アンジュ・ヴィエルジュR-18短編集 作:闇のアルドラおじさん二号
理不尽にも見えるアンが、激しくけれども甘くアルドラを求めていく物語をどうぞお楽しみくださいませ。
コン、コン。
ノックの音が響く。ドアの前に立つ少女は応答を待つ。けれど中からは全く反応が無い。
「・・こうなる気はしてたけどね~。」
まもなく5時になろうかという時間。中にいるであろう住人は寝ているのだろう。
「さて、どうしようかな~。」
間延びした声で自問めいたとこを口にしてみるが、疑問符が無い。全く自問になっていない。言いながら、ノックしていた拳を、先より強く握り締めたのがその証拠だろう。
「ま、ここで帰るようなボクじゃないさ♪」
爆音で飛び起きる。住み慣れたワンルームにこんな音を出すものなんて無い。すなわち外からの敵襲。働かない頭を必死に回し、生存可能性が高い行動を考える。
青蘭島において男は少数弱者、選択肢やら好感度やらを誤れば地獄をみる。いや、天国か?
とにかく相手を確認しなければまともな判断もできない。幸い、足音は玄関からゆっくりと来る。ベランダやインターネット回線から来る輩もいると聞く、彼女らよりも常識的とはいえるだろう。
侵入者が視認距離にはいる。こっちに気づいた彼女はニタッと笑った。
「おはよう。一日の始まりがボクなんて、キミはラッキーだね~。」
前言撤回、常識的なんてありえない。とびっきりの危険人物が出てきた。そもそも玄関の扉を破壊して入るやつに常識は無い。
彼女はタイプX=01アン。白の世界出身のアンドロイド。自分を語らないので出会う前のことはあまり知らない。知ると危ないらしいのであまり知りたくない。出会ってからのことは、アルドラとプログレスであり、親友。随分と気に入られたようだし、彼女といる日常を気に入っている。でも玄関破壊は別問題。ラッキーじゃない。
「おはよう、アン。ところで合鍵どうしたの?」
玄関破壊はこれが2度目。再犯防止のため合鍵を渡していたはずだ。
「忘れちゃったぜ。」
この程度は想定済み。扉も壊されないように頑丈なものだったはずだ。
「あはは~、『妨げる』概念が砕かれた扉なんて、ただの板同然なんだぜ~。そんなものじゃボクは止められないよ~。」
今度、身に付けるタイプのキーアクセサリーをあげよう。今度というか今日かな。遊びに来ただろうから。
「この時間に開いてるお店なんて無いぜ?」
常識無いな、みたいなニュアンスを入れるんじゃない。時間はきみのせいだ。なぜこんな時間に来たんだ。
「それはね~・・」
言いながら、ゆっくりと近づいて来る。とっておきを披露する寸前の子供のような表情を浮かべながら。いや、子供というには少々色っぽさが出過ぎている。
「キミに1秒でも早く会いたかったんだ。」
右の手を僕の頬に添えて、息がかかるほど顔を近づけ、囁くように言った。見透かすような瞳から目を離せない。
「鍵を探す時間も、ホントはノックする時間だって惜しいくらいだったんだ。こんなにボクを焦らしてくれたセキニン、とってくれるんだよね~?」
混じり合う吐息が、自分じゃない体温を感じている頬が、熱を帯びているのが分かる。
アンは時折こうなる。発情する。口説くように誘惑してくる。彼女の誘惑を、一度だって断れたことは無い。
僕の右の手を彼女の頬に添える。試すようないたずら顔を引き寄せる。二人の間に距離が無くなった。
覆いかぶさるように倒れこみ、頭部を両手で包み込むようにロックする。ここまで待たされた分、離さない。逃がさない。思う存分堪能させてもらう。
舌を入れ、蹂躙する。寝起きの乾いた口の中に、重力に従うボクの唾液が流れてく。ボクの存在を塗りこむように、舌と舌を絡め、歯茎を舌先でなぞり、歯を舌の腹で磨く。少しずつ増す水量に比例するように、水音が増していく。クチャ、クチャ、という音が頭の中で響いている。耳の中でなっているような錯覚が、思考を溶けさせ、快感に変わっていく。
・・っ、はぁ、はぁ・・・
体が思い出したように息継ぎを求めた。機械の身でも呼吸は必須だ。
口から取り入れた冷えた空気が思考に余裕を持たせてくれる。目の前で荒い呼吸をする、蕩けた表情の親友。きっとボクも、鏡に映したように同じ表情をしているだろう。
嬉しい。ボクと同じ気持ちよさを感じてくれている。
片腕が腰に、もう片方の腕が脇腹のあたりを抜けて背中に触れてくる。抱きしめてくる形になる。わかるよ。キミが何を求めてるか。
「ボクもだぜ。」
自分の顔が綻ぶのが分かる。言って、抱き寄せられる。次は蹂躙される側、上下が入れ替わる。口を口で塞がれる。口内を這う舌が、ボクのカタチを鮮明にしていく。
概念を砕くボクの力。あらゆる定義を砕けてしまえることに慣れ、ボクはボク自身を定義することが難しい。そんなボクの定義を、親友はシてくれる。ボクの存在を証明してくれる。
触れられる場所が熱くなる。口内だけじゃない。腰と背中に回した手が、指がボクの肌の上で踊る。
不意打ちだった。声が漏れた気がする。互が互の口を塞いでいるので、声になったかわからない。けれど、親友には伝わったようで、指が服の中にまで滑り入ってくる。
負けないぜ。ボクもキミをもっと感じたいんだ。
