※この作品はR-18です。

魔法少女と孵卵器(インキュベーター)   作:ダル神

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絶望の中の希望

身体が軽い私の身体じゃないみたい。もう私は何も怖くない。だって私はもう一人じゃないもの。鹿目さんが私と戦ってくれる、一緒に居てくれる。そう言ってくれたもの。怖いことなんてあるわけない。早く終わらせてみんなでケーキを食べるの。鹿目さんが魔法少女になる日だもの。パーティーしないと。ふふ、忙しくなりそうね。

 

あれ?でもどうしてなのかしら?目の前が真っ暗。誰もいない。ここはどこ?私はたしか、魔女と戦っていたはずなのに。わからない。

 

でも、心細い。寂しい。怖い。私はこんなにも一人ぼっちだ。

 

私は何故か鹿目さんではなく。

 

白いマスコットキャラのようなかわいい猫を思い出した。不自然に長い耳毛に何度も困らされた。時折見せるとても悲しそうな顔。あなたは気づいていたかしら。

 

私は一人なんかじゃなかった。

 

ずっと彼が隣にいてくれた。

 

私がまだ笑っていられたのは彼がずっと傍らに居てくれたからだ。

 

本当に忘れてしまうくらいに、私の半身みたいに当たり前にそこにいてくれたの。

 

会いたい。

 

ねぇ、キュウべぇ?

 

一一一巴マミ

 

 

 

マミが死んだ

 

それは突然だった。

 

あっという間の出来事だった。

 

そんな事ありえない。

 

だってちょっと前まであんなに嬉しそうに微笑んでいたじゃないか。

 

鹿目まどかの言葉に喜んではしゃいでいたじゃないか。

 

泣いたり笑ったりしていたじゃないか。

 

それがなんで、なんで!

 

魔女に首の根元まで根こそぎかじられた。

 

頭のないそれは無惨にも地面に落とされた。

 

魔女はそれだけでは終わらない。マミに受けた傷が疼いているのか、ただ腹が減っているだけなのか、マミの身体を喰いあさる。

 

もうやめてくれ。

 

お願いだから。

 

違う。違う違う違う違う違う違う違う違う!

 

マミを殺したのは僕なんだ!僕がマミを殺した!頭をもいだ!喰らったんだ!

 

僕がマミのすべてを台無しにしたんだ。

 

ああああああ

 

終わった。終わった終わった終わった終わった終わった終わったんだ!何もかも!

 

ちくしょう!なんで僕はまだ生きてる!なんでまだのうのうと生きていられるんだ!

 

さやかとまどか達も何かを叫んでいるようだけど頭に入らない。

 

もしかしたら命ごいをしているのかもしれないし、契約を望んでいるのかもしれない。でも、僕はもういやだよ。契約なんてしたくない。

 

マミはずっと苦しんでいた。あの事故の日からずっと彼女は苦しんでいた。

僕は彼女になんにもしてやれなかった。

 

彼女に謝る事もできなかった。

 

彼女に何もしてやれない!

 

こうなる事は知っていた。いつかはこうなる事は知っていたはずなのに。

 

そのはずなのに!

 

「みんな下がって!」

 

それは暁美ほむらの声だった。

 

ああ、彼女の声はどうしてかよく通る。

 

僕を救ってくれる死に神が来てくれた。

 

「……暁美ほむら。頼むよ。僕を今すぐ殺して、速く殺してくれ。できるだけ無惨に」

 

「そんな……。あなた、泣いて……」

暁美ほむらはありえないものを見るように驚いていた。

 

「僕がマミをあんなにしてしまった。僕を裁いてくれ。お願いだから。それをマミも望んでいるはずだから」

 

「あなた本当にインキュベーターな……っ!」

 

瞬間魔女の攻撃が僕達に降りかかる。

 

しかしまるで時が止まったかのように空間が凍結したと思ったら僕達は魔女から離れた位置におろされた。

 

