「おぉ……?」
晶葉の実験に暇つぶしで志希は付き合っていた。
「……」
裸の身体に装着された触手に目をパチパチさせた。
「なんか、変な形だね?」
うじゅうじゅらとうねく触手に志希は不思議そうな顔をした。
晶葉はメガネを上げ、ニヤッと笑った。
「これこそ科学が産んだ究極の装備だよ、一ノ瀬志希くん!」
「どんな効果があるの?」
「いわゆる一つの貞操帯だ」
「てーそーたい……」
自分の知ってる貞操帯となにか違っており、志希は不思議そうに身体を締める触手を見た。
「なんか、目がついてるけど」
「魚眼レンズだ!」
「うねうねしてるね?」
「身体にフィットするよう自動で変形するナイスな設計だ!」
「触手の一本が私のお尻の穴に入ったんだけど……」
「そこがミソなんだ!」
「お尻の穴だけに?」
晶葉の顔が赤くなった。
「まぁとりあえず、この続きはプロデューサーにでも頼もう!」
事務所の扉が開いた。
「おお、早速装備したか!」
プロデューサーが現れ、志希は裸の身体も気にせず無邪気に笑った。
「プロデューサーが実験に付き合うならちょっとは退屈しのぎになりそうだねぇ♪」
ニャハハと笑う志希に晶葉とプロデューサーの唇の端が邪悪につり上がった。
『じゃあ、約束の報酬は……』
『後で入金するさ』
『またの利用を期待してるよ』
『ああ……』
すれ違うように去っていく晶葉を手を振って見送った。
「で、なにするの?」
よっぽどプロデューサーと一緒にいるのが楽しいのか志希の顔は妙に上機嫌だった。
プロデューサーもコクリと頷いた。
「その前にお前、この前、性欲を増進させるアロマを作ったそうだな?」
「え、あ、あるよ……!」
部屋の隅にかけていた白衣のポケットから一個のキャンドルを取り出した。
「簡単に言うとアロマ型の媚薬だね……強力だよ♪」
「じゃあ、早速点けてみてくれ!」
「わかった!」
部屋に隅にキャンドルを置くとマッチに火を点け、蝋燭の進に当てた。
ふわぁと甘い匂いが部屋に充満した。
「うぅ~~ん……いい匂い♪」
鼻孔をくすぐるような甘い匂いに志希はウットリした。
「後はなにをすればいいの?」
「ああ、早速だが」
志希の身体を押し倒した。
「にゃ……にゃはは」
いきなり押し倒され、さすがの志希も顔を赤くした。
「も、もういきなりこんなことするなてプロデューサーもお茶目だねぇ。にゃっはっは♪」
誤魔化すように笑う志希にプロデューサーはプルプルの唇をグッと奪った。
「ッ……!?」
いきなり唇を奪われ、志希の顔がちょっとだけ赤くなった。
「うちゅぅ……♪」
嬉しそうに目を瞑りプロデューサーの唇を味わった。
(うん?)
そこで志希は身体の変化に気づいた。
(ぜんぜん気持ちよくならない?)
普段なら唇を奪われただけでスイッチが入るのに今日はなにも感じないどころかドキドキもしなかった。
(まぁ、いっか♪)
キスそのものは性感関係なく好きだし瑣末なことだと心の中で笑った。
「志希……」
「あ、プロデューサー……♪」
唇を口から離し舌を這わせるように身体を舐められた。
(うん……?)
ヘソの舌まで舐められ、志希は更に疑問を覚えた。
(全然、気持ちよくない……)
身体を舐められるだけでも普段ならとても気持ちよくってそれだけで濡れるのに感触すら希薄だった。
(身体の調子が悪いのかなぁ?)
いつの間にか自分の秘部を舐めているプロデューサーに気づいた。
(なんだか身体の一部の感覚が遮断されたような気持ちだなぁ……)
全然快感の感じられない自分の身体に志希は少しイライラした。
(うぅぅ……)
必死に感じようと頭の中でスイッチを探した。
(きもちよくない……!)
