対応するような印象もあった。だけど今ではまるで硝子の刃の様よ、貴方。切り裂いている最中は揺ぎ無く凄まじい切れ味を発揮するけど、それが終わったら脆くも崩れそうなそんな感じ。見ている方が心臓に悪いのよ。何度も何度も何度も迷う事無く切り落として」
「いや、ただ単純に己の分を弁えた、って奴だよ。寧ろお前には感謝しているよ、システィナ。こんな状況にならなきゃ自分を変える事は出来なかった。己の器というものを知る事は出来なかった」
そう、システィナのおかげだ。システィナがいたおかげで死から蘇る事が出来た。
「お前がいなきゃ死んでそれで終わりだった。だけどお前がいたおかげで俺は自分の根本にあるものを良く理解出来た」
こんな出来事がなければ自分の器を知る事なんてそうそう無かっただろう。どれだけ鍛え、どれだけ勉強したつもりでも、所詮は未熟者だった。井の中の蛙―――親父ならそう言っただろう。結局の所、自分は一人前になったのだという錯覚をずっと味わっていたのだ。大人ではあるが、まだまだ半人前だった。性根は戦士でもなんでもなく、ただの臆病者でしかなかった。現実から俺は逃げようとした。全てを捨て、責任を捨て、守らなくてはいけないものから背を向け、死ぬ事で逃げようとしたのだ。
「俺は弱い。力も心も弱い。だから油断や慢心もしてならないし、常に飢えなきゃならない。常に自分を鍛えなきゃならない。だから出来る事を全力でやるだけだ……そんな難しい話じゃないだろ? これぐらい、真剣になれば誰だってやる」
もっと率直に言うのなら
―――許してはならない、自分自身を。
故にやる事をやる。成すべき事をする。そう考えを変えただけの話だった。
「やっぱり貴方……おかしいわよ」
「お前がそういうのならそうなんだろうな。だけど俺は気にしていないし、気にする必要もない……少なくともこの状況じゃ普通でいる方が辛いだろう? なら別にこれでいいんだよ。これでも自分の事は良く解っているつもりだ」
なんとなくだがタガが外れている、というのも自覚している。自分から自覚して人間性を削っているのだから、当然といえば当然だ。だがそうしなければ当然ながらこの事態に立ち向かう事なんて出来ない。だからこれは必要な措置だった。きっとだが自分には元々、素質の様な物があったのだろう。それが幸いしただけだ。
「まぁ、気にするな」
「気にするわよ! だって、巻き込んだのは私なのよ? 私が原因で貴方が身を削ってるんだから当然心配するわよ!」
軽く口にした言葉だったが、予想以上に強い言葉がシスティナから返ってきた。その様子に少しだけ驚きつつ口を開いた。
「お前……結構ストレートに言うんだな」
「少なくとも自分が原因だと思う事で引っ込むような真似は人としてしたくないわよ。貴方の変化が私の責任だったら私が向き合ってどうにかしないと駄目でしょ……たとえ、それがどうにもならない事だって」
本当に、不幸な女だと思った。神の転生体だなんて特殊な設定がなければきっと、普通にクラスの中に溶け込んで楽しくできていたのだろうな、と思わなくもない。責任感があって、少しだけ寂しがりで、だけど少しだけ現実に現実に絶望しているだけの少女だった。本当に救いがなく、哀れだった。彼女を救う事は人類には出来ないだろう。そして彼女を救うような事は神々はしないだろう。故にこの世界に、彼女を救える存在はない。無論、俺にも不可能だ。同じ時間を共有した所でその苦労や考えを共有できる訳ではない。
苦痛が共有できる訳ではない。
人間はどこまで行っても結局は個人の生き物だ―――他者の心が読めても完全に理解する事は出来ない。
だから溜息を吐く。
「お前がそうハッキリ言える奴だとは思わなかった」
「そりゃあ言う相手がいないんだからそうなるわよ。だけど今は運悪くも遠慮なく言葉を叩きつけられる相手がいるからね、少しは鬱憤を晴らさせて貰うわよ。という訳で今日は活動禁止。食べて飲んで遊ぶわよ。どうせ最終的には繰り返すんだし、内容もパターン化されて一緒なんでしょ? だったら焦った所で損するだけよ。いい加減同じことの繰り返しに頭がおかしくなりそうだし、少しは休憩入れましょ、休憩」
「お前がそう言うなら是非もない」
「―――ご注文はお決まりでしょうか?」
話にひと段落が付いたところで、店員がやってくる。今の今まで話が終わるのを待っていた辺り、良い根性していると評価できる。が、タイミング的には丁度良かったのも事実だった。システィナの方は何度か来ているのか、慣れた様子で注文し、今の今までメニューさえ見てなかった自分は適当に季節のおすすめをアイスティーと一緒に頼む事にする。しかし此方の様子を見ていて逆にシスティナが疲れる、とはまるで思いもしなかった事だった。
何とかしようとした結果、それが悪影響を及ぼそうとするのだから、相当に自分は空回っている。システィナが口に出してくるようなタイプで助かった。もし彼女がそういうのを口にせずに溜めこむようなタイプだったらもっと後で致命的なすれ違いを起こしていたのかもしれない。隠さない部分で彼女があけすけ、というよりは自分の意見を口にするタイプで助かった。
