このパーティーでダンジョンは間違っているだろうか 作:もっち~!
---カズマ---
「次回のダンジョン演習は50階層を目指すぞ」
団長の口から信じられない階層が告げられた。
「まだ7階層が限界ですよ、俺達は…」
往復に関しては5階層ではあるけど。
「あぁ、カズマ達には、先の世界を見せたい。8階層からはリアス、シーグヴァイラ、リトル、フィアナ、エミリアで対応。この隊で、行けるところまで行く。実力測定後は、アイズ、アスナ、レフィーヤ、フィルヴィス、ティオナ、ティオネが主力で進む。最終的な主力は僕、オーフィス、忍、ラム、レムがいるから、50階層までいけるはずだ」
実力測定…死ぬ寸前まで戦わせて、極限状態での戦いを見せるのだ。何回か経験はしたけど…
「死んでも大丈夫だ♪蘇生術を使えるのが2名いるしね」
って、死すら恐れない演習…きつい。無様な死に様の場合、鍛錬のメニュは過酷になっていくし。
「あと、ポーターとしてちはや、ガードとして達也、深雪も連れて行く。メイビス、フィアを呼び出して、留守中のメイドを依頼しておいて」
「わかりました」
「じゃ、方針は決まったし。カズマ、鍛錬だぞ♪」
俺を両脇から掴み、中庭へと連れ出すアマゾネスな二人…
---シュウ---
フィルヴィスが、僕の部屋にやってきた。
「私はダメです!」
遠征のメンバーにいることを、抗議された。
「リトルは君に懐いている。後、新入りのフィアナって子も弟子にして欲しいし」
「だから…私と一緒だと…」
「『死妖精』だからか?」
彼女の参加してきたパーティーは、彼女以外全滅していたことから付いた、彼女の通り名らしい。
「知っていて…なのにどうして?」
「ディオニュソスにクエストを頼まれた。フィルヴィスの閉じた心を開いてくれってね」
「え?ディオニュソス様が…」
彼女の主神が僕に依頼したことに、驚いているようだった。
「悪いけど、僕達のパーティーは全滅しない。だからフィルヴィス、安心して彼女達の手本になってくれ」
「あなたは何者なんですか?」
「僕は陵辱好きなエスプレイヤーだよ」
ぷっと吹き出すように笑ったフィルヴィス。笑顔はやっぱかわいいな♪
「では、陵辱されそうな私を助けたのは、どうしてですか?」
「並行詠唱…彼女達に教えて欲しいから。それだけだよ…僕は多くを望まない。キリが無いからね」
彼女の心の扉は開き始めている。
「欲を言うとどうなんですか?」
「そうだな…気に入ったエルフ達に囲まれる生活も悪くない。まぁ、一番望んでいるのは、妹と二人でのんびり暮らしたいことかな。もう無理な話だけど」
笑顔がクリティカルな猫又を思い出す僕。
「無理?なんでですか?」
「殺したから。僕が彼女を殺したから、もう無理なんだよ。生き返らせたけど…彼女は許してくれたけど、僕には無理なんだ」
「なんで…殺したのですか?」
「勢力戦争…敵味方に分かれていた。それぞれの王の前での死闘…どちらかが死ぬまで続く。死までの恐怖は少ない方がいいから、痛さを感じないように、顔面ごと頭部を粉砕した」
絶句しているフィルヴィス。
「死なんてそんなもんだよ。価値感は立ち位置で変わる。フィルヴィスだけが生き残ったんじゃない。まだ楽に死なせない為に、生き残されたって見方もある」
はっとしたような表情のフィルヴィス。
「死ねば基本楽になるんだ。悪行を重ねてきたヤツは別だけど。死をもたらす妖精?僕に言わせれば、この世の苦行から解放してくれる妖精だよ。物事の意味は立ち位置で変わる。だから、もっと楽に生きろよ、フィルヴィス」
あれ?僕に縋って泣いているフィルヴィス。なんか泣かせることしたかな?
「あっ!団長、フィルヴィス先生を泣かせたんですか?」
リトルとフィアナが、軽蔑する目付きで僕を睨んでいる。
「えっ?まだ手は出していないよ~」
弟子達に言い訳をする僕。
「それがいけないんじゃないですか?」
フィアナが僕に意見を言う。あの二人の子供だ。倫理感は僕よりも高位だと思う。いや、倫理感って言う物は僕には無いかもしれない。
「もっと、女心も分かりなさい」
「僕は男だからな…」
女心…男の僕には、永遠に分からない事である。
「はぁ~、団長…自覚を持って下さい!」
リトルがよくわからんことを言う。自覚?何のだ?
