※この作品はR-18です。

Ange Vierge SS集(R-18)   作:咲月蒼華

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安定のヒッサビサ更新。

今回はアイドルの小鳥遊希美さんを催眠にかけちゃうやつです。
ぶっちゃけ催眠作品とか上手く書ける気してないんですがね。

今回は長くなるので前後編的な感じで、これ前編です。


注意点
・催眠

今回注意点こんなもんやろ。
レッツゴー。


PG.21-1 小鳥遊希美 催眠

 

フッ、と。

直前まで眩く輝いていた空間が暗転した。

そして、聴き慣れた音楽が流れ出す。

 

「みんなー!次の曲も、盛り上がっていくよー!」

 

私のその掛け声と同時に、会場内が再び眩く輝く。

さっきまでの照明の明るさじゃない。

私を応援してくれる、ファンのみんなの輝きで。

私はこの時間がたまらなく好き。

みんなと繋がってる。そんな気がするから。

 

 

 

「お疲れ。明日は7時にまた迎えに来るから」

 

「うん。お疲れ様〜」

 

ライブを終えて、私のプロデューサー兼αドライバーの車で寮の前まで送ってもらった。

いつもそこまでしなくていいって言ってるんだけどね……

 

「いつもありがとね!おやすみ」

 

「ああ、おやすみ」

 

アルドラ君が車で走り去るのを見送って、寮の中に入る。

遅い時間だから、自室の外に出てる人はほとんどいない。

人気のない廊下を歩いて、自室の鍵を開け、中に入った。

パタン、と扉を閉めると、いるはずのない人の気配を感じた。

 

「おかえり」

 

「……!?誰っ!?」

 

まだ部屋の電気をつける前。

人影は見えるけど、顔までは見えない。

 

「おいおい、忘れたの?僕は君のプロデューサーだよ」

 

「そんなわけない。ついさっき見送ったばかりだもん」

 

少しずつこっちに歩み寄って来る人影。

私はドアノブに手をかけて、扉を開けようとして…………

 

パチン。

 

と、耳元で指を鳴らす音がした。

 

「思い出して。僕は君のプロデューサーだろう?」

 

その言葉と同時に、私の意識は途切れた。

 

 

 

 

 

スマホのアラームで目が覚めた。

いつ寝たかも覚えてないのに、私はしっかりベッドに入って眠っていた。

 

「あれ……私、どうして……?」

 

寮の前まで送ってもらったことは覚えてる。

けど、その先は…………?

思い出そうとしたタイミングで、スマホの着信音が鳴り響く。

表示された名前はアルドラ君の名前。

 

「もしもし?」

 

『希美?あと5分か10分くらいで着くから準備したら寮の前まで出てきてくれ』

 

「あ、うん!わかった。ありがとね」

 

通話を切ってから、焦る。

そうだ。昨日気付かないままに寝ちゃったから準備とかしてなくない?

 

「い、急いで準備しなきゃ!」

 

髪とかは……車の中でも出来るよね。

お化粧は控え室でしてもらえるし、とりあえず荷物だけでも……

 

「よし、これで忘れ物は……ないよね」

 

大急ぎで荷物をまとめて、部屋を出る。

施錠を確認して寮を飛び出すと、ちょうどアルドラ君の車が到着するところだった。

 

「お待たせ……って、希美、どうした?」

 

「な、なんでもない……あはは……」

 

「まあいいが……とりあえず、車の中で髪だけでも整えとけよ」

 

「う、うん」

 

髪乱れてる状態とかちょっと恥ずかしいし……

あー、でもアルドラ君には見られちゃったなぁ……

 

「今日のお仕事ってなんだっけ?」

 

「今日は握手会。前に発売したCDの抽選券のやつだな」

 

手鏡を見て髪を整えながら聞くと、すぐに返答があった。

そっか、握手会か。結構久しぶりな気がするなぁ……最近はライブが多かったし。

 

