迷宮はハーレム王国(Make your harem kingdom!!) 作:五十貝ボタン
「はあっ! せいっ!」
ナズナは裂帛の気合いと共に踏み込み、剣を縦横無尽に振るう。その勢いは、身長だけでも倍、いや3倍はあろうかというマアナの巨体に傷をつけていく。
「え、えいっ!」
その攻撃を援護するように、ペティコートが鑓を突き出す。動きののろいマアナはその攻撃を避けることはないが、多少の傷なら、すぐにふさがってしまう。
「くう、なんちゅーやつや。せめてああやって傷がふさがるんさえ、なんとかなれば……」
焦燥にかられ、ユナが唇を噛む。メロンボールが眉間にしわを寄せ、
「でも、とにかく戦わなきゃ。……私たちは、みんなが戦えるように、がんばるの!」
そう叫び、回復の儀式を続ける。必死の祈りが星の光に乗り、皆の傷を癒していく。
「いちちち……くっそー、何度も何度も吹っ飛ばしやがって」
パトリオットは割れた額から垂れていた血をぬぐい、身を起こした。まずは戦場を把握するため、周りを見回す。
「……む、ぅ」
そして気づいた。光を浴び、ナズナと戦っているマアナが小さくうなっていたのに。
「……そうか! こいつは星の光が苦手なんだ! いいかみんな、聞け。こいつを倒す作戦だ」
「作戦? ぶっ倒れてばっかりのあんたに、そんなもんがあるんかいな」
「聞けよ、ユナ。作戦は二つだ。一つ、こいつに星の灯りを近づけるんだ。そうすれば、傷の回復を止められる。もう一つは、とにかくでかいダメージを与えるってことだな」
「やっぱ作戦とは言えへんのやないか」
「……でも、やるしかない」
マユの小さな呟き。ペティコートが両腕を振り上げた。
「それじゃあペティ、マユ様のお手伝い、しますよう!」
「ああもう、しゃーないな! みんな気張りい! やつを倒すんや!」
「おおお!」
ナズナは背に、皆の勢いを感じていた。
一番前で戦っていると、陣の雰囲気というものが肌で分かる。
「……不思議だな」
パトリオットが倒れているときは、どこか陣に勢いがない。それが、彼が立ち上がって声をかけるたび、陣の雰囲気が盛り上がるのだ。
彼の楽観的な言動が原因だろうか。それとも、これがカリスマというものだろうか?
なんとなく、パトリオットのことを試したくなって、ナズナはマアナの拳を大剣でいなしながら聞いた。
「だが、でかいダメージとやらはどうする?」
「俺がやる。……行くぞ、みんな、着いてきてくれ!」
剣を手に、パトリオットがかけ出す。国から連れてきたメイド隊はもちろん、ユナが探索の途中で保護した民さえ応援し、あるいは武器を持って共に戦っていた。
「なぜだ。……なぜ何度も、そうして立ち上がる」
「メロンが回復してくれっからだよ!」
「それがどうしたというのだ!」
マアナがナズナを弾き飛ばし、巨大な腕をパトリオットの行く手に振り下ろす。
「それだけじゃあない、ナズナが戦ってくれるから、マユが迷宮を突破してくれるから……」
腕の一つめをかわし、二つめの前で急制動。目の前に振り下ろされる腕の上に飛び乗った。
「ペティが応援してくれるから! ユナが後始末をしてくれるからだ! 家臣たちが必死でがんばってんなら、国王は、何度も立ち上がって、一番最後に倒れなきゃならないだろうがよ!」
マアナの太い肘を蹴り、飛翔する鷲のように飛び上がる。
「何……!?」
マアナが驚きの声を上げ、上を向く。
その左目に、ざっくりと剣が突き刺さった。
さらに、体を反転させて引き抜いた勢いそのまま、首筋に切りつける。
疾風の如き駆走。
怒濤の如き斬撃。
「ぐおおおおおお!」
苦悶の声を上げ、マアナがパトリオットの首を掴む。
「おおおおっ!」
乱暴に振り回し、地面に向けてたたきつける。がつん! と迷宮に硬い音が響く。
「パトリオット!」
ナズナが驚きの声を上げる。が、パトリオットはその場にむくりと立ち上がった。
