※この作品はR-18です。

【完結】提督と艦娘   作:はのじ

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K様 誤字脱字報告ありがとうございます。
それでもまだ有る事でしょう。なぜなら奴らは一つ見つけると三〇以上存在すると言う……


四つも報告してくれたK様に感謝を込めて。


EX Last Of Combined Fleet Girls

 

 未明から降り出した雨は、止んでは降りを繰り返していた。暦の上では冬となっていたが、ここ数日の過ごしやすい気候は天候の関係でぐっと気温が下がり道行く人は衣服を一枚増やし、間もなくやって来る冬の前準備としていた。

 

 ベットに体を横たえた老人が、閉じていた瞳を僅かだが開いた。呼吸のリズムも変わり、睡眠状態から覚醒状態に変わった証拠だった。

 

「やぁ、起きたね。おはよう」

 

 年の頃は三十を超えるか超えないか。ロングの髪先を赤いリボンでまとめた女性が開いていた文庫本を閉じ老人に声をかけた。昔は可憐と呼ぶにふさわしい容姿をしていたが、年月を重ね可憐と妖艶を矛盾すること無く共棲させた美を体現していた。

 

 女性は余程老人が目覚めたのが嬉しいのか、ベットの直ぐ側で座っていた椅子から降りたと思うと両膝をつき、老人の負担にならぬようベットに上半身を乗せて老人に目覚めの挨拶をした。

 

「……あぁ君か…相変わらずきれいだね…」

 

「ありがとう。嬉しいよ」

 

 老人は目覚めて意識がまだはっきりと覚醒しない頭で目の前の女性を認識し、挨拶より先に女性の容姿を褒めた。

 

「ほら、丸一日寝てたんだ。喉乾いているだろうから」

 

 女性が水差しを差し出すと老人は二度喉を鳴らし水を補給した。

 

「……そうか…もう一日起きれなくなったか…」

 

「そうだね。少しだけ年をとっちゃったからね」

 

 老人の体は枯れ枝の様に細い。眼窩も窪み肌の血色も良くない。女性の言うような少しどころでない年を重ねていた。

 

「少し心配したんだ……このまま…目を…覚まさないんじゃ…ないかって……」

 

「…そればかりは…すまないと思ってるよ…人間は君たちのように長くは生きられないから……」

 

 老人が震える手を伸ばした。女性はその手を掴むと胸に掻き抱いた。

 

「……分かってはいるんだ…でも…こんなに好きなのに…別れないといけないなんて…」

 

 掴んだ手に女性の吐息がかかる。まるで老人に自分の熱を伝えるように。

 

「……見つけてくれて…ありがとう…今も昔も…変わらず幸せだ……」

 

「…僕も…幸せだよ…」

 

 女性が掻き抱いた老人の掌にキスを優しく落とした。

 

 窓から見える雨は、今もしとしとと降り続いていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ひいばぁー、ごはんできたー」

 

 ノックもせずに五歳程の幼女が、室内に入ってきた。幼女はセミロングの黒髪を三つ編みにまとめ、女性と同じように髪先を赤いリボンでまとめていた。

 

「ありがとう。でも後で頂くよ」

 

 幼女は女性の応えを頭で理解するより先に老人の様子に目が行ったのか驚いた様子だ。

 

「ひいじいおきたー。ママー!ひいじいおきたー」

 

 女性への伝言というお使いを忘れた幼女は室内を飛び出していった。その先にママがいるのだろう。

 

「……ああやって髪を纏めると…昔の君にそっくりだ…将来は美人間違いなしだ…」

 

「…少しでも食べれるかな?」

 

 老人は首を振った。

 

「…じゃあ、もう少しだけ二人っきりでお話してようか」

 

 女性は慌てて、室内に駆け込んできた幼女の母親らしき女性が落ち着かせ、もうしばらく二人っきりにしてくれるようお願いした。

 

 雲に切れ目から僅かに日が差し、雨は止んでいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

■

 男性は思考が固まっていた。目の前に裸の少女がいるという非日常に脳がフリーズしたのだ。いや裸といっても一糸纏わぬものではない。だが全裸と言っても差しつかない姿だった。

 

 艦娘は中破すると肉体へのダメージを軽減させるため装甲艤装を派手に損傷させる。艦娘によりその度合は異なるが、提督が指揮する少女は装甲艤装の損傷が大きい部類に入っていた。

