R-15ラインのつもりなんですが、ちょっと怖いので分割しました。
月の光がわずかに。重なった影は一つ。
わずかに、彼女の声のトーンが高い。
「セイバー……お前は、もう、アルトリアに戻ったっていいはずだ。アーサー王から」
「シロ……ッ、ん……、何を言うかと思えば、まだそんなコトを――!?
ひ、卑怯です! 反論させてください、シ――――、、。
……、言ったはずです。今は、ひとときのユメなのだと」
「だけど、そんなの、惚れちまったんだから仕方がな――――ん、おいっ」
「ふふ。お返しです。
貴方は、私の過去を、知って……、っ、知ってるはずなのに、何故……」
「知ってる。お前が、どれだけ、罪を、重ねてきたかなんて」
「……ッ」
「王様って立場だったから。だから、多くの民を犠牲にして、多くの敵を滅ぼしたことだって。お前がどれだけ、そのことを忘れていないのか。知ってる」
「なら……、」
「それでも、それでも、あの時、剣を抜いたお前には幸せで居て欲しい。
俺はただ、お前をそのままにしておけない――――」
「…………王の誓いを、果たせなかった。その責務を果たせなかったというのに、そんな……、そんな自由なんて、私には――――ッ、む、……、ん、ん――――」
「――――ふ、はぁ、はぁ……。
セイバーに、独りで居て欲しくなんてない。そんな、独りの決意なんて、悲しいじゃないか」
「んぁ、ぁ……。シロウ……」
「何度だって言うからな。俺はセイバーが好きだ。だから、このままになんてしておけない。離したくなんてない」
「…………何度でも、返します。私の時計を動かすというのは、貴方が躊躇するならということです。
これは、あくまで貴方の精神の瑕を、」
「指、きれいだな」
「~~~~~~~~~~~!? こ、この会話の流れで、シロ、あ――――!」
「セイバー、……、」
「どうして、こんなときだけ容赦が……、ん――――」
「――――」
音が止み、言葉が途切れる。
「…………」
「…………」
「…………」
「…………私の役割は」
「…………あ、ああ」
「貴方の身を守り、聖杯を手にすることです。それ以外のことなど、考えられない」
「セイバー……」
「そうでしょう? だって貴方は、この戦いを終わらせるために、戦うと選んだのだから」
「…………嗚呼。俺は、それを、裏切れない」
「明日になったら、良い考えも浮かぶかもしれません」
「…………嗚呼」
「朝になったら、いつもの私達に戻りましょう」
「………………嗚呼」
「ですから、もう――」
「……もう少しだけ、話し、いいか」
「………………ええ。
ん――――」
夜はいずれ明ける。
自覚のない、不可逆の言葉であったとしても。お互いはお互いに、今は手を繋ぐ。全てが終わった後に、彼女の手をにぎっていられるかなんて、わからないまま。