「そういう時はですね…」
突然、リトルとフィアナの耳が真っ赤に染まっていく。
「おい、耳が赤信号だけど…お前達、何を想像したんだ?」
エルフの子供である二人には、アレ系の想像だけで耳に赤信号が灯る。お互いに顔を見合わせた後、二人は部屋から逃げていく。僕はまだ何もしていないんだけど…
「ははは」
フィルヴィスが笑い声を上げて笑っていた。
「久しぶりに笑いました…ありがとうございます」
だから、何もしていないんだけど…戸惑う僕。
「あなたは、何者ですか?」
「陵辱好きなエスプレイヤーだけど…」
「ふ~ん…遠征から無事戻れたら…捧げていいですか?」
「何を?」
意味がわからん。
「いいって事ですね♪遠征ではお世話になります」
おい、僕はまだ了承をしていないぞ。なのに、フィルヴィスが一人納得して帰って行く。何?何を捧げるんだ?
---フィン---
メイビス・ファミリアが深層への遠征をすると、アイズから聞いた。うちから、アイズ、レフィーヤ、ティオネ、ティオナが参加するそうだ。
「その遠征で、うちのファミリアにメリットは有るのか?」
「メリット無いとダメ?」
「ダメだな。なんで主力の君達が、他のファミリアの遠征を手伝うんだ?」
世話になりっぱなしだから、許可はするけど。でもメリットが無いと、ロキの顔を潰してしまう。
「メリット…う~ん…シュウと仲良くできる♪」
「リトルちゃんとフィアナちゃんと仲良くなれます♪」
「カズマを鍛えられる。う~ん、私にも弟子が出来るとは♪」
「団長の為に、テクニックを多く学んできますわ♪」
4人のメリットを聞けた。そこには、うちのファミリアのメリットは何も無い。
「それは個人的なメリットだろ?うちのファミリアのメリットが無いとダメだ」
「じゃ、友好を結ぶ為って言うのはどうかな?」
リヴェリアがやって来て、話に加わった。あぁ、友好を結ぶ…同盟関係を築くのか…
「あぁ、それなら、いいかもな」
「では、私とフィンも参加だ。これから、彼に伝えてくる」
僕の返事を待たずに、リヴェリアが去って行った。あれって、あいつも個人的なメリットじゃないのか?
---シュウ---
遠征の準備をする。
「私も行きますからね」
って、アスフィ。サファリルックで身を包んでいる。肌の露出が多くないか?
「達也君が参加するって言うから、私も参加です。現場でのCADの調整を見てみたいですから」
って。アスフィと達也は、このファミリアで開発部門を担当している。なので、仲は良い方である。
「私も行きますよ」
ナァーザが荷物を運びこんでいた。
「なんで?」
「私の身体は、シュウに買われました。だから、付いて行きます。文句は無いですよね?」
買った覚え無いのに…
「その荷物は?」
「試作品です。現場で試してデータを取りたいんです」
二人増えた…食材をもう少し多めにしないとダメかな?
「ちょっと、いいかな?」
フィンがやって来て、声を掛けてきた。
「リヴェリアの件か?」
昨日、参加したいって、楽しそう申し出たのだ…遠足で無いんだけど…
「それも含めてだ。僕とベートも参加したい。それで、コレを機会に、ロキ・ファミリアとメイビス・ファミリアとの間に同盟を結びたいんだ」
う~ん…まぁ、ロキ・ファミリアの顔は立てた方が良いかな?
「わかった。その方向で良いが、遠足でないんだぞ?」
「リヴェリアが何かやらかしたか?」
「うちのエルフ達の母親代わりになるって…遠足に親が同伴って感じだよ~」
メイビスから、事情を知らされて、そういう気持ちになったのかもしれない。まぁ、あの二人は見た目では判断しないからいいけど。
「ねぇねぇ、頼み事があるんだけど…」
シルがやって来た。今度は何?
「シルはダメだよ。冒険者で無いから」
「私じゃないよ。知り合いの冒険者を、良い機会だから連れて行って、体験させて欲しいの。ダメかな?」
ジト目で見られ、たじろぐ僕。かわいい仕草グランプリって言うのがあったら、間違いなくシルが優勝だと思う。
「う~ん…誰?」
「ヘスティア・ファミリアのベル君」
「却下」
即答で拒否する。
「なんで?」
上目遣いで見るシル。やめてぇえぇぇぇ~堕ちるから…この場で全裸にして、無茶したい…僕の心を読めるメンバーが苦笑いしている。あの笑顔は、白音並のクリティカルさだ。
「まったく知らないヤツはダメだ。作戦が立てられないから」
「そこをなんとかさぁ~」
人差し指で僕の乳首をグリグリしてきた。どこで習っているんだ?そんなキラー技を…
「では、ジャマ立てしたら、凍結しましょうよ、シュウさん」
深雪が救援に来てくれた。
「凍結って?」
「動きを止めるのよ」
「殺すの?」
「場合によってはね」
何か、女同士の戦いが始まった予感がする。止めないと…
「じゃ、こうしよう。僕の描いた作戦からはずれた行動をしたら、強制転移させる。これでいいな、シル」
「うん♪ありがとう」
僕の頬にキスをして立ち去ったシル。そんなシルを睨む深雪。う~ん、この二人が暴走すると、止める自信が無い。
「フィン、ベルってどうなの?」
「どうって…適応力が高く、反応速度は高い。荒削りの戦士だよ」
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遠征出発当日、ダンジョンの入り口前…予想していたより、遥に多い参加者達。なんでだ?
