※この作品はR-18です。

俺ガイルヒロイン達とイチャイチャしたいだけのお話。   作:虚蝉

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いやぁ、はてさて需要があるかはわかりませんが書き溜めていてもアレなので公表したいと思います。


曖昧模糊な恋路(全2話)
曖昧模糊な恋路


 いつもの部室の時間。

 俺が暖かな日差しが差し込む部室の窓を眺めていると怪訝に思ったのか雪ノ下が話しかけてきた。

 「汚物谷くん、なにニヤニヤして窓の外を見ているの。あなたに見られたらすべてのものが腐ってしまうでしょ?少しは考えたら?」

 訂正。貶してきたが正しい。

 「いや・・・。春だなと思ってな」

 「冬が終わったら春が来るものよ。そんなこともわからなくなってしまったのかしら?」

 「そうかもな」

 春になって多少は落ち着きを見せたのか、最近になっては部室に来ることがなくなったある後輩のことを考えていた。

 「比企谷くん、あなた最近おかしいわよ?ぼーっとしていることも多くなったし、何より目が腐っているわ」

 「目のことは言わなくてもいいんじゃないんですかねぇ・・・」

 「それにしても、由比ヶ浜さん遅いわね」

 俺はその雪ノ下の独りごちた言葉には耳を貸さず、またあの後輩のことを考え始めた。

 ぺらり、ぺらりと雪ノ下の本をめくる音が聞こえる。

 その音は小鳥が囀るかのように静かで、部室に俺と雪ノ下以外、誰一人としていないことを想像させるのは容易かった。

 「比企谷くん」

 「ん?」

 「今日はもう終わりにしましょうか」

 「そうか」

 「ええ、だからさっさと出て行って欲しいのだけれど」

 「断る。だいたい部室は部員が自由に使える空間だ、俺だって部員だし残りたいときだってある」

 「・・・そう。久しぶりね、あなたがそんな風に私に意見を言うなんて」

 雪ノ下は頭痛でもするかのごとくこめかみに手を当てると、やれやれといったように肩を大げさにすくめて見せた。

 「鍵はちゃんと返しておいてね」

 「わかった」

 「じゃあ、また明日ね」

 そう言うと、雪ノ下は艶めく黒髪を揺らしながら部屋をあとにした。

 「一色・・・」

 ぽつりと漏れた言葉に呼応するかのように、部室の扉がどんどんと、二回たたかれた。

 俺が何かを言う前に扉をたたいた主はずんずんと、俺の前まで来た。

 「久しぶりですねー。先輩」

 「一色・・・」

 「返事返しに来ました」

 一色の返事―。それは約三ヶ月前にさかのぼる。

 

 

 

*三ヶ月前*

 「先輩ー。頼まれごとしてください」

 放課後、俺がマッ缶を買っていると一色が話しかけてきた。

 「忙しいから無理だ」

 「先輩に忙しい時なんてあるんですか?」

 「ある、むしろいつも忙しいまである」

 「へー、とりあえず生徒会室行きましょうか」

 「一色さん人の話聞いてた?」

 「聞いてましたよ?」

 なにを言っても無駄なようだ。

 「ところで、最近はどうだ?」

 「なにそれ口説いているんですか?近況を聞いて私の行動を監視するつもりですか、ごめんなさいキモいです無理です」

 この後輩は俺のことを性犯罪者かなんかだと思ってるの?

 八幡心が痛い。

 一色は俺の顔を見てはてな、と首を可愛らしく、もといあざとく傾げて見せた。

 最近少し伸びてきた亜麻色の髪が軽く揺れ仄かにシャンプーの芳香が香った。

 軽くドキリとするが、自分に自分で錯覚だと言い聞かせる。

 「せんぱーい早く行きましょー」

 気がついたら1メートルほど先に進んでいた一色に呼ばれる。

 頭をわしゃわしゃと掻きながら生徒会室への道を歩み始めた。

 

 

 