 

 だが、女性を象徴させる部分の装甲艤装は概ね隠されていた……これまでは。

 

 というのも、装甲艤装はある程度艦娘の自由が効くからだ。中破しても乳房は隠れている事が多いし、女性器周辺は間違いなく隠されていた。

 

 目の前の少女は装甲艤装を中破させていた。いや大破だろうか。中破も大破も然程変わらないはずなのだが、いつも以上に肌を覆う装甲艤装の破損率は高かった。

 

 武装艤装は展開していない。故に背中部分は大きくえぐれ、右の肩口に黒のセーラー服タイプの装甲艤装が申し訳程度に残され、破れた生地が胸元に僅かばかりだけ伸びていた。

 

 少女は豊かとは言えないが、発育途中であるがはっきりと乳房と言える双丘を持っていた。装甲艤装は乳房を全く隠していなかった。薄暗い室内でも存在感を放つ二つの乳首が興奮の為か隆起しツンと上を向いている。両手は乳房を隠そうとする意思すらないのか、胸の谷間で組まれていた。

 

 すらりと伸びた足は裸足だ。足首から脹脛、太腿へと視線を流すと魚雷発射管を止めるベルトは展開されていない。プリーツスカートを模した装甲艤装はパレオの様に腰回りのみ残り、陰部を僅かだけ隠し、影を作っていた。

 

 室内の灯りはベット脇にあるスタンドの光のみである。淡い光が少女の陰部に影を作るが、室内を明るくすれば影はたちまち消え去り、全てを曝け出してしまうだろう。

 

「提督、大破してしまったよ」

 

 少女の一言で提督のフリーズは解けた。

 

「何してる!すぐ入渠しろ!理由は後で聞くから!」

 

 提督はベットのシーツを剥がすと少女の肩に掛けた。提督が手を離すとシーツは少女を隠すこと無くするりと床に落ちた。少女がシーツを掴まなかったからだ。

 

「おま…」

 

「大破しちゃったんだ。提督に怪我がないか見てほしくて」

 

 提督の声を遮った少女が一歩前に歩を勧めた。提督は逃げるように一歩下がった。

 

「ほら。ここを怪我したかもしれない。提督に確認して欲しいんだ」

 

 少女が下半身の装甲武装で影になった部分を指し示した。同時に少女の内腿をつつっと一筋の液が滑り落ち、膝の辺りで止まった。暗がりでもはっきりと分かるほど少女が頬を紅く染めた。

 

「ちょっとまて…」

 

 少女が歩を進めた。提督は合わせるように下がる。そして膝裏がベットのヘリに当たった。少女は提督の胸を軽く突き、動揺していた提督は体勢を崩してベットに背中から倒れてしまった。しまったと思ったときには少女が提督の膝を割り、ベットに両手を突き、上から提督を見下ろす形となった。

 

「ほらここも」

 

 少女が自らの隆起した乳房の先端に視線を送った。

 

「ここは僕の弱点なんだ。傷ついていると戦闘に支障がでるかもしれない。提督、触って傷がないか確認してほしいな。もし傷があれば……舐めて消毒してもらえると嬉しいかな」

 

 時計の音がチコチコと聞こえた。きっちり一〇秒。提督が口を開いた。

 

「お前、大破してないじゃないか」

 

 切っ掛けはシーツを少女に被せた時。肩口に僅かばかり残った装甲艤装にシーツ腰に触れた提督はその質感に違和感を覚えた。そして現在。提督に覆いかぶさる少女だ。

 

 大破していようが艤装を展開した艦娘の持つ力は人間を軽く凌駕する。提督の胸をついた少女の力はとても艤装を展開しているものとは思えない弱いものだったのだ。そして決定的なのは、艤装を展開した状態で艦娘は絶対に提督に触れる事がない。もしもがあるからだ。人間の体は艦娘に比べて脆弱すぎた。

 

 少女はいたずらが露見したかのように悪びれずぺろりと舌を出した。

 

「ばれてしまったね。霞につくってもらったんだ。すごく精巧にできているよね」

 

 そういうと少女は肩口の装甲艤装に模した布切れと腰にまとわり付くようなプリーツスカートの残骸を体から取り除いた。

 

 文字通り一糸まとわぬ少女が提督が見上げる形でいた。

 