そこから15分くらい、今後の活動の話とか、世間話とかをしながら車に乗って、握手会の会場に到着。

いつもライブをするような大きな会場じゃなくて、少し大きめなCDショップが会場みたい。

 

「ここが控え室。あと1時間半くらいで開始だから、化粧とか終わったら休んでてくれ。メイクさんはもう到着してるみたいだから」

 

「わかった。ありがと」

 

「俺は隣の部屋でスタッフの人と打ち合わせしてるから、何かあったらそっちに来てくれ」

 

そう言って、アルドラ君が控え室を出る。

入れ替わりでメイクさんが控え室に入ってきたので、早速準備しよっと。

 

 

 

◇◆◇◆◇◆

 

 

 

「……み?……のぞみ?」

 

声をかけられて、私はハッとした。

目を開けると、握手会の会場と思われる場所に。

普段はレジとして使用されている場所だと思う。

けど……

 

(あれ?私、ここまで移動した覚えがない……控え室でお化粧してもらって、少し休もうとソファに座って……あれ?)

 

何度思い出そうとしても、ここまで移動してきた記憶がない。

思い出せない。

それに…………

 

(なんだろ……お腹の中に変な感じがあるんだけど……)

 

「ね、ねえ。ちょっとお手洗い行ってきてもいい……?」

 

「おいおい、もう開場だぞ。それに、ついさっき行ってたじゃないか」

 

「え?」

 

もう開始、ということよりも、「ついさっきお手洗いに行っていた」ということの方が衝撃だった。

もちろん、それだって記憶にない。

 

(どういうこと……?疲れでも溜まってるのかな……まあ、ちょっと変な感じはするけど、終わってから確認すればいいかな……?)

 

別に体調が悪いわけでも、本当におトイレに行きたいわけでもないし。

それならちょっと我慢すればいいかな。

 

……なんて。

甘いことを考えていた。

 

 

 

「は、初めてのライブからずっとファンです!これからも応援してます!頑張ってください!」

 

始まった握手会。

ファンのみんなから嬉しい言葉をたくさんもらいながら、私はみんなに笑顔を見せていく。

始まってしまえば、さっきまで感じていた違和感なんてすぐに忘れてしまって。

その地獄は、握手会が4分の1ほど終わったタイミングで始まった。

 

「次の方どうぞー」

 

ファンと握手をして、次の人を呼んでその人の手を握ったその瞬間。

 

「ひゃうっ!?」

 

私の感じたことのない感覚が襲ってきた。

何かが震えているような感覚。

どこから?

他でもない…………私の中からだった。

 

ざわめく会場。

目の前で困惑しているファンの人。

握手の順番待ちの列に並んでいた人達から、「何したんだよアイツ……」みたいな声が聞こえてきて、これはマズい、と思った。

多分反応からして、この人は全く関係ないんだろうと思う。なのにこのままじゃ、この人が悪者になっちゃう。

色々考えているうちに、お腹の中の震えが止まった。

 

「ご、ごめんなさい。ちょっと耳元で虫の羽音がして……驚いちゃって」

 

待機列の人達にも聞こえるように、そんな嘘をつく。

ファンの人達に嘘をつくのは気が引けたけど、まさか本当のことを言うわけにもいかないし、何も言わないとこの人が悪者になっちゃうし。

だから、これは必要な嘘なんだ。

 

待機列の人達も、「なんだ虫か……」みたいな感じで納得してくれたみたい?

 

「ごめんなさい、ビックリさせちゃって。今日は来てくれてありがとうございます」

 

改めて目の前にいるファンの人に笑顔を向ける。

少し顔を赤くして、その人は私との握手を終えて帰っていった。

 

なんとかなった。

そう思いもしたけど、そう簡単じゃない事もわかってた。

多分、私の中にある『ナニカ』はまた突然動いたりするんだと思う。

その度にさっきみたいな声をあげちゃったら、絶対誤魔化しきれなくなる。

だからここからは、常にそのことを意識しながら続けなくちゃいけない。

 

(何が起きてるのかはわからないけど……とにかく、今は握手会をやり切ってみせる……!)