「てめえ! 俺の暇つぶし用のカードが破れたじゃねえか!」
ばさばさとカードの破片を裾から落としながら、叫ぶ。
「なんでそれだけで助かるんや……」
思わずうめくユナを背にしながら、パトリオットとナズナが並んでマアナに剣を向ける。
「その技は、どこで?」
「お前の親父さんだよ。勘が悪いから、敵の攻撃を受けっぱなしになるってずっと言われてきたけどな」
「まったくだ。命知らずな戦い方だな」
「だから、戦うのは騎士に任せたいんだよ」
二人はお互いを見ず、しかし同時に肩をすくめた。
●
「この私に! この私の目があっ!」
怒りに任せてマアナが腕を振り回す。パトリオットはその攻撃の間をかいくぐり、
「『それがどうしたというのだ』はどうしたんだよ! お前、神様じゃなかったのか?」
マアナの戦いに大きな隙ができている。ナズナはその間をかいくぐり、腕の根本へ斬りつける。
「せいっ!」
相変わらず、傷はふさがっていく。だが、二人の猛攻は、明らかに治癒のペースを上回っていた。
最後の山羊頭は、マユを執拗に追い回している。マユは手裏剣を放ってけん制するが、武勇に優れたナズナのようにはいかない。人間よりも強く、素早い山羊頭の前で、状況は硬直していた。
「マユさん! ペティも応援しますから、早くそいつを!」
ラッパを吹き鳴らし、ペティが叫ぶ。マユはじっと目の前の山羊頭をにらみつけた。
「てめえを殺してやる! てめえを!」
仲間を殺された山羊頭はすっかり余裕をなくしている。鎚を振りかざして、ぶんぶんと振り回しながらマユに迫る。
マユは、小さく息を整えた。
集中して、振り回される鎚の合間に、山羊頭の懐へと飛び込む。無造作に手裏剣を取り出し、とん、と左胸においた。寸分違わず、心臓の上だ。
「……ふ、っ!」
短い呼気と共に、気力を振り絞る。体勢を低くして、そのまま体当たり。
肩に着けた小さな盾が、棒手裏剣の背にぶつかる。衝撃。金槌で釘を打ち込むように、棒手裏剣は山羊頭の胸の中に飲み込まれた。
「あがっ……!?」
山羊頭の手から、どさりと鎚が落ちる。そのまま、仰向けに倒れた。
「……わたしも、ナズナ様みたいに技の名前、考えればよかったかも」
ぽそ、とマユは呟いた。激しい戦いに心が高揚するのを、確かに感じていた。
「よし。もう一撃! 嵐のように、津波のように、俺に続け!」
パトリオットが叫ぶ。気力も充実、勢いは充分。配下の慣性を聞きながら踏み込み、高く飛び上がる。
「む……っ!?」
マアナのは腕を掲げてそれを塞ごうとする。だが間に合わず、首筋に剣が迫る!
がりっ。
鈍い音。
パトリオットの剣は、肌の表面で止まった。
「ありゃ。……角度が悪かったかな」
「ぐおおおおっ!」
咆吼を上げて、マアナが腕を振り回す。再び、パトリオットは吹き飛ばされた。
「もう。ちょっとはかっこいいところを見せた方がいいんじゃないかしらぁ?」
その傷を癒しながら、メロンボールが呆れたように言う。
パトリオットはごろりと肘を突いて寝転び、
「いいんだよ。……ほら、もう俺が働かなくてもいい状況になっただろ」
と、前方を示した。
マユがマアナに肉薄し、首から提げた星の欠片でその傷を照らしている。マアナの皮膚は光に当てられ、治癒能力を失っていた。
ペティコートが鑓でマアナを追い詰めていく。両手で大剣を構えたナズナが、その腹に大剣を貫き通した。
鉤鼻鬼の大量の血液が噴き上がる。断末魔の絶叫を街道じゅうに響かせ、マアナ=ユウド=スウシャイは絶命した。
「国王は、希望を示しさえすればいいのさ。希望の光が消えなければ、民は戦える。見ろよ、みんなが必死でがんばってなんとかしてくれた」
肩をすくめる。そして、
「さ、勝ちどきを上げようぜ」
と、力の抜けた様子で言った。
●
戦いを終えてキャンプを張った時から、ナズナの様子はおかしくなっていった。
