※この作品はR-18です。

【完結】提督と艦娘   作:はのじ

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プロローグ的な。


提督と艦娘 改二
はちと呼んで下さい


01

 

 最近気になる女性がいる。いや、女性と言うべきか少女と言うべきか。学生なのは間違いない。何故なら可愛い制服で知られている、近隣では知らない人の方が少ない有名女学校の制服を着ているからだ。中高一貫なので中学生か高校生かまでは学生事情に詳しくないので分からない。

 

 人口増加政策として世界中から移民を受け入れた日本は今や人種の坩堝と化している。祖国の復興が成っても帰国せずそのまま帰化した者が多かったらしい。だから少女の様な金髪碧眼は多数とは言わないがマイノリティとも言えない程には珍しくもない。三世、四世と世代が進み、純粋な日本人顔は全体の五割程度だ。俺? こってこてのネイティブ日本人顔ですが。

 

 陽の光をキラキラと輝かせるが如く、豊穣をイメージさせる金の髪。背中まで伸ばした一房の輝きの先端近くを白いリボンで結び、制服ではないであろう水兵帽をちょこんと被り、意外と言えば失礼だがとても似合っていた。

 

 洋書だろうか? その気になれば鈍器にもなれる位の大きな本を胸に抱えている。両腕に隠れて表題が僅かに覗き見える。『Metox』。英語か?

 

 そして……そのなんだ。抱えた本も大きいが……胸も大きい……。両腕と本で隠れているが、余程強く抱えているせいか押し出されるように制服の布地を押し上げていた。年相応なのか童顔なのか、小柄な体型もあってトランジスタ・グラマーと言っていいだろう。

 

 紅いアンダーリムのハームフレーム眼鏡の奥で、碧い瞳が潤む様に揺れ、じっと俺を見ている。

 

 位置関係は、手すりを両手で掴んで立っている俺の正面に相対する形だ。手すりを掴んでいるのは痴漢と間違われない為の自衛だ。痴漢行為なんてするつもりは毛頭ないが、何かの間違いで少女が悲鳴を上げた瞬間に俺の人生が終わってしまう。

 

 少女は小柄だ。その少女が俺を見ている。つまり見上げられている。気恥ずかしくて視線は車窓の向こうに向けているが、たまに確認して視線を下ろすと目線が合う。じっと見られていた。

 

 寿司詰めって程ではないが、電車内は満員と言っていい。すれ違うたびに肩が触れ合う程度には。向かい合って相対する俺と少女を隔てるのは、その大きな本だ。電車が僅かに揺れる度に布地越しに本を抱えた少女の腕が当たる。痛くもなんともないが、痴漢と思われるのだけは簡便だ。半歩下がって触れない様に配慮するが、気がつけば少女の腕が俺の胸に当たっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

02

 

 教科書に『艦娘大戦』と書かれる世界中で同時勃発した深海棲艦との戦争が終結して百年と少し。汎ゆる国で人口が激減し、インフラというインフラが破壊された。一部の国では体制が崩壊して国自体が無くなるという歴史上類を見ない惨禍を生み出した大戦争だった。

 

 深海棲艦に人類の兵器は通用せず、世界中の軍隊は敗北に敗北を重ね続けた。世界各国の軍は瓦解し人類は滅亡の淵に立たされた。そんな時だ。艦娘が現れたのは。

 

 軍の傘下に入り深海棲艦を駆逐し続けた。人類の生存圏を奪回し、紅い海を青い海へと変えた。艦娘達は、提督、または司令官と呼ばれる人間の指揮の下、無償で戦い続けてくれた。

 

 そんな艦娘達であっても、最終的な勝利は簡単に得られなかった。戦争は長期に渡った。食料や資源は常にカツカツ。戦前の豊かで廃退的とも言える文化的な生活は望めず人類は疲弊し内部から崩壊するはずだった。だが人類は終戦まで耐えることが出来た。何故か? 艦娘がいたからだ。最前線で戦い、誰よりも辛いはずの艦娘が笑顔でモニターの向こうから人類を励まし続けたからだ。時には直接呼びかけ、時には血を吐き傷つきながら這いつくばり戦い続ける姿を晒してまで人類を勇気づけた。

 

 艦娘に力を貰った人類は少しづつだが復興を進めた。辛い時は艦娘を思い出しながら。そして深海棲艦は世界から消えた。人類と艦娘の勝利だった。

 

 深海棲艦の目的は不明だった。ただ人類を滅ぼす為に存在したのではないか。生体サンプルもなく学者達の間でも学説は様々で百年以上経過した今でも分かっていることは少ない。同じく艦娘の存在も謎だらけだった。何故なら深海棲艦が消えたと同時に艦娘も世界中から消えたからだ。