 

決意を新たに、私は握手会に臨んだ。

 

 

 

あれから20分ほど。

思った通り、あれから何度か『ナニカ』が震え出したりした。

けど、なんとか声を出さずに耐えてこれて、ようやく最後尾が見えてきた。

 

(この調子なら、はぁ……なんとか、最後まで……)

 

身体が少し熱を持っている気がする。

けど、もう少し。もう少し…………

 

「んっ…………!」

 

もう少しだと意気込むと同時に再び震え始める『ナニカ』。

しかし、今までと少し違った。

 

(嘘……!?さっきまでより、強い……!)

 

振動の強さがさっきまで強い。

どうしよう……これ、マズい……

 

「んっ…………く……」

 

「の、希美ちゃん?」

 

強い振動に驚いていると、次のファンの人がもう目の前まで来ていた。

少し心配そうな表情をしている。

 

(ダメ……!ちゃんと握手会を続けなきゃ……!)

 

「ありがとう、ございます」

 

こらえながら、必死に笑顔を作る。

まだ心配そうにしながらも、握手の規定時間になり会場を出て行く。

次のファン、次のファン……握手をしていくが…………

 

(なんで……!?今回、長い……!早く、止まって……このままじゃ、イっちゃいそう……!)

 

いつまで経っても止まらない振動で、私の身体はドンドン熱くなっていく。

耐えなきゃ……耐えなきゃ……!

 

「ありがとう、ございました……!」

 

最後のファンとの握手を終える。

終盤に関してはほとんどのファンが私に心配そうな視線を向けていた。

けど、これでようやく終わり……

 

(あ、ダメだ。緊張の糸が切れたら我慢出来な……)

 

イってしまう。

それを覚悟したその瞬間。

 

「…………え?」

 

振動が止まった。

本当に、絶頂寸前。

あと1秒でも振動が続いていたら、スタッフがいる目の前で派手に絶頂してしまったであろう、その瞬間だった。

 

「どうした、希美?」

 

「う、ううん、なんでもない!それより、私今度こそお手洗い行ってくるね!」

 

声をかけてきたアルドラ君に咄嗟に笑顔を向け、足早にその場を後にした。

自分があの瞬間、アルドラ君が声をかせる寸前に思ってしまったことから必死に目をそらして。

 

(私、なんであんなこと……!?)

 

ブンブンと頭を振り、女子トイレに入ると個室に入り扉を閉める。

すでにほとんど予想のついている、私の中にあるものを取り出すために下着を下ろした。

 

「うわぁ……」

 

下着を下ろした瞬間、下着と私の秘部との間に糸が引いた。

私、こんなに濡らしちゃってたの……!?

そのことに衝撃とショックを受ける。

あんな状況で、私は…………

 

「いや、それよりも今は……」

 

このままではスカートも濡らしてしまうかもしれないと思い、愛液に触れないよう気をつけてスカートを脱ぐ。

便座に座り、私は自分のお股に視線を向けた。

グショグショに濡れてしまっている秘部から、ピンク色のコードが覗いていた。

そのコードを持って引っ張ると、自分の中を『ナニカ』が動くような感覚と共に、少しずつソレが出てきた。

 

「んっ……!」

 

本体部分はコードよりも当然太く、抜くのにも少し力が必要だったけど、なんとか抜くことが出来た。

 

その際、ソレが入口を通る瞬間に少しイきかけたのは内緒。

 

私の中から出てきたのは、ピンク色の楕円型の物だった。

ローター、と呼ばれるものらしい。

しかもこれは、リモコンを使って遠隔で操作が出来るもののようで、握手会中もそれで操作されていたんだと思う。

 

(こんなもの、いつどこで……)

 

考えなくても大体検討はついてる。

私の記憶が途切れた、控え室から会場の間…………

ただ、どうやったのかはまったく見当もつかなかった。

 

私は自分の愛液に塗れたローターを見て、ボソッと呟く。

 

