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「医療協会の狩長と教区長が獣化した。ヤーナムは……終わりだ」
医療協会上層で聖歌隊の長は重々しく聖歌隊たちに言った。
一同はため息と悲嘆、絶望で弔事の如き沈黙にしずんでいる。
「メンシスの悪夢に潜入した者達がミコラーシュの愚か者を止められればいいが……
その前に我らが獣化するか赤い月が昇る方が早いだろう」
白い聖歌隊装束が悲しげに揺れる。忍び泣くものもいた。
「それで……どうする。獣化する前に介錯するとでも?」
「いや、ヨセフカ医院に潜入した彼女が上位者化への方法を確立するかもしれん」
「だが、全員分間に合うのか……?」
当然のように上位者化が選択に上がるのは聖歌隊であるからだ。あるいは医療協会の組織とはそんなものともいえる。
聖歌隊の長が手を上げて騒ぎを静めた。
「そうだ。もはや我々に残された希望は上位者化しかない。薬はちゃんと全員分ある……
だが、その前に貴公らそれだけでいいのか?人としての最後の夜だ……思い残すこともあるだろう」
「何が言いたい」
「医療協会はもはやない。何者も、我らを捕え、止められぬ……ならばもはや思い残すことは一つだろう」
星の娘、だれかがそうつぶやいた。
不敬だ、そう諫める声もあった。
「皆、わかっているんだろう?そう、これは確実なる上位者化のための聖なる儀式であり、我らの愛の発露だ。
もちろん、星の娘が拒むことも、あるいはこちらを殺すこともあるだろう。無理にとはいわない。
だが……人として最後の夜なのだ。私は好きにする。貴公らも好きにしろ」
そういうと聖歌隊の長は服を全て脱ぎ捨て嘆きの祭壇の方へと歩き出した。
男根が痛々しいほど勃起し、先走りをにじませている。
ぺた、ぺた、と裸足の足音が廊下に響いた。
残った聖歌隊たちは顔を見合わせ、やがて一斉に獣のように破り捨てるかの如く皆、全裸になった。
男女関係なく、全裸になりしかし互いにむさぼるわけでもなく、一方向を目指していく。
欲情と狂気と歓喜に眼を潤ませながら。そこにはもはや絶望はなかった。
■
全裸になった聖歌隊たちはヨセフカの診療所に潜入した同士から届いた上位者へ至る血だけを握りしめ、嘆きの祭壇に至る。
そこは薄く水が張った地底湖のような場所だ。天上からは青い月の光が荘厳に降り注ぐ。
もっとも奥の場所に「それ」はいた。おおよそ3m超、ぶよぶよとした軟体生物のような質感を持つ巨人。
星の娘・エーブリエタース。
エーブリエタースは彼女と同じくらい巨大な蜘蛛の死骸にむけて祈っている。
何を祈っているのか、その蜘蛛と彼女にどのような関係があったのか。もはや忘却の彼方だ。
だがヤーナムに流通する血のほとんどがどこかしらで彼女の血が混ざっている。
そして聖歌隊は彼女を崇拝し、人生のほとんどを彼女と共に祈った孤児達だ。
ひたひた、ひたひたと何人もの裸足の足音が彼女を囲む。情欲に塗れたあえぎ声に荒い息も聞こえた。
聖歌隊はちは獣欲を押さえ、まずは彼女と共に祭壇に祈った。
エーブリエタースが何を祈っているのか誰も知らない。だが、皆彼女を慕いそして崇拝しているのだ。
祈りが終わると、まずは聖歌隊の長が「交信」のポーズをとった。続いて聖歌隊たちが同じように「交信」のポーズを取る。
それは彼らにとってエーブリエタースへの対話であり呼びかけなのだ。
中にはこの時点ですでに甘く絶頂しているものもいた。ああ、と何人もが祈りの高揚感に快楽の声を上げる。
聖歌隊の長が口を開いた。
「星の娘よ。どうか、我らの祈りを聞き届けたまえ。
赤い月が昇り、我らは獣へと成り果てるだろう。
故にかつて女王ヤーナムがそうしたように、我らに慈悲をさずけたまえ。
我らと交わり、我らに啓示を与え、我らを眷属に加えたまえ」
じりじり、とエーブリエタースを囲む全裸の男女の輪が縮まっていく。
待ちきれない、というかのように。
「我らと愛を交わし、身体を重ね、血を混ぜよう。
土に埋もれ、もはや見えぬ墳墓(イズ)……宇宙よ!