体から力が抜け、動くこともままならない。テントの中に運び込んで寝かせてはいるが、回復の気配は全くない。
星術師として、多少は魔法の知識のあるメロンボールは、仲間達を別のテントに集めた。
「ナズナさんが苦しんでいるのは、あのマアナから受けた契約……というより、呪いのせいでしょうね」
「呪い、か。……でも、解く方法はあるんだろ?」
パトリオットの問いに、メロンボールは小さく頷く。
「どうするんや!? 貴重な薬が必要なんか? それとも、すごい魔術師に頼むんか? なんでもええ、ナズナを助けるためやったら、いくらでも金使って構わへん!」
焦燥に駆られた叫ぶユナ。しかし、メロンボールは首を横に振る。
「違うの。……呪いを解く鍵は、パトくんにあるわ」
「なんだ、王子のキスで目が覚めるっていうあれか?」
「パト様は孤児出身ですから、王子だったことは一度もないですよう」
本当に困った、という様子でペティコートが言う。そっと笑みを浮かべたメロンボールは、指を立てた。
「方法はたった一つ。……膣内射精よ」
「……」
しばしの沈黙。そして、
「はあ?」
一同が一斉に声を上げた。
「つまり、あのマアナという鬼は自分の手下の精液を使って、ナズナさんを手下……というより、奴隷にする契約を結んだみたいなのよ」
メロンボールが眉を寄せ、ぽつぽつと話を始める。
「ユナさんが言うように、高度な魔法を使えば契約を打ち消すことはできると思うんだけど、でも今からそんな準備をしてる時間はないわ。……先にナズナさんが限界を迎えてしまうと思うわ」
「……限界って?」
マユの瞳におびえの色が混じる。
「ナズナさんの結ばされた契約には、一生をあのマアナに捧げることが含まれているみたいなのよ。つまり、マアナが死んだら、ナズナさんも命を失うと……」
「そんな、なんでそんな契約、してもうたんや!?」
「ユナ様……」
叫ぶユナの服の裾を、そっとペティコートが掴む。じっと黒い瞳に見つめられ、ユナは小さく息を吐いた。
「せやな。そんなこと言うてても、どうにもならへん。……それで、解くには、その、ち、ち……」
「膣内射精って、どういうことだ?」
顔を真っ赤にして続けられなくなったユナの代わりに、パトリオットが聞く。表情はいぶかしげだ。
「マアナという鬼が使った魔法は、精液を媒介にしているみたいなの。私が星を媒介にしたり、魔術師が魔導書を使うみたいに。……だから、その力に対抗するためには、やっぱりこっちも精液の力を使わなきゃ……」
「ま、真顔で何を言うてんねんな」
ユナは思わず言う。が、メロンボールがまた小さく首を振る。
「私は真剣よ。こっちも精液を媒介にして、ナズナさんがかわした契約を上書きするの。でも、条件が二つあるわ」
メロンボールは一同を見回し、指を二本、立てて見せる。
「まず、契約を交わすことをナズナさん自身が望まないとダメよ。それに、さっき結ばれた契約より、より深い契約じゃないとダメ。山羊頭たちの時みたいに体の表面じゃなくて、中で行わないと」
「……それって……」
マユの呟きに、メロンボールは頷く。
「そう。パトくんがナズナさんの中に射精して、ナズナさんを奴隷にする契約を結ぶのよ」
「ち、ちょっと待ってくれよ。そんなの、ナズナが承知するわけないだろ」
さすがのパトリオットも、焦った様子だ。
「せ、せや! だいたい、ナズナをこんなやつの奴隷にやなんて……」
「でも、それ以外にナズナさんを助ける方法はないわ。……少なくとも、今、私が思いつく中では」
メロンボールが真剣なまなざしで一同を見つめる。おそるおそる、という様子で、ペティコートが手を上げる。
「と、とりあえず、やってみる価値はあると思いますよう。……受け入れるかどうかは、ナズナ様が決めるんですよね?」
「そうね。……ナズナさんが奴隷になるくらいなら死ぬ、って言うなら、いくらパトくんが無理矢理しても無駄よ」