「もう少しでイけたのにな……」

 

と、呟いてしまってからハッとした。

何を考えているのか。

そんなこと、考えちゃいけないのに……

 

でも、私の身体はあれからずっと疼きっぱなし。

絶頂寸前で止められてしまって、身体がイきたがってるのが自分でもわかる。

 

「今日はこの後に用事は特にない……」

 

ポケットから取り出した手帳で確認すると、この後には特に予定が入っていなかった。

それなら……と、私は濡れに濡れたワレメを指でスゥッ……っと撫でた。

 

「んんっ……!」

 

それだけで、身体中を走るように流れる快感。

それほどまでに身体が昂ぶっていたんだろう。

 

「んっ……これ、きもちい……」

 

シュッ、シュッと指でワレメを擦る。

奥からドンドンと愛液が溢れ出して、指が止められなくなってくる。

 

「せっかくだし、中まで……」

 

歯止めがきかなくなり、私はついに右手の中指をワレメの奥へと挿入する。

そのまま指を出し入れすると、グチョッグチョッといやらしい音がトイレに響く。

 

(やだ……凄い音してる……でも、これきもちよくて……!)

 

高まってくる絶頂感。

私は更なる快感を求めて、あろうことか先程取り出したばかりのローターを再び挿入し、中指と人差し指の2本で奥へと押しやっていく。

 

(この圧迫感……!すごい、変な感じだけど……やっぱり気持ちいい……)

 

手元では操作できないローターのため、振動は全くない。

それでも、その圧迫感が気持ちよかった。

 

ローターを奥に押しやった状態で、私は2本指をひたすら出し入れする。

さっきまでよりも目で見てわかるほどに愛液が多くなっている。

 

「んっ……もう、私…………!」

 

イっちゃう。

そう思った。

そのタイミングを狙い澄ましたかのように、ローターが動き出した。

 

「嘘っ!?や、ダメっ……こんな、つよ、すぎて……!」

 

声が抑えられない。

いつお店の人が来るかもわからないのに。

それでもローターは私の最奥で震え続け、極上の快感を与えてくる。

 

(も…………ダメ……)

 

最後に少しだけ残っていた理性で空いている左手を動かし、口を塞いだ。

その一瞬後。

 

「んうぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!」

 

口を塞いでいてもトイレ中に響き渡る、悲鳴のような声が溢れ出した。

私の身体は私の意思など関係ないというように痙攣を繰り返し、頭の中はスパークしたようにチカチカと明滅を続けていた。

絶頂時に吹き出した潮がトイレの床や扉を濡らしていたけど、そんなことは気にならない。

 

「はぁっ…………はぁっ……」

 

やってしまった。

まさかこんな場所で、家でもしたことのない激しさ、しかも玩具を使ったオナニーをしてしまうなんて……

いつのまにか止まっていたローターを取り出し、ボンヤリとした目で見つめた。

 

(…………もらっても、大丈夫だよね)

 

そもそも誰のものかなんてわからない。

返しようがないのだから、問題ないはず。

まさかこんなトイレのゴミ箱に捨てていくわけにもいかないし、しかたないよね。そう自分に言い聞かせ、ローターをトイレットペーパーで綺麗に拭き取り、傍に置いておいたスカートのポケットにしまう。

濡れに濡れてしまった下半身も綺麗にトイレットペーパーで拭き取り、下着とスカートを履いた。

 

「う……まだ湿ってる……」

 

下着も一応拭いてはみたけど、水分を完全に取ることなんて出来なかったから、多少の不快感に顔をしかめる。

 

「早く帰りの支度しないと、怒られちゃうよね」

 

まだ足に力が入れづらいけど、休んでるわけにもいかない。

もうトイレに入ってから20分以上経っちゃってるし、急がなきゃ。

 

個室の扉をソッと開けて、誰もいないのを確認して個室から出る。手を念入りに洗って、小走り気味に控え室へ戻った。

 

 

