……遅くね?笑
お尻を鷲掴みにされている俺の後ろで声がかかった。
「あなた、何してるの?今触ってましたよね?自分のしてることわかってますか?」
そこにはクールな口調で俺の尻を鷲掴みにしていた手を強く掴んで上へと引っ張る、20代半ばのおねーさんがいた。
痴漢さんは必死に抵抗を試みるが目立ちたくないからだろうか、俯いている。
そんな彼女におねーさんは俺に言う。
「君、大丈夫?ショックだったと思うけどもう大丈夫だからね。とりあえず次の駅で降りてもらえる?……あなたもよ。痴漢。」
そう言って俺をなだめて痴漢のOLさんを睨みつける。OLさんは観念したのか、黙って従っていた。
数分後次の駅で俺たち3人は降りて、おねーさんが読んだ駅員が来た。
「大丈夫でしたか?ショックだということは重々承知の上で車内での出来事を教えていただけますか?申し訳ないのですがお願いします。」
そう丁寧に相手を傷つけないように問いかける。マナーのいい駅員さんだった。
……だけど別になんとも思ってないんだよなぁ……むしろ心地よかったというか出来ればもうちょっとして欲しかったかもなんて。言えるわけないか。
とりあえず俺はOLさんがやったことをありのまま話した。淡々と喋る俺に少し駅員とおねーさんは驚いていたが気にせず続けた。
「……で、そこのOLさんが俺のお尻を撫でたりとか鷲掴みとかしてきましたね。」
「分かりました。辛いところをありがとうございます。そういう事なので、あなたはこれから警察を呼びますので一緒に来てもらえますか?」
そう言って駅員は目元に涙を浮かべて俺に謝ってくるOLさんを連れて上へとエレベーターで行ってしまった。
「気分はどう?大丈夫?」
そう言っておねーさんは俺の心配をしてくれる。
この人もまた薄着だ。しかもブラはしてないよぅ。ポッチが……胸にポッチが。視線がそこに行かないように気をつけながら礼を言っておく。
「すいません。どうすればいいか分からなくてお姉さんには助かりました。ありがとうございます。」
と、一礼。
「今度からは同じ目に合わないように男性専用車両にでも乗りなさいね。じゃあ。」
そう言って去っていった。
男性専用車両とかあるの?女性じゃなくて?完全にこの世界おかしいよ。
ここでようやく俺は世界の常識がひっくり返っていることに気づいたのだった。
そこで俺はとりあえず学校行くのは今日はやめて、街中で雑誌や本を買い漁りこの世界の男性の常識を調べてみた。……もちろん帰りはちゃんと男性専用車両に乗りました。凄くむさくるしかったです。あれにのるなら普通の方がいいかもしれない。
こんな世界に生まれたかったという欲望です。