「……それなら、わたしも、してみる価値はある、と思う……」
マユがうつむきながら言う。
「……っく……! わ、分かった! パト、ええか、ナズナが悲しむようなことがあったら、ウチがあんたを殺したるからな!」
目の端に涙を浮かべながら、ユナが叫ぶ。パトリオットはその迫力に思わずたじろぐ。
「わ、わかってるよ。いくらなんでも、そんなこと……」
「ウチはナズナやないから全部はわからへんけど、あの子が苦しんどったのは分かる。ずっと、騎士としてどう生きるべきか悩んでたんや」
握った拳がぷるぷると震える。それに劣らず震える声でユナは続けた。
「もし助かったとしても、ナズナがこれからずっと、後悔し続けるかもしれへんやなんてそんなんは嫌や!」
そして、きゅっと目を閉じ、下を向く。
「せやから……ええか、ナズナがあんたを恨むようなことがあったら、ウチがあんたを殺したる。それが嫌やったら、なんとかするんや!」
「な、なんとかって言われても……」
「返事は!?」
「……わ、わかった」
パトリオットは小さく頷いた。ユナが口を動かすのは、自分の気持ちが整理できていない証拠だ。
国の運営を一気に引き受けるユナだが、精神的には一人の娘に過ぎない。迷宮災厄で国民が増えたり減ったりは日常茶飯事だが、自分自身の友人が死ぬかも知れない、などという状況になって、大臣ではなく、一人の女の子としての感情がむき出しになっているのだ。
ナズナのためを思いたいし、国のために一番の決断をすべきなのも分かっている。だが、そのためにどうすればいいのか、分からないのだ。
ユナにとって、分からないというのは恐怖だった。
その、恐怖に震える女の子が助けを求めているのを、パトリオットは感じたのだ。
「ナズナのこと、なんとかする。……もし、ユナやみんなが納得いかない結論だったら、さらし台でも、処刑でも、なんとでもしてくれ」
●
「ナズナ、俺だ。入るぞ」
テントの前に立ち、声をかける。ナズナの返事はなかったが、彼女の世話をしていたペティコートの部下に当たるメイドたちが「どうぞ」と答えた。
パトリオットが二人にしてくれ、と言うと、彼女らはテントを辞した。
ナズナは寝床で毛布をかぶせられ、仰向けに寝ていた。といっても、青い瞳は開かれ、パトリオットの姿を捕らえている。
「……あたしは、死ぬのか?」
パトリオットはぎくりとしたが、冷静を装って彼女の前に腰を下ろした。
「……ああ」
小さく答える。
「そうか。実はさっきから、あの鉤鼻鬼のことが頭に浮かぶんだ。あれは神などではない、単なる妄想に取り憑かれた鬼だが、あたしに何かの術を施したみたいだ」
パトリオットは傍らに座ったまま、じっとその言葉を聞く。
「心の中に、あの鬼は死んだんだ、という実感があってな。当然だ、あたしが殺したのだから。……だから、あたしも死ななきゃいけないという気がしてくるのだ。……情けないことだ。体が死ぬ準備をしているのが分かる。指を動かすこともできない……」
ナズナの青い瞳が、歪む。涙がにじんでいるのだ。
「……ただ……ただ、どうにでもなれと思って頷いただけだ。はいと言えばあんなことは終わるだろうと思ったから。だから、頷いただけだ。まさか、そんなことで……」
涙はあっという間にあふれる。せき止めていたものが決壊したように、耳元に流れ落ち、黒髪を濡らしていく。
「死なせない」
パトリオットは言った。
本心だった。ナズナがかわいそうだとか、死んだら困るとか、そんな理由はどうでもよかった。ただ、そう思った。
目の前に居るこの娘が居なくなるのが嫌だ。
ユナに後でなんと言われようとも構わない。
ナズナが一生、自分を恨んだっていい。
「俺が死なせない」
パトリオットはナズナの瞳をじっと見つめて、言った。
「しかし……」
「時間がないから、手短に説明するぞ」