……もっと日常でもそういう風に口を出せれば、友人が増えるだろうに、とは言えない。
この異常事態を経験してもなお、そんな言葉を軽く口にする事は出来ない。
そんな間に素早くアイスティーと何らかの紅茶、そしてチーズケーキらしきものが二つ運ばれてきた。どうやら自分が頼んだものはシスティナのものと同じものだったらしい。少し喋り疲れた為、ケーキを食べる前に小さなカップの中に運ばれてきたシロップをアイスティーの中に注ぎ、軽くかき混ぜてから口を付ける。甘くも苦い、冷たいアイスティーが喉を潤し、少しだけ体を涼ませる。
「ふぅ、これよこれ。やっぱり甘いものを食べていると生きているって感じがするわね」
「まるで女の様だ……」
「何よその言い方、失礼ね。私だって年頃の乙女よ? 甘いものは好きだし、他人の恋愛なんて大好物よ……個人的にはこの件で諦めずにクレアちゃんにアタックし続けてくれれば嬉しいんだけど」
「俺にそれだけの資格はない」
「うーん……完全に拗らせているわね、これ。解るには解るんだけど、釈然としないわ」
「そう言われても俺は反省して自分自身を見つめ直しただけだからな……いや、おかげで自分の目標とも言えるものが見つけられたよ。強く、強くならなくちゃな」
ナバールの言っていた事が解る。世界は広く、そして果てしない。自分などまだまだ、未熟でしかない。もっと強くなるには広い世界を見る必要がある。卒業したら武者修行の為に世界を見て回るのも悪くはないだろう。そう思いながらフォークでケーキを軽く割り、突き刺してから口に運ぶ―――仄かな甘さの中にレモンの酸味を感じる。甘すぎず、ベースのクッキー部分が口の中で溶けるムースの様な部分と合わさり、サクサクとしつつしっとりと食べやすい触感を生む。素直に美味しいと思う。これなら確かにいくらでも食べ続けられるな、と思う。
「……駄目ね、言葉じゃどうしようもない感じあるわ、貴方」
「経験が人を豊かにする。俺もただ経験しただけだよ、人生観を変えるだけのものに。何度も言うが、そういう意味では感謝してる」
「感謝しないで。感謝される様な事じゃないから。寧ろ首吊りたいから」
そう言って溜息をシスティナが吐いた。その姿を眺めつつ、自分も軽く息を吐いてソファ席に身を沈める様に力を抜いた。ここ数日間、全く成果が出ていないのも事実だ。とはいえ、地道な作業は時間がかかるが同時に何か、結果が出るというのは解るからこそ地道な作業なのだが。その繰り返し、終わりに行う自殺がどうもシスティナは不満らしい。とはいえ、俺が早く死ななければあの司祭が奇跡を呼ぶし、時間を進めればクレアが殺される。それは俺が許容できない。
面倒な話だ。何せ、矜持の話になるからだ。
話し合えば合う程平行線になるというのは解っている―――根本的に考え方が違うからだ。だから妥協点を見つける事しかできない。そしてその妥協の結果が今のこれだ。
本当にどうしようもない。
そう思っているとケーキ屋の扉が開いた。
ついつい新しい客が入ると視線で追ってしまうな、と思いつつ一瞬だけケーキ屋の入口へと視線を向ければ、見た事のあるサングラス姿が店内に入り込んでくるのが見えた。席の座り方から向こうが見えるのは此方の顔、そしてシスティナの後ろ姿で、どうやらシスティナには気づいていない様子だった。此方を見て片手を上げてくると、近寄ってくる。
「おぉ、レイじゃん。お前に一番似合わなそうな店で何やってんだよ」
「いや、まぁ、確かにそうだけど」
クラウだった。そういえばこいつの顔をこの日はまだ見ていなかったな、と思い出す。何気にこのループの間では初の遭遇だった。
「どれどれ、誰―――」
此方へと近づいて来たクラウは覗き込む様にシスティナの顔を確認すると、言葉を止め、そしてサングラスを下ろしてから服の端で軽くサングラスを磨き、それをかけ直す。そしてそれでシスティナの姿を確認してから、ゆっくりと視線を此方へと向けてみた。
「俺の記憶が正しければお前、この女だけは絶対に無理だし嫌いだし授業以外では付き合いたくねぇ、って断言してなかったっけ」
「……へぇ!」
「お前、それを本人の前で言うなよ。事実だけどさ」
システィナがガンを飛ばすような視線を此方へと向けてきている。いや、確かに前まではそう言っていたし、今も完全に大丈夫かと言われたら少し難しい所だが、それはそれとして目の前で言うクラウには後で一発拳を叩き込んでおかないと駄目だな、と確信する。見ろ、システィナが今にも殺しそうな視線を向けてきている。本気で戦うことになったらまず間違いなく殺されるんだからほんと止めて欲しい。それにしたって女という生き物は陰湿で恐ろしいのだから。
「なにか、失礼な事考えてない?」
「滅相もない……それはそれとして、覚えてろよ、クラウ」
「覚えてたらな! ……で、お二人さん、ご関係は?」
クラウのニヤニヤするような視線が圧倒的に鬱陶しい。とはいえ、今まで誰とも極力関わろうとしなかった女が誰かと一緒に、しかも男と一緒にケーキ屋なんかに行けばそりゃあ興味が出るか、と納得出来もする。とはいえ、システィナはどうやらこれ以上クラウを相手に話そうとするつもりはないらしい。此方から話を出さないと駄目らしい。フォークで切り分けたケーキを口の中に運びつつ、軽く言い訳を考え、