「僕たちは装甲艤装を纏って建造されるから、人間みたいに産まれたままの姿って訳にはいかないけど……どうかな?」

 

「……きれいだ…」

 

「ありがとう」

 

 緊張と驚きで喉がからからに乾いた提督がか細く呟いた。

 

 淡い光のみで暗闇に浮かぶ少女の肌は、単体で薄く光っていると勘違いしそうな程白く妖艶だった。容姿なりに括れた腰は提督が手を回すと簡単に余ってしまう程だ。暗がりに見える臍。そしてその向こうに無毛の性器が影を作っていた。

 

「ごめんね。高雄達みたいにもっと大きければ提督も嬉しいんだろうけど」

 

「いや…これはこれで…そうじゃなくて、何故こんなことを」

 

 大きさを確かめるように、片手を胸に添えていた少女に提督が聞いた。少女は瞳を閉じ、そして開いた。

 

「提督が好きで好きで自分でもどうしようもないんだ。声を聞けば聞くほど、一緒にいればいるほどどんどん好きになっちゃうんだ。おかしいよね」

 

「それで…」

 

「勇気がなかったんだ。暁に相談して大破したシチュエーションで提督の寝室に潜り込めばって言われて」

 

「イメクラかっ」

 

「イメクラ?意味は分からないけど、でもお陰で……自然な形じゃなかったかな?」

 

 提督は理解した。この少女も舞い上がっているのだ。冷静に考えて自然な形な訳がない。しかし今の暴挙を見るに少女を突き動かす情動は切っ掛け一つで別の形で爆発していたかもしれない。褒めたくはないが、提督の胸先三寸で処理出来る今の状況は、ある意味良かったかもしれない。褒めたくはないが暁のアドバイスは、最悪を防ぐものとなった。しかし暁ってそんな事を助言するような艦娘だったか?レディを目指し背伸びする子供子供した艦娘だったような。

 

「提督、他の艦娘(子)の事なんて考えないで。今は…今は僕だけを見て」

 

 少女が提督の頬を両手で挟み視線を強引に合わせた。

 

「すまん」

 

 何故か提督は謝罪した。思考を読まれて動揺したのだ。

 

「うん。許してあげる」

 

 いたずらっ子の顔で少女が微笑んだ。

 

「提督、聞いて」

 

 少女が表情を変え、戦闘に赴く時の顔になった。

 

「…提督、僕を抱いてほしんだ」

 

「それは…」

 

「聞いて。…艦娘の見た目は年齢に関係ないけど、人間から見れば僕は幼く見えるかもしれない…提督の趣味じゃないかもしれない…どうしても……受け入れられないのなら…僕を解体して欲しい。そこまでしないと……諦めがつかないんだ」

 

 少女の頬を伝った涙がぽとりと提督の頬に落ちた。

 

 これまで提督は少女に性的な興奮を覚えたような態度を採ったことがない。中破し、提督が迎えに来てくれた時は、装甲艤装を操作し、提督にだけ見えるように肌の露出を多くした。これも艦娘の仕事だと言い張り、提督の私室を掃除しなし崩し的に、執務室から私室に繋がる扉の鍵を手に入れた。無邪気を装い、提督に抱きつき胸を押し付けた。手料理を差し入れし、一緒に食事を繰り返した。薄い私服に着替え夜遅くまで作戦行動について相談した。もしかしてを狙って。

 

 提督に全てを跳ね返された。まるで幼女をあやす親戚のおじさんのように。そして幼い容姿ながら提督と身も心も繋がった暁に頼ってしまったのだった。

 

 提督に拒まれれば少女の心は引き裂かれてしまうだろう。艦娘として戦力とならない程に。そうすれば提督に迷惑をかけてしまう。少女はそれでも心を抑えきれなかった。

 

 例え報われなくとも、心だけは伝えたい。解体されようとも艦娘として提督を愛していたと。心から愛していたと。

 

 静かに涙を流す少女の頬に提督は手を伸ばした。両手だった。

 

「いだ、いだだだ、ていふぉふ、いたひよ」

 

 提督は少女の頬を摘み左右に引き伸ばした。艤装を展開していない少女の力は提督を下回る。痛みも人間並みに感じていた。

 

「痛いか。だがな、それは俺が今まで感じていた心の痛みと知れ」

 