 

 艦娘が夢でも幻でも無いことは、映像ライブラリーが証明している。鎮守府で人類を守り続けた艦娘達の映像が残っているからだ。百人とも二百人ともいたと言われる艦娘達の姿形が伝わっているのは僅かに数十人だ。残りの艦娘は泊地で戦い続け、映像資料としては全く残っていない。一部の名前が伝わるのみだ。

 

 戦後、世界の主導権を握ろうとした一部の国が、残った戦力をかき集め、人類同士で争った。その際に艦娘を建造しようとした記録が残っている。だが現時点を以って艦娘の建造に成功した例は一つとしてない。

 

 日本は戦争に関与せず、ただ復興に邁進し続けた。次は自分たちの番だとばかりに。艦娘達に感謝し続け、恥を晒すわけにはいかなかった。

 

 世界中で人口が激減し、今まで当たり前だと思っていた幾つかの常識が塗り替わった(・・・・・・・・・)。人口の増加は喫緊の課題だった。それから百年余り。世代を重ね、塗り変わった常識は、俺達の世代では普遍的な常識として違和感なく受け入れられていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

03

 

 俺がその少女に気付いたのは、本来はリニアモーターカーと呼ばれるはずが、昔からの伝統で電車と呼ばれる庶民の足で通勤中の事だった。

 

 吊革を持ち車窓の外を眺めていた。通勤の時間を有意義に過ごす為、時には文庫本を手にすることもあったが、姿を少しつづ変えていく町並みを見るのが好きだった事もあり、殆ど揺れない電車で変わらぬ通勤の毎日を送っていた時だ。

 

 ふと視線を感じた。視線なんて分かるものかと良く言われるが、昔から直感というか不思議な感覚を持っていて、食事中や入浴中、ふとした時に、幽霊とも違う何か不思議な存在がいるという確信にも似た説明し難い感覚に襲われることが何度もあった。勿論、目を凝らしても何もいない。勘違いや気のせいと言われればそれまでで、触れないし見えないが、そこに何かがいるという感覚は否定出来ないでいた。そのせいなのか誰かに見られていれば、視線として実感できた。

 

 首を右に巡らせた。そこにいたのは件の少女だった。車両の一番奥。有名な女子学校の制服に身を包み、胸元に大きな本を抱えていた。今時珍しくはない金髪碧眼。容姿は整っていた。過去を遡っても俺の周りでは存在しないレベルの美少女だった。

 

 可愛らしいな。

 

 この時思ったのはその程度だ。少女は窓の外を眺めていた。見られていたと勘違いしたのも、まぁ外れる事もあるな程度にしか気にしていなかった。今まで勘が外れた事などなかったのに。

 

 これまで特段に異性と縁のある生活をして来た訳でもない。運命の出会いとか流行りのドラマみたいな展開が俺に訪れるはずもなく、この日は眼福眼福と呟きながら会社最寄りの駅で降りた。

 

 背中に感じる視線を勘違いだと思いながら。

 

 

 

 

 

 

 

 

04

 

 翌日。

 

 また視線を感じた。昨日車両の奥にいた少女は車両の中段にいた。本を抱えて窓の外を眺めていた。電車の混み具合で位置が変わるのは不思議ではない。俺は毎日同じ時間の同じ位置にいるけど。

 

 昨日は仕事が捗り何をしても上手く行った。なんとなくこの少女を幸運の女神だと思い、二日連続で見れた事をラッキーだと思っていた。この日も仕事は驚くほど順調で今までの苦労は何だったのかと言いたくなる程だった。勝手に幸運の女神扱いにした少女を明日も見れたらいいなと思いながら。

 

 さらに翌日。

 

 件の少女は吊革を握る俺の隣に立っていた。大きな本を抱えて。

 

 嬉しい反面、気を使う必要が出来てしまった。片手で持っていた吊革を両手で持った。電車が揺れると肩が触れ合いそうになるのを避けて半歩離れた。何故か少女の肩が触れた。

 

 仕事は頗る捗った。

 

 間近で見た少女は遠目で見ていた以上に可愛かった。白い肌はきめ細かく、豊穣を彷彿とさせる金の髪は、それ自体が内から光り輝いているのかと勘違いするほどキラキラと光の粒子を振りまいている様にも見えた。

 

 自意識過剰なのか正面の窓ガラスに並んで映る少女の視線が俺を見ている気がした。眼鏡のレンズ越しに映る少女の瞳が潤んでいる様に見え、均整の取れた体つきと、小柄にも関わらず驚くほど豊かな、本で隠されていた胸が、幼くも見える童顔と相まって背徳的なエロティシズムを覚えてしまい、心臓がどくどくと早鐘を打った。