「いや、な。そこのぼっち神がどうやら人を探しているんだけど頼れるのが俺だけって事で頭を下げて来たんだよ。気に入らない相手とはいえ、礼を見せられたら礼で応えるのが道理、そういう訳で人を探しているんだけどこれぽっちも見つからなくて困ってるんだよ。今日で探して数日目、って奴だ」
「お前もほんと頑張るなぁ……とはいえ、美女と一緒に時間を過ごせるってのなら十分か。んで、誰を探してるんだ?」
迷う事無く話に乗っかってきたクラウにシスティナが首を傾げる。その様子を見ておいおい、とクラウが言葉を零した。
「特に接点はないけど、同じ学園の学生だぞ? 別に手伝うのに理由はいらないだろ」
迷う事無くそう言ってのけたクラウに軽い嫉妬を覚える。彼にとってたったそれだけの事だった。好きとか嫌いとか、そういう色眼鏡で人を見ない彼は人としてできているのか―――或いは自分やシスティナの様に、特殊な事情に巻き込まれていないからこそ言える言葉なのか。その判別はつかない。だがそこには純粋な好意しか存在しなかった。決定的に人間としての敗北感を感じる。
そんな個人の感情は置いておき、サクっと期待せずに特徴を説明する。異世界人の少年と、その護衛の傭兵の覚えている姿を伝えれば、あぁ、とクラウが呟いた。
「その二人なら知ってるぜ。―――区の―――って安宿に泊まってるぞ」
「……は?」
「いや、街の中で宿を探してウロウロしているのを見つけたからな。そんなに長く泊まらないから安宿紹介してくれ、って言われて教えたんだよ。街を出てなきゃまだいる筈……だけど、おい、大丈夫か?」
クラウが此方の表情を見て、心配するような視線を向けてくる。同様の視線がシスティナからも向けられている。いや、大丈夫だ、と軽く手を振りつつ、
「……ただ単純に自分の無能さ加減を再実感していただけだよ」
ほんと、自分一人では何も成し遂げられない屑だな、と自分を再評価した。
安宿と呼べるものの状態は非常に悪い。外観はぼろぼろで、台帳はまともに機能せず、ベッドシーツは変えていないのか黄ばんでいて、壁は薄く、音が響くのが聞こえる。その為、利用者は少ない―――が、取る場合によっては人気を出す場合がある。それは安宿はセキュリティの安全を自分で確約できる、という点にある。金庫の類いの保管場所は無いため自分で警戒する必要がある他、壁が薄いという事は外から何かをしようとしているのであれば簡単に発覚する、という事実でもある。下手にセキュリティの高い場所だと逆にそれで足を引っ張られる場合がある為、旅の者の中ではこういう安宿の方を好んで選ぶものがいるらしい。
―――探し人もそういう連中だったようだ。
「で、アレが泊まっている場所なのね」
2km程離れた屋根の上から察知されない様に双眼鏡を使って覗いて宿をシスティナと確認する。自分への嫌悪、失望感というものは強いが、活動を開始したらそんな事も言っていられないので、大人しく状況を把握する為に宿の観察を行う。いかにも、と言える安宿は外観からしてボロボロではあるが、人の出入りを幾つか確認できる。どうやら宿としてはちゃんと機能しているらしい。
「とりあえず……どう動くの?」
「お前の方が頑丈で選択肢が多いからお前が相手と接触、捕縛する。俺はここから狙撃の準備を整えて待機しておく。何かあったら壁を吹っ飛ばしてもらえればそれで射線を確保できる」
「そうしたら即座に狙撃、って訳ね。解ったわ……というかこの距離から射る事は出来るの?」
「これぐらいの距離なら問題ない」
「そう……じゃあ任せたわ」
本当ならもう一人バックアップが欲しいが、身体的なスペックでは人類最強に入るシスティナを護衛する必要なんてない。この神格ゴリラが向かえばそれだけで勝機は消滅するものだ。故に自分の存在は保険でしかない。最悪の状況を想定してのスタンバイ。街民に見つかっても面倒なので気配を殺して片膝を屋根に付きながら片手で弓を握り、何時でも動けるように待機しておく。その間にも屋根から飛び降りたシスティナは道路を歩いて安宿の方へと向かって行く。堂々と、そして迷う事のない足取りを眺めていると、自分への嫌悪感が沸々と湧き上がってくる。
「まだまだ……」
力も経験も覚悟も足りていない。もっと、もっと強くならなくては。自分にそう言い聞かせる。この繰り返される地獄の日々が終わった所でまた新たな問題が発生しないとは限らない。そしてそれに巻き込まれて自分や身近な人物が死ぬかもしれない。それに備える為には強くなるしかない。学園の弓術大会で優勝した程度で有頂天になっていたのが馬鹿馬鹿しい。一般的なレベルで強くなったところで価値はない。勝てる時に勝てなくては強さとは意味がないのだから。だから今よりも強く、もっと強くならなくてはならない。
―――それは義務だ。
「俺は弱い。もっと強くならなくてはならない」
自分にそう言い聞かせながら確認するシスティナの姿は、宿へと到着していた。入口を抜ける事でその姿が視界から消える。流石にこの距離で街中となると気配が雑多すぎてピンポイントで気配の探知を行うのは難しい。故に大人しく屋根の上からシスティナの活躍を待つように待機する。