◇◆◇◆◇◆

 

 

「お疲れ。今日はなんか少し調子が悪かったみたいだし、ゆっくり休めよ。明日は1日オフだから」

 

「うん、ありがと。お疲れ様」

 

昨日のようにアルドラ君に送ってもらって、寮に帰ってきた。

あの後は「準備おそいぞー」なんて軽くからかうように言われた程度で、特に大きな出来事はなかった。

会場の店舗スタッフさんたちにお礼を言って、それで終わり。

 

アルドラ君の車を見送って、私は疲れた身体を引きずるように自室へ向かう。

疲れたのは主に仕事以外の要因だけど。

 

「ただいまー……」

 

返事なんて返ってこない。

そんなことはわかっていてもいつも口にしてしまうその言葉に、何故か今日は返事があった。

 

「おかえり。さっきは随分とお楽しみだったみたいだね」

 

「……!?」

 

私の部屋の奥にあるベッド。

そこに誰かが腰掛けている。

 

「誰……?」

 

「昨日もした質問だね。まあ仕方のないことだ。『君は覚えていない』のだから」

 

「何を言ってるの……?」

 

「『話』さ。なんてことのない、世間話」

 

その男は大げさに見えるほどの身振りを加え、語るように話す。

なんだかその喋り方に、すごく違和感を感じてしまう。

 

「質問に答えようか。昨日の僕は昨日の君にこう答えた。『僕は君のプロデューサーだ』」

 

「「そんなわけない」」

 

私とその男の言葉が重なった。

 

「昨日の君はそう言ったね。今の君と同じだ。そう、同じ。繰り返しているのさ。同じことをね」

 

「なにが、言いたいの?」

 

「教えてもいいよ?けどそれは無意味だ」

 

男はベッドからゆっくりと立ち上がる。

そしてゆったりとした動きで歩み寄ってきた。

何故か、身体を動かすことが出来ない。

 

「無意味?どういうこと」

 

「簡単なことさ」

 

男の右手が私の耳元に伸びる。

 

「君は忘れてしまうから。今日のことを、全部」

 

パチン。

耳元で音がする。

意識が遠のいていくのがわかった。

暗くなっていく視界の中、男の顔が少しだけ見えた。

男は、ニヤリと笑いながらこう続ける。

 

「君は何も知らないままでいい。知らないまま、僕好みに変わってくれればね」

 

 

 

◇◆◇◆◇◆

 

 

 

気がつくと、私は自室のベッドに腰掛けていた。

最近なんだか記憶が曖昧になる。

なんだろう。今日はたしかに『普通に握手会をして』帰ってきただけのはずなのに、何かを忘れてる気がする。

 

「疲れてるのかな……」

 

最近働きづめだったし、それもあるかも。ゆっくり休んで、ちゃんとコンディションは万全にしておかないと。

 

とりあえずシャワーでも浴びよっかな。

 

ベッドから立ち上がって、備え付けのバスルームへ。

脱衣所で服を脱いで…………ふと、あることが気になった。

 

「ポケットに何か入ってる……?」

 

普段ポケットに入れるものといえば、精々ポケットティッシュとハンカチくらい。

他のものはだいたい荷物の中に入れちゃうから、それぐらいなんだけど……

なにか、硬い感触があった。

ポケットをまさぐって、ソレを取り出して驚いた。

 

「こ、これって……」

 

ピンク色の楕円形の物体。

それがどんなものであるか、私も知識として一応知ってはいた。

 

「な、なんでこんなものが私のポケットに……」

 

こんなもの持ってるなんて皆に知られたら、変な誤解されちゃうかも……

でもどうやって処分しよう?

