※この作品はR-18です。

このパーティーでダンジョンは間違っているだろうか   作:もっち~!

12 / 27
初遠征

---カズマ---

 

「次回のダンジョン演習は50階層を目指すぞ」

 

団長の口から信じられない階層が告げられた。

 

「まだ7階層が限界ですよ、俺達は…」

 

往復に関しては5階層ではあるけど。

 

「あぁ、カズマ達には、先の世界を見せたい。8階層からはリアス、シーグヴァイラ、リトル、フィアナ、エミリアで対応。この隊で、行けるところまで行く。実力測定後は、アイズ、アスナ、レフィーヤ、フィルヴィス、ティオナ、ティオネが主力で進む。最終的な主力は僕、オーフィス、忍、ラム、レムがいるから、50階層までいけるはずだ」

 

実力測定…死ぬ寸前まで戦わせて、極限状態での戦いを見せるのだ。何回か経験はしたけど…

 

「死んでも大丈夫だ♪蘇生術を使えるのが2名いるしね」

 

って、死すら恐れない演習…きつい。無様な死に様の場合、鍛錬のメニュは過酷になっていくし。

 

「あと、ポーターとしてちはや、ガードとして達也、深雪も連れて行く。メイビス、フィアを呼び出して、留守中のメイドを依頼しておいて」

 

「わかりました」

 

「じゃ、方針は決まったし。カズマ、鍛錬だぞ♪」

 

俺を両脇から掴み、中庭へと連れ出すアマゾネスな二人…

 

 

 

---シュウ---

 

フィルヴィスが、僕の部屋にやってきた。

 

「私はダメです!」

 

遠征のメンバーにいることを、抗議された。

 

「リトルは君に懐いている。後、新入りのフィアナって子も弟子にして欲しいし」

 

「だから…私と一緒だと…」

 

「『死妖精』だからか?」

 

彼女の参加してきたパーティーは、彼女以外全滅していたことから付いた、彼女の通り名らしい。

 

「知っていて…なのにどうして?」

 

「ディオニュソスにクエストを頼まれた。フィルヴィスの閉じた心を開いてくれってね」

 

「え?ディオニュソス様が…」

 

彼女の主神が僕に依頼したことに、驚いているようだった。

 

「悪いけど、僕達のパーティーは全滅しない。だからフィルヴィス、安心して彼女達の手本になってくれ」

 

「あなたは何者なんですか?」

 

「僕は陵辱好きなエスプレイヤーだよ」

 

ぷっと吹き出すように笑ったフィルヴィス。笑顔はやっぱかわいいな♪

 

「では、陵辱されそうな私を助けたのは、どうしてですか?」

 

「並行詠唱…彼女達に教えて欲しいから。それだけだよ…僕は多くを望まない。キリが無いからね」

 

彼女の心の扉は開き始めている。

 

「欲を言うとどうなんですか?」

 

「そうだな…気に入ったエルフ達に囲まれる生活も悪くない。まぁ、一番望んでいるのは、妹と二人でのんびり暮らしたいことかな。もう無理な話だけど」

 

笑顔がクリティカルな猫又を思い出す僕。

 

「無理?なんでですか?」

 

「殺したから。僕が彼女を殺したから、もう無理なんだよ。生き返らせたけど…彼女は許してくれたけど、僕には無理なんだ」

 

「なんで…殺したのですか?」

 

「勢力戦争…敵味方に分かれていた。それぞれの王の前での死闘…どちらかが死ぬまで続く。死までの恐怖は少ない方がいいから、痛さを感じないように、顔面ごと頭部を粉砕した」

 

絶句しているフィルヴィス。

 

「死なんてそんなもんだよ。価値感は立ち位置で変わる。フィルヴィスだけが生き残ったんじゃない。まだ楽に死なせない為に、生き残されたって見方もある」

 

はっとしたような表情のフィルヴィス。

 

「死ねば基本楽になるんだ。悪行を重ねてきたヤツは別だけど。死をもたらす妖精?僕に言わせれば、この世の苦行から解放してくれる妖精だよ。物事の意味は立ち位置で変わる。だから、もっと楽に生きろよ、フィルヴィス」

 

あれ?僕に縋って泣いているフィルヴィス。なんか泣かせることしたかな?