「すまない…一緒に行きたいって…ラウルとアキだ」
申し訳なさそうにフィンが答えた。キャットピープルなアキ。猫は苦手なんだけど…
「で、彼らは?」
違う世界で面識があるが、この世界では初対面なので、フィンに訊いた。
「ヘスティア・ファミリアのメンバーだな。ベルだけって事じゃ無かったようだな」
一応、集まったメンバー全員に、今回のルールを説明する。
「うちのメンバーの能力測定がメインだ。それを邪魔する者は、即退場にする。文句があるヤツは参加しないでくれ。参加した以上は、ルールに従ってもらう。いいな」
カズマ達の第一部隊を先行させた。少し間を置いて、リトル達の第二部隊を先行させた。カズマ達にはオーフィスと忍、リトル達にはエルフ達をガードにつけている。で、時間をおいて本隊がダンジョンへと足を踏み入れた。
ダンジョンの中は静まり返っていた。先行部隊が順調ってことかな?何事もなく5階層に到達…何か嫌な振動が…
「アイズ、アスナ!先行部隊と合流だ!」
「「了解!」」
二人は疾走していく。その後をヘスティア・ファミリアが追い駆けていく。おい、命令違反だぞ!
「どうしたんだ?」
フィンが訊いてきた。
「イレギュラー発生だ。たぶん、2階層下…カズマ達のいる辺り…フィン、本隊の指示を頼む。僕達も先行するから」
「わかった」
僕とラムレムは転移術で移動をした。
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転移した先に、アレはいた。
「カズマ、大丈夫か?」
腹部を損傷しているカズマに声をかけた。
「めぐみんの爆裂魔法が効かない…」
めぐみんはどこだ?目の前のアレの口に咥えられていた。意識は無いのか、ぐったりとしている。アクアはめぐみんを救おうと、ダクネスと共に応戦をしている。
「アクア、カズマを頼む!」
「あっ!はい…」
アクアをガードするように、忍が併走していく。
「ラムレム、全力でいいぞ!仲間を傷つけた報いを与えろ!」
「「はい♪」」
僕は意識を集中して、索敵をする。術者がいるはずだ。こんなモンスターは、ここにいないはずだし。
索敵したが、このフロアにはいない。どこだ?フロア内を調べる。ラムレムとオーフィスの3名でも手こずっているモンスターって、ヤバいだろ?
まず、倒してから捜索するかな?僕は僕の力を解放した。
モンスターはミンチ状になり息絶えたようだ。念には念を入れて、身体を構成していた部位を全て焼き払った。
「アクア、どうだ?」
「カズマはどうにか。めぐみんはエネルギー切れよ」
アクアが施した後、僕がチェックをする。二人共死ぬことは無いが、ダメージは少し残りそうだ。
「くそっ!装甲が厚くて、ダメージを入れられなかった」
カズマが悔しそうだ。
「生きているんだ。先を目指して生きろ!」
「はい、団長」
それにしても何だアレは?魔石が無いモンスター…このダンジョンのヤツでは無い。アクアに出現した位置を聞き出し、そこを捜査する。うん、これかな…念話で達也を呼び出す。しばらく待つと第二部隊と本隊がやって来た。ヘスティア・ファミリアの奴らはいなかった。
「フィン、ヘスティアの奴らは?」
「地上へ戻ったよ。ダメージがデカかったから」
1階層上にも出たようだ。
「アレはなんなんだ?魔石が無かったぞ」
僕は、見つけた物をフィンに見せた。
「これは?」
「転移用の魔法陣だ。使われている文字は悪魔文字だ。内容は、接近する者がいたら、指定してある物を転移させるだ」
ただ、発動後に書き換えられた痕跡もある。当初は何が描いてあったのか?書き換えの痕跡の無い転移元を解析する。
「この座標は、ラキアですね」
解析に集中していて気づかなかったけど、達也がいつの間にか来ていて、解析をしてくれた。
「ラキアか?アイツら…」
ラキア王国…オラリオに敵対している国である。
「そうなると、ラキアには悪魔系の召還師がいるってことだな」
「アレはなんだい?」
「邪龍と呼ばれる戦闘狂でしぶといドラゴンだ。厄介だな」
カズマ達だけ潜らせられない。こんな低層で出すとは…
「達也、被害状況は?」
「第二部隊は大丈夫です。主力隊の合流が早かったですから」
「達也、この魔法陣を徹底的に解析だ」
「気になるんですか?」
「あぁ、カズマ達に反応したにしては、おかしいんだ。センサー類が無い。フロアの入り口を調べてくれるか?」
「わかりました」
「フィン、このフロアでキャンプする。調査が必要だ」
「わかった。すぐに手配する」
この世界のフィンも理解が早くて助かるな。