親友の服に手をかける。これは邪魔だよね。同じことを思っていたのだろう、お互いに服を脱がせ合う形になる。
一瞬、唇が離れる。短く息継ぎ。そしてまたすぐに触れ合う。先と違うのは、より体温を感じる、より鼓動を感じる、よりキミを感じる。
上下を入れ替える。されるよりしたいのだ。遮るもののない上半身同士を、擦り合わせる。少し筋肉質な身体が、ボクに快感を与えてくれる。
親友も触れてくる。片方の手が、背中の上で反応を探るように、感じるところを探るように、ゆっくりと確実に、指で揉むように動いている。もう片方の手が、ボクの最後の衣服に、下着に手をかける。
ボクも同じように、親友のズボンに手をかけ、脱がせる。纏っているものが、ねっとりとした熱気だけになる。
分かっていたけれど、ズボンから出た、固く熱く勃起していたモノを、左の手で包むように触れる。ゆっくりと擦る。右の手で、親友の腹部を撫で回すように触れる。へその周りをぐるぐると、時折少し押し込み、刺激を変えながら。
背中を撫でる親友の手は、手のひらと指を駆使して、少しずつ範囲を広げながら、気持ちよく感じる場所を探している。もう片方の手は、少し浮かせた腰に、下腹部に伸びている。手のひらの盛り上がりで、マッサージのようにお腹を押し込みながら、指で割れ目をなぞっている。
呼吸もままならないほど舌を絡め合い、情欲を煽るように全身をなぶり触る。頭の中を水音に犯されながら、快楽を求めるように身体をよじりながら、我慢できない。お腹の中が、大事なものが足りないような感覚に襲われる。むずむずと蠢いている。
口が離れる。粘性の液体が糸を引き、口元を汚す。親友の腹部に腰を下ろす。足が少し震えて、体勢を維持するのが疲れる。互いに息が少し荒く、瞳は微睡んでいて、顔は上気している。
左の手のひらを見る。粘り気のある液体で濡れている。ぐっぱ、ぐっぱと揉んで遊ぶ。ニヤニヤと親友を見ると、さらに顔を赤くして、目をそらす。ボクの濡れ具合も似たり寄ったりだけどね。
「膣内に欲しい、いいよね?」
向き合う、見つめ合う。真っ直ぐなキミの瞳。欲する以上の言葉をくれる声。
・・・ありがとう。胸が熱くなる。
左の手で親友のものをボクにあてがう。右の手で自重を支えながら顔を近づける。鼻先が触れる寸前に横に避け、耳元で囁いてやる。
「大好きだぜ。」
腰を落とし、思い切り挿入する。一息に全てを受け入れる。衝撃で肺の空気を押し出され、息が、声が漏れる。その声は自分のものと思えないほど甘かった。
そう、甘い声。苦しさはまるで無い。あるべき形になったような感覚。自分じゃない熱が自分に馴染んでいく。
両の手で抱きしめてくれる。中からも外からも、一つの温度になる。
しばらくの間、互の吐息を耳元で感じた。だいぶ慣れてきた。
「・・・動くぜ。」
唇を重ねる。舌を絡め合いながら、小さく挿入運動をする。こつこつと、快楽のリズムを探す。
縦の動きだけでなく、少しずつ横の動きも取り入れていく。お腹をお腹で押すように抜くとき、膣内で少し膨張する。息も荒くなる。気持ちよくなってくれてるのがわかる。
舌を吸いながら、吸われながら、抜き、挿れる。満たされながら、物足りなくなり、より激しくなっていく。顔に触れ、背中に触れ、胸に触れ、お腹に触れる。全身で求める、もっと快感を求める。
頭の中を蕩かしながら、下腹部に熱が集まっていく。膨張してるのか、収縮してるのかわからない、ひとつ分かるのは、この快感は共有してる、同じ気持ちでいる。そして、このままともにはぜてしまいたい。
・・っ、くるっ!
全身に衝撃が奔る。力が入る。強く抱きしめる、抱きしめられる。もう一つ心臓が出来たかという位、力強く鼓動している。
お互い快感で震えている。波が小さくなるのを、抱きしめ合いながら待つ。挿入ったまま、全身が脱力していく。唇をあわせるだけの力もなくなる。のしかかる形で倒れる。
栓が抜ける。重なるような心臓の鼓動と、耳元にかかる吐息のくすぐったさだけを感じる。
息をゆっくり整える。だいぶ落ち着いてきた。
「・・・キミの全て、気持ちよかったぜ・・」
・・・返事がない。熟睡してやがる。
「いつまでボクを待たせるつもりなのー。」
時計は12時を回りそう。足をばたばたさせ、椅子でくるくる回りながら言うが、起きる気配は無い。ぐっすり夢の中のご様子だ。
夜更かししていたのだろう、机の上に見覚えのある本がいくつか広げられている。教科書ではない、ミハイルの研究所にあるアンドロイド研究に関係する本ばかりある。幾冊か借りているのを知っている。そう、知っている、アンドロイド研究者を目指していることを。
寝顔を見つめる。明るくなってきて、目の下のクマに気づいた。
キミはボクがそばにいることを認めてくれる。ボクの求めているものをくれる。
「・・・もしボクが望めば、キミは・・・」
・・・カゾクになってくれるかな。
口に出せない、カゾクの概念はまだよくわからないから。でも、キミが欲しい気持ちは確かにある。キミはボクのもの。ボクはキミのもの。
・・・焦らなくてもいいよね。今の関係だからこそ出来ることもある。
とりあえずは、思いっきり遊ぼう。見たいもの、したいこと、沢山あるから。
時計が12時を指した。キリのいい時間だ。たたき起こしてやろう。
「さあ、遊びに行こうぜ、親友!」