やがてこそ、舌を絡め、睦み明かそう、明かし睦もう……
新しい進化、眷属への道を!」
祈りは最高潮を迎え、ひたり、と何人かがエーブリエタースに触った。
殺されても構わない、という覚悟の上である。
エーブリエタースはゆっくりと振り向きながら自らに触れる聖歌隊たちの手にそっと触手を絡め合わせた。
「ああ……慈悲深い、慈悲深いことです、星の娘よ…!」
何人かの聖歌隊はもうすでに星の娘にすがりついて子供のように獣のように泣いている。
泣きながら抑えきれず自慰を始め、中には勃起した男根をすりつけるものさえいる始末。
だがエーブリエタースは彼らを許した。今や完全に彼らの方に向き直り、触手を絡め、やさしくしごいてやる。
<近くに><肯定>
全員に啓示が走った。カレル文字でしか表現できないそれは星の娘の言葉だ。
もはや半数以上が激しく泣いていた。赤子のように星の娘に甘えている。
だが、下半身は獣欲にあらがえない。無様に腰を振り、エーブリエタースへとすりつけている。
それもエーブリエタースは良しとした。彼らの性器に柔らかく濡れた触手を一人一人に分け与えてやる。
男は男根を触手でくるまれ、女は触手で優しく処女を奪われた。
それだけでほぼ全員が一度射精し、女は潮を吹いて絶頂した。
淫靡な臭いと人としてこれから終わるという事実に誰も萎えなかった。
皆、いち早く上位者化を促すヨセフカの薬を服用し、あるいは精力剤を飲んだ。
そしてエーブリエタースは聖歌隊の長をその触手で抱き寄せ、まずは一度やさしく抱擁した。
「ああっ、あああっ」
長は無意識に腰を振り、情けなくもう一度射精した。
萎えそうになるそれをだがしかし肛門から侵入した触手が再び立たせた。
長に嫌悪感はない。肛門性交はヤーナムでは比較的普通の性癖だ。
そしてそれが崇拝し敬愛する星の娘からの快楽と許容の証としてならば、それは興奮をあおり立てるスパイスでしかなかった。
「ずっとこうしたかった……ああっ、ああっ、愛しています星の娘よ……ああ、光栄です」
そして長からもエーブリエタースの大樹のような腰に手を回し触手に指を絡め抱きしめ返す。
エーブリエタースそのものからしたたる粘液は聖歌隊たちが今まで見たことのない種類の……そう、性交のための媚薬作用のあるものになっていた。
<拝領>
エーブリエタースから長へと啓示が下った。すなわち、自らの出す血と粘液を飲め、という意味だ。
くぱ、とエーブリエタースの女陰のような顔が開いた。そこには血の色をした宇宙があった。
どろどろとしたたる血のような粘液、通常であれば攻撃用に使われる毒液は今は媚薬とミルクとして使われた。
「あああ、星のむすめ……エーブリエタース、えーぶりえたーす……えぶちゃん……ママ、マンマ!ああー!」
大量のエーブリエタースのミルクを飲んだ長はまず幼児退行を引き起こした。
それから反応する間もなく、エーブリエタースによる「フェラチオ」が始まった。
人がまるまる2人分は入る口に下半身ごと放り込まれた長は無数の触手に包まれ、粘液にさらされ、また射精した。
三度目であるにも関わらずまるで精通したかのように勢いの良い大量射精だった。
「まんま、まんま……」
射精は明らかに異常で、死を感じさせるものだったが、長は止める意思はもはやなかった。
意識が清明であったとしてもこれで睾丸の中のすべてをはき出しただろう。あるいは、命さえも。
エーブリエタースが精をゆっくりと飲み込み、射精が終わると長をはき出し、そっと地面に横たえた。
「からだが、あついよ、まま、こわい、まま……」
そう泣く長をエーブリエタースは触手でゆっくりと未だに硬い男根を優しくしごき、頭を撫でる。
もはや皆、理性をとろかし女性ですらもママ、ママとエーブリエタースにすがりつき、触手の与える快楽に耽っている。
「まま、ああっ、すごい!わかった!すごい!なる!なるなるなるなる……ままっ!」
長はまず発狂し、激しく腰をふりながら身体の中から血の槍を噴き出して臓物をぶちまけた。
そして光と共に爆発し、中から現れたのは青くぬめる肌を持つ星界の使者だった。
ママとかすごい、とか、おめでとう、など語彙のなくなった言葉により長だったものは変態を祝福された。
「ぽよぽよぽよ……」
上位者の眷属となったそれはまるではじめからわかっているかのようにエーブリエタースの側面に行くと、
触手の一本を乳のようにくわえ中から出るミルク状のものをすすりながら眠りについた。
そして栄誉ある二人目が選ばれ、エーブリエタースに抱擁された。
だが今度はフェラチオではなく本番であった。エーブリエタースの鯨のような股に裂け目がぱっくりと開き、
二人目は感動にむせび泣き、射精しながらゆっくりと挿入した。
「わかる!まま!わかる!啓示!すごいすごいすごい……ままーっ!」
水音と肌と肌の奏でる音がしばし響き、やがて睾丸にある全てをはき出すと同じように星界の使者へと変態した。
すべての男が変態すると残った女達にもエーブリエタースは慈悲を示した。
彼女らは全身を覆うように触手で愛撫され、人間ではありえない太さと快楽をもたらす触手により種を腹が妊婦のようにふくれるまで出され、
やがて快楽と歓喜による発狂と気絶、回復を繰り返して人間性を削り取られていった。
そして女達の嬌声と星界の使者たちの鳴き声がしばらく響き……
やがて、女達は赤子をすみやかに産むと絶頂と共に星界の使者へと変態した。
ぽよぽよと泣く星界の使者という子供、そして赤子たちは今はまだ娘から母へと成ったエーブリエタースと共に安らかな眠りの中にいた。
そこには幸福があった。彼らは成し得たのである。
それが狩人達の気分によって踏みにじられるものであっても。