 

「あっ!団長、フィルヴィス先生を泣かせたんですか?」

 

リトルとフィアナが、軽蔑する目付きで僕を睨んでいる。

 

「えっ?まだ手は出していないよ~」

 

弟子達に言い訳をする僕。

 

「それがいけないんじゃないですか?」

 

フィアナが僕に意見を言う。あの二人の子供だ。倫理感は僕よりも高位だと思う。いや、倫理感って言う物は僕には無いかもしれない。

 

「もっと、女心も分かりなさい」

 

「僕は男だからな…」

 

女心…男の僕には、永遠に分からない事である。

 

「はぁ~、団長…自覚を持って下さい!」

 

リトルがよくわからんことを言う。自覚?何のだ?

 

「そういう時はですね…」

 

突然、リトルとフィアナの耳が真っ赤に染まっていく。

 

「おい、耳が赤信号だけど…お前達、何を想像したんだ?」

 

エルフの子供である二人には、アレ系の想像だけで耳に赤信号が灯る。お互いに顔を見合わせた後、二人は部屋から逃げていく。僕はまだ何もしていないんだけど…

 

「ははは」

 

フィルヴィスが笑い声を上げて笑っていた。

 

「久しぶりに笑いました…ありがとうございます」

 

だから、何もしていないんだけど…戸惑う僕。

 

「あなたは、何者ですか?」

 

「陵辱好きなエスプレイヤーだけど…」

 

「ふ~ん…遠征から無事戻れたら…捧げていいですか?」

 

「何を?」

 

意味がわからん。

 

「いいって事ですね♪遠征ではお世話になります」

 

おい、僕はまだ了承をしていないぞ。なのに、フィルヴィスが一人納得して帰って行く。何?何を捧げるんだ?

 

 

 

---フィン---

 

メイビス・ファミリアが深層への遠征をすると、アイズから聞いた。うちから、アイズ、レフィーヤ、ティオネ、ティオナが参加するそうだ。

 

「その遠征で、うちのファミリアにメリットは有るのか?」

 

「メリット無いとダメ?」

 

「ダメだな。なんで主力の君達が、他のファミリアの遠征を手伝うんだ?」

 

世話になりっぱなしだから、許可はするけど。でもメリットが無いと、ロキの顔を潰してしまう。

 

「メリット…う~ん…シュウと仲良くできる♪」

 

「リトルちゃんとフィアナちゃんと仲良くなれます♪」

 

「カズマを鍛えられる。う~ん、私にも弟子が出来るとは♪」

 

「団長の為に、テクニックを多く学んできますわ♪」

 

4人のメリットを聞けた。そこには、うちのファミリアのメリットは何も無い。

 

「それは個人的なメリットだろ?うちのファミリアのメリットが無いとダメだ」

 

「じゃ、友好を結ぶ為って言うのはどうかな?」

 

リヴェリアがやって来て、話に加わった。あぁ、友好を結ぶ…同盟関係を築くのか…

 

「あぁ、それなら、いいかもな」

 

「では、私とフィンも参加だ。これから、彼に伝えてくる」

 

僕の返事を待たずに、リヴェリアが去って行った。あれって、あいつも個人的なメリットじゃないのか?

 

 

 

---シュウ---

 

遠征の準備をする。

 

「私も行きますからね」

 

って、アスフィ。サファリルックで身を包んでいる。肌の露出が多くないか?

 

「達也君が参加するって言うから、私も参加です。現場でのCADの調整を見てみたいですから」

 

って。アスフィと達也は、このファミリアで開発部門を担当している。なので、仲は良い方である。

 

「私も行きますよ」

 

ナァーザが荷物を運びこんでいた。

 

「なんで?」

 

「私の身体は、シュウに買われました。だから、付いて行きます。文句は無いですよね?」

 

買った覚え無いのに…

 

「その荷物は?」

 

「試作品です。現場で試してデータを取りたいんです」

 

二人増えた…食材をもう少し多めにしないとダメかな?