 生徒会室に着くと一色は目の前の段ボール箱を指さしこういった。

 「これを職員室まで運んでください」

 「ったく、ほかの生徒会メンバーに手伝ってもらえよ・・・副会長とか」

 そう言うと一色はおもむろに窓の外の生徒を指さした。

 「副会長は書記ちゃんといちゃいちゃしてるんですよねー、呼び出したら怒りますよー」

 私なら怒ります、と一色はつぶやいた。

 俺はばつが悪くなり段ボールを持ち上げ、一色を促した。

 「黄昏れてないで早く行くぞ」

 「黄昏れてないですよー、もう・・・」

 そう言いつつ一色は一回り小さい段ボールを持ち上げると、器用に扉を足で開けた。

 「じゃあ、行きましょうか」

 トテトテと歩く一色は守ってあげたい母性本能を擽る、。

 流石いろはすあざとい。

 だが、小さい割に箱が重いのか、時々地面において休憩している。

 「一色、それ貸せ」

 「ふぇ?」

 そう言うと一色が持っていた箱を持ち上げると想像していたよりも重く、一瞬前に倒れそうになる。

 「先輩の持ってたやつは私が持ちますねー」

 そう言うと一色は俺が地面に置いていた箱をひょいと持ち上げた。

 「先輩のやつめっちゃ軽いじゃないですかー、ずるいです」

 ぶーたれている一色を横目にまた、職員室への道を進み始める。

 箱が軽くなって足取りも軽快な一色が後ろから追いかけてきて、俺の下から顔をのぞき込ませた。

 「先輩はこんな風なことはドキドキしますか?」

 「そういうあざといことにドキドキするのは女性慣れしてない男子だけだ」

 そう言うと、一色はニヤニヤと笑みを浮かべた。

 その笑みは可愛らしいが、その中に黒い何かを孕んでいる気がした。

 「先輩は女性慣れしてるんですか?男友達すらいないのに?」

 「あくまで一般論の話だよ・・・。プロのぼっちは例外が多いんだよ」

 「じゃあ、プロのぼっち(笑)の先輩に聞きますけど先輩はドキドキしますか?」

 「(笑)ってなんだよ・・・」

 「さあ?で、どうなんですか?」

 「多少は・・・」

 「ふーん」

 全くこの対応である。質問に答えたのに酷い。

 「先輩ストップです」

 そう言うと一色は首で俺の目線を前に促せた。

 「おや、比企谷に一色なにしているんだ?」

 「平塚先生に頼まれていた書類を職員室に運んでいるんですよ?」

 忘れましたか、と一色。

 「それは、明日運んでもらう予定だっただろ?」

 「あれ、そうでしたっけ」

 「まあ、しっかり仕事をしているだけ偉いな、だが箱は明日の定例会で運ぶ予定だから、悪いが生徒会室に戻しておいてくれないか?」

 今職員室に置く場所がないんだ、と平塚先生は付け加えた。

 「ごめんなさい先輩、生徒会室に戻すのも手伝ってもらえますか?」

 「ああ」

 一色に促されて来た道を戻った。

 「先輩、その辺においといてくださいー」

 「はいよー」

 そう言って一色が箱を置いた近くに俺も箱を置こうとする。

 しかし、足下にあった箱に俺は躓いた。

 しまったと考えるまもなく、前にいた一色を巻き込みつつ倒れてしまう。

 「・・・・・・・・!?」

 柔らかなナニかが俺の唇に触れていた。

 恐る恐る目を開けてみると一色の瞳が目の前にあった。

 その瞳は潤んでいて、少し涙がででいた。

 一色とキスをしてしまった―。

 その事実が頭の中を駆け巡った。

 その事実しか駆け巡らなかったが正しいだろうか。

 俺はすぐさま一色の上から飛び退いた。

 「一色っ・・・すまん」

 「せん・・・ぱい・・・私たち今なにしました・・・?」

 答えるべきか迷いながら俺はその事実を口にした。

 「・・・キスした」

 一色はそれを聞いたとたん俯き、先輩とキスと何度もつぶやいた。

 「先輩・・・手伝ってもらって悪いんですけど、ちょっと外で待っててもらっていいですか?」

 「あ、あぁ・・・」

 俺は生徒会室の外に出て扉を閉めた。

 その扉にもたれかかり、俺は自らの唇に手を当てた。

 「・・・柔らかったな」

 暫くすると扉がトントンと叩かれた。

 「先輩、いますか?」

 「ああ」

 「・・・入ってきてください」

 扉を開け、生徒会室に一歩踏み込む。

 足を踏み入れたと同時に一色が俺のことを抱きしめた。

 「一色!?」

 「・・・少しこのままにさせてください」

 そういう一色の声は震えていて、先ほどまで泣いていたように思えた。

 俺はなすがままに一色に抱きつかれていた。

 一分程した頃だろうか、一色はぽつりと言葉を漏らした。

 「・・・せん・・・ぱい・・・責任とって・・・ください」

 「あぁ」

 「私・・・初めて・・・だったんですからね・・・」

 「そうだったのか・・・悪かった」

 その日はそうして、終わりを告げた。

 