……ふと、嫌な音が脳裏をよぎった。
チクタクチク、と頭の中で警告するような音が聞こえてきた。
その音は前にも一度耳にしている―――
「……まさか、負けるなんてことはないよな?」
現代に生まれた神の転生体。それがシスティナだ。それが強者といえども、人間程度に負けるか? そんな事を思考した瞬間、視界が一瞬で白く染まった。なっ、と声を零す暇さえなかった。一瞬で世界が白く染まるのと同時に、凄まじい不快感を全身が襲った。白く染まった世界には薄く透明な見ていた景色が映し出され、それが逆再生を施されて行く様に巻き戻されて行くのを見た。自分の体の感覚もバラバラになりそうながら無限に落下する感覚を得て、食べたもの、吸った息が無理矢理巻き戻されるのと同時に体から排出される様な気持ち悪さに襲われた―――いや、実際に巻き戻されて吐き出している。
それが形を作って元になり、そして時間は―――巻き戻る。
「ごめん、死んだ」
「知ってる」
再び我が家のリビングで再会を果たす。ノリは軽いが、システィナの表情には解りやすいショックの色があった。死んだ、というのを断言すると本当にこの娘は殺されたらしい。正直な話、聖なる神の祝福を得た剣でもまるで傷が付かなかったのに、この女を本当に殺す事が出来るのか、とまるで信じられなかった。だが遡行の感覚と彼女の口から出る言葉に、真実を疑う事は出来なかった。
「というかお前が殺されるのか」
「一応昔にもあったけど―――剣で切り殺されるのってのは初経験ね。大体は自殺が原因だったし。まさか私に攻撃を通す事が出来る武器が存在するなんて考えもしなかったわね……」
システィナは神格という属性に染まっている―――それは即ちあらゆる万象よりも強靭であり、世界に匹敵する存在である事の証明である。つまり最強の剣技を持っているとか、そんな事はまるで関係ない。同じ神格か、或いは世界属性でも保有でもしていないと傷をつける事がほぼ不可能になる。だがシスティナは切り殺されたらしい。という事は武器が神格か世界の属性だったのか、或いは使用していた本人がどちらかの属性を保有していたことになる。だがあの男からはそういう超越者特有の気配はなかった。少なくとも逃げようとすれば俺が逃げ出せえるレベルの相手だ。
本物の超越者なら理解する前に街の一つ虐殺して赤く染めるだろう。
そうしない、出来ないという事は違うのだろう。
「……武器か?」
「たぶん世界属性入っているわ。アレなら私も殺せるわね」
「納得の死因。大方一発ぐらい食らってからカウンター入れようと考えてそのまま死んだんだろう」
そういうと露骨にシスティナが視線を逸らした。身体能力任せの強引な戦闘方法ばかり選ぶからそんな事になるんだよ……と、胸中で呟きつつ、システィナから接触して解った事を聞く事にする。今、一番欲しい情報を彼女が握っている―――この状況を脱出する為に。それじゃあ、とシスティナがソファに座りながら言葉を置く。毎回そのソファを選んで座っている辺り、気に入ったのだろう。
「……まず最初に相手の身元を確認しようとしたけどなにも言い返されなかったわ。ただ黒髪の方は結構ビクリ、と反応していたし予測通りだと思う。名前の方は二人とも解らない。だけど王国の話を出そうとしたら明確に反応して殺しに来たから間違いなく敵よ。役割、或いはやろうとしている事はまるで解らなかったけどね」
「とりあえず殺して反応をみればいいか?」
「考えが物騒だけど……大丈夫なの?」
システィナの言葉に首を傾げてからあぁ、と納得して呟く。
「光の矢を使って狙撃するから証拠なんか残らないぞ。内申点もいいしな、俺がそんな事する訳ないだろうって周りには思われるだろうから俺は疑われないだろうし。状況的に俺しかできない、と言われても目撃者を出さなければ問題ないしな。姿消して気配殺して射れば問題ない」
「良くそんな事が出来るのに力が足りないとか言えるわよね」
「事実だろ? この程度の曲芸が出来たって大事な時には意味もない」
矢の形状をある程度弄って、魔弾に偽装する事も難しくはない。そうすれば益々此方が犯人である、というのは足が付かないだろう……終わった後での事も考えなきゃならないのは面倒な話だ。これが夜中の襲撃中であれば問答無用で殺しに行っても問題がないのだが。だけどそうなると目標は達成できない。理想は昼間の間に殺し、計画を頓挫させる事だ。これで相手が本当に出現の原因であるのならば、ここで殺すだけで決着が付く。
……本当に、考え通りならば。
「まぁ、悩み、嘆くのは終われば腐る程時間があるんだ。今はさっさと終わらせよう。いい加減明日の朝日を拝みたい」
「そうね、それに関しては同意するわ。いい加減見慣れた朝を迎えるのは私も嫌よ。これで駄目だったらどちらかを二人で捕まえて、尋問すればいいし」
拷問、と言わない辺り彼女は此方よりも余裕があるのかもしれない―――いや、流石にそれは穿って考え過ぎだろう。どちらにしろ、殺してから反応をみるという考えに至ってしまう辺り、今まで通り考えられないというのは正しく認識するべきなのかもしれない。そんな事を思いつつもシスティナとの朝の会議を終わらせる。