パトリオットはメロンボールの言ったことを、そのままナズナに告げた。ナズナの命を救うためには、彼女の中で射精しなければならないと言うことを。そしてまた、彼女自身がその契約に同意しなければならないことを。
「お前が珍しくそんな顔をするのだ、冗談というわけではなさそうだな」
先ほどよりは、落ち着いたのだろう。涙をぬぐい、ナズナがそっと目を閉じる。
「……だが、断る」
「そこまで、俺が嫌か」
ナズナは目を閉じたまま、答える。
「勘違いするな。お前とするのが死ぬよりも嫌だ、というわけじゃない。だが、これはあたしの軽率な行動が招いた事態だ。責任は自分で取るつもりだし、生き恥をさらすつもりはない、ということだ」
「もう戦うのが嫌になったのか?」
しばしの沈黙。
「……そうじゃない。あたしはもう、戦わなければ生きていけない。これはあたしへの罰だ。国を見捨て、自分から戦いに背を向けてしまった……」
「王が無理に命じてもか?」
「あたしはお前を王と認めてはいない」
「そうか。なら、あの鬼族と同じ手段を使わせて貰うぞ」
パトリオットはそのまま、ナズナの唇を奪った。
●
閉じられていたナズナの目が、かっと見開かれる。
が、力が残っていないのだろう。きゅっと唇を結ぶ以外、抵抗らしい抵抗を見せない。
パトリオットは両手をナズナの頬に添え、ゆっくりと舌を伸ばしていく。ナズナの舌をこじ開けて舌を潜らせ、ざらついた舌の感触を自分の舌で確かめる。
ちゅ、くちゅ……ちゅる、ちゅ、ちゅ……
濡れた音がテントの中に響く。
「ん、っふ……んんっ、ぅ、んんっ……!」
ナズナが驚愕と混乱とが混じり合う、くぐもった声。舌で感じるナズナの口内が、徐々に緊張を増していく。が、それを気にせず、パトリオットはあふれる唾液をナズナの口に流し込み、唇を離す。
「っは……ん、っく、んんっぷ……は、っ。何を……」
ナズナは整った眉をひそめながら、パトリオットをにらみつける。怒っていると言うよりは、驚いて威嚇しているという風だ。
「お前を助ける。お前が死ぬ方を選んでも関係ない。俺がそうしたいから、そうする」
「あたしが抵抗しないのを良いことに、犯したいだけじゃないのか?」
「そう思ってくれると、俺もやりやすいよ」
ナズナの体を隠す毛布をめくり上げる。
甲冑を着込むナズナは、普段かなり体を締め付ける下着を着けているはずだ。しかし、さすがにこんな状況でそのままというわけには行かない。薄いワンピースの肌着姿だ。
普段は甲冑に隠されている体のラインが露わになる。引き締まった脚はもちろん、服を押し上げている胸の膨らみや、見事な曲線を描く腰のくびれもはっきりと分かる。
ナズナは目を開き、じっとパトリオットを見ていた。その真意を測っているのだろう。パトリオットは表情から真意を隠せるような男ではない。ナズナはすぐに、彼の意図を悟った。
パトリオットは、ナズナに生きて欲しいと願っている。だが同時に、ナズナを犯したいと思っているのも本当のようだった。
この男は、何一つ嘘をついていないのだ。
「く……く、ふふ……」
思わず笑みが漏れる。ナズナは呆れるのを通り越しておかしくなった。この主君の元で、死ぬべき時であっても、国王命令で死ぬなと言うようなパトリオットの元で、騎士の誇りに殉じるなんて、なんとばからしいことだろう。
「あー……こほん」
パトリオットはしばらく口を開けたまま、その均整の取れた体に見とれていたことに気づいて、首を振って次の言葉を探した。
「こ……この胸を好き放題いじくり回してやりたいと思ってたんだよ」
服の上から両手でナズナの両乳房を掴む。案の定、肌着の下には何も着けていない。
仰向けになっているので、左右に軽く広がるようにつぶれている。とはいえ、指を沈めると跳ね返してくるような弾力があり、手の中でぷるぷると勝手に震えるような感触だ。
「ん……く、っふ……ん、っ……」
