このパーティーでダンジョンは間違っているだろうか 作:もっち~!
---フィン---
見た事の無い破壊力…連絡通路が崩壊って…唖然とするしかない。彼の呼んだ助っ人達はとんでもない奴らだった。中でもアイズに似た人物により、アイズはショックを受けていた。髪の毛以外、アイズにそっくりで、得物はアイズと同じデスペレートで、しかも2本使いだった。アレは誰なんだ?
「リトル、あれは一体…」
リヴェリアがリトルに訊いた。
「あぁ、団長の部隊の戦闘狂トリオです」
苦笑いしながら、リトルが口を開いた。
「彼の部隊って?」
思わず、気になる単語を質問した。
「団長の部隊です。あの方達は1軍メンバーです。で、メイビス・ファミリアにいるメンバーは、ほとんど2軍か補欠です」
2軍か補欠?充分に強いのだが…いやいや、それ以前に彼の部隊のことが知りたいんだけど。
「あのアイズに似た者は?」
リヴェリアが畳み掛けるように質問をした。アイズも興味有るのか、リトルを見据えている。僕の知りたいことから遠のいて行く…
「あぁ…並行世界のアイズさんですよ。団長からフェニックスの翼を貰い、飛行能力、再生能力を持ち、風と炎の力を使えるんです」
はぁ?並行世界?何だ、それは?リヴェリアは納得している表情である。こいつ、事前に知っていたな。
「何故、デスペレートが2本なんだ?」
リヴェリアは淡々と質問をしている。僕は混乱気味であると言うのに。
「アイズさん自体は同化吸収強化しているのですが、団長がデスペレートの同化吸収を防ぎ、二刀流を叩き込んだそうです」
同化吸収?なんだ、それは?リヴェリアは頷いているし…
「そうか…なるほどな。トップ戦士を送り込んでくれたのか」
「それは違います。トップクラスは団長と共にいますから」
「うん?どういうことだ?」
リトルの表情が崩れていく。哀しそうな顔になっていく。何でだ?
「万が一、団長が暴走した時、トップクラスのメンバーが団長を止める任が有ります。先程の5名程度の戦力では止まりませんので」
あの5名で止まらないって…アイツ、どれだけ強いんだ?
「あの男はどんだけ強いんだ?」
ポールが便乗質問をしてきた。
「団長ですか?う~ん…本気になれば、宇宙を2、3個纏めて消すくらいかな…あははは」
え?僕達は皆、耳を疑う動作をした。宇宙を2、3個纏めて?はぁ?
「まぁ、そのくらいの力ありますが、1つ消しただけで、罰を喰らうそうですから、やりませんよ…」
苦笑いしているリトル。罰を喰らう?消した実績有りなのか?
「団長は温厚ですから、相当キレない限り、そこまではしません。あっ、深雪さん」
黒髪の少女が現れた。
「団長からの指示です。今崩落現場でガレキを除去しています。コチラからも除去を初めて欲しいそうです。お兄様、大きな欠片から分解除去して欲しいです。性癖が破綻しかけていますので、急いだ方がいいかな」
彼女の兄、達也が苦笑いをして作業を始めた。岩を分解できるのか…大きな岩が次々に粉々になっていく。こんな彼でも2軍メンバーなのは驚きである。
「あと、トレインの原因もわかりました。対処方法はアスフィさん、ナァーザさん、ちょっと…」
三人で何かを検討し始めた。
---シュウ---
次に誰を責めるかな。また、飽きてきた。達也に救出されるのを待つのは手だ。あいつ、真面目だから、淡々とこなしてくれるはずだし。なので、気になるヤツらを、ここに転移させた。
「ここはどこだ?あっ、シュウ…」
緑の髪の女性と金髪の少女が転移してきた。どう、いたぶろうかな♪
「あの赤い私は何ですか?」
赤くないアイズが訊いてきた。
「まぁ、歴代最強なアイズかな。愛情表現が破綻していること以外はまともだ」
「はぁい?」
「アイツと同等には成れないぞ。造りが違うし」
「鍛錬を積めば…」
「無理だ。鍛錬だけでは乗り越えられない壁は有る。それに、エアリアルに頼るお前には無理だ。言っているだろう?剣技を磨けと」
得物を手にして構えた。ここでやるのか?まぁ、構わないけど。単調な作業で飽きていたし。
「来いよ。みんなの目を気にせず、痛めつけてやる♪」
アイズはリル・ラファーガで突撃してきた。彼女の攻撃を透過して、彼女に抱きつき、フロントスープレックスで投げ飛ばした。この世界の者にはプロレス技なんか、初めてだったのだろう。受け身を取れずに地面に叩き付けられた。すかさず、腕を極めて、チキンウィングアームロックへ移行した。
彼女の背中に載り、右腕と首を極めて、腰を海老反りにしていく。所謂3点極めだ。藻掻けば藻掻くほど、極めは危険な位置へと移動していく。彼女の左腕はダラ~ンと垂れ下がっている。喘ぎ声もしない。堕ちたようだ。彼女から離れると、力無く地面に横たわった。
「たわいも無い。で、リヴェリアはどうされたい?」
彼女の声を消す。詠唱していた彼女は口をパクパクしているだけだ。詠唱魔法の欠点、言霊を使った発動な為、声を無効化すれば、術は発動できない。
「おい、お前は金魚か?口をパクパクさせていて」
この世界には金魚がいるのか知らないけど、声が出ないことで、彼女はパニックになっていた。『脱衣』を発動して、二人を全裸にする。
リヴェリアの心の声が聞こえるがスルーし、全裸の彼女の姿を観賞する。
---リヴェリア---
声が出ない…詠唱が出来無い。これでは…全裸にされ、ただ見ているだけの彼。アイズは、全裸で横たわったまま、微動だにしない。大丈夫か?