 

「ちょっと、いいかな?」

 

フィンがやって来て、声を掛けてきた。

 

「リヴェリアの件か?」

 

昨日、参加したいって、楽しそう申し出たのだ…遠足で無いんだけど…

 

「それも含めてだ。僕とベートも参加したい。それで、コレを機会に、ロキ・ファミリアとメイビス・ファミリアとの間に同盟を結びたいんだ」

 

う~ん…まぁ、ロキ・ファミリアの顔は立てた方が良いかな?

 

「わかった。その方向で良いが、遠足でないんだぞ?」

 

「リヴェリアが何かやらかしたか?」

 

「うちのエルフ達の母親代わりになるって…遠足に親が同伴って感じだよ~」

 

メイビスから、事情を知らされて、そういう気持ちになったのかもしれない。まぁ、あの二人は見た目では判断しないからいいけど。

 

「ねぇねぇ、頼み事があるんだけど…」

 

シルがやって来た。今度は何?

 

「シルはダメだよ。冒険者で無いから」

 

「私じゃないよ。知り合いの冒険者を、良い機会だから連れて行って、体験させて欲しいの。ダメかな?」

 

ジト目で見られ、たじろぐ僕。かわいい仕草グランプリって言うのがあったら、間違いなくシルが優勝だと思う。

 

「う~ん…誰?」

 

「ヘスティア・ファミリアのベル君」

 

「却下」

 

即答で拒否する。

 

「なんで?」

 

上目遣いで見るシル。やめてぇえぇぇぇ~堕ちるから…この場で全裸にして、無茶したい…僕の心を読めるメンバーが苦笑いしている。あの笑顔は、白音並のクリティカルさだ。

 

「まったく知らないヤツはダメだ。作戦が立てられないから」

 

「そこをなんとかさぁ~」

 

人差し指で僕の乳首をグリグリしてきた。どこで習っているんだ?そんなキラー技を…

 

「では、ジャマ立てしたら、凍結しましょうよ、シュウさん」

 

深雪が救援に来てくれた。

 

「凍結って?」

 

「動きを止めるのよ」

 

「殺すの?」

 

「場合によってはね」

 

何か、女同士の戦いが始まった予感がする。止めないと…

 

「じゃ、こうしよう。僕の描いた作戦からはずれた行動をしたら、強制転移させる。これでいいな、シル」

 

「うん♪ありがとう」

 

僕の頬にキスをして立ち去ったシル。そんなシルを睨む深雪。う~ん、この二人が暴走すると、止める自信が無い。

 

「フィン、ベルってどうなの?」

 

「どうって…適応力が高く、反応速度は高い。荒削りの戦士だよ」

 

--------

 

遠征出発当日、ダンジョンの入り口前…予想していたより、遥に多い参加者達。なんでだ?

 

「すまない…一緒に行きたいって…ラウルとアキだ」

 

申し訳なさそうにフィンが答えた。キャットピープルなアキ。猫は苦手なんだけど…

 

「で、彼らは?」

 

違う世界で面識があるが、この世界では初対面なので、フィンに訊いた。

 

「ヘスティア・ファミリアのメンバーだな。ベルだけって事じゃ無かったようだな」

 

一応、集まったメンバー全員に、今回のルールを説明する。

 

「うちのメンバーの能力測定がメインだ。それを邪魔する者は、即退場にする。文句があるヤツは参加しないでくれ。参加した以上は、ルールに従ってもらう。いいな」

 

カズマ達の第一部隊を先行させた。少し間を置いて、リトル達の第二部隊を先行させた。カズマ達にはオーフィスと忍、リトル達にはエルフ達をガードにつけている。で、時間をおいて本隊がダンジョンへと足を踏み入れた。

 

ダンジョンの中は静まり返っていた。先行部隊が順調ってことかな?何事もなく5階層に到達…何か嫌な振動が…

 

「アイズ、アスナ!先行部隊と合流だ!」

 

「「了解!」」

 

二人は疾走していく。その後をヘスティア・ファミリアが追い駆けていく。おい、命令違反だぞ!