ナズナの美しい唇から、甘い声が漏れる。きゅっと眉根を寄せて、濡れ始めた瞳で見上げてくる。
「気持ちいいか?」
どことなく子供っぽい、いたずらをするような目でパトリオットが問う。
「だ、誰が……お前みたいな男に、陵辱されて、感じる、ものか……」
噴き出しそうになるのをなんとかこらえながら、ナズナは答える。はじめてはもっとムードがある状況で、と考えていたわけでもないのだが、ここまでムードがないと、いっそ吹っ切れる。この男の楽しみに、付き合ってやろうという気になって来たのだ。
少なくとも、鬼族の手に捕らえられていたよりはマシだろう。
パトリオットはナズナの肌着を脱がせた。ナズナの体を包むものは、今や臀部をしっかりと包む、白いショーツだけだ。ぴったりと肌に張り付くそれは、明らかに男を興奮させるためのものではない。しかし、きゅっと引き締まったナズナのヒップラインがはっきりと分かるだけで、パトリオットはゴクリと生唾を飲んだ。
肌の色は白く、真珠のようになめらかだ。とても、鎧を着けて戦っていたなどとは思えない。ふるん、っと弾む乳房は主張するように前に突き出した円錐型。もともと胸の幅が広いのもあり、かなりの大きさだ。さすがにメロンボールほどではないが、掴めば収まりきらない先端部分が、ふるん、ふるん、っと大きく弾む。先端はつんと突き出すような、ピンク色だ。
ハッ……、と、ナズナの唇が熱い息を吐き出す。
「あ、あたしが動けないのを良いことに、好き放題、体をなぶる……気だな」
「そうさ。俺ってふしだらで自分勝手だからな」
どことなく、儀式のような会話。いわば、二人の間での約束だ。
姫騎士ナズナは誇りある死を選んだが、暗君パトリオットは彼女の意向を無視して陵辱し、無理矢理に生きることを命じたのだ。
「お前が俺の奴隷になると誓わなきゃ、契約は上書きされないんだ。……快楽で夢中にして、誓わせてやる」
れる……と、ナズナの首元から、胸へ向かって舌を這わせていく。なめくじのようにうねる舌先がすべらかな肌をなぞるたび、ナズナの体はぴくぴくと震える。
レル、レロ、チュプ、レル、レロ……。
片方の乳房に顔を沈め、鼻先で乳首を押し込みながら、もう一方を掴んで根本から乳首に向かって柔らかく絞り出すように揉む。
舌先をうねらせて、乳房を縁取るように舐める。ナズナの美しい肌を自分の舌が汚していくのは、何とも言えず背徳的な光景だ。
たぷん、ぷるん、っと元気よく弾み、もっと揉んで欲しい、とねだっているかのようだ。
「んっく……っは、ぁう……ん、っ!」
ナズナの声に含まれる甘さが増していく。きゅんと体がこわばり、まるでパトリオットに向けて双丘を突き出しているかのようだ。
舌先は渦巻きを描いて乳房を登っていく。
「あ……っ、や、っ、んっ!」
ナズナがその舌の向かう先……ぷく、と尖り始めた乳首へ目を向け、いやいやするように小さく首を振る。が、パトリオットの舌は、くるん、と乳輪に触れるか触れないかの場所をなぞると、ナズナの白い肌から離れてしまった。
「あ、えっ……?」
ナズナが見つめてくる。意外というか、期待はずれというか。そんな調子の声だ。
「美味しそうなデザートは置いておいて……と」
いたずらっぽい視線を向けたまま言い、ナズナの腕を掴んで上へ。今度は舌を平たく広げて、べったりと左の腋の下に押しつける。
「な、なにをして……っ!?」
今度は本当に驚いた様子だ。目を白黒させている。
「ナズナの汗の味、1回確かめて見たかったんだよな。においも。……ん。全然しないぞ」
腋のへこみに舌を潜らせ、軽く出し入れさせるように舌を前後させる。チュプ、チュプ、と小さな音が鳴る。
「た、戦いのあとだぞ、全身、洗ってるに決まってる、だろう……!」
そのくすぐったさに体を揺らしながら、ナズナは言う。なんとか平静を保っていた顔がかあ、っと赤くなっていく。