 

「……とりあえず隠しておこう」

 

適当に捨てるわけにもいかないし、とりあえずは隠しておく。

畳まれたタオルが積んである場所の一番下に、見えないように置いておいた。

これなら、一応タオルをどけなければ見えないよね。

 

「さて、気を取り直してシャワーしよっと」

 

あれの処理はあとで考えるとして、ひとまずシャワーを浴びることにした。

 

 

 

「ふぅ……」

 

シャワーを浴び終わって、部屋に戻ると、ちょうどスマホが着信を知らせていた。

表示されたのは「非通知着信」の文字。

 

「非通知……?」

 

なんだろう。

お仕事関係の連絡ならアルドラ君の方にいくはずだし、学園のみんなだったら非通知なんかでかけてこないと思うけど……

 

「…………もしもし?」

 

『やあ、小鳥遊希美さん。今から言う場所に来てもらおうか』

 

その声を聞いた途端、私は不思議な感覚に襲われた。

この声の言うことには従わなければならない。そんな風に思わせられるような、そんな感じ。

 

「わかり……ました……」

 

そんな言葉が、勝手に私の口から出ていた。

そして私の身体は、私の意思に関係なく、その場所へと向かい始めた。

その先に何が待っているのか?

そんなこと、何一つわからないまま。

 

 

 

◇◆◇◆◇◆

 

 

 

たどり着いた場所は、青蘭島の海沿いに作られた小さな小屋。

けれどその入口をくぐると、すぐさま下り階段になっていた。

 

「やぁ、よく来たね」

 

階段を下ると待っていたのは一人の男性。

人好きのする笑顔を浮かべているけれど、どうも胡散臭さのようなものも感じる。

 

「わざわざ来てもらって悪いね」

 

「…………あなた、何者……?」

 

身体は未だに自由に動かせない。

けれど、私のその疑問はスルッと私の口から出ていた。

言葉までは操れないのかな。

 

「うん、もっともな質問だね。けれど僕の事を的確に表現する言葉を、僕は知らない。知っている言葉の中で一番近いものならそうだな……催眠術師、というところかな」

 

「催眠術……?」

 

「一時的に相手の意識をなくしたり、言う通りに行動させたり……記憶を一部書き換えたり、ね」

 

それを聞いて、思い当たるところがいくつかあった。

最近曖昧になる記憶、持っていた覚えのないローター。

それが、この人の仕業……?

 

「まあここで何を話しても、また忘れてもらうんだけどね」

 

「ふざけないで……!」

 

「ふざけてなんていないよ。いたって真面目さ。君には変わってもらいたいんだよ。僕好みの、いやらしいアイドルにね」

 

だから、と。

 

「後戻りが出来なくなってしまうまでは、僕のことを覚えていてはいけない。抵抗されるのも悪くはないけれど、僕の趣味じゃないからね」

 

動けない私の耳元に顔を寄せて、囁くようにそう言った。

ただそれだけで、私の身体に震え上がりそうな「恐怖」と「嫌悪感」が湧き上がる。

実際には私の身体は震えてもいないのだけれど。

 

「今日呼んだのは、君に僕の力がどれくらい効いているのか確認するためだったんだけど……ここまで来てもらえたってことは次の段階に進んでも良さそうだね」

 

男は私から少し離れると、嬉しそうに笑う。

 

「それじゃあ小鳥遊希美さん。君は今から『部屋に戻って布団で眠りにつく。起きたらここに来たこと、ここで起こったことは全て忘れている』。いいね?」

 

ふざけないで。

そう言おうとした。

けれど、身体が動かないだけじゃなく、今度は私の口から溢れる言葉さえ、私の意思ではなくなってしまっていた。

 

「わかり……ました……」

 

心にもない言葉を口からこぼし、私の身体は来た道を戻っていく。

誰と会うこともなく、自室にたどり着いた私は、布団に潜り込んだ。

 

(ダメ……寝たらダメ……また忘れちゃうのに……!せめて、誰かに知らせ……)

 

襲いかかってくる異常な眠気に負けないように思考を巡らせる。

しかし、それすらも何の抵抗にもならなかった。

私の意識は、また深い闇に落ちていく。

 

 

 

私はこれからどうなってしまうのだろう?

そんな疑問を抱いたまま、私は眠りについてしまった。

 

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