※この作品はR-18です。

ボブの聖杯戦争:諸事情カットシーン   作:黒兎可

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「今は全て遠きAvalon」の冒頭部のノーカット版です。
R-15ラインのつもりなんですが、ちょっと怖いので分割しました。


一時のYou & Me... その3.5

 

 

 

 

 

 月の光がわずかに。重なった影は一つ。

 

 わずかに、彼女の声のトーンが高い。

 

「セイバー……お前は、もう、アルトリアに戻ったっていいはずだ。アーサー王から」

「シロ……ッ、ん……、何を言うかと思えば、まだそんなコトを――!?

 ひ、卑怯です! 反論させてください、シ――――、、。

 ……、言ったはずです。今は、ひとときのユメなのだと」

「だけど、そんなの、惚れちまったんだから仕方がな――――ん、おいっ」

「ふふ。お返しです。

 貴方は、私の過去を、知って……、っ、知ってるはずなのに、何故……」

「知ってる。お前が、どれだけ、罪を、重ねてきたかなんて」

「……ッ」

「王様って立場だったから。だから、多くの民を犠牲にして、多くの敵を滅ぼしたことだって。お前がどれだけ、そのことを忘れていないのか。知ってる」

「なら……、」

「それでも、それでも、あの時、剣を抜いたお前には幸せで居て欲しい。

 俺はただ、お前をそのままにしておけない――――」

「…………王の誓いを、果たせなかった。その責務を果たせなかったというのに、そんな……、そんな自由なんて、私には――――ッ、む、……、ん、ん――――」

「――――ふ、はぁ、はぁ……。

 セイバーに、独りで居て欲しくなんてない。そんな、独りの決意なんて、悲しいじゃないか」

「んぁ、ぁ……。シロウ……」

「何度だって言うからな。俺はセイバーが好きだ。だから、このままになんてしておけない。離したくなんてない」

「…………何度でも、返します。私の時計を動かすというのは、貴方が躊躇するならということです。

 これは、あくまで貴方の精神の瑕を、」

「指、きれいだな」

「~~~~~~~~~~~!? こ、この会話の流れで、シロ、あ――――!」

「セイバー、……、」

「どうして、こんなときだけ容赦が……、ん――――」

「――――」

 

 音が止み、言葉が途切れる。

 

「…………」

「…………」

「…………」

「…………私の役割は」

「…………あ、ああ」

「貴方の身を守り、聖杯を手にすることです。それ以外のことなど、考えられない」

「セイバー……」

「そうでしょう? だって貴方は、この戦いを終わらせるために、戦うと選んだのだから」

「…………嗚呼。俺は、それを、裏切れない」

「明日になったら、良い考えも浮かぶかもしれません」

「…………嗚呼」

「朝になったら、いつもの私達に戻りましょう」

「………………嗚呼」

「ですから、もう――」

「……もう少しだけ、話し、いいか」

「………………ええ。

 ん――――」

 

 夜はいずれ明ける。

 自覚のない、不可逆の言葉であったとしても。お互いはお互いに、今は手を繋ぐ。全てが終わった後に、彼女の手をにぎっていられるかなんて、わからないまま。

 

 

 

 

 

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