 

「どうしたんだ?」

 

フィンが訊いてきた。

 

「イレギュラー発生だ。たぶん、2階層下…カズマ達のいる辺り…フィン、本隊の指示を頼む。僕達も先行するから」

 

「わかった」

 

僕とラムレムは転移術で移動をした。

 

--------

 

転移した先に、アレはいた。

 

「カズマ、大丈夫か?」

 

腹部を損傷しているカズマに声をかけた。

 

「めぐみんの爆裂魔法が効かない…」

 

めぐみんはどこだ?目の前のアレの口に咥えられていた。意識は無いのか、ぐったりとしている。アクアはめぐみんを救おうと、ダクネスと共に応戦をしている。

 

「アクア、カズマを頼む!」

 

「あっ!はい…」

 

アクアをガードするように、忍が併走していく。

 

「ラムレム、全力でいいぞ!仲間を傷つけた報いを与えろ!」

 

「「はい♪」」

 

僕は意識を集中して、索敵をする。術者がいるはずだ。こんなモンスターは、ここにいないはずだし。

 

索敵したが、このフロアにはいない。どこだ?フロア内を調べる。ラムレムとオーフィスの3名でも手こずっているモンスターって、ヤバいだろ?

 

まず、倒してから捜索するかな?僕は僕の力を解放した。

 

 

モンスターはミンチ状になり息絶えたようだ。念には念を入れて、身体を構成していた部位を全て焼き払った。

 

「アクア、どうだ?」

 

「カズマはどうにか。めぐみんはエネルギー切れよ」

 

アクアが施した後、僕がチェックをする。二人共死ぬことは無いが、ダメージは少し残りそうだ。

 

「くそっ!装甲が厚くて、ダメージを入れられなかった」

 

カズマが悔しそうだ。

 

「生きているんだ。先を目指して生きろ!」

 

「はい、団長」

 

それにしても何だアレは?魔石が無いモンスター…このダンジョンのヤツでは無い。アクアに出現した位置を聞き出し、そこを捜査する。うん、これかな…念話で達也を呼び出す。しばらく待つと第二部隊と本隊がやって来た。ヘスティア・ファミリアの奴らはいなかった。

 

「フィン、ヘスティアの奴らは?」

 

「地上へ戻ったよ。ダメージがデカかったから」

 

1階層上にも出たようだ。

 

「アレはなんなんだ?魔石が無かったぞ」

 

僕は、見つけた物をフィンに見せた。

 

「これは?」

 

「転移用の魔法陣だ。使われている文字は悪魔文字だ。内容は、接近する者がいたら、指定してある物を転移させるだ」

 

ただ、発動後に書き換えられた痕跡もある。当初は何が描いてあったのか?書き換えの痕跡の無い転移元を解析する。

 

「この座標は、ラキアですね」

 

解析に集中していて気づかなかったけど、達也がいつの間にか来ていて、解析をしてくれた。

 

「ラキアか?アイツら…」

 

ラキア王国…オラリオに敵対している国である。

 

「そうなると、ラキアには悪魔系の召還師がいるってことだな」

 

「アレはなんだい?」

 

「邪龍と呼ばれる戦闘狂でしぶといドラゴンだ。厄介だな」

 

カズマ達だけ潜らせられない。こんな低層で出すとは…

 

「達也、被害状況は?」

 

「第二部隊は大丈夫です。主力隊の合流が早かったですから」

 

「達也、この魔法陣を徹底的に解析だ」

 

「気になるんですか?」

 

「あぁ、カズマ達に反応したにしては、おかしいんだ。センサー類が無い。フロアの入り口を調べてくれるか?」

 

「わかりました」

 

「フィン、このフロアでキャンプする。調査が必要だ」

 

「わかった。すぐに手配する」

 

この世界のフィンも理解が早くて助かるな。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。