 意味不明な事を宣う提督。少女の頬は餅のように伸びていた。

 

「お前、俺の又座に座って腰をぐりぐりしたことがあるだろ?その夜、俺夢精したんだよ。お前の手料理食ったあと、ギンギン目が冴えて寝れなかったり、うっすいーい服来て部屋くるから、発散するのに夜中中走り回ったり、部屋を掃除すれば男の必須アイテムなくなってるし、俺がどんだけ我慢してたか知ってるか?」

 

「我慢?…してたの?」

 

「めっちゃしてた。男の必須アイテム無いから、エロ本貸してくれって言った時の高雄の提督の目の生温かかった事といったら……」

 

「ごめん」

 

「よし。許す!」

 

 提督は少女の頬を引っ張る手を離した。少女の頬は紅く鳴ることも痣になることもなく白いままだった。

 

「それで…我慢って…」

 

「お前、性格も容姿も口調も俺のどストライクなんだわ。でも提督が艦娘に手を出すわけにはいかんだろうが。泊地の士気にも関わるし。正直生殺し状態でしたわ。深夜の海岸線に現れる幽霊の噂、あれの正体俺だからな。体冷やして誤魔化してた」

 

「ぷっ。そ、そうだったんだ」

 

 先程まで漂っていた悲壮な雰囲気は少女から消えていた。普段提督と二人っきりになった時のみに感じる幸せな空気を感じていた。裸である事を除けば。

 

「そうなんだよ。だからな」

 

「きゃっ」

 

 提督が体を持ち上げ少女と体の位置を入れ替えた。少女が下に。提督が上に。

 

「今更、待ってとか言わせんからな」

 

「ちょっと待って!心の準備が」

 

「うるさい」

 

「んんっ!!」

 

 少女の唇を提督のそれが、全身の肌を提督の手と肌が覆い尽くした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

■

「間抜けな話だけど僕たちは最初からお互い好きあっていたね、提督」

 

 提督と呼ばれた老人からは返事はない。

 

「提督が最後の提督なんだよ。みんな逝ってしまったからね。だから僕も世界に残った最後の艦娘なんだ。でも僕は寂しくなかった。提督がいたからね」

 

 女性の頬を涙が伝った。ぽとりぽとりと握りしめた老人の手に涙は落ちていく。

 

「沢山の子と孫、曾孫に恵まれたね。提督の子を僕が宿す度に慌てふためいて、見ていて面白かったよ」

 

 握りしめた手からは熱が消えていき、同時に女性の存在意義も消えて行く。

 

「……何も僕の名前の通りの雨の日に逝く事はないじゃないか……相変わらず……厳しいのに……優しいね…」

 

 女性は二度と目覚めることのない老人にキスを落とした。唇は冷たく、乾いていた。女性のキスは長く別れを惜しむようだった。

 

「提督、今までありがとう。いつまでも愛しているよ」

 

 女性は左手の薬指に嵌った指輪を外した。握りしめた手はそのままに老人の唇にキスを落とし続けた。

 

 一時止んだ雨は、再びしとしとと降り始めていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ひいばぁー、ひいじー、ごはんできたー」

 

 幼女がノックもせずに部屋の扉を開けた。室内には眠り続ける老人が一人。

 

「あれ?ひいばぁーどこぉー?ごはんできたー」

 

 幼女は老人が寝ていることを確認すると女性を探すが、見つからない。

 

「ママー、ひいばぁいないよー」

 

 幼女は女性の不在を知らせるため部屋を出ていった。

 

 老人の顔はとても穏やかだった。枕元には不思議な事に、二つの指輪が不可能物体のようにお互いの輪を通して繋がっていた。二度と離れまいとするように。

 

 この日、世界中の誰にも知られること無く最後の艦娘が世界から去った。世界では今でも艦娘に感謝を捧げる祭りが続いている。それは時を経て形を変えながらもいつまでも続くことだろう。

 

 世界を護り戦ってくれた艦娘に、平和な世界を今でも護り続けていると知らせ続ける為に。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                原作:艦隊これくしょん

 

 

                    (完)

 

 

 




これで本当にラストです。
もう更新は二度とないとお考えください。
貴重なブックマーク枠はずしてもらってOKです。

エロは御存知の通り、書いてもエロくないので投げてます。


何はともあれ、読了ありがとうございました。
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