このパーティーでダンジョンは間違っているだろうか 作:もっち~!
---シュウ---
ダンジョンへ潜る当日…ぞろぞろと、待ち合わせ場所のダンジョン入り口に向かうと…
『本日、ロキ・ファミリア遠征につき、関係者以外の侵入を禁止します』
と、立て札があった。
「フレイ、これってどういうことだ?」
ギルドを統轄するフレイですら驚いているのだが。
「いや、そんな権限は無いです。侵入規制はイレギュラー発生の場合だけですから」
だと言う。では、これは何だ?構わず、ダンジョンの入り口に近づくと、至る所で揉めていた。ダンジョンの入り口は、ロキ・ファミリアにより封鎖されていたのだった。
「ロキ・ファミリアの遠征だ。邪魔だから、雑魚は入るな!」
雑魚が叫んでいる。その雑魚の近くで、指揮官らしき者とシャクティ達が話し合っている。
「アスフィ、どんな状況だ?」
「ダメだ。話し合いに応じない。団長命令だそうだ」
アスフィの顔は険しい。思わず抱き締めて、怒りを昇華させていく。
「あっ、ごめんなさい…」
耳を紅く染めるアスフィ。
「あぁ、わからんヤツらだ」
シャクティが声を荒上げて戻って来た。
「ダメかい?」
「武力衝突以外はねぇ」
「フレイ、やっていい?」
「ダメです!僕が話してきます」
フレイが話し合いに行くが…
「ギルドなんかに、権限は無いって…ロキ・ファミリアこそ、権限が無いのに…」
くやしそうなフレイ。呼び出しかな。『強奪』を発動して、この場にロキを強奪した。
「えっ?どうしてや?」
突然。ダンジョン入り口前の広場に来たことに、戸惑うロキ。
「ロキ…この街のルールを乱さないでくれるかな?」
フレイが通達をした。
「なんのことや?」
事情をまるでわかっていないロキ。立て札を指差すフレイ。立て札を見て固まるロキ。
「ダンジョンはロキ・ファミリアの物では無い。もし、そうしたいのであれば、ロキ・ファミリアからの戦争遊戯を受けるけど、どうする?」
フレイは最後通告をした。
「待て!なぁ、待ってや」
「ギルドの長としての僕に権限が無いと言われたが、ロキの言葉として受けてもいいぞ」
今朝のフレイは切れ切れである。久しぶりだな♪
「そんなこと、言う訳あらへんだろ。なぁ、自分が話をつけるさかい、待ってや」
ロキが、入り口を陣取る眷属の元へと向かった。しばらく待っていると、ロキがうなだれて戻って来た。
「すまんな…2日ほど待ってや。後、18階層は貸し切りだそうや」
はぁ?何を言っているんだ?どこで、休めと言うんだ?
「それは、見過ごせない事態だよね?貸し切る?セーフポイントを?ロキ・ファミリア以外の冒険者は死んでも良いってことですか?」
怒りを纏い始めたフレイ。フレイのオーラを感じ取った者達は、戦闘の準備に入った。
「フレイ!待ってや!なぁ!悪気は無いんや」
「悪気しか感じません。殺すのはどうかと思います。峰撃ちで行きますか?ねぇ、団長♪」
えっ!僕に判断をまかせるの?それって、責任逃れか?おいおい…
「まぁ、シャクティ達の予定もあるし、フレイ・ファミリアも遠征を開始する。邪魔盾するロキ・ファミリアの面々は、殺さない程度にボコっていいぞ!」
「「「おぉぉぉぉ!」」」
潜りたい他のファミリアの奴らも便乗してきた。
「先陣は僕、フレイ、ファルコン、ジム。中段はリトル、莉愛、フィアナ。シャクティ達はケツ持ちで、遊軍扱い。新人を護ってくれ。進軍開始♪」
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峰撃ちしたりして意識を飛ばしたロキ・ファミリアのメンバー達を、強制転移でロキファミリアの中庭へと転移させて取り除いていく。とんだ遠征になったものだ。これでは、新人教育にならないでは無いか。
「悪いけど、このフロアで、新人教育をした。フレイ・ファミリア以外の者は休憩をしていてくれ。強制では無いけど、それなりに対応はするぞ」
反対意見は出なかった。なので、5階層で休憩を兼ねた、アイズ達の実地訓練を始めた。まぁ、文句の出ようは無いか。ガネーシャ・ファミリア団長のシャクティ、ヘルメス・ファミリア団長のアスフィ、アストレア・ファミリア団長のアリーゼ、ミアハ・ファミリア団長のナァーザが同行していたので、4人の目が恐いのだろう。団長クラスに逆らうと、そのファミリアにケンカを売ったことになるし。そもそも、フレイがいるのがデカイかな。
「脇が甘いわよ」
シャクティがアイズに指導をしてくれている。危なくなると、莉愛がガードをしながら敵を屠る。
「ティオナ、ティオネ、仕入れの目利きを生かせ!目の色で弱っていそうなヤツを狙うんだ」
僕もアドバイスを出す。
「あぁ、そういうことですか♪」
苦戦していたティオネが息を吹き返したように、剣を振るっていく。他のファミリアの冒険者達は、指導の言葉に頷いたり、メモを取ったりしている。
「あと、30分!その後は10分休憩して、下へ行くぞ!」
「まだ30分も…」
ティオネの呟きを聞き逃さなかった。がんばれよ~♪
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10階層辺り、モンスター達が凶暴になっている。ロキ・ファミリア達は何をしたんだ?