暁美ほむらが僕達を移動させてくれたようだ

 

「何故だい。暁美ほむら。なんで僕まで助けた。僕は救われる価値なんてないのに。何故あのままマミと同じようにさせてくれなかった!」

 

「巴マミは幸せね……」

寂しそうに暁美ほむらは呟いた。

「泣いてくれる人がこんなにもいて……」

「ねぇ、本当に巴マミは苦しんでいたの?この子達にこんなに悲しんで泣いてくれる大切な人がいて本当に巴マミは泣いていたの?それはあなたが一番よくわかってる事じゃないの?」

 

暁美ほむらはそう言い残し魔女のもとへむかう。

 

僕は初めて周りの景色が目に入る。

 

まどかもさやかも泣いていた。何が何だかわからないくらい大泣きしていた。

小さな子供みたいに。

 

マミの為に泣いてくれる。悲しんでくれる。

 

さっきまでぽっかりと心に穴が空いたみたいだったのに。

 

何故か少し嬉しかった。

 

マミを想う。

 

君はわけもわからず魔法少女になったね。初めて魔法少女として闘った時から才能があって、どんな魔女にも負けなかったね。

 

いつのまにか珍妙な掛け声みたいな叫び始めて、僕がそう言うと君は怒っていたよね。これは技の名前だって。それから君が一人で泣いてる所を見つけて僕はそれは驚いたよ。はは。笑っちゃうだろ。僕はその時までマミが苦しんでいるのに気づいてやれなかったんだ。本当にどうかしてるよね。そして、いろんな人と出会ったよね。佐倉杏子の時は君はとても落ち込んでいたね。彼女はまだ魔法少女として生きているのかな?そしてまどかとさやかにも出会って君は本当に嬉しそうだったね。まるで妹ができたみたいに喜んではしゃいでいたね。

 

ねぇ、マミ。

 

君はこんなにも生きていたんだね。

 

君は生きていて幸せだったかい?

 

 

マミが僕の中で現れる。全体的に白い服。オレンジのリボンがついていて。かわいいふわふわの髪飾りもついていたね。ソウルジェムも頭についていたね。

 

「こんなのってないよ!そんなの酷すぎるよ!だって!」

 

「まどか……マミさんはもう……」

 

「だって、さっきまで私、マミさんと……それがなんで!」

 

「なんであんな!マミさんの顔はどこへ行ったの!さっきまで優しく微笑むマミさんの顔は!」

 

僕の中で何かが疼く。

 

なんだ?一体何がひっかかる?僕に何ができる?

 

「ちょっと待ってくれ!」二人はびくっと身体を震わせる。

 

「ちょっと!キュウべぇ!マミさんがあんなになってるのに……」

 

さやかの言葉を無視してまどかに問いかける。

 

「まどか!君はさっきなんて言った!」

 

「ひっ!」

 

「ちょっと!あんた!」

 

「いいから!もしかしたらなんとかなるかもしれないんだ!」

 

二人は目を見開く。

 

「えっ……それってマミさんが……」

 

僕は頷く。

 

「え……と…こんなのってないよ……?」

 

「違う。もっと後だ。何かがひっかかるんだ!」

 

さらに困惑するようにまどか

「……マミさんの顔はどこにいったの?」

僕の中の歯車がかみ合う。僕の出来損ないの心が重なる。

 

僕は一目散に暁美ほむらのもとに飛び乗る。

 

「暁美ほむら!頼みがある!」

 

「ちょっと!あなた邪魔する気?」

 

「頼む!この借りは後でいくらでも返すから!」

 

「だからマミを助けるのに協力してくれ!!」

 

神様。もしあんたが本当にいるなら一言言いたい事がある。

 

運命なんか関係ない。まだ、全然終わってなんかないんだよ。

 

 




やっと少年が動き出します。
彼の正念場です。
見守ってもらえるとうれしいです。
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