身体は一向に濡れることを知らずプロデューサーの舌が張っているだけという感覚だけが伝わった。
(味のないガムを食べてるような物足りなさ……)
こうも多幸感が薄いとセックスする楽しみも薄れ、ヤル気が下がってしまう……
「え……?」
いつの間にか自分の秘裂にペニスを差し込みピストンするプロデューサーを認めた。
「にゃ、にゃはは……♪」
身体に伝わるピストンの衝撃に志希は慌てて笑った。
「い、いつの間にオチンチン挿入れたの?」
まるで無感覚な自分を誤魔化すように志希は必死になった。
「志希、気持ちいいぞ!」
「そ、そう……」
自分は気持ちいいどころかペニスが膣内に入ってる感覚すら無いため変なフラストレーションが溜まった。
(とりあえず、膣肉を締めてみればぁ……)
セックス慣れした秘裂をギュッと締めた。
「おお、今日は締まりがいいなぁ!」
「……」
やはりプロデューサーのペニスの味は感じられなかった。
(うぅぅ……)
さすがの志希もイライラを露わにし始めた。
「どうした、そんな顔をして?」
プロデューサーは膣肉に入れたペニスをドンッと突いた。
「うぅぅ……」
身体にショックを受けたことだけは理解したが肝心の性感が感じられず志希はまた微妙な顔をした。
(もしかして、身体の相性が合わなくなった?)
一瞬、身体が冷たく覚めるのを感じた。
(なんか、いやだなぁ……)
大好きなプロデューサーとのセックスが感じられないなんてなんだか絶望に近い感情を覚え、それを否定するように自分からも腰を振り出した。
「おお、相変わらずうまいなぁ、お前の動き♪」
「にゃっはっは……慣れてるからねぇ♪」
不感症になった自分の身体を悟られないよういつも通りの笑顔を浮かべる志希にプロデューサーは裸の乳房を揉んだ。
「あ……?」
数秒遅れて自分の乳房が揉まれてることに気づき、志希は慌てて感じたような顔をした。
「あぁぁ……うぅぅ♪」
実際は触られてることすら感じてない胸なのに志希は必死に感じた演技をした。
「き、きもちいいよぷろでゅーさー……♪」
必死に演技を浮かべる志希にプロデューサーは喜々した。
「なんだか今日の志希はいつも以上に気持ち良さそうだな!」
「そ、そうかなぁ……にゃっはっはっ♪」
砕けた笑みを浮かべる志希だが身体の芯の方は一向に感じる気配がなく不満が溜まっていた。
「……」
いつの間にか演技でのみ感じている自分に志希は感じたことのない罪悪感を覚えた。
(なんだろう、この気持ち……)
自分との愛を確かめ、確かに感じているプロデューサーに志希は申し訳なくなった。
(このまま感じずにイカれたら私……)
強い罪悪感が今度は孤独へと変わり恐怖へと塗り替えられた。
(いやだ……)
プロデューサーのペニスを膣肉で締め志希は必死に初めて結ばれた日のことを思い出した。
(かんじたい……かんじたい……)
無反応な自分の身体に志希の表情はいつの間にか曇っており、とてもセックスをしてる顔ではなくなった。
「志希……!」
そんな志希にも気づかずプロデューサーは自分の快感を貪るように腰を振った。
(かんじたいかんじたいかんじたいかんじたいかんじたいかんじたいかんじたいかんじたいかんじたいかんじたいかんじたいかんじたいかんじたいかんじたいかんじたいかんじたいかんじたいかんじたいかんじたいかんじたいかんじたいかんじたいかんじたいかんじたいかんじたいかんじたいかんじたいかんじたいかんじたいかんじたいかんじたいかんじたいかんじたいかんじたい……)
いつの間にか志希の頭の中はプロデューサーとの快感を感じたいという感情で支配されなにも考えられなくなった。