弓と何時もの装備を取り、ステルスの魔術を何時でも発動可能な状態にしつつ、システィナと別れて歩き出す。
システィナは安宿の監視の為にもっと近い場所へと―――自分は前日に見つけた、監視が行える狙撃場所へと。既に部屋はシスティナが死ぬ前に把握し、先ほど伝えてくれた。どれが目的の部屋の窓か、というのは理解しているのだ。だからやる事は難しくはない。そう、何時も通り行動すればいいのだ。
路地裏に入り込み、姿を隠す様にフードを被り、マントで体を隠す。
軽く壁を蹴って跳躍して屋根の上へと移動し、注目を集めない様に気配を消しながら影の中をなるべく移動して行く。
動きは素早く、そして小さく行う。注目を集めない様に音も殺して移動する。
そのまま滑り込む様に狙撃場所へと移動する。
光の魔術を使う―――光の屈折によって姿を完全に空間の中に晦ませる魔術、ステルス。親父から学んだ、奇襲・暗殺・隠密に特化した魔術だ。隠れる場所がない山での狩猟では特に愛用したこの魔術は狩猟を行うのであれば匂い消しとセットで運用する事で獣の直感以外の感覚を全て誤魔化して狩猟する事を許す、便利な魔術だった。この魔術の特徴は移動すればするほど周りの環境に合わせる必要がある為コストが加速するが、一か所で動かずにいるのならばそこまでコストがかからない、という点にある。まさに狙撃と狩猟の為に生み出された魔術なのだ。
「システィナはついたか? どうだ? 遠距離でも連絡の取れる手段が出来ればいいのにな……」
まぁ、一度始まってしまえばやる事は一緒なんだから気にする必要はないな、と裸眼で目標を捉える。距離は2km程、かなり遠く、景色は霞む様だがそれでも見える。半ば直感と経験と、そして鍛えられた視力の産物だが、この距離でも相手の部屋の窓は見える。静かに弓を持ち上げ、魔力反応を遮断する術式を組み込んだ光の矢を一本作り出し、それをゆっくりと弦に番え、窓に相手が見えてくる瞬間を待って、眺め続ける。
2kmという距離―――普通の矢であればまずこれだけ飛ばないだろう。だが光の矢は違う。これは光という性質を保有する為に光速で飛翔する他、物理法則の影響を受けない為に空気抵抗による減衰を起こさない。つまりは放てば半永久的に真っ直ぐ飛翔し続けられる理想的な矢となる。それでいて熱量を保持しているから即死級の破壊力を出す事も出来る―――対人に限定されるが。
「武神エルクレセルよ、貴方は今も私の行いを見守っているのでしょうか」
果たしてこの時の環を武神は知っているのだろうか? 見守ってくれているのだろうか? 何故俺がこんな目に合っているのか知っているのだろうか?
……どちらにしろ、関係ないか、と呟く。
それがどうであれ自分の考えと行いに変化はない。
「是より行われる我が蛮行をお許しください―――父と母の名に誓い、我が一矢にて時の環を壊す」
息を吐き、ステルスと光の矢を同時稼働させたまま、弓に矢を番えた。常人であれば見える事のない距離で、しっかりと状況を把握し、窓の様子を眺める。カーテンの掛けられていない窓の向こう側には部屋の姿が広がっており、その向こう側に大と小、二つの姿が見える。
動きがある。窓辺に近づく少年の姿が見える。息を吐き出しながら、思考ルーチンを通す。
息を吐く、弓を持ち上げる。番える、引く、見る、
黒髪の少年が新鮮な空気を部屋に通す為か、窓を開けた。
「―――通る」
矢を放った。必要以上に構えつづけ、狙う必要はない―――弓とは
「軽い命だ……」
魔術を使って軽く腹が減ったし、システィナと合流したら早めの昼食にしようか、と思案する。
―――当たり前だが街中で殺人事件が発生すれば街中は凄まじい程に騒ぎ立てる。警邏を行う駐留の兵士や騎士、そして他にもバイトで警邏の真似事をする学生達が街中を走り回る姿を良く見かける。だがその調査の矛先が此方へと向けられる事は一切なかった。当然ながら殺した相手と此方には一切の接点がない上に、現場と狙撃地点は2km離れている上、頭は吹き飛ぶように殺害されて何らかの飛び道具で破壊された、としか解らない。手段なんて幾らでも推理できる。ほとんど通り魔紛いの事件だ、犯人を見つける事は難しいだろう。
故に街は慌ただしく落ち着きがなかった。
―――それとは裏腹に、祈る聖者の様にシスティナと共に学園の屋上で夜空が地平を覆って行く姿を眺めていた。
「後少しで夜だな」
「そうね、あと少しで夜になるわね」
空を闇が覆って行く。油断は明朝まで一切出来ない。だけど、それでもこの屋上からは街の様子が良く見える。もし騒ぎがあればここからでも確認する事が出来るだろう……なにせ、ここがこの周辺では安全で最も高い場所だ。だからここで監視していれば失敗したか成功したか、それが良く解る。夜を越る為の食べ物も持ち込んでいる。これで駄目だったらまた新しい手段を考えなくてはならない。
だからゆっくりと天上を覆って行く夜の闇を眺めながら、無言のまま時をシスティナと共に過ごす。