 

 中学生か高校生かは分からないが、もし高校生ならば人口増加政策もあり成人だ。結婚もケッコンも問題ない。それでも大学を出て数年、社会人として働いている俺とは随分と年齢が離れている。昨日までは幸運の女神だと無邪気に思っていたが、女性だと性を意識してしまえばこれからは気楽に思う事は無理だ。

 

 どうせこれからも縁のない少女だ。偶然、物理的な距離が近づき変に意識してしまった。年下の学生に僅かでも性を意識してしまったのは問題だ。

 

 俺は反省し、次の日から電車の時間と車両を変えることにした。そして遠目で、たまにでもひと目見れればその日は幸運だと思うことにした。

 

 この日仕事はやはり順調だった。嬉しくもあり寂しくもあった。

 

 深夜、夢精して目が醒めた。今まで経験したことがないくらい気持のいい淫夢だった。俺は無心で下着を洗った。賢者の俺は淫夢の相手が誰だったか思い出さない事にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

05

 

 一週間。電車で少女を見ることはなかった。時間を早めて車両も変えたからだ。少し寂しく思うが、元の日常に戻っただけだ。不思議なことに順調だった仕事は以前の悪戦苦闘する日々に戻ってしまった。仕事の要領が悪いわけではない。単純に仕事量が多過ぎた。段取りが僅かに狂うだけで、後に響いてしまうのだ。電車で少女をみていた時は心に余裕が出来ていたのか、段取りもフォローも完璧だった。同僚の仕事を鼻歌混じりで手伝える程に。

 

 やっぱりあの子は幸運の女神だったんだなぁと、休日に自宅で一人で料理を作り、ぐつぐつと煮立つ鍋を見ながらしみじみと呟いた。

 

「はちははちと言います。はちと呼んで下さい」

 

「あ? え?」

 

「はちです」

 

「あ? え? は……ち?」

 

「はい。言い難ければはっちゃんで。でもはちと呼んで欲しいです」

 

 少女の口調は思っていたより、ゆっくりでおっとりとしたものだった。

 

 休みが明け三日目の水曜日。以前に比べて一本早い電車に乗り、久しぶりに文庫本を開いた瞬間だった。耳に心地よい声がすぐ横から聞こえた。声を聞いただけで何故か懐かしいと郷愁の念を呼び起こされた。視線を下ろすと件の幸運の少女が隣で俺を見上げていた。

 

 自己紹介だと気がついたのは電車が動き始めてからだ。

 

「えっと、はっちゃんさん?」

 

 急な事でテンパってたのか接尾語に敬称を付けて呼んでしまった。少し変わった名前だなとか、移民系だと普通の名前なのかな? だとか、名前じゃなく愛称だったりするのかな? だとか思いながら。

 

 はっちゃんさんの眉が僅かに下がり、表情も少しだけ陰った気がした。何か失敗したのか。

 

 はっちゃんさんの表情は傍目に何も変わっていない。後で冷静になって考えて、はっちゃんさんが落ち込んだなんてなんで思ったんだろって考えた。でもこの時は何故かはっちゃんさんが少し落ち込んだと思った。思ってしまった。

 

「はちさん?」

 

「……はい」

 

 声のトーンは変わらない。でもまだ少し暗い気がした。正解じゃないみたいだ。

 

「はち?」

 

 自分で言ってなんだが、胸にすとんと落ちた気がした。難解なジグソーパズルでピースがぴったりと嵌ったようなスッキリ感があった。俺が感じたスッキリ感をはちも感じたのだろか。その証拠にほら。

 

「はい」

 

 花が咲き誇ると表現するのがいいのだろうか。紅いハーフフレームのレンズの向こうで瞳を輝かせたはちが満面の笑みを浮かべていた。それが誇らしくて嬉しくて、名前を呼んだだけなのに俺たちは互いに見つめ合ってふふふと笑い合った。

 

 いきなり声を掛けられてテンパっていた。周りが見えていなかった。目の前の座席に座る年配の男性がごほんと咳払いをした。

 

 俺は自然にはちの掌を握り、車両連結部のデッキに移動した。

 

「えっと、新海一八(かずや)です」

 

 新海一八。それが俺の名前。珍しいようでありふれた名前だ。午後の六時に産まれたから一八。十年前に結婚した姉の名は一五(いちご)。午後三時に産まれたらしい。

 