「志希……」
プロデューサーはニヤッと笑った。
「お前でもやっぱり不満は覚えるんだな♪」
「え……?」
身体を縛り肛門を埋めていた触手の先からなにかが流れ出るような感覚が訪れた。
「ッッッッッッッッッッッッ!?」
その瞬間、今まで感覚のなかった「気持ちのいい」という感情が波というよりも爆発したように襲いかかり志希の目を狂わせた。
「あぁあああぁぁぁぁぁぁぁぁ♪」
連続して爆発するに訪れる快感の波に志希は目が逝ったように見開きプロデューサーの身体に抱きついた。
「プロデューサー! プロデューサー! プロデューサー!」
聡明だったはずの志希の顔が驚くほど砕け、自分から腰を振り淫らな笑顔を浮かべた。
「うっひいいいいいぃぃぃぃぃぃ♪」
本当に爆発したような強い絶頂感に身体中の神経を焼ききれるような痛みを覚え裸の乳首がビンッと勃った。
「あはぁぁぁ……にゃはぁぁぁぁ♪」
感じられなかったプロデューサーのペニスを膣内で感じれる悦びに志希は生まれて初めて本能に従う悦びを知った。
「きもちいいいいいいぃぃいぃぃぃぃ♪」
プロデューサーのペニスから熱い精液を感じた。
「はぁぁ……」
息を深く吐いた。
「よかった♪」
膣内に熱いプロデューサーの精液を感じ志希はホッとした。
「やっぱり、ぷろでゅーさーとのせっくすはきもちいいねぇ……」
プロデューサーのペニスを膣内で感じたまま志希は幸せそうに目を瞑った。
本当に幸せそうに寝息を立てて……
「にゃるほどぉ……♪」
一連のことを聞き、志希は納得した顔で頷いた。
「性感をコントロールできる貞操帯だったんだ!」
疲れたように眠る触手型の貞操帯に晶葉は満足そうに微笑んだ。
「これのスゴイところは性感のみを一切感じられなくするんだ。普通に感じるより感じないほうがずっと心細いからねぇ!」
「うんうん、わかるわかる♪」
晶葉の言葉に志希も満足そうに頷いた。
「じゃあ、次は晶葉ちゃんねぇ♪」
「え……?」
触手型貞操帯が晶葉の身体に襲いかかり着ていた服を溶かした。
「ちょ、まて、じっけんはもう……」
「晶葉ちゃんも自分で実験しないと感覚がわからないよ♪」
「ちょ、はなせ……」
触手に拘束された晶葉を見て、志希は楽しそうに部屋を出ようとした。
「じゃあ、晶葉ちゃんのプロデューサーを呼んでくるからねぇ♪」
「も、もしかして、怒ってるか?」
「うぅん♪」
しっかりと額に青筋の浮かんだ志希の額を認め、晶葉は手を組んでいたプロデューサーに助けを求めた。
「た、たすけてくれ!」
「ああ、そうだ、これ報酬♪」
「え……?」
床に置かれたバイブとローター、催淫クリームになぜか蝋燭と鞭に晶葉は叫んだ。
「報酬は金じゃなかったのか!?」
「報酬分の金額になってるよ」
「騙したな!」
「あ、それはちょっと違う」
「え……?」
「お前のプロデューサーに頼まれたんだ。お前の発明を聞いて最初にこの計画を考えたのはアイツだ」
「……え?」
顔を青くする晶葉にプロデューサーはケラケラと笑った。
「まぁ、試作品なんだしすぐに終わるだろう。俺は気持ちよかったし、案外マグロプレイもありだぞ!」
「私はありじゃない!」
部屋を出ていった二人を見て、晶葉は慌てた。
「こ、このままだと私の痴態が……」
すでに充満されたアロマの匂いに晶葉はドキッとした。
「ま、まさか、この匂いは……」
ドクドクと脈打つ触手型貞操帯に晶葉は力の限り叫んだ。
「たすけてくれぇぇえぇぇっ!」
その後、触手型貞操帯は失敗作として破棄された。