その気持ちは祈るようだった。いや、実際に祈っていた。平和な夜が来てほしいと切実に祈っていた。血と炎の悲鳴はもう嫌だ。それだけは確かだった。気が狂いそう―――いや、実際に気が狂う程の拷問だった。それを抜けて漸く明日への道筋が見えたのだから、これがゴールであってほしい。そう願いながら持ち込んできたスープの入っているポットの中身をマグカップの中に注ぎ、屋上の縁を守る柵に背を向けて座り込んだ。
今は夏休みで―――学生もスタッフも、ほとんど誰もがここにはおらず、学園は昼間とは違う静けさを見せていた。
「……私、ね」
システィナは座らず、柵の向こう側、街の景色を眺めたまま口を開いた。
「こうやって誰かとまともに時間を共有する時が来るとは思わなかったわ」
街の喧騒もここからは遠く、未だに朝の狙撃事件でにぎわい、警戒は高くとも、それがこの学園の屋上にまで届くような事はなかった。晩夏を迎え、初秋が見えてくるこの季節、昼は夏の輝きで凄まじい程の熱を感じるのに、夜になるとどこからか涼しい風を感じ、段々とだが秋が来るのだという事を思わせていた。
「ある意味では諦めていたのよ。私も。神々や魔王は時空に対する凄まじい耐性を保有しているから時間が巻き戻ってもその流れに干渉される事はない、って私はある時知ったの。だから神に対して祈ったの。どうして私はこんなに苦しんでいるのか。なぜこんな風に生まれたのか、って。……それでどんな返答が来たと思う?」
「さあ?」
それを知る訳ないだろう、と返答するとシスティナがクスリ、と笑った。一切の気遣いを見せない言葉に貴方らしい返答ね。そう言ってからシスティナが答え合わせをする。
「―――ないわ。返答はなかったのよ。神は私の疑問に答えてくれなかった。それどころか私の信仰心を受け取る事もなかったわ。私は神の声は聞こえなかったわ。だけどその気配は感じられたの。だけど見ているけどまるで腫物の様にどの神も干渉せずでいたわ。周りは誰もが信仰を許されていた。だけど私だけは背信も信仰も許されなかったわ。神は私の声を聞く事さえなかった。神々は私を見捨てていた……と思っていたわ」
神を信仰し、そしてその教義に生きる、というのは基本的な考えだ。その神の考えが生きる考え方であるのが基本なのだから。だから神を信仰できず、というのは生きる上での道標がないという事でもあった。……それは生まれた時から試練の日常であっただろうとは解った。
「だけど、まぁ、旅の魔王に会った事でなんで私がそういう風に神々に無視されているのかが育ってきて解ったのよ」
「旅の魔王」
「うん。面白い魔王だったわよ? 魔導バイクに乗ってサングラス装備してイェー! 言いながら池ポチャするという面白の塊」
「池ポチャ……」
魔王―――魔王は異世界から次元回廊を通って出現する、凄まじい力を保有した存在であり、自らの意志で世界を渡る事が出来る超越者たちでもある。その中でも最上位に存在する魔王はかつての神話で神々と戦い、勝利した事さえもあると言われている。だが全ての魔王は共通として凄まじいまでの力を保有する覇者であるのが常識なのだが……池ポチャとか言われるとイメージが狂う。
「うん、まぁ、なんというか……言いたい事は解るわよ? 私も最初は彼が魔王だって知らなかったし。ただ彼のおかげで色々と知る事が出来たわ。私が神の転生体だという事とか―――私に転生する神がかつて、古代で現代を支配する神々と戦い、そして敗北した神だった、とかね」
「連中の狙いはお前だったのか?」
「たぶんね。聞き出すつもりもないし、興味もないけど。相手は正義の神なんでしょう? だったら正当性を主張する為に刺客ぐらい向けたのかもしれないわ……怒った?」
「正直この夜が終わってくれるのならどうでもいい。興味がない」
「ズバっと言うわね……」
やや煤けた様子でそう呟いてから、しかしそうね、とシスティナは言葉を置いた。良く見れば小さくだが笑っているのが見えた。今の発言の何が面白かったのだろうか? それを疑問に感じているとシスティナが答えてくれた。
「こう見えて私結構悩んでたのよ? 悪しき神だったらどうしよう、って。結構勇気を出して言ってみたりもしたのに、それを興味ない! で済まされるとね……本当にどうでも良い事の様に思えてくるから不思議よね」
そう言って小さく笑うシスティナはどこか、楽しそうに見える。
空を完全に夜の闇が覆う。夜空には星の光が見え、それが眩くこの屋上を照らしている。それ以外の光源は今、ここには持ち込んでおらず、街の方から延びる明かりと、星々の明かりだけが今、自分達を照らしていた。そして夜のまま眺める街の風景、
―――炎の色はそこになかった。
街が、燃えていない。肩越しに街の風景を軽く確認し、手からカップに注いだスープを飲む。気づけばシスティナも座り、そして空のカップを片手に此方へと差し出していた。注げ、という事だろうか。軽く呆れながらも零さない様にポットからスープを注ぎ、カップを満たした。肩を並べ、柵に背を預けながらおそらくは久方ぶりの平和な夜を過ごす。
「……うん。同年代の男の子にこうやって話せる日が来るとは思わなかったわ」
「なんだその不満そうな表情は」
「別にぃー? もうちょっと愛想が良ければ良いのにとか考えていないわよ?」
「成程」
システィナの言葉に頷きながらシスティナの方へと視線を向け―――全力のスマイルを浮かべてみた。