彼は近づいて来て、私の股間の臭いを嗅いでいる。アンダーヘアに頬ずりをしている。ただ、そんな変態プレイにも関わらず、私の身体は準備が進んでいく。股間は湿り毛を帯び、乳首は固くそそり立っていく。耳も顔も頭も暑い…耳を責めて欲しい…
私の心の声が聞こえているはずなのだが、あえてスルーしている彼。私では、彼女、並行世界の私の代わりに成れないのか?同じ、リヴェリアのはずなのに…
「成れないよ…記憶が違うんだ。同じには成れない…」
そういうと、私に背を向け、アイズに近寄っていく。
「どうすればいいんだ!」
あ、声が出た。
「何もしなくていい」
彼が指を鳴らすと、私もアイズも服を着た状態になった。
「しかし…」
「リトルとフィアナの面倒で充分だ」
「私にも鍛錬をして欲しい」
哀しそうな顔の彼。
「冒険者を辞めちゃえ。もう、死ぬところは見たくない」
私とアイズは、彼の元から18階層へと転移させられた。
---シュウ---
いかん、リヴェリアを見ていると、過去を思い出してしまう。センチメンタルなんか、僕の辞書には無いはずなのだが。う~ん…ティオナもダメだろうな…かと言って、レフィーヤじゃエムだしなぁ…
次の遊び相手を考える僕。中々浮かばない。考え込んでいる僕の前に、リトルとフィアナのコンビが転移してきた。
「どうやって、転移座標を割り出したんだ?」
転移魔法陣での移動って、転移先の座標を書き込んで転移するのだ。
「リヴェリアさんに残っていた、残留魔法陣を解析しました♪」
と、リトル。そこまで出来る様になったのか。
「なんで、リヴェリアさんに何もしないんですか?」
フィアナに訊かれた。
「え?う~ん…エルフはもういいって感じかな。そうだな、お前達の熟成待ちかな?」
耳を真っ赤にした二人。想像したんだな。
「まだまだ先ですよ」
まぁ、そうなるよな。
「団長、リヴェリアさんとフィルヴィスさん、どっちが本命ですか?」
フィアナが訊いてきた。どっちって…
「どっちかな?どっちもかわいいと想う。甲乙は付けがたい。って、いうか基本、エルフは僕の性癖に合わない。エム属性が強いから…」
更に真っ赤になる二人。
「エムじゃないもん…」
真っ赤な顔で俯いて、フィアナが否定した。
「通常はな。でも、淫乱化させるのは、簡単だ。それだと、僕の性癖は満足できない」
「満足しましょうよ!」
って、真っ赤な顔のリトル。
「レフィーヤでプレイしていい?」
リトルにからかうように言ってみた。
「ダメに決まっているでしょ!」
即答で、レフィーヤを守ろうとするリトル。
「エルフはエミリアで手一杯だよ。あいつはハーフだけどな」
「あぁ、あの天然プリは最強ですよね」
って、フィアナ。そうだと思います。あっ、二人と話していたら、18階層の灯りが見えてきた。達也が黙々と分解してくれたようだ。
---フィン---
「どこまで知っているんだ?」
リヴェリアに訊いてみた。
「知っていることだけだ」
「だから、どこまで知っているんだよ!」
連絡通路が無事に開通して、彼を救出し、それぞれの部屋で休み始めたのだが、ロキ・ファミリアメンバーだけで集まって、話し合いをしている。アイズは、黙ったまま項垂れている。ガレキの先で、戦いを仕掛けて、またも完敗だったらしい。
「なぁ、並行世界って何だ?」
ベートが訊いた。
「そんなことも知らないのか?ここと同じ世界で、IFな世界だ。重要な局面での選択により、並行世界って言うのが産まれるらしいぞ。まぁ、向こうの世界の現実は、ここでは妄想になるらしいが」
知らない間に、詳しい説明を聞いたようだな。
「同化吸収とは?」
更に質問をするベート。
「並行世界にも、この世界と同じキャラがいる。それが同一世界上に二人以上いると、一人に集約されるらしい。まったく同じ者は同一世界上に一人しか存在出来無いそうだ」
「じゃ、なんでアイズは二人存在できたんだ?」
「あのアイスは、この世界のアイズとは、明らかに違うからだろ?髪の毛の色が違う、能力も特性も違う。同一人物では無いってことだ。逆に言うと、そこにいるアイズは、あのアイズには成れないってことだ」
随分と知識をもらっているリヴェリア。では、彼は並行世界から来たのか?