「なんだ、残念。まあでも、もうちょっと味わっておくか。汗の味はしないけど、ナズナの体はおいしいぞ」
唇をすぼめて、脇の下に吸い付く。そうしながら、手で乳房を撫でさすり、性感を高めていく。
「ひゃ、んっ! や、やめろ、変態、そんなとこ……!」
ナズナが声をうわずらせながら叫ぶ。意表を突かれて、パトリオットのやっていることに乗ってやっている、という体裁が整わなくなってきている。
(よし。こっちのペースに乗せられたな)
パトリオットは内心、にやりと笑っていた。
ナズナは誇り高いというか、強情というか、自分が納得することを求める性格だ。こうやって抱くにしても、『動けないから仕方ない』とか、『パトリオットの求めに応じてやった』とか、なんとか自分に言い訳するに違いない。
だが、パトリオットはそれでは不満だ。ナズナが後で言い訳できないようにしてやりたいのだ。そうでなければ、自分の女にしたとは言えない。
結果は同じかも知れない。だが、後でなんとかして方法を探し出して奴隷契約を解くにしても、ナズナのことだ。また自分に対する罰だと縛めて、それを拒否するかもしれない。
たとえ一時的にでも、本心から奴隷になりたいと言わせなければ、ナズナのためにならないのだ。
むろん、本心で言わせるのと口だけで言わせるのでは、パトリオットの興奮の度合いも変わってくる。
チュプ、レロ、チュプ、チュウッ……。
ムニ、ムニュ……クニュ、キュ、ムニ……。
「あ……う、っや……やめ、ろぉ……ひゃ、あぅ、ん、あぁっ!」
「そんなこと言って、声がかわいくなってるぞ。腋舐められて、感じてるんじゃないか?」
「そ、そんな……ひゃう、こと……っ!」
そのためには、まずはナズナの鉄壁の誇りを突き崩すのだ。……山羊頭のことで分かるとおり、ナズナは自分の予想を超えられたり、外されたりすると、混乱しがちだ。パトリオットはそこをついたのである。
片方の腋が唾液でべとべとになったころ、ようやくパトリオットは顔を上げた。ねっとりと、ナズナの腋とパトリオットの舌との間に、唾液が糸を引く。
「へ、変態……。何を考えてるんだ……っ」
予想をまるで外れた刺激で、ナズナの目元には涙が浮かんでいる。パトリオットに上げさせられた腕を、なんとか体の横へ戻した。
(体、動かせるのか?)
パトリオットは、小さく瞬きしてその姿を見つめた。確か、鉤鼻鬼の契約の力で、指一本も動かせないのではなかったか?
(まさか……)
ふと、マユを助けたときの事を思い出した。あのときも、羞恥心で心を満たして迷宮の侵蝕を押しのけたのだ。今、ナズナにも同じような事が起きているのではないだろうか。
とすれば、鉤鼻鬼の契約を押しのけて、パトリオットがナズナの心を満たし始めているのだ。いわば、ナズナが本心から彼を受け入れ始めていると言うことだ。
「……ナズナ」
ぽつりと声を漏らす。じっと見つめると、ナズナは目元から頬を赤くして、きゅっと眉をこわばらせながら見上げてくる。
「な……なんだ」
「きれいだ」
見つめたまま、言った。
「ばっ……!?」
さらに慌てたナズナの腕が、ぴくりと跳ねる。大きな動きではなかったが、パトリオットはその腕を掴んでナズナの体に覆い被さり、胸の先端を口に含んだ。
「んんぅ!? っや、やあ、ば、バカ、こんな時に、何を言って……!」
「ちゅっ、んっ……思ったことを言ったまでだよ。やっぱり、腋より乳首の方がおいしいな」
吸い付き、舌の上で転がしながら答える。ころころとした感触を楽しみ、舌先で上下に弾くたび、胸全体が玩具のようにぷるぷると震える。
「へ、変態……!」
パトリオットに抑えられている腕に力がこもり、ふるふると震える。
ちゅ、ちゅ、ちゅぷ、れる……ちゅうっ、ちゅ、ちゅうっ!
わざと音を立て、唾液を絡ませて吸い上げる。そのまま顔を引いて、ナズナの乳房を限界まで引き伸ばし、
チュポン!