「ぶっ」
直後、吹き出しそうになるシスティナが視線をそらしながら必死に口の中にあったスープを呑み込み、笑いをこらえながら手を震わせていた。してやったり、と胸の中を達成感が満たして行く。
「駄目……駄目よ、今のは卑怯でしょ!」
「ご注文通り愛想を良くしてやったのに、一体何が不満なんだ」
「解ってて言ってるでしょ! もぉ……」
必死に笑いをこらえたシスティナはふぅ、と息を吐きながら、それでね、と言葉を置いた。
「……ありがとう、そしてごめんなさいって言いたかったのよ。こんな事に巻き込んで。こんなどうしようもない事に付き合ってくれて。事故だし、良い事はないし、クソの様な経験だって事は間違いなく理解しているわ。……だけど私とこうやって同じ時を過ごせる相手が出て来て純粋に嬉しかったわ」
「まるでこれから死ぬかの様な言い方は止めてくれ……また朝から始めるとなるといい加減憂鬱になる……」
その言葉にシスティナは確かにフラグだったわね、と笑い、そこにが、と言葉を挟んだ。
「……お前の素が知れてよかったよ。数日前までのお前は俺が知る限り中途半端で未練たらしい関わり合いになりたくない幽霊みたいな女だけど、今のお前なら普通に友達として接せる。もうちょっと、皆相手にもそういう風に振る舞えよ」
「……考えておく」
その言葉を引き出せたのなら……その先は、そこまで難しくはないだろうと思う。まぁ、根は悪くはないのだと、少なくとも自分が知っている。そしてそうならざるを得ない事情があったのも。それを経験した以上、自分が強く言う事は出来ない。だがその代わりに、ある程度の理解を示す事は出来る。それだけの話だ。
「って、ちょっと待ちなさいよ。私の話ばかりなんだから、そっちの話を少しはしなさいよ……あんむ」
そう言いながら持ってきたクラッカーの上にチーズとサラミを乗せ、口の中へと運んだ。あまり学園にいっぱい持ち込むのもアレだろう、という話でこの程度のものしか持ち込めていないが、それでも夜が明けるまでは十分すぎるものだった。自分も同じようにクラッカーにチーズとサラミを乗せて食べながら、
「俺の話か……そう面白いものでもないぞ?」
「それは私が判断する事よ」
そう言われても困る……自分の人生はそんな面白いものではないのだから。ただ語れと同級生に言われたのだ、偶には自分の昔話をするのも悪くはないだろう。何から話せばいいのだろうか、こんな時は。スープのお代わり分をカップに注ぎながらそうだな、と呟きながら首を傾げる。それを見ていたシスティナが呆れた様な声を出した。
「いや、なんかあるでしょ」
「そう言われても……俺の人生なんてもん、基本鍛錬・勉強・狩猟のサイクルだけだったぞ? 話そうと思って面白い話が特に出てくる訳じゃないんだよなぁ……」
「ほら、家族の事とか」
「お前は家族の話ノータッチだったろ……」
「女はいいのよ、女は」
それは卑怯ではないだろうか……? と思いながらも苦笑し、そして思い出す。ここ数日は親父の言葉や教えられた教訓を良く思い出す。鍛えられ、そして教えられた技能を良く引っ張り出しているからだろうか。まぁ、思いついてみた事を口にしようとは思う。
―――どうせ、夜明けまではまだまだ遠いのだから。
「俺は……辺境の出身でな」
「うん」
「あそこはこっちと違って何もかも足りない、文字通りの辺境で……兵士や騎士が駐留していない代わりに過酷な環境故、開拓の義務もないんだ。だから国からのアレコレってのがなくて、誰もが生きる為に集中するだけでいい。納税もない、自由で気楽だけど厳しい場所だったよ。今、こうやってここに来ているけど、そのおかげでどれだけ苦しい生活をしていたのかが解るようになったよ。文明とは程遠い生活だった」
苦笑しながら思い出す。
水道なんてものはない。冬になれば水が凍って使い物にならないからどうにかする必要があったし、繁殖期になると命がけで魔物と戦って生活圏を確保する必要があった。こっちみたいに便利な道具はないし、お金の価値も低いから物々交換で物事をまかなうのが基本だった。此方の生活と比べると雲泥の差だった。
「俺が生まれる前、親父と母が二人で帝都から逃げ出して辺境に来て、それで俺が辺境で生まれたから辺境で暮し始めたらしい」
「へぇ……駆け落ち?」
「近所の話を聞いているとそうらしいな。親父は過去の話を滅多にしてくれないから昔はどんな事をしていたのかは解らないけどな。タンスの中には高そうな服と、平民では絶対に手に出来なそうなものが幾つかあった。やっぱり、母はどっか良い所の出身だったんだろうと思う」
「うんうん、それで?」
食いついてくるなぁ、と思いつつも、今までこうやって誰かと家庭の話をする機会にさえこいつは恵まれなかったんだな、と思いだす。そう思うと。多少は気を許してしまう。ただ親に関しては情報は少ないし、そこまで面白い話でもないと思う。
「俺が物心がつく頃には母は既に亡くなっていてな、だから基本的に親父と二人で家で暮していたんだ。俺もヤンチャな時代があって―――」
ぽつぽつと、懐かしい話を持ち出す。