「アイズ達を護れ!他のファミリアのヤツで戦える者は戦ってくれ!僕達は調査をしたいから」
「「まかせろ!」」
腕に覚えのある奴らが斬り込んでくれた。
「魔法の使える者達は、魔力を温存してくれ。回復魔法が必要になりそうだ。やけに、凶暴かしていやがる」
フレイとファルコン、アイリス、アリーゼも前衛でモンスター達を蹴散らしていく。
「ジム!僕と一緒に来てくれ。確か、近くにパントリーがあったはずだ」
「アイツら、パントリーで何かをしたってことですね」
「可能性は有る」
パントリーのある場所へと急ぐ。そこは…モンスター達の灰で埋もれていた。こんな低層階のパントリーで何をしているんだ?灰をどかしていくと、生成された魔石はわずかだった。アイツらは根こそぎ、全部取ったようだ。
「エサを奪われて凶暴化したってことですね」
「あぁ、再生すると言っても、全部持ち出されたら、再生までどのくらいかかるやら…」
そうか、これをする為に、ダンジョンを封鎖したのか。エサの無くなったモンスター達は凶暴化する。そこに何も知らない冒険者が来たとしたら…そして、再生する位のタイミングで、アイツらは帰りにも…飢えたハイエナだな…僕の心を読んだジムは頷いた。
「原因はわかった。先を急ごう!」
「はい!」
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15階層…戦えない他のファミリアの者達を地上へと、強制転移させていく。転移される際、皆すまなそうな顔で僕を見る。こんな局面で死なせる訳にはいかない。だから、そんな目で見ないで欲しいのだけども…
「凶暴化している分、いつもより手こずっています」
アスフィが前衛の情報を伝えてくれた。側面からも来やがる。僕とジムで対応していく。強制転移に使う分の魔力を温存しているので、魔法で叩けないのが痛い。後、少しで18階層だけど…
17階層、イレギュラーまで発生して、共食いをしているモンスター達…怯えるアイズ達。
「おい、娘達よ!目を背けるな!これが戦いだ。修羅場はこんな者では無い。目を背けたら、死が近づくと思え!」
弟子達にアドバイスを送る。目を背けた瞬間、狙って来るモンスターもいるからな。
「大丈夫ですか?」
援軍が後方から来てくれた。リュー、ルノア、クロエだ。
「助かった。リュー、娘達を頼む!」
「了解です♪」
「アスフィ、ナァーザも娘達も頼むぞ!」
「わかりました」
強制転移させた者達が、ギルドに現状を伝えに行ってくれたそうだ。地上ではギルド主導で援軍を構成しているらしいが、ミアの判断で3名を先行で送ってくれたそうだ。
もう少しで18階層への回廊へ…え?18階層への回廊の入り口が塞がれていた。凶暴化したモンスター達が18階層へ行けないようにしたのか?
『砲龍 狙撃』
ジムが障害物を破壊していく。
「ジム!待て!回廊自体がまずい」
はっとしたジム。回廊は入り組んでいる。崩壊すると厄介である。
「じゃ、どうしますか?」
「床をブチ破ろう。床に撃ち込め、ジム。ファルコンとアイリスは先行で18階層へ降りて、安全を確保しろ。確保できたら子供達を強制転移させる!」
「「了解!」」
ジムの破壊した床から、階下へと降りるファルコンとアイリス。
「子供達は回廊側に集まれ。回廊の障害物で背中を護るんだ」
指示通りに集まる子供達。
「フレイ、お前も降りろ!早く安全を確保してこい!」
「了解です!」
フレイも穴から落ちていった。
---フレイ---
18階層…僕達はロキ・ファミリアのメンツに取り囲まれていた。
「貴様ら、どうやって、侵入したんだ?ここは、ロキ・ファミリアの貸し切りだ。さっさっと、他の階層へ出て行け!」
無茶を言う。17階層へは戻れない。19階層にしか行けない。
「貸し切り?認め無い。力尽くでも認めない。僕はギルドの主神のフレイだ!団長を出せ!」
へらへら笑っている…相手にされていない。
「ファルコンさん、アイリスさん、峰撃ちで行きますよ」
「了解だ!」
「わかったわよ!」
三人で手を出す輩達を、峰撃ちで意識を刈り取る。数名、瀕死になったいるけど…首の骨が折れたかもなぁ…
「お前達!何をしているんだ?!」
団長さんの声がした。
「不審者を討伐しています」
僕達は不審者か?名乗ったのに…
「何者だ?!」
「ギルド主神のフレイ」
「アストレア・ファミリアのファルコン」
「アストレア・ファミリアのアイリスです」
「なんで、ギルドの主神とアストレア・ファミリアの者が?」
「お前達、ロキ・ファミリアの横暴を止める為だよ」
「何のことだ?」
コイツ、知らないのか?知らされていないのか?