 

 

 次の日―。

 俺がいつも通り学校に行き、教室に入ったとたんに由比ヶ浜が声をかけてきた。

 「ヒッキー、いろはちゃん泣かしたってホント?」

 「何でお前がそのこと知ってんだよ・・・」

 由比ヶ浜はぎこちない表情を浮かべ、耳打ちをしてきた。

 「いろはちゃんから聞いたの、ヒッキーに責任とってもらうって言ってた」

 「そうか・・・」

 「ヒッキー、私馬鹿だからよくわかんないけど、何かしたならちゃんと責任とらなきゃいけない、と思う」

 「ああ・・・わかってるよ」

 そうこうしてるうちにHRが始まり、由比ヶ浜は席に戻っていった。

 「責任か・・・」

 四限目が終わって昼休みになった。

 外は曇っていて、今にでも雨が降り出しそうだった。

 「せんぱーい、ちょっと付き合ってください」

 一色が俺の席の隣で目線を送り続けていた。

 「付き合うってどこへ・・・」

 「ララポートです」

 そう言うと一色は俺の手を握り、引っ張り始めた。

 「あ、いろはちゃん!ヒッキーの手を握ってなにしてるの・・・?」

 「あぁ、先輩にはこれから私とデートしてもらうので」

 「えっ、それってどういう」

 「ほら、先輩早く行きますよ」

 由比ヶ浜と一色の話を横目に寝ようとしていたら、俺に話題が移ってキョドってしまう。

 「え、いや、でも」

 「先輩は責任もとれないんですか?」

 それを言われると弱い。

 「わかった、じゃあ行くか一色」

 「・・・ダメです」

 「は?」

 「名前で呼んでくれなきゃダメです」

 一色は少し恥ずかしそうにしながらそういった。

 「ちょっと、待ってくれ・・・」

 「先輩?せ・き・に・ん」

 一色の笑顔がとても怖かった。

 「わ、わかったよ・・・い、いろは」

 「じゃあ、行きましょうか」

 いろはは俺の手を握りながら歩き始めた。

 廊下ですれ違う人が皆、俺といろはを注視している。

 確かにいろはは、生徒会長をしているしとても目立つ容姿をしているからな。

 「な、なぁ、一色」

 「先輩、名前」

 「いろは、手を繋ぐのはどうなんだ・・・」

 「何でですかいいじゃないですか」

 まず、先輩に拒否権ないですけどねー、といろはは言う。

 確かにそうかもしれない。

 いろはが許してくれるまでは、従った方が良さそうだった。

 そうこうしてるうちに正門前までついた。

 「じゃあ、先輩行きますよ」

 そう言うといろはは、いきなり走り始めた。

 「せんぱーい、早くしてくださいよー」

 俺たちはそそくさとララポートまで逃げ切った。

 別に何かから逃げているわけじゃないけどな。

 

 

 