システィナはそれに楽しそうに耳を傾けている―――いや、話そのものが楽しいという訳ではないのだろう。彼女が楽しんでいるのはこの状況だ。誰かと一緒に境遇を話し、なんでもない普通の会話を頭を悩ませずにするというだけの時間。それを彼女は楽しんでいた。何でもない、日常的な話を持ち出すだけで彼女はそっか、と呟きながら楽しそうに笑う。だからやり返す様に肘で軽く小突き、システィナ側からも話を催促する。
「私、あまり面白い話とかないわよ? 基本的に一人だったし」
「それは俺が判断する事だ」
先ほど言われた言葉をそのままシスティナへと返せば、小さく噴き出して彼女が笑った。そしてそうね、そうよね、と小さく笑いながら呟き、
システィナも自身の話をし始める。
話の内容に中身なんてものは気にしない。ポットの中に詰まったスープ、クラッカーとその上に乗せる物を幾つか用意して、この屋上で二人きり、事情を理解している者だけで小さな夜のパーティーをしていた。こんな経験、自分は初めてだし、システィナも初めだった。それでもお互いに緊張やわだかまりがないのはやはり、同じ悪夢を潜り抜けてきたからなのかもしれない。
時折笑い、時折肩を叩き、なんでもない、まるで普通の学生の様な会話をする。
この半年間、同じ授業を受けていたのに全く会話すらしなかった相手。
本来得るべきだった子供の頃の楽しみ。
その全てを取り戻す訳ではないが、失った時間を少しずつ埋める様になんでもない話を続ける。
思い返せば自分も、普通と言える生活とは無縁だったな、と思い出す。
子供の頃はひたすら鍛錬と勉強を続け、遊ぶ時間は少なかった……思い返せば母がいなくなった親父が必死に子育てを頑張ろうとした結果なのだろう。息子を残されて一人、駆け落ちして頼れる親戚も存在しない。そんな中でどうやって俺を守ればいいのか、育てればいいのか、その試行錯誤の日常だったのだろう。だからなんとなくだが、今のシスティナの気持ちは解る。
俺も、学園でのなんでもない日常がこんなに楽しいとは思わなかったからだ。
朝、早く起きて朝ごはんを作って、学園へと向かって授業に出席して……今朝は何を食べたのかなんて激しくどうでもいい事を喋ったり、その後で宿題を終わらせたかどうかで悩む。授業で困った事があって相談したり、テスト勉強に誘ったり、欲しい素材があるから付き合って欲しいとか、アイツはアイツが好きだとか……。
そういう、なんでもない普通の生活がここにはあった。
それをシスティナは知らない。知れない。
だから今、埋め合わせをしている。
笑っている彼女はまるで普通の少女の様で、神の転生体だと言っても信じる事は出来ないだろう。だけど彼女に伸し掛かった運命は本物だった。彼女が受ける苦痛を他者が理解する事は決して出来ないだろう。生物として根本が違いすぎるだけではなく、立っている場所さえ違うのだから。
だけど、それでもいつもは寂しそうに教室で皆に背中を向けている彼女がこうやって笑えるのなら、
この悪夢も、決して悪い結果ではなかったのかもしれないと思える。
―――ハッピーエンドで終わるのなら。
「……あ」
話しをしている間に段々とだが夜明けが見えてきた。遠くだが、闇色の空に僅かに朝の色がにじみ始めていた。何時の間にか時間が経過していた事にこっそりと驚きつつも、話をしてぐだぐだやっていると時間が経つのが早いな、と思えてしまう。
「もっと……こう、激戦があってドラマティックに朝がやってくる物だと思ってたけど」
「まぁ、確かに今まで戦いっぱなしの死にっぱなしだったからね。気持ちは解らなくもないわ」
あの少年を殺してから一切の戦闘はない。大きな騒ぎもなく、夜明けを迎えつつある街はまだ人が寝静まっているのか静かになっている。それでも見えてくる夜明けをシスティナと並びながら眺める。そこには王国兵の姿も、司祭の姿も見えない。ただ、綺麗な夜明けの色に染まる街の姿が見えた。
悪夢も、絶望も、そこには存在せず―――誰もその存在を知らない。
新しい朝が見えた。
……ふと、気づけば頬が濡れていた。少しだけ驚きながら手を頬へとやれば、右眼の端から涙を流していた事に気づく。それを軽く拭いながら夜明けに染まる街の姿を見て、
新しい朝とはここまで美しい光景だったのか、と人生で初めて、新たな朝の尊さと美しさを感じた。
「おはようシスティナ……良い朝だな」
「おはよう、エルディレイ。……そうね、疑いようのない良い朝ね」
「俺の事はレイでいいよ」
「じゃあ私もティナでいいわ」
おう、よろしく、と互いに呟きながら軽く笑い声を零し、欠伸を漏らした。
うん、よし、それじゃあ、と言葉を交わし、
「―――寝るか」
「おやすみ……」
その場で倒れて寝る事にした。
そういう訳で1年目のループ終わり。おめでとう、人間性が僅かに残ったね、という感じで。
巷じゃ転生とかテンプレで色々と神に対する近しいイメージあるけど、個人的には根本から精神性が違うタイプの生物だと思ってるので、人間と同じ尺度で考えるとちょっと理解が難しいかも? って感じもする。
それはそれとして、次回から秋季。運動会、学園祭とかのイベントが始まるよ。
あっさりしすぎかなぁ? とは思ったけどここに来るまでラノベ一冊分の分量超えているしまぁ、妥当かなって感じてる。