冥界って、死神とかが鎌担いでそこら辺うろついてるイメージ強いと思うんだ。
でも違った。
冥界に入った俺をまず迎えてくれたのは。
「……………長っっっっっ!!!!」
超長い石の階段だった。
これ登りきる前に死んでるんじゃないかなあ、俺…なんて、生命の危機を感じるくらいに長かった。
まあ、この階段を登らないと白玉楼もクソもないから登るんだけどね…(´Д`)ハァ…
途方もない階段を登ること小一時間。
「うわ……!」
階段ばかりで飽き飽きしていた俺の目に飛び込んできたのは、そんじょそこらの木とは比べ物にならんぐらいの巨木。いやもう、なんか巨木すぎて逆に恐ろしいレベル。
しかも何やらその木に白い浮遊物が集まっていっている。あれは霊だろうか。冥界だし有り得ないこともない。
いや待て。すっかりあの木に魅了されてしまっていたが、あの木に用があって冥界に来たわけじゃない。
先を急がねば。
それから少し歩いて。
「着きました!ここが白玉楼です!」
「おお……」
白玉楼に着いたのだが、これがまた横にバカでかい。
こんな建物元いた世界でも見たことない。…いや、もしかしたらあるのかもしれないけれど、少なくとも俺の目では見たことがない。
色々すげえな、冥界。
「さ、天音さん、こちらになります!」
「お、おう」
妙にテンション高めの妖夢に連れられて、俺は白玉楼の中へ入った。
それから、白玉楼の客間に通された俺は妖夢の話の中にあった八雲紫、西行寺幽々子と面会。軽い自己紹介を済ませ、本題に入ることにした。
話し合いには妖夢も参加してくれた。どうやら俺を気遣ってくれたようだ。優しい。
妖夢の優しさは一旦置いといて、話し合いから色々なことが分かった。
まず、この世界は“幻想郷”と呼ばれる地だということ。
人間から妖怪、さらには神までが共存している世界らしい。
次に、俺の能力について。
幻想郷に住んでいる生物は何かしらの能力をもっているらしい。
能力のことを教えてもらうついでに、八k…紫様に能力の鑑定をしてもらった。
その結果、俺の能力は、
『白蛇を従える程度の能力』
らしい。…ねえ、程度って何。
というか蛇て…と落胆していたのだが、これはとんでもない能力だと二人は言う。
何がとんでもないのか全くもって分からんが…この二人が言うのだからそうなんだろう。
最後に“スペルカード”という札みたいなものを貰った。
色々説明は聞いたけど必殺技って解釈でいいのかな。
それと、どうやらスペルカードには自分で名前がつけれるらしい。
…とまぁ、それ以外にも色々説明を聞いて、
「じゃあ、分からないことがあったらそこの幽々子にでも聞きなさい」
「分かりました。ありがとうございます」
俺が礼を言うと、紫様は突然現れた空間の切れ目…スキマって言うらしい…に入っていった。あんなに凄い能力でも肩書きに「程度の」が入るんだよなぁ…。そういう縛りなら仕方ないけど。
それじゃ、話し合いも終わったし。
「じゃあ俺はこれで失礼します」
俺には重大な仕事が残っている。主に今後の生活に関わる大事な仕事が。
「これから何処か行かれるんですか?」
妖夢が問うてくるので、正直に答える。
「…ちょっと、家探しを」
「家探し、ですか?」
…そう、これからこの世界で生活をしていくためには、まずボロ屋でも何でもいいから家が必要になる。さすがに毎日あの草原に行くのは疲れるし、何より草原では冬を越せない。
だから早めに家を探す必要があるのだが…
「あら、それなら丁度良いわ」
笑みを浮かべる幽々子様。
「?丁度良いって…何がです?」
聞くと、幽々子様は変わらない笑顔で、
「丁度従者が欲しかったのよ〜。良かったら私の従者になってくれないかしら?そしたらここに住めるしご飯も食べれるし、一石二鳥でしょ♪」
人差し指を立てながら、まるでお茶目な少女のように、そんなことを告げたのだった。
――そして。
「……ん、ふぁぁ〜〜……」
朝日に照らされて目を覚ます。どうでも良いけど、冥界にも日は差すんだなぁ。
まぁ、そんな事どうでもいいか。
早く従者としての仕事、覚えないとな。
あの後、俺は従者になることに決めた。
あの時の団子屋で妖夢じゃなくて別の人に会ってなかったらここに来ることもなかったし、これも何かの縁だろう。
意識を完全に覚醒し、仕事をすべく台所へ向かう。
「あ、天音さん!おはようございます!」
「あ…おはよう、妖夢」
既に台所にいた妖夢と挨拶を交わし、横に並ぶ。
これでも元の世界で家事全般はやっていたので、料理もそれなりに出来る。常日頃からやってて良かった。こんな所で役に立つとは。
朝食を作り終え、机へ運ぶ作業も終えてから。
「妖夢」
「はい?どうかしましたか、天音さん?」
振り返って聞いてくる妖夢に俺は言う。
俺みたいな召喚されたばかりの余所者を、何も気にせずに従者に迎え入れてくれた。本当なら幽々子様にもするべきなんだろうけど、やっぱり、ここまで来て話を聞いて、今の生活を得られているのは、他の誰でもない目の前の少女がここまで連れてきてくれたから…他にも色々あるけど、そんなたくさんの感謝の気持ちを込めて。
「これから、よろしくね」
そんな俺の言葉に妖夢は、
「はい!こちらこそ、よろしくお願いします!」
輝くような笑顔で、答えてくれた。
天「どうも、七影天音です」
妖「天音さんの『白蛇を従える程度の能力』って、どんな能力なんですかね?」
天「まだ使ったことないから分からないけど…多分『お手』とか『おすわり』とか出来るんじゃないかな」
妖「…それ、役に立つんですか?」
天「さぁ…」