 「先輩、プリクラ撮りましょ!プリクラ!」

 そう言われ、プリクラのおいてある方へ向かう。

 平日の昼間だからだろうか人は少なく、待つことなくプリクラマシーンに入った。

 流石にそういうことに慣れているのか、一色は背景などを手際よく決めていく。

 「じゃあ、先輩撮りますよー」

 そういうと、いろははなんだか訳のわからないポーズを決めて見せた。

 「いっし・・・いろは、そのポーズなんだ?」

 「え、逆に先輩は何で突っ立てるんですか?プリクラですよ」

 「あ、ああ」

 俺は渋々いろはのポーズを真似していろはの隣に立つ。

 「先輩、そのポーズ似合ってますね?」

 「何で疑問系なんだよ・・・」

 何でですかねーといろはは笑う。

 「さ、先輩次が最後ですよ」

 そう言っていろはは、俺の頬に唇を触れさせた。

 「なっ・・・」

 パシャ―。

 「また、しちゃいましたね・・・?キス」

 照れのせいだろうか顔が熱くなっていく。

 そんな俺を尻目にいろははそそくさとマシーンの外に出た。

 「せんぱーい、早く落書きしましょー」

 そんないろはの声は少しばかり弾んでいて嬉しそうな気がする。

 俺は外に出つつこう言った。

 「いろは、この後まだ時間あるか?」

 「なんですか先輩、もしかして私のこと口説いてます?そうだとしたらごめんなさい、私好きな人いるんです」

 「いや、ないならいいんだ・・・」

 「ごめんなさい、噓です、調子乗りました」

 俺は、いろはの頭をぽんぽんと軽く叩く。

 「ふぇ?」

 「噓をつくならそれ相応の覚悟が必要だ。その噓で幸せになることもあれば、不幸になることだってある」

 「・・・ごめんなさい先輩」

 気まずい空気の中、俺たちはプリクラコーナーを後にした。

 

 

 

 「ねえ、先輩」

 プリクラコーナーを後にしてから、次にいろはが話しかけてきたのは、晩飯のために入ったサイゼだった。

 「なんだ?」

 「最後の責任取ってください」

 俺はこれで最後かと思いつつ、いろはに先を促す視線を送った。

 「後で言いますね、それよりも早く食べちゃいましょう」

 「そうだな」

 「・・・・・・・・・」

 「・・・・・・・・・」

 静かにミラノ風ドリアを食べるいろははあざとさなどなく、単純に可愛く思えた。

 「・・・どうしたんですか先輩、そんな風に見つめて」

 素のいろはは可愛く、その姿を見れたことに何か特別なものを感じる。

 「別に何でもねぇよ」

 「あ、そうだ先輩!今日先輩のおごりですよね?」

 「まぁ、今日は楽しかったし払ってやらんこともない」

 「もー、素直に俺に払わせろ位言ってくださいよー、こんな可愛い後輩にお金を使えるんですよ?」

 「はいはい可愛い可愛い」

 「もう・・・」

 「もう出るか?」

 「そうですね・・・帰りますかぁ」

 今日は楽しかったですよ、といろはは笑っていった。

 「先輩、最後の責任です」

 「ああ」

 「私を名前呼びしないでください」

 いろははそれだけ言うと足早に立ち去ろうとした。

 「お、おい」

 いろはは、汚物を見るような目で俺のことを見つめる。

 先輩に用はないと語っているかのようだった。

 俺はいろはの腕を握り帰すまいとした。

 「ちょっと待ってくれ」

 「せん・・・ぱい・・・?」

 「勘違いでもいい。むしろ今の今まで勘違いだったらと願っていた。だけど、もう抑えきれない。お前が好きだいろは」

 俺はそこで一呼吸置き、言葉を続けた。

 「だから・・・だから俺と付き合って欲しいんだ」

 「先輩・・・」

 「返事はいつでもいい、待ってるから」

 「・・・わかりました。今日は無理ですごめんなさい」

 そう言うといろはは俺より数歩先に進んで、くるりと振り返った。

 「先輩、もう名前で呼ばなくていいですよ」

 次呼ぶのは私が先輩とつきあえたらにしてください。

 一色は、素の笑顔で笑いかけてくれた。

 

 

 

 一色の返事それは俺が待ちに望んだものだった。

 「返事返しに来ました」

 そう言うと一色は俺の前に跪いて見せた。

 「一色・・・?」

 「先輩、まだ私のこと好きですか?」

 俯く一色の顔は見えないが声が震えている。

 「この三ヶ月間、お前のことしか考えてなかった」

 「そう・・・ですか」

 一色の耳は真っ赤で照れているのだろう。

 大きく深呼吸をした後、一色は顔を上げこう言った。

 「先輩もしかして私のこと口説いてるんですか?私先輩のこと大好きです、よろしくお願いします?」

 「何で疑問系なんだよ、いっし・・・いろは」

 「覚えてたんですね」

 「責任・・・だろ?」

 いろはの手を取り抱きしめた後、俺たちはキスをした。

 「私は高いですからね?覚悟してくださいよ?」

 そういういろははあざとさのない、素の可愛らしい笑顔だった。




おまけにはR18描写が含まれます。
苦手な方は読まれないことをおすすめします。
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