 これが俺たち二人の馴れ初めだ。お互い自己紹介して、申し合わせをした訳でもないのに次の日から自然と同じ車両で待ち合わせする事になった。想定外だったのは、はちが隣ではなく向かい合わせで俺を見上げていることだった。当然座席に近い場所に居る事は出来ない。扉に近い場所で待ち合わせ、時々はデッキで。電車が揺れる度にはちの腕が俺の胸に触れた。

 

 女性に不慣れな俺だが、はちと一緒にいることは苦痛じゃなかった。苦痛じゃないどころか、楽しかった。別に付き合っている訳じゃない。口頭で意思を示した事もない。だけど隣にいることが当たり前のように自然で、心が落ち着いた。

 

 付き合いたいと思わなかった訳でもない。ただ俺とはちは年齢が離れ過ぎていた。一回り以上だ。気後れしていたのもあるが、はちに似合いの歳の近い男性がそのうち現れるだろうと頭のどこかで考えていた。

 

 仕事は順調。何をしても上手く事が運んでしまう。順風満帆だった。

 

 だけど一つだけ以前と変わってしまった事がある。

 

 自己処理しても、週に一度は必ず夢精をしてしまうことだった。

 

 正直、はちは色っぽい。普段は年上の余裕を以って接しているが、時々目が勝手にはちの体を追いかけてしまう。何かを求めるかのような潤んだ瞳。抱える大きな本で押し潰された乳房。制服の上からでも分かるくびれた腰つき。着痩せしていると思われる臀部周りの肉置き。ひらひらと翻る制服のプリーツスカートと白いニーソックスで隠された触り心地の良さそうな、すらっとしているのにむっちりとした両脚。

 

 夢精するのは決まってそれらを視線で追いかけてしまった日の夜だ。

 

 俺は年下の少女に仄暗い劣情を抱いてしまっていた。

 

 小柄な少女を欲望のまま抱き、快楽の果てにどろどろと湧き上がる白い命の根源の塊を彼女の体の奥の奥の最奥に送り込みたい。それは子宮口を飛び超えて子宮壁にびしゃびしゃと音を立てて叩きつけられる。彼女は快楽に歪んだ顔で喘ぎ、嗚咽し、咽び泣く。肌を流れる汗が抱き合う二人の体で押しつぶされ、愛液と精液の如く混じり合い、潤滑油となって、肌が擦れ合うだけで快感を感じて絶頂する。やがて二人の肌は境界を無くし、自我を失うほどの忘我の果てに一匹の快楽を求めるだけの獣になろうとする。何度吐き出しても、何度受け入れても全然足りない。もっと、もっと、と理性を無くした、二人で一匹の獣は体の穴という穴から体液を撒き散らし、満足するまで、一晩でも二晩でもよがり続ける。お互いの嬌声に、痴態に、螺旋の如く無限の快楽を引き出しながら。

 

 冷水を頭から被り冷静さを取り戻した。

 

 蛇口からは水がじゃあじゃあと流れ、俺の愚かさを罵っていた。人でなし、碌でなしと。

 

 頭がおかしくなったのかと思った。こんな事今まで思ったことすらないのに。はちの瞳、髪、唇、指、胸、腰、尻、足首。想像するだけで陰茎が固く勃起する。ただ勃起するだけではない。自分の陰茎ではない程に固く大きくなり、怒張した血管が怒りの井桁の様に熱い血液を陰茎に送り出している様が見て取れ、そして精液の量も増えていた。まるでそれ自体が性に狂った獣のようだった。

 

 はちと出会ってから精力が明らかに増していた。今日は間違いなく夢精するだろう。何度自己処理しても結果は変わらない。はちに申し訳ないと思いながら自分ではどうしようもなかった。

 

 俺はこの歳にして性を持て余してしまうようになってしまった。

 




はち。
はっちゃん。

伊8は一人称がはちであったりはっちゃんであったりします。

最初の希望ははち。ただ提督がはちと呼ばないのでもうはっちゃんでいいですとも読み取れます。

はちさんでもなくはちと呼び捨てを希望する。
フランクな関係を希望していると思われますが、ここでは別の解釈をすることにします。

次回エロパート。
書けるのか? 実用性はきっとありません。

今回書き方を変えて5000文字システムを採用しました。

パート毎に書いて、5000文字前後に到達すれば投稿するかつて例を見ない斬新でスタイリッシュでスコティッシュなシステム。文字量によってはエロ寸前の寸止めシステムとも成りかねない。

プロット的なものはなく、なんとなくこんなイメージ? みたいな幾つかのシーンを繋げて書いているので途中経過も最終到達地点も変わったりします。つまり前と同じです。

基本のんびりだらだら。着地点が見えたら唐突に終わる予定也。
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