「彼は並行世界から来たのか?」
「それはわからない。恐くて訊けていない」
恐い?何でだ?リヴェリアの表情は寂しそうだ。
「本来一緒にいてはいけない存在だった場合、この先一緒に居られないって、早々分かっちゃうのが恐いんだ」
本来一緒にいてはいけない存在?
「それに…私という存在は彼の記憶にダメージを与えるんだ」
リヴェリアが泣きそうな顔になった。何がそんなに哀しいのだ?
「彼は…神だよ」
ここまで無言だったアイズが呟いた。神?まさか…
「じゃなきゃ、蘇生なんかできないでしょ?ねぇ、リヴェリア、レフィーヤ」
レフィーヤとリヴェリアが頷いた。そういう事なのか?でも、信じられない。
「神以外には、蘇生は出来無いのか?」
リヴェリアに訊いた。
「いや、彼は神以前に、必死に勉強したんだと思う。私なんかの為に…」
僕の言葉により、リヴェリアの涙腺は破壊された。いきなり号泣してしまったのだ。レフィーヤとティオネが彼女を宥めている。彼はリヴェリアの為に何をしたんだ?
---シュウ---
無事に地上に戻ってきた。アスフィと達也に、あのパントリー入り口占領モンスターの対策を考えて貰っている。基本、混ぜると危険作戦で良いのだが、あの有毒ガスは、カズマ、ダクネス、めぐみんに対しても危険である。なので、その対応策を考えて貰っている。ナァーザには、混ぜると危険薬の開発と、解毒剤の開発をしてもらっている。
戦力的にはウィズが加入したので、18階層への往復までもう一息だと思う。第二部隊の方も、並行詠唱が可能になりつつあるリトルとフィアナ。なので、次の段階に進んで貰った。自分の身は自分で守れだ。これはベートに体術を教えて貰っている。ベートはと言うと妹枠の弟子が二人も出来て、照れまくっている。
アイズはアスナと剣術の鍛錬を続けている。アスナの剣術は、ベル以上の速度にアイズの剣技を合わせた感じなので、アイズは手こずっているようだ。
次の遠征までの鍛錬メニューを考えて居ると、部屋にフィルヴィスとリヴェリアがやって来た。この二人だと、嫌な予感しかしないのだが…
「捧げに参りました♪」
って、フィルヴィス。
「何を?特に必要な物は無いけど…」
逃げる用意をする。
「逃げるのか?」
リヴェリアに読まれている。バレないように表情を作ってみる。
「そんなことはしないよ」
「どうだか…まぁ、逃げたら、リトル達を人質に取るか」
はぁ?何で?
「どうした?顔色が悪いぞ。逃げないなら問題は無いだろ?」
今日のリヴェリアはエスキャラか?痛いところを突いてくるなぁ。
「私達も、あなたの事を、研究しているんですよ」
って、フィルヴィス。研究?無駄なことを…
「優しすぎるのが弱点なんでしょ?」
僕の背中に、のの字を指で描くフィルヴィス。うっ、誰が黒幕だ?コイツらでこんな戦略は立てないだろうに…
「どうなんだ?シュウ…」
顔が近いリヴェリア…リヴェリアとフィルヴィスに挟まれた気がする。どこに逃げるか?エデンの園は、この前ナァーザとの件で、出禁にされたしな…『転移』
転移した先で、あの二人のオーラを探索する。よし、付いて来ていない。少し安心した。
「で、何をしに来たのですか?」
女神に訊かれた。
「少し匿ってくれない?追われているんだよ」
「はぁ~、どこの女にですか?」
「え?何故、女と決めるんだ?」
「男なら、屠ってお終いでしょ?」
まぁ、そうだな…
「オッタルと手合わせしてもらえません?」
女神フレイアが切り出した。
「まぁ、匿ってもらうから、かまわないけど…手加減はしないよ」
「困りましたね。殺されても困るし…じゃ、シルの相手を頼めます?」
「いいけど…今、外に出られないよ」
追っ手が出ていると思う。エルフの女性は結構しつこい。
「ですよね…じゃ、ミアの処に匿って貰うのは?」
「あそこもエルフがいるだろ?ダメだよ、エルフの居る処は…」
「では、ベルを鍛えて貰えますか?」
「兎君?」
「そうそう」
あそこなら、追っ手は来ないか。僕はヘスティア・ファミリアのホームへ転移をした。