と、音を立てて唇から離した。
「きゃあうっ!?」
体を反らし、ナズナが高く声を上げる。
「はあ……はっ、あ……は、っ……」
呼吸を喘がせながらにらみつけてくるのに気づかないふりで、パトリオットは再び女の肌に触れた。
胸元から脇腹をくすぐるように触れ、あばらのラインやへその下を通りながら、下腹部へ。
「や……っ、ま、待て、心の準備、が……」
「ダメだ。……このまま、最後までするからな」
呼吸を整える時間も与えない。もっとナズナを追い詰めたかった。
汗ばんだ肌からは女のにおいが漂ってくる。ふんわりと鼻の奥をくすぐるような、そんなにおいだ。
パトリオットはそのにおいを肺いっぱいに吸い込んでから、ショーツに指をかけた。飾りも模様も何もない。真っ白な下着は、他よりもほんの少し濃い、女のにおいを漂わせている。
「いつもこういう下着なのか?」
聞くと、ナズナは視線を泳がせながら、
「そ、そうだ。……た、他人に見せることなんかないんだから、当たり前だろう」
パトリオットはくつくつと喉を鳴らし、
「それじゃ、今度からは、もっとかわいいのにしてくれよ。……これからは、俺が見るかも知れないから」
「ば、バカ、誰が……!」
ナズナを無視して、下着に手をかけて丸めるように引き下ろしていく。
小さな三角形を作る陰毛。髪と同じで、光の角度によっては青みがかってすら見える。その下から、ほころび始めた秘唇が覗く。パトリオットが足を開かせると、わずかに抵抗したものの、簡単に脚を開かせることができた。
「お、口でそんなことを言っても、こっちは正直なもんだな」
それらしいことを言いながら、指を沿わせる。くちゅ、と温かい愛液があふれて、指に絡みついてくる。唇はきゅ、っと指を拒むように狭まるが、かえって中から汁があふれだしてくる。
「そ、それは、お前が……」
赤い顔でにらみつけてくるナズナだが、どれほど『乗ってやってる』演技で、どれほど本気なのかはよく分からなかった。だいたい、パトリオットは女が演技しているかどうか、それほど気にかけないのだ。分かるはずがなかった。
「変態、変態って言ってたくせに。自分もその変態な事をされて、感じてたんだろ?」
クチュ、クチュ……。
入り口を指で刺激しながら、ささやく。徐々に解すように、秘唇を指で開かせ、膣口を指先で軽く出し入れする。さすがにマユほどきつくはないが、それでも初めて男に触れられたことに戸惑うように、きゅん、きゅん、とひくついている。
「やっ……! ま、待て、ちょ、ちょっと、もう少し、時間、かけてっ……!」
「ダメだ。このまま、お前を俺のものにする」
あふれ出る粘液を指に受け、入り口の塗りつけるように押しつける。解すように指を前後させ、うねらせるうち、拒むようなこわばった収縮だったのが、中に引き込むようにうごめき始める。あふれる愛液も、粘りけの強い、指にねっとりと絡むようなものに変わり始めた。
「これなら、充分だな。……するぞ、ナズナ」
じっと顔を見つめながら、ささやく。ナズナは涙を浮かべた顔を上げ、何かを言おうと唇を開き……
その唇を覆い被さったパトリオットに塞がれた。
解説編
○戦闘の終了について
どちかの陣営のキャラクターが全員居なくなるか、モンスター陣営が降伏した場合、戦闘は終了します。
宮廷は倒したモンスターに応じて、[お宝表]を振ることができます。これにより、[素材]をはじめ、様々なアイテムなどを手に入れる事ができます。
支配者などの強力なモンスターなら、レベルのあるアイテムや、レアアイテムなんかを手に入れる可能性もあります。
○今回登場したスキル
【範囲攻撃】:鉤鼻鬼が所持しているスキル。命中判定の難易度を上げることで、複数のキャラクターに攻撃できます。
【闇の恵み】:鉤鼻鬼が所持しているスキル。自分と同じエリアに「星の欠片」を装備しているキャラクターが居なければ、《HP》が回復します。
【兵戈】:ナズナの所持しているスキル。自分の《配下》の数に応じて、武器の威力(与えるダメージ)を上昇させることができます。今回のナズナの場合、常に+2点。
【疾風怒濤】:パトリオットの所持しているスキル。命中判定で絶対成功を発生させた時、痛打表を振る代わりに《配下》と同じだけ武器の威力を上昇させることができます。今回のパトリオットの場合、+7点。
○今回登場したアイテム
【星の欠片】:マユ、メロンボールが所持しているスキル。周囲を照らす灯りの効果があるアイテムで、このアイテムを装備しているキャラクターが居なければ、射撃攻撃が通らないという、隠れた重要アイテムです。なお、メロンボールは【星をみるひと】というスキルの効果で、【星の欠片】を《希望》として扱うことができます。