「お前達のせいで、ダンジョン内のモンスター達が凶暴化している。それは、お前達がパントリーの魔石を根こそぎ奪った為だ。後、17階層からここへ降りる回廊にバリケードを付くってのも罪だぞ」
「バリケード?何のことだ。仮にあったとして、どこから侵入したんだ?」
「17階層の床をぶち破った。どう、言う事だ?」
「返答次第では皆殺しもやむないと思っている」
ファルコンさん達は警戒を緩めない。僕もだけど…
「バリケードの件もパントリーの件も、うちのファミリアでは無い。濡れ衣だな」
副団長が現れた。こいつか?元凶は…
「ガレス…本当に違うんだな?」
団長のフィンは、ガレスに問うた。
「オラリオのファミリアの頂点な俺達が、そんなこざかしいことはしない。ギルドの主神?ニセモノだろ?おい、お前!」
ガレスが襲い掛かってきた。
ガッチン!
ガレスの振り下ろした斧が、魔皇剣ザンバットソードで止められた。
「いい加減にしろよ!」
死を感じるオーラが18階層に漂よい始めた。鬼降臨のようだ。耐性の有る僕達での背筋に冷たい物が走り抜けて行く。相当怒り心頭な鬼…
「貴様は、何やつだ!急に現れよって!」
「フレイ・ファミリア団長、シュウ・ヨハネ・鬼門だ!」
団長が手を振り下ろすと、17階層にいたみんなが転移してきた。
「フィン、見損なったよ~」
シャクティがキレていた。誰か、死んだのか?
「あんな幼稚なマネをするとはなぁ」
アスフィは軽蔑な眼差しで、フィンを捉えた。
「シャクティ、アスフィ、ナァーザ、アリーゼ…どうしたんだ?」
有名な団長クラスが4名、フィンを睨んでいた。狼狽えるフィン。
「たがが女だ。フィン、ビビるな。ロキ・ファミリアの威厳さを見せつけてやれ!」
ガレスが焚き尽きている。
「荒くれドワーフが元凶か…『紫煙の十字架』」
紫色の十字架が発現してガレスを磔にした。
「ぐぉっ!何だ、これはぁぁぁぁ~!」
「うん?毒ガスを振りまいている十字架だ。苦しめよ、クソ野郎!」
団長はキレ捲っている。上で何が遭ったんだ?
「お前、何の権限で、こんなマネを!」
フィンが止めようとするが、
「はぁ?子供達を危険にされされて、キレない親がいると思うか?」
淡々と言葉を発する団長。言葉から感情が感じられない。完全にキレている。マズいって…ファルコンさん達も、団長の発する恐怖に後ずさりしているし…
「子供を連れ込む方が悪いだろ…」
声の震えているフィン。
「はぁ?実地訓練をしないと、一人前の冒険者になれないだろ?なのに、凶暴化したモンスターって、なんだよ?おい、お前はどう責任を取るんだ?貴重な時間と体力を奪いやがって…」
え?貴重な体力?鬼ではなくエロ神の方が降臨か?もっとマズいだろ?
「だから、僕達がやったって証拠があるのか?」
「証拠?18階層側から築いたバリケードが証拠だろ?それくらい、分からないのか?お前は団長失格だな。団員の暴走を知らずに、庇うとは…道化もいい加減にしやがれよ!」
後方の街の方から、多数の喘ぎ声、悲鳴が上がっている。何かの術を発動したのか?
「まぁ、いい。お前達で解決しろ!帰るぞ!」
僕達だけ光に包まれて…光が霧散していくと、ホームの中庭に転移していた。
「団長!」
ファルコンさんとジムさんが団長に駆け寄った。マインドロストのようだ。最後に残った魔力で、僕達を地上へと戻してくれたようだった。
「シュウさん、大丈夫ですか」
団長に救われた経験のあるシャクティ達が、声を掛けるが反応が無い。さて…誰を生け贄にするかな…それが問題である。
ガレスが荒くれ者すぎたかな(^^;;